≪*お菓子の家*≫ここは子供の夢の国。のはず


<オープニング>


 目の前には、ボロボロに錆びた看板があった。
 △×菓子店。
 店名は、あまりにボロボロで読めないけれど、確かにここは駄菓子屋だった。
 ただし、少なくとも何年か前までは、という注釈をつけねばならないだろう。
 うるさく鳴る引き戸を開ければ、菓子の陳列棚はあったけれどすべて空っぽ。傷みが酷く、埃が積もっている。
 奥にレジがあったらしきカウンターが見えたが、もちろん誰もいない。
 と、思いきや。
「ここの菓子は全部オレのだ!!」
 カウンターの奥から声がした。男……それも、かなりいい歳の男の声だった。
 途端に周囲の色が変わる。
 すすけていた木製棚が、よく手入れされた飴色の艶を取り戻していた。それだけではない。どこか懐かしい棚いっぱいに、とりどりのお菓子たちが並んでいた。
 そしてそのどれもに、お財布にやさしい超お手ごろ価格の値札がついている。
 これこそ、子供たちの夢の国、駄菓子屋!!
 なのにその中央にでんと居座っているのは、スーツ姿のサラリーマン風壮年男性なのだった。
「オレから菓子を奪うってんなら、この麩菓子が火を吹くぜ!?」
 大量のメンコやお菓子を抱え、血走った目で、でっかい黒糖麩菓子を振り回すその異様な姿。
 地縛霊である。
「ええと、私たち、噂の駄菓子屋さんを訪ねてはるばるやって来たのでしたよね?」
 高宮・琴里(天つ風・b27075)が、漆黒の長い髪をさらりと揺らし、困惑顔で振り向いた。
「あー、うん、ここ、確かに駄菓子屋は駄菓子屋みたいやけどさ……」
 菰野・蒼十郎(小者で弱くてヘタレな三拍子・b30005)も、バンダナの額に僅かに汗をにじませている。
「これはぁ、ひょっとしてぇ、地縛霊の特殊空間……カナ?」
 アルファ・ラルファ(ティアレタヒチ・b15679)が南国ほんわかな口調で、現状を纏めた。
「あれ? あれ? あれあれあれあれ??」
 ガイド地図を手に、綾木・レン(紫雲の坪庭・b22977)はわたわたしている。
「あら。レン、それ、地図が逆さまよ?」
 風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)が、お嬢様らしくおっとりと指摘した。
「ええー!? じゃあ正反対の方に来ちゃったんですか!? うわぁんごめんなさい!」
「間違いは誰にもありますよ」
 しゅんとするレンの肩をそっと叩き、幸田・泉水(琥珀色の夢・b22961)が茶色の瞳を穏やかに細める。
「そうじゃ。さっさと討伐して、閉店時間までに引き返せば問題なしじゃ」
 空知・凪(華蝶拳士・b43818)が凛々しく眉を上げて頷いた。
 皆の心は決まった。
 即ち、さっさと片付けて、当初の目的を完遂するぞ、と。
「駄菓子と一緒にコーヒータイム、間に合いますように!」
 ユーリリア・イセンガルド(ウインドミル・b22726)が祈りを込めて、イグニッションカードを掲げる。
「なんだ? やるのか!?」
 大人買いのお菓子だのカードだのをぼろぼろと腕の中から取りこぼしながら、麩菓子を振り回す壮年男性。
 その足元に、いつの間にやらきれいな三毛猫が1匹座っていた。よく見れば牙と爪がやけに鋭く、目には普通の獣にはない狂った光がある。
 ニャーア、とその猫が鳴いて、それが合図になったかのように戦闘開始となった。

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参加者
風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)
アルファ・ラルファ(ティアレタヒチ・b15679)
ユーリリア・イセンガルド(ウインドミル・b22726)
幸田・泉水(琥珀色の夢・b22961)
綾木・レン(紫雲の坪庭・b22977)
高宮・琴里(天つ風・b27075)
菰野・蒼十郎(小者で弱くてヘタレな三拍子・b30005)
空知・凪(華蝶拳士・b43818)



<リプレイ>

●許しません、独り占め!
 周囲の店にぎっしりと詰まった、魅力的な駄菓子たち……けれど、所詮ここは地縛霊の特殊空間。討伐が済めば全て消えてしまう。
「早く本物の駄菓子屋さんに皆さんをご案内しなくては、です!」
 綾木・レン(紫雲の坪庭・b22977)は地図をポケットに仕舞うと、かわりにイグニッションカードを手にする。
「「「イグニッション!!」」」
 飴色をしたレトロな店内に、皆の元気の良い宣言が響いた。
「邪魔する子……ではなくて、良い大人みたいですけど……邪魔する人は、めっ!するです」
 箒の先をびしりと地縛霊に向けた高宮・琴里(天つ風・b27075)の足元で、同意するようにモーラットの空が跳ねる。
「お菓子を独り占めにする悪い子は許さないカナ!」
 アルファ・ラルファ(ティアレタヒチ・b15679)の真スーパーモーラットは、アルファの隣で勇ましく眉を上げた。
「そうです。許される所業ではないのですよ……」
 ユーリリア・イセンガルド(ウインドミル・b22726)が長杖を握る手には力がこもっている。
 死してなお菓子に執着するとは、一体いかなる生前であったのか。子供の頃こういう場所で遊んでいたのかもしれない。地縛霊になってからも懐かしい気持ちになって、この空間を作り出したのかもしれない。けれど詳しいことはもう、誰にもわからない。
 確かなのは、出会った以上は討伐せねばならないし、能力者たちにも予定があるということ。
「即刻退場していただきましょう」
 幸田・泉水(琥珀色の夢・b22961)は静かに、しかしきっぱりと地縛霊に退場を言い渡す。
「早くお菓子を買うために、頑張るわよ」
 風見・莱花(高雅なる姫君・b00523)は白薔薇のあしらわれたドレスの裾を、優雅に片手でたくし上げた。
「おまっ、おまえらっ、やっぱりオレの愛しい駄菓子を……やらん! やらんぞっ!」
 地縛霊の男は、両手にいっぱいの駄菓子を「絶対に放さない!」とばかりに抱き締める。
「菓子を奪うつもりは無いんじゃが、討伐しないわけにもいかん」
 空知・凪(華蝶拳士・b43818)は苦笑しながら、鮮やかな茜色の布槍をするりと扱いた。
「畜生! よほどこの麩菓子が火を吹く様を見たいようだな!」
「お菓子への情熱に火ぃ付いたわいらは止められへんて!」
 黒糖麩菓子を素振りする男に、菰野・蒼十郎(小者で弱くてヘタレな三拍子・b30005)が扇の先を突きつける。
「それに駄菓子は……子供らが小遣い握って選びに選ぶモンで、大人が独り占めするモンちゃうで!?」
 白い羽のついた蒼い飾り紐を揺らし、ぱんっと蒼十郎は扇を開いた。真っ白い術扇が、白燐蟲の光を帯びて更に白く輝く。
「うるさい! ここの菓子は全部オレのもの……オレのものなんだあああ!」
 ニャアーン。
 男の絶叫が響き渡り、猫の鳴き声と重なって不協和音を奏でた。

●オレの麩菓子が火を吹くぜ!
 三毛猫リビングデッドが、とてとてと歩み寄ってくる。一見、とても襲い掛かってこようとしているようには見えない。
「猫大好きな私としては、ゴーストでも猫ちゃんを倒すのは辛いわね」
 呟きながら、莱花はリフレクトコアを作り出し自らを強化する。ゴーストだから倒さなければと、自分で自分に言い聞かせながら。
「可愛いのですけど……でも在ってはならないものに、容赦はしないのです!」
 ユーリリアは眦を決し、愛らしい猫に向けてジェットウィンドを放つ。小さな身体が風に叩き上げられたが。
 にゃあん。
 猫は傷ついているにも関わらず、何もなかったかのようにとてとてと歩いてきた。
「他の方の所へは行かせないので……す……わあ……可愛い……!」
 前衛に立っていた琴里の顔が、足元にすりすりと猫がじゃれついてきた瞬間にほにゃんとゆるんだ。構えていた箒も下ろして、すっかり目がハートになっている。壁役を務めるのは最早無理だろう。
「魅了恐るべしカナ! まずは猫を狙うデス! もっちーは回復役をお願いデスよ!」
 アルファが使役にフォローを命じつつ前衛に出ると、雑霊弾を放つ。雑霊を集めた気の塊に撃ち抜かれた猫の身体がふらりと傾いだ。あと一撃でも与えれば倒れそう――というところで、猫は琴里に向かって甘えるように鳴いた。
「可哀想に……今、癒してあげるです!」
 琴里の吹かせた浄化の風は、仲間たちではなく猫の傷を癒す。
 一方地縛霊の男は、麩菓子を振り上げて奇声を上げていた。
「喰らえ! 麩菓子スウィング!!」
 男は、猫に構っている面々に突っ込んでゆく。
 しかしその途中で男の手から黒光りする麩菓子が弾き飛ばされた。
「何処を見ておる、お主の相手はわしらじゃ!」
 迎え撃ったのは凪。パン、と小気味の良い音を立てて、男の手を斬った茜色の布槍を構えなおす。
「子供の見本にならない大人はダメですよ? 子供の心を忘れないというのはまた別ですからね!」
「なにをぉおおお、子供のくせに生意気なぁ!」
 泉水は手にした剣のフラクタル模様の刻まれた不思議に禍々しい刀身に、闇のオーラを纏わせながら斬り込む。深く切り裂かれ、男は絶叫しながら新しい麩菓子で反撃した。
「援護しますです!」
「お願いします。冗談みたいな攻撃ですが、あの麩菓子なかなか痛いですよ!」
 レンが手の中に作り出した魔法のヤドリギで、空中にハートマークを描いた。祝福が2人を包み込み、麩菓子の一撃を額に受けた泉水の傷が癒えてゆく。
「おまっ、おまえらっ、ガキどもっ、大人をなめんな!」
 ゆらんゆらんと麩菓子を振りながら、男は腕に抱いていた駄菓子をばらばらとまき散らした。
「って、あぁ……! ズルいのです。その回復はズルすぎますです……!!」
 悲鳴を上げるレンの目の前で、落ちた駄菓子は儚く消えてゆき、ばら撒いた範囲内にいる男と猫を回復する。
「フゥハハハー! 見たか、大人買いの威力を!」
「お菓子をばらまくなんて、とんでもないのです! ……私の風にはそんな効果ないのにっ」
 高笑いする男を横目に、ユーリリアは羨ましいような寂しいような気分に陥りながらも浄化の風を吹かせた。
 先ほどのお菓子による回復で、後少しのところでまたもや猫を倒し損ねてしまった!
「……はっ。私ったら一体何を……!?」
 正気に戻った琴里に、空の白い体が嬉しそうに飛びつく。自分に何かあったら祈るよう、事前にお願いしていた甲斐があった。
 にゃぁん。
 猫が、次はアルファの足元にすりすりと身体を摺り寄せる。
「ん、……可愛いけど、モフモフ感はもっちーの勝ちデス!」
 魅了されることなく耐え切ったアルファは、グルカ・ガンナイフで猫を足元から払いのけた。
「駄菓子屋に猫はよーおったけど……猫の魅力に駄菓子の魅力は負けへんねん!」
 飛び退き空中でクルリと身を返した猫を、蒼十郎の呪詛呪言がとらえる。
 菓子の棚の上に着地した猫の体が、ふらついた。傾いだ身体を支えようとする四肢が、びんっと突っ張る。小さな身体を貫いたのは光の槍。
「ごめんなさいね」
 莱花の詫びる声を聞きながら、ぱたりと倒れ、猫は動かなくなった。
「次はそこのあなたよ!」
 輝くリフレクトコアを従えながら、莱花は地縛霊のほうを振り向く。
「おー、猫は片付いたようじゃの……っと、いたたたたた!」
 凪が麩菓子でポカポカ殴られている真っ最中だった。
「ふ菓子で殴るなんて酷いわ! それに一人でお菓子を買い占めちゃうなんて。欲張りな事しちゃ駄目よ?」
「うるさい! 子供のときにどんなにしたくてもできなかったことを、出来るようになったんだ! 欲望のままに振舞って何が悪いっ!」
 莱花の言葉にぶんぶん頭を振り、駄菓子やおもちゃを相変わらず両手一杯に抱えた男は、泣いて鼻水を垂らしながらメンコを振り上げた。
 スパチコーン!
 床に炸裂したメンコから爆風が立ち昇った。
 範囲内にいたのは押さえ役を務めていた凪と泉水。ダメージは受けても、戦闘慣れしたこの2人は流石になかなか吹っ飛ばない。
「お菓子はすべてわた……ではなく、皆さんのものです! 独り占めは許しませんですよー!」
「この程度の怪我など、わしのパッションで吹き飛ばしてやるんじゃよ!」
 レンの祝福と凪の情熱で、問題なく体勢は立て直される。
 その間にも皆は陣形を整え、最早地縛霊は能力者たちに取り囲まれていた。
「さー、もっちー! ここからがクライマックス!」
 アルファは手招いたもっちーを自分の中に呼び入れて、総攻撃に向けての準備を整える。
「わいらの駄菓子を邪魔するんは、わいらにどつかれて倒れてまえー!」
 蒼十郎の言葉が呪詛呪言となり、アルファの強化された雑霊弾と共に男を襲った。
「なっ、なんだいなんだい、よってたかって! そっちこそオレの駄菓子を邪魔してるんじゃないか!」
 能力者たちを見回して、男は地団太を踏む。
「……お菓子が大好きなのは分かるのですけど……大人気ない事言ったら駄目なのですよ?」
 琴里が箒を振って、炎の魔弾を撃ち出す。魔炎で、スーツの男が燃え上がった。それでも、男は半泣きで麩菓子を振り回す。
「大人気なんかなくっていいんだい! ボクはお菓子を独り占めするんだ! ボクが独り占めするんだったらする……ぶへぁっ!」
「みんなで食べる駄菓子は良いものなのです。それを忘れた貴方は哀れなのですよ……」
 口調が幼児化してきた地縛霊に容赦なくジェットウィンドを食らわせ、ユーリリアは空中に固定されて身動きできない男に哀れみの目を向ける。
「そうじゃ! お主の敗因は一つ! わしらの前でお菓子を独り占めしたことじゃぁぁ!」
 凪の龍撃砲による衝撃波が、彼の魂の叫びと共に男に牙を剥いた。
 そして、風から開放され床に落ちてきた男の胸を、泉水の黒影剣が深々と切り裂く。
「子供の夢の国にあなたのような大人がいては無粋ですよ」
 泉水の静かな声に、一瞬だが、男の目に光がよぎったように見えた。
「大人……大人かぁ……大人ってもっと……楽しいもんだと思ってたのになぁ……」
 呟きながら、胸に抱えた駄菓子と共に、男は消えてゆく。
 妄執が作り出した、偽りの夢の国と共に。
 気がつけば、能力者たちは元のボロボロの駄菓子屋の中にいた。飴色の駄菓子屋は、特殊空間だったのだ。
 しんとした店内に、ゴーストたちの居た痕跡はもう何もない。
「ん、猫さんのお墓作ってあげたかったデスね……」
 出て行く直前、ぽつりと、アルファは呟きを落とした。
 幸いにもまだ外は明るく、目的の駄菓子屋さんの閉店時間まで……急いで行けばたっぷり楽しめる、といったところ。
「急いで向かいましょう」
「はい。皆さんをご案内しなくては、です! あ……でも、地図はどなたか見ていただけると嬉しいのです」
 時間を確認して泉水が言い、レンがおずおずとポケットから地図を出した。
「よっしゃ、任せるんじゃ! ……こっちへダッシュじゃ!」
 凪がレンの手から地図を受け取ると、場所を確認してビシっと行き先を示す。
「さあ、みんなで駄菓子屋さんにごー! なのですよ〜♪」
 ユーリリアが、藍色の髪を揺らして颯爽と歩き始めた。

●ここはみんなの夢の国
 空が金色に染まる頃、目的の駄菓子屋に到着した。
「凄いです〜あっちもこっちもお菓子だらけです〜」
「夢の国です! お菓子の楽園です! 私、ここに住みますです……!」
 琴里とレンが、ほわぁと頬を染めて瞳を輝かせ、店内を見回す。
「あんず飴にヨーグルト風お菓子、水あめとこんぶとそれからそれから……」
 ユーリリアは既に瞳をきらきらとさせながら小さな買い物カゴに色んな駄菓子を入れて回っていた。
「えーっと、チョコ棒にドーナツにキャラメルにキャンディに……」
 蒼十郎もどんどんカゴに放り込んでいる。小銭1、2個で買えるような小さなお菓子を少しずつ買って、色々と味わうのも駄菓子の醍醐味。
「ソースせんべいにラムネ、駄菓子屋はいろいろ扱っていて楽しいですよね」
 泉水も童心に返ったような顔をして棚を回っている。
「粉ジュースと……お、このきな粉棒は当たりつきじゃな」
 凪のカゴには、お菓子だけでなくベーゴマとプロペラ飛行機のオモチャも入っていた。
「ふふふ、上手くゆけば2倍ですー♪」
 軍資金が心許ないレンは、当たりつきのお菓子を狙って買い漁る。
「くじ引くとお菓子が増えるですか?」
 大はしゃぎで、買い物カゴを山盛り一杯にしている琴里が興味を示し、彼女のカゴは更に山盛りに。
「そうそう、駄菓子屋さんのお菓子って当たりがついているのよね。当たりが出たら、お菓子をもう1つくれるのかしら?」
 と言いつつ、莱花の腕の中にはガムやラムネやコインチョコが箱ごと抱えられている。独り占めは駄目と地縛霊には言ったけれど。
「でも、駄菓子は安いので沢山買っちゃうわね」
 莱花は笑って肩をすくめる。
「玩具が当たるくじもやらなきゃ。私、あのブリキの金魚が欲しいわ」
 そして大人買いだけではやっぱり物足りない! 莱花はクジを引いて、目的の金魚の隣にぶら下がっていた、おそろいデザインの金魚型如雨露を当てた。お風呂に浮かべることはできないが、それはそれで可愛い。
 莱花が満足して店の外に出ると、店先にはお客がのんびり食べられるよう、ベンチが置いてある。その近くには、丸い容器に布を張った、ベーゴマのリングが用意してあった。
「みんなでわいわいと買って食べてするのは、駄菓子屋さんの醍醐味なのです」
 ユーリリアの言うとおり、それがあってこその駄菓子屋。独り占めしても、その楽しみの半分も味わっていないようなものだ。
 茜色の陽光の中、仲間たちは食べたり遊んだり。
「それ、買わなかったのです」
「ん? 食うてみる?」
 駄菓子屋初体験の琴里に、蒼十郎が自分のお菓子を1つ勧める。
「はうー、アルファにもお菓子わけてくださいデスー!」
 するとそこにアルファが飛びついてきた。
「ありがとうデスー!」
 琴里と蒼十郎とからの戦利品をもぐもぐしながら、アルファはベーゴマリングのほうへ駆けて行く。
「あ、アルファ、ベーゴマ得意デスよ? そのお菓子をかけて、勝負デス!」
「そんな! 私のこの5円で買えるチョコさんは渡しません……!」
 ベーゴマを教えてもらったばかりのレンは、チョコ防衛戦に必死だ。……お菓子のくじ引きの結果は惨敗だったらしい。昨今駄菓子も世知辛いようだ。
 ベーゴマのぶつかり合う音が響く。
「ぁ、シャボン玉、私もするです〜♪」
「懐かしいわなぁ……こーゆーんも」
 蒼十郎と琴里の吹いたシャボン玉が、夕日を虹色に映しながら風に流れて行った。
 凪の飛ばしたプロペラ飛行機が、その中を切って飛んで行く。
「こういったお店は無くならないで欲しいですねぇ」
 ベーゴマに糸を巻きながらしみじみとした呟いた泉水に、皆が頷いたのだった。


マスター:階アトリ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/11/22
得票数:楽しい13  怖すぎ1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
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