<リプレイ>
● 「雨なんて言ってなかったのに!」 仕事からの帰り道。 にわか雨から逃れ、屋根のある場所に駆け込む莉緒。 鏡代わりに覗き込んだガラスケースの中には、映画のポスター。 「映画、見てないな最近」 と、映画館の中から1人の男性が出てくる。 「今日はもう閉館だな」 「……もしかして、三島さん?」 「……莉緒か?」
月吉が映写室で、1本のフィルムを映写機に掛ける。 客席には莉緒1人。 不思議な映画の幕が、静かに上がった。
● 「お早う相崎さん、ミッションよ。例の黒幕がまた動き始めたわ。廃棄予定の科学兵器を強奪するつもりみたい。なんとか阻止して貰いたいの」 「また厄介な依頼を……」 「だから相崎さんに頼んでるのよ。ね? お願い、陣お兄ちゃん!」 「これは酷い色仕掛け……やれやれ、了解したよ」 「有り難う、恩に着るわ。詳細は現地に潜入してるエージェントから聞いて頂戴。合い言葉は『残念』よ」 「残念ね、了解」 「なお、この端末は自動的に消滅するから。それじゃ、成功を祈ってるわ」 白煙を上げる端末。 かくて陣は現地へと飛ぶのだった。
● 「例の話、どうしてもダメ?」 「……ごめんなさい」 小さな洋菓子店で、複雑な表情の2人。 実業家となった莉緒は、悠樹の菓子作りの腕を見込みこの店をオープンさせた。 店は評判となり、大手デパートに出品しないかという話も来ていたが、彼は乗り気でない。 「七海さんの腕ならもっと有名に――」 「そうだ、柳瀬さん。今日はお誕生日だったよね」 「えっ? あ、そう言えば」 莉緒の言葉を遮って、悠樹が差し出したのはロールケーキ。 「沢山作るより、1つ1つに心をこめたいんだ」 「……全くもう、全然変わらないわね」 諦め顔でケーキを食べる莉緒だったが、利益を求めて凌ぎを削る彼女にとって、理想を貫く彼の姿は眩しく映るのだった。
● 「志筑さん、お茶はまだ?」 「ただいまぁ――ふぎゃっ!」 お茶を持ってきたOLの涼子だが、派手に転倒。 湯飲みが宙を舞う。 ――ぱしっ。 「どうぞ」 キャッチしたのはボディーガード兼秘書のマリス。何事も無かったように、テーブルの上に置く。 「有り難う。さすがねマリスさん」 眼鏡をくいっと直しつつ、お茶を受け取る社長の莉緒。 「社長、先方が来……お見えになりました」 知らせに来たのは、アルバイトのめぐる。 「解ったわ、行きましょうマリスさん」 社員たった4人の会社。 しかしこれから1年後、彼らは日本の小売業に革命をもたらす事になる。
● 「わしと貴女達は兄妹で、一緒に家族麻雀をしていたかのう?」 記憶を失い、老人のような口調になってしまう奇病に冒された克乙。 転任してきた看護師の莉緒と、新米のめぐるを目にするなり、そんな事を口走った。 「釣さんがこんな反応をしたのは初めてですぅ。これは何かのきっかけかもぉ? 麻雀を打ってみましょ〜」 根拠のない提案をするのは婦長の涼子。
東3局。 「ロン。九蓮宝燈」 「「げえーっ!?」」 克乙がまさかの九蓮和了。 「はっ……柳瀬さん、速坂さん、それに誰でしたっけ? 俺は一体……」 「釣さん、記憶が戻ったの!?」「やった!」 ハイタッチを交わす莉緒とめぐる。 「ばあさんや、飯はまだかのう?」 だが、代わりに涼子が奇病に罹ってしまった。 「ま、いっか」 めでたしめでたし。
● 「あの子どもっぽかった柳瀬さんがすっごい美人になって、いまや二児の母とはね、時間が経つのは早いものだ」 「子供っぽかったわたしも、今じゃ立派なおばさんよ。緋勇さんは余り変わらないわね。自然保護官になる夢も実現してるし」 倒木に腰掛け、遠い昔に思いを馳せる龍麻と莉緒。 「ママ、おじちゃん、キリンさんが居るよー!」 「さて、君の子どもたちに自然の素晴らしさと、大切さを教えてこようかな」 「ええ。都会暮らしじゃ学べない事も多いものね」 2人は腰を上げ、子供達と共に暫し大自然を満喫するのだった。
● 「も、申し訳ありませんの奥様。奥様が大事にされていた純金の麻雀卓を……こ、壊してしまいましたの」 「……良いわ、私は楽しむ為に麻雀を打っているんだもの。麻雀の事で怒ったり、誰かを悲しませたりする気はないわ」 「奥様!」 大富豪の後妻となっていた莉緒は、ドジっ子メイドの幸奈に優しくそう告げた。 「お詫びの印に、忍者秘伝の痺れ薬を調合致しましたの。これをこっそり旦那様に飲ませれば、このお屋敷も財産も奥様が独り占めできますのよ」 「ダメよそんなの、夫の不審死は妻が真っ先に疑われるんだから」 「おーい帰ったぞですぅ。さっさと茶を持ってこいですぅ」 丁度帰ってくる主人の涼子。 「……お茶にそれ入れてみて」 「かしこまりましたですの」 こうして、彼女たちは平和(?)に暮らしたのだった。
● 「皆静かに。教育実習生の柳瀬莉緒さんだ。迷惑掛けるんじゃないぞ。特に志筑」 担任の円に紹介される莉緒。だが、どうやら問題児ばかりのクラスらしい。 「模範的生徒を捕まえて何言うですかぁ」 「模範的ならなんで留年してるの?」 「黙らないと後でフルボッコですよぅ」 「やってみなさいよ、やれるもんなら」 「……柳瀬莉緒です。宜しくね」 円と力を合わせ、生徒達と真っ正面からぶつかる莉緒。 やがて不良生徒達も心を開いてゆく。 実習期間が終わり、学園を去る日がやってきた。 「最後の挨拶にも来なかったわね、あの子達……あっ!?」 帰りの電車の窓から見えたのは、生徒達の作った横断幕。 『柳瀬先生ありがとう』 数年後、莉緒は教師として再び学園へ戻ってくるのだった。
● 「死ぬ〜死んでしまうですぅ」 「凄い苦しみ方ね。先生、病名は?」 「食べ過ぎよ。例の薬処方してあげて」 「アレね、了解」 食べ過ぎで莉緒の診療所に運ばれてきた涼子。 薬剤師の摩那が処方したのは、苦い苦い漢方薬。強引に涼子の口に流し込む。 「ぐへぇあぁ!?」 「容態は安定したみたいだけど、一応注射も打っておきましょうか」 「も、もう治ったですぅ! 十分ですぅ! 黒木さん助け――ギャアァ」
数ヶ月後、元気に走り回る涼子の姿が。 「もう二度と暴飲暴食はしないですぅ」
● 「信じて、ミキノさん。これは事実よ」 「莉緒殿、貴方疲れているのよ」 科学で解明出来ない不思議な事件を追う捜査官、莉緒とミキノ。 超常現象に懐疑的だったミキノも、次第に驚愕の事実を受け止めてゆく。 「お前達は知りすぎたですぅ」 そんな2人の前に現れたゆるふわ宇宙人。 アブダクトされてしまう莉緒。
その後宇宙人を倒したミキノだったが、莉緒はキノコに改造されてしまっていた。 「莉緒殿!」 抱きつくミキノ。 「まだ希望はあるわ」 唐突に現れた青い目のツーテール少女。 銀誓ファイルシーズン8、いよいよレンタル開始。
● 「娘の命が惜しければ、正午までに全ての要求を飲むこと。要求が受け入れられない場合、涼子の命はないわ」 「ひ〜ん」 唐突に起きたクーデター。首謀者は副大統領のハルミ。 愛娘の涼子を人質に取られた大統領、莉緒に残された時間は僅か24時間。 己の肉体を武器に、アジトへ乗り込む莉緒。 冴え渡る合気道とサブミッションの前に、次々へし折られる手首。 向かうところ敵無し。 全米興行収入12週連続1位を記録。 『沈黙のホワイトハウス』近日公開。
● 「どうしたの莉緒、ミニスカなんて穿いて。デート?」 「ち、違うわよ。ちょっとね」 大学の友達に別れを告げ、莉緒が向かう先は銀誓館学園。 「皆良く来てくれたわっ」 依然、莉緒は運命予報士としての活動を続けて居たのだ。 「――説明は以上よ。質問は?」 「やはり似合うな。スレンダーだが」 「グラマラスじゃなくて悪かったわね。で、でもまぁ……有り難うって言っておくわ」 澪の5年前のプレゼントに対し、改めて礼を言う莉緒。 「気をつけていってらっしゃい!」 かくして、莉緒は澪達を送り出すのだった。
● 「異常なし。セフィラちゃんも大変だね、遅くまで仕事で」 「了解。あはは」 コントロールルームで定時連絡に応答する莉緒。 連日多忙な学生生活に疲れ、警備員のパートをしていたセフィラと暫く入れ替わる事にしたのだ。
「柳瀬君、昨日の実験のレポートは?」 「あ、はい。これです」 「莉緒、お昼どうする?」 一方セフィラは莉緒の代わりに、多忙な学生生活を送っていた。
「「ねぇ、そろそろ」」 再会した2人は、同時に同じ言葉を口にした。 お互いの立場を楽しみながらも、本来の自分に戻るべき潮時と感じていたのだ。 「あ……そう言えば、職場のおじさん達のクリスマス会に誘われたんだけど断れなくて」 「えっ!? あ、そう言えば私も合コンに誘われて」 「「あはは……」」 待っているのは以前と同じ日常。けれど2人は、もうそれを退屈とは感じなかった。
● ――キキィィーッ! 「いたた……サーシャさん、大丈夫?」 「ええ、平気です」 急ブレーキで停車した莉緒のトラック。 前方には2つの人影。 「人気者ガ憎イデスゥ」 「くっ、なんてしぶといゴーストなの!?」 長いツーテールの女性に襲いかかるのは、眼鏡の地縛霊。 絶体絶命のピンチ。 ――バァン! 「ウギャ!」 すんでの所で、サーシャの銃弾が地縛霊を打ち抜く。 「……サーシャ? それに莉緒?」 「速坂さん!」 偶然の再会を果たした3人は、その後再びゴースト退治の世界へ。 やがて能力者の育成、支援を目的とした学園を立ち上げたのだった。
● 「何だか恥ずかしいわ。山桜さんみたいにスタイルも良く無いし」 「大丈夫ですよ、莉緒さんには莉緒さんの魅力があります」 麻里と莉緒はこの日、グラビアの撮影を行っていた。 「2人ともこっち見て笑って……そう、いいよー」 大胆なビキニで決めた麻里と、ワンピースで清楚な雰囲気の莉緒。 撮影を続けるうち、段々気分も乗ってきたようだ。 「最初は不安だったけど、ちょっと楽しくなってきたわ」 「私も、莉緒さんとお仕事できて嬉しいです」 その後も2人は度々雑誌等で共演し、大いに人気を博したのだった。 ● 「いらっしゃ――あっ!?」 ――ばしゃっ。 「きゃあ!」 とある喫茶店。ウェイトレスのユウキは、誤って莉緒の足に水を零してしまった。 「アカン、またやってもうた……堪忍な?」 「大丈夫よ、自分で拭くから気にしないで」 タオルを取り合う2人の手が、偶然触れ合う。 「「あっ」」 交錯する視線。早まる鼓動。 「「(このときめきは何?)」」 急速に惹かれ合う2人。 「この泥棒猫! ですぅ」 立ちふさがる恋のライバル。 「落ち着いて聞いてね。貴方達は実の姉妹なの!」 唐突に告げられる驚愕の真実。 次回『愛の喫茶』にご期待下さい。
● 「じゃあ、このティラミスを1つ貰おうかしら」 「先輩だから特別1個オマケしますです。先輩はパイがお好きだと聞いたので、このアップルパイを」 「違う牌という気もするけど……でもこのパイも大好きよ。有り難う」 ましろの洋菓子店を訪れた莉緒。 「これはましろさんが、1人で作ったのよね?」 「ほとんど……」 まだアドバイザーとして母の力は借りている様だが、殆ど母任せだった誕生日会からすれば大きな進歩。 ゆくゆくは立派なパティシエに成長する事だろう。
● 河田ジロー。32歳。 球界を代表する強打者であった彼も、近年は怪我と年の影響で満足いく結果を残せていない。 球団からはコーチ就任のオファーが来ており、彼も引退を強く考え始めていた。 「ハイ、ジローさん」 そんなある日、帰宅途中で白衣を纏った怪しげな女が彼を呼び止める。 「私の開発したトレーニングマシンを使えば、全盛期の肉体を取り戻せるわよ。興味はない?」 「いや……どこかでお会いしましたか?」 「ダイジョーブ! 私に任せておきなさい」 「いや、ちょっと待っギャアアア!」 その年以降、全盛期の輝きを取り戻した河田は46歳で引退するまでに三冠王2回、首位打者4回、本塁打王6回、打点王5回を獲得。 その偉大な記録は、アンタッチャブルレコードとして今も日本球界に燦然と輝いている。
● 「この辺か?」 「ロン、11700」 「げっ」 「ダメじゃん雅之、そんな所切っちゃ」 「速坂さんも当たってたけど、安いから見逃しただけよ」 「ぶっ……」 高校二年生になった雅之とめぐるは、この日徹夜で麻雀修行を行っていた。 次の依頼で、麻雀が必要となった為だ。 教師は勿論、大学生になった莉緒。 「いずれは莉緒を負かすくらいになってやるぜ」 「ええ、私もよ」 「ロン。12000で速坂さんトビね?」 「ぎゃあ!」 師匠超えを誓う雅之とめぐるだが、その日はもう少し先になりそうだ。
● 「紫月堂の収益は横ばい状態ですね」 「確かに綺麗な直線ですねぇ」 万屋・紫月堂では、今日も増収の為の対策会議が開かれていた。 「広告を展開しては?」 と、秘書兼実質経営担当の莉緒。 「お金かかりそうですねぇ」 微笑を絶やさず困り顔の双牙。 「あの子にコスプレさせて、看板でも持たせては?」 「ぜったいイヤ」 断固拒否するのは、アルバイトのめぐる。 「紫月さん、一大事ですぅ! 明日までに家賃を払わないと追い出されそうですぅ!」 唐突に乱入してきたのは涼子。 「志筑さん、今会議中だから明後日にでも」 「いえ、柳瀬さん……ごにょごにょ」 「なるほど。志筑さん、丁度儲け話があるわ」 「さすが困ったときの紫月堂ですぅ!」 こうして、奇抜な広告で客層を開拓した紫月堂は一層発展した。
● 大雪により閉鎖空間となったホテルで起きた殺人事件。 偶然居合わせた銀麗・莉緒の探偵コンビがこの事件に挑む。 「こんな所に集めて何のつもりですかぁ?」 「犯人はあの男で決まりだろ」 探偵の指示により、リビングに集められた宿泊客。 「確かに、この中で速坂さんと接点があったのは彼だけ……そう思わせるのが犯人のトリックだったのよ」 「何だと?」 「ばっちり調べさせて貰ったわ、2010年度銀誓館学園の卒業生全員。名前と髪型は変えられても、ほくろと口調までは変えられなかったみたいね」 シンと静まる一同。 「「犯人はあなたね!」」 2人の指が同じ人物を示す。 「あの子さえ居なければ……私は人気者になれたんですぅ!」 泣き崩れる涼子。 こうして、事件は無事解決したのだった。
● 月吉に礼を告げ、映画館を後にした莉緒。 「……っ」 雨はすっかり上がり、眩い陽射しに思わず目を閉じる。
「――緒? 莉緒!」 「えっ? あ……」 再び目を開けると、そこは学園の空き教室。 誕生日を祝うために集まってくれた仲間達の姿がある。 「皆ありがとうっ。どの未来予想もとても楽しかったけど……絶対に叶えたい事が1つあるわ」 一同を見回して少し顔を紅くしてから、莉緒は言う。 「……皆と、ずっと友達で居たいって事よ」 珍しくツン無しでデレる莉緒。 麗らかな陽射しの中、誕生日パーティはこの後もほのぼのと続いてゆくのだった。
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参加者:24人
作成日:2009/12/12
得票数:楽しい22
笑える1
ハートフル2
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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