プレゼントに、お姉ちゃんを奪って下さい


<オープニング>


『それ』は、人通りのない路地には場違いな、赤い服に白いひげの人影だった。肩には白い袋、けれど右手には、それとは不似合いな大きな鎌。
 子どもの頃信じていたサンタクロース。それを思い出してしまったから、口に出したのかもしれない。
「プレゼントの欲しい良い子はいないかね、死の欲しい良い子はいないかね」と呟き続ける人影に、願ってしまったのかもしれない。

「お姉ちゃんを、消して。一人っ子にして下さい」

「みんな、集まってくれてありがとう。今回は急ぎだ、手短に説明させてもらうぞ」
 教室に能力者たちを集めて、王子・団十郎(運命予報士・bn0019)はそう口を開いた。
「ある町の、人通りの少ない路地に、地縛霊が現れた……そして、秋絵という中学生の女の子が、地縛霊に接触してしまった」
 そして秋絵は地縛霊に、人殺しを願ってしまった。自分の姉――春香の殺害を。
「秋絵は春香を電話で呼び出し、地縛霊のそばで待っている。今から行けば、春香が妹を見つけた頃……路地に入った辺りで追いつけるだろう」
 地縛霊の目標は、春香。しかし春香を殺害した後は、地縛霊は秋絵をも殺す。そうなる前に、かならず二人とも救出して欲しい、と団十郎は能力者たちに告げる。

「地縛霊は赤い服に白いひげ……端的に言えば、大鎌を持ったサンタクロースのような姿をしている。鎌を振るうことで遠距離の一人に攻撃を行うことや、近くにいる者全員に鎌を振りかざして斬り付ける攻撃を行うことが出来る。これは暗殺の効果を持っているようだな」
 その他に、戦闘が始まれば地縛霊のそばに二体のリビングデッドが現れる。すでにかなり腐敗しており、力自体は強くはないが、その爪は攻撃によってマヒを与える。
「姉の春香は地縛霊の攻撃が届く直前にいるから、対処しやすいと思うが……問題は、秋絵だな。彼女は地縛霊の近接攻撃が届く範囲にいる。地縛霊は春香を殺そうと行動してくるが、それが不可能だと判断すれば、容赦なく秋絵に攻撃を加える可能性があるな」
 能力者たちは姉妹を殺させないよう、迅速に、確実に行動する必要があるだろう。
「時刻は夕方になるだろうな。戦闘に不自由なほど暗くはならないから、灯りの心配はない。路地も人通りは少ないとはいえ、そんなに狭くはないから、戦闘には十分だろう」
 そう団十郎は言って、現地までの地図を差し出す。

「そして、地縛霊を倒しただけで終わりにしてほしくないんだ。春香については救出後、安全な場所に運べばいいが、秋絵は……もうこんなことをしないよう、諭してやってほしい」
 二人は一つ違いの姉妹。仲のいい姉妹だと、近所では評判だった。二人とも礼儀正しい子だとも。あまり出来の良くない妹をよくサポートする、優しく才能もある姉だという言葉もあったらしい。
「実際、春香の方が勉強もスポーツも良く出来るし、それに驕らない子でもある。けれど、秋絵の方も決して劣っているわけではないし……」
 何より、彼女にも姉より優れたところがあるはずなんだ。そう、団十郎は告げる。
「そして、秋絵は地縛霊に『お姉ちゃんを殺して』とも『憎い』とも言っていない。ただ『お姉ちゃんを消して、一人っ子になりたい』と言っただけ……まだきっと、癒せる思いであると思うんだ」
 仲のいい姉妹という仮面の下で、少しずつ歪んでいた思い。けれど、それはまだ戻れないほどの憎悪には育っていない。忠告に耳を傾けることはしてくれるはずだ。
「いろいろと難しい任務にはなるが……どうかよろしく頼む」
 そう言って頭を下げ、団十郎は能力者たちを送り出した。

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参加者
東雲・梓真(白葬のグロリア・b29203)
相馬・真理(暖かき絆は確かな希望の光へ・b29620)
風波・椋(悠久の黒・b43193)
ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)
伊東・尚人(理の修行者・b52741)
土御門・泰花(風待月の菫・b58524)
夜光・槭樹(自影映す懐刀・b69773)
風霧・來那(普通になれない魔弾術士・b71827)



<リプレイ>

●血塗れサンタから姉妹を救え!
「……秋絵さんの様に死を願い、後悔した人を何度も見たよ」
 指定された路地に向かって走りながら、東雲・梓真(白葬のグロリア・b29203)が口を開く。
「プレゼントに、願うことが、誰かの死……だなんて、悲しすぎます、よ。ましてや、それが、血を分けた、姉妹、なんて……そんなの、絶対ダメ、ですっ」
 小さな声で、けれど万感の思いを込めて、相馬・真理(暖かき絆は確かな希望の光へ・b29620)が呟く。
「お姉ちゃんを、消して。一人っ子にして下さい……か」
 風波・椋(悠久の黒・b43193)が秋絵の言ったという台詞を繰り返し、目を細める。
「出来のいい兄弟姉妹と比べられて劣等感を感じてしまう、なんてのはよくある話ではありますが……」
「自分よりも何でもできる姉に対する劣等感、かな。まぁ、気持ちはわからないでもないけど、なんでそんな事を望んだのかはわからないな」
 椋の言葉を引き取り、風霧・來那(普通になれない魔弾術士・b71827)が言う。
「恐らく妹様には、魔が差したのでしょう。人を羨んだり、疎ましく思う事は誰にでもあります」
 そこに夜光・槭樹(自影映す懐刀・b69773)が、答えを与えて。
「私は一人娘ですので、ご姉妹がいらっしゃるなんて、少々羨ましゅうございます。それでも、どれほど仲が良く見えても、溝は生まれてしまうのですね……」
 悲しげに土御門・泰花(風待月の菫・b58524)が言って、そっと溜息をつく。
「けれど問題なのは、その心に付け入る存在の方……大事なものを奪う行為を『プレゼント』とは笑止千万」
 槭樹の呟きに、椋が大きく頷きを返す。
「なんにしても待ってるのは悲劇だけです。必ず止めなければ」
「今からなら遅くはない、命に代えはないんだ……何としても彼女達の命を守ろう」
「助け、ましょう……、春香さんも。そして、秋絵さん、自身、も……!」
 梓真が、真理が、そう言って足を速める。全員が、それに倣った。
 間に合え、間に合え――!

「あの方がサンタさんでしょうか……私には死神に見えます」
 路地を曲がり鎌を持った地縛霊の姿が目に入った途端、ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)が長剣を握り締めて呟く。
 能力者たちのすぐ前には、春香。そして地縛霊の傍らに、秋絵がいる。
「血を分けた姉妹に後悔をさせない為にも、ここは踏ん張り所です」
 伊東・尚人(理の修行者・b52741)の言葉に全員が頷いた次の瞬間――王者の風が、すぐそばにいた春香を威圧した。
「こっちへ来い! 死にたいのか!」
 ぴたりと春香の足が止まる。そのままゆらりと振り返り、春香は王者の風をまとう尚人の方へと歩み寄る。
「誰……?」
 能力者たちに気がつき、秋絵が怯えたような瞳を向ける。その彼女と地縛霊の間に二つの影が滑り込む。
「死にたくないなら今すぐこっちに……」
 梓真が体を滑り込ませると同時にレイピアを牽制するように構え、一緒に割り込んだ槭樹の方を指し示す。
「それの言葉を聞いてはなりません。その意味を、ご存知でしょう?」
 槭樹がそう言って、秋絵を腕の中に庇う。それに対抗するかのように、地縛霊が『死の欲しい良い子はいないかね』と口ずさむように言って大鎌を構えた。
「私、……」
 口を開きかけた彼女に、そっと導眠符が貼り付き、その意識を奪う。
「今は、眠っていただきましょう」
 最後方から、泰花がそっと呟いた。
『良い子に死のプレゼントを――!』
 地縛霊が走ろうとする。遠ざかろうとしている春香を殺しに。
 槭樹が秋絵を庇い、梓真が道をふさごうとする――さらにそこに、ブリギッタが躍り込む!
「2人はやらせませんっ!」
 ブリギッタが地縛霊に剣を向ける。呼吸を整えて魔狼のオーラをまとい、地縛霊を迎え討とうと立ちふさがる。
 立ち止まる地縛霊。そしてその傍らに、音もなく二体のリビングデッドが歩み出る。
「よし、行こうか!」
 陣形を整えながら、來那が魔弾の射手を発動する。
「前衛は任せましたよ」
 椋がギンギンパワーZをブリギッタに投げ渡す。
「こんな、酷い、プレゼント、する、サンタさんは……許し、ません!」
 小声ながらも強い口調と共に、真理が吹雪の竜巻を呼び出す。宣戦布告の如く、吹雪は戦場を吹き荒れた。

●不埒なサンタから平和なクリスマスを救え!
 椋が描いたリビングデッドの絵は、リビングデッドにその爪を振るって消える。
「今のうちに2人を!」
 その声に背を押されるように、槭樹が秋絵を抱えて走る。その背を、地縛霊が追おうとする。
「暫く空に浮かんでたらどうかな?」
 來那が言うと同時に、上昇気流が地縛霊の足元から吹き上がる。けれど地縛霊は傷つきながらも、ふわりと着地してやはり走ろうとする。
「いけない……向こうに立ち去るんだ!」
 尚人が瞬時に判断を下し、地縛霊から離れる方向を春香に示す。そちらに春香が歩き出すのを確認し、尚人は即座に走り出した。
 梓真が森王の槍を呼び出すのをやめ、地縛霊の進路をふさぐ。特定の目標を追おうとする地縛霊を、一人や二人で食い止めようとするのは無理だった。
「ここを崩させる訳にはいかない!」
 全力で走りこんだ尚人がまた、道をふさぐように立つ。
 二人の隙間をさらに埋めるように、ブリギッタが長剣を振りかざして飛び込んだ。
「そのプレゼント、私にも下さい♪ 私は良い子ですよ?」
 そう言いながら、舞うように地縛霊を切り刻む。リビングデッドの一体が、さらに巻き込まれて傷を負う。
 ブリギッタの言葉に反応したのか、ただ移動を妨げられたからか。地縛霊が、大鎌を振り上げ、そして、横に凪ぐ。近づく者全てを巻き込むその一撃を、ブリギッタと梓真、尚人は、それぞれ武器で受け止め、受け流した。
 二体のリビングデッドが爪を振り上げ、ブリギッタと尚人に飛び掛る。ブリギッタはそれを長剣で受け流し、尚人は寸前でかわした。
 その間に槭樹が、秋絵を攻撃の届く場所から連れ出す。
「お二方のこと、お願いします」
「ええ。お任せ下さい」
 そう言って、二人を守る最後の砦となるべく、泰花は宝剣を構える。秋絵が目を覚ます様子がないか、目を配ることも忘れずに。
「邪魔だ、消えろ……!」
 椋がリビングデッドを描く。そのモデルへと飛び掛ったリビングデッドは、浅くない傷を与えて消えていく。
「いつまでもお前達に関っている暇はないのでね」
 そう言って、尚人が激しい回転とともに、リビングデッドに龍尾脚を叩き込む。
 リビングデッドの虚ろな目が、尚人を見た。思いの他激しい一撃が、尚人へと食い込む。
「くっ!」
 もう一体のリビングデッドが、梓真へと踏み込んだ。二人の体が、意思に反して動きを鈍らせる。
 次の瞬間、地縛霊がその大鎌を唸らせた。暗殺の効果を持つ大鎌の薙ぎ払いが、動くことの出来ぬ尚人と梓真に直撃する。
「大丈夫? 今回復するねっ!」
 來那が後方から、浄化の風を送る。ダメージを受けた仲間たちを風が癒し、尚人がどうにか体の自由を取り戻す。
 一人攻撃をかわしたブリギッタが鋭く踏み込み、スラッシュロンドを放つ。
「絶対、助け、ます……!」
 真理が放つ吹雪の竜巻が、吹き荒れる。全身を凍りつかせ、リビングデッドの一体はその場に崩れ落ちた。

「頼みますよ!」
 椋が傷を負った梓真に、ギンギンパワーZを投げつける。
「今、癒します!」
 槭樹の赦しの舞が傷を癒し、梓真をマヒから解き放つ。
「ありがとう!」
 さらに梓真がヤドリギの祝福を送り、自分と尚人の傷を癒す。
「もう一回、浮いとく?」
 地縛霊に向かい、軽い口調ながら真剣な様子で來那が風を放つ。強烈な上昇気流が地縛霊の体をすくい――空中に固定する!
 地縛霊が移動を封じられた状態なら、予定通りの陣形を組むことも可能。尚人がリビングデッドに龍尾脚を叩き込み、若干後退する。
 地縛霊が、鎌を振り上げ、振り下ろす。斬撃が空間を越え――真理を、斬り裂いた。
 同時にリビングデッドが、ブリギッタに爪の一撃を仕掛ける。
「くぅ……負け、ません」
 生み出された四つのリフレクトコアが、傷を癒す。けれど、足りない。
 その時、最後方から凛とした声が響く。
「急急如律令、治癒符奥義!」
 泰花の手から呪符が舞い、真理の傷を癒していく。
 最前線ではブリギッタが体勢を立て直さんと魔狼のオーラを呼び出し、傷を癒し力を高めていく。
 一つの合図もなく。動いたのは、同時だった。
「彼女達に一切、手出しはさせない!」
「奪わせは、しません!」
 梓真の手から森王の槍が飛び、至近距離で地縛霊とリビングデッドを巻き込み爆発する。同時に呪いの言葉が槭樹の唇から放たれ、リビングデッドを撃つ。息もつかせぬ連携が、リビングデッドを地に沈めた。
「あとは、地縛霊だけ……!」
 すらすらと、椋が空に描くはサンタクロース。デフォルメされたそれが手に持った鎌は、サンタクロース姿の地縛霊を激しく斬り裂いた。
「そこっ!」
 すかさず來那がマジカルロッドを向ける。
「ん……」
 秋絵が身じろぎする。けれどすぐにその意識は、符によって再び閉ざされた。
「もうすぐ、終わりますから……」
 優しく声をかけ、泰花は前線へと視線を移す。
「行きます……!」
 光の槍が真理の手から放たれ、地縛霊を貫く。
 すでにボロボロになった地縛霊は、それでも「プレゼントを私に」との言葉があったゆえか――ブリギッタに、視線を向けた。
「死が欲しい、良い子は――」
 大鎌が、ブリギッタを真っ二つにせんと襲い掛かる。ギリギリまで引き付けたところで――
「2人分のプレゼント……」
 長剣とサーベルを交差させ、ブリギッタは頭上でその一撃を受け切った。
「返品させてもらいますね」
 長剣が、舞い踊るような動きから繰り出される。切っ先が、触れるそばから地縛霊を切り刻んでいく。
「自然の摂理の中に帰れ!」
 尚人が、気を込めた指先で地縛霊に触れる。地縛霊の体内を、衝撃が暴れ周り――地縛霊の体は薄れ、消えていった。

●悩みに沈んだ妹を救え!
「……う……ん」
 そっと肩を揺すられ、ゆっくりと秋絵が目を開ける。
「お加減は如何ですか?」
 優しい瞳で尋ねたのは、泰花。
「どこかお怪我はありませんか?」
「は、はい……」
 突然話しかけられて戸惑いながらも、秋絵は頷く。
「怖い思いをしましたね……先程の事、覚えておいでですか?」
「えっと……っ!」
 眉を寄せて考え込んでいた秋絵が、さっと顔を曇らせる。
「あの……お姉ちゃんは……」
「大丈夫、無事ですよ」
 ブリギッタがにっこり笑ってそう告げる。その言葉に、秋絵はそっと息を吐く。
「望もうが望まなかろうが、死はいずれ訪れる……そのやるせなさを、君は知っているのかな」
 静かに、梓真が問いかける。
「……死んじゃえば良かったって、思ってました。けど、死ななくて良かった」
 その言葉に、能力者たちはほっとする。けれど、秋絵は薄い笑みを浮かべた。
「それに……どうせお姉ちゃんが死んでも、みんなお姉ちゃんを褒めるんだから」
 笑顔を裏切るように、涙がそっと目尻に浮かぶ。
「君が勉強や運動ができてもできなくても、きっとお姉さんは問答無用で君のこと大好きだと思いますよ?」
 椋の言葉に、秋絵は涙を拭かずに頷く。
「だと思います。お姉ちゃんは優しいから。私みたいに、消えてほしいなんて思わない」
「秋絵さん……」
 笑顔を貼り付けたまま俯く秋絵の顔を、真理が覗き込む。
「あなたは、あなた……春香さんは、春香さん、です。それぞれ、違う、人、ですもの。できること、得意なこと、性格……そのどれもが、違っていて、当たり前、なんです」
「けど、お姉ちゃんは私より、何でもできる」
「本当にそうですか?」
 今度は尚人が、秋絵に問いかける。
「秋絵さんにも春香さんに負けない、貴女にしかできない事が必ずあります。一歩引いて自分を見つめ直してみてください。自然とそのことが見えてくるはずです」
「私にしかできないこと……」
 涙を拭い、秋絵がじっと虚空を見つめる。しばらく考えて、やがて再び口を開く。
「ゲームだったら、お姉ちゃんに勝てたけど。あとは一輪車に乗れるようになったのは、お姉ちゃんより早かった……けど、そんなこと役になんて」
 再び俯いてしまった秋絵の手を、そっと泰花がとる。
「どうか、お姉さんとの違いを……優劣ではなく魅力と捉えていただけたら……」
 競い合うことは確かに己を高めるが、中には優劣では判断できないこともあると、泰花は告げる。
「それを無理に比べ、自信喪失に繋がってしまうのであれば空しゅうございましょう」
「どうか、悪い方向に、自分を、捉えることで、あなたの、ステキな、ところを、消して、しまわないで」
 泰花が優しく、真理が懸命に、思いを伝える。
「自分自身を、もう一度、見つめなおして、よく考えて……そして、できれば、『あなた』を認めてあげて、ほしい、です」
「それにね、そういう人はきっといざという時に相談出来る人もなかなか居たもんじゃないと思うよ。そういう時に相談に乗ってあげなよ。そういう事でも助けてあげて居られるんだから、ね?」
 そうしてみれば、きっと劣等感もなくなると、來那は明るく話しかける。
「どんな思いも素直に伝えて、たくさん言葉を交わすことです……例え一時喧嘩になっても、互いに信頼していれば必ず分かり合える」
 自分にも妹のような人がいるけれど、彼女の方がしっかりしていると、槭樹が笑みを浮かべて言う。
「貴女様も、うかうかしていられませんよ? 私も頑張らねば……」
「プレゼントは……サンタさんじゃなくて、お父さんお母さんにお願いしてみるといいと思いますよ♪ きっと相談に乗ってくれます」
 一人で思いつめてしまうのが原因だからと、ブリギッタが実用的なアドバイスを贈る。
「うん……やってみます」
 幾分明るくなった顔で、秋絵が頷く。その瞳を、梓真が静かに覗き込んだ。
「命に代えは無いんだ……どうか大切にして欲しい。お姉さんの命も、君の命も」
 それに尚人がさらに続ける。
「いなくなった後に、後悔しても遅いのです。やはり姉妹は仲良しが一番です」
「わかりました……」
 秋絵が頷いたその時、その後ろで声がした。
「秋絵ー?」
「お姉ちゃん!」
 ぱっと秋絵が振り返る。春香が、そっと路地を覗き込んでいた。
 秋絵が、能力者たちに振り向く。能力者たちが、頷きを返す。
「……ありがとう」
 吹っ切れて、というほどではないけれど微笑んで。秋絵は姉の方へと駆け出す。やがて、二人の姿は路地から消えた。
「弟や妹が自分の弟妹として生まれてきてくれて、それだけでとても嬉しいんです……まぁ普段は恥ずかしくて言葉になんかしないけどね」
 二人の消えた後を眺めながら、椋がそっと呟く。
「願わくば、彼女達には笑顔で聖夜を迎えてほしいですね」
 それは、能力者たち全員の願いだった。


マスター:旅望かなた 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2009/12/17
得票数:カッコいい1  知的1  ハートフル14 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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