これ以上、破壊させてなるものか!!


<オープニング>


「みんな、今日は本当にお疲れサマ。お陰で、佐世保港に侵攻してきた吸血鬼艦隊を撃退して、影の城を海底に沈める事ができたワ」
 そう言いながら、能力者達を出迎えた久慈・久司(高校生運命予報士・bn0090)。だがその声からは、あまり勝利の喜びは感じられない。
「……でもね、撃ち漏らしちゃった『イワン・ロゴフ級揚陸艦』と『シャンプレーン級戦車揚陸艦』のゴースト達が、それぞれ海岸から上陸して、市街地に向かってるみたいなのヨ」
 もしこの数のゴーストが一斉に市街地に入ることになれば、小さな町の1つや2つ、忽ち滅んでしまうだろう。
 そんなこと、けして赦すわけにはいかない!
「だから……みんな、すごく疲れてるかもしれないけど、急いで迎撃に向かって欲しいのヨ!」
 
 久司が示した場所は、佐世保市高後崎。そこには、シャンプレーン戦車揚陸艦から妖獣戦車が上陸した。
「妖獣戦車は、沢山の妖獣を引き連れて、海岸沿いの道路を北上しているワ。だから、戦場は多分俵ヶ浦町周辺になると思うの。幸いまだ移動の最中みたいで、路上の車が数台潰されちゃった他は、目立った被害は出ていないワ」
 付近に戦闘の妨げとなるようなものは何もない。思う存分、能力を発揮することができるだろう。
 
「それじゃ、次に妖獣戦車の能力と、援護の妖獣の説明、いいカシラ?」
 能力者達が頷くのを確認し、久司はまた口を開いた。
「妖獣戦車は、多分見たって人も多いと思うけど、体長6mくらいで、戦車の上に妖獣が融合しているカンジだワ」
 砲撃は、遠距離で爆発する。近接しての轢き潰しには、吹き飛ばしの効果がある。また、守りを固めることにより、自身の回復と防御力の上昇、更には幸運度のチェックも行うことができるらしい。
 そして、当然ではあるが……並の強さではない。
「援護の妖獣は、全部で9体いるワ。身体の中央に大きな目を持った、1mくらいのヒトデ型妖獣が6体と、フジツボがびっしりくっついた黒猫の妖獣が3体ネ」
 ヒトデは、5本の腕を回転させての近接全周攻撃と、巨大な単眼での凝視を得意としている。凝視は、呪いの魔眼と似ているようだ。
 黒猫は、体力こそ低いものの、その素早い爪を避けることはかなり難しいだろう。しかも、当たり所が悪ければ、フジツボを植え付けられて石化してしまうおそれもある。
 
 かなり危険な任務である。
 だが、ここで退くわけにはいかないのだ。
「僕も行くよ。借りは、しっかり返さなくっちゃならないからね」
 風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)は、そう言って仲間達に意思のこもった視線を向けた。
「お願いね……。きっと、みんな無事に帰ってきてくれるって信じてるから!」
「勿論だよ。ねっ、みんな!」
 そして能力者達は、久司の激励を受け、一路九州へと旅立っていった。

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参加者
波里・シユ(高校生呪言士・b04521)
束原・キリヱ(クルエラ・b07703)
滝川・雅樹(赤黒き白・b16164)
柚木・ナル(高校生雪女・b20110)
宇気比・真弓(ニルヴァーナ・b24740)
シグナス・ホーネット(牙持つ太陽・b25464)
烏森・メジロ(いつか月に行ってみたい・b26804)
野口・すぐり(野口の姫頭領・b28325)
桐耶・命(一瞬の剣閃・b45156)
フィーネ・カルストレニア(粉雪の精・b47860)
NPC:風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)




<リプレイ>

●この先通行止め!
 ぎりぎりと、キャタピラの音が近付いてくる。
 イグニッションを唱えた11人の能力者達は、海岸沿いの路上で、先の戦争の置き土産……妖獣戦車とそれに付き従う妖獣の群れと向き合っていた。
「まったく……どうやったらこんな妖獣が生まれるのかしらね」
「本当に厄介なものを残してくれたものじゃ」
 それにしても大きいわねと、桐耶・命(一瞬の剣閃・b45156)が小さく感嘆の声を上げれば、フィーネ・カルストレニア(粉雪の精・b47860)も、白と紅に彩られた扇を口元に寄せて溜息をつく。
「借り……しっかり返さなくっちゃ……!」
 眼鏡を直し、妖獣戦車を睨み付ける風祭・遊(微睡み適合者・bn0161)。
「とにかく、被害者が出ぬうちにしっかりと倒しましょう」 
「うん。今度こそ僕も戦うよ」
 滝川・雅樹(赤黒き白・b16164)に頷くが早いか、波里・シユ(高校生呪言士・b04521)はその敏捷性を生かし、妖獣戦車の前に並ぶフジツボまみれの黒猫に、水刃手裏剣を撃ち込んだ。
「そんじゃ、しっかりお片付けと行きますかー」
 その素早い動きにつられるように、束原・キリヱ(クルエラ・b07703)はすべての敵を巻き込む吹雪を起こし、烏森・メジロ(いつか月に行ってみたい・b26804)も、妖獣戦車にジェットウインドをくらわせる。
『ギニャーッ!』
『ニャーゴ!』
 3体いる黒猫のうち2体が、ほぼ同時にシグナス・ホーネット(牙持つ太陽・b25464)と雅樹に襲いかかってきた。幸い2人とも急所は外したが、成程、下っ端とはいえかなり鋭い爪だ。
「戦車に黒猫に気持ち悪いヒトデ……なんか凄い取り合わせだね〜」
「……幽霊船ときみてゃあな惨劇が起きんのを見るんは御免だわ……!」
 柚木・ナル(高校生雪女・b20110)の巻き起こした吹雪は、生憎若干弱いものになってしまったが、直後に宇気比・真弓(ニルヴァーナ・b24740)が伸ばした茨は、出遅れた黒猫1体と、巨大なヒトデ妖獣3体を巻き込むという成果をあげた。
「お互い砲撃には気を付けなさいよ!」
 周囲に注意を喚起しつつ、野口・すぐり(野口の姫頭領・b28325)は、ギリギリ届く距離にいた深手を負った黒猫に、獣撃拳を叩き込んだ。
 頭を潰され、断末魔すらあげることなく此の世から消え去ってゆく黒猫の妖獣。だがこの程度のことで喜んでいる余裕はない。
「来た! 気を付けて!」
 妖獣戦車の砲撃が、道路の左側に陣取っていた一団、最前列の命とすぐりに向けられた。すぐりはギリギリのところで身をかわしたが、命の方はもろに喰らってしまったようだ。
「では、疾く参ろうぞ。極彩の境地にて凍てつき朽ちるが良い」
 ナル、キリヱと同タイミングで吹雪の竜巻を放ちたかったフィーネだが、意志の疎通が若干上手くいっておらず、単独での吹雪となってしまった。それでも4体のヒトデを魔氷に包み、1匹の猫を瀕死にまで追い込んだ。
 のたのたと、3体のヒトデが動き出す。2体が左に、1体が右に。前衛4人は皆掠り傷程度で済んだが、運悪く巻き込まれてしまった遊は、胸を強か撲たれてしまった。
「ホラホラ、お疲れみたいだから……サッサと土に還りなって!」
 薄氷に包み込まれた黒猫を、シグナスが燃える拳で確実に潰す。その間に、雅樹は雪を身に纏って先程受けた傷を癒した。
 ヒトデの凝視が、中程にいたフィーネを狙う。遊のサイコフィールドに包まれて、痛みだけは僅かに退いたが、毒はまだ体内に残っている。そして、更に別なヒトデの凝視が今度は命を毒に冒す。だが毒気は幸いにもすぐに抜け、彼女は頭上で黒曜石の刀を旋回させ、傷を半ばほど回復させると同時に、己の気の力を高めた。
 シユの放った手裏剣が、最後の黒猫を仕留め落とし、メジロが戦車を上昇気流に巻き込むと同時に、キリヱが吹雪の竜巻を起こし、ナルもすぐにそれに続く。
 毒も気になるところだが、それ以上に現状のダメージの方が大きそうだとふんだ真弓は、フィーネを祖霊の力で癒し、すぐりは自身の右後方に近接していたヒトデに、獣のようなオーラを纏った拳を叩き込んだ。
 ギギギ……。
 戦車の砲台が、軋みをあげて動き出す。放たれた弾はフィーネとナルを巻き込んで派手に爆発した。白燐蟲の力を用い、受けた傷を癒すフィーネ。そこにまたヒトデの邪悪な視線が向けられたが、それは上手く回避することが出来たようだ。
 ぐるぐる回転するヒトデの腕に、また遊と命が巻き込まれる。更にもう1体が雅樹を睨み、シグナスがダメージを受けたヒトデをフレイムキャノンを狙っている間に、別なヒトデがまたも雅樹に視線を浴びせた。
「やれやれ、容赦がありませんね」
 防御に重点を置いていた為、どちらからも毒を受けずに済んだ雅樹は、白燐奏甲ですぐに傷を癒しにかかる。
「あのヒトデを狙えばイイんだね……!」
 仲間から受けた指示通り、遊は弱ったヒトデと、妖獣戦車も同時に巻き込むように、ナイトメアを奔らせた。流石に戦車には殆ど傷を与えることが出来なかったが、どうやらヒトデを轢き潰すことには成功したようだ。  
 後方2体のヒトデからの凝視で、シグナスとすぐりが毒に冒される。
 ヒトデの状態がどれも似たり寄ったりとみた命は、最も近い位置にいる1体に紅蓮の一撃を叩き込み、続けてシユも水刃手裏剣を、キリヱは仲間達の様子を見て、癒しの歌声を辺りに響かせた。
「毒も傷も消えちゃえなのね!」
 メジロの吹かせた清らかな風が、皆の体内から毒気を消し去り、真弓はシグナスの身に祖霊を降ろす。

「とびきり冷たいの、行くよ〜!」
「幾度でも凍てつき眠るが良い」
 漸くフィーネとタイミングを計ることの出来たナルは、2人同時に吹雪の竜巻を起こし、結果すべての敵を魔氷に冒した。
 すぐりの繰り出した拳が、ヒトデの腕をひしゃげさせる。だが次の瞬間、そこに戦車の砲弾が撃ち込まれた。
「……ッ!!」
 直撃を受け、苦痛に顔を歪めるすぐりだが、暫し耐えるよりほかにない。
 凍てつきボロボロになったヒトデが、5本の腕を振り回す。だが、それに当たるものは誰も居らず、逆にシグナスに一瞬の隙をつかれて焼き尽くされた。
「凍りつきなさい」
 単眼を向けてきたヒトデに歩み寄り、凍てつくような吐息を吹きかける雅樹。遊は幻夢の力で仲間の傷を癒すことを選び、ヒトデの腕をかわした命は、そのヒトデにカウンター気味に居合いを仕掛けた。

●猛り狂う戦車
 戦いの末、能力者達はどうにかヒトデ妖獣を2匹まで減らすことができた。
 だが妖獣戦車には、いまだ決定打を与えることが出来ていない。
 しかしとにかく周囲の雑魚をすべて片付けることが先決と、シユは3本腕になってしまったヒトデに水刃手裏剣を撃ち、揺らいだところにキリヱが詰め寄り、冷たい一撃をくらわせる。
「残念、元々殴り専門なのあたし」
 凍りつき、砕け、消えてゆくヒトデ。そして残る1体も、メジロの発した上昇気流に煽られ足掻いているうちに、すぐりに単眼を殴り潰され、ナルの結晶輪に切り裂かれ、遂に此の世から姿を消した。
 これで、残るは妖獣戦車ただ1体。
「あのでかいのにゃあ、これ以上やらせる訳にゃいかんのだわ」
 いまだ始めの位置から殆ど動いていない妖獣戦車に、真弓が茨の領域を仕掛ける。ばぁっと広がり絡み付く茨。
 その隙に、フィーネは遊の傷を白燐奏甲で癒し、雅樹も戦車に接近しながら再度雪だるまを纏う。
「クソッタレゴーストに踏ませる大地はドコにもナイってコト、その醜悪なカラダに焼き付けてやるヨ!」
 シグナスの放ったフレイムキャノンが、戦車を炎で包み込む。
 まだ深い傷の残る遊は、リフレクトコアを召喚して万全をはかり、命は戦車に接近し、紅蓮撃でぐしゃりと装甲をへこませた。
 先の戦い、怪我のせいで戦場に立つことすら許されなかったシユにとって、この戦いはおそらく特別な意味を持っているのだろう。今回こそは……という強い思いが水の刃に乗り移り、戦車に深く突き刺さる。ジェットウインドを放ち尽くしたメジロも、最前列に駆けて行き、 三日月を思わせるような蹴りを放つが、これは戦車の硬い体に威力を殺されてしまった。
 妖獣戦車との距離を再度はかりつつ、雪だるまアーマーを纏い移動するナル。真弓は舞の力で皆を少しだけ回復させた。
 ヴヴ……ッと、低い唸りをあげる妖獣戦車。
「危ないッ!」
 誰かが叫んだが、その声に仲間達が反応するより一瞬早く、妖獣戦車は炎と拘束を払拭し、周囲に集まっていた雅樹、メジロ、命を、纏めて爆発に巻き込んだ。
「大丈夫か烏森!」
「なんとか、まだ大丈夫なのね……」
 深手を負ったメジロを見て、キリヱはチッと舌を鳴らし、結晶輪を投げて妖獣戦車を凍てつかせた。 
「ぶ、ち、貫けろ!!」
 強化されたすぐりの拳は、その言葉通り、戦車の腹に風穴をぶち開けた。
「大丈夫かの? 怪我はなければ良いのじゃが」
 命の傷はフィーネが癒し、さほどダメージを受けなかった雅樹は、メジロに白燐奏甲をかける。遊も少しでも皆を癒そうと、再度周囲に幻夢のバリアを張り巡らせた。
 シグナスは、あまり大勢が妖獣戦車周辺に群れるのは、隊列的にも得策ではないと判断し、ひとまずその場を動かないことにした。
「冷たい海風で冷えてンじゃナイ? 黒焦げになるくらい暖めてやるヨ!」
 放たれた炎の弾が、またも戦車を炎に包む。
 まだオーラの回復しきっていない命は、素早く剣を翻し、妖獣戦車の前身に一文字の傷をつけた。そこに更にシユの手裏剣が当たるが、これはあまり効かなかったようだ。
 やはり前に出るのは危険と、一旦後方へ退いてゆくメジロ。それを確認した真弓は、すぐさま彼女に祖霊を降ろした。
 ナルの投げた結晶輪が、戦車に新たな傷を刻み、すぐりの拳が風穴を更に大きくする。
 ギュゥゥゥゥゥ……!
 アスファルトの擦れる音と、厭な臭い。
 次の瞬間、命は戦車に轢かれ、キャタピラに弾かれガードレールに叩き付けられていた。
「桐耶!」
「ミコトサン!!」
 仲間達の叫び声に、彼女はゆるりと片手をあげた。だが、もう戦えないであろう事は、誰の目にも明らかである。
「……ッのヤロウ!」
 きぃんと高い音がして、キリヱの放った結晶輪が、妖獣戦車を凍てつかせる。更にフィーネが吹雪の竜巻を重ね、遊もナイトメアを駆るが、これらはさしてダメージを与えることは出来なかった。
 前衛に出たシグナスは、その腕に宿った不死鳥の如きオーラを、その対面に立つ雅樹は、凍てつくような氷の吐息を。ほぼ同時に妖獣戦車にくらわせた。
 炎と氷の同時攻撃に、戦車の装甲がまたひしゃげる。
 状況的には、能力者達が押している。
 だが巨大な妖獣戦車に、いまだ咆哮をあげ続けている。
 その体力、やはり半端なものではないようだ……。

●そして、束の間の……
 砲弾を浴びせられ、巨躯に轢かれ……手厚い回復をもってしても、徐々に癒しきれぬ傷が増えてくる。
「まだまだやられるわけにはいかんでの」
 蹌踉めきながらも、白燐蟲の力でどうにか踏みとどまるフィーネ。
 雅樹に治癒を施してもらったシグナスは、拳から滲み出る血も厭わずに、妖獣戦車の醜い装甲をフレイムキャノンの炎に包んだ。
「今度こそ……絶対に倒れないんだから!」
 サイコフィールドを展開する遊の手にも、自然と力がこもってくる。
 シユとキリヱが前後から同時に仕掛け、更にすぐりもそれに続くが、どれも決定打には至らない。
 それでも、休むことなくナルの放った一撃は、かなり堪えているようだ。
「そっちの方、危ないのね!」
 戦車の砲台がギリギリと動くのを見たメジロは、浄化の風を吹かせつつ、フィーネとナル、真弓のいる方へ向かって叫んだ。
 だが次の瞬間、どぉんと大きな音がして、フィーネは蹲るようにして地面に倒れ、ナルもふらふらとガードレールに凭れてしまった。
「絶対倒れてやりゃーせん、無事で帰るってゆーたもんだでな!」
 すんでのところで踏みとどまった真弓は、自身に祖霊を降ろして持ち堪え、そこにすぐに雅樹が駆け寄り白燐蟲の癒しを重ねる。
 シグナスの炎は空をきってしまったが、遊のナイトメアは僅かではあるが手傷を負わせることに成功した。
 シユは脆くなってきている箇所を狙って水刃手裏剣を放ち、メジロは仲間を支える為にひたすら癒しの風を吹かせる。
 気合に満ちたすぐりの拳が妖獣戦車の腹を穿ち、キリヱの投げた結晶輪がそこに刺さり魔氷を拡げる。
 絶え間ない猛攻に、さしもの妖獣戦車もいよいよ危機を感じたのか、ヴォォ……と低い唸りをあげて、自身の守りを固めてきた。
 ぼこぼこと消えてゆく、各所の損傷。
 しかし……。
「チャンス到来だわ!」
 真弓が、赦しの舞を舞いながら叫ぶ。
 それを聞き、シグナスはニヤリと笑みを浮かべて拳を振るい、雅樹はさして傷を負っていないシユに、白燐奏甲を纏わせに走った。
 皆に最後の力を与えるように、最後の幻夢の力をひろげる遊。
「これ以上、好きに移動させはしないよ」
 シユの呟いた呪詛は、防御力を高めていた妖獣戦車を麻痺させた。そう易々とは消えぬ呪いの力に、戦車はただ、そこで僅かに身を軋ませるだけだった。
「折角だ、もう一丁殴っておくか!」
「一気に決めるのね!」
 この気を逃さず、一斉に攻めに転じる能力者達。
 そして遂に、すぐりの拳が、妖獣戦車の中心部を砕いた。
「防御を厚くしたいのなら傾斜装甲にでもしてこい!」
 ゴォォンと、地鳴りのような断末魔を残し……妖獣戦車は、この地から永遠に消え去った。

 ───そして、辺りには束の間の平穏が訪れた。
 先程までとはうってかわっての静寂に、キリヱが言葉を失ったかのように肩を竦める。
「今日はもう流石にこれ以上戦いたくないわ……」
 余程疲れたのだろうか、すぐりは道路に横たわり、ひとつ大きな伸びをした。
「終わった……かの」
「うん、終わったよ」
 漸く半身を起こすことのできたフィーネの身体を支え、遊がにこりと微笑みかける。
「これで守れましたかね」
「戦争で取り逃した分、取り戻せたんならええな……」
 雅樹と真弓が、並んで海の方を見つめる。そこには、もう悪しき気配は何もない。
「柚木のお姉さん、大丈夫?」
「うん、もう立てるよー」
 心配そうに見つめてくるメジロに、無事をアピールするかのように立ち上がってみせるナル。まだ少しふらついているが、とりあえず大丈夫なようだ。
「ミコトサン、肩貸すヨ?」
「みんな一緒に帰りたいもんね」
 まだかなり苦しそうな命に、シグナスとシユが手をさしのべる。
「そうね……お願いしようかしら……」
 満身創痍ではあるが……これで、全員無事に起きあがることができた。

 取り戻すことのできた平穏は、束の間のものかもしれないけれど……。
 それでも今は、皆で勝利の喜びを分かち合おう。


マスター:大神鷹緒 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/01/05
得票数:カッコいい14  知的1  えっち1 
冒険結果:成功!
重傷者:桐耶・命(一瞬の剣閃・b45156)  フィーネ・カルストレニア(粉雪の精・b47860) 
死亡者:なし
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