Bad Squad


<オープニング>


「皆、今回の戦いはお疲れ様。佐世保湾に侵攻してきた吸血鬼艦隊は撃退し、影の城も沈める事が出来たわ」
 柳瀬・莉緒(中学生運命予報士・bn0025)は能力者達を労った後で、表情を引き締め直す。
「でもね、打ち漏らした『イワン・ロゴフ級揚陸艦』と『シャンプレーン級戦車揚陸艦』のゴースト達が海岸から上陸して、市街地へ向かってる様なの」
 これだけの数のゴーストが市街地へ入れば、被害は想像を絶する物になるだろう。
「貴方達にお願いしたいのは、イワン・ロゴフ級揚陸艦に載っていたリビングデッドとサキュバスの撃退よ。疲れも完全に取れてないかも知れないけど、迎え撃って頂戴!」
「傷が癒えたと思ったらこれですかぁ……人使いの荒いことですぅ」
 と、ぼやくのは志筑・涼子(残念な子と呼ばないで・bn0055)。

「リビングデッド達は軍人よ。10数名の小集団で、指揮官の統制のもと南下しているわ。手当たり次第遭遇した一般人を射殺しているわね……」
 こうしている間にも被害は広まる一方だ。
「彼らは旅館を制圧し、そこを拠点としているわ。幸い――いえ、全然幸いでは無いけれど、既に旅館周辺に生存者は居ないし、そこに攻め込んで殲滅するのが良いんじゃないかしら」
「待ち伏せされてる匂いがぷんぷんしますぅ」
「そうかも……でも、上手く奇襲出来れば有利に戦う事も出来るわ」
 地図、そして旅館の間取りが記されたパンフレットを広げて、莉緒はそう告げる。
「敵の指揮官は冷徹で残忍だけど、プライドが凄く高いみたい。だからどんな強敵と対しても撤退という選択肢は無いようね」
 退却しない指揮官は指揮官として問題ありだが、部下達も極めて命知らずで、敵を倒すことだけに快感を覚える様な危険な連中のようだ。
 ライフル等の銃器で武装しており、単体ではさほどの戦力ではないが何しろ軍隊。その連携や戦術には注意が必要だ。
「それに、サキュバス3体が同行しているわ。説得や捕獲は考えないで、ゴーストとして倒して頂戴」
「先の戦いの借りを返してやるとしますかねぇ」
 敵は計十数体。
 個々の戦力では能力者に及ばないが、かなり数を揃えており油断は禁物だ。

「自国民を守るのが軍人。殺戮だけを目的とする彼らは、もはやただの殺人集団よ。容赦なく殲滅して頂戴。罪の無い人々を守るためにも!」
 そう言うと、莉緒は能力者達を送り出すのだった。

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参加者
セツナ・フォンティーユ(鋼の拳・b02222)
リズ・シュトラウト(白百合の剣士・b02866)
月島・眞子(トゥルームーン・b11471)
小川・一太郎(もうひとつの冴えたやり方・b18087)
玖波・心太郎(綺想曲・b22776)
八神・海音(夜想曲・b28336)
国府津・里香(踊る焔の女郎蜘蛛・b38820)
池田・クラレット(護界召喚師・b45628)
NPC:志筑・涼子(残念な子と呼ばないで・bn0055)




<リプレイ>


 夕闇に紛れ、旅館へと迫る9つの影。
 北風吹きぬける市街地に人気はなく、時折幾つかの骸が地に伏しているばかり。
(「あの『ゲーム』を叩き潰せてりゃ、こんな被害は……」)
 それらを目にする度、小川・一太郎(もうひとつの冴えたやり方・b18087)はそう考えずにはいられない。
(「吸血鬼の本隊こそ追い払えたけど……もしかして最初からコレが狙いだったのかな?」)
 セツナ・フォンティーユ(鋼の拳・b02222)もまた、先の戦を想起する。
 能力者たちはその都度、ギリギリの状況下で全力を尽くしてきた。「ゲーム」の阻止しかり、吸血鬼艦隊の迎撃しかり。
 それでも、目の前の被害者を助ける事は出来なかったのか。そんな自責の念は尽きない物。
「チッ、ぐだぐだ後悔してもしょうがねぇ。キッチリ、ここでケジメを付けてやるぜ!」
 そんな心の葛藤がこれからの戦いに悪影響を及ぼさぬよう、吹っ切る一太郎。
(「……これ以上、人の命は奪わせません」)
 国府津・里香(踊る焔の女郎蜘蛛・b38820)も静かに、心中でそう誓う。
「皆さん、そろそろ」
 地図片手の池田・クラレット(護界召喚師・b45628)の合図で、一同は物陰に身を潜める。
「ここからは二手に別れて、だね」
 腕まくりをし、時計を操作しつつ月島・眞子(トゥルームーン・b11471)。
「あぁ、実に面白くない相手だ。こちらの連携が上であることを思い知らせてやろう」
 八神・海音(夜想曲・b28336)は、今回の作戦で重要な役目を負うケルベロスオメガのたねに、ぽんと手を載せつつ時計を合わせる。
「今回の戦争は色々大変だったが、事後処理はしっかり行いますか」
 普段は気だるさを漂わせている玖波・心太郎(綺想曲・b22776)も、やや表情を引き締める。
「残党処理を終えるまでが戦争です、ってか。遠足みてぇ」
 次第に高まってゆく緊張感を緩めるように、軽口を飛ばすリズ・シュトラウト(白百合の剣士・b02866)。
「んじゃ、班別自由行動を始めましょうかぁ」
 と、志筑・涼子(残念な子と呼ばないで・bn0055)。
 陽動班と奇襲班の二手に分れた能力者達は、旅館の表口裏口へとそれぞれ向かうのだった。


「今回の要はたねさん、お前だ。がんばってくれるな? もし、倒されたとしても必ず迎えにいく。おわったらおいしいものを食べさせてあげるのだ」
 旅館の正面玄関が見える位置に陣取った陽動班。海音は再び、たねさんへ言い聞かせるようにそう告げる。
「表に見張りが2人……っと! 危ない危ない。作戦開始前にこっちが発見されちゃったらまずいもんね〜」
 玄関前に立っている見張りと目が合いそうになり、慌てて身を隠す眞子。
「相手は戦い方を知っていますから、長引くと不利ですね?」
 作戦開始の時間を前に、改めて気を引き締め直すクラレット。
 リビングデッドに堕ちたとは言え、思考は生前と比べまだ鈍っていない様子。訓練を施された軍人なのだ。
「時間だよ、始めよう!」
 セツナの声に一同頷き、たねさんが物陰から飛び出す。
「っ?! なんだ!」
「敵襲……いや、一匹だけか?」
「こちら正面玄関、所属不明のゴースト1!」
 突如として現れたケルベロスオメガに、銃を構える兵士。片方の兵士は旅館の中へ向けて声を発し、異変を伝える。
「……なにか様子がおかしいぞ」
 射程ギリギリの位置を行ったり来たりするたねさん。いかにも誘引するような怪しい動き。
「アンソニー二等兵。行け」
「はっ!」
 当然罠を警戒した一等兵は、二等兵の肩を叩き、たねさんへ向かわせる。
「1人来るみたいだよ」
 兵士が近づけば、たねさんが同じだけ後退する。それを繰り返すうち、兵士はじわじわと能力者達の隠れている場所に近づいてくる。
 やがて彼は、曲がり角を曲がり――
「今だ!」
 言うが早いか、海音の瞳が禍々しい光を帯びて妖しく輝く。
「はぁっ!」
 間を置かず、眞子の月白風清が唸りを上げる。
「な――ぐぅっ!?」
 ――タタタンッ!
 血を吹き上げながら倒れる兵士。手にしたライフルが暴発し、数発の弾が空に向かって放たれる。
「さぁて、敵はどう出るかな」
 ――ジリリリリリン!
 旅館から響いて来るのは火災を報せるベルの音。警報代りに利用している様だ。
「これでこちらの存在は気付かれた訳ですね」
 兵士1人を犠牲にする代わりに、能力者達の1つ目の罠を看破した敵部隊。
 当然これ以上はたねさんの誘引に引っ掛かることもなく、正面玄関に増援の兵士達が現れ、守りを固め初めた。
「後は裏手の皆をちょっとでも楽にしてあげるのがボク達の役目だね」
 陽動班の4人(と1匹)は物陰から姿を現わし、玄関に陣取る敵兵達と対峙した。


 銃声、そして火災報知器の鳴り響く音。
「さてさて、敵さんは陽動って事に気付くかねぇ……」
 おもむろに腰を上げながら、呟く心太郎。
 能力者達の作戦の真意に気付くかどうかは別として、状況は陽動班が一定の成果を上げたことを示していた。
「次はオレ達の番だな」
 一太郎はRHYTHM REDの位置を確認しつつ、ふっと息を吐く。
「おう、気合入れてキッチリと片付けてやらぁ」
 百合の彫刻が施された長剣を手に、決意を新たにするリズ。
「はい、ここで全て倒します」
 宝剣を抜き放ち、頷く里香。
 陽動班が最大の効果をもたらす瞬間を見計らい、奇襲班は裏口へと忍び寄る。


 突入の機を見計らうかの様に展開した能力者達を見て、敵兵達は銃身をずらりと並べて迎撃の態勢。
「これはまた、ぞろぞろと出てきたものだな。正面突破は骨が折れそうだ」
「それだけ、裏手の皆が楽に戦えるって事だよね」
 指さし敵の数を数える海音に、発煙筒を焚きつつ答える眞子。
「では、そろそろ行きましょうか」
「よし、行こう!」
 時計から視線を上げるクラレット。これ以上引き延ばすと裏手の仲間が発見される危険も増える。限界だろう。セツナが鋭く呼び笛を一吹きし、能力者達は正面突入を図る。
「来るぞ、打ち方初めぇ!」
 ――ガガガガガッ!!
 一斉にライフルが火を噴き、火線が先頭のたねさんに集中するが、怯むことなく敵陣へ直進する。
「機関銃を集中だ」
「タネさんっ」
 最後尾に位置取る海音は、最も優先すべき標的を皆へ指示。クラレットはたねさんに白燐蟲を舞わせて、少しでもそのダメージを軽減させる。
「解った、セツナさん!」
「おう!」
 眞子の足下から黒い影が走る。同時に、猛然と敵陣へ迫るセツナ。
 ――バシュッ!
「ぐわぁっ!」
 黒き影の手は機関銃を乱射する兵士に一直線に迫り、鋭く斬り付ける。
「衛生兵!」
 機関銃手に駆け寄るのは、赤十字の腕章をつけた兵士と1体のサキュバス。
 相当な深手であったにもかかわらず、その大部分を治癒してしまう。
「軍人崩れめ、易々とは突破させてくれぬか」
 海音は吐き捨てるように言い、一層の覚悟を決める。
 戦力が不自然に少ない事や、突破の意志が薄い事、その他不自然な挙動を感じ取られてしまえば、挟撃作戦は失敗に終わる。
 のみならず、各個撃破のピンチへと直結するのだ。


「数は? そうか。こちらは今の所異常なし。了解」
 裏口では連絡を受けた兵士達が、それでも持ち場を離れることなく警戒にあたっていた。
「こちらも警戒を密にせよとの事だ」
「はっ! ……ん? なんだこの歌は」
 ――〜♪
 風に流れる緩やかな旋律。
「うっ……」
 次々に崩れ落ちる兵士達。
「よし、突っ込むぞ!」
 一太郎は口ずさんでいた歌を中断し、強行突入。
 陽動班からの合図の狼煙は、既に空高くまで昇っている。
「くらえっ!」
 ――ヒュッ!
 一太郎と心太郎、2人の手の内に生じた光の槍が、それぞれ一直線に兵士の急所を貫く。
「リカはそいつを頼むぜ。リョウコ、俺達は下士官だ」
「解りました」
「合点承知ですぅ」
 リズの声に応え、里香の拳が紅蓮の炎に包まれる。リズの放った闇手が地面を疾走し、その命中の瞬間に涼子の脚が大きな弧を描く。
 兵士達の眠りが永久の物に変わるまで、さしたる時間は必要としなかった。
「よし、行くぞ! 陽動班と合流だ」
 裏口より突入する5人。
 裏手の兵士達は通報する間もなく殲滅された為、現時点で彼らの動きは悟られていない。
 無人の厨房を静かに、素早く駆け抜ける。


 三度、場面は変わって正面玄関。
「回復役を倒さねば突破はできぬ」
 海音の瞳に宿った禍々しき力が、衛生兵を射貫く。と同時に、たねさんの吐き出した火球が兵士達の防御陣を焼く。
「撃ち返せ! ここに居るのは死んだ奴かこれから死ぬ奴だけだ! フゥハハー!!」
 身を焦がされ、片腕が吹き飛ぼうと、少しも怯まない死兵達。戦う事だけが彼らの悦びなのか、大量の弾丸をバラ撒きながら叫び、笑う。
 ――ガガガガガッ!!!
「っ!?」
 そのうち一斉射の弾丸が、後衛で指示を出す海音に向かう。
 使役ゴーストを伴って戦う彼女の守りは、他の仲間達と比べて薄い。敵の攻撃が重なれば、戦闘不能に陥る危険もある。
 ――バッ!
「たねさん!」
 そんな彼女の危地を救う黒い影。たねさんがその身を挺して海音に当たるはずだった弾丸の大半を受け止める。
 しかし、常に矢面に立って戦い続けていた彼のダメージも多く。そのまま地面へ突っ伏し動かなくなってしまった。
「海音さん、傷の手当てをっ」
 クラレットの手から放たれた白燐蟲達が、海音の傷を癒す。
「眞子さん、今の内に!」
「これで……倒れてっ!」
 危険を顧みず敵中に躍り込むセツナ。流れるような動作で繰り出される龍顎拳が、衛生兵の顔面を捉える。
 その打撃から立ち直る間も与えずに、跳躍した眞子は最上段で長剣を振りかぶり――ロケット噴射の勢いと共に強撃を見舞う。
 ――バキャッ!!
 兜もろとも衛生兵の頭は砕け、動きが完全に停止する。
「シッ! 殺せ! 殺せ! 敵を殺せ!」
 ――ダダダッ!
 そんな2人に、すぐさま無数の弾丸が浴びせられる。
 陽動班の奮戦は敵の大半を正面玄関に釘付けにし、作戦を成功に導いた。しかしその反面、彼らは猛烈な放火に身をさらす事になり、いずれもが満身創痍。
 このまま消耗戦を続ければ、先に倒れるのはどちらになるか解らない。
 ――〜♪
 だが、そんな時に聞こえて来るのは、心を静める様な優しい旋律。
 サキュバスのうち1体と、兵士が2人崩れ落ちる。
「待たせたな、海音。皆、一気に片付けようぜっ」
 放たれる光槍。心太郎はパートナーと仲間達の無事を確認しつつ告げる。
「敵!? 一体どこから!」
「腐った脳じゃあ、作戦もこの程度か」
 リズは浮き足立つ敵兵の間合いへ入り、眠りに落ちていないサキュバスへ強烈な衝撃をたたき込む。
「隊列を崩すな! 第二分隊員は狼狽えないっ!!」
「反応が遅いですよぅ! 今ですぅ、国府津さん!」
「これまでです」
 涼子のクレセントファングが敵兵の背を打ち、前のめりになった所へ里香の紅蓮撃が引導を渡す。
 数・質ともに勝り、挟撃の形を取った能力者達。敵兵の抵抗力を完全に奪うまで、さしたる時間を必要とはしなかった。


「表に7で裏に3……残りは4体か」
「海音、一緒についてくぞ。お前だけに無茶はさせられんからなっ」
「あぁ、早く終えてたねさんを一緒にねぎらうのだ。とっておきのプリンを3人で食べよう」
 言葉を交わし誓い合う海音と心太郎。
 合流し体勢を整えた能力者達は、万全の体勢で2階へ攻め上がる。
 当然逃亡の可能性を考慮し、それを阻止するための戦力を割く予定だったが、莉緒に聞いていた以上に敵は恐れを知らず、戦いの中で散ることにさえ悦びを感じている様な集団。
 結局、逃走の危険はなしと判断し、能力者達は全員で攻め上がる事にした。
「なっ!? なんでこんな所に敵がいるんだ!」
 ――ガガガッ!!
 1階からの連絡がない為、様子を見に来た兵士。目の前に敵の姿を見て、狼狽しつつ弾をバラ撒く。
「邪魔だぜ!」
 降り注ぐ弾を物ともせず、一太郎の光槍が敵兵を貫いて打ち倒す。
「食い止めろ!」
 上からは指揮官の怒声。すぐに2人の兵士が階段の上から銃を打ち下ろしてくる。
 しかし雨と降り注ぐ被覆鋼弾も、能力者達の足を止める程の効果はない。
「さぁ、今の内に」
 クラレットの放った茨が兵士達を絡め取る。
「往生際が悪いぜ、さっさと通しな!」
 リズの足下からダークハンドが階段を滑るように登り、その兵の足を引き裂く。
 バランスを崩した兵士の弾が天井を撃つ間にも、駆け上がったセツナのサニースカーフが閃く。
 ――ザシュッ!
 スカーフは鋭い槍となり、兵の喉元を貫く。
「そら行けですぅ!」
 障害は取り除かれ、能力者達は2階へと達する。
 即座に襖が開け放たれ、指揮官とサキュバスが姿を曝す。
「……貴様等ぁ、良くも我が分隊をっ!」
「黙れ。死人風情が我が物顔で陣取るなど、盗人猛々しいにもほどがある」
 激昂し闘気を高めた指揮官の言葉を遮るように言い放ち、海音は再び魔眼を見開く。
「いくぜ」
 連携を取り、追い打ちを掛ける心太郎。光の槍が空を切る。
 サキュバスはすぐさま傷を癒しに掛かるが、所詮焼け石に水。
「そんなもんで俺達の攻撃を止められるかよ!」
「ですぅ」
 能力者達の苛烈な攻撃の前に、サキュバスは瞬く間に打ち倒される。
「死人は死人らしく土に還りな」
 リズの剣が痛烈な衝撃を伴って指揮官の肩口を強打する。
「まだまだぁっ!!」
 ――ガガガガガッ!
 苦し紛れの一斉射だったが、里香はこれを難なく回避。
「皆さん、とどめをっ」
 クラレットの声と共に、飛来した花瓶が指揮官の銃に命中し、攻撃を中断させる。
 能力者達がこの期を逃す筈もない。
「いくよ、トドメっ!」
「これで終わりだよ!」
 左右から同時に襲いかかる眞子とセツナ。
 ――バッ!!
 月白風清が炎を噴きながら鋭く振るわれ、青龍の力を帯びたセツナの拳が指揮官の顔面を捉える。
 袈裟懸けに切断された上半身がどさりと畳の上へ転がり、指揮官は動かなくなった。


「ふぅ……終わりましたねっ」
「なんとか殲滅できたかな〜、新年早々結構ハードだったよね」
 敵の殲滅を確認し、一息つくクラレットと眞子。
「行こう心太郎。たねさんが待っている」
「あぁ、そうだな」
 海音と心太郎は、作戦成功の立役者でもあるたねさんを労うべく階段を降りてゆく。
「これで全部片付いたわけじゃねぇが、一段落ってとこか」
「他の所に行った連中も巧くやってるといいが」
 一太郎とリズも、他の敵を迎撃に向かった仲間達の首尾に期待しつつ後に続く。
「これ以上、犠牲者が出なければ良いのですが……」
「うん、もう悲劇は沢山だもんね」
 多くの犠牲を悼みながら、その拡大が止むことを願ってやまない里香とセツナ。

 かくして一行は、標的である分隊の殲滅に成功した。
 被害は決して少ない物では無いが、感傷に浸る暇は無い。
 彼らが討つべき敵はまだまだ残っているのだから。


マスター:小茄 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/01/12
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冒険結果:成功!
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