ゲームセンターラブ。


<オープニング>


 それは、あるゲームセンターでの出来事。
「……あの……」
 先ほどから連続でゲームをプレイしている青年へと、一人の少女が声をかけた。
「……え。俺?」
 順番待ちだろうか、と青年は慌てた。よくよく考えれば先ほどから連コイン中。一応コインを入れる前にプレイ順を待っている人物が居ないのを確かめた上で行っては居たが、やはり何となく居心地が悪い。
 しかもマイナー極まりないゲームで、このあたりのゲーセンではここ以外には入っていないモノだ。
 だがよくよくみれば少女の衣服はゲーセン店員のモノ。即ち制服。ついでに眼鏡をかけたお約束のような眼鏡っ娘。
 という事は、筐体のメンテか何かだろうか? 問い正すと少女はふるふるとかぶりを振る。
「あの、そういうんじゃなくて……このゲーム、お好きなんですか?」
「ああ、うん。凄く好きだよ。出来るだけこのゲーム、ここに置いといて欲しいな。俺以外にどれくらいインカムあるのか解らないけれど」
 良いですよね、と少女はにっこり。
「他にレゲーに興味はおありですか?」
「うん……ただ、俺が好きなゲーム、みんなもうゲーセンに置かれないんだよね……良いゲームばっかりなんだけどさ」
 少し寂しそうに青年が笑った。
「……私、実は古いゲームが沢山あるゲーセン、知ってるんです。ここも店長にお願いしてレゲー入れさせて貰ったりもするんですが、やっぱりインカム少ないと撤去されちゃいますし……今から一緒に行きませんか?」
「え、でも君今バイト中じゃ……」
「大丈夫です。もう上がりですから。ね?」
「うん、じゃあ行こうか!」
 そうして彼らは店を出る。路地を曲がり、放棄されたビルの合間を縫って。
 少女の指示に従い青年はあるビルの地下への階段を降りて行く。
「ねぇ、本当にここであって――」
 青年が問おうとした瞬間、彼ののど笛から派手に血しぶきが上がった。驚愕の表情を浮かべたままに青年はくずおれる。
 何故なら、彼が最期の瞬間目にしたものは、返り血を浴びて愉悦の笑みを浮かべる少女と、彼女から生えた巨大な蛇の頭だったのだから。
 
「さて、皆さん、今回はリリスの退治です」
 春日井・樹(高校生運命予報士・bn0076)がきらりとサングラスを輝かせた。
「リリスの名前はサトコと言います。少女にも関わらず、むちむちぷりんな外見で、所謂ギャップ萌えを発生させていたりします」
 現在ゲーセンでバイトをしており、やってくる客の中から能力者としての素質がある者を探しだしている、という訳だ。
「因みに彼女、むちむちぷりんなのに小柄で可愛らしく、しかもちょっと気弱そうな感じが色んな人に受けているらしいですよ。その上、慣れるとちょっと大胆になるそうで」
 何がどう大胆になるのかといわれれば、素質のある人間の誘い出し方が、という事になりそうだが。
 こほん、と咳払いをし樹は説明を続ける。
「ところで、リリスと戦う際の重要なポイントは、皆さんご存じですよね?」
 念のため説明いたしますと、と彼は解説する。
 まず一つめは固まって行動する事。
 リリスは離れていても能力者の方向を感知出来る。もしも包囲するように動いた場合、リリスはそれに感づき警戒するだろう。
 だが固まっていればリリスには方向しか解らない。能力者が1人なのか、複数なのかまでは感知出来ない、という訳だ。
 二つめは囮は1人だけ、という事。
 これは簡単な理由だ。複数の能力者がリリスに目撃されればやはり警戒され逃げられる可能性が高くなる。
 1人が十分に近づけばリリスは方向を感知できなくなる。そこを他の皆で包囲し狙えばいい。
「このリリスは、ゲーセンの客に能力者の素質がある人を見つけると『このゲーセンよりもっと沢山のゲームを揃えているゲーセンがあるので一緒に行かないか」』とか耳打ちし、一緒に行こうと誘ってきます。誘いに乗ってついていくと、ある廃ビルの地下に誘われ、そこで……」
 樹は一旦言葉を切り、両腕を開き、そして閉じる。
「彼女の蛇が、がぶり、と。ですから、囮の人が誘いに乗ったふりをして廃ビルの地下に入り込めば包囲、捕捉は簡単だと思います。とはいえ、警戒されないように注意は必要ですけれどね」
 彼は更に説明を続ける。
「包囲され、逃げ場が無いと悟ればリリスは本来の姿に戻り、戦いを始めます。さほど強くはありませんが、廃ビル地下には足元に基盤や筐体の残骸が転がっているからその点だけは注意が必要ですね」
 足を取られて転んだとか言った日には目も当てられない。
 なお、リリスはもじもじと照れたような仕草により近接範囲の1名を魅了したり、同じく近接範囲1名に蛇で噛みついたり、眼鏡から謎の光線を放って20m全周の相手をなぎ払ったりするのだそうな。
「それから……もう1点注意すべき事があります。リリスは隙があれば逃げようとしますし、命乞いや色仕掛け等、あらゆる手を使って脱出を試みる可能性があります。どうか決して気を許さないように」
 皆さんなら大丈夫だとは思いますが、どうか気をつけて、と樹は能力者達を送り出した。

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参加者
宮草・佳菜(魔法士の脳・b26724)
心野・ツバサ(直進少年・b65190)
六町・遐彦(一般アーケードゲーマー・b69756)
秋月・信乃(白妖・b71716)
鷲宮・誘(科学者の助手・b72875)
爆宮・凪(爆狐・b74068)
七歌・夏南美(リズムスター・b74125)
竹内・亜斗務(中学生科学人間・b74137)



<リプレイ>

●Beginning
「お年玉の消費先の一つになっている気がするのだ」
 クレーンゲームにしか興味がない、という宮草・佳菜(魔法士の脳・b26724)はゲームセンターの看板を見上げ呟く。デコデコしい、少し古くさい雰囲気もあるそれを。
 ゲームセンター。それは紳士と淑女の社交場である。そんな所にリリスが出現するという事実。
「バイトしてるとか一瞬ちょっと偉いなと思ったけど、その目的を考えたら野放しには出来ねーな」
 秋月・信乃(白妖・b71716)の言う通り。
 リリスのサトコがバイトをしている理由は能力者として素質のある者を探し喰らうため、だ。その為沢山の人間と遭遇しやすいゲーセンを彼女は狩り場として選んだのだろう。
「ゲームセンターって楽しむとこなのにこれじゃ落ち着いて楽しめない……ですよね……頑張ってまた楽しめる空間にしましょっ」
 がんばろー! と心野・ツバサ(直進少年・b65190)が拳を振り上げた。
「今回初依頼だよ、よろしくね!」
「爆初めての依頼だけど、みんな爆よろしくなっ!」
 七歌・夏南美(リズムスター・b74125)は緊張を振り切ろうと元気に告げる。ついでとばかりに爆宮・凪(爆狐・b74068)も爆元気にお返事。
「転入したばかりだけど、足を引っ張らないように頑張るよ。よろしく」
 という竹内・亜斗務(中学生科学人間・b74137)も居る。よくよく考えるとこのメンバー、初めて依頼を受ける者も多い。
 大丈夫、皆が居る。信じて頑張れば成功するに違いない。
 とはいえ。
「うう、緊張してきた……」
 ……そう思いつつも夏南美が緊張するのは仕方有るまい。何せ失敗すれば犠牲者は増えていく一方なのだから。
「ギャップ萌えリリス……は、よく判らんが人を騙して殺している以上は見逃せんのう」
 鷲宮・誘(科学者の助手・b72875)の言葉に六町・遐彦(一般アーケードゲーマー・b69756)がそれはそれは深い、ため息を吐く。
 誘への限りない同意と、彼女のレトロゲームへの愛の深さを込めて。
「……ッたく、仕様がねえな。1人のゲーマーとして、退治しますかね」
 作戦は簡単。遐彦が囮をし、他の皆がそれを待ち受ける。
 接触を確認し次第尾行、という形だ。最初は3手に別れ、囮と尾行、そして支援としてリリスが狩り場として使っているビルを特定、先に入り込み囮とリリスの到着を待ち受ける……という予定だったのだが、そもそもビルについては解らなかった。
 理由は簡単な事だ。
 インターネットの地図とて最新のものとは言い切れない。情報が確実とは言い難い。はっきりと解らない以上、特定の為とはいえあまり周囲をうろうろするのは得策ではない。
 それに、囮の接触前に分散して動き回るのは予報士が告げたリリスと戦う際のポイントにも反する。
 日を変えて動いたとしてもあまりに自分の狩り場付近を能力者が動き回っていればリリスは怪しむ事だろう。接触前に逃亡される可能性もある。
 余計な行動はリリスに勘づかれ、それにより作戦が失敗する可能性を上げてしまうのだ。
「直ぐ近くにファーストフード店があるようだよ」
 亜斗務がプリントアウトしてきた周囲の地図を渡す。囮とリリスの動きを見るには良さそうな場所だ。
「じゃ、行ってくる」
(「……爆囮やりたかったなー、爆マイナーなレゲーとか爆興味が……っ」)
 良い笑顔ですたっと手を挙げる遐彦に凪がとても羨ましそうな視線を投げかけた。
「後でどんなゲームがあったか爆教えてくれよなっ」
「ああ、勿論」
 更に良い笑顔を返す遐彦。よくよく見れば全国一位のスコアがみっちり書き込まれたメモなんぞ持っているあたり、どうみてもこのゲーマー、楽しむ気満々である。
 だが職務は忘れていない。繋がったままのケータイもポケットに詰められている。
 ケータイには2つの意味がある。電波障害が起きればリリスとの接触がはっきりと解る。電波障害が起きなければ、そのまま2人の会話に聞き耳を立てて追跡のタイミングをはかれば良い。
「この依頼、必ず成功させてみせるよ! リリス退治、頑張るもん!」
 夏南美の言葉と共に能力者達は行動を開始した。

●Encounter
 ゲーセン内部は大音量の様々な音楽に満ちあふれている。
 ふと遐彦はケータイの事が不安になった。だが、それは逆を言えばゲーセンから出れば音が静かに成る筈。それで気づいては貰えるはずだ。
 まずはさらりと店内を見渡し、レゲーの集まっているあたりへと何気ないふりをしふらりと入り込む。手慣れた様子で台を物色し、小銭を取り出す仕草は驚く程の馴染みぶりだ。
「あー……あのゲーム無いのか……」
 あえてぽそりとその場にないゲームについて呟いておく。上手く行けば件のリリスが話題を振りやすくなるかも知れない。
 廃スペックなシューターとしての腕を見せつけるべく、シューティングの台へと向かう。あまりインカムが無いのかあっさりとハイスコアを塗り替え、その直後。
「あの……そのゲームお好きなんですか?」
 店員の制服を着た少女が声をかけてきた。
「ああ、他にもこの時代のゲーム凄く好きなんだけどさ、基板ないの?」
「ええ、残念ながらここには無いんですが……私、このゲーセン以外にも色んな基板が揃ってるゲーセン知ってるんです」
 内心遐彦は上手く行ったと安堵。更に話を振る。
「ホントか? 行ってみたいんだけれど……」
「じゃあ、宜しければご案内しましょうか? 私もうバイト上がりなんで」
 そう言い、リリスと彼女は二人ゲーセンの外へと出て行った。

 一方、尾行班は。
「お、出てきたのだ」
 ファーストフード店の壁越しに佳菜が呟く。
「むーっ、あの子ボクよりスタイルいい……」
 腹が減っては……とばかりにハンバーガーを頬張っていた夏南美が複雑な表情&ビミョーな口調で告げる。
 噂の通り、むちむちぷりん。
 確かに眼鏡で気弱そうにみえるが、何せ豊満。確り着込んでいるだけ良いが、これでもし露出度が高かったらかなり目に毒な外見だっただろう。
「……むちむちぷりんってあぁいう人を言うのか。爆アレじゃないんだな、ほら黄色いぷっちんのやつ」
 凪、それはぷっちんなぷりんである。
 なんとも平和な光景ではあるのだが、やらねばならない事がある。
「尾行開始だ」
「ええ、適度に距離を保ちつつ行きましょうか」
 信乃の言葉に仲間達はそれぞれに片付け行動をはじめる。ツバサも普段の天真爛漫元気いっぱいな様子ではなく、極めて真剣な表情だ。
「リリスは見れば能力者とわかるって爆聞くから、みつからないようになっ!」
 あと冬は爆暗くなるから気をつけないと、という凪の言に他の皆も荷物を確かめる。
 懐中電灯等、明かりも良し。確りバッグに詰め込み亜斗務も少し距離を置いてつけていく。

●Shudder
 囮の遐彦はリリスの気を少しでも自分に引きつけるべくゲームの話題を絶え間なく振っている所だ。
 リリスも特段怪しんだ様子はない。それなりに会話も弾むし、リリスの方も話題にしっかりと食いついてくる。
(「俺ァ、リリスに恵まれ過ぎじゃね?」)
 ふと遐彦はそんな事を思う。何かとリリスとは因縁があるらしい。
 トモダチの所為だな、等と考える間もあらば。
「えっと……この下です」
 リリスがあるビルの地下に降りる階段を指す。
 遐彦は階段を降り地下室に入る。真っ暗な、しかしあちこちに何らかの機械の残骸がある事がはっきりと解る。
 直後、背後から恐ろしい程の殺気が膨れあがる。即座にイグニッションし回避できたのは能力者としての本能か。
 体勢を整えつつ振り返ると、そこにはサトコが居た。ただし、今までの様子とは明かに違う。
 彼女の身体から巨大な蛇がにょろりと生え、鎌首をもたげていたのだ。今さっき回避した攻撃はこの蛇が加えてきたものなのだろう。
「……さっきの攻撃で死んでいれば、苦しまなくて済んだんですけど……」
 もじ、と恥ずかしそうにリリスのサトコが告げる。動作や雰囲気が先ほどと変わらない当たりが異様さを醸しだしていた。
「お前が2次元なら……どストライクなんだが、3次元じゃあ、な……正直、萌えねーわ」
「それは残念なのです……でも、そんな事はどうでも良いです。それより、貴方一人じゃ私に勝てませんよ?」
 大人しく死んでください、と微笑むサトコ。だがそこに一人の男性の声が響く。
「悪いが一人じゃねーよ」
 だんっ! と床への着地音と共に信乃が室内に飛び込んでくる。階段から飛び降り滑り込んできたようだ。衝撃に埃がもうもうと舞う。
 同様に誘も即座に室内を見渡す。持ち込んだ明かりがこういう時こそ役に立つというものだ。
 簡単に出入りできそうな場所は彼らの入ってきた階段以外に無い。リリスは能力者の素質ある者を逃がさない為にもこの場所を選んだのだろう。
「もう終わりにしてもらうのだ」
 イグニッションを済ませた佳菜もまた戦列に加わる。彼女だけではない。
 夏南美も、ツバサも、少し遅れて亜斗務、凪、誘もやってくる。
 出入り口はツバサと夏南美が固めている。いまやリリスの狩り場は能力者達に有利な場所となりつつある。
 佳菜はリリスをしっかりと見据えイグニッションを済ませる。
 ゲームに終わりがあるように、リリスの欲望にも終わりを告げねばならない。そんな思いを込めて彼女は声楽杖を構えた。
 信乃が手にした獣爪に白燐蟲を纏わせる。黒鉄色の手甲が薄く光を放った。
「ちょっとレトロゲームっぽくいってみるかの」
 誘が指先で宙にささっと絵を描く。なんとなく8ビットっぽいソレがリリスに突撃。亜斗務もそれに続く。
「ケルベロス! やるよ!」
 亜斗務の指示にケルベロスが鋭い爪を振りかざし連撃を加える。同時に本人も掌に生体電流を収束し、巨大な雷撃とし敵を撃つ。
 佳菜が声楽杖を振りかざし、リリスを殴打。殴られた方はといえばわざとらしくその場に倒れ込んだ。
 所詮はリリス一体。幾ら眼鏡ビームで複数の能力者達を巻き込もうとも、様々な回復方法を持つ能力者達の敵ではない。
 佳菜が茨の領域で締め付けを狙ったり等した為、目立った大きな怪我もなく能力者達の戦いは大詰めを迎える。
 直後、リリスが頬を赤らめもじもじと動いた。人によってはそれを愛らしい、と感じるかも知れない。そんな動作だ。
「もじもじするとか、よくわかんない」
「爆もじもじしてCWが近いのかな? 爆させないけどっ」
 僕、萌えには興味ないんだ、と亜斗務が告げ、凪は何が何やらといったように首を傾げている。
 しかしながら。
「ギャップ萌え最高ー!」
 信乃が萌えた! ていうか魅了された! ふらりと歩み寄ろうとする傍、夏南美が己の情熱をビームとして発射する。彼女の情熱は魅了された信乃をこちら側へと引き戻した。
「ありがと! 助かった!」
「油断せずに行こう!」
 信乃と夏南美が声を交わしあい、遐彦が無骨な長剣を横薙ぎに振るう。闇のオーラを纏った斬撃が繰り出されリリスを容赦なく切り刻む。
 苦痛にリリスは凄まじい形相だ。そのまま視線を階段へと走らせる。それに気づいたツバサは即座に獣のような姿勢を取った。
「……逃げさせませんっ!」
 青銀色の布槍が宙を泳ぐように舞う。その動きからは想像できないような衝撃が戦場を奔り、リリスを吹き飛ばした。
 近くの筐体の残骸へと叩きつけられ、彼女は動きを止める。
 一瞬だけだが凪はこれで終わりかと錯覚した。だが彼は敵に関する特徴を思い出す。
(「っとリリスは倒れると消えるって話だよな……最後まで爆気をつけていくぜっ!」)
 即ち、未だ戦いは終わっていない。
「爆潰れろっジャンクプレスっ!」
 周囲の基板や筐体の残骸に、鋭い刃が生えそのままリリスを押しつぶす。傷だらけ、あともう一息で倒せる、という所だろう。
 途端にしおらしくなるリリスのサトコ。
「……あ、あの……私、バイト先の――」
 何かを告げかけた彼女。しかし信乃と誘は耳を貸さない。貸してはならないのだ。
「バイト先には適当に説明しとくからさ、安心して消えてくれ」
「すまんが、お主を許すのは出来ぬ相談じゃ」
 白銀の爪が氷を宿し、そのまま彼女を切り裂き、同時に再び描き出された8ビットなスケッチが直撃する。
 彼女の身体を魔氷が包み込み、直後そのまま消滅していった。

●Ending〜Insert coin!
 廃材だらけの地下室に、沈黙が戻る。埃が収まると同時に夏南美が歓声を上げた。
「やったー! 倒した、倒したよっ!」
 リリスを倒せた。その実感が今になって押し寄せてくる。ぴょんぴょんとはしゃぎまわり、ついでとばかりに後方一回転宙返りを決める。
 何せ初めての戦いだったのだ。はしゃぎたくなる気持ちもよく分かる。
「皆無事か?」
 信乃が一同の様子を見やる。目立った怪我は無し。一同そろって彼の言葉に頷く。
「これでまた楽しく遊べる空間に戻りましたねっ」
「やっとこ終わったか……これで安心して遊べるな」
 ツバサの言にゲーセンの平和を守った遐彦も安堵の吐息。
「せっかくじゃし、ゲーセンに行ってみたいかのう。誰か一緒に行かぬかの?」
 新しいゲームはやったことがない故教えてほしいと誘が告げると即座に夏南美が同意を示す。
「ボクはゲームは苦手だけど、他の人が楽しんでいるのを見るだけで満足だよ!」
「ゲームセンターってあまり行ったことなかったのですけど、折角だから行ってみようかな〜」
 ツバサも興味を持った様子。それに遐彦のゲーマーとしての血が騒ぐ。ギャラリーを担いでも確りスコアを出すのが廃スペックなゲーマーというモノだ。
「んじゃ、ハイスコア更新すっか! ……あ、でもあのゲームもやりてー……悩むな」
 ゲーセンにあったラインナップを思い起こし、真剣な面持ちだ。
「ゲーセンに、何か横シューがあるといいな。移植版しかやったことないから、オリジナルをやってみたいんだ」
 亜斗務の言葉についでとばかりに信乃も良い笑顔で告げる。
「遐彦の実力を見せて貰いたいぞ」
 そういえば、と凪が足を止める。
「ぁ、秋月、爆誕生日だって? パーティ代わりにゲーセンで爆遊ぼうぜっ!」
「おお、秋月先輩おめでとうございますなのだ」
 佳菜もぱちぱちと拍手。
「それではお祝いもかねてゆっくり遊ぼうかのう」
 もうリリスの驚異も無いのだしの、と誘が微笑む。
 折角の楽しむ為の場所、それを守れたという実感。
 それを噛みしめ、彼らはゲーセンへと向かう。その手にコインを握りしめて。


マスター:高橋一希 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2010/02/04
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