Catch the white ball


<オープニング>


「今年こそは勝つぞ!」
「あぁ、必ずだ」
 市民球場のロッカールームで、気炎を上げている屈強な男達。
 皆野球のユニフォームを纏っており、間もなく始まる戦いに向けてミーティングをしている様だ。
 この日の為に厳しい練習を乗り越えてきた彼らだったが、敵は思わぬ所から現われた。
「おい……なんだあれ」
「犬……いや、違う! でかいボールだ……ボールのお化けだ!」
「お、俺達がボロボロになるまで投げたり打ったりしてたせいで、化けて出たのか!?」
 ロッカールームの隅、ボールのかごの中で、白く丸いモノがごそごそと動いている。
 選手達の視線を受けて、一瞬動きを止めたかと思うと、それはゆっくりとこちら側を振り向いた。
 爛々と輝く双眼が、選手達を見据える。
「「ゆ、許してくれー!!」」
 選手達はバッドやグローブを放り投げ、我先に逃げ出して行った。

「ええ、その日は丁度伝統の一戦が行われるとあって、かなりの人数が球場に集まるわ。あ、伝統の一戦と言ってもプロの球団の試合じゃないわよ。隣り合った2つの町の対抗試合なの」
 上之町と下之町。2つの町では年に1度、この市民球場において野球の親善試合を行ってきた。
 その歴史は数十年に及び、両町の威信を賭けた真剣勝負は、毎年大いに盛り上がる。
 そう言う意味で伝統の一戦である。
「町の人達はこの試合をとても楽しみにしてるし、万が一中止と言う事になれば皆凄くガッカリすると思うわ」
 また、このイベントがもたらす経済効果は一部個人商店にとっては大きく、中止ともなれば損害は計り知れない。
 勝敗や内容はどうあれ、ともかく試合を行いたい。それが町の人々の願いであろう。

「で、元凶になった野良モーラットの事ね。このまま放置すれば世界結界にも悪影響だし、最悪怪我人が出る事態にもなりかねないわ」
 これ以上の被害が出る前に、能力者達に捕獲して欲しいと言うのだ。
「モーラットは能力者達を見れば寄ってくるから、捕まえることは簡単よ」
 ただ、モーラットが居るのはロッカールーム。入れるのは選手だけと言う決まりである。
「片方の選手が皆居なくなって、運営側は混乱してると思うの。あなた達が下之町の野球チームだから代わりに戦いますと名乗り出れば、喜んでロッカールームに通してくれると思うのよ」
 そうなれば、モーラット確保は成功したも同然だ。

「任務はモーラットを連れ帰れば完了だけど……そのままあなた達まで居なくなれば、いよいよ大会は中止になっちゃうわ。そうなれば、ボールのお化け騒動が広まる危険は増すし、ゴーストのせいでイベントが中止になる事自体、好ましくないわね」
 乗りかけた船という奴で、ここは能力者達が一肌脱ぐのがベターなのではないか。莉緒は人数分のユニフォームを机の上に置きながらそう説明した。
「勝敗はそこまで拘らなくてもいいわ、試合をするだけでも皆喜ぶ筈だから」
「でも、やるからには勝ちたいわね」
 早くもグローブを手に嵌め、ボールを叩き付けているのは速坂・めぐる(烈風少女・bn0197)。
 そんなわけで、能力者達は市民球場へと急ぐのであった。

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参加者
日向寺・まひる(緋色のそよ風・b65922)
楚々野・きお(くもくも・b66611)
服部・美波(旋風娘娘・b70633)
矢代木・亜矢音(幽桜太夫・b71473)
アルダ・オーランド(小学生フリッカーハート・b71481)
レアルタ・シーシュネアッタ(春告げの雪・b72590)
カルラ・フィアーズ(無垢なる雷槍・b72791)
竹内・亜斗務(中学生科学人間・b74137)
NPC:速坂・めぐる(烈風少女・bn0197)




<リプレイ>


 冬晴れのこの日、野球大会は開催された。
 下之町の代表チームが棄権すると言うハプニングは有ったが、応援の為球場に来ていた下之町のチーム「リトル・ゲッターズ」が代役を務め、試合中止と言う最悪の事態は免れた。
 ――と言う名目でロッカールームに入った能力者達は、容易くモーラットの保護に成功。
 後は野球大会をつつがなく終わらせれば任務完了だ。

「プレイボール!」
「「おねがいしまーす!」」
 主審のコールと共に、両チーム礼。
 観客達も、鳴り物入りで代表チームを応援する。
 さて、一旦ベンチに戻り守備につくリトル・ゲッターズ(以下LG)の面々。その中にあって、カルラ・フィアーズ(無垢なる雷槍・b72791)は最後の確認とばかりにルールのチェック。
 そんな彼女は守備の要とも言えるショートを守る。
「(女子ばかりで落ち着かなかったな……)」
 サード竹内・亜斗務(中学生科学人間・b74137)はスタメン唯一の男子。皆と同じユニフォームを着てしまえば、確かに女子チームに見える。
「さぁ、締まっていきましょ!」
 グラブをバシンバシンと叩いているのは、レフトの速坂・めぐる(烈風少女・bn0197)。
「野球っ、やきゅうっ、わくわくですー! もっくん、彩さんをよろしく頼みますね……!」
「逆じゃないのか?」
 楚々野・きお(くもくも・b66611)は自らのモーラットを彩に預け、守備位置であるライトへ向かう。
「応援は俺達に任せな!」
「せいぜいエラーをしないようにね」
 学ランを着込み、応援団に扮した賢吾と桜也に送り出されるのは、センターのアルダ・オーランド(小学生フリッカーハート・b71481)。
「わわ、ふかふか〜♪」
「そいつの世話は俺達に任せて、まひるはしっかり守ってくれよな」
「うん! 後ろに逸らさないように重心を低く、だよね」
 捕まえたモーラットをまひるから没収し、膝の上へ載せる進護。
 日向寺・まひる(緋色のそよ風・b65922)は彼からのアドバイスを反芻しつつ、セカンドへ。
「髪の毛は帽子におさまらんなあ。胸もきついし」
 矢代木・亜矢音(幽桜太夫・b71473)は余り動かなくて良いと言う理由でキャッチャーを選んだが、マスクやプロテクターやらを装備して何かと窮屈そう。
「ユニフォームに身を包むと気が引き締まりますね! そういえば、サインとか決めてませんよね?」
「何とかなりますやろ」
 そして先発の服部・美波(旋風娘娘・b70633)。
 サインは決めていないが、それもその筈。彼女はストレートしか投げられないのだ。
「みんなとこうやって野球できるなんて、夢みたいであるです……うぁ、緊張してきたです」
 森の奥で静かに暮らしていたレアルタ・シーシュネアッタ(春告げの雪・b72590)にとって、仲間達と大観衆の中で野球に興じると言うのは当然生まれて初めての経験。高まる鼓動を抑えつつ、ファーストへ。


 対戦相手の「上之町ボマーズ」は、多くの草野球大会で勇名を馳せる強豪チーム。
 その1番打者を務めるのは、俊足を誇る早田。
「女の子ばかりだから、負けても言い訳出来るってわけか」
「ほんまに、うちの町の男衆には困ったモンどすなぁ」
 挑発的なセリフを向けた早田だが、亜矢音は溜息混じりに同意。
「お嬢ちゃん達も大変だな……俺達に任せておけって、手加減して良い試合になる様にするからさ。その代わり、試合後に俺達と何か食べに――」
 ――ズバンッ!
「ストラーイクッ!」
「えっ?」
 ――ズバンッ!
「ストライクッ!」
 マウンド上の美波は、横投げながらかなりの速球を次々ミットへ投げ込んでくる。
「お兄さん優しいなぁ、じゃあ次は外角低めにしたるね」
「えっ、あ」
 ――ズバッ!
「ストライクバッターアウト!」
 中途半端なスイングで早田は三球三振。
 続く2、3番も、美波の速球と亜矢音のささやき戦術の前にあっさりと倒れた。


「君、握りが……」
「……こう?」
 裏の攻撃。先頭打者はカルラだが、球審にバットの握り方を教えて貰っている有様。
 ボマーズの先発はエース清田。甲子園への出場経験も持つ本格右腕だ。
(「ぶつけたりしちゃ可哀想だからな……この辺で適当に」)
 捕手の山田は、外角一杯に構える。
 ――ヒュッ! キィン!
 絶妙なコントロールで投げ込まれた速球だったが、カルラは逆らわないバッティングでクリーンヒット。
「セカンッ!」
 右中間を深々と破る打球で、早々とチャンスを作る。
「……やるじゃないかお嬢ちゃん達。もう手加減しないぞ」
「……」
 打席に入る亜斗務は、山田の言葉に対して諦めたように軽く会釈。
 女子チームと言う事にしてしまう方が面倒がないだろうと判断した様だ。
 ――ビュッ!
 幾分勢いを増した速球が投げ込まれるが――。
 ――コンッ。
 バットの腹で球を受け止めるようなバント。打球は三塁線ギリギリの所を転がる。
「ファースト!」
 カルラを刺すのは不可能と判断し、一塁への送球を指示する山田。
 送りバント成功で一死三塁となる。
「ナイスバント! 後は任せておきなさいっ」
 帰ってくる亜斗務にグーサインを出しつつ、打席に入るめぐる。
 ――ヒュンッ!
「あっ!?」
 だが、本気を出したバッテリーは、打ち気を逸らす様に緩いカーブ。
 ――ガキッ!
 これを、思わず出たバットの先端に引っ掛けてしまう。
 清田は力なく転がってくるボールを軽く捌き、めぐるはアウト。
 これで二死三塁。
「とにかくバットを振ればいいのですよね!」
 左打席に入るのは四番のきお。ブンブンと勢いよく素振り。
 さすがに四番を警戒したバッテリーは、変化球を織り交ぜカウント1−2とする。
(「一応聞くが……歩かせるか?」)
(「ふざけるな! 子供の、それも女を敬遠なんか出来るか!」)
 サインに激しく首を振る清田。山田は用心深く外角低めに構えるが――。
 ――ビュッ!
 ど真ん中に投げ込まれた渾身のストレート。
 ――カキーン!
「あっ」
「飛んでけー!」
 完璧に捉えられた打球は、美しいアーチを描いてスタンドへ。
「さっすが四番!」「ナイスバッティング!」
 満足げに拍手する彩を初め、歓喜に湧くベンチでハイタッチを交わす。
 対照的にマウンド上で崩れ落ちる清田。
 LGは幸先良く、2−0と先行した。


 しかしボマーズも、2回以降は完全に本気を出してくる。
 直球オンリーの美波は打たれるシーンが増え、亜矢音のささやき戦術にも完全無視を徹底している様だ。

 4回表、この回も先頭打者にヒットを許し無死一塁。
 リードを許しているボマーズは、送りバントではなくヒッティングを選択。
 ――キンッ!
 鋭い当たりが、美波の横を抜ける。
「っ!?」
 ――バシッ!
 センター前に抜けるヒット性の当たりを止めたのは、飛びついたカルラのグローブ。
「こっち!」
「これで、いいのかな……?」
 言うが早いか、倒れたままのカルラがボールをトス。
 まひろはそれをセカンド上で受け取るなり、ランナーのスライディングをかわしながらのジャンピングスロー。
「あっ!」
 しかし、無理な体勢でのスローイングで送球はやや横に逸れる。
 皆息をのむが――
 ――バスッ。
「アウト!」
 レアルタはつま先をベースにつけながら、思い切りグラブを伸ばしなんとか捕球。643の併殺が成立し、このピンチを凌ぐことが出来た。

 しかし、6回表。二死満塁の更なるピンチを迎え、内野陣はマウンド上に集まった。
「……こうなったら、魔球ムーンストレートを」
「ただのストレートやないの」
「こうなったら、開き直って行くしかないです!」
「うん、私達も全力で守るよ」
 思案顔のバッテリーへ、励ますように言う内野手達。外野もグラブを叩いて声を上げ、観客席からも必死の声援が送られる。
 頷いた美波は、ロージンを数回手の上で踊らせ、次の打者を見据える。
「中々頑張ったなお嬢ちゃん達。だがそれもここまでだ」
 ボマーズ不動の四番、主将の剛田が打席に入ると今度はスタンドの左半分が沸き上がる。
「食らえ! 魔球ムーンストレート!」
 ――ビュッ!
 ワインドアップから渾身の直球を投げ込む美波。
 ――カキィンッ!
 しかしさすがに、剛田は鋭いスイングでセンター方向へ弾き返す。
 打球はぐんぐん伸びてゆき――
「私より先にホームランなんて打たせてたまるか!」
 フェンスによじ登ったアルダが必死にグラブを伸ばす。
 ――ばちっ。
 スタンドインするはずだった打球は、グラブの先端に当たってグラウンドへ転がり落ちる。満塁ホームランこそ防いだが、ランナーは既に一人生還。セカンドランナーも三塁を蹴ろうとしている。
 バックアップすべく走って来ていたきおは、転がるボールを素早く拾い上げ、本塁目掛け返球。
 ――ギュンッ!
 唸りを上げるような鋭い返球は、レーザーの様に本塁へ。しかしセカンドランナーもすぐそこまで来ており、クロスプレーは必至。
 亜矢音はミットを低く構え、ダイレクトのボールをキャッチ。
 ――どかっ!!
 その瞬間、強かにランナーのタックルを受け、思い切り吹き飛ばされる。
 マスクも外れ、数回転する亜矢音だったが――
「アウト!!」
 球審の拳が振り上げられる。
 亜矢音のミットにはしっかりと白球が収まっていたのだ。
「楽やないねぇ、キャッチャーも」
 怪我もない様子で亜矢音が立ち上がると、ライトスタンドからは一層大きな喚声が沸き起こった。


 LGは6回裏の反撃。まひるから下位に繋がる打順。
 ――ヒュッ。
 息詰まる戦いで心身の疲労が大きくなったせいか、清田は明らかな失投。緩い半速球がストライクゾーンへ。
「いっけー!!」
 すさまじい気魄と共にフルスイングのまひる。
 青空の彼方へと高く舞い上がる――バット。
「ストラーイク!」
「わわわごめんなさい〜!」
 慌ててすっぽ抜けたバットを拾いに行くまひるだったが、その後2−2からのカーブを巧く運んでセンター前ヒット。
「やったー!!」
「いいぞまひる、ナイスヒット! 後は任せろ」
 ベース上で飛び上がるまひる。代走に出た進護とハイタッチを交わす。
「あんまり、早いのは怖いのでお手柔らかにね?」
 打席に入る亜矢音だが、ここに至っては相手も手抜きはしてこない。それどころか、ピッチャー交代でリリーフの香取を投入。
 かなりの球速と球威を誇る右腕の前に、ファウルで2ナッシングと追い込まれる。
 ――ヒュッ!
 投じられた3球目は、落差のあるフォーク。
 ――ガキッ。
 何とか食らい付く亜矢音。
 ボールはぼてぼての当たりでピッチャー前に転がる。
「ファースト!」
 しかし打球に勢いが無かったことと、進護の好スタートが功を奏し、結局進塁打の形になった。
 これで一死二塁。
「球を良く見て右方向……球を良く見て……」
 仲間のアドバイスを呪文の様に繰り返しつつ打席に入るレアルタ。
 ――ヒュッ!
「あっ!」
 ――ガキンッ。
 しかし投じられたのは、逃げてゆくシュート回転の球。バット先端に引っ掛ける。
 セカンド前に転がるが、これも三塁送球は間に合わず進護は更に進塁。
 二死三塁。
「チャンスですね」
 普段からバットの扱いには慣れていると自負する美波だったが……。
「カッキーン! ……あれ? 球どこいったの?」
「ここだよここ」
「ストライクバッターアウト!」
 豪快な空振りで結局三振。得点はならず。


 チャンスの後にピンチ有り。常に全力投球を続けてきた美波だが、体力もかなり消耗しつつあった。
 7回表には連打を許し同点。尚も無死二、三塁。
 ――カキンッ!
 またも痛烈な当たりが三塁線を破ろうかと言う所。
 ――バシッ!
 見事な反応を見せた亜斗務がダイビングキャッチ。ようやく1つめのアウトを取る。
「いたた……ああ、やっぱり僕、監督の方が向いてるなあ」
 砂埃を払いつつ、立ち上がる亜斗務。
 ――コンッ!
 今度はスクイズ。一塁線に転がるボール。
「っ!?」
 レアルタは猛然と走り込んでボールを拾い上げるが、本塁は間に合わない。振り向きざま、一塁へ送球。
「アウト!」
 カバーに入っていた美波がしっかりこれをキャッチし、二死二塁。しかし一点のビハインド。
 その後は、バッテリーの踏ん張りで三振に凌ぐ。

 8回裏。
 カルラのヒットと亜斗務の送りバントで一死二塁とするが、気負いすぎためぐるは三振で二死二塁。
「チャンスだよ、楚々野」
 彩も見守る中、打席に入るきお。
 バッテリーは暫しベンチとサインの確認をしていたが、結局勝負を選択。
 ――キンッ!
 内角低めの球を、巧く打ち返すきお。ショートも必死に飛びつくが、センター前へ抜ける。
「ホーム!」
 カルラは三塁を回り、レフトからはボールが帰ってくる。
 ――ズザァッ!
「セーフ!」
 クロスプレーになったが、カルラが生還し再び3−3の同点。
「よぉし、打てたら約束通り言う事聞けよ、カツラギ! ちゃんとこっち見てろ、ゴリョー!」
 お決まりのホームラン予告をしつつ、打席に入るアルダ。スタンドからは二人も学ラン姿で応援している。
 だが、今の所彼女は全打席三振。
 ――ヒュッ!
 初球、フォークを豪快に空振り。
「盗塁!?」
 だが、この局面で大胆にもきおはスタートを切っていた。悠々二塁を盗む。
「とにかく攻め続ける! それがきおの極意なのです!」
 二塁ベース上でVサイン。一打勝ち越しのチャンスだ――が。
「三盗!?」
 二球目、きおはまさかの三塁盗塁。
「アウト!」
 今度はアウト。結局この回は同点止まり。


 9回表の猛攻を凌いだLGは、裏の攻撃。
「脳天の場所はココだぜ! 打ち抜け、アルダ!」
「期待はしてないけど」
 賢吾と桜也も応援する中、再び打席に入るアルダ。
「よし、あの大空に叩きつけるようなの打ってやる!」
「この五番は安牌だからな……軽く三振っと」
 ボマーズのバッテリーは、その後に控える進護や亜矢音との対決を見据えつつ、カウントを取りに来る。
 アルダの外見とこれまでの打席から、そう判断するのは仕方ない事だろう。
 ――ヒュッ。
「貴様らの脳天目掛けて飛んでいけぇぇぇ!」
 ――ガキィィンッ!!
 思い切りのフルスイングが、白球の真芯を捉える。
 打球は2人の脳天どころか場外まで飛んで行き、アルダがダイヤモンドを回る間、球場は割れるような喚声の渦に包まれたのだった。

「いやあ、イイ汗かきましたね!」
「喉渇いてないであるですか? レモンの蜂蜜付けもあるですよー」
 表彰式等を終え、勝利の余韻冷めやらぬ中、球場を後にするLGの面々。勿論モーラットも一緒だ。
「皆と野球できてよかったー! 超気持ちいいっ!」
「うん、これが『野球』なんだね。すっごく楽しかった♪」
「さ、町の人達に見つかる前に帰りましょ」
「これだけやっておいて、部外者だってばれたら大変だもんね」
 かくて野良モーラットによる被害を防ぎ、野球大会を大いに盛り上げたヒーロー達は、静かに凱旋の途についたのだった。


マスター:小茄 紹介ページ
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作成日:2010/02/25
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