火を噴く辛さ!


<オープニング>


●都内某所
 物凄く辛い料理ばかりを出す事で有名な料理店があった。
 料理店で出されていたのは、和洋中の激辛料理。
 激辛カレーに、激辛ラーメン、激辛スパゲティに、激辛寿司。
 例え、お客が普通のものを食べたいと言っても、おかまいなしに辛い料理を出していたようである。
 その上、料理店で出されていた飲み物は、辛いものばかり。
 一滴の水さえ飲む事を許されず、料理を食べている途中で倒れる客までいたほどだった。
 そのせいでクレームが殺到!
 店側の言い分としては、『辛いものを売りにしているのだから、文句を言われる筋合いは無い』という事だったが、そんな事は知ったこっちゃ無いと言わんばかりに、被害者達が裁判を起こしたせいで、店は閉鎖に追い込まれてしまったようである。
 そして、この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃墟と化した激辛料理店。
 この料理店では激辛料理しか出さなかったらしく、小辛、中辛、大辛、激辛、極辛、地獄、冥界にランク分けされていたみたい。
 まぁ、よほどの物好きでも無い限り、大辛以上は頼まないんだけど……。
 たまに根性試しや、罰ゲームで、冥界レベルを食べちゃったらしいのよ。
 それであっという間に、ばたんきゅー。
 すぐに救急車を呼べって騒ぎになって、被害者から訴えられたりした事もあったようなの。
 もちろん、店側もきちんと説明した上で、冥界レベルの料理を出していたんだけど、お客は『まさか、そこまで辛いとは思わなかった』って逆ギレ状態。
 まぁ、そうでもしなきゃ、自分達の責任になるって思ったのかも知れないけど……。
 ちなみにリビングデッドと化したのは、この店の常連客。
 本当の意味で料理の味を理解し、店を守り続けようとした人達。
 辛いものを食べ過ぎたせいで、リビングデッド達は火を噴いてくるわ。
 それと、テーブルのひとつが特殊空間と化していて、料理人風の地縛霊が留まっているみたい。
 この地縛霊は自分の料理に対してプライドを持っているらしく、『マズイ』という言葉はご法度。
 そんな事を言ったら最後。
 次の言葉を言う前に鉄拳制裁よ。
 しかも、特殊空間の中は空気まで辛いほど、スパイシー。
 その上、地縛霊は辛いものを飛ばしてきたり、炎を吐いてきたりから気をつけてね。

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参加者
ガイ・ブリアード(裸足の格闘筋肉バカ・b00913)
青神・祈赤(凶剣・b15162)
遠野・由香里(紫紺の癒し手・b15424)
湯城・愛美(私をアイミーと呼ぶなッ・b34387)
シャレル・マリア(紅暁の娘・b37076)
日比野・遊(エロスの王子様・b37467)
ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)
リーリィ・デロンギ(剣帝の娘・b52531)
紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)
渡来・深青(蒼き虎威・b63378)
颯生・ムジカ(天上音樂・b67603)
護宮・マッキ(五線譜上で踊る雪男・b71641)



<リプレイ>

●辛さ爆発
「激辛カレーに、激辛ラーメン、激辛スパゲティに、激辛寿司……ですか。普通に美味しい辛さで食べたい私としては、とってもハードルの高いお店ですね。冥界レベルという表現も凄いです。きっと選ばれた勇者の方々がチャレンジするのでしょうね」
 ゴーストが確認された料理店に向かいながら、颯生・ムジカ(天上音樂・b67603)がチラシに目を通す。
 チラシには店で出されていた料理のメニューが載っており、どれも血のように赤くて見るからに辛そうだ。
「カレー、ラーメン、スパゲッティ、寿司。どれも俺さまが大好きだ! これで辛くなかったら文句なしだけど、理由はどうあれ、辛い物を売りにしているお店なんだから、行く人はやっぱ覚悟はして行かないとダメだよな。せめて水くらい飲ませてあげれば状況が変わっていたと思うけど……」
 当時の新聞記事を読みながら、渡来・深青(蒼き虎威・b63378)が溜息を漏らす。
 激辛を売りにしているだけあって、かなり強気の態度でいたらしく、水を欲して倒れる客も少なくなかったらしい。
「何だか……、想像しただけでも鳥肌が……。じ、実は私……タコと辛い物は苦手なんです……」
 青ざめた表情を浮かべながら、ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)が汗を流す。
 想像しただけでも寒気が走っているため、本当に辛いものが苦手なようである。
「しかも、辛さにランクがあったんですよね? そこまで拘っていたと言う事は、辛いものがお好きな人達が来ていたわけですから、逆ギレするのはちょっと……と思いますけど」
 当時の新聞記事を読みながら、遠野・由香里(紫紺の癒し手・b15424)が呟いた。
 きちんと説明したにもかかわらず、そんな事になっていたのだから、間違いなく客側に非があったはずである。
「激辛料理店で辛い物を出されてキレるなんて、ノーパンしゃぶしゃぶ店で女の子がノーパンやとキレるようなもんや。そう考えるとクレームつけた奴や、裁判を起こした連中がどんだけアホかっちゅー事がよく分かるわ」
 不機嫌な表情を浮かべながら、日比野・遊(エロスの王子様・b37467)がキッパリと言い放つ。
 店員の説明があまりにも現実離れしていたせいで、まったく信用していなかったのかも知れないが、例えそうであったとしても裁判沙汰にする事ではない。
「……本当にクレーマーって怖いなぁ。そういえばこの前、師匠の雀荘で何かクレームを付けていた人がいたけど、あの人どうなったんだろ? スタッフルームに連れて行かれたっきり戻ってこないし、師匠に聞いても『そんな人、知らないわよ?』って笑顔で言われるし……」
 似たような出来事を思い出しながら、紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)が首を傾げた。
 だが、發音の本能がその事には触れるべきではないと警告音を発していたため、真相が分からぬままのようである。
「それって……、まさか。いや、なんでもないよ。今回の事件とは関係ないし……。それよりも、今回の事件……、かなり根が深そうだね」
 乾いた笑いを浮かべながら、護宮・マッキ(五線譜上で踊る雪男・b71641)が話題を戻す。
 何となく發音の話も木になるのだが、あまり深く関わると後戻りが出来なくなりそうである。
「何だか話を聞いていると、一概にどちらか一方が悪いとか言えない様子ですね。客も罰ゲームとか、軽率な考えが度し難い。店はこだわって料理出しているんだったら、配膳制限くらいつければいい。どちらもとことん馬鹿で、罪深い」
 両方の言い分を調べた上で、リーリィ・デロンギ(剣帝の娘・b52531)がバッサリと切り捨てた。
 おそらく、お互いの認識が異なっていたせいで、このような事になったのかも知れないが、いまさら何を言っても手遅れである。
「世の常識とか大概離れて久しい私だが、客がぶっ倒れても営業している飲食店があるたァ世界もまだまだ広いな。その上、営業許可が出ていたのが不思議でならない」
 険しい表情を浮かべながら、湯城・愛美(私をアイミーと呼ぶなッ・b34387)が答えを返す。
「まぁ、営業をしていたという事は、行政が許可を出す程度の代物だったんだろう。そんなものでどれほどのものを失ったのかは知らないが、その不運を捩じ伏せる事が出来なかったのは、己の不手際に他ならないが……」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、青神・祈赤(凶剣・b15162)が店内に入っていく。
 それと同時にリビングデッド達が現れ、祈赤達めがけて真っ赤な炎を吐き捨てた。
「ほ、本当に火を吹いてる!? やっぱり、辛いものを食べ過ぎたせいかな」
 驚いた様子で後ろに下がり、シャレル・マリア(紅暁の娘・b37076)が火を眺める。
 リビングデッド達は顔を真っ赤にして大きく息を吸い込み、シャレル達をジリジリと追い詰めていく。
「甘党のオレには死んでまで、この店を守ろうとするこいつらの気持ちはわからねえな。被害者が増える前にとっとと片付けるか。……とそうこう言っている間にリビングデッドどもが出てきたな。ここはオレ達に任せてお前らは特殊空間へ急げ!」
 リビングデッド達の行く手を阻み、ガイ・ブリアード(裸足の格闘筋肉バカ・b00913)が仲間達に声をかける。
 それと同時に仲間達が全速力で走り出し、地縛霊の確認された場所を目指すのだった。

●辛くて何が悪い
「わわ、熱いです……。私達は店を潰そうとはしてませんよ?」
 リビングデッド達に語りかけながら、由香里が森王の槍を撃ち込んだ。
 その一撃を喰らってリビングデッドがバランスを崩し、瞳を血走らせて真っ赤な炎を吐く。
「辛いのが苦手な俺さまには、最悪の攻撃方法だな」
 必死に炎を避けながら、深青がリビングデッドに震脚を放つ。
 だが、リビングデッド達の吐く炎が熱いだけでなく、物凄く辛いせいで相手の急所をつく事が出来なかった。
「その程度の火吹き芸なぞオレの技の前には意味ねえぜ!」
 リビングデッド達の資格に回り込み、ガイがライトニングストームを発動させる。
 裂帛の気合によって発生した激しい風雨と無数の稲妻は、リビングデッド達に襲い掛かり、火を吐く隙すら与えない。
「辛いものもよいですが、食べてばかりでは次に美味しいものが食べられません。腹ごなしにダンスもよいものですよー」
 含みのある笑みを浮かべながら、ムジカがダンシングワールドを発動させる。
 それに合わせてリビングデッド達がダンスを踊り、あちらこちらに炎を吐いた。
「今回はいつものように未織ちゃんもおらんし、お仕置き軍団のあの人とかあの人とかあの人もおらんから、適当に頑張ろうか……。いや、待て。ここでええところを見せたら、彼女にしてほしいという女の子が出てくるかもしれんへん。 そうや! ここはいつものノリやなく、真面目にゴースト退治するんや。彼女を作る為やったら真面目に頑張るで」
 魔弾の射手を発動させながら、遊がキリリッとした表情を浮かべる。
「まぁ、口に出さなくても同じ事だが……」
 クールな表情を浮かべながら、愛美がリビングデッドに森王の槍を放つ。
 それと同時にリビングデッド達が我に返り、唸り声を響かせて一斉に炎を吐く。
「辛いのがお好きでも火を噴くのはやり過ぎだと思います」
 炎を避けるようにして飛び上がり、ムジカが旋剣の構えを発動させる。
 しかし、リビングデッド達はまったく聞く耳を持たず、ムジカ達を追い詰めるようにして炎を吐き捨てた。
「熱っ苦しいわ!? つーか、文字通り熱くて苦しいわ! 本気でどんだけ拘っているんだ! もっとこう、その情熱を別の方向に!?」
 素早い身のこなしで炎を避け、愛美がブツブツと愚痴をこぼす。
 それに合わせて遊が愛美を護るようにして陣取り、リビングデッドにライトニングヴァイパーを放つ。
「彼女になりたい女の子は誰でもウェルカム。オレの胸に飛び込んでくるんや!」
 歯の浮くような台詞を吐きながら、遊が真っ白な歯をキラリと光らせる。
 だが、まわりに寄ってくるのは、身も心も腐りきったリビングデッド達ばかり。
「このお店はもうなくなってしまったんですよ? ここで終わりにして差し上げます」
 リビングデッド達に語りかけながら、由香里が近距離から光の槍を撃ち込んだ。
 その一撃を喰らって地縛霊が血反吐を吐き、断末魔をあげて崩れ落ちる。
「これで終わりだ。まとめてぶっ飛べ! ブリアードライトニング!!」
 リビングデッド達を射程範囲内に捉え、ガイが再びライトニングストームを発動させた。
 次の瞬間、激しい風雨と無数の稲妻がリビングデッド達を襲い、次々とトドメをさしていく。
「ふぅ……、終わったか。なんやろう……。別に難しい依頼でもなかったのに、なんか妙に疲れたわ……。やっぱり乳尻太もも成分が不足しとるんかな。次に未織ちゃんに会った時にたっぷり補充するか」
 リビングデッド達を全滅させ、遊がどこか遠くを見つめる。
 やはり自分の魅力を本当の意味で理解してくれるのは、彼女しかいないと思いつつ……。
「俺は辛いのより、甘いのがいい! みんなで甘い物でも食いに行くか」
 心底疲れた様子で溜息を漏らし、深青が仲間達を食事に誘う。
 今回の一件で深青はハッキリとわかった事がある。
 やはり、辛いものより、甘いもののほうがいいと……。

●辛さ100倍!
「おおっ、本当に辛い! ついでに空気も物凄いスパイシー! ……目がしみるかも〜」
 両目を真っ赤にさせながら、シャレルがライカンスロープを発動させる。
 特殊空間の中は空気まで辛いせいか赤く染まっており、その中で地縛霊が涼しそうな顔をしていた。
「この場所に相応しい辛い空間ね」
 納得した様子で辺りを見回しながら、リーリィがスピードスケッチを放つ。
 それに合わせて、ケルベロスベビーが間合いを詰め、地縛霊の逃げ道を完全に塞いでダメージを与えた。
「しかし、空気まで辛いとは興味深い。息をするたびヒリヒリする」
 険しい表情を浮かべながら、祈赤が虎紋覚醒を発動させる。
 それと同時に地縛霊がいやらしい笑みを浮かべ、次々とカレーの塊を飛ばしてきた。
「踊りと料理は一文字違い。どっちがHOTか勝負してやんよ!」
 満面の笑みを浮かべながら、マッキがダンシングワールドを発動させる。
 だが、地縛霊はダンスを踊らず、かわりに燃えるように熱いカレーの塊を飛ばす。
「こ、こんな辛い物……この世から消し去って差し上げます!」
 苦悶の表情を浮かべながら、ブリギッタがカレーの塊を避けていく。
 その間も地縛霊は涼しい顔を浮かべ、今度は勢いよくキムチの塊を飛ばす。
「ううっ……、匂いのせいでお腹が減ってきた。今なら白米だけで丼飯5杯は軽くいけそう。あう……、ヨダレを垂らしている場合じゃないや」
 ゴクリと唾を飲み込みながら、發音が地縛霊にスピードスケッチを炸裂させた。
 彼女が描いたのは、ターバンを巻いた怪しいインド人(スパイシー君)。
 そのため、地縛霊はキムチの塊を飛ばす事が出来ず、悔しそうな表情を浮かべた。
「さすがに辛くなってきたかも」
 地縛霊にグラインドアッパーを放ち、シャレルが苦しそうに膝をつく。
 身体を動かすたびに辛さが痛みとなって全身を襲うため、徐々に意識が朦朧とし始めている。
「辛い物をあの世まで引きずるなんて……信じられません。辛い物は、いつか滅びる運命なんです!!」
 凍てつくような冷気を纏った長剣を構え、ブリギッタがフロストファングを叩き込む。
 その一撃を喰らって地縛霊が血反吐を吐き、傷ついた左腕を守るようにしてキムチの塊を飛ばしてきた。
「当たっても痛くないが……、不快だな」
 不機嫌な表情を浮かべ、祈赤が地縛霊をジロリと睨む。
 しかし、地縛霊はまったく空気を読まず、唐辛子料理やハバネロスパゲティなどを投げてきた。
「ところで地縛霊さん。辛いものじゃなくて、辛くて美味しい料理を飛ばしてくれないかな? 僕、お腹ぺこぺこでもう力が出ないよ……」
 物欲しそうにしながら、發音がグウッと腹を鳴らす。
 その一言を聞いて地縛霊がこめかみをピクつかせ、『美味しい料理だぁ!?』と問い返す。
「だって、どれもマズイだろ!! まさか辛い物の食べ過ぎで、味覚が麻痺しているのか?」
 キムチの塊が直撃し、マッキが思わず本音を口にする。
 次の瞬間、地縛霊が唸り声を響かせて間合いを詰め、目にも留まらぬ速さでマッキに鉄拳制裁をお見舞いした。
 それでも、マッキは『マズイ、マズイ』を連発し、地縛霊の鉄拳制裁を何度も喰らう。
「プライドがあるなら、料理で勝負しなさいよね。客に『食』の満足を伝える手で暴力とは、三流も甚だしい。そういう事をしているから、マズイって言われるのよ」
 不機嫌な表情を浮かべながら、リーリィが地縛霊を叱りつける。
 そのため、地縛霊がイライラした様子で、『だったらお前から料理してやらぁ』と迫ってきた。
「くっ、甘いぜ! ……辛いけど。知っているか? インドじゃカレーにはカレーリーフっていう葉っぱを生で入れるんだ。断然おいしく辛くなるよ! 日本じゃ育たないけどね」
 ヘブンズパッションを使い、マッキが地縛霊を見つめてニヤリと笑う。
 だが、必要以上にダメージを受けてしまったため、立っているのがやっとである。
「……また殴るの? こんなにマズイを食べさせた癖に!」
 瀕死のマッキを守るため、シャレルが背後から地縛霊を挑発した。
 それと同時に地縛霊が勢いよく振り向き、シャレルの放ったグラインドアッパーをモロに喰らう。
 その一撃を喰らって地縛霊が空に向かって炎を吐き、断末魔をあげて特殊空間もろとも消え去った。
「……終わりましたね。気分転換に甘いものでも食べにいきませんか♪」
 新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ後、ブリギッタが仲間達を食事に誘う。
 そして、能力者達は食事に行くため、料理店を後にするのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2010/04/23
得票数:楽しい9  カッコいい1 
冒険結果:成功!
重傷者:護宮・マッキ(五線譜上で踊る雪男・b71641) 
死亡者:なし
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