デカけりゃ、イイッてモノじゃない


<オープニング>


●都内某所
 筋骨隆々の漢達が働く喫茶店があった。
 そこで働けるのは、厳しい審査を潜り抜けた屈強な漢達。
 全員ビキニパンツ一丁で、どんなに寒い日でもポージングでお出迎え。
 身体に塗ったオイルをテカテカさせて、いつでもテンションマックス状態。
 どんな時でも決して手を抜かず、100%で接客する姿勢で、ある意味凄かった。
 だが、しかし……。
 あまりにもテンションが高すぎるせいで、お客の大半がドン引き。
 『ゆっくりする事が出来ない!』というクレームが殺到し、喫茶店は閉店に追い込まれた。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃墟と化した喫茶店。
 ここの店員はボディビルをしていたらしく、油を塗ってテカテカだったらしいの。
 店で出されていたメニューの内容も凄くて、プロテインドリンクやプロテインティー、プロテイン茶なんてものがあったらしいわ。
 他にもボリュームを表すのに、ダンベル(並)、バーベル(大盛)とか言っていたらしいの。
 リビングデッドと化した店員達は、侵入者を見つけるとハイテンションで、『いらっしゃいませ!!』と叫んで、ポージングを繰り出してくるわ。
 接客してくるって言うより、突進してくる感じだから、怪我をしないようにしてね。
 それと『ひとつ上の漢ルーム』が特殊空間と化していて、地縛霊と化した店長が留まっているようなの。
 特殊空間の中はトレーニングルームそのもの。
 ボンヤリしていると、トレーニング用具が飛んでくるから、要注意。
 その上、足元がヌルヌルしているから、くれぐれも気をつけて。

マスターからのコメントを見る

参加者
ガイ・ブリアード(裸足の格闘筋肉バカ・b00913)
夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)
ミラノ・グリフ(鋏角衆・b28438)
相馬・真理(暖かき絆は確かな希望の光へ・b29620)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
土御門・愁院(鋏角衆が一戰鬼・b32806)
姫神・くくり(掬花・b36996)
葉月・リオ(全身凶器のツンギレ娘・b46737)
紫之宮・真(高校生土蜘蛛の巫女・b54552)
真継・藤吾(ハーレムキノコ事件簿・b62004)
鳳・華瑠羅(お嬢様番長・b67461)
リルフィリア・ファルクス(シルバーバレット・b76322)



<リプレイ>

●筋肉一番
「この前、ゴースト退治に行った時、こういう喫茶店にしたらどうかとか言ったが、まさか実在したとはな。もし閉店していなければ、喜んで通ったんだが……。やっぱ日本人、受けはしねえのか、こういう店は?」
 ネットを使って調べた情報をプリントアウトした上で、ガイ・ブリアード(裸足の格闘筋肉バカ・b00913)が一枚ずつ目を通していく。
 だが、内装もいい感じでメニューも特色があって面白いため、ガイにはどうしても人気がなかったのか理解する事が出来なかった。
「きっと、オレが混ざっても違和感ないんだろうな……」
 複雑な心境に陥りながら、ミラノ・グリフ(鋏角衆・b28438)が汗を流す。
 何だか和気あいあいとうまくやっていけそうで怖い。
「まぁ、商売の為に趣向を凝らす事はいいとは思うんですが……、これは方向が斜め上を行ってらっしゃる感じですねぇ。需要は無きにしも非ずなんでしょうが、まあなんというか……」
 頭の中で言葉を選び、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が口を開く。
 確かにその筋の客には受けそうだが、普通の客にとっては近寄り難い雰囲気がある。
 まるで見えない結界でも張られているかのように……。
「う、うーん……、話を聞く限り、かなり個性的な、お店だったんですね。……刺激が強そうと、言うか、暑苦しい、というか。筋肉とか、鍛えている人が、悪いと、言うわけでは、ないですが……。ある意味、凄そう、っていうの。……正直、わかる、気がします。でも、個人的に言えば、ゆっくりできない、喫茶店は、イヤ、ですね」
 何度も言葉に詰まりながら、相馬・真理(暖かき絆は確かな希望の光へ・b29620)が答えを返す。
 その答えを聞いてガイが『そうなのか』と呟き、ガックリと肩を落とした。
「メイド喫茶や妹喫茶とかならまだ心に潤いが出来るが……、美しくねーな。一部のマッスルマニアにはウケていたようだが、需要は著しく低かったようだぜ」
 何処か遠くを見つめながら、真継・藤吾(ハーレムキノコ事件簿・b62004)が乾いた笑いを響かせる。
 ちなみにここで一番人気であったプロテイン茶は、一般人からすればドブのような臭いがしたらしい。
 もちろん、それは例えであって衛生的には何の問題もないのだが、普段からプロテインを飲んでいるものでなければ口をつける事さえ出来なかったようだ。
「いくらなんでもそんな熱い喫茶店は御免ですね……」
 苦笑いを浮かべながら、紫之宮・真(高校生土蜘蛛の巫女・b54552)がボソリと呟いた。
 喫茶店の従業員はいつでもハイテンション。
 お客達の鼓膜が破れるほどの大声をあげていたため、クレームが絶えなかったようである。
「ん……と、『筋肉隆々』、図書館……、調べた。すごい筋肉の……事? くくり、チビだから……すごい筋肉……ちょっと、うらやましい……かも? ん……、でも……パンツだけ……は、風邪ひくし……嫌……かな」
 図書館で得た情報から想像を膨らませ、姫神・くくり(掬花・b36996)が自分なりの考えを述べた。
「それって、ボディビルの事だろ? 俺あんま魅せるための筋肉っつーのは憧れないんだけど……。こう、やっぱり細マッチョといいますか。しなやかな身体の方が良くねぇ?」
 陽気な笑みを浮かべながら、夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)が仲間達に話しかける。
 仲間達の反応は様々であったが、結論として『この喫茶店は度が過ぎた』という事になった。
「どんな事でも程々がいいわね。ムキムキマッスルだけなんて、見ているのも嫌だわ」
 不機嫌そうな表情を浮かべ、リルフィリア・ファルクス(シルバーバレット・b76322)が廃墟と化した喫茶店に足を踏み入れた。
 その途端、リビングデッドと化した従業員達が一斉に駆け寄り、『いらっしゃいませぇ!!!!』と叫んでポージングを決める。
「まったく暑苦しそうなリビングデッド達のようですね、まあ鍛えぬいた肉体は嫌いではないですが……」
 リビングデッド達の身体を眺め、鳳・華瑠羅(お嬢様番長・b67461)がイグニッションをした。
 それに合わせてリビングデッド達が満面の笑みを浮かべ、『ご注文は何にしますか?』と言って真っ白な歯をキラリと輝かせた。
「これは……、ひどい。確かにトレーニングとか大事だし、あたしも鍛えるのは好きだけど、絶対に何か間違っている!」
 リビングデッド達のやり方を納得する事が出来ず、葉月・リオ(全身凶器のツンギレ娘・b46737)が断言する。
 その言葉を聞いてリビングデッド達にショックを受け、『申し訳ありません。我々の気合が足りなかったのですね!』と見当違いな事を言って全身の筋肉を隆起させ、全身全霊を込めてポージングを炸裂させた。
「実戦の伴わぬ硬化した筋肉など、見せ物に過ぎぬ。柔軟且つ強靭な筋肉こそ至高よ。それが分からんのかっ!」
 リビングデッド達を叱りつけながら、土御門・愁院(鋏角衆が一戰鬼・b32806)が地縛霊の確認された場所を睨む。
 そこにすべての元凶がいるのなら、一刻も早く倒さねばならない。

●気合も一番
「……んー……、と、すごい筋肉。やっぱり……あんまり、うらやましい……ちがう……の」
 リビングデッド達をマジマジと眺め、くくりが茨の領域を発動させる。
 その途端、リビングデッド達がポージングしたまま茨が絡まり、色々な意味でヤバイ光景が辺りに広がった。
「うぅ……、早く帰りたい……。た、倒さなきゃ、いけない事は、分かっているんですが……。ある意味、戦いにくい、敵です……ね!」
 全身に鳥肌を立たせながら、真理がリビングデッドに森王の槍を放つ。
 その一撃を喰らってリビングデッドが吹っ飛び、ポージングを決めたまま動かなくなった。
「いやぁ、何と言うか……アレですね、同じのが複数いるとむさくるしくて……。まあ、あなた方は死んでいるわけですし、大人しくもう一回死んでもらいましょうか」
 予め黒燐奏甲で底上げした上で、洋角がリビングデッド達に暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 次の瞬間、リビングデッドの身体に黒燐蟲が纏わりつき、何故か洋角の方が気持ち悪くなった。
「マッチョなのは惜しいが、ゴーストは守備範囲外だ。だからこの手で成仏させてやるぜ」
 リビングデッド達を射程範囲内に捉え、ガイがライトニングストームを発動させる。
 それと同時に裂帛の気合によって激しい風雨と無数の稲妻が召喚され、次々とリビングデッド達を攻撃していった。
「さあ、狩りの時間ですわ、楽しませてくださいね」
 含みのある笑みを浮かべながら、華瑠羅がハンティングモードを発動させる。
 それに合わせてリビングデッド達が全身に油を塗りたくり、『気合十分っ! これで最高の接客が出来る!』と叫んでニヤリと笑う。
「よし……、覚悟してね……」
 森羅呼吸法を発動させながら、ミラノが自分の気持ちを落ち着かせる。
 リビングデッド達が妙に生々しく動いたせいで、先程から気持ちが悪くなっていたのだが、これでしばらくの間は気にせず戦う事が出来そうだ。
「おーし、今度は纏めて相手してやるぜ! この蹴りを止められるか? ブリアードキ――ック!!」
 リビングデッド達を引きつけながら、ガイが龍尾脚を炸裂させる。
 その一撃を喰らってもリビングデッド達は立ち上がり、全身の筋肉を必要以上に隆起させてポージングを決めた。
「……ん? おにーさん達、それは何のポーズ……?」
 不思議そうに首を傾げながら、くくりがリビングデッド達に問いかける。
 その問いにリビングデッド達がニカッと笑い、『これが我々の接客スタイルさ』と答えを返す。
「み、皆さん、ダイジョブ、ですか……? 今、回復します、からね」
 気分が悪そうに口元を押さえながら、真理がヤドリギの祝福を発動させる。
 それでも、リビングデッド達はポージングを繰り出し、ジリジリと真理達に迫っていく。
「そのポージングが気持ちわりーんだよ! こら、油を塗るな! 食いもんや食器に油ついたらどうすんだ! 店員のテンションがマックスでも、客のテンション落としたら意味がねぇ事を『肝に銘じておいてくださ〜い!』ってな!」
 リビングデッドに叱りつけながら、藤吾が森羅呼吸法で強化したフェニックスブロウを叩き込む。
 それに合わせて華瑠羅がバレットインフェルノを放ち、リビングデッドを魔炎に包む。
 だが、リビングデッド達は『接客命ぃ!』とばかりに雄叫びを響かせ、藤吾達に襲い掛かってきた。
「某2丁目だったら、こういう店が受けたかも知れないが……。悪いな。ゴーストに手加減は出来ねぇんだ」
 リビングデッドの懐に潜り込み、ガイが龍尾脚を炸裂させる。
 その一撃を喰らってリビングデッドの身体が宙を舞い、『またのご来店をお待ちしていますっ!』と叫んで床に転がった。
「さて、いまので最後でしょうか? 暑苦しいだけの奴らでしたね。総長やアーダン先輩の方が100倍かっこいいです」
 リビングデッド達を全滅させ、華瑠羅がキッパリと言い放つ。
 確かにリビングデッド達の肉体は十分に鍛えられていたが、お客を魅了するだけの力がないように思えた。
「バーベルとか、ネーミングセンスは若干あるっぽいから、もーちょい度を越さなきゃ、繁盛したかもしんねーな、この店」
 何となくそんな事を考えながら、藤吾が疲れた様子で汗を拭う。
 大してダメージを喰らっていないはずなのだが、いつもよりも身体が疲れているような気がする。
「……にしても何人かいい体系の奴いたな。ちょっと羨ましいかも……」
 先程の事を思い出しながら、ミラノが残念そうに溜息を漏らす。
 彼らがもう少し違う道を歩んでいれば、別の出会い方をしていたかも知れない。
「……とは言え、ちょっと、強烈だったから、しばらく、忘れられそうに、ありませんね……」
 苦笑いを浮かべながら、真理が気まずい様子で汗を流す。
 目を閉じれば、そこに映るのは、ポージングを繰り出す、彼ら達……。

●接客も一番っ!
「此は何ぞ。このぬるぬるした床は!? 此が心身を練磨する場と? 莫迦が、話にならぬわ。我は鋏角衆・愁院! 鍛錬の作法、心得を知らぬ輩へ説法する者也!」
 自ら名乗りを上げながら、愁院が黒燐奏甲を発動させて走り出す。
 特殊空間の中は妙にヌルヌルとしており、身体に纏わりついてくるように嫌悪感に襲われた。
「んな!? ……うー、最悪だぁ……」
 派手にバランスを崩し、リオが油まみれになって愚痴をこぼす。
 それと同時に地縛霊が現れ、『HAHAHA、そんな事では立派な接客は出来んぞ! ひとつ上の漢になるため、一緒に鍛えようではないかっ!』と笑い声を響かせた。
「なんなのよ、一つ上の漢って!? 怪し過ぎだよっ!」
 不機嫌な表情を浮かべ、リオが顔についた油を拭う。
 しかし、地縛霊はまったく動揺しておらず、『筋肉達の声を聞け! そして、肉体が欲するままにプロテインを飲むのだっ!』と雄叫びを上げる。
「俺的には細マッチョの方を目指したいんでね! マッチョでデカけりゃいいってもんじゃないっつーの!」
 ケルベロスオメガのレッドと連携を取り、紀更が地縛霊に文句を言って暴走黒燐弾を放つ。
 それに合わせてレッドがレッドファイアを放ち、地縛霊の身体を炎に包む。
「……さすがに叫ぶ事が出来ないようですね」
 少しずつ間合いを取りながら、真が地縛霊に破魔矢を撃ち込んだ。
 だが、地縛霊も負けてはいない。
 全身の筋肉を隆起させて、トレーニング機材を放り投げてきた。
「トレーニング機材は投げるものじゃない! ……って、痛っ。あはは……ぜってー蹴り倒す」
 頭に出来た大きなたんこぶを撫でながら、リオが笑顔でキレて拳をぶるりと震わせる。
「焼き尽くすわよ、その気持ち悪い筋肉全て!」
 イライラとした表情を浮かべ、リルフィリアが地縛霊に炎の魔弾を叩き込む。
 しかし、地縛霊は地面を震わせるほどの雄叫びを上げ、特殊空間内を油で満たそうとする。
「足取られるんじゃねぇぞ、踏ん張ってくれや!」
 レッドに声を掛けながら、紀更が少しずつ距離を縮めていく。
 それと同時にレッドが滑るようにして地縛霊の死角にまわり、ブラックセイバーを炸裂させた。
「……分からせてやろう。修練、練磨の果てに目指す肉体とは、とどのつまりこの様な物」
 バサッと上着を脱ぎ捨て、愁院が鍛えぬかれた肉体をさらす。
 その肉体を目の当たりにして、地縛霊が『認めん、認めんぞおお!』と叫び、愁院達に襲い掛かってきた。
「オラァ! 一つ上の漢っていうなら、女の子の蹴りくらい避けられるわよね?」
 一気に間合いを詰めながら、リオが地縛霊に龍尾脚を叩き込む。
 その一撃を喰らって地縛霊が血反吐を吐き、『認めん、認め……ぐぼらぁ!』と断末魔を上げ、特殊空間もろとも消滅した。
「よしよし、もう終わったようね……。みんな、お疲れ様」
 仲間達の無事を確認した後、リルフィリアがホッと溜息を漏らす。
「なんつーか、うん。俺、漢にはなれなくてもいいかも知れない」
 げんなりとした表情を浮かべ、紀更がイグニッションを解除する。
 それでも、妙に気になったので、手でパンパンと服を叩く。
「なんだか終わったのにまだヌルヌル感が残っているような……」
 激しい嫌悪感に襲われながら、真がボソッと愚痴こぼす。
 一応、イグニッションを解除したので、そんな事はないのだが、ひょっとすると、まだ感覚が残っているのかも知れない。
「うわぁぁん、もう、やってられない!」
 その感覚に耐える事が出来ず、リオが泣きながら走り出す。
 それが単なる気のせいだとしても、どうしても認める事が出来なかった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2010/05/22
得票数:楽しい10  笑える3 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。