お前も実験体にしてやろうか!


<オープニング>


●山梨県某所
 人里離れた山奥にいかにも怪しげな研究所があった。
 この研究所で何が行われていたのか分からないが、周辺で行方不明事件なども起こっていたため、何か関係があると思われていたらしい。
 だが、研究所はいつも人気が無く、誰かが住んでいたような形跡が無かったらしく、半ば廃墟と化していたようだ。
 そして、この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃墟と化した研究所。
 実は地上部分はダミーで、本当の研究所は地下にあるらしいの。
 ここでは随分と胡散臭い実験が行われていたようだけど、成功する事が無かったみたい。
 その実験となった人達がリビングデッドと化していて、身体には無数のボルトが埋め込まれた痕や、身体を繋ぎ合わせた痕があるわ。
 彼らは研究所内に侵入してきた部外者達を排除するため、全力で襲い掛かってくるからようなの。
 また、地下の研究所が特殊空間と化していて、頭の禿げた博士風の地縛霊が留まっているわ。
 地縛霊は怪しげな薬を撒き散らし、相手を毒状態にさせたり、麻痺されたりするから注意が必要よ。
 しかも、地縛霊の作り出した特殊空間の中では身体が重くなったような錯覚を受け、無数のボルトを埋め込まれた感覚や、別の人の身体を繋ぎ合わされたような感覚が襲ってくるから、くれぐれも気をつけてね。

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参加者
御神楽・霜司(魂葬の刃と舞う孤狼・b01033)
上条・まゆ(白燐蟲使い・b10802)
毒島・毒子(フリッカースペード・b16226)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
白雪・勇姫(赤にして紅翼・b31194)
柊・刹那(冥府の使者・b40917)
ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)
上条・鳴海(雪割草・b55099)
伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)
水城・レン(無銘の涼風・b57595)
山吹・慧(影舞・b71495)
水姫・優希那(おちこぼれ妖狐・b73873)
NPC:鬼頭・田吾作(ファイアフォックス・bn0034)




<リプレイ>

●いかにもアレな施設
「地下に秘密基地!? ほほう、何か心引かれるものがあるッす!」
 興味津々な様子で、白雪・勇姫(赤にして紅翼・b31194)が瞳をキランと輝かせる。
 ゴーストの確認された研究所の周辺には鉄条網が張られており、いかにも何かありそうな雰囲気だ。
「あぅ〜なんだか怖くて気持ち悪いのです。空気も澱んでいるのです……」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、水姫・優希那(おちこぼれ妖狐・b73873)がキョロキョロと辺りを警戒した。
 先程から心臓がバクバクと高鳴っているため、ちょっとした物音がしただけでもビクッと身体を震わせている
「んー、壮観よねぇ。悪い意味で……。まぁ、好奇心は刺激されちゃうけど、ね」
 懐中電灯で研究所を照らしながら、毒島・毒子(フリッカースペード・b16226)がクスリと笑う。
 研究所の外観だけ見ていると、既に廃墟と化しているので、そんな怪しげな研究をしているとは想像もつかない。
「本当に、お化けでも出そうな雰囲気ですね……」
 懐中電灯で辺りを照らし、ブリギッタ・カルミーン(箱入りヴァンピレス・b49307)が研究所内に入っていく。
 研究所内の壁はどれもヒビ割れており、ロッカーやテーブルが倒されていた。
「人里離れた山奥に研究所か……。大方、人目につきにくい地を幸いに、近隣の人を浚い非人道的な人体実験でもしていたのだろう」
 険しい表情を浮かべながら、御神楽・霜司(魂葬の刃と舞う孤狼・b01033)がハンズフリーライトで辺りを照らす。
 ここで何が行われていたのか分からないが、当時の事件と照らし合わせていく事で大体の予想はつく。
「怪しい研究所に、行方不明事件……。この様子だと、改造人間を作っていたという事でしょうか?」
 あれこれと想像を膨らませながら、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が首を傾げた。
 洋角は特撮ヒーローものが好きなので、格好いいと思ってしまうのだが、今までの話を聞く限り、ここの研究員達は妄想と現実をごちゃまぜにしていた節がある。
「それじゃ、世界征服を企んで改造人間を作っていたって事ですかね? ちっ、惜しい事したです。もしそうだったら、この研究所を私の支配下に置いて、部下としてこき使ってやったのにです。田吾作先輩も残念でしたね。この研究所で改造してもらえば、生来のヘッポコ体質も少しは改善したかも知れねーですのに……」
 苦笑いを浮かべながら、伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)が、鬼頭・田吾作(ファイアフォックス・bn0034)が声をかけた。
 しかし、田吾作は少しムッとした表情を浮かべ、『俺のどこがヘッポコだって言うんだよ!』と涙を浮かべて抗議する。
 どうやら、本人も多少は認めているらしい。
「人体実験なんて絶対ダメなのです! 命を何だと思っているのでしょうか? 許せないのです!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、優希那がキッパリと言い放つ。
 次の瞬間、物陰からリビングデッド達が現れ、優希那が声にならない悲鳴をあげる。
 リビングデッド達の身体には繋ぎ合わせた痕が残っており、痛々しいほど無数のボルトが埋まっていた。
「興味が無いと言えば嘘になりますが、ちゃんと始末しないといけませんね……」
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、水城・レン(無銘の涼風・b57595)がイグニッションをする。
 リビングデッド達は全身から血を流し、悲鳴にも似た唸り声を響かせた。
「まあ、何と言うか……見ているのも不憫ですね」
 思わず絶句しながら、洋角がリビングデッドに視線を送る。
 あまりにも想像していた姿と違う。
 ……と言うか、違い過ぎる。
「まさか……、こんな場所で人体実験が行われていたとは……。実験の内容はともかく……、無関係の人まで巻き込むのは、納得出来ないな……。そして、こいつらも……」
 素早い身のこなしでリビングデッドの攻撃を避け、柊・刹那(冥府の使者・b40917)が少しずつ間合いを取っていく。
 どうやらリビングデッド達には人間らしい感情がないらしく、まるで獣のような唸り声を響かせて襲いかかってきた。
「……とは言え、リビングデッドと化した方々が、自ら望んでこのような姿になったとは思えませんね。早急に安息をもたらしましょう」
 仲間達に声をかけながら、山吹・慧(影舞・b71495)がリビングデッド達の攻撃を避けていく。
 それでも、リビングデッドは研究所内の侵入者を駆除すべく、再び唸り声をあげて襲いかかってきた。
「この様子だと殺された後は、バラバラにされて、パーツにされていたのかも……。私は私の体が好きだし、他の人の体にくっつけられたり、改造されたりするのは、御免こうむりたいから、さっさと倒させてもらうわ」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、上条・鳴海(雪割草・b55099)が全身に鳥肌を立たせる。
 それが事実かどうか確かめる術はないが、まったく違うとも言い切れない。
「ええ……、倒しましょう」
 いつものように片手をあげ、上条・まゆ(白燐蟲使い・b10802)が『マッシブ』と叫ぶ。
 その途端、まゆがマッスルメンマッシブに変身し、いつもと違う水着姿でリビングデッド達と対峙した。

●苦痛から逃れるために
「まさに、フランケンシュタインですね」
 一気に間合いを詰めながら、ブリギッタが舞い踊るようにしてマントをたなびかせ、リビングデッドにスラッシュロンドを炸裂させる。
 その一撃を喰らってもリビングデッドは怯む事なく、唸り声をあげて丸太のように太い両腕を伸ばしてきた。
「もう元に戻る事ができないのなら、せめてこの手で……」
 リビングデッドの姿に眉をひそめ、霜司が霧影分身術を発動させる。
 自ら望んで実験体になったのならともかく、無理矢理こんな身体にされてしまった挙句、その張本人が地下にいるのだから、犠牲者達が哀れで仕方ない。
 そして……、感情の奥底から湧き上がる怒り……。
「あー、気味悪いんで寄らないでくださいねー」
 リビングデッド達を射程範囲内に捉え、洋角が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 それと同時にリビングデッドの身体に無数の黒燐蟲が纏わりついたが、怯む事無く迫ってきた。
「この状況で向かってくるなんて……、まさに化け物ね」
 仲間達に黒燐奏甲を付与しながら、毒子がリビングデッド達を睨む。
 リビングデッド達は、まさに戦闘マシーン。
 その身が朽ち果てるまで、決して倒れる事がない。
「やはり改造されている分、強くなっているのでしょうか……。だとしたら、油断は出来ませんね」
 少しずつ間合いを詰めながら、洋角が自分自身に気合を入れる。
 それでも、リビングデッド達は怯む事なく、洋角を迎え入れるようにして両手を開く。
「貴方達に必要なのは、僕達の命ではなく安らかな眠りです」
 リビングデッドに語りかけながら、慧が虎紋覚醒を発動させる。
 次の瞬間、リビングデッドが拳を振り上げ、自分の拳をハンマーの如く勢いをつけて振り下ろす。
「かわいそうだけど……、眠ってもらうね」
 リビングデッドの攻撃を避けながら、レンが旋剣の構えを発動させた。
 しかし、リビングデッド達の攻撃は止む事なく、半ば暴走気味に暴れまわっている。
「もう少しダンスに付き合って下さいね」
 軽やかにステップを踏むようにして攻撃を避けながら、ブリギッタがリビングデッドにスラッシュロンドを炸裂させた。
 次の瞬間、リビングデッドがバランスを崩し、悔しそうに歯軋りをして膝をつく。
「もういいだろう。安らかに……眠れ」
 同情と哀れみが入り混じった視線を送り、霜司がリビングデッドに水刃手裏剣を放つ。
 その一撃を喰らって地縛霊が血反吐を吐き、前のめりに倒れて動かなくなった。
「刹裂華―、闇に染まる花の如く」
 一気に間合いを詰めながら、レンがリビングデッドに黒影剣を叩き込む。
 それに合わせて慧がリビングデッドに震脚を放ち、まわりにいた敵を巻き込むようにしてふっ飛ばす。
「今度こそ……、おやすみなさい」
 リビングデッド達に別れを告げ、毒子が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 それと同時に黒燐蟲がリビングデッドを喰らいつき、あっという間に一掃した。
「何とか片付きましたね。……ついでと言ってはなんですが、鬼頭先輩にも黙祷を捧げましょうか」
 一瞬、脳裏に田吾作の顔が過ぎったため、慧が犠牲者達と一緒に冥福を祈る。
 何故、そんな事をしたのか、分からない。
 だが、田吾作の身に、何か起こっているように思えて、仕方がなかった。

●みんな纏めて改造してやる!
「……あれがここの研究員か……? 何というか……いかにも、といった風貌だな……」
 旋剣の構えを発動させながら、刹那が特殊空間に留まる地縛霊を睨む。
 地縛霊は不気味な笑い声を響かせ、『お前達も改造してやろう』と言って、毒の入った瓶を放り投げてきた。
「典型的なマッドサイエンティストね。フランケンシュタインでも作りたいのかしら」
 毒の入った瓶を避けながら、鳴海が雪だるまアーマーを発動させる。
 それでも、地縛霊は『今日の素体は元気があって実にいい』と呟き、鳴海達を見つめてニンマリと笑う。
「それでは悪の研究所がどれほどのものか、じっくりと見させてもらうですよ。ところで田吾作先輩はどっちの相手をするんですか?」
 魔弾の射手を発動させながら、りおんが田吾作に視線を送る。
 田吾作は一瞬だけ迷ったが、先々の事を考えた上で、『も、もちろん、お前達さ』と答えを返す。
「それじゃ、田吾作先輩。カッコいい所をみせるッすよー」
 満面の笑みを浮かべながら、勇姫が田吾作を盾代わりにして、黒燐奏甲を発動させる。
 そのため、田吾作もなにやら文句を言い始めたが、勇姫は『絶対に大丈夫ッす。みんなで必ず助けるッすから』と棒読みで答えて背中を押した。
 次の瞬間、田吾作がモロに薬瓶の中身を浴び、この世のものとは思えぬほどの悲鳴をあげてのた打ち回る。
「変なお薬なんかに負けないのですよ! あんな博士なんかに負けちゃダメなのですよ!」
 田吾作の事を励ましながら、優希那が赦しの舞を発動させた。
 それと同時に全身を包み込むようにして違和感が襲い、身体がズッシリと重くなる。
「か、身体が……」
 ハッとした表情を浮かべながら、まゆが悔しそうに唇を噛み締めた。
 地縛霊はまゆのコスチュームを舐めるように眺めており、いやらしい笑みを浮かべている。
 ……それもそのはず。
 今回のコスチュームは水着コンテストに合わせて露出度が高い。
 その事にきづいて、まゆが身体を隠そうとしたが、既に手遅れ。
 彼女の引き締まった健康的な肉体が、実験体として相応しいと、地縛霊に判断された。
「……って、田吾作先輩はどうしてこっちをみているんッすか!?」
 何やら妙な視線を感じたため、勇姫がジト目で田吾作を睨む。
 すると田吾作は自分の胸を揉みながら、『いや、この感触はひょっとして……』と呟き、勇姫の蹴りをモロに喰らって吹っ飛んだ。
 どうやら、特殊空間の中では他人の身体と繋ぎ合わされたような感覚に陥るらしく、田吾作も違和感を覚えて思わず彼女を見てしまったらしい。
「た、田吾作様〜。い、生きてますか?」
 心配した様子で田吾作に駆け寄り、優希那がツンツンとつつく。
 しかし、田吾作は……、動かない。
「……あれ? 田吾作先輩どうしたですか。ひょっとして、地縛霊の撒き散らした怪しげな薬のせいで、毒に冒された上に体が麻痺して動かねーんですか? そういう時はネギをお尻に突っ込めば治るって、昔お婆ちゃんが言ってたです」
 何の躊躇いもなしに田吾作のズボンを脱がせ、りおんが勢いよく田吾作の尻に葱を突っ込んだ。
 次の瞬間、この世のものとは思えぬ悲鳴が響き、田吾作がグッタリとして動かなくなる。
「あ、あの……誰か……」
 羞恥に身をよじらせながら、まゆが仲間達に助けを求めた。
 地縛霊はまゆを改造しようとしているらしく、コスチュームを引き千切って、彼女の肌にメスを這わせていく。
「……って、何時の間に!」
 驚いた様子で地縛霊に視線を送り、鳴海がまゆを助けに向かう。
 そのため、地縛霊が高笑いを響かせ、『この素体は誰にも渡さん!』と叫んで、毒の入った薬瓶を放り投げてきた。
「……急いでいるんでな……一気にいかせてもらうぞ……!」
 地縛霊をジロリと睨みつけ、刹那が呪いの魔眼を放つ。
 それに合わせてりおんがスラッシュロンドを放ち、地縛霊の身体を天井近くまでふっ飛ばす。
「我が一撃は閃紅なり! 獣奏拳牙!!」
 一気に間合いを詰めながら、勇姫が手刀獣撃拳を地縛霊に叩き込む。
 次の瞬間、地縛霊が『もう少しで最高の素体を手に入れる事が出来たのに!』と叫んで、特殊空間もろとも消滅した。
「……下らない私利私欲の為に……人の命を物のように弄んだ罪はあまりにも大きい……それは死んでも尚、消えるものじゃない……悔い改めるんだな」
 地縛霊のいた場所を眺め、刹那が吐き捨てるようにして呟く。
 そして、刹那達はネギの尻尾を生やした田吾作を見捨て、何事もなかった様子で仲間達と合流するのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2010/06/10
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冒険結果:成功!
重傷者:鬼頭・田吾作(ファイアフォックス・bn0034)(NPC) 
死亡者:なし
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