死亡フラグを叩き折れ!


<オープニング>


「山の中で迷子になって、日が沈んだところに突然の大雨。雨宿りしようと駆け込んだ先が、潰れたペンションって出来すぎだよな」
 照明のスイッチが入らない事を確認した男が肩をすくめ、稲光に照らされた相手に言う。
「しかも迷い込んだのは若い男女よ。このままだとホラー。人数が増えたらサスペンスの始まりよね」
 泣き笑い一歩手前といった表情で女が相槌を打つ。定番どおり携帯電話は通じず、窓の外から見えるのは激しい雷雨。天気が回復するまで何も出来ないといった状況だ。
「とりあえず、何か明かりになるような物が無いか探してくるか。そっちはどうする?」
「勿論一緒に行くわよ! こんな所で一人で待つなんて出来るわけ無いでしょ!」
 二人は知らない。
 自分達が、まさしくそのホラーの被害者になりかけているという事を。

「殺人事件の起きた場所で何か不審なものを見つけたら、そのまま崖にでも飛び降りた方が、まだ生存確率が高い気がするのは気のせいかしら?」
 全員が揃ったのを見て、推理漫画を閉じた柏城・彩奈(高校生運命予報士・bn0269)がそんな事を口にした。
「今回みんなに集まってもらったのは、ある山奥の廃屋となったペンションに、地縛霊が現れたからなの。このままでは犠牲者が出るから、何としても退治して来て」
 運命予報士の少女はそう言うと、更に詳しい内容を伝えようと言葉を続ける。
「向かって欲しいのはこのペンション。舗装されてないけど道があるから迷うことは無いと思うわ」
 地図を広げて場所を示し、続けて今回のゴーストについて説明する。
「地縛霊の出現条件は二つよ。まず夜であること。そしてもう一つが特殊なんだけど……みんなはホラーやサスペンスとかで、ああこの人死んじゃうんだろうなーっていうの見たことある?」
 どう説明すれば言いのだろうと頭を悩ませた彩奈は、そう言って全員を見回した。
「今回の地縛霊って、そういうシチュエーションの相手を狙うみたいなの。それこそ雷雨の中迷い込んだカップルとかね」
 過去、このペンションを使ってサスペンスが撮られた時に、事故で一人の役者が死亡したらしい。ひょっとしたら何か関係があるかも知られないが、詳しいことは解らないと彩奈は言う。
「はっきり言ってこの地縛霊は弱いから、みんななら一対一でも勝てると思う。だけど厄介なのは、そういう状況を作り出さないと敵が出てこないのよ」
 急いで向かえば、先ほど言ったカップルが着く前日の夕方にペンションに辿り着く。その夜に芝居でもいいから、所謂死亡フラグを演じて地縛霊を出現させて退治して欲しいと言うのだ。
「芝居の内容はみんなに任せるわ。協力してもいいし、個人でやっても問題ないわよ。何と言うか、違う意味で厄介な相手だけど宜しくね」
 彩奈はそう言って説明を終えると、もう一つだけお願いしてもいいかしらと口を開く。

「次の日に迷い込む人達用に、何か用意してあげてくれると嬉しいわ。ペンションの中は大体そのままになってるし、そこまで古くないから泊まるのに問題は無いのだけど、明かりとか食料とかはやっぱり無いから」
 お願いねと能力者達に頼むと、運命予報士の少女は笑顔で能力者達を送り出す。
「それじゃあしっかりね。行ってらっしゃい」

マスター:月形士狼 紹介ページ
戦闘プレは要らないや。

旅行先で有名な探偵の人と一緒になった時の絶望感は凄いと思う月形です。
地縛霊は一番狙いたいと思う人の前に姿を現します。
この地縛霊は弱いし通常攻撃しかしてきませんので、その分演技に全力を注いでください。
それでは皆さんのプレイングをお待ちしています。

参加者
天宮・奈月(天翔茜歌・b01996)
刀禰・隆之(眼鏡君・b20816)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
南城・霧冶(狐狸精とゴーストと人間と・b47330)
宇賀神・遙(蠱惑の薔薇・b47365)
天峯・叢(霧の騎士・b49920)
蒲生・灯雪(雪雅幻詠・b55309)
葛木・一(ワイルドキッド・b59305)



<リプレイ>

●迷い人
 うっすらと、雲の間から差し込む月明かりに照らされたペンション。
 人々から忘れ去られたようなその建物はこの夜、数年ぶりの来客を迎えていた。
「やっぱり電灯は壊れている様ですね……」
 咳き込みながらスイッチを試していた刀禰・隆之(眼鏡君・b20816)が、諦めて持ってきていたローソクに火を灯す。
「誰だよこんな山奥に来ようなんて言ったのは」
 天峯・叢(霧の騎士・b49920)が、わざと全員に聞こえるように悪態をつき。
「そんなに嫌ならこなけりゃ良いのに……あ〜あ、折角の旅行が台無し!」
 幼い顔に嫌悪の表情を浮かべ、葛木・一(ワイルドキッド・b59305)が負けじと言い返す。言い合う二人の間に伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が入り、笑顔でたしなめた。
「喧嘩はよしなさいな、雨露凌げる所を見つけられただけでも儲け物と思いましょう」
 そうですよと蒲生・灯雪(雪雅幻詠・b55309)が頷き。
「とりあえず、こうも暗くなっては危険ですし、今日はここで休みましょう。それに……」
 顔を出した月明かりに浮かぶ白い髪の少女は、くすりと小さな笑みを浮かべる。
「本当に呪いのペンションなら興味ありますし」
 遠くで、野犬の遠吠えが木霊した。
「呪い……?」
 不吉な言葉に、天宮・奈月(天翔茜歌・b01996)が引きつった表情を浮かべる。
「いや、僕も聞いたことあるよ。この辺りに呪われたペンションってのがあるって聞いたけど、ひょっとしてここー?」
 南城・霧冶(狐狸精とゴーストと人間と・b47330)はそんな少女の怯えと対象的に喜色を浮かべ、ロビーを写そうとカメラのフラッシュを焚いた瞬間、入り口の扉が大きく開いた。
「なんだ!?」
 暗闇の中、突然の光を浴びた人影と中に居た者達が驚きの声を上げ、
「……驚いたな。人が居たのか」
 お互いに落ち着きを取り戻すと、新しく入ってきた宇賀神・遙(蠱惑の薔薇・b47365)が、自分はリゾート事業関係者だと名乗った。
「その関係でこの辺りを見ていたんだが、地元の人とはぐれちまって……。しかし良かった、人が居て」
 次に中に居たメンバーが、自分達は旅行サークルメンバーである事、そして同じく迷ってここに辿り着いた事を伝える。
 自己紹介が続く中、ある者は自分達の置かれた状況に顔をしかめ、ある者は楽しげに笑い、ある者は怯えていた。
 この時は、まだ。

●消えゆく住人
「そういえば、ニュースで近くの刑務所から殺人鬼が脱走したらしいですよ」
 明かりを囲むように座る全員を見渡して、灯雪が面白がるような口調で言う。
「そ、そんな……きっとただの噂ですよ。そんな映画みたいな事が現実に起こる訳無く……」
 隆之が挙動不審な程に驚くと、慌てて周囲の人達の顔色を伺う。
「一番困るんだよな、そういう物騒な噂ってのは……」
 やめてくれとばかりに遙が顔をしかめ、
「や……やめろよなっ変な事言うの!」
 一が大声を上げて否定するのを、叢が鼻で笑う。
「はっ、馬鹿馬鹿しい。殺人鬼だってこんな何も無いところは願い下げだろうよ」
「天峯さんの言う通りです、好き好んでこんな所に来やしませんよ」
 洋角も否定し、そもそもその話は本当なのですかと疑問を口にした。
「本当です! さっきで携帯でネットを見ていたら載っていました。調べてみて下さい」
 興味なさげに携帯電話を取り出した叢が画面を眺め、悪態をつきながらしまう。
「調べろって携帯も繋がらないじゃねーか。あーあ来るんじゃなかったぜ、こんな所」
「(だったら来なきゃいいのに)」
 あからさまに視線を逸らした霧冶が小さく呟き、自分の携帯電話を取り出した一が苛々した声を張り上げる。
「なんで繋がんないんだよ!」
 それを聞いた全員が自分のを確認し、落胆した声を響かせた。
「ああ、そうか……ここ山間部ですから繋がらなくて当然ですか、仕方ないですね」
 落ち着きましょうと洋角が言うが、またも言い合いを始める者達には届かない。
 そんな中、奈月がおずおずと手を上げた。
「あの、すみません。誰か食べられるもの持っていませんか?」
 その声に全員は首を振る。こういった事態を想定していなかったのだから当然だろう。
「……お腹と背中がくっつきそうなのです。なんか食べられるものが落ちてないか探してくるです」
 ふらりと立ち上がった奈月はそう言うと、暗がりへと向けて歩き出す。
 危ないという言葉に一度だけ振り返ると。
「だいじょぶなのです。皆さん、また後でーですよ」
 人懐こい笑みを浮かべ、そんな言葉を言い残して消えていった。
「アイツ、死んだりしてな。はっ、冗談だよ」
 非難めいた視線に叢が笑い、残った者達はこれからどうするかを話し出す。
「それなら僕はこの中見てみたいな。呪いの方が怖いし、面白いと思わない?」
 楽しそうな霧冶の言葉を、洋角が否定する。
「呪いなんてありませんよ。大体、こういう事は科学的に解明されているのです」
 同感だと言って、遥が失笑を浮かべる。
「呪われたペンション? 下らない。そんなの一々気にしてたらこんな商売できないぜ」
 そう言って窓の外に視線を移し、動きを止めた。不審がる声に、窓の外に人影が見えたと応える。
「ちょっと俺見て来るわ。誰か懐中電灯貸してくれ」
 明かりを手に、建物を出る。うっそうとした木々が月明かりを遮る暗闇の中、人工の明かりを頼りに慎重に歩き出した。
「大丈夫かなぁ、殺人鬼がいるかもしれませんのに」
「まあ、すぐ戻ってくるでしょう」
 不安そうに呟いた灯雪が、洋角の言葉にそうですねと言って立ち上がる。
「私も使える電話や食料、寝具がないか探してきますね」
 心配する声に笑顔を浮かべ、
「1人で大丈夫ですよ。外には出ませんから」
 言い残すと、暗闇が支配するペンションの奥へと姿を消した。
「それじゃあ僕は、ちょっと探検してくるね」
 霧冶が立ち上がると、ここに居ても仕方ないと悟った他の者も続いて立ち上がり、奥へ向けて歩き出す。
 人の気配が無い廊下を歩いていた隆之が、皆は何故このサークルに入ったんですかと唐突に尋ねた。
「俺は今まで人付き合いが下手で友達も出来ず、孤独で……」
 そこまで話すと咳き込みが酷くなり、呼吸を整えながら全員を見回し。
「でも、変わろうと思ってこのサークルに入って旅行に参加したんです」
 更に酷くなる咳に謝罪し、途切れ途切れの言葉で先に行くように頼む。
「大丈夫、ただの風邪なので……」
 口元を押さえていた手の、赤く染まった内側を隠すように握り締め。
「なあに、こんな病気すぐにやっつけますよ」
 廊下の暗さに青くなった顔色を隠すと、無理やり笑顔を浮かべて客室の扉を開ける。
「幸いベッドがあるようですし、しばらくここで休めさせて貰いますね」
 そう言って中に入ると、客室の扉を静かに閉めた。
 続く筈の、鍵を閉める音を立てないままに。
「殺人事件があった部屋ってここ?」
 霧冶が室内を写真に収め、興味深げにメモを取る。
「今度はこの奥の客室。そこで首を吊った人がいたって聞いたんだ」
 解説しながら先導する彼を、洋角が呼び止めた。
「なあ、あそこに何かが居た気がするんですが……」
 他に気付いた者は居ないかと尋ねるが、返ってくるのは否定の言葉。
「でも気になりますし……ちょっと見てきますね」
 そう言い残して、洋角も姿を消した。
 客室を見終え、ロビーに戻った三人は、まだ誰も帰ってきていない事に驚きの表情を浮かべる。
「なんでみんな帰ってきてないの!? まさか本当に呪い!? それとも殺人鬼!?」
 恐怖を振り払うように叫ぶ一に、叢が意地の悪い笑みを向ける。
「ガキんちょの殺人鬼かもな。おー怖」
 からかうような言葉に一はキッと視線を向け。
「サツジンキの正体は天峯兄ちゃんじゃねぇの? ……ふん!」
 そう言い放つと、鼻を鳴らして奥へと歩き出す。どこへ行くんだという声に、振り返ってべーっと舌を出し。
「俺ももう寝る! 一緒に居て殺されちゃかなわないもんね!」
 荒々しげな靴音が遠ざかり、盛大にドアの閉まる音が響き渡った。
 険悪な雰囲気が流れる中、霧冶も立ち上がり言う。
「……ちょっと行ってくる。絶対あの部屋に何かあると思うんだ」
 二人でなんて居られるかと態度で示すと足音が遠ざかり、一人残った叢は荷物から缶コーヒーを取り出し、薄い笑いを浮かべる。
「どいつもこいつも死ななきゃいいがな」
 そう呟いた彼のズボンに、不意に缶の中身が降りかかった。蓋はまだ開けていなかった筈なのに。
「何かの拍子に蓋が開いたか……? くそっ。確かシャワーは使えたよな」
 悪態をつきながら荷物を掴み。
 こうしてこの場に集まった者は、誰一人として居なくなった。

●襲撃者
「気のせいか……」
 周囲を見終わった遙が戻ろうとしたその時、不意に手に持った懐中電灯の明かりが消えた。
「おい、マジかよ……ん?」
 愚痴をこぼしたその足元を、雲から現れた月が照らし出した。黒い羽を、血で赤く染めた鴉の死体を。
「最悪だな、気色悪ぃ……戻るか」
 顔をしかめて足を早める遙を照らす月が陰り、その姿を隠れて見ていた人影を隠す。
 暗く、暗く。

「んー……、やっぱり何も無いです」
 台所を漁っていた奈月が、何もない事に落胆して肩を落とす。そうした自分を元気付けようと、一枚の写真を取り出した。
「僕、もう帰りたいのですよ……」
 恋人と二人で写した写真を眺めて溜息をつき、そんな少女を窓から差し込んだ月明かりが静かに照らした。
 室内を窓から覗き込んでいた人影と共に。

「へ……へんっ怖くなんか無いやい! サツジンキだろうが何だろうがぶっ飛ばしてやるぜ! ……もし出てきたらだけどな!」
 部屋を乱暴に閉めた一が強がるが、不意に窓を揺らす音にびくっと身体を震わせ反射的に窓を見るが、そこには何も無い。
「も……もう寝よ! どうせやる事も無いし!」
 カーテンを閉めようと窓に近づき、窓の外を見る。
 そこには、青白い人の顔が浮かんでいた。

「ベッドは無いかな。床は流石に嫌だし」
 灯雪が廊下を慎重に歩きながら客室に入り、何かに躓いて拍子に頭をぶつけた。
「痛いな、気をつけないと。……うん? なにこれ?」
 落ちてきた何かに明かりを向けた、その表情が驚愕で強張る。
「こ、これは! な、何でこんなところに?」
 動揺しながら口に出す。これがあるという事はと。
「え? 嘘。は、早く伝えないと、みんなが危な……」
 何かに気付いたように慌てて立ち上がったその時、開けたままにしておいた扉がキイ、と音を立てた。
 恐怖の表情で反射的に振り向き、そこで見たものは……、
「にゃーん」
「……何だ猫か」
 一声鳴いて逃げ出す猫に安堵の溜息をつき、扉から出ようとした少女に、人影が鋭い何かを振り下ろした。

「出てきましたな。では、早速お引取りを」
 危険に反応してイグニッションした灯雪が、宙に浮かぶ念動剣で振り下ろされた斧を受け止める。
「お、お前は……って驚くと思ったか! やっと出たなこの野郎! 僕結構恐がりだから本心はちょー怖かったんだからな! もう早くおうち帰らせて!」
 猫に変身していた奈月が人の姿に戻り、ようやく会えた地縛霊に怒りを爆発させる。
「……え? うわぁぁああっ!?」
 声を聞きつけ、廊下に出てきた霧冶が斧を持った男の姿に悲鳴をあげた。
「……何てね。お約束に忠実なゴーストで嬉しいよ」
 扇を広げるとサキュバスの蘇芳を呼び出し、見事に罠にかかった相手へと笑いかける。
「オオカミが出たぞー」
 騒ぎに部屋から出てきた洋角が、他の者にも伝えようと大声を出し。
「それじゃあさくっと倒しましょうか」
 微笑すら浮かべながら、宝剣を手にする。
「何だお前……!!」
 窓から中を見た遙が驚き、
「ってな。会いたかったぜ!」
 言い放つと中へ入り、黒刃のレイピアを一振りして構えた。
「う、うわああああ!! ……なんてな。待ちかねたぞ。手間を取らせてくれたな」
 気が重かった演技から開放され、叢が透明な剣の切っ先を向ける。
「うわぁぁ! た……たす……助けてぇぇ〜なんつって!」
 もはやお約束とばかりに一が悲鳴をあげると、一転して本気で怒りの表情を浮かべる。
「やっと出たな今畜生! ちょっと本気で怖かったじゃないか!」
 さっき顔だけ出された時は本当に怖かったと涙目に言いながら獣爪を構え、その後ろから現れた隆之が、ずれた眼鏡を直しながら言い放つ。
「俺達の前に姿を現したことが、貴方の死亡フラグです」
 そう言うと二振りの刃に影を纏わせ。
 全員の放った攻撃が、地縛霊の反撃も許さずにその鎖を断ち切った。

●エンドロール
「とりあえずお疲れ様でした」
 厄介だった地縛霊を無事に倒し終え、洋角が皆を労う。
「うん、お疲れ様でした。……にしても、やっといて何だけど、嫌な奴だったなぁ僕……」
 自分の演技を思い出し、霧冶が苦笑を浮かべる。推理小説とか推理アドベンチャーゲームとか大好きなので、死亡フラグを立てることが楽しかったのも事実だが。
「嫌な奴は俺だろ。演技とは言え悪かったな」
 そう言って、叢が皆へと謝罪する。
「……素? おいおい、まいったな……」
 どう言えばいいのだろうと頭を悩ませ、その様子に隆之が笑う。
「いやはや、皆さんの演技力が凄かったです」
 今回は演技力が問われる依頼だったが、皆上手かったと心から思い。
「しかしこれだけ死亡フラグ満載だと、逆に生存フラグになりそうですよね」
 そう言ってもう一度笑うと、明日ここを訪れる二人の為に用意した灯りと食料を置き、その無事を願う。
「僕もそれ思いました。最近の死亡フラグって言うのは、立てまくると逆に生き残るとか聞いた気がします」
 奈月がまあ今回は上手くいったからいいかと言うと、隆之に倣ってバッグを取り出す。
「あとから来る人たちのために、ご飯とか置いていきましょうねー」
 開いたバッグの中には猫缶とカリカリ。逆さにしても、見事にそれだけだ。
「……」
 暫く無言でそれを眺めると、そっと何も見なかったことにしてバッグを閉じた。
「被害者は君だ♪ 名探偵は俺だ♪ 犯人は誰だ?♪」
「今回の事件は、名探偵でも大変だったでしょうね」
 入り口に持ってきた明かりと荷物を置く一の歌に、こんな誰も彼も怪しい状況ですしと灯雪が笑う。
「死亡フラグを立てるのは面白かったですが、今度は別のフラグを立てたいですな」
 立てられるかどうかはまだ解らないが、灯雪は後で来る人の為に建物内の地図を書き残し。
 洋角が同じく食料や灯り、毛布等を置くと、『これは神の思し召しです、何かにお役立てください』とメモを残して全員が外に出る。
(「何だかんだで、ちょっと楽しかったな」)
 食料を置いて身軽になった遥が、内緒だけどなと笑ってもう一度ペンションを振り返り。
「ホラーとか当分見ないからな!」
 一の心からの叫びに、楽しげな笑いが響き渡った。


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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/07/26
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
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