つるりんくらげと夏の終わり


<オープニング>


「ここのビーチってくらげが出ないんだよね!?」
 水着姿の少女が、ぱしゃぱしゃと音を立て波打ち際を走る。
「そうそう、だからこんな時期でも天気がよければ泳げるわけ」
「今年はずっと暑いもんねー」
「なー」
 準備体操を済ませた青年が、ざぶりと海に飛び込む。
 ――次の瞬間、海がぐらりと揺れた。
「え……?」
「お……?」
 ざばん、ざばんと波を物ともせず、顔を出したのは――全長5mはあろうかという、巨大でぬめってうにょんとした――!
「「くらげだー!?」」
 ビーチサンダルが脱げるのも気にせず、少年と少女は逃げ出した。

「さて、もうくらげが出て泳げない海も多いらしいが」
 こっちの方も仕舞いだな、と言いながら、穂村・勇史(高校生運命予報士・bn0292)スイカをレモンシャーベットと一緒にミキサーに入れ、ざらざらとクラッシュアイスを追加してストロベリーシロップを一さじ。
「くらげが出ないはずの海岸に、くらげの妖獣が現れちまったんだ」
 そう言って、勇史はミキサーのスイッチを入れる。
 ガリガリガリガリと騒音の後、出来上がったのは薄紅色の、かき氷のようなノンアルコールカクテル。
「ウォーターメロン・クーラーってんだ。最後の旬、こうして楽しむのもいいからな」
 カクテルグラスと一緒にスプーンを差し出して、勇史はそう笑う。

「くらげが現れたのは、ほとんど人も来ない海岸だ。少し離れたところに海水浴場があるから、大抵の客はそっちに行くからな」
 だがこれからしばらく後のこと、人ごみを避けたのか入り込んだ一般人が、妖獣と接触してしまうのだという。
「大して強い妖獣ではないが、一般人にとっては脅威だ。それに、逃げ延びれたとしても世界結界にはよろしくないからな」
 退治を頼むぜ、と勇史は能力者達に頭を下げる。

「でもって、この妖獣についてだが……」
 勇史はチョークを手に取り、黒板へと向かい合う。

 ・傘の全長5mくらいのくらげだよ!
  触手は10mくらいでうねうねするよ!

 ・攻撃方法は二つ。
  1、触手でつるりんと巻き付いてほんのちょっぴりダメージを与えるよ!
  2、傘をプルプルして近づいてくる全員にほんのちょっぴりダメージを与えるよ!

 ・海で遊んでいたら勝手に近づいてくるよ!
  妖獣以外に危ない生物はいないので安心!

 ・頑張れば上に乗れるかもしれないよ!
  ぽよーんと弾き飛ばされても泣かないでね!

「……というわけだ」
 強くない、というか普通に弱い。
「ちなみに全員で攻撃したらさくっと沈む」
 訂正。超弱い。
「別に退治する前にくらげと思いっ切り遊ぶとか最後の夏の海を満喫するとか言われても、俺は何も言わない」
 むしろ遊んで来いと言わんばかりに、目が語っていた。


「ま、とにかく相手は妖獣だ。遊ぶのも構わないが、最後にはしっかり退治してやってくれな」
 そう言いながら、勇史は海岸への地図を渡し、能力者達を見送るのだった。

マスターからのコメントを見る

参加者
華神・御守(石段の先の微笑み・b00282)
神谷・響介(煉刃・b02415)
青井・葵(空と海との境界線・b11746)
遠野・由香里(紫紺の癒し手・b15424)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
黒鵡・那儀(少しでもあの人に近づきたい・b43348)
白神・楓(月光の黒騎士・b46213)
緒方・凪(ホワイトライズ・b57126)
山吹・慧(影舞・b71495)
水城・月依(アーネンエルベの語り部・b74740)



<リプレイ>

「全長5mの海月ねぇ……」
 白神・楓(月光の黒騎士・b46213)がふむ、と呟き、顎に手を当てた。
 夏である。
 夏の海である。
 水着姿。もちろん。、
「……想像つかない。そもそも陸に上がってきたら、自分の重さで潰れるんじゃないか」
「巨大クラゲですか……」
 山吹・慧(影舞・b71495)も腕を組む。
 水着、と思いきや何故か黒服。
 そして釣竿。
 完全装備……?
「僕の地元にはクラゲ水族館があるのですが、そこでは様々なクラゲ料理が食べられるんです」
「「「クラゲ料理!?」」」
 目を丸くする皆。
 一瞬の沈黙。
「……何が言いたいかというと、妖獣だから食べられなくて残念」
「……クラゲ料理のバリエーションが思いつかない」
 クラゲも奥が深いのである。
「つるりんとしたくらげさん……ですか」
 そんな中、スカルロードの兄さんの隣で、水城・月依(アーネンエルベの語り部・b74740)が髪を纏め上げる。
「くらげも海も、何もかもが初めてでとても楽しみです」
 皆さんと一夏の思い出が作れればと、月依はほんのりと笑みを浮かべる。
「くらげさん……この時期は大変みたいですね。とても弱くても妖獣です、きちんと倒さなければ」
 ちょっぴりもじもじしながら、黒鵡・那儀(少しでもあの人に近づきたい・b43348)がきょろきょろとクラゲを探す。
「でも……ちゃんと倒すならちょっとくらいは感触を楽しんでもいいですよね?」
 嬉しそうに言ってから、またはっと胸元を隠す那儀。
 水着姿が恥ずかしくて視線が気になるだけかもしれない。
 だが、そこに忍び寄る一つの影!
「わ、那儀さん可愛いーっ!」
「ひゃーっ!?」
 訂正。忍んでなんかいなかった。
 思いっ切り那儀に抱きつく華神・御守(石段の先の微笑み・b00282)。
「「「おおっ!?」」」
 思わず集まる男性陣の視線。
「そ、そんなに見ないでよー……恥ずかしっ」
 そそくさと那儀の後ろに隠れようとする御守。
「わわっ!」
 さらにその後ろに隠れようとする那儀。
「いい海岸ですね。これを自分らで占有できるとはねぇ」
 伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が紳士らしく反対側を向いて呟く。
 ちなみに浜辺のレジャーシートにビーチパラソルは洋角持参。彼は今日の設営指揮担当。
「ま、たまにはこうゆうのも悪くないだろ」
 にこにことそう言って神谷・響介(煉刃・b02415)が、同じく海側を向きながら、「しかし暑い! 熱中症には気をつけるんだぜ」と仲間達に呼びかける。もう一つ、大き目のパラソルは彼の用意したもの。
「今年の夏は異様に暑かったですからね。依頼のついでとはいえ、泳ぎに来れてよかったです」
 ついででもないと遊びに行く時間が、と青井・葵(空と海との境界線・b11746)が呟いたその時!
 三人の視界内で、ぐいーんと波が盛り上がる。
「クラゲだ!」
 振り返った能力者達の目の前に、のったりと現れたのは、透き通って綺麗な巨大クラゲ。
「くらげさんはどこでこんなに大きくなったのでしょう。攻撃とかぷるんと跳ね返してしまいそうですね」
 そろそろと海に足を踏み入れて、遠野・由香里(紫紺の癒し手・b15424)がぷにぷにと動くクラゲを観察する。
「このくらげ、食べられないですよね……」
 ちょっとびくりん、とクラゲが動いたような気がした。

「少し眠ってて下さいね」
 洋角がぺたりと導眠符を貼り付ければ、クラゲの体がくてりと波に広がる。
「さわり心地は良さそうですね。抱きまくらならぬ抱きクラゲというのも楽しそうですね」
 慧にぽにゅぽにゅつつかれれば、くるりとクラゲの体が回る。
 その隣では、恐る恐るつん、とつついてはびくっ、と身を震わせ、またつんっとつついては……を繰り返す那儀。
「わ。ふよふよー♪ ひんやりして気持ちいーっ♪」
 ぴょん、と御守がくらげに乗っかれば、乗られた部分がふにふにと沈む。
「えーいしょっ……わぁっ!」
「きゃっ!?」
 葵が登ろうとした瞬間、目を覚ましたのかクラゲが体を震わせて……ぽよーんっ!
 御守と葵の体が宙を舞う。
「ふ、弾き飛ばされてもあきらめませんよ。何せこんな機会、めったにないですもの」
 ぷるぷる震えるクラゲに、葵は再挑戦。
「ぷにぷにして気持ちいいですねー」
 猫耳と尻尾を揺らし、葵はバランスをとりながら満足げ。
「えーいっ!」
 月依がぴょん、とクラゲの体に乗っかって、ぎゅっと抱きついてふにふにと指を埋めて。
 けれどそこに、ぐるんと襲い掛かる触手!
「や、やめて下さい!」
 慌てて振り払いながらも、反対の手ではおもわずクラゲをぷにってしまう月依。
「……えーいっ!」
 ついに勇気を出して、那儀がクラゲの体にダイブ!
「わぁ……」
 つるんぷよんでひんやりした感触に、思わずほにゃっと笑み崩れる那儀。
 けれど、そんな至福の時間は長続きしなくて。
「ひゃぁんっ!」
 ぺちん、とお尻を叩いた触手に、ぴょんと那儀が飛び上がる。
 触手に引っかかっているのは……那儀のパレオ。
「やん、か、返してくださーい!」
 ……由香里が、慈愛の舞を舞い始めた。

「はい、導眠符いきますよー」
 洋角が符を投げるのを横目で見ながら。
「……ここは、三分間だけ待ってやるとでも言った方がいいのだろうか」
 楓がクラゲから少し離れて、ぼそりと呟く。
「登らないの?」
「弾かれて頭から砂浜に突っ込む気がした」
 フェシアに聞かれ、きっぱりと言い放つ楓。
「ゴーストと遊ぶ……その発想はなかった」
 そんな様子を眺めて、緒方・凪(ホワイトライズ・b57126)が静かに呟く。
「運命予報に被害の言及はない。少年少女は逃げ出せてるんだな」
 少しの間は大目に見ようと思いながら、凪はトーテムスピリットを発動する。
「ん、さすがに敵だし心配なのは確かにある。だが、いざとなればびしっとやればいいさ」
 響介がそう言ってクラゲと戯れる仲間達を眺め、「保護者の心境だな」と呟いて。
「なるほど。これが巷で流行している触手プレイというやつですね。……僕に絡み付いても、しょーがないだけですよ」
「……保護者?」
 いいじゃないか。高校一年生はまだ子どもなはず。
「んっ。もう、どこ掴んでるのよっ!」
 すぱぁん、と御守の斬馬刀が触手を薙ぎ払ったのを合図に。
「さ、そろそろ倒すか」
「遊びは終わりですよー」
 一行が、アビリティを準備する。
「きゃっ。っと、この反動で……えーいっ!」
「ちょっと羨ましいぜ呪いの魔眼!」
「わ、すごくぽよぽよしてますっ」
「大した脅威ではないが、やはり世界結界のダメージは無視できない。……悪いな」
「さよならメガ海月……君の事は四秒くらい忘れない」
 風が、光が、炎が、魔眼が、水が、符が、浄銭剣が、弾けて。
「……ばいばい」
 巨大クラゲは、海に消えた。

「いーち、にーい、さーん、しーい!」
 目隠しした由香里を、くるくると葵が回転させる。
「はい、いいですよー!」
 とん、と背中を押された由香里が、よろよろと棒を手に歩き出す。
「皆様の視線もあってどきどきしますね……」
「はいそこ右ですよー」
 そこにすかさず声をかける洋角。
「あ、やっぱりもう少し左ですかねぇ」
 今度は慧が口を出す。
「どっちですか!?」
 本当はどちらも正しいのである。ニコニコと笑って眺める洋角と慧。
「そのまま真っ直ぐ振り下ろして!」
「はいっ!」
 しゅっ、と空気を切って振り下ろされた棒が、さくりとスイカにヒビを入れる。
「じゃあ次は月依さ……なっ、何見てるのよーっ!」
 のんびり観戦を決め込む響介や洋角の視線に気付き、さっと御守が体を隠す。
「いやぁ、流石に女性陣はお綺麗ですねぇ、水着もお似合いですよ」
 洋角が笑みを深くし、ぬけぬけと言い放つ。その隣で、観戦しながら木の枝で銛を作っていた凪が、さっと視線を手元に戻す。
「確かに見てたよ。楽しんでたのは事実だが何がわるっ……」
「伊藤さんと神谷さんスイカ割りの刑!」
「……いや、ごめんなさい。ところでスイカ割りの刑ってなんだろうわっ!?」
 どんっと御守に倒されて、スイカの隣に並べられる洋角と響介。
「運動は苦手なのですけど……他の方にあたってしまったらごめんなさい。でも、頑張ります!」
 そんな月依に御守が持たせたのは。
「あれ、これじゃ叩いてもスイカ割れませんよ?」
「もちろん狙うのはこっちの二人に決まってるじゃないの♪」
 棒ではなく、ビニールバット。
「わかりました、スイカ割りの刑ですね! よーし!」
「じゃあはい、目隠しするよ!」
 葵の手で目隠しされてくるくる回されて、ゆっくりと歩き出す月依。
「これ、結構怖いぞ!?」
「ふふ、どきどきですねぇ」
「いきますよー!」
 御守や葵の誘導でふらふらと歩いた月依が、
「えーい!」
 振り下ろしたのは――響介の額!
 ぱん、と綺麗な音がした。
「いててててっ!」
「あ、当たりました! やりました!」
 水城・月依。一世一代の素晴らしい当たりであった。
 ちなみに、もう一人スイカ役の洋角の額は。
「もうちょっと右!」
「え、えっ! えっと、右!?」
「そうそう、そっち!」
「あ、足が砂で滑って……わぁんっ!」
「おっと!?」
 砂に足を取られて、見事にすっ転んだ那儀の胸に押し潰されて。
「伊藤さん何やってるのよー!」
「いやいや私は寝ていただけで」
 結局、御守に思いっ切りビニールバットを振り下ろされたという。
「よし、じゃあ次はフェシア、やってみなよ」
「あ、うんっ」
 楓に誘われて、フェシアが棒を受け取る。
 もちろん響介と洋角はお役御免。
 またくるくると回されて、フェシアが何とか歩き出す。
「左。あ、少し行き過ぎたからもう少し右かな!」
「え、えと……こっち?」
「そのまま真っ直ぐ!」
「うんっ!」
 ちょっとふらつく足取りで、それでもしっかり真っ直ぐ歩いたフェシアが棒を振り上げて。
「えーいっ!」
 ぱぁん、と音を立てて、スイカが赤い果肉を見せた。

「女性陣対男性陣だと勝てなくなりそうなのは気のせいでしょうか?」
「じゃあやってみる?」
「え!?」
 そんな感じで始まってしまったビーチバレー・男女対決。
「遊びとは言えど手加減はせん、スマーッシュ!!」
「わぁんっ!?」
 楓のスマッシュを、滑り込んだ月依が見事にキャッチ。
 顔で。
「それーっ!」
 高く上がったトス(?)を、御守がばっちりスマッシュ!
「じゃ、のんびり眺めさせて……うおっ」
 そしてそれはしゃくしゃくとかき氷を食べていた響介の顔にヒット!
「かき氷食べてないで入らない?」
「ほほう、わかった。じゃあやらせてもらおうか」
 誘いをかけた御守に不敵に笑い、響介はかき氷の残りを喉に流し込んで立ち上がる。
「んじゃ、せっかくだし見てる奴も興味があるなら来いよ」
「お、それじゃあ参加するか」
 声をかけられ、凪が笑って立ち上がる。
「いくわよ、えいっ!」
 フェシアのサーブを、楓が受けて。
「全力で頑張りますよー」
「はい、行きます!」
 葵のレシーブを、由香里が綺麗にトス。
「きゃっ! わぁん、ごめんなさいっ!」
 こん、と頭に当たって跳ねたボールを、月依が慌てて追いかけて。
「ええいっ!」
 四打数目になるのも気にせずに、那儀がジャンプしてスマッシュを決める。
「ふっ!」
 それを今度は凪が受け、洋角へと回して。
 高く上がったビーチボールが、波を映して青く光って――。

「ふぅ……」
 一人釣竿を握っていた慧が、息をつく。
 缶コーヒーを一口あおり、また傍らに缶を置いて。
「あ、山吹さん、釣り教えてっ」
「御守寮母も、御所望ですか」
 御守の言葉に振り向いた慧が、もう一本の釣竿を渡す。
「……僕もど素人なので、マニュアルを読みながらにしましょう」
「慣れてそうなのに!?」
 目を丸くする御守の隣で、ぱらぱらと慧がマニュアルをめくる。
「えっと、竿の揺らし方……ですか」
「あっ、かかったっ!」
「早いですね」
 ぐぐぐぐぐ、と御守の竿が強くしなって。
「ぐぐぐ……これは大物……」
 あれ、と動かない手ごたえに、御守が首を傾げて。
 やがて、てへ、と照れたように笑う。
「……地球だわ」
「大物ですね」
 つられて、慧が笑う。
「釣れるか釣れないかは、どうでもよいのです。最も大事なのは、こののんびりした時間を楽しむことです」
 そう言ってから、あ、と慧は呟いて。
「……違いました。今日大事だったのは、クラゲを退治することでした」

「よし、焼けたな」
 凪が自作の銛で取った魚が、炎の前にずらりと並ぶ。
 焼き加減を見るように、一つ取った凪がぱくりと魚にかぶりついて。
「キャンプの食事は、どうしてこんなに美味いんだろうな。よければ一つどうだ?」
「「「いただきまーす!」」」
 一斉に、周りからも手が伸びた。
「疲れたけど、楽しかったね。少し休もうか……」
 楓と一緒に座ったフェシアが、焼き魚へと手を伸ばす。
「はい、どうぞ?」
「ん、あーん」
 ぱくり、とフェシアの手で差し出された魚にかぶりついて。
「こうやって食べさせあうのも恥ずかしくなくなってきたなぁ……」
 食べてから、楓がそんなことを呟く。
「いいなー……あたしも恋したいなー……」
 羨ましそうに、それを御守が眺める。
「夏もそろそろ終わりだな。しかしよく遊んだな」
 そろそろ赤くなりかけた空を、響介がじっと見上げる。
「風が涼しくて気持ちいーっ……もう秋の香りねっ♪」
 御守が静かに目を細めて。
「今日はありがとうございました……長靴とゴム手袋しか釣れなくてすみませんでした」
 ぺこりと慧が御守に頭を下げ、御守が「いいの♪」と笑みを浮かべる。
「胸が満たされてとても温かな気持ちになる……。こういうのを、『幸せ』って言うのですね……」
 この時、忘れません。そう、月依が呟く。
「楽しい時が経つのは早いですね」
 そう言いながら、早くもゴミを片付け始めるのは洋角。
「まだまだ綺麗な海岸でいて貰わないとね」
 最初から落ちていたゴミまで、しっかりと拾って。
「今日も勝てました……勝った気がしませんけど」
 夕日を見つめて、那儀が静かに呟く。
 思い出すのは、いつか追いつきたい恩人の『あの人』
「こ、こういう楽しい依頼も偶にはいいですよね」
 思わず脳裏の面影に、言い訳してしまう那儀。
「大人になると、遊べるときに遊んでおかないといけませんしね」
 楽しかったと言いつつも、ついつい遠い目をしてしまう葵。
「夏の終わりに皆様と遊ぶことができて楽しかったです。お疲れ様でした」
 笑顔を浮かべ、由香里が皆に礼を言う。
「せめて、この時を想い残すことがないように……なんてな」
 ただ静かに、魚をかじりながら夕日を見つめる。
 夏の終わりに、そんな日があってもきっといいはず――。


マスター:旅望かなた 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/09/06
得票数:楽しい11 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。