魔のジェットコースター


<オープニング>


●富山県某所
 遊園地の閉鎖区域に使われなくなったシェットコースターがある。
 このジェットコースターはお客にスリルな感覚を体験してもらうため、細かく計算された様々なギミックが満載でとても刺激的だったのだが、時が経つにつけてあちこちガタが来てしまい、それが仇となって事故を起こしてしまったらしい。
 事故の原因はストッパーの老朽化。
 ストッパーが壊れてしまったせいで、お客達はそのまま隣のプールに真っ逆さま。
 多くの死傷者がでてしまった事が原因でこの区域は閉鎖され、ジェットコースターが使用される事は二度となくなった。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、遊園地にある閉鎖区域。
 この場所はジェットコースターの事故があったせいで、存在そのものが『なかった事』にされているわ。
 リビングデッドと化したのは、事故の時に命を落とした人達。
 彼らはジェットコースターに乗ったままプールに落ちてしまったから、未だに自分の身に何が起こったのかハッキリと理解していないわ。
 しかも、ジェットコースターに乗っただけでは満足する事が出来ず、さらなる刺激を求めて迫ってくるようなの。
 おそらく、恐怖の感覚が麻痺しちゃっているから、例え身体を傷つけられても、喜んでしまうかも。
 それと、プールの一部が特殊空間と化していて、海パン姿の少年が地縛霊と化して留まっているわ。
 彼が何者なのか分からないけど、とっても怯えていて、プールの水を操って攻撃を仕掛けてくるから、くれぐれも気をつけて。

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参加者
御剣・光(傍若無人な牌の音初代皇帝・b02940)
夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
エヴァ・アナスタシア(闇の福音・b59839)
ハニー・ライアン(魔性の女・b67281)
藍染院・子夢(時の流れに潜みし猟犬・b69141)
護宮・サクラコ(音羽ノ斎宮・b72480)
久瀬・悠理(高校生太陽のエアライダー・b73652)
アンカー・ノヴァ(運命との対峙・b76082)
ツール・ホテル(言霊の雫・b76130)
冬城・ちか子(疾風旋律駆け巡る空色娘・b76885)
夕凪・死音(中学生魔剣士・b77953)



<リプレイ>

●悲劇の舞台
「人間って恐怖を感じると、それを和らげるためにエンドルフィンっていう脳内麻薬が精製されるそうなのよねー。ジェットコースターで多幸感を得られるのはそういうわけよ。まして死の間際だったら、どれだけイっちゃってたか想像もできないわね」
 ジェットコースターについて語りながら、ハニー・ライアン(魔性の女・b67281)がゴーストの確認された場所にむかう。
 ゴーストが確認された遊園地は固く門が閉じられていたが、従業員用の出入り口から出入りできたため、侵入する事はそれほど難しくなかった。
 その代わり、ゴーストが確認されたプールまでかなりの距離があるため、ペース配分をしっかりしておかないと、辿り着いた頃にはヘトヘトになっていそうである。
「ジェットコースターってのはやっぱ、遊園地の華だよなぁ。行ったら二、三回は乗らずにはいられないし、ちょっと乗ってみたかったな」
 少し残念そうにしながら、夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)が口を開く。
 ここにあったジェットコースターのスリル感は半端ではなかったらしく、その手の乗り物に慣れている物であっても恐怖を感じてしまうほどだった。
 それでも、『また乗りたい』と思わせてしまうほど、奇妙な魅了があったようである。
「おそらく、緻密な計算によって生み出されたスリルがお客を満足させていたんでしょうねぇ。しかし、事故が起きてしまった。もっとメンテナンスをしっかりやれば良かったのでしょうが、後の祭りというやつですね」
 シェッドコースターがどうして人気があったのか分析した後、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が頭を抱えた。
「ジェットコースターはスリルを求めて乗る物なんだから、死ぬかもしれないスリルが味わえるのなら、個人的には最高だと思うんだけど……。とりあえず田吾作を乗せてみて、どれくらい危険なのか確かめてみましょうか……って、田吾作がいない!? まぁ、最初からいなかった気もするけど、あたしがいてほしいと思った時にいなかったから、今度会った時にはお仕置きが必要ね」
 ハッとした表情を浮かべ、御剣・光(傍若無人な牌の音初代皇帝・b02940)が包丁をキラリと輝かせる。
 最初からそのような人物は存在していないが、彼女にとってはまったく関係ない事だ。
「どちらにしても、この世に永遠は存在しない。人も老いさらばえ、物すら風化する。いかに優れた技術を持って作ったジェットコースターであろうと、適切な整備をせねば壊れて当然だな。祟るのなら経営者を祟るべきだろ」
 黒い笑みを浮かべながら、エヴァ・アナスタシア(闇の福音・b59839)が呟いた。
「やれやれ……ホラーを求めすぎての悲劇、か……」
 ジェットコースターを眺め、藍染院・子夢(時の流れに潜みし猟犬・b69141)が呆れた表情を浮かべる。
「やれやれ、どんなに刺激的なアトラクションでも、安全面が悪いのは遠慮したいな。安全面が確保されてれば、乗ってみても良かったかな」
 『お詫び』が書かれた看板を眺め、久瀬・悠理(高校生太陽のエアライダー・b73652)が答えを返す。
 そこには不慮の事故が起こった事で、二度とジェットコースターを使わない事にしたらしく、その事がお詫びの文章と合わせて書かれていた。
「何とも悲惨な事故だったようでござるな。ストッパーの老朽化が事故の原因らしいが、定期的にメンテナンスをしていれば防げただろうに……。それを怠った運営者には怒りを覚えるでござる」
 お詫びの文章を読みながら、ツール・ホテル(言霊の雫・b76130)が呟いた。
 運営側の言い分としては、ジェットコースターの利用者が多過ぎたせいで、予想以上にストッパーの劣化が早かったようだが、そんな事は言い訳でしかない。
「施設の老朽化なら定期的な検査をしていればわかっただろうに……」
 運営側に対して激しい怒りを覚え、アンカー・ノヴァ(運命との対峙・b76082)が拳を震わせた。
 しかし、この事故に遭った客のほとんどが近隣の住民達であったため、いまではこの話題自体がタブーになっており、住民達の記憶から忘れ去られているようだ。
「おそらくだけど、ジェットコースターの事故で犠牲になった子なんだろうな。出来る事なら何に怯えているのかを聞き出して、穏便に成仏させてやりたいけど……」
 険しい表情を浮かべながら、夕凪・死音(中学生魔剣士・b77953)がゴーストの確認されたプールを睨む。
 リビングデッド達は傷ついた身体のまま、狂ったような笑い声を響かせている。
「ジェットコースターに乗ったままリビングデッドになっちゃったのなら、気分はすごくハイですねい? テンション高いまま、天国に送り届けるでいすよ!」
 リビングデッド達に視線を送り、護宮・サクラコ(音羽ノ斎宮・b72480)がイグニッションをした。
 その途端、リビングデッド達が一斉にサクラコを睨み、『ちょうど良かった。俺達にもっと刺激をくれぃ!』と叫ぶ。
「ある意味、この人達も被害者だよね〜。だから、幸せのまま消えてほしいかな〜」
 攻撃を仕掛けるタイミングを窺いながら、冬城・ちか子(疾風旋律駆け巡る空色娘・b76885)が少しずつ間合いを取っていく。
 だが、リビングデッド達は大きく両手を開き、『さぁ、俺達を楽しませてくれ』と言って不気味な笑みを浮かべた。

●もっと刺激をくれぃ!
「スリルは麻薬といいますけど、まだ刺激が足りないようですね」
 リビングデッド達に生暖かい視線を送り、洋角が黒燐奏甲を発動させて攻撃力をアップさせる。
「食らっちゃえ! 高速三日月キ――ック!」
 ジェットコースターのレールがあった場所からエアライドで飛び降り、ちか子が着地と同時にクレセントファングを放つ。
 その一撃を喰らってリビングデッドが吹っ飛び、『まるで空を飛んでいるみたいだ』と呟いてウットリする。
「そんなに楽しいんなら、もっと喜ばせてあげる! さあ、私と一緒に踊りなさい!」
 リビングデッド達に語りかけながら、ハニーがダンシングユニバースを使う。
 その途端、リビングデッド達がダンスを踊り、『こんなモンじゃ、俺達は満足しねぇ』と文句を言う。
「アンカー、リビングデッド達は攻撃されると喜ぶようでござる。苦しまずに逝けるのはせめてもの救いかもしれんな、手加減は無用でござるぞ!」
 アンカーと連携を取りながら、ツールが霧影分身術を発動させた。
「手加減はしないよ。手加減なんかしたら、彼らが余計に苦しむだけだ」
 すぐさまツールに答えを返し、アンカーがラジカルフォーミュラを使う。
 それと同時に携帯電話に繋がっているハンズフリーマイクから、ティナ・エスピリツサント(紅の魔剣士・b76145)の声が聞こえ、辺りに人の気配がない事が伝えられた。
「ノンストップはここでおしまい! かちんこちんになるといいでいすよ!」
 リビングデッド達を射程範囲内に捉え、サクラコが幻楼七星光を炸裂させる。
 しかし、リビングデッド達は石化した仲間を見て、『こんなモン、何の刺激もないじゃないか!』と愚痴をこぼす。
「それなら、蟲に喰われるとか、どういう感じなんですかねぇ? 自分は喰らいたくはありませんが……」
 素朴な疑問を感じながら、洋角がリビングデッドに暴走黒燐弾を放つ。
 それと同時に黒燐蟲が辺りに飛び散り、リビングデッド達に喰らいつく。
 しかし、リビングデッド達は恍惚とした表情を浮かべ、『くぅ〜、たまらねぇな。この感覚……新鮮だぁ』と呟いた。
「ラッコさんも負けていられませんねぃ」
 リビングデッドに念動剣を振り下ろし、サクラコがモーラットピュアのラッコに合図を送る。
 その合図に従ってラッコがパチパチと火花を散らし、リビングデッド達の心を刺激した。
「もうアトラクションは終了でござる。拙者があるべき所へ案内してしんぜよう」
 一気に間合いを詰めながら、ツールがリビングデッドに退魔呪言突きを放つ。
 それに合わせてアンカーが隕石の魔弾を放ち、リビングデッド達を倒していく。
 幸いティナからも連絡がないため、もう少し派手に騒いでも、誰かが不審に思って様子を見に来る事もない。
「足が止まってるわよ。もっと動きなさい!」
 リビングデッド達の足元に視線を送り、ハニーがダークハンドを炸裂させた。
 さすがにリビングデッド達も、もうヘトヘト。
 久しぶりに味わった刺激に身を震わせ、辺りにゴロゴロと転がっている。
「もう、たっぷりスリルは味わったでしょ? お月さま、あたしにもっと速い力をちょうだいっ!」
 すっかり弱りきったリビングデッドに狙いを定め、ちか子が再びクレセントファングを炸裂させる。
 その一撃を喰らってリビングデッドの首が吹っ飛び、だらしない笑みを浮かべて転がり落ちた。
「こんな事故があったことを知ってしまうと絶叫マシンに乗るのが別の意味で怖くなるでござるな。アンカー、デートで遊園地へ行くときは信用できる所を選べ。お主に万が一の事があったら皆が悲しむでござる」
 リビングデッド達が全滅した事を確認した後、ツールが心配した様子でアンカーに声を掛ける。
「ひとまず遊園地でのデートはツールくんの方が先に予定、入ってるんじゃないかな。楽しんできなよ」
 苦笑いを浮かべ、アンカーが答えを返す。
 その言葉を聞いてツールがハッとした表情を浮かべ、『うむ、そうでござったな』と呟いた。
「でも、カラッと昇天してもらえたかな? あの世に着いたら、もうちょっと落ち着いてね!」
 ゆっくりと空を見上げ、サクラコがリビングデッド達に別れを告げる。
 彼らにとって、死ぬ事さえ刺激に感じていたのだから、あの世に逝っても変わらないかも知れない。
「まあ、続きはあちらでやってください。せめて迷惑にならない程度に……」
 軽く冗談を言いながら、洋角が犠牲者達に黙祷を捧げる。
 だが、リビングデッド達がいなくなったおかけで、ここが静かになる事は間違いなさそうだ。

●どうして僕がこんな目に!
「おい小僧っ! お前がここに特殊空間を作っている元凶だな。事故の巻き添えを食っただけのプールの客には災難であると共に、恐怖そのものであったろうが、どのみち過去は変えられぬ! お前は死んだのだ。大人しくあの世に逝け!」
 地縛霊の作り出した特殊空間に引きずり込まれ、エヴァが虎紋覚醒を発動させて言い放つ。
 その言葉を聞いて地縛霊が海パン姿で胸をドキッとさせ、怯えた様子で『僕は死んでいない』と繰り返す。
「やはり、この子はプールに落ちたコースターに巻き込まれでもしたのかね……。ずっとおびえて過ごす、というのも不憫だろう……早急に、送るとしよう」
 地縛霊に視線を送り、子夢が魔弾の射手を使う。
 その間も地縛霊は怯えており、小さく首を振っている。
「普通の人なら可哀想なんて気持ちが湧いてくるんでしょうけど、残念ながらあたしは渋いおじ様が好みで、ガキンチョには全く興味無いのよ。だから泣こうが喚こうが手心など一切、加えませーん! 今まで以上に恐怖で怯えさせてあげるから、楽しみにするのね!」
 含みのある笑みを浮かべながら、光がジリジリと地縛霊に迫っていく。
 その途端、地縛霊が身体をプルプルと震わせ、小動物のような表情を浮かべる。
「なーんて冗談よ、冗談♪ こう見えてもあたしって子供、大好きなのよ。だからギンギンパワーを飲んで元気になって、そして呪言突きで苦しまないようにあの世に送ってくれるわー!」
 瞳をキラーンと輝かせ、光が地縛霊とジロリと睨む。
 次の瞬間、地縛霊が『それ以上、近づかないで!』と叫び、プールの水を操って光に攻撃を仕掛けてきた。
「落ち着け、俺達はお前を害するつもりはない」
 地縛霊を説得しながら、死音が蛇のようにうねった水を避ける。
 だが、地縛霊がパニックに陥っているせいで、水の勢いはどんどん増して大きくなっていく。
「あまり服は濡らしたくはないが……そうはいってはいられない、か」
 むりやり自分を納得させながら、子夢が地縛霊に炎の魔弾を放つ。
 その一撃を喰らって地縛霊が悲鳴を響かせ、プールの水を操って自らを守る壁を作った。
「この様子じゃ、俺達の言葉も届いていないようだな」
 クルセイドモードを発動させ、悠理が地縛霊の死角に回り込む。
 どうやら、地縛霊は物凄く怯えているせいで、まわりに見えるものすべてが敵に見えるようだ。
「……そういやお前の名前、まだつけてないんだよな。……とりあえず、頼んだぜ、相棒!」
 戦いの途中でその事を思い出し、紀更がフランケンシュタインFWの背中を叩く。
 その音に驚いて地縛霊が『ひっ』と声をあげ、再び身体を震わせて縮こまった。
「何だか心理的にやり辛い相手だなぁ……」
 罪悪感を振り払うようにして気持ちを切り替え、悠理が地縛霊めがけてプロミネンスパンチを叩き込む。
「お前が何に怯えているかは知らねぇが……こんなところで一人ってなぁ寂しいだろ。だから、成仏させてやる――我慢してくれや!」
 地縛霊に語りかけ、紀更が呪いの魔眼を放つ。
 それに合わせて相棒がパワーナックルを放ち、地縛霊の小柄な身体を吹っ飛ばす。
「地縛霊の少年が今まで以上に怯えてるわ。なんだか可哀想になってきたわね……。大丈夫、恐くないわよ。お姉ちゃん、本当はとっても優しいお姉ちゃんなのよ。とっても優しいから……、苦しまないようにあの世に送ってあげるって言ってるでしょう!」
 地縛霊の懐に潜り込み、光が退魔呪言突きを炸裂させる。
 そのため、地縛霊がボロボロと涙を流し、傷口を押さえて『嘘つき、嘘つき』と罵った。
「子どもの血は淀んでおらぬと言うが、貴様の血で試させてもらおう……。私に血を捧げて、天に召されるがいい!」
 地縛霊の行く手を阻み、エヴァがブラッドスティールを放つ。
 その一撃を喰らって地縛霊が断末魔を響かせ、特殊空間もろとも消滅した。
「この、わからず屋」
 寂しそうに呟きながら、死音が地縛霊のいた場所を眺める。
 もしかすると、少年はずっとこの場所に居たかったのかも知れない。
 だが、それは叶わぬ願い……。
「そういや、今年プールも遊園地も行ってなかったな。……でも、アレだ。遊園地はあんま危険じゃないとこにしねぇと……」
 何かを思い出した様子で、紀更が苦笑いを浮かべる。
 こんな事件を知った後では、さすがに遊園地も行きづらかった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2010/09/09
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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