ガチムキ饅頭はいかがッスか?


<オープニング>


●都内某所
 ガチムキな漢達が作る饅頭があった。
 彼らは黒光りする筋肉質の肌を売りにしており、場所が場所だった事もあり、饅頭が馬鹿売れしていたのだが、あまりにも売れ過ぎたせいで、バイトを募集。
 だが、バイトで採用されたのは、近所のおばちゃんや細身の男。
 それでも、店側は『まぁ、裏方だし、問題ないだろ』程度にしか思っていなかったのだが、熱烈な饅頭ファン(?)によって内情が暴露。
 『なんだよ、格好いいお兄さんの血と汗と何かが混ざった饅頭じゃないじゃん!』という事になり、あっという間に廃業した。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、ガチムキ饅頭店の跡地。
 ここは場所が場所だったせいか、その手の人達に大受けしていたらしいんだけど、あまりにも売れ過ぎたせいでタブーを犯して廃業しちゃったようなの。
 何というか、お客達にも絶対に譲れないこだわりがあったわけね。
 リビングデッドと化したのは、そう言ったお客達。
 彼らが求めているのは、ガチムキな漢のみ。
 それ以外はこの世から消滅してもいいと思っているから、鉄パイプやらチェーンソーやら振り回して襲いかかって来るわ。
 逆にガチムキな相手に対しては、汗を採取しようとして必死。
 なんでも、饅頭に塩味が足りなかったから、納得していなかったようなの。
 それと、店内の一部が特殊空間と化していて、オネエ系の地縛霊が留まっているわ。
 しかも、特殊空間の中ではだんだん筋肉質になっていくらしく、それに伴い汗がにじみ出てくるそうよ。
 ただし、筋肉質になるのは単なる錯覚だから、特殊空間から脱出する事が出来れば元通り。
 変化しているのも見た目だけだから、戦闘にもまったく影響がないわ。
 まぁ、少しの時間なら身体が引き締まった程度にしか感がないから、どちらにしても問題がないと思うけど……。
 とりあえず、地縛霊は性別に問わず筋肉質な人が好きなようだけど、わざわざ相手の望みを叶える必要がないから、構わず倒しちゃって。

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参加者
氷狩・蒼哉(氷鏡・b10543)
上条・まゆ(白燐蟲使い・b10802)
周防・すみれ(真妄想乙女・b16633)
紫月・蓮(瞬きの闇・b23296)
神那岐・キリト(クルーシフィクス・b30248)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)
杜塚・紗耶(錦上に華舞を添えて・b52278)
シュヴール・ルドルフ(ヴォルフエンブレイス・b57139)
コロナ・サンライト(超光戦士・b77156)
オリヴィエ・シンフォティア(魔法陣描く金鈴音の魔女・b77441)
比良坂・夜魅(高校生処刑人・b78427)



<リプレイ>

●饅頭一筋
「世の中にはいろんな嗜好の人がいますのね……。どちらにしても行きたくないお店ですが……」
 ゴーストの確認された場所に辿り着き、周防・すみれ(真妄想乙女・b16633)がしみじみとした表情を浮かべる。
 ガチムキ饅頭は筋骨隆々の漢達でなければ作れないほど、深い味の食べ物であったが、売り上げが伸びるにつれて、そのクオリティを維持していく事が出来なくなってしまったらしい。
「でも、ある程度有名になってしまうと、人手が足りなくて妥協してしまうって事ありますよねぇ。そこで上手くやっていけば、良かったんでしょうが……、今更な話ですね。まぁ、アイディアは良さそうな感じでしたが……」
 少し残念そうにしながら、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が溜息を漏らす。
 おそらく、無理をして生産数をあげなくても、販売数を制限してガチムキな漢達が饅頭を作っていれば、このような事態にはならなかった事だろう。
「確かにコンセプトは悪いとは思いませんが、マッチョマンの血と汗が混ざっているお饅頭を食べたいと言う気にはなれませんね。もちろん、僕としても鍛え抜かれた筋肉への憧れはあります。……ありますけれど……こう……汗をなめたいとかそーゆー倒錯的な気持ちはさっぱりないですね」
 苦笑いを浮かべながら、神那岐・キリト(クルーシフィクス・b30248)が答えを返す。
 実際に血と汗が混ざっていたわけではないようだが、クーラーが効いていない狭い厨房で筋骨隆々の漢達が饅頭を作っていたのだから、何かが混ざっていてもおかしな話ではない。
「そんな物を食べていたなんて、すでに変態としか言えないわ! じょ、冗談じゃない!」
 饅頭の虜になっていた常連客達の話を思い出し、比良坂・夜魅(高校生処刑人・b78427)が全身に鳥肌を立たせた。
 少なくとも常連客達はガチムキ饅頭に染み込んだ汗を目当てにしていたため、間違いなく変態である。
「うぅ、とても甘くて、美味しいはず……なのに……。なんだか、あまり……美味しそうに、感じないかも……です……」
 ガチムキ饅頭を想像しながら、冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)が青ざめた表情を浮かべた。
 饅頭を作る環境があまりよろしくなかったため、例えどんなに美味しくても素直には喜べない。
「何だか隠し味にプロテインとか入っていそうですね。そういうのはノーサンキューなのです!」
 激しく首を振りながら、コロナ・サンライト(超光戦士・b77156)が拒絶反応を示す。
 もしかすると、何らかの隠し味が入っていたのかも知れないが、関係者の所在が不明となっている今となっては確認する事も出来ない。
「……どんな饅頭なんだ、それは。……まあ、世の中には筋肉質な男に魅力を感じるものもいるんだろうが、何が悲しくて男の………いや、うん。これ以上言うまい。女性の考える事は理解できないんだろう。俺には、一生」
 途中で考える事を諦め、紫月・蓮(瞬きの闇・b23296)が口を開く。
 饅頭自体の味は独特な癖があるものの、『また食べたい』という気持ちになっていたようなので、それなりに美味しかったのだろう。
「……何ていうか、そもそも元の馬鹿売れの話が疑問で仕方ないんだけど……。いや、別に否定はしないけどさ。世の中には僕には理解できない事が沢山あるんだね……」
 未だに饅頭が売れた事を信じる事が出来ぬまま、氷狩・蒼哉(氷鏡・b10543)がどこか遠くを見つめる。
 饅頭の評判を聞く限り、決して不味い物でなかったようだが、それが出来るまでの過程を聞いていると、どうしても食欲が減退してしまう。
「……というか、日本に来てこの学園に入り、学生寮の存在を知るまで衣食住に困っていた私から見れば、こんな事にこだわって文句を言ってる人間達は、かなりバカバカしい話に聞こえるんですけどね〜」
 不機嫌な表情を浮かべながら、オリヴィエ・シンフォティア(魔法陣描く金鈴音の魔女・b77441)が頭上に怒りマークを浮かべる。
 だが、常連客からすればガチムキの漢が作っている事に意味があったため、そうでなければゴミ以下の扱いだった。
「うーん、筋肉質な男の人もそれはそれで魅力的だと思うけど。それだけにこだわるってのもちょっとな〜? 筋肉を付けすぎたら踊れないし……」
 自分の立場に置き換え、杜塚・紗耶(錦上に華舞を添えて・b52278)が踊り子装束でくるりとターンをする。
 その途端、物陰からリビングデッド達が現れ、『ほんのりと汗の匂いがする』と鼻をヒクつかせた。
「うわっ……、こっちを見ているぞ」
 全身に鳥肌を立たせながら、シュヴール・ルドルフ(ヴォルフエンブレイス・b57139)が後ろに下がっていく。
 リビングデッド達はガチムキの男を探しているらしく、両目をギラギラとさせていた。
「どうやら、考えている時間はなさそうですね」
 一般人対策のために持参した特撮ドラマ『マッスルメン・マッシブ』の台本『マッシブの危機』を持った状態で、上条・まゆ(白燐蟲使い・b10802)が片手をあげて白燐光を出現させて早着替えでマッスルメン・マッシブに変身する。
 それと同時にリビングデッド達がフンと鼻を鳴らし、『お前らには用がねぇ!』と叫んでチェーンソーや鉄パイプを構えて襲い掛かってきた。

●汗の匂い
「そんな物騒なものを振り回しても、私達には勝てませんわ」
 リビングデッド達に警告しながら、すみれがブラックヒストリーを放つ。
 だが、リビングデッド達はこの世にガチムキ以外の人間が存在している事が許せないため、『黙れ、そんなひ弱な身体で調子に乗るな!』と叫んでチェーンソーを振り回す。
「や、細くて何が悪いのさ。自分では平均的なつもりだけども」
 納得のいかない様子で反論し、蒼哉が氷雪地獄を発動させる。
 しかし、リビングデッド達は怯む事なく、『ガチムキ以外は悪! 悪は滅びるべきだろ!』と言い放つ。
「なんと言うか嫌な奴ですね。……そんなに言うなら自分達で饅頭も作ればよかったのに……」
 不満そうに愚痴をこぼしながら、洋角がリビングデッドめがけて暴走黒燐弾を打ち込んだ。
 次の瞬間、黒燐蟲の群れがリビングデッド達の身体に纏わりつき、辺りに凄まじい悲鳴が響き渡る。
「それじゃ、ちょっと痛い目、遭ってもらいましょうかね〜?」
 すぐさま魔弾の射手を発動させ、オリヴィエが指の関節を鳴らす。
 だが、リビングデッド達はフンと鼻で笑い、『いい度胸じゃねぇか。この言葉……、絶対に後悔させてやる!』と叫んでチェーンソーをフル回転させた。
「はゎ……、えと………ご、ごめんなさい…? でも……ちょっと、怖いかも…です……」
 咄嗟に薙刀でチェーンソーを払いのけ、香夜が怯えた表情を浮かべて後ろに下がる。
「でも、そう簡単には当たる訳にはいかないんですよね」
 リビングデッド達の攻撃を避けながら、洋角が黒燐奏甲を発動させた。
 しかし、リビングデッド達は『ガチムキ以外は滅びよ!』と叫び、再び攻撃を仕掛けてきた。
「もしかしたら、ガチムキを産むかも知れない女の子を傷つけてもいいのかしら?」
 旋剣の構えを発動させながら、夜魅が含みのある笑みを浮かべる。
 その途端、リビングデッド達が立ち止まり、『確かにその言葉には一理ある』と答え、『ならば、その可能性をさらに高めるため、俺達と子作りだあああ!』と叫んで一斉に襲い掛かってきた。
「……って、なんでそうなるのよ! そんなのこっちからお断り!」
 ハッとした表情を浮かべ、夜魅が黒影剣を放つ。
 しかし、リビングデッド達は『これも未来のガチムキを作るためだ。その犠牲になるのなら、大嫌いな女にだって優しく出来る』と答え、夜魅の感情を思いっきり逆撫でた。
「こんな所、早く出たいですわ……」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、すみれが炎の魔弾を撃ち込んだ。
 次の瞬間、リビングデッドの身体が炎に包まれ、『これもガチムキのためだ!』と大声を上げた。
「理想を持つのは良いけど、それを押し付けないで欲しいなぁ」
 呆れた様子でリビングデッドを眺め、蒼哉が背後に回り込んで光の槍を放つ。
 だが、リビングデッド達の戦意はまったく衰えておらず、『俺達の理想を邪魔するなら、ここで死ねぃ』と襲い掛かってきた。
「清けき光よ、彼らを……永久なる眠りに……誘って……」
 リビングデッド達をギリギリまで引きつけ、香夜がアークヘリオンを使う。
 それでも、リビングデッド達は唇をグッと噛み締め、『俺達が苦戦している……だと!? そ、そんなはずがない! こんなひ弱な奴を相手にして……』と悔しがる。
「どうせ、あんた達はこういうのを望んでいたんでしょ?」
 リビングデッド達を射程範囲内に捉え、オリヴィエがパラノイアペーパーを発動させた。
 その内容は文字通りガチムチな筋肉モリモリのお兄さん達が、汗だくだくでひっつきあったり互いの胸で抱き合うように、饅頭の生地や餡をこねたり、高いところの物を肩車で取ったりしながら饅頭を作っているというもの。
 あまりにも内容が過激すぎるせいで、リビングデッド達が鼻の下を伸ばして棒立ちになった。
「もう手加減しないわよ。あの世で自分の言った事を後悔しなさい!」
 仲間達と連携を取りながら、夜魅が再び黒影剣を炸裂させる。
 その一撃を喰らってリビングデッドが悲鳴をあげ、『やっぱり、女なんて嫌いだ』と言って動かなくなった。
「……しばらく饅頭を食べたくなくなるかも……、どうしてくれるのよ」
 物凄く嫌そうな顔をしながら、オリヴィエが最後まで残ったリビングデッドにトドメをさす。
 リビングデッド達のせいで饅頭に対して、嫌な印象を植え付けられてしまったため、しばらくの間は饅頭を食べようと思う気持ちになれそうにない。

●オトコのニオイ
「こ、これは……!? 一体、何が起こっているのですか!?」
 信じられない様子で悲鳴をあげ、まゆが身体を震わせる。
 特殊空間の中ではだんだん筋肉質になっていくらしく、ただでさえ筋肉質の肉体がさらに引き締まっていく。
 そのため、まゆは半ばパニックに陥っており、恐怖でその場から動けなくなっている。
「特殊空間の不思議効果とはいえ、筋肉質になった自分と言うのも、ちょっと嬉しくなりますね」
 ギンギンカイザーXを口に含み、キリトが仲間達にニコッと笑う。
「んー、何だかさっきから誰かに見られているような気が……。何というかネットリとした視線というか……、絡み付いてくるような視線というか……」
 ダラダラと汗を流しながら、紗耶が警戒心を強めていく。
 しかも、時間の経過と共に胸が小さくなっていき、妙に男らしい身体になってきた。
「とりあえず、急ぐか。錯覚でも何か嫌だしな」
 自分の身体が何となく筋肉質になってきた事に気付き、蓮が身の危険を感じて地縛霊を睨む。
 地縛霊は少しずつ筋肉質になっていく蓮達を眺め、どこか満足げな表情を浮かべている。
「これってマズイ状況じゃないか。……物凄く!」
 ただならぬ殺気を感じ取り、シュヴールが素早く横に飛ぶ。
 次の瞬間、地縛霊が『たまらぁーん!』と叫び、物凄い勢いでシュヴール達に抱きつこうとする。
「なんか気持ち悪いーっ!? こっち来るなーっ!?」
 激しく首を横に振りながら、紗耶が地縛霊に幻楼七星光を放つ。
 だが、地縛霊の勢いは収まらず、そのまま倒れこむようにして、紗耶にギュッと抱きついた。
「そこまでだよっ! 愛と勇気と友情の戦士、超光戦士サンライト、ここに参上ッ!」
 少し高いところに立って名乗りを上げ、コロナが格好良くポーズを決めて旋剣の構えを使う。
 その途端、地縛霊がいやらしい笑みを浮かべ、『その身体……、実にイイッ!』と言って立ち上がる。
「うぅ〜、気持ち悪かったよぉ」
 大粒の涙を浮かべながら、紗耶がフラフラと逃げていく。
 地縛霊に何かされたわけではないのだが、触れられた時の感触が必要以上に気持ち悪かったため、未だに鳥肌が消えずに残っている。
「……って、おい。今度はこっちがヤバくないか?」
 地縛霊と目が合ってしまったため、シュヴールが先手必勝とばかりにブラックヒストリーを放つ。
 それと同時に地縛霊がダラダラと涎を垂らし、蛇のように長い舌を伸ばしてきた。
「き、気持ちが悪いっ!」
 ほんのすこしだけ腕を舐められ、コロナが身を強張らせて後ずさる。
 普段ならこの程度の事で怯む事はないのだが、本能的に『アイツはヤバイ』と警告音が鳴り響いた。
「や、やめてください」
 油断した拍子に背後を取られ、まゆが地縛霊に自由を奪われる。
 何とかして抵抗しようとするのだが、まるで元々ひとつであったかのように地縛霊の身体にピッタリとくっつき、なかなか離れる事が出来ない。
「ガチムチさんは悪くは在りませんが、やっぱり汗や血液まで欲しい気持ちは理解できませんねぇ」
 少しずつ間合いを取りながら、キリトがスピードスケッチを炸裂させる。
 その一撃を喰らって地縛霊が歯軋りを始め、『俺の邪魔を……するなぁ!』と叫んで攻撃を仕掛けてきた。
「……意味がわからんな。……沈め」
 クールな表情を浮かべ、蓮が地縛霊に呪いの魔眼を放つ。
 それと同時に地縛霊が悲鳴をあげ、まゆが逃げるようにして倒れこむ。
「私のこの手が真っ赤に燃える。悪を倒せと轟き叫ぶ。燃え上がれ、愛と勇気と友情のバーニングフィンガーッ!!」
 地縛霊が体制を崩した瞬間を狙い、コロナがプロミネンスパンチを炸裂させた。
 それに合わせてまゆがすべての怒りを拳に込め、マッシブダイナマイト(フェニックスブロウ)を叩き込む。
 次の瞬間、地縛霊が『もっと、触らせろー!』と叫んで特殊空間もろとも消えていく。
「な、なんかすっごく疲れた……」
 げんなりとした表情を浮かべ、紗耶がその場に崩れ落ちる。
 仲間達も同じ気持ちでいたのか、その言葉を聞いて乾いた笑いを響かせた。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2010/10/05
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
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