生徒会が生徒会長と生徒会室の


<オープニング>


 秋の夜長。趣味に没頭するのには丁度いい頃合い。
 読書か飲食か、あるいはゲームだろうか。
 しかし静かな夜の闇はあらゆる事を隠匿する。そう、例えば……。
「新しい秘密基地をつくるって……」
「トウダイモトクラシー、って事で学校の屋上の一角に基地を構えたのは間違いだったよな、やっぱりよ」
「大正デモクラシーみたいな言い方されても……」
 二人の中学生らしき影が廃墟となった学校の廊下を歩いていた。
 少子化の影響で学校が統合し、その遺された側の学校だという。
「でもここなら大丈夫。ウルセー大人どももいねーし、そして広い!」
「あんまり綺麗じゃないけど……。埃っぽいし」
 威勢の良い少年はもう一人の小柄な同行者の顔を覗き込んだ。
 肩くらいの髪に整った可愛らしい顔立ち。華奢な体は少女そのもの――。
 おっと。そのもの、などと言ってしまってはもうバレてしまうな。
「おいおい、女みてーな事言うんじゃねーよ!」
「だ、だって……」
 どこからどう見ても少女だがしかし、着ている制服は男子のもの。
 そして『彼』が所持している生徒手帳にも『男』の方に丸印が書き込まれている。
 今流行の……何と呼んだらいいか。そう、『オトコの娘』……。口頭ではニュアンスが難しいが、まあいい。
「それにここ、おばけが出るとかって……。それでいつまでも取り壊されないで残ってるとか……」
「んなもんはガキをココに近寄らせないために大人がつくったデタラメの噂だろ! 取り壊さねーのは金がねーからだろ」
 威勢の良い少年は「お? 今俺、知的だったな!」と笑った。
「さーて、どこに本部を設置するか……。ん?」
 少年は横開きの扉の上で斜めになっているプレートの文字に引きつけられた。
 プレートが主張するには扉の中は生徒会室になっているそうだ。
「生徒会室……?」
「ふっ、俺にぴったりだな。クソみてーな大人が居座ってた職員室や校長室よりも生徒会室。生徒の頂点が君臨する、まさに俺のようなリーダーに相応しい部屋!」
「ところでボクたちの組織? って何するところなの?」
「決まってるだろ」
 少年は扉に手をかけた。
「世界を」
 少年は扉に横への力をかけた。
「ここから」
 少年は扉の中へと一歩踏み込んだ。
「変えてやるんむぎゃー!!」
「ええーっ!?」
 少年は扉の中にいた何者かに吹き飛ばされた。
「……生徒会長を……ナメるなああああああ!!」
 はいこれ今回の地縛霊。

「秋なんだか秋じゃないんだか、びみょーにハッキリしない気がするのは気のせい?」
 いつものように空き教室でぐだぐだと――今日はさっきまで「ファッション誌はパラパラ漫画を描くのに適さない」事を雄弁に語っていた――朝日岡・悠陽(高校生運命予報士・bn0064)は椅子に座って脚をぷらぷらさせていた。
「まあいいや。これもゴーストとかのせいにすれば全て解決っと」
 それはどうか。
 悠陽は椅子から立ち上がるとつかつかと黒板の前まで歩き、そして集まった能力者たちに振り返った。
「そう、たとえば今回みんなに倒してもらう地縛霊とかね!」
 大変イキイキされておいでだが、相手は地縛霊だとしてもとんだとばっちりである。
 出現するのはある廃校となった学校で、被害者はまだ出ていない。
「あたしがさっき話した二人の男の子の話は未来の出来事ってワケだね。つまり彼らの未来はみんなに託されたも同然!」
 ゴーストは一体のみで、かつそれほどの強さではないというから時間が掛かりすぎて少年たちがやって来てしまう……という事はないだろう。
 当然、廃校なので周囲に一般人はいない。存分に暴れても問題はない。
「地縛霊はおびき寄せて倒すのがイチバン! てなワケで、この地縛霊は……生徒会室らへんでリーダーっぽい雰囲気をかもしだせば出てくるっぽいねー」
 この生徒会室に現れる制服を着た少女の姿の地縛霊は『生徒会長』を名乗っている。
 ……とは言え、彼女に従う他の役員や生徒たちはいないのだが。
 生徒会室は校舎の3階端に、通常の教室2つ分ほどの広さが確保されているようだ。
 中にはまだ机や椅子が乱雑にだが置いてあり、役員たちが仕事をしていた面影が少しばかり残っている。
「自分に歯向かう勢力を取り込んで自分の生徒会をおっきくしようとか考えてるんじゃない? 知らないけど」
 リーダーは、生徒会長は常に一人。そういう事なのか。
「みんなで生徒会ごっこでもすればおもしろ……げふんごふん……手っ取り早いんじゃない?」
 能力者たちはあえてツッコミは入れないでおく事にした。
「あ、そうそう。地縛霊生徒会長は会長パンチと会長キック、会長ビームが飛んでくるから油断しすぎないようにねー」
 会長ビームは制服の胸の位置にあるリボンから照射されるぞ。
 今時の生徒会長はビームでも出さなければキャラが埋もれてしまう……何とも過酷な運命にある。
 ――かどうかは定かではない。
「そんなモンかな。それじゃ朝日岡学園生徒会の諸君、張り切って地縛霊を倒してきてくれたまえ!」
 勝手に朝日岡学園なる不穏な学校に入学させられた上に生徒会入りさせられた能力者たちは、その後ツッコミを入れたり入れなかったりしたとかしないとか。

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参加者
倉科・こころ(焔の如き希望と共に歩む者・b34138)
ケミス・トーリィ(機構化学の鳥居・b36129)
羽住・蒼流(空謳・b50424)
雲乗・風斗(ヴォームティンクラウド・b51535)
アルノー・ケンプフェルト(流水暴刃のナハトブリッツ・b53216)
護宮・サクラコ(音羽ノ斎宮・b72480)
比良坂・琴姫(嘲る神鳴・b73806)
篠原・千秋(光霧操る茶道家元継承者・b78170)



<リプレイ>

●生徒会参上!
 古びた校舎の一室に集いし8人の少年少女たち。
 各々が様々な分野に特化した選ばれしスペシャリストの集団だと噂される……その名は誰が言ったか……。
「全員揃っているな……。では早速だが今日の会議を始めよう」
 荘厳にして厳格そうに口を開く彼は篠原・千秋(光霧操る茶道家元継承者・b78170)。
 制服に目立つ色の腕章という出で立ち。
 腕章にはこう刻まれている。
 『朝日岡学園生徒会』と!
「それじゃ今日の議題、発表しちゃって!」
 千秋とは対をなす位置に席を持つ倉科・こころ(焔の如き希望と共に歩む者・b34138)。この二人はこの生徒会の副会長を務めている。
「今日の議題は……『校内清掃』だな」
 手元の資料を一度確認した庶務の雲乗・風斗(ヴォームティンクラウド・b51535)が言う。
「なるほどー、校内清掃! 書記さん、ホワイトボードにメモしといてね! ……書記のアルノーくん?」
 書記からの返答がなかった事を不審に思い、こころはホワイトボードへと目をやった。
「動くなツクダニ君ー……そう、そのポーズ!」
「って、なにやってるの!」
「あ、いや……ちょっとヒマだったから。あれ、もう会議始まってた?」
 なんともマイペースな彼はアルノー・ケンプフェルト(流水暴刃のナハトブリッツ・b53216)。この通り書記ではあるが、目を離すとホワイトボードは彼の絵で埋め尽くされているのは日常茶飯事。
 今日は生徒会室の謎の存在、シャーマンズゴースト・ファラオの『ツクダニさん』をモチーフにイラストレーティング。
 ツクダニさんもツクダニさんで自然とポーズを取っていたりしている。
「ここは会長からも一言……」
 千秋が左を、コの字型に並べられた机のいわゆるお誕生日席などと呼ばれる位置に目をやった。
 そこにはいかにも重役そうにふんぞり返って座っている一人の少女。
「うむ。でもその前に」
 顔を上げた少女は容姿端麗や才色兼備といった言葉が似合いそうなまさしく美少女。
 その腕には一際豪華な腕章。
 彼女は唇を動かし、言うのだ。
「生徒会専用おやつボックスの予算はまだでいすか?」
 そう、これが我らが会長、護宮・サクラコ(音羽ノ斎宮・b72480)である。
 まあ何と言うか言動が残念ではあるが、しかしまあ、生徒会長という事はスゴイに違いない。
「悪いが、そんな予算はないよ」
 すかさず少年のような声がサコラコの言葉をバッサリと切り捨てる。
 会計、比良坂・琴姫(嘲る神鳴・b73806)は男子の制服こそ着ているものの立派な女子なのだ。
「えええ! あんなに一生懸命書いた嘆願書は!?」
「あの50ページ程の書類か。裏面をメモとして活用させてもらうよ」
「そ、そんな……」
 どんよりとヘコむサクラコの肩をもう一人の書記である羽住・蒼流(空謳・b50424)が優しく叩く。
「サクラコ会長、そう落ち込まないでください。1年生から生徒会長支援の手紙を頂きましたよ」
 つまりはファンクラブからのファンレターである。
「流石は会長です! 毎日ダンボールに一杯入ったファンレターをもらえるだなんて! でもそろそろ僕にも他の仕事を」
「一気に元気と勇気が出てきたでいす!」
 最後までセリフが言えなかったのはケミス・トーリィ(機構化学の鳥居・b36129)。庶務にして忠実なる会長の部下であるが、今のところの唯一の仕事はファンレター運びという……健気さ全開の少女だ。
「やはり会長のカリスマ性は侮れんな」
「それほどでも……あるでいすよー」
 ダンボールをがさごそしながら千秋の褒め言葉を肯定するサクラコ。
「もー、篠原くん! 会長を甘やかさない! 会長、ちゃんとアルノーくんを叱って!」
 そういえば話が脱線しまくっていた。
 こころに言われたサクラコは、じーっとアルノーとホワイトボードを見つめた。
「ん、サクラコちゃんも描いてあげよっかー?」
「書記さん!」
「ん?」
 初登場の一瞬のシーン以来のシリアスな顔でアルノーに迫るサクラコ。
 生徒会長は生徒会内の秩序を守るために時として心を鬼に修羅と……。
「ツクダニさんはもっと可愛く描くのでいす! 特にココとかココとかの線をこうやって……」
「おっと、ごめんねー。まだ新しいペンに慣れてなくてさー」
「そうじゃなくって!」
 明確なツッコミがこころしかいないのが、この生徒会をフリーダムの巣窟にしている一因でもある。
「あまり、無理しすぎも良くないですよ」
「無理しないといけない時もあるのかも……」
 蒼流はこころからサクラコに振り返ると、手元のメモを見ながら報告する。
「そういえば新聞部から取材の申し込みがありましたが、いつにしましょう?」
「取材? あー、あの新聞部の?」
 新聞部は週に一回ほど、幅広いニーズに応えた内容の校内新聞をゲリラ的に掲示しているらしい。
 その中でも特に人気なのが『生徒会特集』だ。
「もしかして『生徒会長にインタビュー!』とかもあるんでいすか?」
「はい。それが一番の目玉のようですね。先日の体育祭でのご活躍についての話も、とのことで」
 蒼流からの返答を腕を組みながら聞いたサクラコは、
「庶務さん庶務さん」
「え、あ、はい! なんでしょう会長! お仕事ですか!?」
 突然の指名に慌てながらもケミスは勢い良く立ち上がった。
「インタビューはキャンセルで、あとは生徒会のカッコいいところを存分に取材させるような方向で新聞部に交渉して欲しいのでいす」
 一方的な交渉……もとい強制変更させるつもり全開である。
「流石は会長です! 僕にお仕事を与えつつも会長に無駄な負担を掛けさせない、一石二鳥の策ですね!」
「俺も副会長として現会長の身の振り方は見習いたいところだな」
「な、なんでそうなるのかなぁ……」
 こころはツッコミを入れる前に呆然と立ち尽くしてしまっていた。
「それで結局、校内清掃の話はどうなったの?」
 落書きをしながら器用に会議(雑談?)の要点を板書していたアルノーが問う。
 アルノー以外の全員が「そうだった!」という顔になるのはもはやお約束。
「そーだなー。んじゃ、お掃除ロボ十台くらい買おうぜ」
 風斗が意気揚々と手を挙げた。
「私たちに割り振られた予算の額を知っていて言っているなら上等だな」
 当然ながら琴姫が鋭い目を向けてきた。
「そっか、十台は無理だよな。なら五台でいいよ」
「一台買っただけで破綻するよ」
「ロボは無理か……。でも殺虫用にレーザー銃が必要だな。買おうぜ」
「どこにそんなものが売っているのかな? そしてそれはこの学園全体の予算何年分になるのだろうか」
「なら殺虫スプレ」
「ああ、予算が余ったらね」
「いやスプレーは買えるだろ!?」
 琴姫は風斗の発言にはもう耳を貸さなくなってしまったらしい。
「サクラコがいなくてもキチンと会議が進んでいるようなので――」
 これがキチンと進んでいるレベルなのか、と気が付く所ですよ。
「副会長さん」
「ん?」
「これからツクダニさんのお散歩に行くので、あとは任せたでいす」
 生徒会のマスコット的なツクダニさん。一体何者なのだろうか。 
「ちょい、待った待った。会長がふらふら出歩かないの!」
「流石、ご自身できちんと責任をもって散歩に連れて行くとは……」
「羽住くんもとめてよー!」
 サクラコが扉に手を掛け、
「生徒会長を……ナメるなぁああああッ!!」
 そんな折についに現れましたよ。
 今回ばかりはこの地縛霊の言っている事、正しいような気がしないでもないが……。
 しかたないね。
 ――しかしこうなれば話は別。
「有能なる生徒会役員諸君! 校内清掃に取り掛かるのですねい! 塵一つ残さず!」
 先程までの彼女とは違う。サクラコは腕を大きく横に薙いだ。
「生徒会室から徹底的に!」
 凛々しい声が生徒会室に響いた。

●生徒会戦闘!
「会長、ここは一つ号令でも掛けてくれ」
 やはり雰囲気は大切だと、琴姫の発言にサクラコは大きく頷いた。
「やあやあやあ我こそは、第七十二代朝日岡学園生徒会長、護宮・サクラコ、なのでいす!」
 地縛霊の出現と共にサクラコたちはイグニッションを完了……というか、物凄い伝統を誇っているなあ、朝日岡学園。
 七十二、か……。
「世に悪と不浄を為す悪霊め、ほこりと一緒に清掃してあげるからちょっと待ちなさい」
 大仰な名乗りを終え、サクラコは横に大きく広げた腕を正面に向けた。
「では、生徒会役員のみなさま、やっておしまいなさい!」
 サクラコの背後が眩く輝いた!
 こいつはすげぇ、どこぞの隠居も真っ青だぜ!
「――会長も働いて欲しいが……まあ、心得た」
「さすが会長。ですが威厳を示すのはこれからですよ?」
 というのは千秋の光の槍による演出効果。
 もちろん出した槍は投げつけますとも。
 先制攻撃となった光の槍は、
「おまえにはうちの会長のような輝きが足りない。俺が加えてやる」
 千秋の言うように自称・生徒会長の地縛霊を光に包み込んだ。
 光のシルエットに映る地縛霊は、どこかアニメの世界の学校の制服のような格好で、どこかひらひらとした装飾が多い。
 髪は黒く、腰まではありそうなロング。優しい中にも厳しさが垣間見える顔立ちは生徒会長さながらといったところか。
「……おのれぇ、生徒会長に歯向かうというのかあああ!」
「綺麗な顔の割りには声が妙に低いというか、熱すぎるというか……。とにかくこれ以上先には行かせないよ!」
 千秋をフォローするように前に出るこころとアルノー。
「結束した生徒会の力、見せつけちゃおうね♪」
「了解、副会長ことこころちゃん! ……副会長といえば」
 デモンストランダムと霧影爆水掌。あらゆる方向からの拳に押しつぶされる地縛霊会長。
 腕を振り抜いたアルノーがぽつりと一言。
「他の役員とかいないって事はー……生前、信頼が足りなかったのかな?」
「な、なかなか厳しい事言うね……」
 くすりと小悪魔のように微笑むアルノーであったとさ。
 まあ、これが生きている人間相手ならばかなりの大打撃を与える事ができただろうが、いや、地縛霊だからこそ言いたい放題できるのだろうか。
「アイサー。突撃するぜ」
 サクラコの命に地縛霊との距離を詰める風斗。
 今のアルノーたちの攻撃で怯んでいる今がチャンス、と思ったがしかし。
「……会長パァァァァッンチッ!!」
「おお!?」
 千秋の光の槍のような輝かしさはないが、黒炎を纏った拳が風斗を強打する。
「くっ……そうか、これがあんたの会長としての情熱か」
 風斗は辛うじて手に持つ二本の短刀でそれを受け止めると、
「だがやっぱりサクラコさんには勝てないだろうな。とっておきだ。浴びときな!」
 すかさず弾き飛ばし、身を捩りながらクレセントファングを叩き込んだ。
「いわゆるひとつの、朝日岡学園生徒会総戦挙ですよね?」
 ケミスが手に破魔矢を形成しながら言った。
「総選挙か……。昨今の生徒会と言うのは何か個性でもないとやっていけないのだろうかね」
「時代が時代ですし、そんなものかと!」
 琴姫は表情こそ変えないが、
「ふむ。今の世の中、予算を勝ち得るにも個性や能力が必要というわけだね」
 何となく了解したようにケミスに並んだ。
「選挙戦のライバルであるターゲットは地縛・霊さん、女性、対抗勢力が現れると殲滅しに現れるそーです」
「なるほど。斬った張ったは苦手でね。後ろから失礼するよ」
「放ちます!」
 破魔矢、そして雷の魔弾が炸裂!
 振り払おうとする地縛霊だが、しかし二人の同時攻撃はそうそうかわせるものではない。
 閃光の中で蹌踉めくのが確認できた。支持率はサクラコ生徒会に分がありそうだ。
「さあ、もう少しでサクラコたちの勝利でいす! 攻撃の手を緩めないのでいす!」
「了解しました、生徒会長」
 指示というか檄を飛ばすサクラコに頷く蒼流。
「生徒ども……教師どもも我が手中に……!」
 地縛霊会長の胸に、胸のリボンに光が収束していく。
「生徒会長こそが絶対の存在だあああ!!」
 咆哮が強烈なビームと共に生徒会室を灼き尽くす!
 一瞬、世界が白く、何も見えないくらいになったが……。
「見切った! 真の会長に通用すると思ってか!」
 サクラコ生徒会のメンバーたちはある程度分散していたために、ビームは見掛け倒しも同然となった。
「少しワンピース、コゲてるよー?」
「え!? ……フフ、少しは当たってあげないと哀れと思ったのでいす!」
 ご愛嬌ご愛嬌。
「貴女の配下になるのは御免ですよ。僕らの生徒会長は一人です」
 改めて蒼流は剣を握り直した。
 そして鋭い眼光――呪いの魔眼が地縛霊を射抜く!
「ぐっあ! ……ナゼ、ナゼだ……!」
 それでもなお、攻勢に出ようとする地縛霊を、
「ツクダニさん、タックルでいす! それから援護を!」
「承知。サポートするのが副会長の務めだ」
 千秋が気を逸らし、ツクダニさんの攻撃を有効化して地縛霊の足を止めた。
「崇められ奉られ、畏敬と尊敬の眼差しを一身に受け、そして臆せず、自らの責任と信念に基づいて生徒達を導く」
 最も後ろにいたサクラコが一歩、前に出た。
「それができない貴女は『ただの生徒』でいす!」
 そして鞭のようにしならせたしっぽは、
「私が……生徒会長だああああ!!」
 彼女をその役職から退陣させるのだった。

●生徒会完結!
「凄まじい生徒会長力だった……」
 風斗は転がっていた椅子を引っ張り出し、大きく息を吐きながらどっかと座り込んだ。
「生徒会長力……? でも、これで男の子達もこれで危険な目にあわないし、めでたし……かな?」
 生徒会長力が如何なるものかは定かではないが、こころも安堵し、イグニッションカードをしまった。
「でも、相手は一人だけ、一人ではやれることが限られます」
「そう――」
 ケミスの言葉に続けるように琴姫が呟く。
「『独り』では『生徒会』は出来んよ。次があるなら、もっと周りを見ることだ」
「一人じゃなく他の誰かと一緒に何かをする事が大事なんですよね。勿論無理矢理ではなく、同じ志を持つ者同士で」
 静かに目を閉じていた蒼流はやがてゆっくりと目を開いた。
「地縛霊の少女がいた生徒会は、彼女が望むほど活発ではなかったのかもな……」
 何があったのかは今や知る由もない。しかし、少女に人を引っ張る能力がなかったのなら仕方がないと千秋は思う。
 ふと、
「そういえば『朝日岡学園生徒会総戦挙』と言っておりましたねい」
 サクラコは手を掲げた。
「みなさま、次期選挙ではサクラコに投票下さいませ!」
 なんと続投の意思を表明!
「でもまあ……全てを他人任せにしちゃうのもダメだけどねぇ」
「い、いやあれは演技でですねい!」
「さすが会長」
「今度生まれ変わってくるなら……地縛霊もこれくらいのカリスマ持って生まれてね!」
 アルノーの言葉は果たして届いただろうか。
 そして朝日岡学園生徒会長の座は!?
 ……後者はどうでもいいか。


マスター:黒柴好人 紹介ページ
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作成日:2010/10/31
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