猛獣使い


<オープニング>


 とある大きな公園にある大きな広場で、深夜、少年達がダンスパフォーマンスの練習をしていた。
 すると彼等は一瞬不思議な感覚に包まれ……気づいた時、所謂サーカスの猛獣使いという格好をした男が1人、彼等の前に立っていた。
 彼がそのムチを振るった瞬間……その場にいた全ての少年達は体をたたきつけられ、ばたばたと倒れていった。

「今回の現場は公園の広場、猛獣使いのような格好をした地縛霊が相手となるよっ」
 神崎・優希(中学生運命予報士・bn0207)の説明によると、とある大きな公園にある大きな広場を深夜に訪れると特殊空間へと引きずり込まれ、猛獣使いの格好をした男が現れ、襲われるのだという。
 地縛霊が現れるのは午後11時頃、その公園の広場の中央へと足を踏み入れると、彼が待ち受ける特殊空間へと引きずり込まれるのだという。
 特殊空間内部は特に通常空間と変わりないが、脱出は不可能である。
 その時間はほとんど人が訪れる事はないものの、時折若者達が集まってくる事があるようなので一応注意しておいたほうがいいだろう。
 地縛霊は前述の通りの格好をしており、自在にムチを振るって相手をたたきつける攻撃を行うという。
 また本能的なものなのかは不明だが、動物に反応する性質を持っているようで、変身能力がある者は集中的に狙われる可能性がある。
「大きい広場だからサーカス団が来た事もあったみたいだけど……」
 それと関係があるのかはわからないらしい。
「何はともあれ、頑張ってきてね、みんなっ」

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参加者
ガイ・ブリアード(雷鳴の拳士・b00913)
マリス・フェイネス(猫娘・b24392)
メファシエル・ブランシュ(聖堂のカナリア・b27181)
菰野・蒼十郎(小者で弱くてヘタレな三拍子・b30005)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
方・瑞麗(魅惑の脚線美・b35580)
風波・椋(悠久の黒・b43193)
旋風寺・舞佳(勇者特攻トライガインエックス・b51714)
冬柴・細(ペンネームは姉小路細雪・b60582)
水姫・優希那(おちこぼれ妖狐・b73873)



<リプレイ>


 公園の広場に現れるという、サーカスの猛獣使いのような格好をした地縛霊。
 彼を倒すため、銀誓館学園から10人の能力者達が現場へとやってきた。
「ガイさん、方さん、人が入ってきそうな時はお願いしますね」
 本業が青龍拳士の仲間達にそう言葉をかける伊藤・洋角(百貨全用・b31191)は、一年以上前は自分も青龍拳士であった事を思い出しつつ、仲間達と共にロープや看板等を設置して封鎖作業を行っていく。
「猛獣使いの地縛霊か」
 サーカスとは普通人を楽しませるはずのものなのに、それがどうしてこんなふうになってしまったのだろうと、この地縛霊がサーカス団員だと決まったわけではないと理解しつつも、風波・椋(悠久の黒・b43193)はそう感じているようであった。
「被害が増える前にきっちり退治するぜ」
 以前サーカスが来ていたというのなら、そういう地縛霊が出てきたとしてもおかしくはないと思いつつ、グッと拳を握りしめながら戦意を高めるアメリカ出身のマッチョな青年、ガイ・ブリアード(雷鳴の拳士・b00913)。
「昔ここでサーカス来とったらしいし、そん時事故か何かで死んだ猛獣使いの残留思念かも知れへんなぁ」
 予報士から聞いた情報を元にそう推測する菰野・蒼十郎(小者で弱くてヘタレな三拍子・b30005)。
 なんにしても、猛獣もいないような場所でムチを振るわれるのも迷惑であるし、さっさと退いて次の公園場所に行ってもらおうと彼は考えていた。
「昔、サーカスで猛獣使いさんがライオンに襲われちゃったとか、そんな感じの事件があったのでしょうか?」
 例え本当に事件があったのだとしても、人を襲っては駄目であると水姫・優希那(おちこぼれ妖狐・b73873)は思いつつ、深夜にダンスの練習をするのもどうかなと感じていたが、なんにしても頑張ってる人達の邪魔をさせるわけにはいかないと、使命感を燃やしているようであった。
「そういや、サーカスなんてトンと見なくなったな。昔はサーカス団は結構ドサ周りしたもんだが……」
 冬柴・細(ペンネームは姉小路細雪・b60582)曰く、日本は欧米に比べてサーカス自体の社会的地位が低いため扱いも悪いらしい。
 そんな蘊蓄を披露しつつ、彼はやややる気なさげに作業を進める。
「サーカス団かぁ……見たこと無いなぁ。イルカの調教師とかそんな感じなのかな?」
 だが、今の状態だと猛獣使いというより動物虐待……そしてただの殺人犯である。
 何も悪い事をしていない人達が理不尽に命を奪われるのを黙ってみてはいられないと、メファシエル・ブランシュ(聖堂のカナリア・b27181)は静かな闘志を燃やしているようであった。
「なんかくるくる巻いたヒゲとかはやしてるイメージ」
 メファシエルの言葉に応えるようにして旋風寺・舞佳(勇者特攻トライガインエックス・b51714)が呟くが、
「……まあ、そんなことはどうでもよくって!動物を苛めるのと、動物を操るのでは全然ちが〜う!なにより、愛が足りない!」
 と、そう言い張る。
 そうしてそれぞれ様々な想いを巡らせている間に作業は終了した。
「私には確かめたい事がある」
 誰にともなくそうぽつりと呟く中国出身の少女、方・瑞麗(魅惑の脚線美・b35580)。
 彼女が確かめたい事……それは自分の拳の先には何があるのか、自分はこの世でどれだけ強いのか……という事である。
「だから私は強い奴に会いに行く、自分を試す為に!私のクンフーを見せてあげるわ!」
 地縛霊が現れる時間となった事を確認し、彼女は仲間達とともに広場へと足を踏み入れていく……そして、彼等は不思議な感覚に包まれ、いつの間にか彼等の前方に、猛獣使いのような格好をした男が1人立っていた。 

「ムチを振るって調教師のつもり?だったらアタシがアンタのムチで従えられるか試してみやがれ!」
 地縛霊に対してそう宣戦布告しながら、マリス・フェイネス(猫娘・b24392)はカードを取り出し、
「猫娘ことこのマリス様を従えられるものならなぁ!アタシの野生は誰にも止められないぜぃ!」
 そう言い放ち、仲間達とともに一斉にそれを起動させる。
 こうしてそれぞれの武器を手にして能力者達は、猛々しくムチを振るう猛獣使いのような地縛霊との戦いを開始するのであった。


「猛獣使いなのに動物も連れてない姿は滑稽にも見えるよ」
 地縛霊をあざ笑うかのようにそう言いながら、椋は華麗なるペンさばきによってあっという間に自分そっくりのイラストを描き出し、そのイラストは両手のナイフで地縛霊の体を切り裂いていった。
「わいら猛獣ちゃうで?まぁ言う事聞く気あらへんけど」
 蒼十郎は最高級栄養ドリンク、ギンギンカイザーXを作り出してそれを一気に飲み干して肩こりと眼精疲労が回復し、更に彼自身の力を飛躍的に高める。
「俺は年寄りなんで、後ろで応援。そら行った行った」
 細は掌の先へとバチバチという音と閃光を放つ光の球体を作り出し、それを発射。
 彼の手から放たれた雷の魔弾は闇夜を切り裂きながら地縛霊へと迫り直撃、彼の身を電撃によって蝕んでいった。
「アタシの野生が目覚めるんだぜい!」
 にかっと笑みを浮かべながら、マリスは己の肉体を制御して微塵の隙もない構えを取り、体の奥底からわき上がってきた魔狼のオーラを身に纏う。
「いきますっ」
 優希那は狐の耳としっぽを生やし、十個の絶陣と呼ばれる小さな仮想空間を作り出し、その場にいた全員をほんの一瞬だけ別の空間へと飛ばし……直後、能力者達には癒しの力が与えられ、地縛霊には苦痛を与える。
 更にガイが偉大なる獣の守護霊、トーテムを拳へと宿しながら地縛霊へと迫り、
「ブリアードインパクト!」
 一歩踏み込みながらその拳を繰り出し、地縛霊の腹部へとねじ込むようにしてサベージナックルを叩き込んだ。
「……」
 地縛霊は多少苦しげな表情を見せるものの、すぐにその視線を優希那へと向け……ムチをしならせ、彼女の体を力いっぱいたたきつけた。
「痛いのです〜私は動物ではないのですよぅ」
 痛みに耐えつつ、狐変身はできるが狐は猛獣ではないと抗議する優希那。
「女だと思って、甘くみないことね」
 不敵な笑みを浮かべつつ、瑞麗は地縛霊を取り囲むべく側面へと回り込みつつ、体の中に眠っていた気を爆発的に覚醒させる。
 するとそれと同時に彼女の髪がぶわっと逆立ち、皮膚に虎の模様が浮かび上がった。
「始めるとしましょう」
 洋角は頭部に装着した髪手、そして長剣、湊洋江と宝剣、Anti-WD Daggerそれぞれに黒燐蟲を纏わせる。
 するとそれらは黒くぼんやりとした光を放ちだし、彼の攻撃力が上昇していく。
 更にメファシエルは前衛へと配置についた後、雪女一族に代々伝わってきた秘術、雪だるまアーマーを発動する。
 そうして真っ白な雪だるまの鎧を身に纏う事によって、彼女は防御力を強化した。
「ぶっ飛ばしてやるぜ!」
 そして舞佳もまた囲みに加わりつつ、彼女は彼女自身が独自に編み出した狩猟体勢を取る事により、自らの肉体強度を最大限に発揮できるようにするのであった。


「何か理由があって独りになったのか、それとも攻撃対象の僕らがその猛獣役だとでもいうのかしら」
 そんな事を気にしつつ椋は二つ目のイラストを描き出す。
 そのイラストもまた先程のものと同様、彼が持っているものとそっくりのナイフを手に地縛霊へと迫り、その身を切り裂く。
「ほな、猛獣より怖い人らの出番や!」
 続く蒼十郎もまた同じように自分そっくりのイラストを描き、彼のイラストもまた地縛霊へと突貫、ナイフと青龍刀を駆使し、地縛霊の体を深く切り刻んでいった。
「本当はコミマスの力を見せ付けるところだが……これでも喰らいやがれ!」
 細は再度雷の魔弾を作り出してそれを発射し、それは地面スレスレを飛行しながら地縛霊へと向かっていき、彼へと直撃してその身を電撃によって包み込む。
 そして、マリスと瑞麗が一瞬視線を合わせて頷き合い……同時に地縛霊へと向けて駆けだし、マリスは強く大地を蹴って空高く舞い上がり、瑞麗は青龍の力を拳へと込めて地縛霊へと迫る。
「どうしたノロマ野郎、お前にこいつがかわせるかってんだ!」
 地縛霊を挑発しつつ瑞麗は宙返りを行って己の足で三日月の軌道を描き、急降下。
 地縛霊の脳天へとクレセントファングによる強烈な一撃を炸裂させ、更に強く一歩踏み込みながら瑞麗が腹部へと龍顎拳を叩き込み、深くその拳をねじ込む。
「これが中国拳法の力よ。理解した?」
 フッと笑みを浮かべながら瑞麗が拳を引き抜いた瞬間……地縛霊はばたりとその場に倒れ込み、やがてその姿は消え去っていったのであった。


 戦闘終了後、能力者達は通常空間へと帰還を果たしていた。
「安らかにお眠り下さい」
 消え去っていった地縛霊へとそう語りかけながら目を閉じ、彼の冥福を祈る優希那。
「皆様お疲れ様でした。お怪我の具合は如何でしょうか?」
 そして彼女はすぐに仲間達を見渡し、全員が無事である事を確かめる。
「お疲れ様でした」
 洋角も仲間達に労いの言葉をかけ、
「夜も遅いしですし、片付けて撤収しましょうか」
 椋がそう言葉を返しながら、先程看板等を設置した地点へと歩いていき、
「最近冷えますしね、風邪を引かないうちに……」
 また洋角がそれに答え、彼、そして他の仲間達もまた回収作業を始める。
 せっかく地縛霊を倒して平和を取り戻したのに、一般人が立ち入る事ができないようでは意味がない。
「動物かて叩かれたら痛いわなぁ……」
 作業中、蒼十郎はふと地縛霊の持っていたムチを思いだし、それで叩かれる動物達の姿を想像し、同情しているようであった。
「ヤツから見りゃ、銀誓館の連中も猛獣だった……ってか?」
 手なずけるのは難しそうだが、と細は言葉を続ける。
 確かに、銀誓館学園の能力者達を意のままに操ろうというのならば絶大なる力が必要となるだろう。
「でもなんでダンスパフォーマーが狙われたんだろうね〜、たまたまかなー?」
 疑問に思いつつ首をかしげる舞佳。
 彼が少年達を襲ったのは偶然だったのかそうでなかったのか……それは彼にしかわからない事なのだろう。
 そうしている間に作業は着々と進み……全ての道具を撤去した能力者達は、静けさが取り戻されたその公園をあとにしていくのであった。


マスター:光輝心 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/11/04
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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