秋空に吹くは忍ぶ手に


<オープニング>


●秋空に吹くは忍ぶ手に
「なぁ……知ってるか? この学校に伝わる怪談話の一つ、プールに棲む幽霊の話」
「プールに棲む幽霊ぃ? なんだそれ、季節はもう冬になるぜ? 季節違いも甚だしいぜ」
「だからこそ、こういう怪談話に色が付くってモンじゃないか? だってこの時期、プールに行く好き者もいないだろうしさ。それで……どういう話だっけ?」
「うちのプールあるだろ? あの周りを、丑三つ時の一時間に、何も言葉を喋らずに三周廻るんだよ。するとプールを住処にしてる幽霊が現れて、脚をとっつかまえてプールに引きづり込むんだって」
「あー……あれか。そして引き摺り込まれた奴の脚には、くっきり手の跡が残ってる、って言う」
「そーそー。その幽霊は決して姿を現さないんだぜ? それでさ、春先に水を抜いて掃除してみると、何も居ないって話だろ?」
「ふぅん……」
 仲間達の言葉に面倒臭そうに頷いたり、楽しそうにはやしたてたり……。
 ……そんな学生達の話を聞いたナイトメアビースト、病垂・愁一は。
『ふぅん……地味だけど、意外に面白い物に発展しそうな怪談話だね。なら、僕がその話を取り出してあげようじゃないか』
 くすくすと笑いながら、その話を記し、手にするのである。
「今回の依頼は、ナイトメアビースト退治の依頼や。舞台となるんは、神奈川県のとある高校や」
 神丘・崔(運命予報士・bn0103)は、集まった皆を先ずは確認すると共に、依頼説明を早速始める。
 学校とナイトメアビースト……それから連想されるのは、勿論。
「そや。皆も知っての通り、学生達が怖がるのを楽しむ陰湿な力を持ったナイトメアビースト。『学校の怪談』病垂・愁一のコピーを倒して来て欲しいんや」
「皆も知っての通り、この愁一は学校の怪談に忠実に活動する故、怪談ゴーストと接触する為には皆もその怪談にそった行動を取らんとあかん」
「怪談ゴースト自体も、その怪談に忠実に行動する。例えば髪を切られる怪談なら髪を切る以上は行わんのや」
「とはいえ、こういった怪談の撃退法では、怪談ゴーストは直ぐ復活し現れる様になっとるのや。このゴーストを撃破して二度と現れなくさせるには、撃退ではなく、戦いで倒さなあかんのや」
 そして崔は、続けて怪談ゴーストについて詳しい情報を伝える。
「今回の学校の怪談は、皆も聞いた事があるやろう。何者かに脚を引っ張られるプール、や」
「既に冬の気配漂い始めたプール……水中に引っ張り込まれるだけでも、それはそれで命の危険は十分ありそうな物やが、今回の怪談ゴーストはプールの水中に潜み、暗闇の中……タイミングを併せて一斉に引き摺り込むという連携技から始まる」
「この怪談ゴーストの辛い所は、一人で居る時しか姿を現さないという事や。それ故、囮役のメンバー以外は、プールから見えない少し離れた所に控えておき、引っ張り込まれそうになると同時に現れるしかない」
「その間囮役は引き摺り込まれない様耐えなあかん。どれ位耐えられるかは、ガチの気魄勝負となるやろう」
「二人の力を組み合わせれば、怪談ゴーストをプールから引っ張り出す事が出来る。その数は5人のリビングデッドや」
「彼らの攻撃手段は特にいやらしい攻撃というのは無い。ただ暗闇の中でも、彼らは怯む事は無く、的確に皆を狙える筈で、意外に厄介な相手やと思うんで、油断はせん様に頼むわ」
 そして崔は皆に頷きつつ。
「今の所は被害者は出ていない事件や。しかしこの話、信じる人が多くなれば多くなる程、怪談話には尾ひれが付いて、次第にエスカレートしていく物や。そして……結末が死に繋がれば、怪談ゴーストは躊躇せずに人を殺す様になってしまうやろう」
「そんな学校の怪談のゴーストを見て、そして学生達自作自演で死の結末を見るのを楽しんでる病垂・愁一……皆はどう思う? って事や」
 首を傾げ、そして。
「ま……という訳で。皆に期待しとるからな。宜しく頼むで!」
 と威勢の良い言葉を吐きながら、皆の背中を叩いて送り出す崔なのであった。

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参加者
虎乃門・真白(真サクセスメイカー・b03925)
境・鷹男(高校生真魔剣士・b06261)
的場・遼(ゾンビハンター・b24389)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
ダスティ・マサソイト(門限破りの常習者・b54601)
黄金崎・燐(向日葵の花・b55478)
烏頭森・万葉(億千万の棘茨荊・b60331)
山野・進(ぽかぽか陽だまり拳士・b76199)
壱塚・紘緒(漆黒の衣血薔薇で飾る花婿・b76884)
リロ・テテム(白虹の麓に笑う猫・b77111)



<リプレイ>

●季節外れの恐ろし話
 神奈川県の一角にある、とある高校。
 校舎の傍らにプールのある、良くあるタイプの学校。
 平時であれば、学生達の元気な声が鳴り響くだろうが……時は深夜、学校に灯りは灯らず、一切の人気が無い。
 既に街の住人達は、大方は寝静まっている様で、本当の静けさと、時折通り過ぎる車の音位しか耳にしない。
「それにしても……何故この時期なんだ? 完全に時期ハズレだぜ……」
「そうなのですよ。季節外れな感じ一杯なのです。病垂さんがなんとなーく、空気を読めなさそうな人だと想像しちゃいますねー♪ The、空気の読めない男! なのです♪」
 境・鷹男(高校生真魔剣士・b06261)の言葉に、烏頭森・万葉(億千万の棘茨荊・b60331)は何処か楽しげに微笑む。
 能力者達が訪れたこの学校に、ナイトメアビースト『学校の怪談』病垂・愁一が現れたと聞き、彼らはやってきた。
 彼が目に付けた話は、良くある学校の怪談の一つである、プールから現れるお化けの話。
 プールの近くを歩いていると、脚をがっしりと掴んで引き摺り込んでしまうというお化け話は、学生誰しも一度は聞いた事があるだろう。
「全く……ナイトメアは夢に棲み着く者じゃなかったのか? 多芸に渡るのもいいけどよ」
「確かにナイトメアはその通りですね。でもナイトメアビーストとなると、少々話は違う様ですし」
 ダスティ・マサソイト(門限破りの常習者・b54601)に、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)はメモを確認。
「今回のナイトメアビーストは『学校の怪談』病垂・愁一。能力は怪談の実現化……と。だからこそ、彼は学校の怪談のある所に出てくる訳ですね」
「ホント学校の怪談を逆手にとって、一般性との命を奪おうとするだなんて、ゆるせへんわ!」
 洋角の言葉に、虎乃門・真白(真サクセスメイカー・b03925)はちょっと憤っている様で。
 そして壱塚・紘緒(漆黒の衣血薔薇で飾る花婿・b76884)も。
「……怪談話を実際に起こし、楽しんでいるとは、本当に性格が悪いな」
 と溜息を吐く。
 ただ、そんな仲間達の言葉に対し、リロ・テテム(白虹の麓に笑う猫・b77111)は。
「うぅ……怖い話を実現なんてしなくていいから……プールから手とか怖いから……」
 と、一人ぶつぶつ呟いている。
 そんな彼女に僅かな苦笑……しかしすぐに黄金崎・燐(向日葵の花・b55478)は、真剣な表情になって。
「確かに、怪談は怖いですね……でも、それは皆が楽しさ半分で語り継いで来た物だと私は思うんです。ほら……そうじゃなきゃ、どの学校にも怪談があるなんておかしな事だと思いますし、ね」
『もきゅぅ』
 こくこくと頷く、彼女のモーラット、章姫。
 確かに何処の学校にも怪談話はある。時には元々の話が湾曲していて、別の話になっていたりもする。
 しかし、その湾曲し、エスカレートした話こそが、愁一の最終的な目的。死ぬ様な話になれば、遠慮無く殺す事が出来る訳だから。
「まぁ、ゴーストを逝かせるよりも、美人のお相手をしたいもんだけどな。お嬢ちゃん、依頼が終わったら一緒にどう?」
 的場・遼(ゾンビハンター・b24389)が燐に対してにこりと笑うが。
『もきゅ! もきゅ、もきゅぅ!』
 燐の前に立ち塞がった章姫が何かを伝えようと……燐はくすりと笑いながら。
「ええと……『間に合ってます』、です」
 どうやら章姫から断りの言葉を伝えられたらしい……肩を竦める遼。
 と、そんな寸劇はさておきとして。
「でもさ……初めてのナイトメアビーストを相手にする僕が言うのも何だけど……こんな事を楽しんでるだなんて、それだけでも悪趣味だよ。それに本人は出てこないし、コピーも隠れて居るだなんて、卑怯すぎるよっ!」
「そうですね……まぁ何はともあれ、自分らにとっては、とてもありがたくないお話ですし。一般の方々に被害が及ばないように、ここで叩き潰すとしましょう」
 山野・進(ぽかぽか陽だまり拳士・b76199)の憤りを、その肩を叩き宥める洋角。
「……最近はただでさえ寒い。というのに、プールに引き摺り落とされてこれ以上寒くなるのはごめんだ。ばっちり退治しようぜ」
「そうだな。一般人も能力者も寒空の下、プールに落ちるのはコリゴリだ。早々にどちらもお引き取り願うとしようか」
 鷹男とダスティも続き声を上げると、ぽん、と手を叩いて顔を上げるリロが。
「そうだ! とりあえず、そんな悲劇は演出家が舞台に引き揚げられる前に喜劇に変えてしまいますよ。いや、決して……泳げないとかじゃないんですよ……ホントですよ!?」
「判った判った……兎も角奴の企みも、奴自身も全てぶっ壊してやろうぜ」
「ええ。いつかは病垂本体も倒したい……でも、今すぐにそれは適わないのなら、今回のゴーストを倒す事に集中だっ!!」
 リロ、紘緒、進三人の声に頷きつつ。
「よーし。ならさっさと行くで! プールに引き摺り込まれるなら、逆に全部引き摺り出してやるんや!!」
 一層気合いの入った真白の声に皆も頷きつつ、能力者達はプールの入口へと向かうのである。

 そしてプールの入口前。
 当然夏が終わり、生徒が入らないように、とプールの入口には鍵が掛けられている。
 が……入口の柵のゲートはそれほど高く無く、簡単に飛び越えられる程の高さである。
 更にその柵の奧を見てみる限り、目につくのは男女更衣室&トイレ、シャワールーム。
 又入口より前で脇道を進めばポンプ室や倉庫等、学生達に不要な部屋。
 更に正面には足洗い場と、目洗い場。
「結構隠れられそうな場所は多そうですねー。それじゃ、作戦通りに分担して行きますですよ? 進さん、宜しくなのです」
「うん。あ、燐さん?」
 万葉の言葉に頷きながら、進は燐の前に。
「ええ……それじゃ章姫。今日はお願いね?」
『もきゅ!!』
 小さくガッツポーズを取ると共に、進の腕の中に収まる章姫。
「よーし、そんじゃ囮班の進軍開始や。奴は宜しぅな?」
「りょ、了解だよ!」
 真白の声にぐぐっ、と拳を握りしめ頷くリロ……だがその手が僅かに震えているのは、誰の目から見ても明らか。
「ぉ、大丈夫かい? 怖いなら俺が手を握ってやるぜ?」
「大丈夫ですっ!」
 リロの気合いは十分。
 そんな彼女に微笑み、ひらひらと手を振りながら、先行して囮班の真白、鷹男、遼、洋角、燐の五人が柵を乗り越え進む
 そして、続けて進、万葉、章姫の三人も乗り越えて、プールサイドからは見えず、しかしすぐに救出に迎える様……目洗い場の壁辺りに陣取る。
 そして残るダスティ、紘緒、リロは一端身を隠す。
 そして、丁度時計は丑三つ時を指すのである。

●プールの悪夢
「丑三つ時だな……」
「ええ……始めましょう」
 遼と洋角の言葉……五人全てが頷き合うと共に、怪談話に忠実に、プールサイドを歩き始める。
 一般的な25mプール。月灯りが射し込む水面は濁り、中を見通す事は出来ない。
『……』
 しかし怪談の通り、一切言葉を発せずに一周、二周……三周。
「……?」
 来ないな……と言おうとした、丁度その時。
『……うぅ』
 何よりも深い呻き声が一瞬したかと思うと、次の瞬間……プールサイドから一つ、二つと伸びてくる手。
 歩く五人に対し、次々とその手は伸びて……一人に対し二つの手が両足首をがしりと掴む。
「来たで!」
「ああ。何が何でも耐えてやる!! こんな季節にプールに入るのは御免だからな!!」
 真白・鷹男の声を合図に。
「出て来た! 章姫ちゃん、一緒に頑張ろっ!」『もきゅ!』
 隠れて居た進、万葉、そして章姫が飛び出し、脚を掴まれた仲間達の元へ。
 先ず進と章姫が燐を、万葉が洋角の背後について、掴む手諸共プールサイドへの引き上げる。
 両者については、苦難する事無く引き揚げられる……そして引き揚げられたリビングデッドは、虚ろな視線と共にむくりと立ち上がる。
「……まずは二人ですね……後三人を、頼みますね」
 洋角がリビングデッドの前に立ち塞がり、壁となる。
 リビングデッドの初撃……意外に力は強く、2割程度体力を削られる。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。先ず燐さん達は、引き揚げを優先して下さい!」
「判りました。章姫、次は的場様を。烏頭森様は虎乃門様、山野様は境様を!」
 即座に指示をし、救出する相手を定め、加勢。
 水中と水上の綱引きが続く事暫し……既に現れたリビングデッドは全て洋角が盾となり、防御態勢で攻撃を受ける。
 結果、数ターンで以て、全ての水中リビングデッドはプールサイドへ引き揚げられる。
「……リビングデッド五匹、水揚げ完了だな」
「そやな……ほな本気でさっさと行くで!」
 鷹男に真白が気合いを入れつつ、己にクルセイドモード。
 同じく遼、鷹男、進も。
「行くぜ。人は俺は……銀誓館の種馬と呼ぶっ!」
「……」
「えーと……ぜ、全員助けたし、本番はここからだっ!!」
 忍獣気身法、旋剣の構え、そしてライカンスロープを己に掛けながら、燐、万葉、章姫を守るが如く前に立ち塞がる。
 能力者達の戦闘態勢にリビングデッド達は虚ろな視線はそのままに、手を振り上げ構え、戦いは始まるのであった。

 仲間がリビングデッド達と戦っている一方……ダスティ、紘緒、リロの三人は、プールサイドに供えられた施設を、息を潜めながら捜索を行っていた。
 ……とは言え、学校に供えられたプール施設。あるのは更衣室と、トイレ、シャワー室、倉庫とポンプ室程度。
 戦いの音色が耳に聞こえる中、潜んで居る筈の愁一を捜す……と、程なく、ポンプ室で。
「……ふふ、戦ってるね。でも、それ位承知の上さ」
 愁一はどうやら戦闘に夢中……背後から別働隊として動いている三人には気付いていない様で。
 三人、相互に視線で合図。そして。
「……みーっけ!」
 声を上げるなり、リロは近距離間合いで一撃。
『っぐぁ!? この!?』
「甘いな。隠れて見てるだけとは興が無いな。病垂さんよ、こっちの舞台に引きずり下ろしに来たぜ!」
 攻撃を受け、回避のバックステップを取った先には更にダスティが待ち構え、神霊剣の一撃。
「アリーシャ。奴の精気を吸い尽くしちまえ……俺も後から行く」
「……」
 こくりと頷き、連続して精気を貪るアリーシャ。
 三人の不意打ち連続攻撃に、最初からかなりのダメージを受けた愁一……どうにかポンプ室の構成を使い、距離を取ると。
『はあ、はあ……こ、この。不意打ちだなんて汚いぞ!』
「不意打ち? だって、敵と決めたら躊躇うなってのは、うちの家訓の75個目だから。という訳で、さっさと行くよ!」
 リロは肩を竦め、愁一の不満を軽く受け流しながら、彼の逃げ道を塞ぐ様に立ち塞がる。
 くっ、と唇を噛みしめる愁一。更に紘緒が。
「……本当、人の命を弄ぶのも大概にしろ。さっさとその罪を償え」
『し、知るかっ!』
 反論の言葉と共に、悪夢爆弾。
 しかしその効果は及ぶこと無く、全員に抵抗されてしまう。
「ま、判ってくれるなんて思ってなかったけどさ。自分は安全な所で見物だなんてさ。この舞台じゃあなたは観客じゃなく、役者の一人だよ? 大人しく演じて貰うんだから!」
 リロの言い放ちながらのクレセントファングに、ダスティが更に神霊剣。
 続けて紘緒とアリーシャが穢れの弾丸と精気を貪るのコンビネーション。
 狭いポンプ室の中、確実に愁一を捉え、ダメージを与える。
 彼の表情は次第に疲弊。
「どうした? もう終わりか?」
『……な訳、無いっ!」
 気合いと共に、愁一はナイトメアランページを放つ。
 駆け抜けるナイトメアが、ポンプ室を荒らす……そしてナイトメアが駆け抜けた道を走り抜ける愁一。
 しかし。
「ここは行き止まりだぜ!」
 いつの間にか……リビングデッドを倒した仲間達がポンプ室の外に展開。
 そして。
「……自分の視線、見る事が出来るでしょうか?」「落ちろや!」
 洋角と真白の呪いの魔眼が愁一を蝕むと共に。
「逝けよ……!」
 鷹男の渾身の黒影剣が、その体を切り裂くのであった。

●忍ぶ日に
「……ふぅ、終わりましたね。皆様、お疲れ様でした」
 イグニッションを解除し、息を吐く洋角。
 他の仲間達も同様にイグニッションを解除……そして、目の前で恨みがましく睨み付ける愁一を取り囲む。
『く、くそ……お前達……』
「……塩梅はどうでしたか?」
『何もかも……大誤算だよ! この恨みは……今度百倍にして返してやるからなっ!』
 洋角の言葉に捨て台詞を吐くと共に、まるで煙の如くその姿が消え失せる愁一。
 ……そんな消え失せた場所をしばし見つめながら。
「……本当、コピーまで隠れて見てるのを気取っているのは……実際の病垂とやらを拝んでみたいものだな」
「そうですね。とはいえこれで病垂さんの野望が又一つ潰えましたね。これで通算、ナイトメアビースト三人斬りです♪ この調子なら、ジャックマキシマムも大したことなさそうですねっ」
 ダスティに万葉がにこにこと一言。
「……それにしても、結局ナイトメアの人達は何がしたいんでしょう?」
 ぽつり燐が呟く通り、確かに病垂は倒れたが、あくまでもこれはコピー。
 コピーの起こす事件は今、多発しているのは事実……しかし、その真実は未だに良く解っては居ない。
「病垂本人を倒さないと、いつまでもこんな事件が続くんだよね? ホント卑怯なヤツだな……痺れを切らして、出てこないかな〜?」
「……全くもってだな。いい加減にしろよあいつ……いつまでコピーを泳がせておくつもりなんだかな……とはいえ、本物が来る日も遠くはないかもしれないな……」
 進、紘緒二人が溜息と共に呟く。
「ま……何はともあれ、ここで愁一の作り出した怪談話も、これでただの噂話という事になりますね。怖さはともかく、誰も被害にあわない事が重要でしたから……ともかく良かったですね」
「そうだな。これで寒さも和らいだだろう……一件落着で何よりだぜ」
 洋角、鷹男二人の言葉……その時、頬を撫でる冷たい風がそよぐ。
「……うぅ、撃退して風邪で撃沈ってのも様にならないし、早めに学園に戻らないか?」
「……そうだな、時間敵にもきついし……」
 ダスティ、紘緒の言う通り、このまま此処に居ては、風邪を引いてしまうかもしれない。
「判りました。ほら、章姫、上がってきてー!」
『もきゅ? もきゅぅ♪』
 いつの間にかプールで遊んでいた章姫……抱き上げるとすっかり濡れた章姫。
 引き摺り落とされた時の為に持ってきたタオルでくるみ、前に抱きしめてプールを後にする能力者達。
「……」
「ん、どうしたんだい、万葉ちゃん」
 立ち止まった万葉に、遼が声を掛ける。
 万葉はプール、そしてその上方を振り返りながら。
「次に銀誓の前に姿を現した時が、ジャック、あなたの最後ですよ! 覚悟するのです!」
 ナイトメア王、ジャック・マキシマムに向けての宣戦布告を、煌めく星空の下に叫ぶのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/11/13
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