銀誓館襲撃〜天竜頭蓋:一角獣と戦乙女の行進


<オープニング>


 銀誓館学園には今日もいつもと変わらぬ生活が営まれていた。
 勉学に励む者、部活動に励む者、友人とあるいは恋人と共に過ごす者、そのような当たり前の青春の陰には世界結界を守るため、大切な人を守るために能力者と呼ばれる学生達が血まみれともいえる青春を送っている。そのような当たり前の世界を守るために動く人間がどれだけいるのかを一体何人の人が知っているであろうか。そして、当たり前の世界だって壊れてしまうことに気づいている人は一体どれだけいるだろうか。
「……? なんだ」
 その世界の崩壊を初めに目にしたのは、何も知らない銀誓館学園の男子生徒だった。それは校門からやって来た。
 何十人もの人間が校門をくぐる。その様子はなんだか異様だ。学生がおしゃべりをしながら登校、というものではない。男子生徒は中指で眼鏡を押し上げると、その中でもこちらに向かってくる集団を観察する。
 相手はこの学園のものではない真っ黒の学ランに身を包んでいる。だが、体のラインは男子にしてはやけに細い。それだけでなく歩くたびに背中からひょこひょこと見えるのは束ねた髪だ。
「女子……生徒か」
 男子生徒は更に観察を続ける。手にはなにやら長い棒状の物をもっているようだが、何だろうか。
 男子生徒はしばらく、相手が持っているものを見極める。そして、相手が持っているものが木刀だと気がついた時、男子生徒はようやく辺りの異変に気がついた。
「な、なんだ。この音……」
 周囲からは爆発音のようなバイクの排気音や窓ガラスの割れる音が聞こえてくる。それだけではない、それらの音に紛れてなにやら悲鳴らしきものまで聞こえてくる。
 不味い。そう思った時、男子生徒が観察していた集団の中心にいる人物と目があった。
「おい!」
 その声はひどくハスキーなもので、騒がしい中でも男子生徒の耳によく入った。
「あたしは葛城・悦子!」
 ハスキーボイスな彼女は木刀を一閃すると、くるりと背中を向けた。丈の長い学ランがふわりと浮き上がる。そして、背中にはユニコーンが白く刺繍されていた。
「この学園で一番強い坊やを出しな」

「みんな、聞いてちょうだい」
 野乃原・咲耶(高校生運命予報士・bn0285)は緊迫した面持ちで説明を始めた。
「銀誓館学園の校門で不良達が集まって騒ぎを起こしているわ。騒ぎを起こしているのは、ナイトメア王の配下「バッドヘッド」天竜・頭蓋と、その影響を受けた強化不良達よ」
 相手は強化不良なので、一般の生徒や教職員では太刀打ちできない。
 銀誓館学園の生徒や施設、教職員に被害が出てしまう前に、なんとしても阻止しなければならないだろう。
「みんなには、不良集団の一つである『一角獣の乙女』の対応にあたって頂戴。そして、撃破に成功したら……他の不良集団を撃破した仲間達と協力して、奥に控えるナイトメアビースト、天竜・頭蓋を倒してもらいたいの。天竜・頭蓋は、非常に強力なパワーアップをしているようだけれど、今までと違ってコピーではなく実体のようなの」
 それはつまり天竜・頭蓋と決着をつける戦いになるということだろう。
「『一角獣の乙女』は全部で十一人のグループよ。メンバーは全員女性、格好はみんな少し丈の長い学ランで、背中にユニコーンの刺繍がされているから見ればすぐに分かるはず。リーダー格は葛城・悦子という女番長ね」
 リーダー格の悦子以外は銀誓館の能力者より少し低いようだが、悦子は別格なので注意が必要だ、とも咲耶は付け加えた。
「それじゃあ、詳しい戦力についての説明ね。大きく分けて悦子を除いた残り十人のメンバーはそれぞれ均等に五つにわけることができるわ」
 一つは、悦子と同じように木刀を武器として前線で戦うメンバー達だ。斬り込み隊とも言え、周囲の相手を吹き飛ばす能力をもつ。
 二つ目は、エアガンを武器として後方で戦うメンバー達だ。エアガンから発射される弾丸は二種類あり、一つは遠距離にいる敵を攻撃するもの、もう一つは悦子に向けられるもので、悦子の傷を癒す能力がある。
 三つ目は鞭を武器とする中距離で戦うメンバー達だ。遠距離の敵を攻撃できることもさることながら、相手の武器を封じることができる。
 四つ目は香水を武器とする中距離で戦うメンバー達だ。視界内にいる敵全員にダメージを与えることができ、たまに超マヒになることもある。
 五つ目は十字架を武器とする遠距離で戦うメンバー達だ。彼女らは相手にダメージを与えることができない代わりに、祈りで味方を回復する手段に長けている。
「そして、悦子の説明ね。葛城・悦子は始めに説明した前線メンバーと一緒に自分から斬り込んでいくわ。周囲の相手を吹き飛ばすことができる以外に、追撃の効果がついた剣戟や自分の体力の回復を行うことができるわ。それから、悦子は強い相手もしくはとっても可愛らしい男の子を優先的に狙ってくるようね」
 そこまで説明すると、咲耶は一度深い息をついてまわりを見回した。
「天竜・頭蓋の目的はおそらく学園にあるメガリス『ティンカーベル』よ。今、あれを失うわけにもいかないわ、だからなんとしても追い返して頂戴。ただし、事情を知らない生徒も学園にはたくさんいるわ。世界結界の効果があるとはいえ、あまり派手な立ち回りはしないでもらえるかしら」
 銀誓館学園の勇気ある生徒が、因縁をつけてきた不良達を追い払った……というように演出できれば、より良いかもしれないわね、と咲耶は付け加える。
「それじゃあ、みんな気をつけてね」
 咲耶は頭を下げて、能力者を送り出した。

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参加者
灯神・漣弥(中学生魔剣士・b03209)
穂村・陽子(猛き焔の妖狐・b10384)
清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)
サラ・モラトリアス(日陰の眠り姫・b36309)
サーラ・ヴィトルジェ(絶対零度の乙女・b40071)
レニー・ネイムド(名無しではない・b57056)
小此木・平治(探求の風・b65333)
彩水音・流我(暗夜幽迷・b71535)



<リプレイ>


 銀誓館学園の校門はまさに異様な様相を呈していた。
 明らかに違う侵入者に学園の生徒たちは不安げな表情をしている。
「皆さん、落ち着いて校舎の中にお願いします」
 灯神・漣弥(中学生魔剣士・b03209)と小此木・平治(探求の風・b65333)は年長者らしい堂々とした態度で一般生徒たちを校舎内へと誘導していく。
 葛城・悦子は目を細めて微笑んだ。彼女ら『一角獣の乙女』の前に立ちはだかるのは能力者たちだ。
「んー、折角気持ち良く眠っていたのですが。迷惑で騒がしい連中には退出して頂きましょうか」
 彩水音・流我(暗夜幽迷・b71535)は物憂げな目で悦子らを見る。
「あんたらがアタシらの相手をしてくれるんかい」
「はわ、今のご時世に殴りこみとか流行らないですよ」
「はわわ、頑張って撃退しないとですねぇ」
 悦子が木刀を清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)らに向けると咲夜とサラ・モラトリアス(日陰の眠り姫・b36309)は二人で、はわわと言いながらイグニッションを済ませる。いつの間にか、校門のまわりに一般生徒らの姿は見えなくなっている。
「邪魔者はいなくなった……ってか」
 悦子は手を挙げると後ろに控えるメンバーたちが「一角獣の乙女の名の下に」と唱えてそれぞれ武器を構える。
「ユニコーンの乙女……? やだ〜かっわいそう〜。おねーさんが今度イイ人紹介してげるから、ヒネンナヨ」
 ゆるい口調の穂村・陽子(猛き焔の妖狐・b10384)の言葉は乙女達の顔を険しくさせる。
「……叩き潰しますの!」
「一角獣だろうがナイトメアだろうが、馬の分際で人狼に喧嘩を売るとは命知らず連中だ。その柔肌、綺麗に喰い尽くしてやる」
 サーラ・ヴィトルジェ(絶対零度の乙女・b40071)は一歩前に進み出て、レニー・ネイムド(名無しではない・b57056)はその後ろでライフルを構える。
「面白れぇ、行くぞお前ら! 『一角獣の行進』だ!」
 悦子の号令にメンバー達が短く鋭い返事で応える。戦いが始まる。


「皆さんに護りの障壁ですよぅ」
 サラが展開するバリアに能力者らは護られる。
「真紀子、沙里奈! 道を拓くぞ!」
「簡単には行かせませんよ」
 真紀子の攻撃を旋剣の構えで回復する漣弥。その横では平治が沙里奈と対峙する。
「行くぜ? はぁぁぁぁっ!」
「その道、拓かせてもらう!」
 沙里奈の木刀を肩で受け止めて、平治は龍顎拳を彼女の腹に叩き込む。沙里奈は平治と一旦距離をとる。
「いきなりうちのTOPとやろうなど笑止。まずはボク達を倒して銀誓館34のキャンパス頭を引っ張り出すんだね」
「はわ、不良のみなさんはちょっとおとなしくしててくださいね」
 あることないことをズビシッと悦子に向けて指差すとともに陽子は狐の耳と尻尾を生やし、空から妖狐の守護星を召喚する。七つの星の輝きは由美、絵里の二人を石へと変え、咲夜の放つ竜巻導眠符が美希と杏子を眠りの底に突き落とす。
「麗! 悦子姐さんを援護するよ」
 祥子がレニーに弾丸を放ち、麗の鞭が流我の腕に絡みつく。
「ほらぁ、酔い痴れなさい」
 純子が掌に乗せた香水のポンプを押す。吹き出た香水は甘い香りで戦場を包み込むと共に酸性雨のように能力者らの体を溶かしていく。
「……ふむ、彼岸の存在ではないようですね。しかし、私には敵に容赦するほどの実力はないのですよね」
 流我の暗夜幽明が頭上で回転を始める。その斜め後ろにはレニーが祥子にライフルを構えつつも自己強化を図る。
「始めに狙うは……」
 サーラは自己強化をしつつ泰子を睨む。祈り隊の能力は敵の戦線を維持するためには必要不可欠な存在だ。
「そう簡単にはウチの乙女らに手は出させないよ!」
 悦子の木刀がサーラの武者鎧にめり込り、そのまま吹き飛ばす。その隙に泰子は祈りを捧げて絵里の石化を解除する。
「はぅ、清めの神楽舞ですよぅ」
 サラは慈愛の舞で流我に巻き付いた鞭を取り除く。
「狙うわ、真紀子」
「ええ、吹き飛びなさい!」
 祥子の弾丸が腕を掠り、真紀子の剣戟を漣弥は剣で受け止める。
「はわ、漣弥さんこれを!」
「ありがとうございます! 陽子先輩っ」
「は〜い、おねーさんに、任せなさ〜い」
 咲夜のギンギンパワーZ浴びた漣弥は真紀子の剣を押し払うと、足元から黒い影を出現させる。更に陽子からは九本の尻尾が泰子に襲い掛かる。泰子はその尻尾を受け止めるが、死角から襲い掛かってくるダークハンドに体を蝕まれ、その意識を刈取られる。
「おっと、いるじゃないか。可愛い坊やが――純子、祥子! 絵里を護りな」
 後衛にいたメンバーが絵里を囲み始め、悦子は漣弥の元に一直線に接近する。それに気づいた漣弥は鋭い呼気とともに剣を振り下ろす。
「おお、手荒い歓迎だ。筋も良さそうだし、いいじゃないの」
 悦子は振り下ろされた剣を容易く避けて更に近づくと、左手で漣弥の頬を撫でる。
「いくら固まっていても――!」
 レニーはライフルの照準を絵里に合わせ引き金に手をかけた時だ。
「やらせないよ!」
 眠りに落ちていた美希が鞭を巧みに操ってライフルに絡み付ける。照準をずらされたライフルは絵里の学ランの袖を掠るだけに留まる。だが、絵里がほっとするのも束の間。固まる仲間の隙間をこじ開けるように漆黒の腕が絵里を切り裂いた。
「いくら固まっても無駄ですよ」
 ダークハンドを放った流我は静かに言い放つ。
「おっと、ここから先は通さねぇぜ」
 遠距離攻撃のできる後衛へと潜り込もうとする沙里奈を虎紋覚醒した平治が食い止める。容赦のない木刀による剣戟が降り注ぐが、平治は足を決して浮かさない。
「Black Shadow!」
 吹き飛ばされたサーラもすぐさま戦線に復帰して、黒影剣で真紀子を切り伏せる。その傷を絵里が回復する。更に目の覚めた杏子が眠気覚ましのように香水を吹きかけ、視界内にいる者たちにダメージを与える。
「どうして、私を狙うのですか」
「そりゃあ、可愛くて強いってなればお姐さんは黙ってられないんだよ」
 漣弥と悦子は互いの剣をぶつけ合いながらも会話を続ける。
「ですが、私はあなたに構っている暇はありません!」
 漣弥は悦子の木刀を打ち落とした隙にダークハンドを絵里に走らせる。
「おっと、余所見なんてできるんかい」
 悦子の木刀が白く輝く。その輝きと共に振るわれる刃は漣弥の体を連続で刻み付ける。
「はぅ、祖霊の癒しですよぅ」
 サラがすぐさま傷を癒したので大事には至らなかったが、少しでも油断すれば防具ごと刻まれかねない威力であった。
「頃合だな、喰らう!」
 絵里の胸のあたりに十字架で狙いを定めるレニー。その中心を射抜いて何発もの弾丸が絵里の体を喰らい尽くしていく。
「絵里!」
 悦子の呼びかけの空しく、絵里は倒れた。
「――仕方ねぇ、全員好きにやんな!」
 護るべき者がいなくなったならば、前に進むしかない。悦子はより激しく漣弥に打ち込んでいく。
 絵里を護っていた後衛陣は一斉に広がる。戦いはより混戦を極めていく。


 戦いは乱戦状態であった。悦子を筆頭に斬り込み隊が果敢に能力者の戦線に踏み込んでいき、その援護を後衛の銃撃隊とお姉さま隊がとり、お色気隊が遊撃部隊として機能する。対する能力者側は悦子と斬り込み隊が後衛にいかないような位置取りをとりながらもお色気隊、お姉さま隊、銃撃隊、主に後衛に控える敵から倒すという戦法をとっている。そのため、悦子と斬り込み隊に対する対応がどうしても薄くなってしまい、簡単に後衛陣を倒すことができなくなっていた。それでも、始めに回復部隊を倒すことができたのは大きく、既に杏子と麗は倒れている。
「Nightmare Ranpage……!!」
 咲夜の助けを受けて武器封じから回復したサーラが召還した白いナイトメアは悦子を踏みつけてから、純子を足蹴にする。
「そんな馬っころに!」
 香水の香りが広がり、触れた者の体を溶かしていく。そんな中を平治は突っ走り、純子との距離を縮める。純子の表情が苦々しいものとなる。
「行くぜ? 龍顎拳!」
 青龍の力が籠った平治の拳は純子をはるか後方まで吹き飛ばして戦闘不能にさせる。
「一人抜けました!」
 流我の横を沙里奈が駆け抜ける。
「あひゃひゃひゃ、任せなさ〜い」
 陽子が沙里奈の木刀を受け止めつつ、サラとの間に割って入る。
「お仕置きだね〜」
 灯篭が妖しく光り沙里奈にダメージを与える。たびたび攻撃を受け、回復手段も無い斬り込み隊はもう崩壊寸前だった。
「お前ら! あたしはいいから向こう援護しな!」
 ユニコーンの護りで体力を回復しながらも悦子は木刀を上段に構えたまま漣弥と対峙する。悦子は先ほどからその標的を全く変えることがない。
「まったくしぶといですね」
 肩で息をして、出血部分を気にしながらも漣弥は剣を握りなおす。
「はぅ、頑張ってください」
 咲夜が病魔根絶符でその傷を癒す。
 この咲夜とサラの二大回復手が機能していることが能力者の戦線を維持させて、乱戦を有利に働かせている要因にもなっている。
「――あと、六人ッ」
 レニーも毛皮を血で染めながら、次なる相手、美希に照準を向ける。
「一気にケリをつける!」
 レニーが吼える。十字架に狙いを定められた美希。
「そう簡単にはやられないわよ!」
 美希の鞭は音速の速さでレニーを叩く。更にそのまま腕と武器に固く絡みついてレニーの行動を阻害する。
「はぅ、清めの神楽舞ですよぅ」
 サラの舞がレニーに絡みつく鞭を打ち払う。
「喰らう!」
 レニーが引き金を引いた。
 ガチャ、ガチャ、ガチャ。
 引き金を引く音がするたびに美希の体は貫かれていく。そうして引き金の音が止んだ時、美希は鞭を手放し仰向けに倒れていた。
「おらっ、一角獣の刃を喰らってみな!」
 白く輝く木刀が様々な軌道から漣弥に襲い掛かり、漣弥の意識の糸が切れかかる。
「葛城悦子はそんな可愛らしい年下の男の子をいたぶる趣味でもありますの」
 サーラの挑発は最後の一撃を止めるには十分のものだった。
「ほう、ならアンタが相手してくれるんか、美人なお嬢ちゃん」
「ええ、Black Shadow!」
 サーラの黒影剣が白く輝く木刀と交わる。その隙に漣弥は後退し、サラと咲夜に回復してもらう。
「由美!」
「ええ、外しはしないわ」
 祥子と由美は突進してくる流我と平治に狙いを定める。
 放たれる弾丸。
 だが流我はそれを切り伏せると共に更に距離を詰めてくる。
「そんな、弾丸を切り伏せるだなんて……」
「信じられないか?」
 平治は由美の水月に龍顎拳を叩き込むと、バックステップで距離をとる。そして、二人の間に流我が割り込む。その手には黒きオーラを纏った刀が握られている。
「……しばらく眠ってください」
 一瞬、黒きオーラに包まれた由美はそのまま倒れこんだ。
「くっ、由美……」
 舌打ちをしながらも祥子は二人と距離を置こうと一歩下がった時だ。
 逃がしはしないと言ったように漣弥のダークハンドが祥子を切り裂く。
「いや〜い、くらっちゃいなよ」
 更に陽子の九本の尾が祥子を包み込むと祥子も由美に重なるように倒れた。
「はわ、そんな攻撃当たりませんよ」
 咲夜は沙里奈の木刀をひょいひょいと右に左にと避けながら、反撃の機会を窺う。
「そうそう好きにはさせないよ」
 沙里奈は声のする方に反射的に木刀を向けた。そこには砲身が凍結し、氷が伸びて短い剣のようになったライフルを振りかぶったレニーが立っている。
「はあぁぁぁぁ!」
 裂帛の気合と共に沙里奈は木刀を振るうが、レニーのライフルは木刀ごと沙里奈を叩き斬った。
「はわ、助かりました」
 咲夜は病魔根絶符でレニーの生命活動を元に戻してやる。
「沙里奈!」
 真紀子が叫ぶが、沙里奈の返事はない。
「はぅ、これで眠ってくださいませ」
 サラが投げた投げ枕がボフッといい音を出して真紀子に命中する。体力の限界だったのか、真紀子はそのまま深い眠りへと落ちていく。
「はっ、ウチらがこうもやられるとはね。流石は銀誓館ってところかい」
 最後の一人となった悦子は鼻で笑いながらもサーラと応援にきた流我を吹き飛ばす。
「面白い! 全員でかかってきな! この『一角獣の乙女』葛城・悦子は逃げも隠れもしねぇ!」
 悦子は仁王立ちでそう言い放った。
「行きますよ!」
 悦子の前からは漣弥、背後からは平治が同時に攻撃態勢に入る。更に、陽子が金毛の耳と尻尾を生やす。
「あひゃひゃひゃ、あたっちゃいなよ」
 まずは、陽子の九尾が悦子に覆いかぶさるように迫ると、悦子は木刀でそれらを弾き落とす。
 間髪入れずに正面から黒影剣が、背後からは龍顎拳が放たれる。だが、悦子は木刀を片手に持ち替えると、木刀で剣を、掌で拳を受け止めた。
「くッ、そっちの可愛い坊やといい、あんたもなかなかやるね」
「こんなところでへばる訳にはいかないからな」
 歯を食いしばって痛みに堪えながらも、悦子は平治を見て笑みを浮かべる。
「一角獣の馬刺しはどんな味か。確かめてみるか」
「はわ、その前にこれを」
 咲夜がレニーにギンギンパワーZを与え、レニーは照準を悦子に合わせた。引き金を引くと共に放たれる弾丸を悦子は木刀で受け止めるも、連続で受けきれるわけもなく制服が紅く染まる。
「ちぃ! 一角獣の怒りを――」
 悦子の木刀が白く輝いた時、悦子の周りが影に覆われた。
「Nightmare Ranpage……!!」
 サーラの放ったナイトメアが天高く飛び上がり、その高さを活かして悦子を踏みつける。咄嗟に木刀で受け止めようとするが、それには木刀はあまりにも細すぎた。踏みつけられた衝撃と体力の限界が相まって、悦子は体勢を崩した。
「はぅ、清めの神楽舞ですよぅ」
 慈愛に満ちたサラの舞が能力者らのバッドステータスを解除していく。
「ま、まだ……まだ……」
 傷口を押さえながらも悦子は片手で木刀を構える。目の前に迫るのは流我だ。
「ここまでです」
 冷徹に言い放つ流我。その横では漣弥も頷いている。
「いや、まだだね……」
 悦子が二人に嵐の如く剣をぶつける。だが二人はそれを冷静に捌き、木刀を宙に弾いた。
 高く舞い上がる木刀。
 振るわれる二振りの漆黒の闇に塗られた刀たち。
 カラン、と木刀の落ちる乾いた音が倒れる乙女たちの戦場に響いた。


「これから、どうしますか」
 一角獣の乙女のメンバーたちは全員捕縛されているが、気を失っており、情報が聞きだせそうな状態ではない。
「なら、行くしかないんじゃないか」
 そう提案するのは平治だ。既に悦子の学ランを借りて肩に引っ掛けている。他の能力者たちも学ランを着込む。
 情報は少ないが、頭蓋は確かにこの不良たちの奥にいることは間違いない。
 不安要素がないとは言い切れない。しかし、彼らには仲間がついている。そして、背後には護るべき存在が確かに存在する。
「行こう」
 その言葉に皆が頷く。
 大切なものを護るために、能力者たちは先へと進む。


マスター:星乃彼方 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/11/30
得票数:カッコいい14 
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