オトコノコ


   



<オープニング>


●都内某所
 女の子のように可愛らしい男性ばかりが働く喫茶店があった。
 この喫茶店も最初は『女みたいに可愛い男……!? けっ、馬鹿言うなよ。いくら化粧をしたって男は男! そんなに可愛いわけないだろ』と否定的な意見が多かったのだが、冷やかしで来店したお客達は声を揃えて『何だか、きゅんとしたぞ、きゅんと!』、『俺は今まで真実から目を背けてきたのかも知れない』、『つーか、この世に女なんていらない!』と言う事になったらしく、それなりに繁盛していたようである。
 それでも、『女の子のように可愛らしいなんてあり得ない! 本当は男じゃなくて、最初から女なんじゃねーのか。看板に偽りありだな、こりゃ』と言って難癖をつけてくる客もいたらしく、そのたび店員が証拠を見せて『おいおい、何だかむっちゃ見慣れたモンがあったよ。しかも、俺より凶悪だよ。ボスクラスの物をお持ちだよ。天使のようにかわいい顔をして、すげーよ、おい!』と納得させていたらしい。
 だが、あまりにも可愛すぎるせいで、常連客と店員が恋仲に陥る事もあったらしく、『浮気相手が女なら、まだ我慢できるけど、男って! ふざけんじゃないわよ、こん畜生!』とぶち切れた常連客の奥さんによって店が滅茶苦茶にされ、そんな事が何度か続いたせいで誰も近寄らなくなり、廃業してしまったようである。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃墟と化した喫茶店。
 このお店には女の子のように可愛らしい男性ばかりが働いていたらしく、常連客の奥さんとたびたび揉め事を起こしていたみたい。
 そのたび、常連客の奥さんが殴りこんできていたらしく、多い時では3人代わる代わる殴り込みに来たようね。
 そんな事もあって、『常連客との恋愛禁止』って事になっていたんだけど、そうじゃなくてもこんなところに通っていたら、あんまりいい気分がしなかったらしく、たびたび嫌がらせに遭っていたみたい。
 リビングデッドと化したのはここの店員さんで、下着が見えそうで見えないスカートを穿いて、店内をウロついているようなの。
 彼らはとっても可愛らしくて、積極的にスキンシップを求めて来るから、男性陣は変なものに目覚めないようにしてね。
 それと、店内の一部が特殊空間と化していて、鬼のような形相を浮かべた女性が地縛霊と化して留まっているわ。
 しかも、特殊空間の中では、みんなウェイトレス姿になっちゃうから、釘バットを握りしめた地縛霊に勘違いされて襲われちゃうかも。

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参加者
夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)
鬼一・法眼(電刃乱舞・b14040)
周防・すみれ(真妄想乙女・b16633)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
白嶺・幽花(イタコギャル・b35588)
カイト・クレイドル(高校生人狼騎士・b37048)
冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)
金澤・陽介(高校生真霊媒士・b50948)
久瀬・悠理(高校生太陽のエアライダー・b73652)
比良坂・夜魅(死神代行・b78427)
大沢・颯壱(ピンキッシュデジタリズム・b78739)
レナ・クロニクル(豊穣のつぼみ・b79197)



<リプレイ>

●禁断の世界
「また時代を先取りして追いつく前に潰れた店か……。女子の制服を着せられた事はあるが流石にウェイトレスの格好は初めてだな……。俺は着るより着せて鑑賞する派なんだが……。まぁ、誰とは言わないが……」
 ゴーストが確認された喫茶店に辿り着き、久瀬・悠理(高校生太陽のエアライダー・b73652)が口を開く。
 喫茶店は既に廃墟と化しているが、淡いブルーを基調とした可愛らしい外観だった。
「なるほど。ここが噂に聞く男の娘が働く店か。妬む輩が出るくらいだから、女性顔負けの容姿をしている様だが……」
 険しい表情を浮かべながら、金澤・陽介(高校生真霊媒士・b50948)が廃墟と化した喫茶店を睨む。
 喫茶店の壁には何枚か写真が貼られたままになっており、みんな女の子と見紛うほど可愛らしかった。
「ほわー、本当におんなのひとみたいな綺麗なおとこのひとばかりだね! ウェイトレス姿もかわいいし、ぼくも大きくなったらかわいい制服のお店でバイトとかしてみたいなぁ」
 瞳をランランと輝かせながら、レナ・クロニクル(豊穣のつぼみ・b79197)がニコリと笑う。
 ウェイトレスのコスチュームは淡いブルーを基調にしており、背中には小さな羽が生えていた。
「確かに、可愛いとは思うけど、仮にも男でしょ」
 呆れた様子で壁に貼られた写真を眺め、白嶺・幽花(イタコギャル・b35588)が溜息を漏らす。
「おとこのこのウェイトレスさんが、店員で浮気相手……え、えと……? あれ……? 何か、おかしいような……」
 キョトンとした表情を浮かべ、冷泉・香夜(幻想涙花・b47140)が大きなハテナマークを浮かべた。
 それだけ、ウェイトレス達が可愛かったのかも知れないが、お客達も越えてはならない一線を越えてしまったのだから自業自得である。
「それに目覚めてしまう男どもも男どもよね……」
 苦笑いを浮かべながら、比良坂・夜魅(死神代行・b78427)が頭を抱えた。
「まあ、実際ゲイバーに通う男性客もいるって話……いや、別に俺が通っているとかじゃなくて、話に聞いただけだけど! そりゃ、彼女とか奥さんは怒るよねぇ」
 自分がゲイバーに行っていない事を強調した後、大沢・颯壱(ピンキッシュデジタリズム・b78739)が自分の意見を述べた。
 ウェイトレス達と浮気をしていたお客達の妻は、『浮気されただけでも腹が立つのに、男って……! それってあり得ないでしょ。常識的に考えて!』と言ってキレていたらしく、『つーか、お前より御淑やかで可愛いし!』の一言で、離婚に至ったケースもあったようである。
「何と言ったらいいのでしょうか。自分には全く理解できないというのが一番しっくり来そうですね」
 考えても結論が出ない問題だと悟り、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が呟いた。
「いや、オトコノコだけが働く喫茶店で男が喜ぶとか、そういうのは普通ないだろう。よくわかんねぇけど、まあ、気合を入れて戦うか……」
 深い溜息をつきながら、カイト・クレイドル(高校生人狼騎士・b37048)が気合を入れる。
「んー、まぁ。可愛ければ俺もそんな性別とか気にしないけどさー。さすがにリビングデッドと恋愛はしたくねぇなぁ。みんな、気ぃつけろよー?」
 仲間達に対して警告した後、夜久・紀更(ノーチェブエナ・b07881)が廃墟と化した喫茶店に入っていく。
 その途端、リビングデッドと化したウェイトレス達が現れ、『いらっしゃいませぇ〜』と甘い声を響かせ、スカートをヒラヒラさせてやってきた。
「こ、これが噂に聞く男の娘ってやつですか……! 妄想力をかき立てられますけど、このままにしておく訳には(いろんな意味で)いきませんわね」
 あれこれと妄想を膨らませながら、周防・すみれ(真妄想乙女・b16633)が汗を流す。
 リビングデッド達は妙にキャピキャピとしており、可愛らしさと元気で満ち溢れていた。
「……フム。確かに道を誤ってしまう気持ちもわかるが……。ゴーストと化している以上、倒すしか方法があるまい」
 リビングデッド達と対峙しながら、鬼一・法眼(電刃乱舞・b14040)が地縛霊の確認された場所を睨む。
 次の瞬間、法眼が仲間達を引き連れ、リビングデッド達の間を擦り抜けていった。

●男の娘
「それにしても、何ですか。そのイケナイ格好は……。はっ! これも敵の作戦のうちなのですね」
 妄想を振り払うようにして、ぶんぶんと頭を振り回し、すみれがブラックヒストリーを放つ。
 それと同時にリビングデッド達が軽やかなステップを踏むようにしてスカートをヒラつかせ、『お、お客様。店内でそう言った行為はイケませんよ』と注意する。
「確かに、こりゃはまっちまうのも分かるかもしれねぇなぁ」
 感心した様子でリビングデッド達を眺め、紀更が旋剣の構えを発動させた。
 それにリビングデッド達の股間には、ボスクラス級に禍々しいモノがある。
 そう思うだけで沸々と殺意にも似たものが湧き上がってきた。
 しかし、リビングデッド達は能天気な笑みを浮かべ、『それならハグさせてください』と言って両手を開く。
「ちょ、ちょっとまって、君達は男だよね? かわくね? やばくね? でも、僕……こんなに優しくされるの、初めてでさ。ちょっと、涙が出てきた。なんかもう別に男でもいいかなあ、とか思っちゃったりして……」
 複雑な気持ちになりながら、カイトが後ろに下がっていく。
 だが、リビングデッド達は笑みを絶やさず、カイトを包み込むようにして抱き着いた。
 その途端、カイトの中で何かが始め、『もうなんでもいいや』とリビングデッド達を抱き返す。
「目を覚ましてください。それ以上、深みにハマれば、もう後戻りは出来ませんよっ!」
 カイトに対して警告しながら、洋角が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 次の瞬間、リビングデッド達が『ぼ、僕達は何も悪い事をしていないのにぃー!』と悲鳴を上げる。
「だいたい見えそうで見えないスカートを穿くんじゃないわよ。放送禁止用語になってしまうようなモノが見えたらどうするのよ! 必要無いって言うのなら、私がちょん切ってやるわ!」
 リビングデッド達を説教しながら、夜魅が旋剣の構えを発動させた。
 その言葉を聞いてリビングデッド達が『ひっ!』と声をあげ、『それだけは勘弁してよ』と涙ぐむ。
「合体して早めにけりをつけよう。……変な趣味に目覚める前に」
 サキュバス・ドールのタツキに声をかけ、陽介がゴーストイグニッションをする。
「あれは男……、間違いなく男だ……」
 呪文のように唱えながら、カイトが悪滅スピナーを炸裂させた。
 それでも、リビングデッド達は瞳を潤ませ、『どうして僕達に酷い事をするの? ただ、ハグがしたいだけなのにぃ〜』と言って涙を流す。
「いやぁ、いくら何でも同性ですしねぇ……。さすがにお断りします」
 リビングデッド達の誘いを断り、洋角が呪いの魔眼を発動させる。
 その一撃を食らってリビングデッドが尻餅をつき、危うくスカートの中が見えそうになった。
「そんな格好で惑わせようなんて……、お仕置きですわ」
 一気に間合いを詰めながら、すみれがクレセントファングを放つ。
 それと同時にリビングデッドの体が宙を舞い、その近くにいた男性陣が何かを……見た!
「花に群がるが如く死人に群がれ……、死刻蝶・百花繚乱ッ!」
 怯む事なくリビングデッド達の前に飛び出し、夜魅が悪滅スピナーを炸裂させる。
 次の瞬間、リビングデッド達が断末魔を響かせ、重なり合うようにして次々と倒れていった。
「みんな大丈夫かー、特に野郎ども。変な趣味に目覚めてないか」
 ゆっくりと辺りを見回しながら、紀更が仲間達に対して声をかける。
 もしかすると、何かに目覚めたかも知れない。
 そんな雰囲気のする仲間が何人かいるが、きっと気のせい……だろう。
「ああ、色々と恐ろしい相手だったがな。しかし、あれだけの容姿、キュンキュンしてしまうのは仕方がないのかも知れん」
 どこか遠くを見つめながら、陽介がどこか遠くを見つめる。
 その脳裏には女の子のように可愛らしいウェイトレス達の笑顔が浮かんでいた。

●この泥棒猫が!
「な、何だか、妙にスカートが短いような気がしませんか……。は、恥ずかしいので……早く、終わらせましょう……」
 特殊空間に入った途端、ウェイトレス姿になり、香夜がスカートの裾を下に引っ張りつつリクレクトコアを展開する。
 地縛霊と化した女性は香夜達に気づくと鬼のような形相を浮かべ、『あなた達ね。わたしからダンナを奪ったのは!』と決めつけた。
「そういえば、常連客の奥さんが暴れて店が潰れたって言ってたけど……。ひょっとして、それがこの人?」
 スカートを穿いているせいで足をスースーさせながら、颯壱が確かめるようにして地縛霊に視線を送る。
 その途端、地縛霊が『人のダンナを勝手に奪っておいて、その言い草は何っ!?』と鼻息を荒くさせた。
「それじゃ、あなたが男の娘に夫を奪われた人なのね。男の娘を逆恨みする前に自分の魅力を磨き直してみたらどうなの? あなたの魅力が足りないから取られたんじゃなくて? 私なら自分の彼氏を取られたりしないけど! あなたとは女の魅力が違うからね」
 勝ち誇った様子で胸を張り、幽花が地縛霊を挑発する。
 そのせいで地縛霊が余計にブチ切れ、『キィー! 言わせておけばっ! 絶対に許さない。頭をかち割って、トロピカルフルーツを注ぎ込んでやるわ』と言い放つ。
「あっ、だんなさんに浮気されちゃったんだ。でも、ぼくみたいにこどもが相手じゃないと思うよ。……ってうわぁ。あ、危ないなぁ」
 ハッとした表情を浮かべ、レナが地縛霊の振り下ろしたバットを避ける。
 しかし、地縛霊はバットをギュッと握りしめ、『そこにジッとしていなさいよ。これで頭をかち割ってやるんだから!』と叫んで釘バットを振り回す。
「……フム。道を外れたとはいえ、仮にも女性。不憫ではあるが……、歪んだその命、神へと還すが良い」
 スカートを揺らして釘バットを避け、法眼がプロトフォーミュラを発動させた。
 身長2メートルの大男がウエイトレス姿になっているだけでも地獄絵図過ぎるのに、スカートが極端に短いせいで仲間達までダメージを受けている。
「え、えと……、ずっと怒ってると、疲れる、から……。これで……終わりに、しましょう……?」
 視線のやり場に困りながら、香夜が地縛霊に光の槍を炸裂させる。
 だが、地縛霊は香夜を全く信用しておらず、『あんた達みたいな奴らがいるから、うちのダンナは……きぃぃぃぃぃぃぃ!』と叫んで襲い掛かってきた。
「むー、勘違いは良くないんだよ! ちゃんと、目を覚まさせてあげるからね!」
 ムッとした表情を浮かべながら、レナが魔弾の射手で強化した雷の魔弾を撃ち込んだ。
 それでも、地縛霊は両目をギラギラと血走らせ、『絶対に……、絶対に許さないんだから!』と釘バットを握り直す。
「イヅナ、私とひとつになりなさい!」
 ケットシー・ワンダラーのイヅナに声をかけ、幽花がゴーストイグニッションを使う。
 それと同時に悠理がプロミネンスパンチを叩き込み、釘バットごと地縛霊を殴り飛ばす。
「これで少しは……懲りていないようじゃのう。ならば、この姿を瞳にしっかりと焼きつけ、あの世に逝くが良い」
 立ち上がろうとしていた地縛霊に迫り、法眼がクレセントファングを放つ。 
 その一撃を食らって地縛霊が吹っ飛び、『私だけじゃ、逝かないわよっ!』と叫んで捨て身の攻撃を仕掛けていく。
「クダよ、魑魅魍魎を調伏せよ。不浄調伏魔魅瞰食!」
 地縛霊をギリギリまで引きつけ、幽花が雑霊弾を炸裂させる。
 次の瞬間、地縛霊が『私が負けたのは、女の魅力がなかったわけじゃない。逆に魅力があり過ぎたせいよ』と捨て台詞を残して、特殊空間もろとも消滅した。
「どうか、ゆっくりと……おやすみなさい……」
 そっと目を閉じながら、香夜が犠牲者達の冥福を祈る。
「あの地縛霊も怖かったけど、あの格好も怖かった。……いろんな意味で……。みんな、秘密にしようね? こんな姿を知り合いに見られたら……、あはははは……」
 引きつった笑みを浮かべ、颯壱が双子の姉貴を思い浮かべた。
 こんな姿を見られたら、間違いなく喜ばれてしまう。
「やっぱり、かわいい子に着せて鑑賞する方がいいな。あまり服装に頓着しない俺でも、流石にあれで人前に出る気にはなれないからさ」
 苦笑いを浮かべながら、悠理が颯壱に対して答えを返す。
 ……今日の事は忘れよう。
 それが幸せへと通じる近道……かも知れない。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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いまいち
参加者:12人
作成日:2010/12/13
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