祭り太鼓は男のロマン!


<オープニング>


●青森県某所
 寒空の中で激しく和太鼓を叩き、夜通し踊り狂う祭りを行っていた場所があった。
 この祭りで和太鼓を叩く事が出来るのは、寒さに耐えうるだけの精神力と、夜通し太鼓を叩くだけの体力を持っている漢のみ。
 だが、それだけ過酷な状況下で和太鼓を叩き続けるため、途中で倒れて病院に運ばれるケースがあったらしい。
 そのため、次第に参加者が減っていき、やがて廃れていったようである。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃れてしまった祭り会場。
 ここでは毎年冬になると無病息災を願って祭りをしていたらしく、例え雨が降っても、雪が降っても、中止になる事がなかったんだって。
 それが原因で毎回、倒れている人がいたらしく、そのうち『そこまでして、参加する意味がない』って判断されて廃れちゃったようなの。
 リビングデッドと化したのは、上半身裸の褌姿達で、一心不乱に太鼓を叩き続けているわ。
 でも、和太鼓が壊れていい音が出ないらしく、侵入者を見つけると『これならいい音が出そうだ』と言って、ばちを振り上げて襲い掛かってくるようなの。
 それと和太鼓が奉納されていた場所の周辺が特殊空間と化していて、全身傷だらけで筋骨隆々のオッサンが地縛霊と化して留まっているわ。
 この地縛霊は和太鼓を叩く事によって衝撃波を飛ばしてくるから、くれぐれも気を付けてね。

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参加者
淵叢・雹(操炎・b06055)
玖田・時那(ラディカルハイスピードガール・b16160)
闇野・啓(黒き刃と魂の銀貨・b25609)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
白嶺・幽花(イタコギャル・b35588)
犬塚・沙雪(通りすがりの正義の味方・b38003)
草壁・那由他(闇と光の魔弾術士・b46072)
リーリィ・デロンギ(剣帝の娘・b52531)
裏方・黒衣(藍と白のアルケー・b57463)
ギンヤ・マルディーニ(アルディラ・b70345)
葵・壱(這い寄るイチゴたんたぬわにゃ・b72251)
セイバー・ラピュセル(騎士王・b77165)



<リプレイ>

●褌は気合の象徴!
「冬の寒い時期になると奇祭って増えるよね。何でみんな褌一丁なんだろう……。気力・体力・精神力と男らしさのアピール? 最近、そういうのも流行らないとは思うんだけどねー」
 しみじみとした表情を浮かべ、玖田・時那(ラディカルハイスピードガール・b16160)が口を開く。
「確かに、そういう慣わしってあるよな。……けど、そういうのに参加する人って、テレビとかで見るけど……なんて言うかな。参加するのは個人の好き好きだから構わないっちゃ構わないんだけど……。まぁ、お大事にとしか言いようがないんだよな」
 色々と言葉を選びながら、犬塚・沙雪(通りすがりの正義の味方・b38003)が自分なりの考えを述べる。
「狭い日本にも様々なお祭りがあるから、夜通し和太鼓を叩いて踊り狂う祭りがあっても不思議じゃないけど、廃れる前に条件を緩和するなり、助っ人を雇うなりすればいいのにね。まあ、廃れさせてしまう程度じゃ、そんな熱意もなかったんでしょうけどね……」
 やれやれとばかりに首を振り、白嶺・幽花(イタコギャル・b35588)が答えを返す。
「でも、そういう形で廃れていくのは残念ですね」
 当時の状況を思い浮かべ、リーリィ・デロンギ(剣帝の娘・b52531)がションボリとした表情を浮かべる。
「まっ、その程度の祭だったって事だろ。廃れる程度のゴーストなら綺麗に掃除してやった方が良いよな。……廃れないゴーストでも退治しなきゃならないんだろーけど」
 まったく興味がない様子で、闇野・啓(黒き刃と魂の銀貨・b25609)が軽く流す。
 それでも、ゴーストと化した以上、倒さなければならないのが、面倒なところである。
「古今東西、肉体・精神の限界に挑むというお祭りは多々あるけれど……無病息災を願う祭りで倒れたんじゃ、本末転倒よね。このお祭り以外にもそういった限度を知らない催し物はあるけれど、そっちはゴースト事件とか大丈夫なのかしら」
 似たような祭りが多い事を思い出し、淵叢・雹(操炎・b06055)が汗を流す。
 そうしているうちに雹達は、ゴーストの確認された場所に辿り着いた。
「お祭り好きか和太鼓好きなのか……、はたまた踊り好きなのか迷うですね〜。無病息災を願っての祭りで病院送りの人が出る様なのは本末転倒なのです」
 寒空の中で和太鼓を叩くリビングデッド達の存在に気づき、裏方・黒衣(藍と白のアルケー・b57463)が苦笑いを浮かべる。
 リビングデッド達は褌一丁の格好で一心不乱に和太鼓を叩いており、黒衣達の存在にはまったく気づいていない。
「この寒さの中、雨が降っても雪が降っても、夜通し褌姿で祭りに挑むなんて凄すぎるね……。さすがサムライの国の神事は一味違うな……!」
 感心した様子でリビングデッド達に視線を送り、ギンヤ・マルディーニ(アルディラ・b70345)が呟いた。
 その間もリビングデッド達は和太鼓を叩き、徐々にテンションを上げていく。
「なんてロマン溢れる祭り太鼓……って、本当にロマンなの?」
 不思議そうに首を傾げ、草壁・那由他(闇と光の魔弾術士・b46072)が疑問を口にした。
「そこまでして和太鼓を叩く事に固執した結末が、死なんて残念な人達ですね」
 複雑な気持ちになりながら、葵・壱(這い寄るイチゴたんたぬわにゃ・b72251)がリビングデッド達に視線を送る。
 リビングデッド達が和太鼓を叩くたび、大量の汗が宝石のようにキラキラと光り、リズミカルな音が辺りに響く。
「まあ、何と言うか、この太鼓の叩き手は名誉なんでしょうけどね……。病院にさえ運ばれなければ。楽しそうではありそうですが、自分はやりたいとは全く思いませんね」
 リビングデッド達に生暖かい視線を送り、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が溜息を漏らす。
 その途端、リビングデッド達が洋角に気づき、『我らの聖域に足を踏み入れたのは何者だ!』叫ぶ。
「我は巡礼士、世界結界の守護者にして、魔を断つ剣なり! 世界結界をゆがめるゴーストよ。我が聖剣の前に、露と消えるがいい!」
 自ら名乗りを上げながら、セイバー・ラピュセル(騎士王・b77165)がイグニッションをする。
 それと同時にリビングデッド達がばちをギュッと握りしめ、『なるほど。お前達ならいい音で悲鳴を上げてくれそうだな。さぁて、祭りの始まりだああああ!!』と叫び声を響かせた。

●漢のロマンをばちに込め
「うわっ……、よくあんな格好で寒くないねっ!」
 全身に寒気を感じながら、ギンヤがノーブルブラッドを使う。
 それに合わせてリビングデッド達がばちを構え、『身体の芯からポカポカさ。考えるだけでもムラムラする!』と答えを返す。
「人を木の棒で叩くなんて使い方を間違えましたね」
 リビングデッド達と対峙しながら、壱が少しずつ間合いを取っていく。
 しかし、リビングデッド達は全身の筋肉を隆起させ、『太鼓の癖によく喋る。さぁ、早く俺達を楽しませてくれ』と言ってばちを構えた。
「はっ、さすが腐った脳みそ。人と太鼓の区別もつかないってか」
 旋剣の構えを発動させ、沙雪が唾を吐き捨てる。
 次の瞬間、リビングデッド達がばちを振り上げ、『さぁ、泣け! 叫べ!』と言って一斉に攻撃を仕掛けてきた。
「やれやれ……。せっかく、あなた達を楽しく踊らせに来たっていうのに……。それなら、私にも考えがあるわ。あなた達に死の舞踏を踊らせてあげるわよ!」
 ケットシー・ワンダラーのイヅナに守られつつ、幽花がリビングデッド達めがけて雑霊弾を撃ち込んだ。
 それに合わせてイヅナが杖を向け、魔力供給で幽花を強化する。
 それでも、リビングデッド達が立ち上がり、まったく怯む事無く攻撃を仕掛けていく。
「来ないで……って言っても来るんだろうな……」
 自棄気味に呟きながら、那由他が魔弾の射手を発動させた。
 その言葉を聞いてリビングデッド達が『……分かっているじゃないか』と言ってニヤリと笑う。
「どうやら、纏わりつかれる前に倒してしまった方が良さそうですね」
 リビングデッド達に視線を送り、洋角が暴走黒燐弾を炸裂させる。
 それと同時に着弾点で黒燐蟲が弾け飛び、リビングデッド達に食らいつく。
「これで少しは懲り……ていないようですね」
 深い溜息をつきながら、壱が隕石の魔弾を撃ち込んだ。
 それに合わせて、ギンヤがスラッシュロンドを放ち、リビングデッド達を仕留めていく。
「……寒い! もう耐えられない! これって、不幸のズンドコ!」
 ガタガタと身体を震わせながら、那由他がリビングデッド達に日本刀を振り下ろす。
 次の瞬間、沙雪がリビングデッド達を射程範囲内に捉え、暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
「イヅナ、トドメを刺すのよ!」
 最後まで残ったリビングデッドの行く手を阻み、幽花がイヅナと連携を取って合図を送る。
 それと同時にイヅナがエネルギー弾を放って、リビングデッドにトドメをさした。
「ふぅ、やれやれ。無事に終わったみたいだね……。神事なんだろうけど、もう少し彼等も楽しんで祭りに挑めば、死んだ後にリビングデッドになんてならなかったと思うんだけどなぁ」
 リビングデッド達を全滅させ、ギンヤがしみじみとした表情を浮かべる。
「いやはや残念ですね。音がもう聞こえないというのは……」
 少し残念そうにしながら、洋角が主のいなくなった和太鼓を眺めた。
 和太鼓から音が響く事は二度とない。
 そう思うと余計に寂しい気持ちが全身を包む。
「さて、どっかしらで初詣とか、まだやってるところもあるだろう。せっかくだし初詣とかして帰りますか」
 そう言って沙雪が苦笑いを浮かべて、仲間達を初詣に誘うのだった。

●わしの音を聞きやがれぃ!
「貴殿が今回の事件の元凶だな。過去の妄執に囚われし亡者よ。すでに祭りは廃れたのだ。ならばこそ、その面影たる貴殿も、ともに消えゆくが定め。想い残さず、常闇へと還るがいい!」
 仲間達と足並みを合わせるようにして、セイバーが虎紋覚醒を発動させた。
 その言葉を聞いて地縛霊がニヤリと笑い、『消え去るのは、そっちだあああ!』と叫んで和太鼓を響かせる。
 次の瞬間、和太鼓から発せられた音が衝撃波となり、セイバー達の服を切り裂いていく。
「……って、この人。目が逝っちゃってますです」
 色々な意味で身の危険を感じつつ、黒衣がナイフを構えて速やかに接近する。
 それに合わせて、雹がタイミングを見計い、魔弾の射手を発動させた。
「それ以前に何で傷だらけなの、この人っ!?」
 地縛霊の放つ衝撃波を避けながら、時那が素朴な疑問を感じて汗を流す。
 その問いに地縛霊が『祭りとは戦い。すなわち、この傷は祭りの歴史!』と訳の分らない事を言って激しく太鼓を叩く。
「――頂き!」
 地縛霊の死角に回り込み、啓がスピードスケッチを放つ。
 その一撃を食らっても地縛霊は高笑いを響かせ、『これぞ、祭りの醍醐味だ!』と叫んで、さらに太鼓を叩いていく。
「……狂っているわね、色々と……」
 地縛霊の攻撃パターンを見切り、雹が蒼の魔弾を撃ち込んだ。
 それと同時に地縛霊が相討ちを狙い、和太鼓を叩いて衝撃波を飛ばしてきた。
「―――斬ッ!!」
 側面から地縛霊に瞬断撃を放ち、リーリィがシュタッと着地する。
 仲間達よりも少し出遅れてしまったが、先ほどの一撃を放った事で衝撃波の軌道をずらす事が出来たようだ。
「助かったわ。でも、まだ戦いは始まったばかりよ」
 リーリィにお礼を言った後、雹が再び地縛霊に攻撃を仕掛けていく。
 そのため、地縛霊は狙いを定める事が出来ず、滅茶苦茶に和太鼓を叩き始めた。
「ああっ! さっきから和太鼓をどこどこ叩いて、うるさい!」
 イライラとした表情を浮かべ、時那がプロトストランダムを叩き込む。
 だが、地縛霊は傷つくたびにテンションが上がり、『祭りじゃ、祭りぃ』と叫んで狂ったように和太鼓を叩く。
「原初に連なる霧の魔物よ――汝が敵を喰らい、その糧と成せ!」
 地縛霊の放った衝撃波で近づく事が出来ないため、リーリィが魔蝕の霧を発動させる。
 その影響で地縛霊が無力化し、『何だ、何が起こったんだ』と叫び声を響かせた。
「魔科学イエツィラー。速記起動」
 モーラットヒーローのもっちー君と連携を取り、黒衣がスピードスケッチを発動させる。
 それに合わせて地縛霊が反撃を仕掛けようとしたが、無力化しているせいでいくら和太鼓を叩いても、衝撃波を飛ばす事が出来なかった。
「我が一撃、受けきれるか! 我が一撃は破城の鉄槌。立ち塞がるのなら、その守りごと両断する!」
 地縛霊に語りかけながら、セイバーがメダリオンナックルを叩き込む。
 次の瞬間、地縛霊が両手に持ったばちで×の字を書くようにしてガードしたが、全く意味をなさずに胴体ごと貫いた。
「……やれやれ、終わったか。他にも色々狂ってそうな祭はありそーだが……華があるか粋か楽しいか、やる側に見る側、両方揃わねーと維持されねーだろーな」
 特殊空間が消滅した事を確認した後、啓がどこか遠くを見つめる。
 おそらく、地縛霊は幾多の戦いを乗り越え、和太鼓を叩く事が出来たのかも知れないが、戦いが終わった後もそこまでして勝ち取る意味を理解する事が出来なかった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2011/01/09
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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