生産者の顔が見えるから大丈夫!


<オープニング>


●茨城県某所
 売り上げを伸ばそうとした試行錯誤したものの、ほとんど空回りしたせいで廃業してしまった農家がある。
 彼らは普通に売ったのでは、スーパーなどで安く買い叩かれてしまうため、安心安全など強調したり、生産者の顔を出したりして、消費者達を安心させ、売り上げを伸ばそうとしていたようだ。
 しかし、他の業者も同じような事をし始めたため、萌え系の絵をパッケージとして利用したり、生産者の写真に水着美女を採用したりして、売り上げを着実に伸ばしていったようである。
 だが、少しずつパッケージに付加価値をつけていき、他の業者もそれに対抗してグッズ展開したため、共倒れになるような形で廃業した。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(高校生運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、廃墟と化した屋敷。
 ここは以前まで農家だったんだけど、無理に売り上げを伸ばそうとして、他の業者と共倒れになっちゃったようなの。
 最初は米、次はお茶、煎餅までは良かったけど、最中、ゼリー、水辺りから、雲行きが怪しくなってきたみたい。
 まぁ、同業者達の嫌がらせが酷かったらしく、米が玄米にすり替わっていたり、煎餅が焼き餅に取り替えられたりしていたようだから、そう言った事も原因のひとつかも知れないけど……。
 リビングデッドと化したのはそう言った業者達で、自分の作った米やお茶を片手に、『あなた達、こういうの好きでしょ?』、『買って!』、『買いなさない!』と迫ってくるわ。
 それと精米所が特殊空間と化していて、地縛霊と化した青年が留まっているようなの。
 地縛霊は『いくら売り上げがいいからって、新米と古米を混ぜたら、バレるって!』、『しかも、こっちなんかブランド米を使っているのは、上辺だけだし。クズ米と混ぜたら、絶対にバレるって!』と言う感じで愚痴をこぼしているわ。
 しかも、侵入者を見つけると、売り物にもならない屑米をマシンガンの如く飛ばしてくるから、くれぐれも気を付けてね。

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参加者
御剣・光(傍若無人な牌の音初代皇帝・b02940)
鬼一・法眼(電刃乱舞・b14040)
玖田・時那(ラディカルハイスピードガール・b16160)
風浦・小夜(高校生真コミックマスター・b20314)
黒瀬・和真(黒のレガリス・b24533)
アリシア・クリストファ(天空の花嫁・b30952)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
出雲崎・夏野(ステキ魔弾術士・b32906)
ウルリケ・シュヴァルツ(黒い蝙蝠は夜に浮かれ踊りだす・b69278)
御雷・雷華(黒き雷・b72662)
神楽・美沙(光輪の金剛石・b76178)
オリヴィエ・シンフォティア(魔法陣描く金鈴音の魔女・b77441)



<リプレイ>

●美味しい米
「これって、自主流通米……かな。なんか農作物って某団体を通さないと、売るのとかすっげー大変とかなんとか聞いた事あるような気もするけど、最近はネットとか使ったり色々新興ルートがあるっぽい。しかし、米のパッケージに美女とかなかなかやるな。だが、問題点は各種性癖……じゃない嗜好に合わせてセクシー系美女から清純派魔女系お姉様にロリ……じゃない合法幼女までをも視野に入れてグッズ展開を……いえ、何でもありません」
 仲間達の冷たい視線を感じ、出雲崎・夏野(ステキ魔弾術士・b32906)が口をつぐむ。
 商品のパッケージには萌え系のイラストが使われていたようだが、その中身はほとんど変わらなかったようである。
「でも、生産者の顔が見える事は良い事ですよね。安全性さえ確証できれば、消費者は買う訳ですから……」
 マジマジとパンフレットを眺め、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が呟いた。
 パンフレットには事件の発端となった米のパッケージが載っており、デザインによって値段が大きく異なっている。
「ああ、最近スーパーに行くとあるわよね。『私達が作りました』って顔写真とか名前を貼ってある野菜とか。ああいうのって売ってる物の信用を背負ってるんだと思うけどねえ」
 一緒になってパンフレットを見ながら、オリヴィエ・シンフォティア(魔法陣描く金鈴音の魔女・b77441)が首を傾げた。
「コレで売り上げが上がるなんて、あたしには理解できないわ。その顔写真の人が本当に作ったとは限らないし、顔が見えてるから悪い事をする訳が無い=安全な食品って思い込みは危険よ。詐欺は信用させる事が第一だからね。顔写真を貼るくらいで信用してくれるなら、安い外国産を国産と偽って、高値で売りさばこうとしてる詐欺師にとっては安いもんだわ」
 胡散臭そうにパンフレットを手に取り、御剣・光(傍若無人な牌の音初代皇帝・b02940)が吐き捨てる。
 実際に中身は似たような米を使っていたのだから、ある意味で彼女の言う事も間違っていない。
「それに、こういうのって、普通に美味しい物がいいと思うんだけども」
 納得した様子で頷きながら、黒瀬・和真(黒のレガリス・b24533)が意見を言う。
「……もはや、彼らの発想についていけないわ。そんなもの廃れるに決まってるでしょうに……」
 呆れた表情を浮かべ、アリシア・クリストファ(天空の花嫁・b30952)がやれやれと首を振る。
 どうやら、農家側も商品の品質や安全性にこだわらず、消費者に受けるデザインを重視して商売をしていたようだ。
「竜頭蛇尾というか、本末転倒というか。萌え系パッケージだの、水着美女だの、生産者の顔が見えるという根本的な思想はどこへいったのじゃ。結局、安心安全と謳ったところで、全ては売り上げかの。もう少し消費者側の視点に立ち返ることが出来たら、あるいは、違った結末が待っていたのやも知れぬな」
 どこか遠くを見つめながら、神楽・美沙(光輪の金剛石・b76178)が溜息をもらす。
「そもそも、商品の価値とは包装などではなく、中身にこそあるべきだ。それを包装で勝負しようなどと、素人考えも甚だしい。専門知識も無くやるから失敗するんだ。生兵法は怪我の元だな」
 不機嫌な表情を浮かべ、御雷・雷華(黒き雷・b72662)が言い放つ。
「農家の人も色々あって大変なのですね。試行錯誤をして売り上げを伸ばそうとしたのは、涙ぐましさを感じます……。何処までが健全な競争だったのか、知る由はありませんが、最終的に共倒れになってしまったのは、なんとも残念ですね」
 当時の状況を思い浮かべ、風浦・小夜(高校生真コミックマスター・b20314)が寂しそうな表情を浮かべる。
「農家で生活するのも大変だねー。どういう形で付加価値を付けても、それで売れるなら、いいんだけど……。ねつ造はダメだよねー。でも、水着美女が生産者のお米ってイヤだな……」
 険しい表情を浮かべ、玖田・時那(ラディカルハイスピードガール・b16160)が光からパンフレットを受け取った。
「形はどうあれ、努力の結果が実らなかったのは悲しい事ですね。でも、きっちりけじめをつけないと……」
 廃墟と化した屋敷に辿り着き、ウルリケ・シュヴァルツ(黒い蝙蝠は夜に浮かれ踊りだす・b69278)が入っていく。
 屋敷の中にはリビングデッド達がおり、ウルリケ達に気づいて『あなた達、こういうのが好きでしょ?』と言って、自分達の商品を売り込んできた。
「ふむ……。取り敢えずその命、天に還すが良い」
 忙しくて色々とスルーした結果、取り敢えず潰そうという結論に至り、鬼一・法眼(電刃乱舞・b14040)がリビングデッド達を睨む。
 それでも、リビングデッド達は苦笑いを浮かべ、『そう言う冗談はイイから、試しに買ってよ』と言って迫ってきた。

●とにかく買いなさい
「なんだ、この強引な売り方は!? そんなんじゃ、いくら商品が良くても、買う気にならないぞ」
 思いっきりドン引きしながら、夏野が魔弾の射手を発動させる。
 その間もリビングデッド達は売り込みに夢中で、『絶対に損をさせないから!』と言っていやらしい笑みを浮かべた。
「あー、いらない、いらない。バカじゃないの? 買うわけないじゃん。何だか、お客を小馬鹿にしてる感じだよね。しかも、この値段設定……、あり得ないと思うけど!」
 興味本位で商品を見た後、時那がダラリと汗を流す。
 ……いくらなんでも高すぎる。
 おそらく、この値段でもお客が食いつくと思っていたのだろう。
 そう考えると余計にゴースト達が売る商品を買う気が失せた。
「こんなの単なる押し付けセールスじゃない。選ぶ権利はこっちにあるんだっつーの!」
 イライラとした表情を浮かべ、オリヴィエが魔弾の射手を発動させる。
「押し売りはご免ですよ!」
 なるべく人数を巻き込めるように位置を取り、ウルリケがスラッシュロンドを炸裂させる。
 それでも、リビングデッド達は諦めておらず、『だから試してみてよ。よかったら、買えばいいからさ』と叫ぶ。
「えぇい、鬱陶しい。それに我が家には、よりよい米を仕入れておるわ。そなたらとは比べ物にならぬくらい農業に誇りを持った『本物』の農家からな!」
 リフレクトコアを展開しながら、美沙がリビングデッド達に反論した。
 だが、リビングデッド達は『これだって本物よ!』と言い返し、萌えキャラが描かれている米袋を押し付ける。
「……っていうか、あんたらうるさいから! そんなんじゃ売れる訳ないでしょうが! 戦争は業者で起こってるんじゃない。買う側で起こってる!」
 リビングデッド達に説教しながら、オリヴィエがパラノイアペーパーを放つ。
 そこに描かれていたのは、萌えだの変なパッケージの商品を、色々なお客さんが嫌そうな顔して返品している光景。
「……お前達、これを見ても何とも感じないのか? 農家としての誇りを忘れ、農作物の出来で勝負もせず、金儲けに走るとは言語道断。廃業したのも自業自得としれ……」
 リビングデッド達を叱りつけ、雷華がプロトフォーミュラを使う。
 しかし、リビングデッド達は自分の商品に自信を持っているらしく、『あなた達は何もわかっちゃいない! これほど素晴らしい商品はないのに!』と逆ギレをした。
「ああ! 要はここに商品があるからうるさいのよね。……品物ごと私の炎で燃えてちょうだい!」
 納得した様子で掌をポンと叩き、オリヴィエが炎の魔弾を放つ。
 その一撃を食らってリビングデッドが魔炎に包まれ、米袋を抱えたまま断末魔を響かせた。
「正直なところ、野菜とか自分じゃ買わないから良く解らん」
 パニックに陥ったリビングデッド達を眺め、夏野が米の焼ける匂いを嗅ぎつつ雷の魔弾を撃ち込んだ。
 それに合わせて、美沙がアークへリオンを発動させ、次々とリビングデッド達を倒していく。
「……貴様らの動きには、無駄が多すぎるぞ!」
 弱ったリビングデッド達を狙い、雷華がクレセントファングを炸裂させる。
 そのため、リビングデッド達が身の危険を感じ、米袋を抱えて逃げ出そうとした。
「これで終わりよ、稲熱(いもち)病ビーム!」
 リビングデッド達の行く手を阻み、時那がプロトヴァイパーを放つ。
 それと同時にリビングデッド達の悲鳴が響き、腐汁まみれの米粒が辺りに飛び散った。
「付加価値をつけるより、質をあげる努力が必要だったようね」
 肉塊と化したリビングデッド達を眺め、ウルリケが寂しそうな表情を浮かべる。
「米俵一俵には7人の神様が乗っている。そう言われる事もあるというのにの。経営が苦しいのは分かるが、失ってはならぬ大事なものがある事を忘れてはいかんな……」
 周囲に散らばった米を見て、美沙が一粒そっと手に取った。
 もしも彼らが本当の意味で米の大切さを知っていれば、萌え絵などに頼る事もなかっただろう。

●これでも喰らえ!
「あなたが今回の事件の元凶ね。随分とあくどい事をしてきたようだけど、それも今日で終わりよ」
 仲間達の後方で身を守りながら、アリシアがフランケンシュタインFWのリューイに死がふたりを分かつまでを使う。
 その言葉を聞いて地縛霊が激しく首を横に振り、『いや、俺は止めたんだって! 必死に止めたんだけど、みんな話を聞いてくれなくって』と答えを返す。
「……なんだかこの地縛霊は真面目な方だったようですね」
 地縛霊に同情した様子で視線を送り、小夜がギンギンカイザーXを口に含む。
 次の瞬間、地縛霊が殺気に満ちた表情を浮かべ、『だが、その結果がこれさ。真面目にやったって、誰も評価してくれねぇ! 他の奴らと同じように、悪者扱いされちまったんだから、世間を恨んだって文句はねえよな』と言って、屑米をマシンガンの如く飛ばしてきた。
「リューイ、来るわよ!」
 ハっとした表情を浮かべ、アリシアがリューイに対して警告する。
 それに合わせて、リューイがアリシアの前に立ち、自ら盾となって屑米を受け止めた。
「何というか厄介ですねぇ、当たると痛そうですし……」
 地縛霊の攻撃を読みながら、洋角が溜息を漏らして、物陰に隠れる。
「それに食物を粗末にするなんて、どうかと思いますけど……」
 物陰から物陰に移動し、和真が旋剣の構えを使う。
 だが、地縛霊は高笑いを響かせ、『俺は直接、関わっちゃいなかったんだ。それなのに……、畜生!』と叫び声を響かせた。
「だからと言って、こんな事が許されるとおもっているのですか? これで貧困に喘ぐ人を救う事が出来るかも知れませんのに……」
 足元に散らばっていた屑米を拾い上げ、洋角が地縛霊に呪いの魔眼を炸裂させる。
 しかし、地縛霊は完全に壊れてしまっているらしく、『俺ばっかりが辛い思いをしていいわけがねぇ。みんな、死んじまえ!』と叫んで屑米を飛ばしていく。
「やれやれ、他の奴らと同じ扱いをされた事に腹を立て、救いようがない外道になるとは……。そこまで後悔していたのなら、もっと早く手を打つべきではなかったのか?」
 地縛霊がばら撒く屑米を避け、法眼がプロトフォーミュラを使う。
 その問いに地縛霊がフンと鼻を鳴らし、『最初は顔写真を貸して、イラストを描くだけって約束だったのに、それがあれよあれよという間に犯罪の片棒まで担がされちまったんだから、後戻りなんて出来ねぇよ』と愚痴をこぼす。
「なるほど、それだけ信用されていたわけね。それじゃ、不気味な笑みを浮かべたあたしが包丁を振り回しながら『人を刺したいぃぃっ! アヒャヒャヒャーッ!』と大声出しながら近づいてきても、『顔が見えてるから大丈夫!』って事で文句はないでしょ? ほら、あたしって信頼されているから」
 ギンギンカイザーXを口に含み、光が地縛霊を見つめて不気味に笑う。
 その途端、リビングデッドがビクッと身体を震わせ、『おいおい、冗談だろ』と言ってダラダラと汗を流す。
「いまさら、冗談で片づけられると思ったら、大間違いじゃ。それにここでおぬしの肩を持って、ワシが血祭りに遭っても困るしのう」
 一瞬、恐ろしい映像が脳裏に過り、法眼がそれを振り払うようにして、プロトヴァイパーを炸裂させた。
 それと同時に小夜が軽くスカートを摘むステップから近接し、クレセントファングを放つ。
「いくら売り物にもならない屑米とはいえ、お米を粗末に扱うなんて日本人としてあり得ないわ。貴様の血の色は何色だぁーっ!」
 地縛霊に問いかけながら、光が地縛霊に退魔呪言突きを叩き込む。
 その一撃を食らって辺りに大量の血が飛び散り、屑米が真っ赤に染まって、チキンライスのようになる。
 それを見て光は赤飯かチキンライスが食べたいと思い、さらに攻撃を仕掛けていく。
「リューイ、あなたの怪力で、そいつを餅みたいについてやりなさい!」
 すぐさま穢れの弾丸を撃ち込み、アリシアがリューイに合図を送る。
 その合図に従ってリューイが一気に距離を縮め、パワーナックルを放って地縛霊の身体を貫いた。
「後戻りできない、か」
 地縛霊の断末魔を響く中、和真が深い溜息を漏らす。
 おそらく、地縛霊と化した青年にだって、後戻りする事が出来るチャンスがあったはずだ。
 しかし、目の前の金に心を奪われ、真実を知りながら見て見ぬふりをしてしまったのだろう。
「この様子だとブランド米よりも、屑米の方が多そうですね。何だかお米を信じられそうにないです……。これからはパンを増やしてみようかしら。……なんていいだすとキリがないですね」
 精米所に残っていた米を確かめ、小夜が複雑な気持ちになる。
 そして、小夜はこの様な悲劇が起こらない様にすべく、家に帰ったらなるべく米を食べようと思うのだった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2011/01/24
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
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