鳥人軍団


<オープニング>


 とある森の中を鳥と人間の中間の姿をした……所謂獣人達が通りぬけていく。
 彼等の手にはそれぞれ、形は微妙に異なるものの長剣が握りしめられており……更にその一団の戦闘を歩く鳥の獣人は体色が真っ黒であり、他の者達とは違い手には長槍が握りしめられていた。
 どうやら彼がその集団のリーダーであるらしく、彼の進行方向に他の獣人達も従い進んでいく。
 果たして彼等はどこを目指しているのであろうか……。
「みんな!北海道の大雪山に向かった人達から連絡が入ったよっ!」
 慌てた様子で教室へと駆けこんできた神崎・優希(中学生運命予報士・bn0207)は教団に立ち、呼吸を整えてから落ちついて今回の事件について語り出す。
 それによると、人狼騎士の目的は大雪山に隠れていた原初の吸血鬼の討伐であったらしく、それらは万色の稲妻を受け、配下のゴースト全てが強力な抗体ゴーストとなっているらしい。
 更に銀誓館学園への対応策として、拠点の防衛を固めつつ、天人峡温泉の温泉宿を制圧して人質として利用しようとしているらしいのだ。
 今回の任務は温泉宿を守り、原初の吸血鬼の拠点を攻略して、元凶である原初の吸血鬼を倒す事にあるという。
「今回みんなに担当してほしいのは、大雪山の麓近くを警戒している獣人の群れの撃退だよ」
 原初の吸血鬼の配下の獣人の一部が、大雪山の麓周辺で活動しているらしい。
 抗体ゴーストである獣人がどれだけ強力かは言うまでもないだろうが、今回の敵は更に群れを作り、リーダーの指示の元に連携して戦闘を行うためかなりの強敵であるとの事。
 原初の吸血鬼を倒したとしても配下のゴーストが消え去るわけではないようなので、獣人達も確実にここで倒す必要があるだろう。
 獣人達は鳥と人間の中間の姿をしており、全部で6体。
 そのうちの1体は全身が黒く、槍の抗体兵器を使い、他の5体は長剣の抗体兵器を使うという。
 特殊な能力は持ち合わせていないものの、リーダーの指示に従い全員が同じ対象に攻撃をしかけるとの事である。
「獣人の群れは逃げ出す人を追いかけてきたりはしないみたい。いざとなったら撤退する事を考える必要もあるかもね」
 相手が連携して攻撃を行ってくる以上、何の策もなく戦えば敗北してしまうだろう。
 だが、ゴーストを上回る連携を行う事ができればきっと勝利する事ができるはずである。
「あと……戦いの後、もしも余力があれば原初の吸血鬼の逃走を阻止するため、警戒活動に当たってほしいの」
 拠点で原初の吸血鬼を撃破できれば問題はない……が、拠点から逃走した場合、あるいは最初から拠点にいない可能性もある。
 原初の吸血鬼を逃がしてしまえば今回の作戦の意義がなくなってしまうのである。
「色々大変だとは思うけど……みんなからの勝利の報告を信じて待ってるからねっ」

マスターからのコメントを見る

参加者
紫月・双牙(光焔真牙・b08033)
カイン・バクスター(リジェネレーター・b38889)
緋神・琉紫葵(黒翼咆哮・b42772)
文月・風華(暁天の巫女・b50869)
芝村・蒼(遺された想いとともに歩む者・b63422)
嵐月・凪(絆の螺旋・b71242)
織兎・ラジェリ(深遠より来たる・b74133)
御戸屋・命(高校生真妖狐・b75456)



<リプレイ>


 原初の吸血鬼配下の獣人を倒すため、予報士より知らせを受けた8人の能力者達は、大雪山の麓周辺の森の中を散策していた。
「万色の稲妻を取り込んで抗体ゴーストに……吸血鬼も考えますね」
 そのやり方に素直に感心しつつ、同じ事をした原初の吸血鬼は一体何人いるのだろうと気になる様子のカイン・バクスター(リジェネレーター・b38889)。
「原初の吸血鬼の狙いはなんでしょうね戦力強化でしょうか……」
 彼等の目的がなんであるのか、文月・風華(暁天の巫女・b50869)も気がかりである様子のであったが、何はともあれ目の前の戦いに集中しようと思い、その事は一度置いておく事としたようである。
 今回の敵が連携をとり襲いかかってくる相手である以上、いつも以上に油断する事はできない。
「何を企んでるかは知りませんけど、原初の吸血鬼も異形達も企みごと纏めて叩き潰します」
 そう言って妥当吸血鬼、妥当異形のゴースト達を心に誓う紫月・双牙(光焔真牙・b08033)。
 常に微笑している彼であるが、その胸の内では静かな闘志を燃やしているようであった。
「どうせまたくだらない事だろうしね〜、一般人に危害が加わる前に悪だくみを阻止してあげないとねっ」
 嵐月・凪(絆の螺旋・b71242)もまた、原初の思い通りにさせてなるものかという気持ちを持ち合わせているようである。
「ただでさえ抗体ゴーストは厄介なのに、それが群れるとか酷い状況だね……」
 と、やや弱気になる御戸屋・命(高校生真妖狐・b75456)であったが、
「だめだめ、ビビってなんかいられない!あのカタストロフの時に比べたらこれぐらいじゃなんでもないよ!」
 彼女はそう自分自身に言い聞かせ、なんとしても温泉を守りきり、原初の吸血鬼の姑息な企みを阻止しようと固く心に誓う。
「どれだけ敵が強くとも皆と一緒なら何とかなるはずです」
 そんな命を勇気づけるようにして芝村・蒼(遺された想いとともに歩む者・b63422)がそう呟く。
 彼もまた、原初の吸血鬼の好きにはさせない、なんとしても見つけ出してケリをつけたいと考えていた。
「ここの敵はジェリ達の担当ー!ばっちり倒してみんなの作戦うまくいきますよーに!」
 織兎・ラジェリ(深遠より来たる・b74133)も、他の区域へと向かった仲間達の作戦成功を祈りつつ、自分達も無事に作戦を成功させようとはりきっているようであった。
 ……そうしてしばらく森をさまよっているうちに、彼等の前に怪しい集団が現れる。
 それは人のようであって人でなく、獣のようであって獣でもなく……そう、彼らこそが獣人、今回能力者達が倒すべき敵なのである。
「天空を自在に駆る翼があるのは少し羨ましい気がするが、それが人に害為すものであるなら叩き落すのみだ」
 そう言い放ちながら緋神・琉紫葵(黒翼咆哮・b42772)は仲間達とともにカードを取り出し、
『イグニッション』
 声と心を一つに合わせてカードを起動させた能力者達は、それぞれの武器を手に、抗体兵器を手にした獣人達に敢然と立ち向かっていくのであった。


 戦闘が開始された。
 能力者8人に対し、獣は6人……数の上では互角のように見えるが、個々の能力は獣達が上回っているため、能力者達が勝利をおさめるためには獣人達以上の連携をとる事が重要となってくる。
「すぺしゃる七星光ーみたいな!」
「私だけじゃちょっと頼りないかもだけど……この、ダブル七星光ならっ!」
 獣人達の手数を少しでも減らすため、ラジェリと命は各々狐の耳としっぽを生やす事によって妖力を制御し、妖狐の守護星とされる7つの星……2人合わせて14の星の輝きを光臨させ、獣人達を照らし……その効果により、5体の配下のうち2体を石化させる事に成功した。
 その間にカインは前衛へと配置につき、琉紫葵、風華の2人は自らの体の中に眠っていた気を爆発的に覚醒させ、それと同時に両者の皮膚に虎の模様が浮かび上がり、髪がぶわっと逆立っていく。
「先手必滅!」
 そして双牙はリーダーに狙いを定めて接近し、まずは右手の日本刀で相手を突き刺し、続け様に長剣を突き刺してそれを同時に引き抜き、レッグギロチンの刃を展開させ、相手の腹部へと蹴りを食らわせてその刃を突き刺し、
「さあ、狩りの時間だね……」
 続く凪は右へ、左へと高速で移動してリーダーを翻弄しつつ彼との距離を詰め、大地を蹴って舞いあがり、空中で三日月の軌道を描いた後急降下し、彼の脳天へとクレセントファングを叩き込み、
「この責め苦に耐えられますか?」
 蒼はリーダーの周りに鉄の処女を召喚して彼をその中へと閉じ込め、更にその内側から針が突き出して彼の体へと突き刺さっていく。
 そうしてリーダーへと集中攻撃を行っていく能力者達であったが、獣人達も手をこまねいてそれを見ているはずもなく……まずはリーダーが双牙へと狙いを定め、彼の腹部目がけて槍を突き出して串刺しにし、更にそれに続いて3体の獣達が次々と剣を振り下ろし……さすがに4体の抗体ゴーストの攻撃に耐えきれるはずもなく、彼はその場に崩れ落ち、気絶してしまった。
 だが能力者達には仲間の身を案じている暇さえなかった。
 少しでも気をそらせば全滅してしまう恐れさえあるのだ。
「どんどんいっちゃうかもー!」
「止め多分だけ、皆の生存率が上がるんだ!このっ、止まれぇっ!」
 ラジェリと命はひたすら幻楼七星光によって敵を照らし続け……更に1体を石化させる事に成功した。
 そして双牙が倒れたため、蒼が代わりに前衛へと配置に着き、
「我が言霊に応じ開け冥府の門……いでよ、メイデン!!」
 琉紫葵は先程の蒼同様、聖葬メイデンによってリーダーを鉄の処女の中へと閉じ込め、内側から突き出す針が突き出す針がグサリグサリと彼の体へと突き刺さり、体力を奪い取っていく。
「ボッコボコに蹴り殺してやるよ……」
 続く凪は殺意を漲らせながらリーダーへと再度迫り、リーダーも応戦しようと槍を突き出すが、彼女は大空高く舞い上がりそれをかわし、空中でくるりと回転しながら三日月の軌道を描き出し……相手の頭頂部へとクレセントファングによる一撃を突き刺した。
「大層な武器をぶら下げた程度で、自分達に勝てると思うな!」
 更にカインが足元から赤き影を伸ばし、影はリーダーへと近づくにつれて徐々に大きな腕の形へと変化していき、その赤き影、カラミティハンドはリーダーの元へと到達した瞬間、彼の体を抉り取るようにして引き裂き、
「貴方がリーダーのようですね覚悟してください!」
 間髪いれず、風華がその小さな拳を強く握りしめ、そこに四神の一つ、青龍の力を宿しながらリーダーの懐へと跳び込む。
 さすがにそれだけ密着されてはリーダーも槍を振りまわせず、風華は彼の腹部にねじ込むようにして龍顎拳を叩き込む。
 ……が、それだけの猛攻を受けてもなおリーダーは倒れる事はなく、今度は蒼へと狙いを定め、彼へと向かい槍を突き出して腹部を貫通させ、更に石化を免れた配下達がそれに続いて彼の体を切り刻み……蒼もまた力尽き、その場に崩れ落ちた。


 次々と仲間達が倒れていく中であっても、ラジェリと命のやる事は変わらなかった。
 少しでも仲間達が楽に戦えるようにするため、彼等は3度目の幻楼七星光を発動する……が、残念ながら今度は誰も石化させる事はできず、失敗に終わってしまう。
「抗体兵器……思った以上に敵が強化されているな」
 予想を上回る敵の強さに対し、琉紫葵も驚きが隠せないようであった。
 とはいえ彼がそれで怯む訳も諦める訳もなく、鉄の処女にリーダーを閉じ込め、リーダーはその中で暴れ出すが鉄の処女はびくともせず、彼はまた突き出す針によって身を貫かれ、
「しぶといね……」
 リーダーが鉄の処女から解放された時、既に凪は宙を舞っており……彼が見上げた瞬間、大空に三日月の軌道が描かれ……直後、片足を突き出しながら凪が物凄い勢いで迫り、彼の顔面へとクレセントファングを炸裂させ、
「これ以上はやらせない!」
 続くカインは足元の影を赤く染め上げ……影は地面を這うようにしながらリーダーへと向かい伸びていき、彼の足元へと到達すると掌の形となって浮かび上がり、爪でひっかくようにして彼の体を深く鋭く引き裂く。
 そして……風華は再び拳に青龍の力を宿し、
「これで……とどめです!」
 深く腰を落とし、リーダーの腹部へと渾身の力を込めた龍顎拳を叩き込み……彼女が拳を引き抜いた瞬間、リーダーはゆっくりと仰向けに転倒し……やがて抗体兵器もろとも消滅していった。
 統率者のいなくなった獣人達は各々が勝手に行動し始め……そこからは一進一退の攻防が繰り広げられる事となった。
 行動可能な2体の獣人達は前衛の3人にそれぞれ襲いかかり、彼等の体を長剣によって切り裂いていく。
「ふんばれー!がんばれー!えいえいおー!」
 そんな彼等の傷を癒すため、ラジェリは古の時代に在った土蜘蛛の魂をいくつもこの地へと呼び寄せ、傷ついた仲間達の武器にそれらを宿らせる事により、彼等の体力を回復させ、これ以上重傷者がでないようサポートし続ける。
「さて、指揮するモノがいなくなった後はどういう行動を見せてくれるんだ?」
 琉紫葵はそう言って冷笑しつつ、配下の獣人達にも聖葬メイデンを使用し……やがてそれを使いつくしてしまうものの、虎紋覚醒と組み合わせる事によって使用回数の上限を超えてそれを発動し続け、
「こっちのコンビネーションが上だって事、思い知らせてやるよ……」
 リーダーがいなくなった獣人達に最早チームワーク等皆無であり、対して能力者達は同じ目標を狙い、1体ずつ確実に仕留める戦法をとっていた。
 凪は琉紫葵が攻撃した目標へと狙いを定めてクレセントファングを叩き込む。
「私はひたすら幻楼七星光を撃ち続けるよ」
 いつ石化が解けるともわからないし、数が減るにこした事はない。
 命は幻楼七星光が尽き果てるまでそれを使用し、
「自分達は負けない!」
 カインも体力がある程度低下すると自らが独自に編み出した狩猟体勢を取る事で体力を回復、更に能力を強化させつつ、ひたすらカラミティハンドを伸ばし続け、獣人達の体を引き裂き続けて行く。
「一気にたたき潰しましょう!」
 同じ前衛の仲間達にそう声をかけつつ、風華はなるべく相手を囲みこむよう位置取りをし、側面や背面などから相手の不意を突くようにして龍顎拳、龍尾脚、龍撃砲を駆使して戦い、ダメージが蓄積してくると虎紋覚醒で自己回復を行う。
 ……そうして1体、また1体と能力者達は獣人達を倒していく。
 多少獣人側からの反撃もあったものの、どうにかそれに耐え……そして、
「こいつで最後だね……」
 凪が本日何度目かわからないクレセントファングを最後の獣人へと仕掛ける。
 相手は石化した状態であり、反撃する力はなく……直撃を食らった瞬間ボロボロと音をたてて崩れ落ち……やがて完全に消滅。
 こうして、残念ながら全員が無事ではすまなかったものの、能力者達は獣人達に勝利を収める事が出来たのであった。


 戦いは能力者達の勝利に終わった。
 とはいえ重傷者が2人いるうえに他の者達も消耗は激しい。
 本来ならば原初の吸血鬼の捜索に向かう手筈となっていが、さすがにこの状態でそれを行うのは危険であろう。
「戻ったほうがよさそうですね」
 重傷となった仲間達を介抱しながら風華が仲間達に帰還を促す。
 捜索はできずとも、本来の役目である獣人達殲滅という任務は果たしているのである。
「……原初は一体何処に……他の人達は上手くいってるでしょうか?」
 カインはそれでもやはり原初達の動向が気がかりであるようだったが、あとは他の区域へと向かった仲間達に任せるしかない。
「この手で見つけ出してやりたかったな……」
 否応なく惨劇を撒き散らす原初の吸血鬼に対し、琉紫葵は激しい憤りを感じているようであった。
「多分、羽衣伝説で有名なぁ『見返り岩』へ向かったと思うだんけどな〜……」
 それを確かめる事ができないのを残念がる凪。
「天女の伝説の縁の地なら強いゴーストとか残留思念があるかもしれないしね」
 逃げるとしたらそこで戦力を増強しようとするのではないかと、命や凪は予想していたようである。
「敷島の滝とか岩とか見てみたかったかも」
 いつも元気なラジェリもがっかりとした様子であったが、こればかりは仕方ない。
 彼等は気を失っている双牙、蒼を抱え、元来た道を引き返していくのであった。


マスター:光輝心 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/05/25
得票数:カッコいい10 
冒険結果:成功!
重傷者:紫月・双牙(光焔真牙・b08033)  芝村・蒼(遺された想いとともに歩む者・b63422) 
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。