赤い髪の滑空者


<オープニング>


「畜生っ……このアタシが……」
 今日子はほぞを噛んだ。
 無敵……不敗……最強……勝つ事はもはや決定事項の出来レース。彼女にとって喧嘩とはそう言うものだった。
 仮に一対多の不利な戦いでさえ、余裕が有った。全力で、必死で戦った記憶など無いほどに。
「どうして……アタシが負ける……なんて」
「ごめんねお嬢ちゃん。アタシの為に……死んで頂戴?」
 透き通るような白い髪と、病的に白い肌。やや肌蹴た胸元には、7の数字。
 両者の間には埋めがたい圧倒的な力量差があり、無傷の相手と満身創痍の自分の姿は、それを顕著に表していた。
 数匹の犬(暗くて良くは見えないが、恐らくそうだろう)が女に従っていたが、それらは傍に控えているばかり。完全なサシの状況は、敗北の言い訳すら許してくれなかった。
「……やれよ……」
 そう言う以外に何が出来ただろうか、白い女は今日子の最後の言葉を聞いて、鎌を一閃させる。
 ――ヒュッ。
 恐怖、悔しさ、怒り……そうした物は不思議と消え失せ、今日子は妙に落ち着いた気分の中で、自分の意識が薄れていくのを感じていた。

「暑い中、良く来てくれたわ。まだ温くなってないと思うから、飲みながら聞いて頂戴」
 柳瀬・莉緒(高校生運命予報士・bn0025)は紙パックのジュースが入ったビニル袋を机の上に置き、説明を始めた。
「ナンバードと呼ばれるリビングデッドについて、話は聞いてる? えぇ、抗体兵器を持つ強力なリビングデッドよ」
 普段は人間とさして変わらない姿を持つナンバードだが、戦闘となれば白い肌に白い髪と言った本来の姿となる。
 彼らは自分が殺すべき能力者の居場所を知る能力があるようだが、それ以外の能力者を感知することは無い様子。
「1人の能力者が命を狙われているの、あなた達の手で助けて上げて頂戴」
 能力者であれ一般人であれ、ゴーストに殺されて良い人間など居る筈もないのだから。

「ナンバードは、能力者――久谷・今日子(くたに・きょうこ)さんを深夜、人気の無い路地裏で襲撃するつもりみたい。幸い、ナンバードより先に久谷さんに接触するチャンスがありそうよ」
 街をひとり歩いている今日子に接触し、一定の信頼関係を築く事が出来れば、共に戦う等、有利な形でナンバードとの戦闘に入る事が出来るかも知れない。
「でもね、久谷さんは自分に因縁を吹っ掛けてくる相手を返り討ちにする為に、街を歩いているの。必ずしも友好的な接触は期待出来ないかも。それに、事情を説明しても、すぐに全て信じて貰えるかどうかは……」
 何しろ初対面の相手だ、言う事を全て鵜呑みにして信じてくれる可能性は低い。
 次に、今日子は自分の強さに絶対の自信を持っており、例えナンバードに狙われている事を信じたとして、独りで戦いたがる可能性もある。
 どの様にして彼女と話し、守るのか、皆のアプローチ次第だろう。

「ナンバードは、鎖鎌を手にした細身の女。犬か狼の様な妖獣が3匹付き従っているわ」
 ナンバードは、20m以内の1人を対象として超締め付けのバッドステータスを与える技と、20m以内の敵全てをなぎ払う大技を持っている。また、構えを取る事で自己回復とガードアップの術も有しているようだ。
「強力な敵だけれど、それでもあなた達なら負ける事は無いはずよ……重要なのは、久谷さんを守りきれるかどうか、ね」
 今日子は人に指図される事を嫌い、また戦いを好む為、安全な場所に下がっていて貰うとか言う事は難しいかも知れない。と莉緒は付け加えた。

「あなた達なら、きっとやってくれると信じているわ。それじゃ、いってらっしゃい!」
 それでも、莉緒は確信めいた口調でそう言い切ると、能力者達を送り出すのだった。

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参加者
立花・是清(漢は拳と背中で語る・b16701)
ヴィントミューレ・シュトゥルム(ジーザスシュラウド・b22548)
ジェニファー・ラングストン(マヨイガローズ・b54437)
四季・紗紅(白虎拳士・b59276)
凪野・幸矢(小学生月のエアライダー・b65427)
阿津沢・季瑠花(夢託されし者・b67844)
春崎・樹(ウィンディーソニック・b75584)
春風・旋風(小さなつむじ風・b79424)
ベート・ジェヴォーダン(名を失いし鬼狼・b80739)




<リプレイ>


 能力者達は、深夜の街を歩んでいた。
(「ナンバードに狙われる人が後を断たないみたいね。全く、根源を叩かないと終わりそうにないわ」)
 彼らに付き従うように歩む一匹の子猫。
 ヴィントミューレ・シュトゥルム(ジーザスシュラウド・b22548)は、最近頻発している「ナンバード事件」の事を考えていた。
 抗体兵器を持ち、完全に正体を隠す能力を持つゴースト。その上、運命の糸で繋がった能力者の居場所を探ることができる。
 ナンバードは、自らの寿命を延ばすためにそうした能力者を殺め続ける、極めて危険な存在だ。
「ナンバード、No7……確かに強敵であることには間違いないね」
 阿津沢・季瑠花(夢託されし者・b67844)。笑顔を絶やさない明るい少女だが、今はさすがに表情を引き締めている。
 ナンバーは次第に減っていき、0になればナンバードは消滅し、逆に能力者を狩ればナンバーは増える。
 そして今回、狙われている能力者は久谷・今日子と言う中学生の少女。
 彼女の命を守り、ナンバーを増やさない為、彼らはここに居るのだ。
 ……が、守られ助けられる側の今日子は、そんな事情は知るよしもない。能力者達が接触しても、素直に助けを乞うかどうかは疑問が残る。
 今回の任務、最大の難関は今日子とのコミュニケートかも知れない。
「天狗になっているようですよね」
 穏やかな物腰にそぐわず、歯に衣着せぬ人物評をする四季・紗紅(白虎拳士・b59276)。
 自由と喧嘩を好み、自分の強さに絶対的な自信を持つ今日子。その表現は適当かも知れない。
「普通の人相手だったら勝って当たり前だよね? そんな当たり前の事も判らないなんて恥ずかしいおねーさんだなぁ」
 隣を歩む春風・旋風(小さなつむじ風・b79424)もまた、痛烈な物言い。
 今日子が一般人と喧嘩をする際に能力を使うことは無かったが、全力を出せば100%勝てると言う余裕が、彼女を不敗たらしめている部分は有るだろう。
「力こそ総て……若い頃は皆そう考えがちだよね。力が伴わないと正義も善行も無力ではあるけど」
 常に命がけの戦いを身近なものとして生きてきた春崎・樹(ウィンディーソニック・b75584)。
 彼は強い力を持ち、それを使うことがどういうことなのか、痛いほど理解していた。
 そんな彼からすれば、今日子は力の使い道を知らない未熟な能力者でしかないが、それをフォローする事もまた、自分の様な年長者の務めと考えている。
「私は銀誓館で、一人で戦い続ける事の限界と、仲間と協力する事、誰かの為に力をつくすことの大切さを知りました」
 凪野・幸矢(小学生月のエアライダー・b65427)は生粋のエアライダー。自由を愛するが、その自由が、無責任や好き勝手とイコールでない事を知っている。
 誰かと協調する事、何かを守るために力を使う事は、ある意味では不自由といえるかも知れない。
 けれど、そうして初めて見える物、得られる物がどれほど多く、そして掛け替えのない物であるか。
 銀誓館の能力者達は、痛いほどそれを実感しているのだ。
(「せめて皆さんの足手まといにならんようにしますかね」)
 一行に付き従う一匹の犬……ではなく狼。それは、今回が初の任務となるベート・ジェヴォーダン(名を失いし鬼狼・b80739)が変身した姿。
 彼女も反骨精神に溢れた少女であり、今日子と似ている部分があるのかも知れない。
 違いを挙げるならば、ベートは助けられた恩に報いる義侠心の持ち主であり、目上の人間や仲間達に対し真心で対応する事を知っている。
 そう言う意味では、ベートの方が大人であると言って良さそうだ。


「さーて久々の仕事だぜ。最近ご無沙汰だったから浦島太郎状態だが……。気合い入れて行こうか」
 その頃、立花・是清(漢は拳と背中で語る・b16701)達は、ナンバード迎撃の為の戦場を探していた。
 卒業生である彼にとって、久しぶりの任務。ナンバードも初めて戦う相手ではあるが、能力者としてすべき事は今も昔も変わらない。
「OGとして見どころのある子は助けるのじゃ」
 同行するジェニファー・ラングストン(マヨイガローズ・b54437)も、周囲をきょろきょろ見回しながら、決意を新たにする。
 彼女もまた学園の卒業生であり、今回ナンバードに命を狙われている今日子を助け、本人が望むなら学園に迎えたいと考えている。
 可愛い後輩になるかも知れない相手の為となれば、戦意も高まろうというもの。
「お、あれなんかどうだい?」
「うむ、見てみるのじゃ」
 是清の指さす先、小さめではあるが公園が見える。遠目に人気は感じられないが、二人は実際に公園内を見回る事にした。
 先刻見つけた公園では数人の若者がたむろしていた為、しっかり見回って確かめる必要があったのだ。


「そこの小さなお嬢さん、子供はもう家に帰る時間ですよ」
「……アタシを子供扱いすんのか」
 紗紅の言葉に対し、赤毛の少女は不快感をあらわにした。
 接触組はついに、今日子と思しき少女との接触に成功していた。
「こんばんは、僕は春崎樹。僕たちは君を守る為に来たんだ」
「……あ?」
 樹は礼儀正しく名乗り、あらましを今日子に告げる。
「アンタら正気か? ってかな、そんな話をいきなり信じろってのかよ」
「どーも、こんなのもいるっすよ」
「っ!? ……そうかよ……アンタらが特別な力を持ってるのは分かった。敵が来るってのも、まぁ事実だとしよう」
 狼変身を解き、壁にもたれつつ声をかけるベート。今日子は一行が能力者である事を一先ず受け入れたようだが……
「だとして、アンタらがその敵とグルじゃない証拠はどこにあるんだ? 会ったばかりで何もかも信じろってのは無理な話だろ」
「それは――」
「仮に全部が全部真実だとしよう。だとしても助けは要らない。アタシ独りでやる。解ったらさっさと帰りな」
 とりつく島も無く、今日子はしっしっと一行を追い払う仕草。
「あれこれと理屈っぽいおねーさんだね。強いのは喧嘩じゃなくて口喧嘩なのかな?」
「っ?!」
 と、挑発的な物言いの旋風。話し合いで埒があかないなら、方法は一つ。
「ボクがおねーさんを倒しても殺さなければ、味方だって信じて貰えるかな?」
「……身の程知らずだな、そんなに怪我したいのかい」
 思惑通り、挑発に乗る今日子。
「せっかくの勝負です、一つ賭をしましょう」
「賭け?」
「賭の内容は『負けたら勝った側の言うことをなんでも聞くこと』……勝つ自信がないのでしたら無しでも構いませんが」
「面白い、やってやるよ!」
 紗紅の提案にも、二つ返事で乗ってきた。
 ――プルルルル。
「はい……うん、会えたよ。公園だね。商店街の中程、左手だね。今から行くよ」
 是清とジェニファーから連絡があり、手頃な戦場を見つけたと言う。
 今日子を連れた一行は、二人の待つ公園へ向かう。

 ――バッ!
「こ、これは……」
「三日月の軌跡を描く蹴り、おねーさんの得意技でしょ? 自分だけの技だとでも思ってた?」
 旋風のクレセントファングを受け、表情を歪める今日子。
 タイマン勝負は、終始旋風が押し気味に展開していた。
「これはどう?」
 ――ガッ!
「ぐうっ!!」
 グラインドアッパーが今日子を捉え、彼方へと吹き飛ばす。
 実力差は確かにある。しかしそれ以上に、常に強敵と命がけの戦いをしてきた旋風との経験値の差は大きかった。
「まだ……本気でいくよ!」
 今日子の足下から強力なエナジーの風が巻き上がり、その身体を包む。
「はあっ!!」
「――っ!」
 繰り出されるクレセントファング。
 旋風は上体を反らし、その直撃を避ける。
「……無敵の風って所かな? それ使った時は必ず勝ってたんでしょ?」
「ぐっ!? ば、ばかな……」
 暴走した風が、今日子自身の体力を削る。これまで破られたことの無い必殺技が不発に終わったことと相俟って、愕然とする今日子。
「行くよ!」
「っ……うわぁぁっ!!」
 旋風のクレセントファングが、正確に今日子を捉え、勝負は決した。


「大丈夫かい?」
「……平気だよ」
 気遣う是清の言葉にも、憮然とした様子で答える今日子。季瑠花によって手当されており、傷は無い。
 けれど、言い訳出来ない状況で敗北した事で、かなりへこんで居るようだ。
「これからもっと強い敵が貴女の命を狙いにやってきます。最大限の支援をするのでどうか一緒に戦わせて下さい」
「……負けたアタシに、嫌だって言う権利は無いんだろ?」
 季瑠花の言葉に、今日子はうつむき加減のままそう返す。
 下手に説得するよりも、先に自分の力を思い知らせると言う手は正解だったかも知れない。
「敵が来ました! 戦闘の用意を!」
 と、幸矢の声が夜の公園に響く。
 真に戦うべき相手が、ついに現れた様だ。

「あら、随分大勢ね? 私の狙いはその赤い髪の子だけ……出来れば邪魔しないで頂きたいのだけれど」
 数匹の犬妖獣を従えて現れた女は、一行を見るなりそう告げる。
「それは出来ぬ相談じゃのう」
 言い放つジェニファー。
「残念、まぁいいわ。皆仲良く死になさい」
 犬たちが身構え、女も見る見るうちに姿を変える。長い黒髪は白髪になり、肌も透き通るような白へ。
 戦いの幕は切って落とされた。
「ヘイヘイ! 生っ白いぜ夏なんだぜ! 一緒に燃えようぜハニー!!」
 俺式メテオブレイカーを掻き鳴らし、常識を打ち壊す堕天使の如きビートを刻む是清。
 圧倒的なサウンドによって、二匹の妖獣が冷静さを失う。
「いい? これが本当に命をかけた戦いなの」
 猫変身を解いたヴィントミューレは、手のひらに雷弾を生じさせ、ナンバード目掛け放つ。
 ――バシィッ!
「っ……へぇ、なかなかやるじゃない?」
 ナンバードから今日子を守りつつ、ゴーストとの戦いがどの様な物かをつぶさに示す狙いだ。
「グルルゥゥ!」
 サタニックビートにより、牙をむいた妖獣が是清へと飛びかかる。
「そうはさせんぞよ!」
 さらなる早さで妖獣の眼前に躍り出たジェニファー。ベリオルズハンマーが火を噴き、妖獣の鼻っ柱に強烈な一撃が見舞われる。
「では、こちらも」
 ――ズンッ!
 練り上げられた紗紅の気が、衝撃波となって地面を走る。
「巻き起これ……導眠符の嵐!」
 さらには、樹によって無数の導眠符が乱舞。
「す、すげぇ……」
 能力者達の戦いぶりに、思わず圧倒される今日子。
 個人の動きもさることながら、彼女を驚嘆させたのは流れるような連携。自分が何をすべきか理解し、その様に動くと言う事。それは、個人の力だけに頼ってきた今日子には、到達しえない次元でもあった。
「……なかなかやるみたいね」
「お相手しましょう! いざ勝負!」
「貴女の相手は私たちがします」
 苦々しげに吐き捨てるナンバードの前に躍り出た幸矢が、弧状の蹴りを放つ。と、同時に、季瑠花の片腕から闘気を具現化したチェーンが伸ばされる。
「久谷さん、援護してもらっていいすか? オレは無力じゃないけど弱いんでね。一人じゃ戦えないんすよ」
「あ、あぁ解った」
 ベートの言葉に、素直に頷く今日子。
 かくて能力者達は、ひとつの集団となった。


「旋風さん、とどめを」「うん!」
 ヴィントミューレの雷弾が直撃するのに合わせ、旋風の脚が犬妖獣の顔面を強かに打つ。
 ゴキリと鈍い音が響き、倒れた妖獣は動かなくなる。
「小賢しいガキ共っ!」
 妖獣達に捨て身の攻撃をさせつつ、自らも鎖鎌を振るうナンバード。
 今日子を諦めるのも、ここで戦って負けるのも、結局は同じ。進むも地獄退くも地獄と言った状況で、腹を据えているのだろう。
「ペットのプードルにしちゃ、ちょいと食欲旺盛過ぎねえかい!? 俺は囓っても固くてうまくないぜ?」
 犬の牙が僅かに是清の腕をかするが、表情を変えること無く軽口をたたき続ける。
「皆を支える。これが今回の僕の戦いだ」
「久谷さん、無理しないでね」「オーケー!」
 それもそのはず、多少の傷は樹と季瑠花によってたちどころに癒やされる。
 強力なバックアップに支えられた能力者達は、常に攻勢に立つことが出来るのだ。
「リラックスぞよ。ここはクールにたたかうのじゃ〜」
「あぁ、大丈夫だよ」
 ジェニファーの言葉に、力強く頷く今日子。
 彼女もまた、戦いの中で連携を取ることを学びつつあった。
「同じイヌ科っすけど、オレの群れじゃないんで……Au revoir」
 ――ゴォッ!
 ベートの巻き起こす上昇気流が、瀕死の妖獣に引導を渡す。
「今日子、手を貸してくれるかい?」「任せな!」
 今日子のクレセントファングに怯む妖獣。間髪入れず、振り上げられた是清のスラッシュギターが、渾身の力を籠めて振り下ろされる。
 ――バキィッ!!
 最後の一匹も完全に葬られ、残るはナンバードただ一人。
「もうお別れの時間だ。花火も夏も終わるから美しい。終わりのない命なんて歪んでるぜ……」
「……必要なの、その小娘の命……私によこせって言ってるのよ!!」
 今日子目掛け、猛然と突進するナンバード。
 ――キィン!!
「その攻撃、やらせませんよ!」
 幸矢の飛翔アームブレードが鎖鎌の刃と交錯し火花を散らす。
「四季さん!」「承知いたしました」
 幸矢がクレセントファングを見舞い、ナンバードの体勢を崩す。と、ほぼ同時に、紗紅の人差し指が彼女の眉間を突く。
「っ……どうして……こんなアァァァァ――!!!」
 断末魔の叫びとともに、ナンバードは崩れ落ちた。
「存在する為に命を奪っていいのは生きてるモノだけっすよ」
 消えゆくナンバードに、ベートはそう告げた。

「こういった敵から世界を護るのが僕らの仕事。君も来てみるかい?」
 戦いが終わり、静寂を取り戻した夜の公園。しばしの沈黙を破って、樹が問いかける。
「一人では限界があります……一緒に戦いませんか」
「えぇ、強くなりたいのでしたら」
 頷き、穏やかに微笑みつつ言う幸矢と紗紅。
「学園にはもっと強い人達がたくさんいるし、敵対組織と大規模な戦争をしたりもするよ。少なくとも戦いに関しては飽きることはないはず……ね、一緒に行こうよ」
 更に言葉を重ねる季瑠花。
「群れるも良しだし、孤独も貫ける、超フリーダムなとこっすよ。あと戦いたい人にもうってつけっす。毎週プールの地下で派手に戦うんすよ」
 そしてベート。
「……そりゃ楽しそうだね、解った。アンタ達に助けられた身だしね……その何とか学園に厄介になろうじゃないか」
 今日子の心は決まっていたのだろう。右手を差し出しながら、そう答える。
「ふっふっふ。毎日喧嘩にあけくれて、廊下に立たされておるのがめにうかぶようじゃの」
「それは御免被りたいね」
「ようこそ、銀誓館へ」
 ジェニファーの言葉に苦笑する今日子の手を取り、歓迎するヴィントミューレ。

 かくして能力者達は、ナンバードに狙われた一人の少女を救う事に成功した。
 そして彼女もまた、学園の能力者として、ゴーストに脅かされる人々を救う力となったのだ。


マスター:小茄 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/07/31
得票数:カッコいい18 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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