ザ・ファイナルマグロマン!


<オープニング>


 万色の稲妻にうたれ妖獣が獣人化した模様!
 奴は同種の妖獣を数体引き連れ移動!
 奴を止めるんだ。
 止めないと大変なことになるぞ。
 だってこいつ……。
「ウ――ウオオオオオオオオオ!!!!」
 どうみても全裸のマグロマンだもんよおおおおおおおおおう!
 
「もう絶対出ないと思ったのに……」
 ちっぱーはなぜか教卓の上でがくっとしていた。両膝と両手を地を突く例のポーズである。
 ……なぜそこでやる。
「えっとね」
 がっくりのポーズのまま一同に振り向くちっぱー。
「妖獣が抗体ゴースト……つまり獣人化したんだよね。それもね、あのね……」
 胸の谷間(あるの?)から合成写真を取り出し、一同にそれを見せた。
 ボディビルダーの首から上がマグロだった。
 というか、黒光りするマッスルの写真に活きのいいマグロをどっせいと乗っけた感じだった。誰だよこんなフォルム考えた奴。
 しかも驚くべきことに、本来股間にあるべき衣類が一切なかった。写真なので星マークがついていたが(何故か乳首にもついていたが)一同はリアルなソレの様子を想像して愕然とした。
 あのですね、一応股間からも子マグロが生えてるらしいですよ。だから大丈夫。マグロだから恥ずかしくないもん!
「まあその、格闘技がメインだよね。部下の妖獣はまあマグロで、3体くらいいるけど……」
 胸の谷間(平面に近い)からもう一枚の合成写真を出した。
 マグロからマッスルの足が生えた何かだった。
 一同愕然。
「とにかくそういうわけだから……な、なんとかなれよ!」
 ちっぱーは、やややけくそ気味にそう叫んだのだった。

マスターからのコメントを見る

参加者
月宮・友梨(スペードの巫医・b00504)
玖堂・統夜(黒の確約者・b05760)
紫月・双牙(光焔真牙・b08033)
黒寄・十夜(漆黒の牙・b42634)
降魔・散人(憑依霊かじきメェ〜〜〜ン・b52388)
詠月・紫苑(月灯の唄・b62805)
柳生・狼華(雪羅・b62835)
セルシア・マレヴァール(深緑の茨纏う幼き魔女・b76661)



<リプレイ>

●THE MAGUROMEN FINAL
 君は、まぐろメェンを知っているか。
 海岸沿いをスプリントダッシュでやってくる地縛霊。
 一体しかいないのに複数形で呼ばれ、これ絶対絵にしたら駄目だよと散々言われたにも関わらず壮絶な褌姿で衆目に晒されてしまったかの変態である。
 それから数回に渡り似たようなゴーストが現れたがその度にフルボッコ。
 完璧に撃破され、もう現れることは無いと目されていた。
 だが……今回も現れてしまったのだ。過去最強のフォームをもって、似たような奴が生まれてしまったのである。
 それが、ファイナルマグロマン。
「またとんでもない獣人が現れ……あ、いや、魚人か?」
 柳生・狼華(雪羅・b62835)はディープワンズも裸足で逃げそうなあのフォルムを思い出して頭を抱えた。
「随分な際物が誕生したもんだ」
 やたら端的な感想を述べる黒寄・十夜(漆黒の牙・b42634)。
 きっと起こるであろうことなので予告しておくが、文中で統夜と十夜が一時的にボディチェンジしたとしてもそれは大宇宙の意思であり決して誤植ではないと思っていただきたい。念のために『とうや』『じゅうや』と打っているので恐らく間違うことは――。
「何故だろうな。今物凄く無駄な弁明がなされてる気がしてならん」
 画面上のルビを適当にいじりながらぼやく終夜……あ、こらやめろ十夜!
「でもさ、思ったんだけど……」
 月宮・友梨(スペードの巫医・b00504)が自分の顔を手でパタパタと仰ぐ。
「部下マグロが網タイツだったら間違いなく吐いてたよね」
「…………ああ」
 各々嫌な想像をしちゃって頭を抱えなおす。
 そんな彼らに、玖堂・統夜(黒の確約者・b05760)は静かに告げた。
「問題ない。魚の変態どもを残らず駆逐するだけのこと……そう、残らずな」
 何かフラグめいた空気を放ちつつ、閉じていた目を開く。
 横で紫月・双牙(光焔真牙・b08033)が沈黙したまま俯いていた。
 細目の奥で何を考えているのかいまいち分からないが、高性能な内心音声化メカをくっつけるとこういうことを言うかもしれない。
 ――まただよ! また生臭いゴーストだよ! そしてマグロだよ! あの屈辱絶対に忘れん! 今こそフラストレーションをぶつけるいい機会! 見ているでゲソこの地球はおっと関係ないものが混ざってるぞっと。
「………………」
 そうした気持ちをおくびにも出さない双牙。
 彼の様子に気づいたわけではないが、セルシア・マレヴァール(深緑の茨纏う幼き魔女・b76661)がやけに唐突に身の上話を始めた。
 何故かって今語っておかないとこれからやることがただの変態行為になってしまうからである。
「私女系家族に育ちましたので、あまり殿方の内側を見る機会が無かったのです。それで……」
「おいちょっと待て余計に立場悪くならないかその話」
「けれどもう十歳。これを期にいろいろ勉強を……」
「やめろ、ちゃんと目的を言え! それだとなんだか如何わしい感じだぞ!」
「はあ、男性の身体をじっくりと見比べるつもりで……」
「うわ畜生泥沼だこいつ!」
 頭を抱える十夜。今日はそういう役回りなのかもしれなかった。
「ふむ…………」
 腕を組む詠月・紫苑(月灯の唄・b62805)。
 彼らは漸く目的の海岸沿いまでやってきた。ひとの気配はない。
「噂には聞いていたが、本当にいたんじゃなまぐろメェンは……」
「別に都市伝説じゃないだろあれ」
「ふむ」
 曖昧に頷く紫苑。そんな時ふと、遠くから近づいてくる何かの声を察知した。
「ウ――ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
 手を手刀の形にして猛スピードで走ってくるマグロマンだった。
 そして当たり前のように全裸だった。とはいえあのー、あれです。股の間はきっと特撮の怪人スーツみたいに平たくなってる筈だって信じてます私。
 獣人だから恥ずかしくないもん。
「「うわあああああああ!!」」
「ちっ近づくでないこの下郎がぁっ!」
「ウオブゥ!?」
 紫苑が咄嗟に蟲の知らせ発動。何処からともなくスイカが飛んできてマグロマンの頭部(マグロ部)に激突した。
 もんどりうって倒れるマグロマン。
「漸く現れたでござるな!」
 さて――そろそろ出してもいい頃かもしれない。
 八人依頼なのにここまで七人しかいなかった理由。そして全員示し合わせたように降魔・散人(憑依霊かじきメェ〜〜〜ン・b52388)の名前を出さなかった理由。っていうかもう称号がネタバレだよね。
「アイルビーバック! かじきメェェェェェェン!!」
 カジキヘッドを被った褌男が出現した。
「近づくでないこの下郎っ!」
「今こそ決ちゃぐほぁ!?」
 紫苑、蟲の知らせ発動。カジキマンはもんどりうって倒れた。

●マグロを人型にしようとした奴は深く反省するべきである
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」
 結局戦いは始まってしまった。
 冷凍マグロを振り上げたマグロマンの一撃を、統夜は鋭い剣捌きで跳ね除けた。更に押し込むようなインパクトで猛毒に陥れる。
 流石に戦闘行為のエキスパートだけあって際物相手でも冷静である。
 そんな彼の後ろで、友梨が演奏を開始した。
 AXシリーズ、ショルダー型シンセサイザー。ギターのように抱え持つタイプのキーボードである。
 友梨は専用インカムのスイッチを入れると、アンチウォーヴォイスの歌唱を開始した。
 その勇姿を、是非プレイングにまんま書かれていた歌詞(検査済)と共にお楽しみいただきたい。
 ……では聞いていただきましょう。月宮友梨で『カジキマグロのテーマ』!
「三枚おろしの寿司ネタにしてやるでござる!」

 荒波の中煌めいて その誇り捨てないで。
 太陽に匂い立つ 君の身体の。
 銀の鱗 固く抑え 刃を当てて捌いてみたい。
 (荒ぶるカジキの型!)
 闇が蠢く街のどこかで 今日も誰かが泣いている。
 釣り上げられることを恐れずに 荒ぶる角を今振り上げて。
 (カジキストランダム!)
 君が背中で語る明日は眩しいから。
 まだ早い夕餉の献立も 悩まず選んで行けるの。
 (アイルビーバック!)

「貴様がいかに抗体化していても拙者の技の前では無力でござゲフゥ!?」
 マグロマンの冷凍マグロフルスイングが炸裂。カジキマンはきりもみ回転して吹っ飛んだ。砂浜に角を突き立てて手足をじたばたさせるカジキマン。
「まあ、一人で相手をしたらそうなるだろうな……」
 さっさと見物モードに映った統夜はクールな顔でそう述べた。
 個人戦闘に極めて適した統夜だから防げていたような所があるのに、本来後方支援型のカジキマンが突っ込んで行ったらまあこうなる。
 でも今はやるしかなかった。
 なぜなら彼は、カジキマンなのだから!
「まだまだ、動くでござる回転動力炉!」
 ジャックポット起動で立ち直ると、カジキマンは電光剣を構えて突撃。
 その様子をちょっと離れた所から双牙は見守っていた。っていうか見物していた。
「大丈夫、カジキ氏がその程度で倒れるわけがありません!」
「然様でござゲフゥ!?」
 きりもみ回転して飛んでいくカジキマン。
 ちなみに今のが二度目の凌駕である。

 カジキマンがいいようにボコられている間、双牙たちは別に遊んでいたわけではない。
 黒影剣を使って部下マグロ三体と渡り合っていたのだった。
「狼華さん、そっちは大丈夫ですか」
「大丈夫だけど」
 部下マグロにフロストファングを叩き込みつつ、狼華はぼやく。
「あの二人、完璧な変態だよね。現行犯逮捕物の変態だよね」
「寧ろ世界結界が楽をしそうですよね」
 こめかみに指を当てる狼華。
 その横で、十夜は部下マグロに黒影剣を入れていた。
「ここから先は通行止めだ。散れ!」
 足の生えたナマモノが飛び掛ってきているのに、割と常識的なセリフで応戦してくれる十夜である。
 カジキマンみたいなのが居るメンバーの中では割と貴重な存在だった。
「あれが本命を抑えている内がチャンスじゃ。雑魚どもはさっさと捌くとしよう……」
 神霊剣でマグロを丁寧に解体していく紫苑。その際ちゃんと足は切り離した。
 セルシアもここぞとばかりに茨の領域。
 相手を捉えて観察していた。
「こんなに固くて太い……試しに触ってみても? まあ、毛は意外と固いのですねっ」
 と言ってセルシアは部下マグロの脚をペチぺチやっていた。
 HAHAHA、何だと思ったんだねジョニー?
「マグロ漁が大変なのが伺えます……」
「それ、本物にはついてないからね」
 狼華のさりげないツッコミ。
 セルシアはこくこく頷いて脳内ノートに記していくのだった。

●安心の被弾率と信頼の凌駕率。そして実績の重傷率。
「フっ、壊れた機械は叩けばなおるでござグハァ!?」
 友梨のテーマソングが間奏に入った頃、カジキマンが本日四度目の撃沈を決めていた。
 口(と思われる場所)と首(と思しき場所)からぼたぼた血を流して立ち上がるカジキマン。
 さすがにこれ以上戦うのは危険だった。
 そんな彼を挟むように、双牙と統夜が左右を固める。
「…………」
「助太刀しますよ、カジキ氏」
「かたじけない。さあ、奇怪な奴を滅すでござる!」
 剣を構えるカジキマン。
 双牙と統夜は黙って剣を抜いた。
「いいでしょう!」
「一瞬で終わらせてやる」
 その途端、二人の間に言い知れぬ連帯感が生まれた。画面上下をカットインが横切るかの如き絶妙な同時行動。
 統夜の剣と双牙のブレードは華麗なX字を描いてカジキマンにとどめを刺した……って。
「ぎゃあああああああああ!!」
「おや、間違えたか……まあいい」
「おのれカジキ氏を盾にするとは卑怯な変態め!」
 崩れ落ちたカジキマンを軽く足蹴にして道を確保してから、二人はマグロマンへととびかかった。

「あれ、確実にトドメ刺してたよな」
「感情活性の枠を超えたスーパーコンビプレイだったね」
 部下マグロの解体を終えた十夜と狼華が各々の感想を漏らしていた。
「ウオオオオオ!!」
 統夜のダークハンドとインパクトを織り交ぜた巧妙な戦い方に押されるマグロマン。砂を巻き上げて彼女達の方へと倒れ込んだ。
 ちゃっかり茨の領域を仕掛けるセルシア。
「なるほど、男性とはこういう……カジキさんに比べてマグロさんは柔らかいんですね。カジキさんの方は剥きとれますけれど……」
 と言ってセルシアはカジキマンの頭部マスクを剥きとっていた。
 HAHAHA、何だと思ったんだいビリー!
「おや、この人は散……」
「おいやめろ!」
 十夜がセルシアを羽交い絞めにする。
「離してくださいっ、私は男性の神秘をっ、カジキさんの中身をっ」
「やめてやれ! そいつの中の人には今回触れるな!」
「残念だけどそのカジキはもう……食用にしか。あ、お寿司食べたくなってきた」
「狼華も乗っかるな!」
 今日は忙しい十夜である。
 すると、茨を引きちぎってマグロマンが復活。彼らへと襲い掛かった。
「甘い……」
 途端、紫苑が蟲の知らせを発動。カジキヘッドの角がマグロマンの頭部(マグロ部)に突き刺さった。
「グアアアアアアアア!!」
「……まさかこれが来るとは」
 自分でやっといてあまりの惨さにドン引きする紫苑。
 まあこういうこともある。
「今だ!」
 十夜はマグロマンが気を取られている隙を狙って黒影剣を叩き込む。
「さっさと片付けようじゃないかっ」
「メガアアアアアアアアア!」
 良い所に攻撃が入ったらしい。
 完全に防御を解いたマグロマンに対し、双牙と狼華が同時に襲い掛かる。
「冷凍マグロになってろー! 大間か三崎に出てろー!」
「生臭いわ無駄にいい身体だわちっぱーより胸あるわ突っ込みどころだらけじゃないですか!」
 フロストファングと断罪ナックルをしこたま食らうマグロマン。
 最後に、紫苑が再び蟲の知らせを発動。
「トドメじゃ……ん?」
 何処からともなく銀誓館の学生である降魔散人が飛んできた。
 あれー今までこの辺にいたのかなー。わっかんないなー。
 白目をむいた散人の頭がマグロマンに直撃。
「ウ、ウオオオオオオオオオオオオ!!」
 マグロマンはそれらしい爆発を起こして消滅したのだった。

●さよならマグロよ永遠に
「セルシアちゃんお寿司食べ行こう。回るやつ」
「今度は食文化の勉強ですね?」
「あんなことの後でよく食べる気になるのぅ……」
 戦闘が終わり、狼華やセルシア、紫苑達は雑談を交わしながら海岸を後にしていた。
「…………」
「…………」
 沈黙を保ったままでいる統夜と双牙。
 そんな二人の気持ちを代弁するかの如く、友梨と十夜は空を見上げた。
「さらばマグロ。次は普通のマグロとして生まれて来いよ」
「多分無理だろうけど」
 そして、ふと友梨は思ったことを口にした。
「臨海学校、近いね」
「…………」
「また第二第三の」
「おいやめろ!」
「本当に出たらどうするんです!」
 十夜とはじめとして双牙たちが三人がかりで友梨の口を抑えにかかった。
 そうこうしながら、彼らは日常へと帰って行く。
 日常の中に兵器は必要ない。故に置いていくのだ。戦闘の高揚も、死の危機も。そして……。

 ――ザザーン。
 ――ザザザーン。
 カジキヘッドの褌男が波間に揺れていた。
 それは徐々に遠ざかり、すぐに見えなくなったと言う。


マスター:空白革命 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/07/26
得票数:笑える28 
冒険結果:成功!
重傷者:降魔・散人(憑依霊かじきメェ〜〜〜ン・b52388) 
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。