≪CANDY@BOX≫第一回飴箱杯、ドリームタッグマッチ!


<オープニング>


「あれ、ここ真っ暗じゃない?」
「ユーヘイちょっとそれとって」
「わ、どこ触ってるんですか!」
「いや俺じゃないマジで俺じゃない」
「オッスオラ御凛!」
「見えないからって適当言うな!」
「ねえ、僕タッグマッチの試合があるって聞いてきたんだけど」
「はいはい。じゃあそろそろ灯り付けますからね」
 
 広大な空間であった。
 岩でできた固い地面と、壁も天井もない真っ暗な空間。その中にスポットライトらしき光が無数に広がっていた。
 床はかなり広く、直線距離で80m以上はあったが、どうやら中心で交わる十字型になっているようだ。
 さらに言えば淵にフェンスや手摺は無く、場外に出たが最後どこまでも落下して行きそうな仄暗さがある。
 そんな空間で、幽兵と瑞貴は片足ずつを紐で結ばれていた。
「って何だコレエエエエエ!」
「あれ、おっかしいなあ。足結ぶなんて注文つけてなかったんだけどな」
 三樹は引っ張られ過ぎてスっ転んだ御凛の脇で、ぽりぽりと頭を掻いたのだった。
 思い起こせば数分前。
 貰ってきたティンカーベルの粉でもってタッグマッチをやろうではないかと言った感じの話をしたのだった。
 チームも決めて、フィールドも設定して、いざ入ってみたらこんな状態になっていた。
「まあやっちまったからにはしょうがない」
「そうだな。要は負けなければいいだけのこと」
 マッキと紗雪が同時に武器を構える。
「万葉さん大丈夫です?」
「ええ、まあなんとか」
 歌戀と万葉が軽く足踏みしながら具合を確かめる。
 そして、その場に集まった八人は互いをじっと睨み合った。
 第一回飴箱杯、ドリームタッグマッチが……今開幕する!

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参加者
小鳥遊・歌戀(恋色魔王・b07854)
望月・三樹(ベナルカントス・b22354)
花屋敷・幽兵(軸のブレは波動・b32720)
犬塚・沙雪(通りすがりの正義の味方・b38003)
真神・瑞貴(氷の貴公子・b45562)
烏頭森・万葉(億千万の棘茨荊・b60331)
護宮・マッキ(輝速アレグロコンブリオ・b71641)
木島・御凛(ハイメガキャノン・b78807)



<リプレイ>

●対決と見てよろしいですね? 飴箱ファイト、レディ――!
「うおおおおお歌戀! 君だけは私が狩る!」
「ちょっと待って、早いっ」
 花屋敷・幽兵(軸のブレは波動・b32720)と真神・瑞貴(氷の貴公子・b45562)が開幕ダッシュ。クロスポイントを曲がって歌戀たちの待つ西エリアへと突入した。
 そこまで急ぐつもりのなかった瑞貴が軽くつんのめる。
「瑞貴は万葉よろしく。負けたら彼女に嘘を吹き込む!」
「信じるとは思えないんだけど」
「くっそ、空気を読まないレベルのクールさだなくっそ!」
 などと言いつつ戦闘準備。
「じゃあ実の父親が瑞貴だって言っとくわ」
「ほんとにやめて」
「だったら死ぬ気で勝て。勝って皆にメイド服でご奉仕をさせる!」

 一方、こちらへ爆走する幽兵達を横目に見た小鳥遊・歌戀(恋色魔王・b07854)と烏頭森・万葉(億千万の棘茨荊・b60331)。
「あらあら、真っ先に狙いに来ましたわね」
「優雅に悲鳴でも聞いていようと思ったのですが」
 ティーカップをことりと置く歌戀。
 マドレーヌをまぐっと食べて口をナプキンで拭う万葉。
 何故かと言うかあろうことか、二人はティーセットをイスとテーブル付きで用意して優雅に待ち構えていたのだった。
「片付ける時間あるかしら」
「さあ、どうでしょう」
 互いに微笑みあう二人。
 そして同時に立ち上がる。
「では万葉さん」
「はい、歌戀さん」
 来たる敵に流し目を送り、揃えて言った。
「「合わせていきましょう」」

 そしてこちらは望月・三樹(ベナルカントス・b22354)と木島・御凛(ハイメガキャノン・b78807)。
「当然譲るつもりはありませんが、勝ちに行きましょう御凛さん」
「どんな結果になっても不思議じゃないわね。三樹さん頑張ろうね」
 クロスポイントを目指して悠然と歩きながら囁き合う二人。
 虎紋覚醒発動。
 ラジカルフォーミュラ発動。
 乙女が二人、暴力を手に悠然と歩む。
 御凛は底知れない笑みを浮かべて言った。
「とりあえず、私の名前を語った代償……その身に刻んでもらうわよ!」

 さて、最後に紹介するのは犬塚・沙雪(通りすがりの正義の味方・b38003)と護宮・マッキ(輝速アレグロコンブリオ・b71641)。
「飴箱のメンツで力比べか。いいね、燃える!」
「能力値はほぼ一緒。こんなの、意思の強い方が勝つに決まってるじゃん。気合入れていくぞ!」
 二人は歩調を合わせてステージ上を駆けて行く。
 目指すはクロスポイント。恐らく最初に激突するであろう三樹御凛ペアへの戦法を吟味しながら、二人は手になじんだ武器を構えた。
「戦場では性別も何も関係ない……強い方が勝つ」

 第一回飴箱杯、ドリームタッグマッチ。
 最初の戦闘が今、行われようとしていた。

●バトルスカイスクレイパー
 優雅に椅子を戻して、歌戀と万葉は斜め上を見上げる。
 そこには、長い助走をつけて同時に跳躍した幽兵と瑞貴の姿があった。
 幽兵は鬼棍棒を両手で振り上げる。武器を中心に燃え盛る炎。
「一撃で決める。気魄と神秘、どちらが上か思い知るがいい!」
「おとこらしいですわね」
「そして看病されるがいいハアハア!」
「おことわりですわね」
 九尾扇を重ねて掲げる歌戀。
 そこへ強烈な紅蓮撃が叩き込まれた。
「歌戀の気魄ガード性能は精々百か二百、紅蓮撃のフルパワーには……何っ!?」
 まさかの300ガードを成功させる歌戀。幽兵は身をひるがえして距離をとった。
「やばい、二重強化してるぞ!」
「あのコンビの時点で分かってたよ」
 瑞貴は冷静にさよならの指先の構えを取ると、結晶輪と共に万葉へと繰り出した。
「容赦はしないからね。近接からの攻撃は対処できるかな?」
「常に勢いで結社選びをしてきた私に、近接への切り替えができないとでも?」
「それは知らないけど」
 万葉は護符を片手で握ると、瞬間的に非物質化させた。
「出でよ致命の凶刃。汝の名は――ダーインスレイヴ!」
 氷結した腕と非物質の刃が激突。
 互いに魔氷とアンチヒールを受けて弾き合う。
 両者回転。軸足を変えて再び武器を叩きつけ合う。
「冷たいのは一瞬だからね」
「手加減無用。切り捨て御免です!」
 激突、反発。今度は上半身を逸らすだけに留めた万葉が再びの神霊剣を構える。
 対して、衝撃を逃がそうと派手に態勢を変えてしまった瑞貴は天妖九尾穿を緊急発射。
 万葉はそれを半身でかわす。頭上をかすめて言った尾槍が帽子を跳ね飛ばした。
「くっ!」
「ちょっと痛いですけど、我慢してね。瑞貴さん♪」
 万葉の神霊剣が炸裂した!
 幽兵の頭に。
「……あ」
「ぎゃあああああああ!」
 盛大に血を吹きだす幽兵。
「なぜか攻撃がこちら側に。これが幽兵さんの存在力!」
「ああ、不安だった理由これか」
 これは負けたなって目で幽兵を見やる瑞貴。
 歌戀がすかさず強烈なさよならの指先を叩き込む。
「よく頑張りましてよ。ですが、魔王の力はそれ以上です」
「ぐあああああ!」
 クロスポイント側へとごろごろ転がって行く幽兵。
 無理に引っ張るのも難なので瑞貴も一緒に後退する。
「幽兵さん、大丈夫?」
「リア充には分からないさ、この痛み」
「そういうのいいから」
 口端の血を拭う幽兵。
「だが、とうとうコイツを使わざるをえないようだ……使いたくは無かったが、致し方なし! ここなら全員巻き込めるしな!」
「何を……は、まさか!?」
「もう遅い!」
 驚きに目を開く歌戀。
 幽兵はそれを無視して跳躍。両腕両足を目いっぱいに広げて叫んだ。
「粉・塵・爆・発!!」
「「わあああああああ……あ?」」
 ゆうへいのこうげき。
 ぜんいんにぜろのだめーじ!
 ゆうへいはぜつぼうした!
「ちょっとどいてて下さいね」
 三樹の震脚が叩き込まれる。
 更に、御凛のデモンストランダムが顔面をとらえた。
「その顔面をぶっ飛ばす!」
「目がー!」
 二人の連携プレイで場外に飛び出す幽兵。瑞貴もそれに引っ張られて一緒に転げ落ちる。
「そんな馬鹿な、この俺があああああ!」
「これが運命化……皆容赦ないな」
 奈落の底へと落ちていく二人の悲鳴。
 それを聞きながら、三樹と御凛は振り返った。
「さて、邪魔者も居なくなったことですし……」
「やりますか」
 そこには、沙雪とマッキが立っていた。

 慎重に相手へ接近する三樹と御凛。
 それに対し、マッキの取った行動は突然の幻楼七星光だった。
「おまえら固まってろ!」
「うっ!?」
 正面から光を浴びた御凛がたちまち石化する。
 顔を引きつらせる三樹。
「しまった!」
「ふ、凌駕できると思うなよ!」
 HP500固定のこのゲーム。一発の破壊力よりも実は凌駕率がものを言う。
 所詮は一発か二発でHPは尽きるのだ。役五割の凌駕率でどれだけ当たりを引き続けられるか。そして、どれだけ攻撃を当て、相手のスロットを回し続けられるかの勝負である。ある意味スロットギャンブルに近い。
 だがそんな勝負も、石化させられては全てが無に還る。凌駕率ゼロ割。防御不能。
 絶体絶命である!
 沙雪がブレードを展開して迫る。
「幽兵たちをボコしたかったけど……とにかく勝てば官軍ってことで!」
 悪滅スピナーを繰り出し、三樹と御凛へ同時に襲い掛かる。
 間の悪いことに三樹が御凛より一歩前につんのめってしまっていたのだ。
「430プラス追撃。一撃でサクサクッと行くぜ!」
「そうは――いきますかっ!」
 三樹は咄嗟に屈んで、あえて御凛像を足払い。思いっきり顔面を地にぶつける代わりに沙雪のスピナーを回避する。
 しかし自分へ迫るブレードまでは避けきれない。三樹は独自改良した術手袋を翳してブレードを受け止めた。
 飛び散る紫電。
 飛び散る火花。
 掌をズタズタにする代わりに、三樹はなんとか窮地を免れた。
 が、窮地の後にはさらに窮地。
 マッキが天妖九尾穿を放たんと尻尾をにょろりと生やしていた。
「ごめんな、ここは負けられない!」
 リタイアを覚悟して歯を食いしばる三樹。
 が、その時。
「させるかっ!」
 石化を自力解除した御凛がマッキへと掴みかかった。
 凌駕よりよっぽど低い確率勝負に勝ったのである。
 彼女の体当たりにより押し倒されるマッキ。
 が、既に尻尾は出ている。
 九本の尾槍が三樹へと殺到する。
「追撃、回れえぇ!」
「く、ううううううううう!!」
 正直ガードしても耐えきれるような体力ではない。
 しかしガードせざるを得ない。
 凌駕できる保証など、少しもないのだ!
 かろうじて追撃は回らなかったものの、一発でも相当な一撃が叩き込まれる。
 そして三樹は……!
「あ、あれ?」
 凌駕はしない。しかしHPが尽きても居なかった。
 マッキと沙雪が顔を見合わせる。
「まさか……」
 マッキをマウントしていた御凛が片手を上げる。パチリと紫電が走った。
 先刻の体当たりでマッキの武器性能が封じられていたのである。
「ラッキーすぎるだろ!」
「勝てば官軍!」
 三樹が沙雪に白虎絶命拳を叩き込む。
 御凛程の運が無かったのだろう。沙雪はその場に崩れ落ち、ステージから落下して行った。
「そんなあああああ!」
「護宮は何度でも蘇る。ふはははははは!」
 奈落の底へと落ちていく二人。
 もしかして落ちる人は悪役みたいなセリフを言う決まりでもあるのだろうか。
 そんなことを考えつつ、二人はゆっくりと後ろを見た。
 依頼メンバーが決定してから誰もが予想した女子タッグ頂上対決が……今、始まろうとしている。

●ご都合主義だと思うやつは前へ出ろ。キスしてやるから!
 四人の少女は、クロスポイントへゆっくりと歩いて行った。
 一歩一歩に力があるかの如く。
 丁寧に、そして強かに。
 四人が20m射程範囲内に入った時には、傷ついていた身体は最高の状態まで回復していた。
 反面、回復アビリティはもう残っていない。
「さて、ここまで来ると火力より意地の勝負になるかな」
「折角の機会だし。歌戀さん、本気で行くわよ!」
 三樹と御凛がダッシュの構えをとる。
「三樹さんと刃を交えるのは心苦しいのですが、戦いですものね」
「負けた人にはロシアンマドレーヌをプレゼンツですよ。ふふ……」
 優雅に両手を広げて見せる歌戀と万葉。
 そして、決戦が始まった。
「出でよ我が兵団。どっからでも来るがいいですよ!」
「おっすおらみりん!」
 歌戀と万葉は片手を繋ぎ、幻影兵団による射程強化状態で迎え撃つ。
 近接では届かない20m先へと、二人の分身が手を繋いだまま突撃する。
「突っ切りますよ!」
「了解!」
 遠隔さよならの指先、遠隔神霊剣。
 その二発をいっぺに食らって耐えられる筈がない。
 ならば運に任せるしかないのだ。
 三樹が前に出て両腕をクロス。
 二人の分身が握り合わせた手より強烈な氷の刃が生まれ三樹の胸に突き刺さる。
 一瞬でゼロに還る体力。
 しかし、三樹は足を突き立てた。
 よろめきそうになる上半身を御凛が掴んで支える。
 そして、二人同時に地を蹴った。
 滑るような突撃。
 白虎絶命拳とデモンストランダムが、歌戀と万葉それぞれへと襲い掛かった。
 歌戀の体力が一瞬で消失。仰向けに倒れそうになる所をギリギリで踏みとどまって立ち直った。
 笑う万葉。
「なんだかわくわくする時間ですよ」
「ええ万葉さん。私たちが勝者よ」
「とっちめましょうね」
 手を離し、それぞれ反対側に回転する歌戀と万葉。
「「完膚なきまでに!」」
 三樹と御凛にそれぞれ氷と刃が叩き込まれた。
 ギリギリで屈んで交わす三樹。しかし御凛の側頭部にさよならの指先がクリティカルヒット。ありえない衝撃が身体に走り、ステージから落下しそうになる。
 咄嗟に腕を掴み取る三樹。御凛は分の悪い確立勝負に勝って意識を取り戻す。
 三樹は踏みとどまると同時に震脚を繰り出した。
 万葉にヒット。彼女は背後のテーブルをティーセットごと薙ぎ倒して倒れる。一緒になって転倒する歌戀。
「万葉さん!?」
「……生きてます!」
 頭から血を流して立ち上がる万葉。彼女もまた五割の賭けに勝利した。
 もうここからは、この五割がどこまで当たるかの勝負である。
 腕を引き絞る三樹と御凛。
 歌戀と万葉は素早く後転。低い姿勢からパンチを繰り出す。
 四人の拳が激突。衝撃波が走り、四人の身体は5m近い距離を弾き合った。
 四者ともHPを一気に失うが、歯を食いしばって凌駕。
 そして、全く同時に跳躍した。
 三樹の白虎絶命拳。
 御凛のデモンストランダム。
 歌戀のさよならの指先。
 万葉の神霊剣。
 今や全てが全て一撃必殺。
 それが、両者へと次々に叩き込まれた。
 空中で意識を失う四人。
 凌駕判定――開始!
 行方が分からなくなったのでマジでダイスを転がします!

 望月三樹、凌駕失敗!
 鳥頭森万葉、凌駕失敗!
 木鳥御凛、凌駕成功!
 小鳥遊歌戀、凌駕失敗!
 三樹御凛チーム、判定勝利!

「まさか、魔王の力が!」
「そんな、神秘の力が!」
「「破れるなんてええええええ!!」」
 やはり悪役みたいな断末魔を上げてステージから落下して行く歌戀万葉ペア。
 ぱっと明るくなったステージの中央で、ぐったりした三樹と御凛がハイタッチした。
「お疲れ様、大健闘だったわね」
「御凛さんもお疲れ様。非情に頼もしかったです。運が」
 と、そこで二人はあることに気が付いた。
「所で、負けた人への罰ゲームって決めてませんでしたね」
「そう言えば……」
 上を向いて考える二人。
「じゃあ」
「ここはひとつ」
 そして二人は、びしりとカメラに指を突きつけた。
「「続きは結社で!」」

 かくして第一回飴箱杯、ドリームタッグマッチは終了した。
 各人の健闘を称え、惜しみない拍手を送りたい。
 それではまた再び合まみえるその日まで。
 さようなら!


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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/08/26
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冒険結果:成功!
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