クレームは俺に任せろ!


<オープニング>


●都内某所
 依頼者に代わって企業にクレームを出す代行業があった。
 彼らは企業に対して脅しにも近いクレームを出して大金をせしめていたらしく、何か問題が起こすたび、『わ、私は頼まれただけなんですぅ。ほ、ほら、これが証拠のテープです』と言って、すべての責任を依頼主に押し付けていたようである。
 だが、あまりにも悪質だったせいで色々と問題になり、逃げるような形で事務所が閉鎖されてしまったようだ。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、クレーム代行業者が借りていたビルの一室。
 この場所を借りていた業者は、クレーム代行業をやっていたんだけど、企業から金をせしめとるためなら手段を選ばなかったようなの。
 それが原因で常にトラブルが絶えなかったらしく、警察のお世話になった事もあるようね。
 リビングデッドと化したのは、この業者とトラブルになった人達で、『俺はここまでやれとは言っていない』、『なんでお前達にまで脅されなきゃならねーんだ』、『ここまでやったら恐喝だろ!』といった類の揉め事を解決せずに、あの世に逝っちゃったみたい。
 だからストレスが半端じゃなく溜まっているらしく、八つ当たりの相手を探しているようなの。
 それと室内の一部が特殊空間と化していて、ガラの悪いオッサンが地縛霊と化しているわ。
 地縛霊は傷つくたびにあれこれと難癖をつけてくるらしく、請求額もどんどん上がっていくみたい。
 しかも、請求書が体に纏わりついて、息をする事さえ難しくなるから、くれぐれも気を付けてね。

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参加者
天乃宮・頻(紅雪白兎・b30003)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
シュベルト・オセ(アイゼルンゲシェプフ・b47155)
伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)
紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)
ユラ・セレスト(パラヤーナ・b58838)
小鳥遊・陽太(おひさまといっしょ・b66965)
ウルリケ・シュヴァルツ(蝙蝠円舞曲・b69278)
神楽・美沙(妖雪の黒瑪瑙・b76178)
比良坂・夜魅(死神代行・b78427)
斉藤・縁(多分浪花の風水少女・b81259)
紫上・結衣(高校生書道使い・b81724)



<リプレイ>

●様々なクレーム
「以前、レンタルビデオ屋でDVDを借りたらディスクが入ってなくて、店に文句を言いに行ったんだけど、誰も僕に気付かないから、この業者に電話してクレーム付けてもらおうと思ったのに、こいつら『無言電話か? しょうもないイタズラしやがって』とか言って電話を切りやがった! ……ふざけんな! いくら影が薄くて気付かれない事の多い僕でも、電話の声までスルーされるなんて、さすがに我慢の限界を超えてるっつーの! ゴーストどもだって「声は聞こえるけど姿は見えない」って、声を聞き逃してなかったのに……。絶対に許さないぞ……、ムシケラども。じわじわとなぶり殺しにしてくれるわ」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)がゴーストの確認された場所に向かう。
 ゴーストが確認されたのは、クレーム代行業者が借りていた廃ビル。
「依頼者に代わってクレームを出す業者……って、単なる恐喝やんけ。アコギな商売っちゅうのは、いつの時代もうまくいかへん。そんな成れの果てやな」
 妙にしみじみとした様子で、斉藤・縁(多分浪花の風水少女・b81259)が呟いた。
「それ以前にクレームって、自分でするものではないかしら? 他人に頼むなんて、理解できません。リビングデッドの人達は、ちょっと考えが間違っているわね。請負業自体は恐喝の犯罪組織みたいなものかしら?」
 納得がいかない様子で首を傾げ、ウルリケ・シュヴァルツ(蝙蝠円舞曲・b69278)が疑問を口にする。
「クレームって、権利を主張するって事なんだよね。正しい権利を主張するなら自分でするべき事で、第三者に任せておけない事だと思うの」
 クレームに関して正しい意味を調べ、天乃宮・頻(紅雪白兎・b30003)が答えを返す。
「……まったく、クレームくらいてめーでつけやがれっつーんですよ。てめえでつける事も出来ないなら、つけるなっつーんですよ、ボケが! 大体、本人に代わって企業にクレームをつけて、大金をせしめるなんてただの脅迫ですよ」
 不機嫌な表情を浮かべ、伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)が吐き捨てた。
「まあ結局、このクレーム代行業者の行為は脅迫ですから、逃げに走るのは当然の事ですね。依頼者からせしめ、企業からもせしめ、都合が悪くなると依頼者の責任を押し付ける。自業自得としかいえませんね」
 心の底から呆れた様子で、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)がやれやれと首を振る。
「何でもかんでも業者に頼ろうとしなければ、このような事件も起こらなかったはずじゃがな。それにしても、この業者もいい面の皮じゃのぅ。依頼者を売ってでも言い逃れしようとは、随分と意地汚い商売もあったものじゃ。とかく時間のない現代人とはいえ、このような商売が成り立つこと自体が驚きなのじゃがな。ほとんどヤクザというやり口。成立する方がどうかしている。ま、どっちもどっちじゃな」
 げんなりとした表情を浮かべ、神楽・美沙(妖雪の黒瑪瑙・b76178)がバッサリと斬り捨てた。
「そんな事より、美沙ぁ。先日は酷い目にあったぞ」
 他の依頼で受けた屈辱を恨みがましく言いながら、シュベルト・オセ(アイゼルンゲシェプフ・b47155)が迫っていく。
 だが、美沙から写真集の話を聞き、何だかんだ言いつつも、ものの見事に誘惑される。
「……とは言え、よく世間で聞く話じゃのう。脅しにも近いクレームで大金をせしめるとかすぐに色々と問題になって閉鎖されてしまうであろう事など、小学生の私でも分かる事なのじゃ。企業から金をせしめとるためなら手段を選ばなかったのじゃな、確か。その時点でもうどう考えても犯罪じゃな、んむ」
 脱線した話を戻しながら、ユラ・セレスト(パラヤーナ・b58838)が納得した様子で頷いた。
「でも、クレーム対応って、大変なんですよね。なんかめちゃくちゃ言ってきますし、よくわからないいちゃもんをつけてきますし、無理だとおもって断ったら、なんか逆切れされちゃいますし、ごね得と思っているのか、たいした事でもないのに、2時間とか粘ったりとかするんですよね」
 クレームと言う言葉に過剰反応し、小鳥遊・陽太(おひさまといっしょ・b66965)が愚痴をこぼす。
 何か過去に似たような経験があるのか、どんよりとした空気まで漂っている。
「だからと言って、人の弱みに付け込み、金銭を脅し取ろうなどと、人として最低な行為です。死しても、己が態度を改めぬのならば、私達で彼に引導を渡してあげましょう!」
 ゴーストが確認された廃ビルに辿り着き、紫上・結衣(高校生書道使い・b81724)が歩き出す。
 それと同時にリビングデッド達が現れ、『ようやく現れたか、詐欺野郎! ここで会ったが100年目! 絶対に逃がさねえからな!』と迫ってきた。
「あらあら……、とんだ悪質業者に絡まれたものね。そのストレスで死んでしまうなんて可哀そう……。しかも、死にきれないなんてね。なら私があの世に送ってあげるわ!」
 同情した様子で視線を送り、比良坂・夜魅(死神代行・b78427)がイグニッションをする。
 だが、リビングデッド達は完全に夜魅達を悪徳業者の一味だと思い込んでおり、『誤魔化すのもいい加減にしろ!』と叫んで襲い掛かってきた。

●クレーマークレーマー
「……まったく、自分達の事は棚に上げて、好き放題に言っておるの。業者をよく調べもせず、任せきりにした報いじゃろうが……。自身にも非があった事を自覚せい」
 リビングデッド達を叱りつけ、美沙が氷雪地獄を発動させる。
 その一撃を食らってリビングデッド達が『寒い』、『冷房が効きすぎだ』、『何とかしろ』と文句を言った。
「なんだか大変そうですけど、ひなもやつあたりならまかせろー、バリバリなのです!」
 えっへんと胸を張りながら、陽太がブラックヒストリーを放つ。
 次の瞬間、周囲に原稿用紙が飛んでいき、リビングデッド達が『……って、おい! まずは謝れよ!』と叫び声を響かせる。
「死人をあの世に送るのが死神の役目。あなた達の魂は、私が刈り取ってあげるわ。大人しく成仏なさい!」
 仲間達と足並みを揃え、夜魅が旋剣の構えを使う。
 だが、リビングデッド達は『いや、謝るのが先だろ! 焼き土下座だ、こら』と無茶な事を言い始めた。
「ちょっとくらい存在感があるからって、いい気になってんじゃねーぞ、ボケナスが!」
 ムッとした表情を浮かべ、發音がプロトフォーミュラを発動させた。
 しかし、リビングデッド達は、華麗にスルー。
 まるで空気のような扱いになっている。
「……スマンな、貴様らに恨みは無いのだが、先日のゴースト退治で受けたストレスのはけ口&美沙からの写真集の為、散ってもらう!」
 両目をカッと見開き、シュベルトがプロトフォーミュラを使う。
 そのせいでリビングデッド達がシュベルトに注目し、余計に發音の存在感が無くなった。
「そもそも、クレームなぞ自分で言えばよい。業者が悪質であったのは事実としても、そなたらの怠慢が招いた結果でもあろう」
 リビングデッド達に冷たい視線を送り、美沙が天妖九尾穿で攻撃をする。
 だが、リビングデッド達は『そんな事をしたら、仕返しされるかも知れないだろうが!』とブチ切れた。
「そうとうストレスが溜まっていたんでしょうね。ひなもわかりますよー! ええ、とっても」
 リビングデッド達の気持ちを察しつつ、陽太が再びブラックヒストリー放つ。
 そのため、リビングデッド達が血まみれの状態で、『こういうのがストレスになるんだよ』と叫ぶ。
「そこまで言えるんだったら、最初から人任せなんかにしないで、自分でやるべきなのー!」
 リビングデッド達に説教しながら、頻が光の槍を撃ち込んだ。
 それに合わせて夜魅が悪滅スピナーを仕掛け、リビングデッド達を倒していく。
「これは僕を無視したクレームだ。影の薄い子の苦しみを骨の髄まで分からせてやる!」
 半ば八つ当たり気味に、發音がプロトヴァイパーで攻撃をする。
 そのため、リビングデッド達が何やら文句を言い始めたが、いまさら気づいたところで後の祭りであった。
「あなたの魂、刈り取ってあげるわ!」
 一気に間合いを詰めながら、夜魅が黒影剣を叩き込む。
 その一撃を食らってリビングデッドが『痛ぇぞ、おい!』と愚痴をこぼし、その場に倒れて動かなくなった。
「文句を付けるより、注意を進言すれば良い方に進みそうなのにね」
 リビングデッド達を全滅させ、頻が寂しそうにする。
 本来、彼らも被害者だったはずだが、いつの間にか加害者になっていたようだ。
「やれやれ、人に任せ、責任を負わずに済むのであれば、そんなに楽な道はなかろうよ。しかし、そのような道には落とし穴があるは至極当然。無責任にことに当たれば、無責任な結果が待っていよう」
 はぁっと溜息をつきながら、美沙が踵を返して帰路につこうとする。
 その視線の先には、シュベルトが行く手を阻むようにして立っていた。
「……終わったか。さて、美沙。先の件だが?」
 とても冷静な態度で美沙に語りかけ、シュベルトがしっかりと仕事をこなしたか判定を要求する。
 その言葉を聞いて美沙が小さくコホンと咳をした後、シュベルトに写真を手渡した。
「……って、コレ! ……美沙の弟じゃねーかぁぁぁぁぁ!!!!」
 激しくショックを受けながら、シュベルトがその場に崩れ落ちる。
 あまりにも予想外のモノをガン見してしまったため、色々な意味でショックが大きいようだ。

●恐喝ヤクザ
「あー、明らかにヤクザな見かけのオッサンが……。その請求、間違いなく詐欺やろ? つうか、絶対支払わへんで〜!」
 特殊空間に留まる地縛霊にあれこれと難癖をつけられ、縁が不自然なお金の請求に苦しみつつ、石兵気脈砕きを仕掛ける。
 その一撃を食らって地縛霊が『あーあ、アンタのせいで一張羅が台無しだ。一体、どう責任を取ってくれるんだ?』と迫ってきた。
「あなたがいかに難癖を付けてこようと、私にやましいところは、何一つとしてありません! 架空請求したいのならすればいい。私は真っ向から受けて立ちましょう!」
 不機嫌な表情を浮かべ、結衣がクルセイドモードを使う。
 だが、地縛霊は『悪いが……、架空じゃねえよ。……正当な請求だ!』と叫んで請求書を飛ばしてきた。
「こ、これは……、シャレになりませんね」
 張りついた請求書を剥がしつつ、洋角が呪いの魔眼を炸裂させる。
 それでも、地縛霊は『困るなあ。こんな事をしてもらっては……』と叫び、次々と請求書を飛ばしてきた。
「難癖をつけられても、小学生は難しい事は分からぬのじゃ」
 満面の笑みを浮かべながら、ユラがスピードスケッチを放つ。
 その間も請求書がユラの身体に纏わりつき、徐々に動きを封じ込めていく。
「田吾作先輩がいなくてつまらないので、チンタラ遊ばずにさっさとぶっ倒すです」
 ユラを守るようにして陣取り、りおんが雪だるまアーマーを身に纏う。
 その隙にユラが請求書を引き離し、それを眺めて『迷惑料1万円……?』と呟いた。
「貴き血よ、我を護れ」
 請求書を避けながら、ウルリケがノーブルブラッドを発動させる。
 その態度に腹を立て『おら、さっさと金を払わんかい!』とドスの利いた声を響かせた。
「どうやら、請求書が纏わりついて息が出来なくなる前に倒した方が良さそうじゃのう」
 鬱陶しそうに請求書を引き剥がし、ユラがギンギンカイザーXを口に含む。
 地縛霊が投げてくる請求書は、まるでヒルの如く肌に張り付き、その自由を奪っていくので油断は出来ない。
「それにしても、私に難癖つけるなんていい度胸しているです。請求書もどんどん飛ばしやがれです。慰謝料1億でも2億でもどんと来いです。倒してしまえばそんなもの無かった事になるですからね。……という訳で死んで下さいです、くひひ♪」
 含みのある笑みを浮かべ、りおんがさよならの指先を使う。
 その一撃を食らって地縛霊が血反吐を吐き、『こりゃ、入院しなきゃならねえな』と愚痴をこぼし、再び請求書を飛ばしてきた。
「この請求は不当ですね。……これは裁判で争う必要があるかも」
 飛んできた請求書を掴み取り、洋角が地縛霊に対して鋭い視線を送る。
 それを見た地縛霊がギクッと身体を震わせ、『ふ、不当じゃねえよ』とあからさまに動揺した。
「清算は終わり。もう消える時です。お金を抱いて、他所の世界に逝きなさい!」
 一気に間合いを詰めながら、ウルリケが地縛霊に水刃手裏剣でトドメをさす。
 次の瞬間、地縛霊の頭から大量の血が噴水の如く吹き出し、悶え苦しみながら特殊空間もろとも消滅した。
「それにしても……、都会にはこのような方もいるのですね。田舎者の私にはなんとも怖いところですわ」
 特殊空間が消滅した事を確認した後、結衣がぶるっと身体を震わせる。
 おそらく、地縛霊は同じような手口で、沢山の人々を絶望のどん底に突き落とし、骨の髄まで金を毟り取っていったのだろう。
「不正請求、退散……違うた、悪霊、退散……。やっぱり、アコキな商売はあかん。ウチはコツコツお仕事、頑張らんとな。……ほな、帰ろか?」
 その場を綺麗に整えて清めた後、縁が仲間達に声をかけて踵を返す。
 地道にコツコツ……。
 ……それが何よりも大事である。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2011/07/29
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冒険結果:成功!
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