マスケット・ガン・カーニバル!


<オープニング>


「バトルゥゥゥ――タァァァァァァァイム!」
 偽マスケット銃を天に掲げ、運命予報士は吠えた。
「とある廃墟に強力な残留思念を見つけたんだよね。今のうちに地縛霊化して闘っちゃおうって魂胆だよ。OK!?」
 銃を指でぐるんと回し、重々しく肩に担ぐ。
「地縛霊は全部で九体。押し並べて強い連中だよ。武器はマスケット銃。射撃と格闘のどちらも得意としてるんだけど、やっぱりメインは銃撃だよね」
 予報士少女は豪快なタッチで敵の情報をスケッチブックに描き出していった。

 マスケットガールズみっつのヒミツ☆

 ・射撃の精密さは御墨つき!
 狙いをつけたら最後バレットホーミングくらい余裕でしてくるよ!
 いまならもれなく回避困難つき!

 ・格闘だってお手のもの!
 マスケット銃を使った独特な格闘術で手堅い近接バトルができるよ!

 ・スカート着用義務だよ!
 それもミニだよ!

 余計な情報が混ざっていることに気づいた一同だったが、取り消されたら困る気がするのでスルーした。
 何が楽しいのか、玩具の銃を振り回して笑う予報士。
 一同に銃口を向けてにやりと笑った。
「ま、細かいこと考えないで刺激的にやっちゃって! 皆なら……できるよね?」

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参加者
玖堂・統夜(黒の確約者・b05760)
蒼穹・克(碧羅蒼天・b05986)
紫月・双牙(光焔真牙・b08033)
迷惑・健(悪戯けものミミ忍者・b16630)
御簾森・藍李(雨降公女・b25123)
黒寄・十夜(漆黒の牙・b42634)
水原・風戯(禍福の風・b64135)
護宮・マッキ(輝速アレグロコンブリオ・b71641)
エリーゼ・バルクホルン(未完成のホムンクルス・b72627)




<リプレイ>

●hand let bayonet
 弾丸飛来。
 入射角度四時。
 玖堂・統夜(黒の確約者・b05760)は身を捻って回避行動。銃弾が腕をかすめる。日頃より身体が重い。
 手負いの獣の気持ちが今はひしひしと理解できた。
 ダークハンドで牽制。敵地縛霊『マスケットガール』は垂直に構えたマスケット銃でガードした。前ほど確実には当たらない。
「統夜、大丈夫か」
 黒寄・十夜(漆黒の牙・b42634)が近くまで寄ってきた。知らない相手ではない。
「……ああ」
 統夜は額に手を当てる。
 視界は視界はブレて、耳の聞こえも悪い。身体バランスがやや傾いているし、血が足りないのか頭が痛い。熱も多少あるかもしれない。つまり……。
「ベストコンディションだ」
 統夜は目を細めて相手を見つめた。伊達に人並み以上に鍛えてきたわけではない。
 彼の横を水原・風戯(禍福の風・b64135)が駆け抜ける。抜刀。
「フォローするぜ。タイマンじゃまだしも、3on3ならやれんだろ!」
「概ね賛成」
 十夜は黒塗りの刀を垂直に引き抜いた。
「サンタ・マリアの名に近い、全てのゴーストに鉄槌を――いざ尋常に勝負!」

 マスケットガールがステップ。動きを呼んで十夜は黒影剣を打ち込んだ。
「身に受けろ、黒龍爪!」
 浮き上がった影がうねり龍模様が浮かんだ。
 すかさず風戯と統夜が突っ込む。
「全力全開でいくぜ!」
「確実に仕留める」
 クロスアタック炸裂。マスケットガールが銃を取り落して消滅した。
 その直後、後方に下がっていたガール二人が狙い澄ましたように発砲。互いに発砲間隔をずらしながら弾丸をしこたま飛ばしてきた。
「うおっ!」
 先頭にいた十夜に弾丸が殺到。最初の一発はなんとか剣で弾いたが、ホーミングした弾が前後左右に回り込んで責め立てる。
「弾丸の軌道が見えない!」
「甘く見るなよ、さすがに目が慣れてくる!」
 風戯が身を低くして突撃。弾丸の間を掻い潜って接近する。マスケットガールは彼の上を飛び越えようと跳躍。上を見上げた風戯は脊髄反射で……翻ったスカートを凝視した。
 見えなかった。
 代わりに、額にマスケット銃をがっちりと突きつけられていた。
「しまったつい!」
「風戯(馬鹿)ー!」
 容赦のない連射を額に受けてひっくり返る。
 追撃を仕掛けようとしたマスケットガールに統夜がダークハンドを射出。ターン機動でかわされる。が、銃でガードする様子は無かった。いつも通りでないことのもどかしさよ……しかし。
「弱点は見えた。十夜、生きてるか」
「はっ……!」
 肩をおさえて血を吐き捨てる十夜。
「痛い、痛いぞ……この痛み倍以上にして返してやる!」
 サブソードも抜いて片手で回す。回転力を増した動力炉が低いうなり声をあげた。
「貴様に聞こえるか、龍の咆哮が……」
 地を滑り嵐を割き、十夜は駆ける。対するマスケットガールは照準合わせ。一秒もかけず発砲。
 十夜はぎりぎりまで引き付けて紙一重で回避。カーブしようとした弾が地面にめり込む。
「今だ、互いに庇い合っても装填時は無防備になる」
「なるほどね」
 マスケットガールの後ろで風戯が立ち上がる。
 納刀した剣を勢いよく引き抜く。
 鯉口から吹き出た影が炎の如く広がった。
「俺の必殺剣――黒牙」
 斜めに切り上げた黒影剣がマスケットガールを切り裂く。即座に消滅。
 タイミングを見計らって統夜は残りのマスケットガールに突っ込んだ。
 撃ってくる。回避はしない。どうせ似たようなものだ。
 腹部に着弾。貫通はしなかった。統夜は毒気づきながらも剣を両手で構えた。
 この瞬間はいつやっても同じだった。
「インファイトは得意だ」
 至近距離に迫っての強引なインパクト。手負いとはいえ熟練した一刀をマスケットガールは避けられなかった。
 強い衝撃に歯を食いしばりつつも次弾装填。手つきは良い。早い。しかし数秒の隙は隠せない。
「十夜!」
「貰ったあああああ!!」
 龍が吠えたかのようであった。
 彼の影が浮き上がり、複雑にうねり、暴れ、明確な暴力を伴ってマスケットガールを一刀両断したのである。
 三者納刀。
「……酷い怪我だな」
「俺は元からだ」
「嘘つけ、腹から血吹いてるぞ」
「そういうお前は肩が動いてないぞ」
「はっはっは、どいつも似たようなモンだろうが!」
 男どもは軽口をたたき合いながら、血まみれになった顔を拭ったのだった。

●Beat shot
 敵影3。距離15m。最適標準。
「今日はパルスほーは封印か。まあ、空気も違うしな」
 エリーゼ・バルクホルン(未完成のホムンクルス・b72627)は独り呟くと、ライフルを半身に構えた。
 ライフルと言ってもドイツ製対物ライフルである。
 地に沈む三脚。
 揺れるスカート。
 風に靡く黒リボンとテール髪。
「人を超えた獣の感覚が獲物を捕らえ――」
 遺伝子解放。極端にさえ始める視覚と聴覚。
「獣を超えた神の……否」
 プログラム起動。ライフルの角度を5度ずらす。
「科学の力が敵を貫く」
 連続発砲。
 マスケットガールに命中。普通なら四肢をまき散らして吹き飛ぶ所だが、相手は地縛霊である。浮き上がった態勢を瞬間的に修正。着地とほぼ同時に跳躍しエリーゼへと突撃してきた。
 迎撃。一発目は外れ。二発目は掠る。三発目はつま先から2センチ下を通過した。
 こちらの迎撃中に跳躍したマスケットガールがエリーゼの頭上に躍り出た。
 対物ライフルの決定的弱点である。にやりと笑って銃を構える。
 しかしエリーゼはすました顔で腕を振り上げた。
「エリーゼ・バルクホルンの銃口から」
 ――逃れられると思うなよ。
 モーゼルライフルである。少女はなんと片手でライフルを振り上げると、頭上に向けて発砲。銃で弾を撃ち弾くマスケットガール。だが姿勢は崩れた。やむを得ない。着地時に修正すればよい……などと、思っていたのだろうか?
「……二度言わせるなよ」
 エリーゼが対物ライフルを片手で……。
 おお、神よ。
 彼女はあろうことか、己の頭上に対物ライフルの銃口を向けて見せたのだ。身長140未満の少女が片手でである。
「Rapid」
「――!!」
「Feuer!」
 エリーゼは絶え間ないクロストリガーを発射。数にして28発の完全被甲弾が一発たりとも外すことなく正確に叩き込まれる。
 頭上で消滅するマスケットガール。
 エリーゼは黙ってライフルの三脚を地につけた。
 彼女の左右を駆け抜けていく迷惑・健(悪戯けものミミ忍者・b16630)とムクムク(ケットシーガンナー)。
「マスケット銃だって、銃撃戦だって、楽しみだね〜!」
「……」
「しかとしないでよ。ほら、けものミミ連隊の出番だよ。救急箱にゴーグルに……あ、閃光弾ある?」
「……」
「ムクムクが聞いてくれない」
 口を突き出してすねる仕草をする健。
 ブラックのタクティカルアーマーにヘルメット。口ぶりの割には徹底した装備である。
 健は斜めに足を広げて立つと銃を構えた。銃と言うより連発式飛び出しナイフに近い構造である。
 ムクムクもそれに応じて二丁拳銃を構える。
「たりほー! けものミミ連隊、突撃!」
 射撃開始。二人のマスケットガールに油断ない制圧射撃を加える。
 対抗して撃ちまくるマスケットガール。エリーゼも威圧的な射撃を返した。
 無数の弾丸が飛び交うそのさなかに、御簾森・藍李(雨降公女・b25123)は立っていた。
「…………」
 聞えるか聞こえないか、ギリギリの声量で言う。
 ――雨鎮で。
 クロスボウである。レール部分が回転構造になっており携行性と速射性に優れる。反面レール部分とそれに応じた弓部分が長いため語源の『石弓』に近いシルエットになっていた。
 が、そうした機能性はあくまでおまけに過ぎない。
 藍李にとって重要なのは、武器がコレであるということだ。
 ――私の森へ訪れたなら。
「どうぞ楽しんで行って」
 藍李の左右を弾丸を通り過ぎる。右手から伸びる光の枝がクロスボウへと巻き付き、腕の一部のように括り付けた。
 肩を狙った弾が来る。藍李は回転。スカートの裾がわずかに広がる。前へ向き直ったと同時に照準。ほぼ直感でトリガーを引いた。
 木の矢がマスケットガールの足元に着弾した。外したか? いや……これで命中だ。
「揮え起て、木々よ」
 矢の刺さった地より凄まじい速さで木が生えた。
 芽吹き、萌え付き、生い茂る。
 藍李は指をちょいっと上げた。
「――我が森の礎となれ」
 巨大な木の槍が出現。マスケットガールを腹から貫く。
 藍理は表情を変えずにレールを回転させた。次弾番矢。
 それが丁度、健とムクムクが最後の一人を包囲したタイミングだった。
「マスケット銃と僕たちの火力、どちらが上か勝負!」
 包囲射撃開始。扇状に広がって絶え間ない射撃を加え、徐々に狭めていく。巨大な獣を集団で仕留めるかのような慎重な動きで弱らせ、ついにはマスケットガールを消滅させた。
「……現代銃との差だよ」
 構えを解いて、健は言った。

●attack to attack
「さってとお嬢さん、踊ろうか!」
 護宮・マッキ(輝速アレグロコンブリオ・b71641)のダンシングユニバース。
 展開した独自フィールドから逃れてマスケットガール達が走り出す。
 彼を軸に円を描くように三人で包囲。断続的に射撃を加えられるように変則的なタイミングで射撃を加える。それでいて流れ弾を味方に当てるような無様をしない。
 そんな熟練した連携射撃を、マッキは軽やかなステップでかわして見せた。
「当たってないよへたくそ!」
「――!」
「当てられるもんなら当ててみろっ!」
 遠目に見ると、男を中心に少女がフォークダンスでも踊っているようにみえただろうか。
 そんな一見奇妙なフィールドへ、蒼穹・克(碧羅蒼天・b05986)が駆けて行く。
 両腕を後ろ向きに広げ、片足で跳躍。風を全身に浴びながら彼は叫んだ。
「全米がスパイシー!」
 本当こういう時に限って出てくる男である。
 克は円陣の中にあえて飛び込むと、両足で地を削りながらスピン。手にしたカレーをマスケットガールの一人へと突き出した。腕から垂れ下がった布が遅れて落ちる。驚くべきことにカレーは一滴もこぼれていなかった。食品サンプル? この芳醇な香りがか?
 マスケットガールはすぐさま弾を装填。ボルトアクション。発砲。
「なかなかいい弾丸ですが……香りが足りません」
 克はそれを首の動きだけで回避すると、マスケットガールの側頭部にハイキックを連続で叩き込んだ。
「マスケット格闘術対カレーなる私の格闘術、試させて貰います」
 二発を食らって三発目を垂直に構えた銃で防御。由緒正しき銃剣格闘である。自衛隊式との大きな違いは身体の周囲50センチ弱を完全に防御しきる堅牢さ。そして直立体勢のままで繰り出すコンパクトでシャープな動きである。
 ちなみにカレーなる格闘術の大きな違いは芳醇な香りと零れないカレーである。
「貴女が私のお相手ですね」
 瞬間、背後に忍び寄る紫月・双牙(光焔真牙・b08033)。
 後頭部目がけて断罪ナックルを叩き込むが、休めの姿勢からの最高速反転と銃による側面防御で撃ち弾かれてしまった。
 もう一人のマスケットガールが銃を格闘用に構えて襲い掛かってくる。二人へ同時に足払いをかける。
 克と双牙は軽く跳躍。
 互い、別々の相手へ龍顎拳と断罪ナックルを繰り出した。
 四人複雑に絡み合う攻防戦。オセロの初期配置のように位置した四人は左右の相手に油断なく攻撃を繰り出し、そして的確な回避を繰り返していた。
 と、そこで克が軸移動。龍撃砲を繰り出しマスケットガール二人を巻き込む。
「射手の方には悪いですが、この距離で撃たせてもらいますよ」
 同時攻撃に慌てて防御するマスケットガール達。その隙を逃さなかった男……それがマッキであった。
「下段から抉るようにぃー!」
 ギリギリまで低くしたスライディングで割り込み、ヒロイックフィーバーを発動。
 小足蹴り、膝打ち、肘打ち二連、ミドルキック、裏拳からの回し蹴り、さらに腰捻り浴びせ蹴りへと目まぐるしく繋いでいく。
 が、その間の喋りが厄介だった。
「まずミニスカにういて考察するに大事なのは靴下だろう黒のオーバーニーソックスとミニスカの組み合わせは最強だ綺麗に形作られた絶対領域こそ思考であるパンチラなど仏衣アクションシーンにおいてなぜかみえないのは大事であろう!」
「マッキさん!?」
「どうしたんですか、熱でもあるんですか!」
「頭煮えてるんですか!」
 おそらく両方である。持っというと後ろの人のせいである。
 いきなり訳の分からない講釈を高速でまくし立てられながら連続攻撃を繰り出されたマスケットガールはたちまち消滅。
 あっけにとられていたマスケットガールの腹に、双牙が断罪ナックルを打ち込んだ。
「格闘術が出てきても、関係ありませんでしたね」
 崩れ落ち、消滅するマスケットガール。
 三人は背を向け合い、それぞれのフィニッシュポーズを決めていた。
「新カレーのアイデア、浮かびませんねえ」
「そんなこと考えながら戦ってたんですか」
「僕ぁミニスカのことを」
「知ってます」
 肩を竦めあう男達。
 それもまたよし。

 空間が消えていく。
 各々余韻を感じながら、戦いの終わりを噛みしめていた。
 次の戦いはいつだろうか。
 また生き延びることができるだろうか。
 そんなことを、頭の片隅におきながら。


マスター:空白革命 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/08/04
得票数:楽しい3  カッコいい9 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
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