危険な裏道


<オープニング>


●都内某所
 かつて裏道として利用されている場所があった。
 この場所には変質者が頻繁に出没していたため、OL達は怖がって近づく事さえなかったが、逆に男性陣は『そんなモン、返り討ちにしてやらぁ!』と意気込み、『アーッ!』と言う事になったらしい。
 彼らがどんな目に遭ったのか分からないが、この辺りの薬局では『ある薬』が売れに売れたとか……。
 それから、しばらくして……。
 この場所で関係者と思しきゴーストが確認された。

「みんな、集まった? それじゃ、話を始めるね」
 運命予報士、長谷川・千春(運命予報士・bn0018)。
 今回の依頼は彼女の口から語られる。

 ゴーストが確認されたのは、変質者が出没していた裏道。
 リビングデッドと化したのは、通り魔事件で犠牲になって人達で、妙な格好をして『あるお薬』を求めて彷徨っているわ。
 どうやら、ここで事件が頻発したせいで、『あるお薬』が不足しちゃって大変な事になっていたようなの。
 その状態で『アーッ!』な目に遭っていたらしく、『アーッ!』で『ギャー!!』な事になっていたみたい。
 それと全身ローションまみれで筋骨隆々のオッサンが地縛霊と化して留まっているわ。
 彼が何者なのか分からないけど、背後に回り込んで何かしようとするから、くれぐれも気を付けてね。

マスターからのコメントを見る

参加者
武内・恵太(真処刑人・b02430)
天乃宮・頻(紅雪白兎・b30003)
伊藤・洋角(百貨全用・b31191)
シュベルト・オセ(アイゼルンゲシェプフ・b47155)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)
シュヴール・ルドルフ(エーヴィヒカイトヴェア・b57139)
紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)
ユラ・セレスト(パラヤーナ・b58838)
小鳥遊・陽太(おひさまといっしょ・b66965)
ウルリケ・シュヴァルツ(蝙蝠円舞曲・b69278)
斉藤・縁(多分浪花の風水少女・b81259)
NPC:鬼頭・田吾作(真ファイアフォックス・bn0034)




<リプレイ>

●裏の世界
「おい、武内! お前、この前の依頼での、あの態度は何だ! 僕が目立つようにしっかりアシストしろって言ったのに、僕の存在に気づいていないどころか、道端にあった置物を僕と勘違いして励ましていただろ! 二度と失敗は許さないからな。今回はちゃんと僕が目立つようにアシストするんだぞ。……って、いねええええええ!」
 ハッとした表情を浮かべ、紅孔雀・發音(とても影が薄い牌の音団長・b58794)が武内・恵太(真処刑人・b02430)を捜す。
 ……いない。どこにも見当たらない。
 これは……。
「……逃げたか」
 悔しそうな表情を浮かべ、發音がチィッと舌打ちをする。
「んむー、それにしても、男性陣が返り討ちにあってしまうというのは、相当すごい事が起こったのじゃろうなあ。ある薬が売り切れになるとか。薬がそんなに売れるとかすごいのじゃ。何だかよく分からぬが皆(男性陣)が必死なのが気になるゆえ、頑張って裏道の平和を取り戻さねばならぬのう。鬼頭殿もいる事じゃ。何が来ても、きっと大丈夫なのであろうな」
 満面の笑みを浮かべながら、ユラ・セレスト(パラヤーナ・b58838)が鬼頭・田吾作(真ファイアフォックス・bn0034)の背中をばしっと叩く。
 そのため、田吾作が激しくゲホゲホと咳き込み、『お、おう、任せておけ!』と自分の胸をポンと叩く。
「ところで、『ある薬』って何かしら? 麻薬とか、いかがわしい薬は薬局では売ってませんし、想像してみましたが答えは出ませんでした。 どうもこの依頼のツボのような気がするのですが、大丈夫かな? 『アーッ!』で『ギャー!!』な事、というのも謎ですね」
 色々と疑問が浮かんできたため、ウルリケ・シュヴァルツ(蝙蝠円舞曲・b69278)が首を傾げる。
 だが、それを理解する事で、物凄く不快な思いをするのも、また事実……。
「まあ、世の中には知らなくていい事もあるしな」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、恵太が乾いた笑いを響かせた。
「ひな腐った人間ではありませんが、あーっなのは、きっと『アッ――!!』であって、そんな人間の魂の段階が上がるような出来事があったのだと思いますのです! ね、田吾作。これで田吾作もアッーってなったら、魂のステージがあがります。ひなそのためなら協力もおしみません。だってひな、田吾作大好きですから!」
 物凄くキラキラした目で、小鳥遊・陽太(おひさまといっしょ・b66965)が田吾作に期待の眼差しを送る。
 その途端、田吾作が『いやいやいや、それ違うから! そのノリで依頼に参加したら、酷い目に遭っているからさ!』とツッコミを入れた。
「まあ、怖いもの見たさって気持ちは理解できない事も無い。だがな……、2〜3人の犠牲者が出た時点で『危ない』って気付けよ、おい! 俺の危険を知らせるシグナルが全開で、警告音を鳴り響かせているぞ!」
 色々な意味で身の危険を感じながら、シュヴール・ルドルフ(エーヴィヒカイトヴェア・b57139)が叫ぶ。
「確かに危険だったようですね、一人歩きとかは特に……。大人しく使わなければ良いのに、無理するから駄目なんですよね」
 何やら触れてはいけない領域である事を本能的に察知し、伊藤・洋角(百貨全用・b31191)が視線を逸らす。
 ある薬が売れていたのが……、その証拠である。
「ウチは自分で言うのも何やけど貧乏の身の上、まして修行中の身やし、仕事の選好みしてる余裕はあらへんけども……やっぱ仕事は選ぶべきやろか……?」
 さすがにマズイと気づいたらしく、斉藤・縁(多分浪花の風水少女・b81259)が疑問を口にした。
 おそらく、加害者は『ソッチの趣味』。
 故に被害者達は死ぬよりも恐ろしい目にあったはずだ。
「つまり、この裏道を通った者達は人生の裏道を通る事になる訳ですね……。人生どこに落とし穴が潜んでいるか、分かったもんじゃないですね。田吾作先輩も昔はただのヘタレだったのに、今ではお尻を掘られるのが好きなド変態ですし……。能力者になった時は憧れの正義のヒーローになれたと、きっと胸を躍らせていたはずなのに……。そうそう、田吾作先輩。これいつもお世話になっているのでお中元です。受け取って下さいです。とてもよく効くと評判の痔の薬です。きっとすぐ使うことになると思いますよ、くひひ♪」
 含みのある笑みを浮かべ、伊弉諾尊・りおん(銀誓館学園の大魔王・b56157)が田吾作虹の薬を渡す。
 田吾作はそれを見て何やら文句を言おうとしたが、何やら背筋(主に尻)に寒気を感じたため、奪い取るようにして、痔の薬を受け取った。
「襲い掛かる変質者の残留思念や、襲われた被害者の残留思念が集まって、変なゴースト達が出来ちゃったのかな? 早く片付けて綺麗にしてあげるのー」
 自分なりに納得しながら、天乃宮・頻(紅雪白兎・b30003)がニコッと笑う。
「これは危険な敵だ! 色々と、危なすぎる。田吾作、援護はするが薬だけは手放すなよ!」
 田吾作に対して警告しつつ、シュベルト・オセ(アイゼルンゲシェプフ・b47155)がゴーストの確認された裏道に入っていく。
 その途端、必要以上に尻を撫で回されているような錯覚を受けるほど強烈な視線をあちこちから感じた。
「た、確かに危険な裏道だねぇ……、こんなところに可哀想な田吾作先輩を放り出すわけにはいかないよね。それじゃ、行くよ」
 自分自身に気合を入れ、久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)が走り出す。
 それと同時にリビングデッド達が現れたが、ここで立ち止まる訳にはいかなかった。

●あるクスリ
「く、薬だ! あの薬を寄越せ!」
 激しく両目を血走らせ、リビングデッド達が恵太に迫る。
 どうやらリビングデッド達は変質者によって酷い目に遭わされていたらしく、プリーズ痔の薬状態のようである。
「……ん? 痔の薬か? まあ、あるにはあるが……」
 思いっきり勿体ぶりながら、恵太がリビングデッド達の顔色を窺った。
 そのため、リビングデッド達が胸倉を掴む勢いで、『そ、それを寄越せ!』と迫っていく。
「みゅー、なんだか叫んでうるさいの。氷付けになっちゃえば、静かになるのかな?」
 両手で耳を押さえながら、頻が氷雪地獄を発動させた。
 だが、リビングデッド達は『うるせぇ! こっちはシャレにならねぇくらい痛ぇんだよ』とブチ切れた。
「どんな状況になっているのか分かりませんが、速やかにこちらの世界から消し去ってあげます」
 なるべく多くの相手を巻き込める位置に踏み込み、ウルリケがノーブルブラッドを使う。
 それでも、リビングデッ達は怯む事無く、『こっちだって緊急を要する事態なんだよ!』と襲い掛かってきた。
「お前達には勿体無いが、棺桶での送迎サービスだぜ」
 リビングデッド達を迎え撃ち、シュヴールが聖葬メイデンを発動させる。
 次の瞬間、先頭にいたリビングデッドが鉄の処女に閉じ込められ、『んぎゃああああああ!』と悲鳴が響く。
「あー、うん、その……。痛そうなんは理解したわ。後はもうええやろ」
 主に尻的な部分からの出血が多かったため、縁が引きつった笑みを浮かべて茨の領域を発動させる。
 おそらく、昔の傷口がパックリと開き、その時のトラウマが甦ってきたのだろう。
 魔法の茨に締め付けられて、『し、尻だけは勘弁してくれ!』と何度も命乞いをし始めた。
「ええ、そこは狙いませんよ」
 リビングデッド達に答えを返し、洋角が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 それに合わせて、頻がリビングデッドに光の槍を放ち、ウルリケがスラッシュロンドを炸裂させる。
「その代わり、きっちり仕留めさせてもらうがな」
 逃げ惑うリビングデッド達の行く手を阻み、恵太が殺戮ハウンドを発動させた。
 それと同時に針金細工の猟犬達が召喚され、あっという間にリビングデッド達を食い尽くした。
「もう二度と、出て来んどいて……」
 リビングデッド達が全滅した事を確認した後、縁がその場を入念に清めていく。
 今日の出来事は、忘れない。
 0.1秒の間だけは……。
「変質者なら警察に通報して、任せれば良かったのにね」
 素朴な疑問が浮かび、頻がボソリと呟いた。
「おそらく、それが出来ない状況に追い込まれたんでしょうね。心と体を傷つけられ、写真まで撮られてしまったんでしょうね」
 どこか遠くを見覚めながら、洋角が乾いた笑いを響かせる。
「色々な意味で謎が残る依頼だったわね。別に何も知りたくはないけど……」
 何となくどす黒い何かを感じ、ウルリケがさらりと流す。
 リビングデッド達の状態を見る限り……、嫌な予感しかしない。
「んー、久しぶりって事もないが依頼にも出られたし、疲れたな。後で地縛霊組と合流したら、みんなを誘って飯でも食いに行こうかね」
 このままだと嫌な気持ちのまま帰る事になってしまうため、シュヴールが尻を真っ赤に腫らせたリビングデッド達から視線を逸らす。
 あれがすべてを物語っているような気がする。
 直接的な原因である何かを……。

●掘っちまいな!
「全身ローションまみれで筋骨隆々のオッサン……。いや、本当に気持ち悪いんですけど……ち、近づきたくない。ましてや絶対後ろになんか回られたくないね! 気合、入れていくよ!」
 特殊空間に留まる地縛霊を見つけ、沙希が旋剣の構えを使う。
 地縛霊は全身に塗りたくったローションをペロリと舐め、沙希達を狙うようにして背後に回り込んでいる。
「何か気持ち悪いヤツじゃのう」
 嫌悪感をあらわにしながら、ユラがギンギンカイザーXを口に含む。
「さあ、武内。僕が目立つようにしっかりアシスト……って、いねええええっ!!」
 大袈裟に驚きながら、發音が叫び声を響かせた。
 これは間違いなく、罠。
 陰謀的な何かがプンプンする。
 だが、地縛霊はそんな事などお構いなしに、ローションまみれの身体で迫ってきた。
「田吾作のお尻はひなが護ります! ですから田吾作、前に!」
 すぐさま田吾作に合図を送り、陽太が戦文字「葬」を発動させる。
 しかし、その時には地縛霊が田吾作の背後に陣取っており、彼の尻にローションを塗りたくっていた。
「聞こえるか、田吾作! こちらへ逃げ込め!」
 色々な意味で危機感を覚え、シュベルトがプロトフォーミュラを発動させ、田吾作を呼び寄せる。
 その声に驚いて田吾作が全速力で走ってきたが、それを追うようにして地縛霊も追いかけてきた。
「……すまない、世話を、かけるな……秘儀、田吾作シールド!」
 向き合うような形で田吾作の肩を掴み、シュベルトが涙をキラリと輝かせる。
 次の瞬間、田吾作の尻に何かが刺さった。
 地縛霊のアレ的な何かが……。
「マッスルドッキング!」
 それと同時に發音が地縛霊に体当たりを仕掛け、田吾作が断末魔の叫びをあげる。
 おそらく、アレ的な何かが未知の領域に達したのだろう。
 ……気が付くとそこは雪国(注:田吾作脳内)だった。
「おー、今回もいい声で啼いてやがるです。この声を聞くと田吾作先輩とゴースト退治をしているという気分になるです」
 田吾作が苦悶の表情を浮かべる姿を堪能し、りおんが雪だるまアーマーを発動させる。
 開通工事も無事に終了……したらしい。
「今だ! 尊い犠牲を無駄にしない為にも心を鬼にして攻撃するんだ!」
 キラキラとした笑みを浮かべ、シュベルトが地縛霊の尻にスラッシュロンドを放つ。
 そのせいで、地縛霊のアレがさらに奥まで……。
「た、田吾作さんの仇!」
 『しばらくお待ちください』状態になった田吾作の無念を晴らすため、沙希が地縛霊めがけてダークハンドを炸裂させた。
 次の瞬間、地縛霊と声を合わすようにして、田吾作の絶叫が辺りに響き、跡形もなく特殊空間が消滅した。
「今回の敵はなんとも強い敵だったのです! ひながんばりました」
 特殊空間を消滅させ、陽太がえっへんと胸を張る。
「これで少しは静かな場所になるかのう」
 どこか遠くを見つめながら、ユラが犠牲者達の冥福を祈った。
「今回は田吾作先輩も頑張りましたね。御褒美に伝説の勇者でもない限り引き抜けないほど、深くずっぷりと差し込んでやるです、くひひ♪」
 鋭く尖ったモップを握り締め、りおんが全体重を掛けるようにして、田吾作の尻にそれを突き刺した。
 そして、田吾作の絶叫が辺りに響く。
 だが、それは甘く切ない乙女の吐息の如く、長く続く事無く儚く消えた。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2011/07/31
得票数:楽しい7  笑える6  せつない1 
冒険結果:成功!
重傷者:鬼頭・田吾作(真ファイアフォックス・bn0034)(NPC) 
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。