老いてなお変わらぬ絆〜今、いきます。貴方の下へ


<オープニング>


 墓石へと繋がる道を老婆が一人歩いていた。
 名を岩倉温子、八十歳。未だ足腰も衰えず、水桶を握る手も震えていない。ただ、瞳だけはどこか遠い場所を見据えていた。
「また、来たよ。あんたが逝ってからもう三年になるんだねぇ」
 たどり着くと共に桶をおろし、静かな息を吐いて空を見る。絵画でも描けてしまえそうな快晴が何だかとても憎らしい。
「……ほんと、なんでこんな早く行っちまったんだい。あんたがいれば、わたしゃ……?」
 首を振り、柄杓で水をすくっていく。
「……ありゃ?」
 夫、岩倉館蔵の眠る墓石はどこにもなく、代わりに焼け野原が広がっていた。
「何だか見覚えが……」
 しわくちゃの瞳が見開かれ、人の形をしたものが映り込む。
 学生服姿の青年が帽子を目深にかぶり直していた。
「え……あ……ああ……!」
 涙が溢れ、嗚咽が漏れた。
 呼吸も忘れて歩き出した。
「迎えに来てくれたんだねぇ……ねぇ……館蔵……」
「……」
 答えはない。ただ、硬いげんこつに打ち据えられ、温子は笑顔のまま命を落とす。
 人の代わりに、鎖が鳴いた。館蔵を繋ぎ止めながら……。

「封神台のメガリスゴースト……か」
「ああ」
 夕暮れに染まる学食にて、鳳・武曲(高校生妖狐・bn0243)らを出迎えた秋月・善治(運命予報士・bn0042)は小さく頭を下げていく。
 挨拶もそこそこに資料を並べ、依頼の説明を始めていく。
「武曲が呟いた通り、今回の相手は墓石に宿る封神台のメガリスゴースト。こいつが墓所の死者を地縛霊化。お墓参りに赴いた者を地縛霊に殺させて、リビングデッドへと変えている」
 放置すれば第二第三の犠牲者が出てしまう事は想像に難くない。そうなる前に地縛霊とリビングデッドを眠らせ、元凶である封神台のメガリスゴーストを滅ぼす必要がある。
「現場は東京都多摩地区の街中にある墓所。それも、やや奥まった場所にある墓石だな。地図を頼りに赴けば迷わず辿り着くことができるだろう」
 到達した後は近づくだけで地縛霊の創りだす特殊空間へと誘われる。そのため、特に準備をしていく必要はない。
「特殊空間内は乾いた焼け野原となっている。視界も広く足元に不安もないため、何の気兼ねもなく戦うことができるだろう」
「被害者たちの構成はどうなっている?」
「特殊空間を構成している地縛霊が一体、リビングデッドが一体、だな」
 地縛霊の名は岩倉館蔵。享年七十七歳の老人だが、姿は若き頃の学生服姿。性質としてはお固い日本男児といったところ。抗体兵器として木刀を所持しており、力強さと細やかな動きを得意としている。
 そして、直撃すれば気絶しかねない硬さを持つゲンコツや、手足を打ち据え技を封じる木刀の一撃。怒号によって視界に映るもの全てを麻痺させる力を使ってくる。
 一方、リビングデッドの名は岩倉温子。館蔵の妻で同い年の老人、享年八十歳。姿は墓参りに来た時と同じ着物姿で、館蔵に寄り添うように行動。いたわることで傷を癒し、悪しき力を浄化し、力を高めさせる能力を行使してくるようだ。
「両者とも声をかけ合うなどして、連携を取って攻撃を仕掛けてくる。が、あくまでゴースト。こちらの言葉は届かないと思ってくれ。そして封神台のメガリスゴーストについてだが、特殊空間には存在しない。現実空間に戻った後に破壊してくれ。説明は以上だ」
 善治は地図などを手渡すと共に静けさを増していく学食内。頷く武曲が口を開いたのはどれだけの時間が経ってからだったろうか?
「幸せ、だったのだろうかな」
「わからん。だが、放置すれば新たな被害者が出る可能性の非常に高い案件だ。故に、決して油断せずにことに当たり、倒してきてくれ。頼んだぞ」

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参加者
立風・翔(吹き溜まり・b02208)
足利・灯萌(奪ってもいいのよというか奪え・b32352)
桐崎・早苗(無自覚天然娘・b59392)
未崎・風音(幻想と希望の描き手・b61522)
田奈・歌鏡(呪染の闇・b71708)
夜刀・神也(谷津乃守也・b73718)
久遠・朱音(緋の焔神・b73824)
瀬河・苺子(中学生ゾンビハンター・b77693)
エルジェーベト・フォスター(一輪草・b81064)

NPC:鳳・武曲(高校生真妖狐・bn0283)




<リプレイ>

●とある、晴れた日の霊園で
 日差しを浴びて照り返す、遠目には真新しくも思える白き門。近寄れば塗り直しや改修の後が見え隠れするその場所を潜り抜け、小気味の良い音色を奏でる砂利道へと躍り出る。しばし進めば順路を示す飛び石へと辿り着き、彼らは難なく岩倉館蔵の墓へと辿り着いた。
 一呼吸の間を置けばそこかしこから線香の匂いが香ってくる。花の香りもするけれど、雑草などの雑多な臭いはまるでない。恐らく住職の管理が行き届いているのだろうと思われた。
 ならば見回りであれ、ローテーションであれ、岩倉館蔵の墓が若干荒れているのは幸いな事だっただろうか。仲間と共に最後の一歩を踏み出しつつ、足利・灯萌(奪ってもいいのよというか奪え・b32352)は端からは伺えない程度に目を細めていく。
「……幸せ、だったと思うよ……」
 すでに枯れてしまっていたけれど、手向けられていた花に残る色は優しいもの。仔細を伺うことはできないけれど、意味もきっと岩倉温子の心を表すもの。
「そして、ここで終われば、お爺さんはお婆さんを迎えに来ました……めでたしめでたし……で終わる……から……」
 素晴らしくも残酷な世界が歪んでいく。青が茜に、灰が茶褐色に染め上げられ、火薬や焼け焦げたような臭いが漂い出す。
 中心には学生服を来て木刀を携えた青年、館蔵の若かりし姿をした地縛霊。寄り添うように佇むは、生前の姿を保ったままリビングデッドと化した温子。
「ちゃんと、終わらせよう……?」
 ナイフを固く握りしめ、魔狼のオーラを身に纏い、灯萌は最初の一歩を踏み出した。
 立風・翔(吹き溜まり・b02208)は慎重に距離を図りつつ、後ろへ、後ろへと下がっていく。
 いつ、いかなる時も動けるようコンディションを万全に。仲間が動けなくなる仲間が出たならば、すぐさま浄化の力を使えるよう。最も戦場を見渡しやすい位置から状況を観察し、注意などを促していくために……。
「さて、戦況はどうなってるかな、っと」
 足を止めた翔が眺める先、夜刀・神也(谷津乃守也・b73718)が館蔵たちを挟んで向こう側、浄化の力が届かぬ場所へと走っていた。
「行くぜ、古き時代の日本男児! 現代っ子が如何にゆるくのほほんと生きてるか教えてやらァ!」
「……」
「……はい、わかりましたよ」
 太刀を大きく振り回す神也の目論見通り、館蔵は無言のまま彼以外の能力者に背中を向ける。温子も笑顔で付き従う。
 今、最も危険な位置にいるのは神也。また、得意とする力も運良く同質だったから、瀬河・苺子(中学生ゾンビハンター・b77693)が意識を差し向ける。
「見ていて下さい……!」
 握りしめた携帯電話に託す想いは果たして誰へと向けたものだろう? ただ、想いを強く抱き放ったファンガスが、彼と己の力を高めていく。
 準備を完了させていく。
「……それでは、行きましょう」
 ケルベロスオメガの駿が前衛と後衛の間へと辿り着いたのを一瞥し、主人たる未崎・風音(幻想と希望の描き手・b61522)は宙に浮かせた幻に似た字を持つ剣の切っ先で温子を指し示し、妖狐の守護星足る七つ星の輝きで寄り添う姿を照らしていく。
 重ねるように、かぶせるように、桐崎・早苗(無自覚天然娘・b59392)も同質の力を行使した。
「申し訳ありませんが……終わりとさせて頂きます」
 大事な人の隣に。それは喜ばしいことなのかもしれないが、無関係の人まで巻き込むことは別。せめて幸いなるままに……との想いとは裏腹に、二つ重ねても二人の様子に変化はない。
 寄り添う温子に見守られ、館蔵の体から薄いオーラが立ち上り始めたように。
 神也の手元を狙い、館蔵が木刀を振るったように。
「……まだ、大丈夫だね」
 幸い木と金属のぶつかり合う小気味の良い音色が響いてくれた。だから翔は動かず戦いの観察を続行する。
 準備が完了したとはいえ、まだまだ始まったばかりの序盤戦。何かが狂い崩されれば、一気に流れを持って行かれてしまうのだから……。

●二人は共に、いつまでも……
 全てすでに終わったこと。運命予報に届いた時点で区切りを迎えていた物語。
 救いたい。救えるのなら救いたい。
 救えない。命はすでに遠い場所。
「……」
 神也と刃を交わす館蔵と、しわくちゃの横顔を優しく緩めている温子を眺め、苺子は静かなため息を。もしもこれが生者との戦い、命と偽りの命ではなく誇りと誇りのぶつけ合いならばどれだけ良かったことか。全て、叶わぬ未来だからこそ、苺子は傷の薄い館蔵を指し示す。
「せめて、その魂だけでも救わせてください」
 左の拳を血が滲むほどに握りしめ、放つはファンガスの力を宿せし弾丸。たくましい背中に撃ち込めど動き封じることは叶わない。
 鳳・武曲(高校生真妖狐・bn0283)も七星の輝きを降ろしたが、視線を辿らせることすらできていない。ただ、二人の仲を祝福するかのように明るく優しく照らしてる。
「……」
 うざったく、目障りではあるのだろうか? 館蔵が一歩後ろに下がり、木刀を構えたまま改めて神也を見据えていく。
 追撃はせず、神也も太刀を構えなおした。光のない双眸を睨み返した。
「……黙れ」
 ただ、三音。底しれぬ怒気を込めて紡がれた言葉が神也の心臓を掴みとる。
「……誰が」
 錯覚だと拳を震わせて、唇を強く噛み締める。痛みと鉄の味が動く術を教えてくれた。
 もし、彼が反対側へと回りこんでいなかったのなら果たして何人が動きを止められてしまっていただろう? 範囲には捉えられぬも力の残滓を伝えられ、風音は深く息を吐き出した。
 首を振り、僅かに宿りし恐怖を消し、改めて館蔵と温子を瞳に映していく。
「……封神台のメガリスゴーストの介入さえなければ自然な形で寄り添えたでしょうに」
 死してなお仲睦まじく寄り添う二人。戦いのさなかにあってさえ温子は笑顔を絶やしていない。
 何もなければそっとして永久なる時を過ごせたかもしれない。あるいは温子が天寿を全うし、風音の言葉通り自然な形で寄り添えたかもしれない二人。
 全ては仮定。叶わぬ願い。
「……駿、次は温子さんにお願い」
 駿が炎を吹きかける様を一瞥し、自身は再び七つ星を輝かせる。せめて同時に送れるよう、動きを止められるよう努めていく。
 思い強いか、力量高いか……時たま静止する素振りは見せるけど、動きを止めるには至らない。
 ただ、その一瞬だけでも十分だと、田奈・歌鏡(呪染の闇・b71708)が呪詛の言葉を紡ぎ出す。
「――」
 館蔵へと届けられた証として、太刀を防ぐ動きが若干鈍る。斬りつけられたか、二歩、三歩と退く様子を見せていく。
 すぐさま動きに精彩を取り戻し、返す刀は鋭く早い。したたかに打ち据えられた神也の手には大きなアザが刻まれる。
「今は……早苗!」
「はい、存じてます!」
 翔の指示を受けながら、早苗は治癒の力を持つ符を生み出し投げ渡す。アザの消えていく様を眺めみて、再び周囲の状況把握に努めていく。
 誰一人として倒れさせたりなどしない。
 何より、多くのものが抱いている通り二人を同時に送りたい。そのために、誰一人として大きなダメージを残したままにするわけにはいかないから。
 ハードルを上げていることはわかっている。だからこそ厳しい条件を設けていた。
 それでも、わかるから。二人の、館蔵に誘われリビングデッドと化してしまった温子の気持ちが。もしも自分が同じ立場になったなら、恐らく同じ事をしていただろうから。……少なくとも、昔は。
 今は違う。大切な人のために、大切な人がよしとしないから。
 だから止める。今ここで、二人を!
「……前に、出ます」
 折よく神也がげんこつをかわしていた。治療のいらないタイミングが訪れた。
 早苗は行く。前へ。もう一枚、後衛への壁を増やすため。
 守護者として戦うために。
「お二人とも、動かないでくださいまし」
 進みゆく彼女の足元に見えない種が植えられた。種はエルジェーベト・フォスター(一輪草・b81064)の命ずるままに芽を出し茨となって、館蔵と温子をつなぎとめようと伸びていく。
 が、精度が足らず不可視の力に砕かれた。
 残滓が燃え上がったかのように、久遠・朱音(緋の焔神・b73824)の生み出す朧な炎が温子の視線を惹きつける。
「……止まってくれたのぅ」
 やっと、というべきか。偽りの炎に魅入られた温子が音もなく動きを止めた。
 倒れてはいないからか館蔵の様子に変化はなく、木刀を拳骨を振り回す。
 大勢が決したと思われる今でさえ諦めず抗い続けていく……。

 指先ひとつ動かせない状態なれど、温子は暖かな微笑みを崩さない。妖狐の輝きに魅入られ物言わぬ石と化したとしても、ある種の彫像として残るのではないかとすら思われた。
 事実、すでに足元が石になり始めている。後数度の時を過ぎゆけば完全に偽りの灯火を消してしまうだろう。
「……」
 少なくとも今はまだ望まないと、エルジェーベトは仲間たちを眺め回す。神也の他にダメージを負っている者はおらず、彼の傷もほとんどないと確認し、館蔵へと改めて視線を映した。
 温子からのサポートがなくなったからか様相はまさに満身創痍。制服の所々が破れていて、帽子のツバも切れている。
 なおも木刀を振るうのは己が存在し続けるためなのだろうか?
「……行きますの」
 あるいは二人で在り続けるため。永久に在り続けるため。
 気持ちは分かる。
 けれど連れていかなければならないと。できれば一緒に送りたいと、エルジェーベトは一発のみと決めた森王の力を解放し二人の手前に投げつける。
 四散する木っ端で傷つけつつ、館蔵の動きを制していく。
 石の面積もまた増した。もう腕も動かせない。
「……後は、もう……」
 つぶさに両者の状態を確認し、ダメージを調節していた灯萌が首を振る。
 調節する時間は終了した。後は一歩一歩踏み込み、なるべく同時に撃破できるよう心がけるしかないと、ナイフを振るう腕に力を込める。
「でも、せめて、一緒に……!」
「……ええ」
 飛んでいく館蔵の姿をしたラフスケッチに並ぶよう、朱音が狐の尾を伸ばす。
 共に館蔵の火を削り、終幕に向けた一歩を進めていく。
 歌鏡もまた呪符を投げ、ただ深い溜息を。
 瞳に写すは笑顔を絶やさず、今だ恨み言の一つも紡がず、動けずとも館蔵に従う温子の姿。
 本望だっただろうか。館蔵の手にかかって命を落としたのは。
「……」
 今問いかけても詮なきことと、歌鏡は再び呪符を生む。少なくとも不幸が広がることを望んではいないだろうから、投射し館蔵を蝕んだ。
 耐えかねるか、館蔵が荒れた地面に膝をつく。木刀を支えにしているけれど、抗う力が残っている様子はない。
「後一回、奥さんを! それから両方を!!」
 翔の判断に従って、武曲の光が喉元まで石化の面積を押し上げる。
 追撃をなだれ込ませることはなく、歌鏡は二人の体へ向かう神也の剣と朱音の尾を見守った。
「……」
 意図せず彼の口からこぼれたため息は安堵の意を含んでいたのだろうか?
 抗体空間が崩壊するさなか、翔は一人静かに頭を下げる。
 二人が焼け野原から解放され、澄みきった青空へと昇れるよう。
 二人一緒に手を取り合い、迷わず成仏くれと……。

●悲しい夢の終わりに
 終わってみても何かが変化したということはなく、相変わらず空は青く線香の香りは芳しい。動けば砂利の音色が、耳を澄ませば鳥のさえずりすら聞こえてくる。
 知らなければ全てを終えたと勘違いしてしまいそうなほど平和な時が、岩倉館蔵の名を持つ墓の周囲には漂っていた。
 無論、終わりではないことは知っている。
 終わりにしてはならないことを知っている。
 岩倉館蔵の墓。封神台のメガリスゴーストを前にして、朱音は小さな息を吐き出した。
 込めたる意味は追憶か。はたまたどうにもならない世界に対する諦観か。あの時、大陸妖狐が保持し神将を閉じ込めていた封神台のメガリスを破壊しなければ大変なことになっていた事はわかっているけれど……。
「……睡藍、貴方はどう思っていたのかしら。この呪われた連鎖を」
 問いかけた者はすでになく、答えが帰ってくることはない。
 わかっている事は、破壊すれば不幸が一つ消えること。封神台の復活に近づくこと。
「……じゃ、やるかね」
 想いのままに、怒りのままに、神也が太刀を一閃。岩倉館蔵の墓を、封神台のメガリスゴーストを斜めに切る。
 一拍遅れて、切り離された上方部が大きな音を立てて地面に落ちた。
「ったく、さっさと出なくなって欲しいんだが」
「まったくだ」
 なおも怒りは収まらぬが、これ以上は無意味。彼は翔の言葉に頷くことだけをして、仲間の通る道を開けていく。
 元に戻すことはできないけど……と、歌鏡が墓を整えた。風音らと共に周囲も掃除して、改めて正面から向き合っていく。
 灯萌が花を手向け、早苗らと共に黙祷を。
「お二人がまた次も運命の糸に導かれますように……」
 エルジェーベトは言葉も手向け、二人の冥福を来世の幸を祈っていく。
 終わったなら、立ち上がって踵を返す。
 早々に帰還する運びとなる。
「……そういや」
 砂利道を歩く中、神也が武曲に歩調を合わせていく。顔は見ずに続けていく。
「辛くても苦しくても、憎まれ口叩きあったとしてもよ。長年連れ添う絆があったんだ……幸せだったに違ェねえ。年とってもしっかりとした己の意志で、墓参りする程によ」
「……そう、なのかもしれない……いや、そうだな……」
 さ迷うような、問いかけるような、ただ頷きながらの武曲の言葉。それ以降、二人は何かを語ることはなく……。
 ……ただ一人、墓所の門をくぐった後、苺子は立ち止まる。
 振り向き、岩倉館蔵の墓があった場所を見据えていく。
「この悲しみ、この悲劇、繰り返させはしません」
 幾つ悲劇が紡がれたのか。
 幾つ悲劇が紡がれゆくのか。
 今はまだ分からないけれど……それでも、救いたいと願っている。
 幸い空は青く澄み渡り、太陽が明るく照らしてくれている。
 青々と命の証を輝かせる木々のように、きっと未来も――。


マスター:飛翔優 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/09/23
得票数:泣ける3  せつない11 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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