誰がオレを殺したか、決めるのはキミだ!


<オープニング>


 ――ずらり並ぶ墓石の前に美女が3人。
「よくもまぁぬけぬけと、この泥棒猫どもが!」
「なにゆーてんの? ケンと元々つきおーてたんはうちや!」
「辛気くさぁい。ケンちゃんがウザがるわけだよぉ」
 左から、本妻、元婚約者、2号さんってところでしょうか。
 ……墓の前で喧嘩とかロクでもねー。でも一応お墓参りらしいですよ、この人達。
「何しろララのためにドンペリ入れてくれたしぃ」
 2号さんララ(源氏名)は、くるくるの髪を指に巻き付け得意気だ。
「その遊び金の借金、誰が返してると思ってるのよ!」
 本妻ミズキはハンドバッグにギリリと爪をたてた。
「うわ、みみち。あんた内助の功って知らんの?」
 元婚約者メイは墓石にひしゃくで水をかけると、手をあわせしたり顔。
「ホンマに愛しとったうちと結婚したら、死ぬこともなかったのに……」
「聞き捨てならないわね? 彼が死ぬ前に逢ってたのはあなただそうじゃない」
「ララと結婚してくれるって言ってたのにぃ」
 ……借金だらけの男と結婚とかごめんだけどぉ。
 ララがそう口の中で囁いた刹那。
 ヒュ。
 風が奔り、ローズピンクのキャミソールが血に染まった。
「な……?!」
 ケン。
 そう呼ぶ前にメイの胴体を金のブレスレッドが巻き付いた腕が貫いた。
「そ……その腕輪……」
 唯一礼服だったミズキが尻餅をつく前で、ブランドスーツのケンがへらりと軽薄な笑みを浮かべる。
「まさか……グッ」
 軽く抱きしめれば、ミズキはケンの腕の中でひしゃげ黄泉路逝き。
『だーいじょーぶ♪ 3人全員オレが愛してあげるよぉ♪』
 これからもずっとね。
 
「お墓の前で喧嘩とか、どーかと思うけど……そーゆー人生歩んだってコトだよね、墓の主が」
 ひとさし指を折り唇にあて、星崎・千鳥(高校生運命予報士・bn0223)は小さく首を傾げた。
「問題は、墓石の主が封神台のメガリスゴーストの仕業で地縛霊化して、3人をリビングデッドにしちゃったってコト。3号さん以下略がいてもおかしくないし……これ以上被害が出る前に、始末してきて」
 場所は都内郊外のある霊園。
 墓石を背に地縛霊のケンが立っている。彼から見て真ん前に本妻ミズキ、その左に2号のララ、右には元婚約者のメイが立つ。
「彼らは連携して戦ってくるよ。けっこー強いかも」
 クレー射撃の名手だった2号さんララは、回避困難な追撃つき射撃攻撃をしてくる。
 空手道場の跡取り娘だった元婚約者メイは、近接範囲に回し蹴りをかます。
「運が悪いと炎に巻かれるよ」
 生前薬剤師だった本妻は試験管の液体をばら撒く。先の2人より攻撃力は低いが、視界内の敵全体に猛毒付与の可能性があるのが面倒だ。
「最後に地縛霊のケンは、回復技と遠距離への攻撃技を持ってるよ」
 回復は自分と離れた距離の1体を回復しつつ幸運度チェック1回。
 攻撃は20m先の選んだ場所を指さし爆発させる。
「ケンは全力でみんなを殺しに来るよ。でも、とっかかりがないわけじゃ、ない」
 方法は?
 その問いに青年は藍髪を揺らしこう言った。
「殺人犯を、でっちあげて」
 ケンの死にはちゃんとケリがついている。
 更に言えば彼らはゴースト、説得や正しい理屈は通じない。
 だが「こいつが犯人だ!」とその理由や動機をでっちあげれば、犯人と指摘された以外のリビングデッドが攻撃をやめる可能性がある。上手くすれば同士討ちをはじめるかもしれない。
 ただ、2ターンを目安に「やっぱ違う」となるので、殺人方法のでっち上げは沢山用意しておくにこしたことはない。
「ま、そればかりに夢中になりすぎると足下すくわれるかもだから、気をつけてね」
 ――地縛霊のケンは、皆が何を言おうが関係なく殺しに来る。またケンは同士討ちなどに巻き込まれる事は無い……それは忘れてはならない。
「3人は……」
 紅を瞼に隠し、千鳥は携帯端末を胸に押し当てる。
「死ぬ程じゃなかったとは思うんだよね」
 でももう取り返しは、つかない。

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参加者
小早川・奈々(シトラスアナイアレイト・b16673)
渕埼・寅靖(人虎・b20320)
木之花・初名(風待草・b25223)
竜桜院・エレナ(幸運の金色兎・b32417)
文月・裕也(朔夜の着ぐるみ探偵・b33412)
尭矧・彩晴(ベリルユピテル・b38169)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
犬神・伏姫(死人機士団・b77239)
敷島九十九式・新都(ロングショットオーディナンス・b81466)




<リプレイ>

●一発☆即発
『なんでアンタがケンに一番やの?!』
『ララが愛されてるに決ってますぅ』
『ほほほ、この人が好きなのは私だけよ。抱きしめてくれたわ』
 ぎゃーぎゃーわーわーきーきーー!
 ……えー、黄桜ケンのお墓の前からお送りしております。
「自業自得としか思えない人達かも」
 竜桜院・エレナ(幸運の金色兎・b32417)は小首を傾げると左右で束ねた髪からぴょこっと狐耳を生やす。
 七つ星召喚! 
『……ベイビィちゃーん♪ オレ、なんか石化してます』
『なんやて、ケンを殺ッたんはどこのどいつや?!』
 キッ。
 元婚約者メイがメンチを切り能力者達に殺人拳を向ける、前に。
「それは本妻のミズキさんよ」
 ドきっぱり。
 久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)は、体の前にまず口を動かした。
「少しずつ薬を投与して殺した」
「誰かにとられるくらいなら、いっそ殺してわたしのものに……ですよね!」
 沙希の告発に大きく頷く小早川・奈々(シトラスアナイアレイト・b16673)はしたり顔で動機を語る。
「殺しちゃえば奪われることもないもんね」
『やっぱりアンタがケンを……』
『違うわ』
「その高そうなハンドバッグ……保険金は無事受け取れたのかい?」
 わーい☆大人の汚くて生臭い修羅場にお子様ハートキャッチなクロネコさんがきてくれたよー♪
 ……ニヒルな笑いを携えてなー。文月・裕也(朔夜の着ぐるみ探偵・b33412)は今日もきぐるみ、平常運行である。
『ララも買ってもらえなかったのにぃ』
 散弾銃をおろし愛人ララもぷっと膨れ顔。
(触らぬ神に祟りなしと言いたいが……)
 既に犠牲もあり男女問題が苦手ではすまないと、渕埼・寅靖(人虎・b20320)鋼鉄の鬼で目元を覆う。
「どうしようもない男だ、せめて最後に役に立てと保険金をかけ殺したのだろう?」
 戦闘で周囲の墓に傷がつけぬよう気にかけつつ本妻ミズキの前に一足飛び、虎のオーラを纏った。
『クッ』
 ふたりの女が役に立たないと試験管を構えれば、
『ミズキィ、カチカチだよぅ』
 旦那がウザイ。
 煽った裕也が後方で力を高めるのに続き、木之花・初名(風待草・b25223)が放つ水手裏剣がクリーンヒット!
『きゃっ』
 仰け反り外れかけた眼鏡を押さえるミズキにずびしっ!。
「そのインテリ眼鏡は偽り! 肉食女子の本性を隠す仮面!」
 更なる名推理(もうげん)は後回し、矛盾が生じちゃ駄目だからなー。
「そら得意分野で殺っちゃうわな」
 にやり。
 息ピッタリの仲間に唇をつりあげて、尭矧・彩晴(ベリルユピテル・b38169)は自らの思索(もうそう)の純度を脳内で高める。
「その嫉妬心、いい加減認めたらどうですか?」
 奈々のバッドを腹に喰らうミズキに、涼しげな声が追い打ちをかける。
「そうそう……こんな事を聞いたぞ」
 ふわり。
 まだ時期には早い雪をさらり流れる黒髪に纏い、犬神・伏姫(死人機士団・b77239)は続けた。
「そこの男、看護婦にも手を出してたとか」
『なぁんですってぇ!』
 きー!
『女の子はァ全部オレのもんだよォ♪』
 駄目だコイツ。能力者にすら『かもーん♪』って腕広げてる辺りもうつける薬がない状態だ。
「動機はばっちりだな」
 大きく頷き、敷島九十九式・新都(ロングショットオーディナンス・b81466)はミズキの足下に風を起こす。
『くっ……』
 喪服が捲れるのを押さえつつも肌が避け傷ついていく様を、新都の落栗の瞳はしっかり見極めた。
「ミズキは術式通りやすいっぽいぞ」
 さすが肉食系! は語弊があるか?

●すごく気の毒な女
『ホント、使えないッ男』
『イタイのイタイのとんでけェ』
 でも石化解除してすんすん鼻を鳴らす旦那に治されて嬉しいミズキさんですよ。だから頑張って試験管の中味を周囲にまき散らすぜ。
 陣を整えつつ着実にミズキに攻撃を加える面々だが、猛毒はやはり厳しいようで。敵の攻撃を止めるのは必須と決意新たに。

 ――皆の中で『妄言の重要度』がアップしたぞ!

「っく……手厳しいな」
 攻撃自体は雪の力でさほど通さぬものの、2度とも毒を喰らった伏姫が真紅の瞳を眇めた。回復手が倒れぬよう、風を起こす新都と自分に向けてヤドリギの祝福を招く。
「本当は貴女も知ってたんですよね」
 メイとララが攻撃を再開する前にエレナが仕掛けた。
「彼が貴女と結婚したのは貴女の薬剤師としてのコネが目当てだって」
 くす。
 意地が悪い笑みと共に生やした尻尾と続く言葉でエレナは思う様打ちのめす。
「薬物の持出しに貴女は目を瞑って誤魔化してた」
「しかもギらされた遅効性の毒を盛られた事が発覚したそーで?」
「な、なんだってぇー!」
『ど、どうしてそれを知ってるの?!』
 伏姫のオーバーアクションにミズキの頬が引き攣った。
 ……そーか、旦那はマジで嫁に毒を盛ったのか。彩晴の妄言が的中したぞ!
「気の毒だな」
 寅靖の打ち込む無骨な二振りの黒剣に呼吸をあわせ影で引き裂く裕也は、目を伏せて頭を振る。渋く決めたってクロネコさんだから可愛いけどな!
「だが、ララとの無理心中に見せかけて毒ワインを飲ませた罪は消えないがな」
『ひっどぉい!』
 ララは銃をおろしたがメイは沙希に殴りかかろうとしている、ので。
「ふ、それすらもミズキの演技だったとしたら?」
 名探偵初名、ここに起動! 輝け名推理!
「略奪愛」
 ぴくり。
 メイの眉根が寄るのに手ごたえを感じ、初名は続ける。
「……でしか人を愛せないアナタは、夫に飽きてしまった」
『そや! アンタが現われたからうちはケンに捨てられたんや!』
 どごーん!
 握った拳がミズキの頬に入ったー!
「略奪愛で奪った相手が更に略奪されれば、ハンターとしては赦し難いだろうな」
 編んだ槍を4人中央に落とし、伏姫はしれと追撃。
「ついカッとなって毒を座薬と偽ってぶち込むのも仕方ないか」
 衝動的な犯行の割りに座薬とかマニアックですね。
「犯人は誰でもない、自然に落ちた岩だっ」
 何それ新しい。
『な……?! きゃああ!』
 そんな新都の放つ風はミズキを狩り取った。
「みんな、野郎が好きなら殺したりしないだろ」
 ふっと目を閉じる少年新都。そんな良い台詞も、引き続きの妄言で台無しにされちゃうんですけどね。
『ララ、どぉしようかなぁ?』
 まごまごしてるララに『可愛いねぇ』とウインクしつつ、ケンは目の前を指さした。
 どぉん!
 寅靖と沙希と奈々、そして回復で近づいていた初名を巻き込み地面が爆ぜた。
「……と、大丈夫か」
 周囲の墓石に被害なし、ほっと安心の寅靖である。

●修羅の女達
『わぁい、ケンちゃんに誉められちゃいましたぁ』
 はしゃぐララは銃口を寅靖にあわせた。
『オバハンやっちゃって怖いのアナタだしぃ、撃っちゃいますね』
 きゅん!
 間近からの銃弾に両腕で顔を庇うようにガードの体勢を取る。痛みを堪え、しかし凶悪な攻撃が自分に向いた幸運は彼を微笑ませた。
「さすがに……妹の復讐を誓う者の攻撃は、重いな」
『え、ララ意味わかんない』
「隠さなくてもいいわ、本当の貴女は家族を愛する心優しい少女」
 優しげな眼差しでエレナは念動剣を放つ。
 虎視眈々と推理披露を待ちつつ、初名は白燐蟲で寅靖の傷を塞ぐ。
「両親と兄をひき逃げで失った貴女は夜の蝶となり、ずっと犯人を捜した」
 さっき妹って……。
「家族全員殺されるとか、なんて救われねーんだ」
 回復の風を招きつつの新都がナイスフォローを入れた!
『可哀想なやっちゃな』
 瞳潤ませるメイの拳が解けた。
「業界では有名な暗殺者のお前にそんな過去があったとはな……」
 暗殺者。
 裕也がさりげなくヒドイ妄言混ぜましたね。
「成程、ついカッとなって猟銃で股間を吹っ飛ばすだけあるな」
「ああ、恐るべき暗殺術だ」
 伏姫と裕也は重々しく頷いた。
『誰を殺そうとしてたんや?!』
『ララ知らないですぅ』
「そんな仇を本気で愛したのに、婚約者と寄りを戻すとか言われてショックだったんだよね……ごめん、お願い!」
 彩晴と入れ代わりつつ真紅のリボンを揺らす沙希の唇は妄言追撃をやめない。
『結局、アンタがうちらの仲を壊したんか?!』
 沙希の『寄り戻す』も正解です!
「そら根の国の家族にも顔向けでけんわ」
 青の紋様が浮かぶ銃、それは見せ札フェイク。
 弾むように踊るように、彩晴は全力の蹴打をララの腹から肩口を裂くように叩き込む。
『きゃあんッ』
 先程から女達は面白いように妄言にのっている、かつララの攻撃は危険度が高い……能力者達は賭けてみることにした。
「そう、ちょっとしたお仕置きのつもりだったのですよ、浮気の」
 呼吸を整え大自然から生きる力を分けてもらいながら、奈々は鮮やかな髪を靡かせて毅然と言い切る。
「得意の空手でケンをちょっとしばくつもりが力加減を間違えましたね」
 ちょっとしばいて殺人級、その妄言にのったとばかりに伏姫が物々しげに頷いた。
「そうそう……こんな伝説があるぞ」
 伝説とは大きく出たもんだ。
「メイに言い寄った理由は、道場の土地の利権書を盗むつもりだったからだそうだ」
 それ、伝説でもなんでもない。
「哀しい伝説だな、一族の掟か」
 秘技、無理矢理纏め。
 回復に廻る伏姫がツッこまれる前に寅靖が強引にいく。
「結婚の誓いは相手が死ぬまで撤回できない。だから思い詰めて殺した……とはな」
『そんなんちゃうわっ』
「隠さなくともいい。道場の跡取りの間では有名な話だ」
 推理作家にはなれないとかどうしてどうして妄言お見事!
「……厳しい掟、彼と一緒になれば本家の財産が告げる筈だったのよね」
 エレナがぽそっと軌道修正、同士討ちを誘ってみた。
『何ソレ、結局愛なんてないんじゃないですかー』
『じゃかましいわ、小娘!』
 どごぉ!
 メイの右ストレートが今度はララの頬に綺麗に入った、エレナさん勝利です!
「……と、言い争いになった挙句、ついノリと勢いで七年殺しを打ち込んだそうだ」
 ところで、伏姫の殺し方はイチイチマニアックである。

●真犯人は?
 どかばきどかばき。
 同士討ち中をこれ幸いと能力者達は体力回復にシフトする。妄言を吐いて上手く戦っても地縛霊のケンがそれなりのダメージを叩き出してくる、紛うことなき強敵だ。
『仲直りしてよォ♪ 可愛い仔猫ちゃん達ィ』
 ら・ぶ☆
 ダメージが蓄積したララに愛のペーゼを送る地縛霊ケン。調子よすぎだが、そんな彼にくらくら来ちゃう乙女心、30過ぎても乙女心。ララさん公称20歳実は32歳。
 イラッ。
 無傷のケンが回復を選択してくれた方が助かるわけだが、イチイチ腹立たしい。
「演るネタにゃええが実際存在しとると……」
「男の風上にもおけねーやつだな」
 彩晴に頷き新都は溜めた風で仲間達の憂いを払いきった。
「1人の男性は1人の女性しか幸せにできない、これが自然の摂理だってのに」
 なんかこの中学生、ものすごく良いこと言ってます。
「女の敵よね」
 尻尾で叩きのめすエレナに頷く代わりに、やはりとけた封術で寅靖は紅蓮撃を叩き込み、そしてさがった。
「騙されてたんだよ、お前」
「!」
 って入れ代わり前に出たクロネコさんに諭されて、ララのプライドがぺきっとイッた!
「そう、その忍者の末裔にな」
『え? 忍者ァ?』
 吃驚で震える肩をひっつかみ裕也は渾身の着ぐるみアタックをララに見舞う。
『ええー、ララはとんだ道化だったですかぁー?!』
 口からぷしゅるらっと魂吐きつつ2号さんが膝を折った。
『へへん。最後に残ったンはやっぱうちや。なぁ、ケン』
「ふふん」
 喜色満面なメイに低く笑う、声。
「バカなひとですね」
 顔にさす暗い影で最初は誰が言ってるのかわからなかった。何しろこの人達、妄言仕掛ける順番は決めたがその中味までは殆どすりあわせてないし。
「第四の女の存在に気付かないなんて……」
 萬川集海が顔面に翳され――その輝きが声の正体『初名』を白日の下に、晒す。
「犯人は探偵。そう、彼を殺したのは」

 わ・た・し

「な、なんだってぇー!」
「え、初名ちゃん嘘でしょ?!」
 今判明する驚愕の事実にオート驚愕システムの伏姫と沙希か盛り上げるように驚いた。え、演技ですよ演技演技。
「ふふふ、ふふふふ……」
 いや、もう妄言にのって攻撃やめる女達はいないんですけどね? でもまぁ、ほらいいじゃないですか――おもしろいぞ、もっとやれ。
「そんな、初名ちゃんが……」
 初名の手裏剣より妄言に叩きのめされた感のあるメイを前に、くっと奥歯を噛みしめる沙希。
「でも……」
 伸ばした影でメイを吊り上げ沙希はどっかの予報士の如く、ぼそり。

「まあ、あなたが最後に会っていたから実行犯なんだけどね」

「な、なんだってぇー!」
「略奪に乗っちまうわ携帯アドレス帳にゃ女の名前が増殖進行中だわ」
 前に出た彩晴は無限の演技力『たらし』使用! 妄言成功率があがった。
「嘘に大嘘塗り重ねた奴の離婚元鞘匂わす台詞聞くのもええ加減疲れたよねぇ?」
 あれでもこれ妄言じゃないよ?
「さよなら」
 三日月の軌跡で錐もみの体に奈々が渾身の力で粉砕バットを叩きおろす。
 憐れな女が鈍い音と共に崩れる手ごたえを感じながら、奈々はキッと諸悪の根源たるケンを睨み据える。
 眠った人を引きずり出す封神台のメガリスゴーストは許せない、けど――この地縛霊も同じぐらい許せない!

●べいべ、愛してるぜェ♪
「愛のない哀しい話……あの世でやり直して下さいな」
 エレナの念動剣がとすとすっと刺さるのを皮切りにお仕置きタイム開始!
「――くたばれ下衆野郎」
 寅靖の紅蓮に燃やされぎにゃーと叫ぶケンに初名の冷たい声が刺さる。
「知らないんでしょ、どうやって自分が死んだのか」
 死の恐怖を蘇らせるように胸に当てた手から水気を流す。
 追い風浴びた彩晴と新都、それぞれ笑顔と不機嫌顔と対照的だが内心は同じ。
「さっさと根の国還れ」
「現世での過ち、向こうできっちり反省しやがれっ」
 ダブルで突き刺さる神風、孕む感情は同じく怒り。
「まったく罪作りな男だ……」
 ――見えないのは幸いか、真紅の瞳が氷点下に冷え込む様を。
「……去ね」
 冷気と共に伏姫は心が醜き男を吐き捨てた。
「二度と出てこないで下さいね!」
 フルスイング! 奈々のバッドで揺れた脳に届くは、漆黒猫のモノローグ。
「推理は妄想だ。だがこれだけは言っておこう――3人を殺した真犯人……それはお前だ!」
 理解出来ぬ愚図に、裕也は容赦のない着ぐるみアタックをぶつけた。痛みでふらつく足を捉えるは、聖母。
「女の敵! そんなに節操ナシなら鋼鉄の処女の中で最後を迎えなさい!」
 清らかなれ。
 救い難き男よ。
 鉄の処女が閉じたと同時にこの場所は日常へと帰還した。

「いつもより気持ちが晴れやかです」
 メガリスゴーストを壊した奈々は、封神台はやりきれず後味が悪い、それでも放置出来ないと口にする。
 ……頷く者有り、黙々と墓周りを掃除する者もあり。
 それぞれ死者の鎮魂を祈り終えると、彼らは帰途につくのであった。


マスター:一縷野望 紹介ページ
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いまいち
参加者:9人
作成日:2011/10/05
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