さあ、もう一度叫ぼうアビリティ in イングリッシュ


<オープニング>


「るーるー」
 ザクッザクッ
「るーるーるるるー」
 ザクッザクッ
 鼻歌を歌いながら、白髪の少女がスコップを地面に突き刺す。
 ザクッザクッ
 抉られる地面から残留思念がにじみ出る。鈍く銀色に輝くそれはゆっくりと少女の目線まで立ち上る。
 ザクッザクッ
 そして少女の目の前で残留思念が形を成していく。
 ファンファーレと共に現れたのは三体の抗体ゴースト。
「アーイ、アーム、とーーーむ!」
「じゃーーーーく!」
「きゃーーーーさりーーーーーん!」
 絶叫である。しかし、いくら声を大にしても日本語読みなのは一向に変わらない。
「るーるーるー」
 むしろルールーの方が発音が上手いという始末である。
「アンタの英語わからんヨ!」
 あれを英語と断定するのも微妙な話だが、日本語を学んだ外国人的な発音でトムが言う。
「るー」
 しょんぼりとルールーが俯く。
「今度こそ!」
「ワタシたちのいんぐりっしゅが!」
「ぱーふぇくとなコトを!」
『証明してみせる!』

 それから数日後の深夜二時。
 駅前にある既に潰れて久しい英会話塾の前を外国人男性が通りかかった。
「――掘った芋いじくるな」
 明らかな日本語読み。英語の要素がどこにもないそれに、彼は僅かばかりの不快感を示しながら、言い返す。
「No No No! What is it now? ネ。それチガウよ!」
 だが、それがいけなかった。次の瞬間には彼の姿は消えてしまっていた。
「何も違くナイのだ」
 そんな呟きが誰もいない駅前に響くのだった。


「さて、ルールーが現れたわ」
 野乃原・咲耶(高校生運命予報士・bn0285)はやって来た能力者たちに告げた。
「もう既にいくつか同様の案件は解決されて、存在自体は知っている人が多いと思うけれど、ルールーは過去に倒されたゴーストを復活させる力があるの」
 そう言って、咲耶は集まった能力者たちに一つのレポートを渡した。表紙には『みんなで叫ぼうアビリティ in イングリッシュ』とある。
「中身を見てもらえば分かるけれど、そこに出ているゴーストが今回復活したの」
 種類は地縛霊。
 とある駅前にあり、かなり前に潰れてしまった英会話塾に出現していた。
「遭遇方法は前回と同じくなるべく上手な英語の発音をしてあげることが条件のようね」
 午前二時前にその英会話塾の前を通る人に対してひどく日本語読みをした発音で問いかけをする。そして、その人が問いかけよりも上手な発音で返すと周囲にいる人まで巻き込んで抗体空間に閉じ込められるという。
 抗体空間は前回と何も変わっておらず、広いホールである。障害物となるものは特にないが、ホールを囲うように石像やら辞書の山などがある。
 咲耶は黒板にサラサラと今回の地縛霊に関して絵を描いていく。
 一つは二十代の背が高い日本人男性で分厚い本を武器にしている。頭の上に『トム』とある。
 一つは四十代後半でダンディな日本人男性でダンベルを武器にしている。頭の上に『ジャック』とある。
 一つは十代後半でその歳に似合わぬグラマラスな日本人女性で長い長い鞭を武器にしている。頭の上に『キャサリン』とある。
「今回の地縛霊はこんな三体よ。通常攻撃は遠距離まで届かせることができるわ」
 抗体兵器を所持しているため、通常攻撃とは言ってもそれなりの威力があると思われる。
「それから、この地縛霊たちには厄介な能力があってね――」
 相手のアビリティをコピーする能力があるのよ。と咲耶は言う。
「コピーするには三つの条件があるの」
 一つ目は相手がアビリティを使っているところを見られること。
 二つ目は相手がアビリティ名を英語で叫んでいないこと。
 三つ目は相手が叫んだアビリティ名があまりにも英語っぽくないこと。
「この三つ、どれか一つでも欠ければ彼らはコピーすることができないわ」
 ただし、と咲耶は付け加える。
「みんながみんな英語で叫んでいると、つまり地縛霊たちにアビリティのコピーを許さないでいると地縛霊たちは怒って、気術神攻大アップとガードアップ、ファンファーレが付いてしまうから、コピー封じのためには色々と皆で話し合う必要があると思うわ」
 ちなみに、地縛霊が怒るのは丸々十秒間自分達の分からない言語ばかりになると起こるという、非常に短気であることに留意しておきたい。
「抗体空間についてはバッドステータスが与えられる種類のものではなく、時間制限があるタイプのものみたい」
 あまり長く戦闘を続けていると、地縛霊たちの怒りが大爆発して、全員に大ダメージを与える。
「具体的に、タイムリミットは10ターン終了時まで。11ターン開始時に地縛霊たちの怒りが大爆発するわ」
 もしこの怒りが大爆発すれば、大半は戦闘不能、残った者も戦闘継続困難な状態に陥ってしまうので迅速な対処が必要だ。 
「それから、ルールーも同じ場にいるけれど、こっちには大した戦闘力もなさそうだし、特に気にしなくても倒せるわ」
 そうして全体の説明を終えた咲耶は地縛霊の出現する場所が載った地図を手渡した。
「なかなか手ごわい相手だとは思うけれど、みんなで力を合わせればきっと大丈夫」
 Good Luck! と付け加えて咲耶は能力者を送り出すのだった。

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参加者
綾上・千早(殺神一劍・b02756)
美咲・牡丹(緋牡丹・b05183)
綾之瀬・キッカ(エンジェルマヌーヴァ・b05633)
方・瑞麗(魅惑の脚線美・b35580)
苑田・歌依(赤いリボンと飛び道具・b53326)
氷桜・ひさめ(蒼銀珠・b56811)
八重垣・日鷺(中学生符術士・b62091)
鈴鹿・小春(獣の術士・b62229)
御雷・雷華(黒き雷・b72662)
大沢・美風(トパーズオートメタリックス・b77387)



<リプレイ>

●再訪
 前回と同じく深夜二時前。十人の能力者たちが英会話塾の前に集合した。
「……またお相手することになるとは思いませんでした」
「まさか再戦する事になるとはねー……」
 綾之瀬・キッカ(エンジェルマヌーヴァ・b05633)と鈴鹿・小春(獣の術士・b62229)は感慨深げに錆びた看板を見上げる。
「英語は正直苦手なんですけどね……」
 八重垣・日鷺(中学生符術士・b62091)は少し自信なさ気に呟く。
「あいウィッス・あいわーあばー! 大丈夫どうにかなるって!」
「今日のために発音練習してきたんだもん、頑張るよ!」
 綾上・千早(殺神一劍・b02756)と苑田・歌依(赤いリボンと飛び道具・b53326)がドーンと胸を叩く。
「『勉強(文系)』が役立つ依頼は初めてにこざいます」
 氷桜・ひさめ(蒼銀珠・b56811)は学生時代のことを思い出す。
「――夜を徹して勉学に励んだ日々を思い出します。美咲さまは御成果いかがでしたか」
「もとから語学力はそれなりだとは思うけど、発音は件の地縛霊以上、ネイティブ以下……位かしら?」
 美咲・牡丹(緋牡丹・b05183)も学園時代に想いを馳せる。そして、ひさめに進捗を訊ねた。
「私ですか? 英語の恩師や欧州出身の友人たちから徹底的な指導をいただきましたので」
 奥ゆかしそうにひさめは答え、予行演習といった感じで小さく声に出す。
「……ですいず あ ぺん……」
 瞬間、空気が凍った。
 ペンすら日本語読みになるのはある意味才能とまで言ってもいいかもしれない。
「あの、何かおかしなことを申し上げましたでしょうか?」
 当の本人は全く気がついていない。
『掘った芋いじくるな〜』
 まるで仲間を見つけたかのようなタイミングで呪詛のような問いかけが聞こえてくる。
『What time is it now』
『Hello What do you mean?』
『Lets Party』
 全員で思い思いの返答をすると同時に辺りの空間が異質なものへと変わっていく。
 次元がずれた先に立つのは三体の地縛霊とルールー。
「ジャックまた会ったわね」
 大沢・美風(トパーズオートメタリックス・b77387)がダンベルを持ち上げているジャックを真っ直ぐ見据える。
「へいへい、ゆータチのいんぐりっちゅ、まちがってるネ」
「な、なんて酷い発音だ……」
 酷いというか、馬鹿にしているとしか思えない話し方は英語に親しい者が聞いたら怒らずにはいられないだろう。御雷・雷華(黒き雷・b72662)もその中の一人だった。
「私が確かめるために! 自分を試すために! 私のクンフーを見せてあげるわ!」
 構えをとるのは方・瑞麗(魅惑の脚線美・b35580)。だが彼女は小刻みに震えている。
「でも何なの、何なのよ! 今回の相手は!」
 瑞麗が今まで相手をしてきた中では少数派であろう異色系な方々である。自分の可能性を試すには少々相手が違う気がしないでもない。
「――参る!」
 その一声が戦闘開始の合図となった。

●100sec
「そのような発音で英会話の講師とは、我が祖父の言葉を馬鹿にされているようで気分が悪い」
 トムと密着できる距離まで跳んだ雷華の瞳がトムの顎を捉える。
「Crescent fang!」
 雷華の蹴りがトムを仰け反らす。
「Hi Sirochan! It is dinner time.White Parasite Bullet!」
 滑らかな発音と共に牡丹の指先から白燐蟲が飛ぶ。白い塊はトムへと群がる。
「あれからすっかり、私の男性の好みが決まってしまった……ジャック、前のようにはいかないけど、今度こそ落としてみせるわ――Radical‐Homula chage!」
 戦闘モードへと突入した彼女は機械的な調子で叫ぶ。茶色の瞳からは洪水のように数式が流れ、彼女の戦闘能力を飛躍的にあげる。その隣には虎縞模様を浮かび上がらせた瑞麗が並ぶ。
「私が長い年月を掛けて会得した技の数々をあなた達に渡しはしないわ! Tiger crest awaken!」
「えっと、magical charge!」
 更に後衛では歌依が魔方陣を発動させる。
「「のおおおお!」」
 トムが苦しむ様子にか、度重なる英語責めにかキャサリンとジャックはそろって悲鳴を上げる。
「続きます! カイケン、fire!」
 地縛霊が行動を起こす前に日鷺とケットシー・ガンナーのカイケンが行動態勢にはいる。トムに向けられたカイケンの銃口が火を噴く。
「コピー、行きますよ――呪殺符!」
 日鷺が放った呪殺符はトムが盾にした本ごと吹き飛ばす。
「いやーー!」
「じゅさーーつふ!!」
「あいのぉぉぉぉぉイッツいんぐりーーしゅ!」
 ダメージを受けたはずのトムを始めに地縛霊たちが歓喜の渦に包まれる。隅っこで眺めているルールーもドン引きである。
「英語力は……突っ込まない方がいいでしょうね。相変わらず、素敵な日本語英語ですね」
 キッカはにっこりと刺すような微笑をトムに投げかける。
「確か……前はこう、言ってましたっけ。White worm protect……Koko GO!」
 キッカはシャーマンズゴースト・ファラオのココに白燐蟲を放つ。白い輝きに包まれていくココ。その輝きが最高潮に達した時、ココが飛び出した、狙いはトム。だが、トムはそれを受け止める。二メートル近い身長が、くの字に曲がる。同時に爆発音が響く。
「じゅさーーっふ!」
 トムがコピーした呪殺符が至近距離でココに命中したのだ。

「……Snow armor」
 若干緊張気味にひさめが叫ぶ。
「ある意味、これほど緊張する戦いも久方ぶりにございます」
 コピーされた様子がないことを見て、ひさめは緊張と一緒に息を吐き出す。だが、再び理解不能な言語が登場したため、再び地縛霊たちは悶え始める。怒りの導火線が僅か十秒と考えるとこいつらのメンタルは相当弱いのだろう。
 そんな悶え苦しむ地縛霊たちに無情にも小春が追い討ちをかける。真直ぐに伸びた黒漆塗りの刀身がトムの喉元を突く。
「――Scarlet Break!」
 瞬間、煉獄がトムを包み込む。
「オォォォノォォォォ!」
 最後に少しだけ英語っぽい叫びを発しながらトムが倒れる。その様子を見てというか、上手すぎる発音に耐え切れなくなったジャックとキャサリンが頭を抱える。
「うわああ! じゅさーつふ!」
「じゅさぁぁつ!!」
 自らの正気を保とうと、呪詛のたっぷり籠めた符を生み出すジャックとキャサリン。それらの符を千早が叩き落とす。そのまま、二つの剣先をペン先に見立てて宙にイラストを描く。
「スーパーノヴァ・ウサギ・イッパイ描イチャッテ・イッパイアタック!!」
「それ、某・駅前留学なウサギ……」
「はてさて何の話やらー?」
 とぼける千早が描き出したのはジャックをデフォルメ化したものだ。
「すーぱーのヴァ・うさぎ・いぱーい描イちゃて・いぱーいあたっク! かまーーーん!」
 ジャックは千早よりも酷い発音で叫び、攻撃を大の字で受け止める。よっぽど自分が理解できる言語があることが嬉しいのだろうか。しかし、その体に傷一つついていないのはある意味、抗体化されたおかげなのかもしれない。
「本当、すっごいゆかいな地縛霊さんだね〜!」
 歌依が快活に笑う。それにつられて地縛霊たちも笑う。和やかな雰囲気になりながらも戦いはまだ続く。

●50sec
「わざわざ技名を英語になおすの、面倒だったのですが」
 日鷺とカイケンが同じ方向に構える。手にはゆっくりと実体化していく符。
「killer of curse card!」
 呪殺符とカイケンの制圧射撃を一身に受けるジャック。
「ぬおおおおお!」
 苦しんでいるのは攻撃によるものではなく度重なる英語のせいだ。
「コピーされないように行きますよ!」
「英語リスニング平均点75点の力見せてくれるわー!」
 キッカと千早が頷き合う。
「Erosive bullet shot」
「Black shadow blade」
 ジャックが叫ぶよりも二人の技が決まる方が速かった。白と黒でジャックの胴体が彩られていく。ジャックとキャサリンのこめかみに青筋が浮かび上がってきている。
「ほら怒らないで、ごーすとばれっと?」
「HAHAHAHA!」
「HAHAHAごーすとばれっと!」
 小春が放った雑霊弾は地縛霊たちのオアシスとなった。一心に自分達の分かる言語を叫ぶことによって正気を保つ地縛霊たち。
「HAHAHAHAHA!」
 小春も半ばヤケクソで大きく笑う。だが地縛霊たちは笑いと一緒に雑霊弾も飛ばしてくる。
「ジャック……」
 美風は口から流れる血を無表情で拭いとる。抗体化したことによって全体的に強化された攻撃はやはり油断できるものではない。
「Radical‐Homula chage!」
 美風の持つブラックボックスがバチバチと荷電される。そこに白い燐光が混じる。
「Help her Sirochan! White Armor」
 コピーできる物ならしてみなさいな。と牡丹が叫べば、『わからんヨ!』と地縛霊たちがもんどり打つ。
「Fire!」
 その掛声と共に美風が迅雷を放つ。

「俺が仕掛ける。方は援護してくれ!」
 雷華が大地を蹴って軽やかに上昇。瑞麗は姿勢を低く保ってジャックに肉薄する。ジャックは雷華と瑞麗を交互に見やる。
「Crescent fang!」
「Dragon tail!」
 天から降りる牙と地を薙ぎ払う尾がジャックを喰らう。ジャックが態勢を立て直すよりも早くひさめがジャックに肉薄する。
「……Good‐bye」
 ジャックの筋肉に指を滑らせたひさめは最後に指を鳴らす。瞬間、その道筋を辿るようにジャックの体が凍り始める。
「Blue-light magical shoot!」
 歌依が蒼の魔弾を編み出す。蒼く光る弾丸はジャックの体に打ち込まれると一際大きな音と共に弾けた。
「……うわ、わ、なにこれなんかカッコいいかもー!」
 歌依は自分の胸が高鳴るのを感じていた。アビリティ名を英語でだなんて、普段は決して使わないことだ。だからこそ胸が高鳴る。より叫びたくなる。もっと言いたくなる。
 そう感じているのは歌依だけではない。この場にいる多くはそう感じているはずだ。
 そんな一体感を感じながら戦いは更に加速していく。

●Last limit
「負担していただいたお詫びとして、私もローテに参加しますよ」
 一体どっちが負担なんでしょう? と少し困ったように微笑むキッカは白燐侵食弾を放つ。
「びゃくりーん、シンしょくだーん!」
 同時にジャックが白弾を放つ。二人が放ったそれらは正面衝突して、あたりに衝撃がはしり、白煙が立ち上がる。その白煙に紛れてココが距離を一気に詰める。
「カイケンFire!」
 カイケンの制圧射撃とココの突撃がジャックを苦痛の表情へと誘う。
「おーぅのぉぉぉ」
「英語がどうこうより人としてのマナーから生まれ変わってやり直して来なさい」
 ジャックの終わりが近いのを感じ取った千早が黒影剣で斬り伏せる。更に美風が千早を跳び越える。その拳には詠唱停止プログラムが渦巻いている。
「Demonstrandom!」
 その拳がジャックの体を貫く。
「美風本体からの伝達……『また会えて嬉しかったわジャック、今度こそさようなら』」
 美風の言葉にジャックは一瞬微笑んだような気がした。すぅっとフェードアウトするジャックを見届けて美風は最後の敵、キャサリンへと向き直った。

「残り3ターンです!」
「なら、思い切って行くよ!」
 日鷺が残り時間を喚起し、それを受けて歌依が「Infinity-air」を発動させる。同時に雷華の周囲にも風が集まる。
「infinity air! 黒き雷の意味を教えてやろう……」
『ヌヌヌヌ……』
 キャサリンの顔がみるみると真っ赤になるが、それを落ち着ける役をひさめが大声で叫ぶ。
「……ら、らぶまっくす……るな!」
 瞬間、ひさめの顔が真っ赤に染まる。
「ラァァァブマァァァァックス! るなぁぁぁぁ!」
 負けじとキャサリンが叫ぶ。十代にしては豊満すぎる体が揺れ、その体が金色の光に包まれた。
「あと二十秒!」
「ここで決めるわよ! Dragon chint!」
 小春と瑞麗が終わりの近いことを告げる。
 小春の標剣が燃え上がり、その炎がキャサリンを包み込む。
 アッパー気味に放った瑞麗の拳がキャサリンの体を打ち上げる。
「シロちゃん、もう二度と復活できないよう、食べ残さないでね。White Parasite Bullet」
「さあ、終わりに致しましょうErosive bullet shot」
 牡丹とキッカの二つの異なる英語が一つの巨大な白燐蟲の塊を生み出す。それが無防備な胴体に命中。
 千早と雷華が駆ける。千早の日本刀に闇が宿る。
「Black shadow blade!」
 キャサリンが着地するのと同時に千早の攻撃が決まる。
「じゅさーつふ!」
 雷華を狙った攻撃だが、風を纏った雷華はそれを超高速で避けると同時に背後をとった。
「貴様のような偽物は俺が倒す!」
 Crescent fangと、地縛霊たちでは到底真似できない本場の発音と共に三日月が描かれる。
「Non‐Stopでいっちゃうよ♪ Special☆magical shoot fire!」
 歌依が編み出した風を纏った魔弾は光線の如くキャサリンを撃ち抜く。
「おぉぉのぉぉぉ……」
 そんな叫び声と一緒にキャサリンが消えていく。
「あと十秒!」
 だが、戦いは終わっていない。全員の視線が隅にいたルールーへと注がれる。
「るー?」
 首を傾げるルールーの前に立ったのは美風だ。
「石兵点穴、発動!」
 みるみるうちにルールーの体は石へと変わっていく。
「一度倒した相手を強化してよみがえらす、つくづぐ変わった能力ですね、けどおしまいです」
「Scarlet……End!」
 美風の石化成功の声を聞いてから放った、日鷺の呪殺符が効力を発揮するのと、小春の紅蓮撃で炎に包まれるのがほぼ同時に炸裂した。
 ズンッ
 重苦しい音と共に石となったルールーが倒れる。能力者たちは再び日常へと戻っていくのを感じながら、戦いは終わった。

●また会う日まで
「英語講師を名乗るならあの世でもっと勉強してこい!」
「外つ国の真似より、まず自国の文化を学ぶべきと思うのですが……」
 雷華は憤慨し、ひさめは長くは送れなかった学園生活から留学をした方が役立つだろうか、と考える。
「あーすっごく楽しかったー! はっ、こーやて覚えれば英語のテストを倒せちゃうかも!?」
 今度試してみよう、と歌依は心に決める。
「……あっと言うまでしたね。でも今回も最後に英語、沢山話したかったのに……そんな余裕がなくて残念でした」
 前回に比べて恥ずかしさが薄れたキッカは残念そうに呟く。
「私……こういうタイプって苦手ね、やっぱり体育会系なのかしら?」
 先の戦いを思い出しながら瑞麗は顔をしかめる。
「ルールーって濃いのしか復活させないのかしらね」
「あんな愉快な人たちを怖い存在にする……恐ろしいわねルールー!」
 牡丹と美風は石になったルールーを見ながらため息をつく。
「ゴーストには違いないんですけど、何から出来ているんでしょう」
 日鷺は首を傾げる。
「これは学園に持って帰るでいいのかな」
 千早の提案に全員が頷く。帰る前に、と小春は英会話教本をお供えしながら去年のものはどうなったのか考える。
「それじゃ、帰ろう。Good‐bye!」
 今年は綺麗に英語で終わらせて、能力者たちは帰路につくのだった。


マスター:星乃彼方 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/11/04
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冒険結果:成功!
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