≪TRPG同好会≫欧州TRPG紀行 〜欧州横断急行の謀略を阻止せよ!〜


<オープニング>


「パリに迫る第三帝国の影!
 悪の組織の根は現代でも滅びてはいなかった!
 スプリーナおばあさんに導かれ、パリの平和を守れ、銀誓館!」

「待ちましたか!?」
「んーん、何も待っとらへんよ」
 慌てて部室のイセス・ストロームガルド(己を識る旅路の道半ば・b47362)に、八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)がにっこりと微笑む。
「二人で1on1セッションデートやもん。キャラの調整しとったら、待つ時間なんかに入らんわ」
「それなら、よかったです」
 ほっとして笑みを浮かべたイセスに、凛々花はきゅっと口の端を釣り上げた。
「あ、はい今回の100レベルウォーロード」
「へ!?」

 その時、携帯電話の着信音が鳴り響く。
 平穏な日常は、終わりを告げた。

 スプリーナおばあさんから明かされた、第三帝国残党組織(メンバー四人)の陰謀。
 それは、欧州を横断する急行列車を舞台に展開しようとしていた。
「はわ〜、客車を占拠した後は銀行強盗……これは、まずいなぁ……」
 耳に当てていたコップを下ろし、眼鏡をかけ直した清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)が、慌てて仲間の元に走り出す。

 敵を呼び出すために、作られたのは一枚のメモ。
『連合軍からの特殊部隊』
『チームメンバー八人では足りない。救援を要請する』
『大変な陰謀を見つけてしまったのだが、連絡は降車後に』
 くす、と久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)が笑って、走り書きのメモに目を落とす。
「これくらいフラグ立てとけば、敵も乗っかってくれるよな?」
 なんとなく暗号っぽい畳み方にして、水原・風戯(禍福の風・b64135)もにやり。
「おっ、敵の雑魚っぽいのが今部屋から!」
 風戯がこそりと言って、親指で隣の客室を指し示す。
「それじゃ、作戦決行!」
 ひらりとメモが落ちる。隣の部屋から出てきた男が、それを拾い上げる。
 そこまでは会心の大成功。
 渾身のミスといえば――そいつが日本語を知らないことだった。

 相手の仮のアジト(列車客室)にて。
「おいジジイ、解読はできたのか?」
「ジジイじゃない博士と呼べ。もちろん完璧だ」
「おお、やっぱりやるなじいさん」
「じいさんじゃない博士だ」
「で、なんて書いてあったんだい?」
「ああ……」
「もったいぶるなよ」
「うむ」
「ほら、じいさん」
「よし読むぞ!」
「おう!」
「パリは燃えているか?」
「…………駄目だー!」

 組織の構成員達の会話を聞いた斎藤・斎(夜の虹・b66610)は、にこりと微笑んだ。
「なるほど……どうやら、手紙は無事彼らの手に渡ったようね」
「ということはぁ……」
 三永・法子(中学生水練忍者・b79255)がきらきらと目を輝かせる。
「作戦、成功ですかぁ?」
「いや、失敗しそう」
「え」
「……でも、勝てそう」
「そういうもんですか」
 そして舞台は――欧州を横断する急行の屋根、最後の戦場へと移る。

「というわけでラスト戦闘です!」
 稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)がびしっと指を突きつけた。
 いきなりである。
 とりあえず客車を占拠しようとしていた男達を、列車の屋根まで追い詰めた!
「これで逃げ場所はありません……覚悟を」
 しかし――男達は不敵な笑みを浮かべる。
「くっくっくっくっく……我らを倒そうとはいい度胸。だが甘いぞ!」
「戦場の! 選択を! 間違えたな!」
「私達の特技はトレビアンな少数精鋭のゲリラ戦。つまり地の利はこちらにあります」
「パリは燃えているか?」
「「「じいさんは黙れ」」」
 しょんぼりするじいさん。
「でも確かに、こういうところに慣れてそうだよ」
 島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)が敵の様子を見て呟く。
 うむ。一般人に被害がなくて、ばれなさそうな場所ってことでここなんだが、敵の方が明らかに足の運びが上手い。
「大丈夫、僕達の方が数が多いし……チームワークなら、負けません。そうですよね!」
 幻が力強く振り向く。

「あ、私従者キャラやりたいですぅ」
「うちはなんか肉体上げたい気分になってきたわぁ」
「ボケじいさんは何で再現する……精神高め、社会低めか!?」
「微妙な個性の彼はPC4に違いないよね」
 そのキャラクターシートはどこから取り出したんだいみんな。
 ここ列車の屋根だぜ。
「そこでキャラシー取り出すの禁止です!」
 普段は温厚な幻の額に青筋が浮かぶ。
「あのー経験点いくつまで使ってOK?」
「レコードシートも禁止!」
「げふ!」
 あ。モーラットヒーローのミージュが顔面にフルヒットした。
 誰の顔面とは言わない。

「というわけでパリの平和を守るために!」
「観光のために!」
「セッションのために!」
 さぁラスボス戦闘だ!

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参加者
清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)
稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)
イセス・ストロームガルド(己を識る旅路の道半ば・b47362)
八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
水原・風戯(禍福の風・b64135)
斎藤・斎(黒い月・b66610)
三永・法子(中学生水練忍者・b79255)
NPC:島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)




<リプレイ>

 今回予告。
「さぁ、すごいことになってまいりました……!」
 イセス・ストロームガルド(己を識る旅路の道半ば・b47362)さんそれじゃ内容わからないよ!
 ほらサキュバスのアルケミラ姉さんがルールブック構えて……、
「あうっ!」
 ぺしーん。
「かくかくしかじかで第三帝国の残党である犯罪者を欧州横断急行の上まで追い詰めてこれからラスボス戦なんやで!」
 八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)さんナイスフォロー。流石恋人。
「まさか伝説のゲルマン忍者集団と戦えるとは! 忍冥利に尽きるです♪」
 三永・法子(中学生水練忍者・b79255)と島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)が、乙女ちっくに目をキラキラさせた。
「事実は小説より奇なり……つまり次のTRPGプレイの肥やしにしろという事だな」
 水原・風戯(禍福の風・b64135)がうんうんと頷く。真サキュバスドールの綾も一緒に頷く。
「ずっと皆さんが楽しそうに、話してるの聞いてましたが、本格的に遊ぶの、実はこれが初めてでしたり」
 斎藤・斎(黒い月・b66610)がその言葉に瞳を輝かせる。
「ええいお前達、我々を放置して遊ぶな!」
「あ、すみません。楽しく遊ぶためにも、悪巧みは阻止したいものです」
 ブルーダーの声に、振り返って話題を敵一同に戻す斎。
「はわ〜、不法占拠にその上銀行強盗なんてさせません」
 清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)がガンナイフを突きつけ、宣言。
「こんな事件にあわなければ一日オールセッション漬けできたのに〜。さっさと終わらせてセッションしたいよっ」
 そっちですか。
「見てるだけならすごく面白い人達だけど、能力を使って悪い事するのは見過ごせないっ!」
「もきゅ!」
 モーラットヒーローのミージュと一緒に稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)が言い放てば、途端に集まる殺気。
「ええい! 我々を!」
「面白い奴扱いするんじゃない!」
「私達は、真面目に犯罪行為を行って」
「パリは燃えているか!?」
「「「じいさああああん!」」」
 容赦なく突っ込まれるじいさんを見つつ、幻は「やっぱり愉快だなぁ」と思わず呟いた。
「ともあれ私達のTRPG魂の前では第三帝国なんて無意味! 久しぶりのセッションで私の心は熱く燃えている!」
「ふ、ドイツ製ボードゲームの素晴らしさを教えてあげましょう」
 久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)とトレビアンの間に火花が散る。
「ともあれ使役さんを巻き込んで悪さをする罪、某アイドルのパクリ疑惑、後は諸々でお仕置きです!」
 びしっと幻が指さすと同時に素早い動作で、能力者達は前衛後衛に別れる
「ええい面倒な! ヤってやるぜ!」
 次の瞬間ティーゲルが膨張する筋肉で上着をキャスト☆オフ!
「今時脱ぎキャラってどうかと思います……」
「げふっ!」
 斎のツッコミにティーゲル、撃沈。
 まさに呪詛呪言。
「はわっ、原稿ないなぁ、あ……昔のキャラシートならあるか!」
 わー咲夜の黒歴史が飛んでいくー!
「こ、れは……」
 戦慄しているブルーダーの前に、躍り出るイセス。
 続いて貴種の魔力を全開にマントを閃かせる凛々花。
 ブルーダーがはっと顔を上げる。
「おお! 我が兄弟達よ!」
「兄さん……!」
 ひしと抱き合うイセスとブルーダー。
 炸裂する爆水掌と鋼の薔薇。
 吹き飛ぶイセスを凛々花がひょいと受け止めた。
「まさか、アンタ、うちの兄ぃちゃんなんか……って、弟言ってる地点で絶対違うやん」
 ぎらりと輝く瞳。輝く月光。
「記憶喪失バカにすんなや」
「ぎゃああ!」
 怖い。
 攻撃も怖いが凛々花の目が怖い。
 間近で見ていたイセスも恐怖した。
 正面から見なくてよかった、とほっとしながら風戯がティーゲルをぶん殴る。綾が後ろで前衛を受け止める構えを取る。
「萌えよパリの火!」
「「「萌え!?」」」
 じいちゃんはドヤ顔。火を噴いたのはフランケンシュタインFW。
「これがニポーンのフウリュウ!」
「ふっ……」
 沙希がそれに負けないドヤ顔をした!
 武者鎧姿で!
「真の日本の心とは! わが心にTRPG魂がある限り、熱くたぎるのでござる!」
「なん……だと!?」
 驚愕するじいちゃん。
「そうですよ、本場の忍法いかがですか〜♪」
 法子がぱしぱし水刃手裏剣を飛ばす。愕然とするじいちゃん。
「わしのニポーン愛は……そんな、もの……」
「ええいほら! ぼーっとしてる場合じゃありません!」
 トレビアンがじいちゃんの腰を蹴っ飛ばす。手加減してるところに愛がある。
「あなた方も!」
 今度は手加減なく男二人の尻を蹴っ飛ばすトレビアン。
「あ、はい、すみません」
 いきなり低姿勢になって戦文字を書き始めるブルーダー。
「残像です♪」
 その文字を法子が避けてにやり。
「あなたに、力を……」
 凛々花がそっと手を伸ばす。月の光が照らす先は――もちろん、イセス。
「これは……! 凛々花さんの想いが力に!」
「行くでぇ、イセス君」
「ええ、凛々花さん!」
(気分が)黄金に輝き、交錯した視線が愛しさに溢れる。
「兄さん……! 僕は今日こそ貴方を超える! シャアアイニング!」
「ウチのこの目が真っ赤に燃える! 以下略で、」
 イセスと凛々花の心が一つになって――!
「あれは伝説のラブマックスパワー!」
 沙希が解説役モードになりながら、輝く二人に注釈をつける。
「「ラァ〜ブラブ!」」
「うおおおおお!」
 ハート型に撃ち抜かれ、ブルーダーは親指立てた。
「ふ、弟よ……いい嫁さん、見つけたな」
「え、た、確かにそうですけどー!」
 思わず照れるイセス。真っ赤になる凛々花。後ろでアルケミラがくすり。
「いいなぁ……」
 頬を染めて呟く斎の頬を、ミージュがつん。
「素敵ですよね」
 振り向けば、癒しのファンガスを手に幻がにこり。
「な、何も言ってませんじょ?」
 ともあれブルーダーが倒れたところで。
「くっ……こうなったら! 必殺! 奥義!」
 ティーゲルが一瞬の焦りを消し去り、武道家の顔になる。
「あれはロダン少数派!」
「知っているのか法子ー!」
「きゃっ! だ、大丈夫、ですか?」
 叫びながら吹っ飛ばされる風戯を、法子のぽよんと斎のぽすっが受け止めた。
「……くっ」
 斎が自分と法子の主に胸部を見比べて悔しげに呟く。
「ダメージはゼロ! わが心のTRPG魂受けてみよ!」
 ゴールキーパー姿のアルケミラと女中姿の綾に受け止められた沙希がにんまりと笑って、斬馬刀を黒に染めて打ちかかる。
「ベルリンの紅い雨!」
 続けてすぐさま前線に復帰した風戯が、そのまま漆黒をまとった手刀を叩きつける。
「組み方ロマンしかないキャラさらすよ〜」
「……マシラがメイン攻撃!?」
 咲夜のキャラシーに絶望の声を上げるトレビアン。ダイス五個も減るもんね。
 ともあれトレビアンと、全力でHP1のティーゲルを殴り飛ばし。
「おじいさん、あとはあなただけです!」
 幻が詰め寄れば、「そうか」とじいさんは渋く笑って。
「最後に、一つ聞きたい」
「なんでしょうか」
「――パリは、燃えているか?」
 その瞬間、一同が微妙な罪悪感に駆られたことは言うまでもない。
 ぼこったけど。

「貴方達は私達のTRPGの絆の力に敗北するの! 悔しかったらTRPG力を身につけて来ることね」
 というわけで片づけ後。
 ルームサービスの豪勢な料理が並ぶ中、彼らは二卓に分かれて座る。
「やぁこたんさんとセッションできる日が来るとは……」
「おらもみんなと遊べるのなまら楽しみだったよ!」
 片方の卓のGMはイセス。
『ではみなさん、はじめましょうか』
 機械的な声がスピーカーから開始を告げる。パソコン上の再生スイッチを押しつつ、もう一つのGM席に座っているのはなんとアルケミラ姉さん。
 というわけで。
「あらゆるレシピを記憶する超頭脳と、自ら生成する化学物質で感情すらも操る、元第三帝国の脱走兵で支援キャラ『超人シェフ』やでぇ」
 凛々花がふっと微笑み、(キャラクターが)眼鏡をくいと上げる。
「ふ、何でも切れる妖刀を携え、世界中を旅する日本人の素浪人、熱い好漢だぜ」
 風戯がにやりと笑い、『幻の食材を入手せよ』というハンドアウトを振って見せる。
『実は火の神の末裔で炎を操る無口な女性キャラです。よろしく』
 そう書かれたプラカードを掲げ、綾がぺこりと頭を下げる。
「あの、ハンドアウトが『料理の力で元の時代に戻る』なんですけど……で、サンプルの女子高生支部長さんなんですけど……」
「OK問題ないよ! 舞台1940年代だけど!」
 戸惑う斎に向かって、力強く頷くイセス。
「そ、そうですか。とりあえず現代から時を超えてきました」
 いきなりハードな気配に驚く斎の肩を、ぽんと凛々花が叩いて笑みを浮かべる。
「了解、じゃあおら甲殻類やるよー」
「「「え?」」」
 こたんの素っ頓狂な発言に、思わず振り向く一同。
「第三帝国の陰謀により料理されそうになった時にレネゲイド感染した伊勢海老のレネゲイドビーイングだよ!」
 イセスがぐっと親指を立てた。

 こちらはアルケミラ卓。
「こら、ミージュは皆の分のお茶まで飲まないの。一緒にPCを動かすんだからね」
「きゅいー……きゅー♪」
 幻の言葉に膨れっ面していたミージュだが、色とりどりのダイスに目を輝かせる。幻の頭ではファンガスのファタがゆらゆら。
「ヘイ遣欧使節団と一緒に東方の国からやって来た武士だよ。六本の日本刀とマフラー付きの愛馬太刀風と戦場をランスルーですよ!」
 咲夜がVサインしながらキャラクターを紹介する。ちなみにキャラは女性だ。
「GM、追加ルール使ってサイボーグのカピバラってOKですか?」
 ぐっと親指立てるアルケミラ。ここらへんイセスと姉弟である。
「では、第三帝国の強化兵士だったが、密命の途中で脱走したカピバラです。俺が一人称のクールな雌です」
 幻が微笑めば、隣でミージュが強化兵士っぽいポーズを取りまくる。
「ふっふっふ、今回は熱血快男児じゃないわよ! 滅びた西洋魔術を研究するヒロインですよ、ヒロイン!」
 びしっと沙希が自己紹介を決める。しかし普段そんなに快男児役が多いのか。
「こちらは由緒正しい忍人使いの忍狗さんですよ♪」
「…………?」
 最初に違和感に気づいたのか、アルケミラがはてなマークを描いたスケッチブックを掲げる。
「ふっふっふ……」
 キャラクターシートを握り締め、含み笑いをする法子。
 というわけで――セッション、開始である。

 以下、二卓混合となるがダイジェストでお送りしよう。
「あ、それ知ってる、歴史の授業で習ったわ」
 そう言ってぽんと手を叩く斎の前で、巻き起こる怪奇現象。
 巨大中華鍋に乗った第三帝国エージェントの登場!
「そんな、教科書と全然違う……」
「ふ、料理のためなら我々は敵性文化も取り入れる!」
 現代に戻ることを目指す支部長の前に、立ちはだかるエージェント達を切り払い。
「またせたな……食材を届けにきたんだが、道が混んでて遅くなっちまったぜ」
 チリソースに濡れた妖刀を肩に、ふっと微笑む風戯。
 すぐさま綾が、『炎で攻撃』のカードを掲げてみせた。

「度重なる人体改造で、味覚も常人の枠を飛び越えてしまったんよ……」
 眼鏡の奥で光ったのは、瞳か、それとも――。
「ワシも、料理される側になったことで常伊勢海老の壁を飛び越えてしまった……因果ピチな」
 伊勢海老がその隣で遠くを見つめる。

「アニモーが人の言葉をしゃべるなんてアンビリーバボーだよ」
「ふっ……機械の如き馬で六本刀で戦う女も、俺達と同類さ」
 ぱちんとウィンクする咲夜に、幻がクールに微笑んでみせる。
『登場してもいいですか』
 そう書いた紙を回してから、沙希は「あ、私は普通に喋ればよかったんだ」とぽんと手を叩く。にこっと笑って頷くアルケミラ。

「あ、あれ? 『秘密の食材を運んでいた』強化兵士が消えたって……ひょっとして食材ってカピバ……」
「も、もきゅきゅー!?」
 幻の視線に、慌ててミージュが全力で逃げる。

「(はわ、モブ一掃しますね)」
 ほわっと微笑んで物騒な事を呟いた咲夜は、さっと自分の駒を前に進める。
「この程度の数で私を倒そうなんて100年アーリィだよ――さて、パーリィを始めるとしましょうか。小十郎背中は任せるよ」
 ちなみに小十郎はエキストラである。
「ふっふっふ……それでは中ボスはお任せあれ♪」
 にやりと笑って法子が前に出したのは――忍狗のフィギュア。
「攻撃性能的に狗が80、人が20の伝説のメリケン忍者さんは実は狗が本体だったんですよ!」
「「「なんだってー!?」」」
 驚く一同。ものすごい勢いで『!』を画面出力するアルケミラ。

「この俺の鼻は千里先の食材も嗅ぎ分けるが相方は特に何もしない……!」
 腕を組んで言い放った法子に、ミージュが賛同の頷きを返す。
「ミージュ……そんなこと思ってたの?」
「きゅぴー?」
 ミージュはささっと「ん、知らないよ☆」って顔になった。

 にやりとGMのイセスとアルケミラが、同時に笑う。
 ラスボスの登場だ。
「そしてついに総統閣下が厨房に立ちます」
 地の底から響く程の低音で。
「よかろう、余のアーリア式世界宮廷料理に抱かれて死ぬがよい」
 邪悪な笑みは、GMのテクニック。
「待ってー! 第三帝国ってそんな組織じゃないー!」
 常識結界を見事に破壊されて半泣きになる斎。
「あ、あなた達の料理なんて私の魔術を駆使した料理で蹴散らしてあげるんだから」
「面白い、やってみろ」
 勢いよくダイスを振る沙希――1、1、1、1、1!
「い、一個でも2が出ればファンブルじゃないのに……アーリア式世界宮廷料理……侮っていたわ……」
 がっくりと倒れた少女は、仲間達の手を取って後を託す。
「私の屍を越えて皆、きっと皆なら大丈夫。私は信じてる」
 ――りざれくと。

「は! 今まで自分の食べたい味を作っていた……相当、貴方は間違っている!」
 眼鏡を上げ、初めて感情をあらわに美女は指を突きつける。
「料理に必要なのは相手を思いやる心、今こそ、レシピ通りに作る時!」
「調理技術、訓え……お借りします、霧谷さん!」
 今まで戸惑うばかりだった少女が、顔を上げ包丁を握り締める。
「いくよ太刀風、レッツダーンス、舞い踊れ死の舞踏っ」
 邪魔する軍人達を、政宗(咲夜)が全力で吹き飛ばして。

「「「レジスタンス特製家庭料理、推して参る――!」」」
「そうか……我々に足りないものは、家庭の、味――」
 総統閣下はそう呟き、動かぬ者と成り果てた。

 それぞれのエンディングが流れる中。
 綾が風戯の服の裾を引く。
「ん、分かった。俺に向けての台詞だな? ……『貴方の事が好きになりました。私を……』読まなきゃ駄目?」
 凄い勢いでうんうん頷く綾。
 素敵な愛の言葉だったのか、それとももっと……だったのかは、この卓の参加者だけが知っているお話。

「それでは、セッションを終了します」
「「「お疲れ様でしたー!」」」


マスター:旅望かなた 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2011/11/24
得票数:楽しい2  笑える15  知的1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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