富士山麓、妖鳥の災い:お喋り鳥は災いへの糸を紡ぐ

<オープニング>


「京の書道使いが、不滅の災いの復活の予兆を感じ取った」
 集まった皆にそう告げたのは、墨枝・宗司郎(高校生真書道使い・bn0314)。
 その彼の言葉を受け、水無瀬・詩杏(高校生運命予報士・bn0212)は続ける。
「宗司郎さんのおっしゃったように、不滅の災いの下僕である『妖鳥』達が、富士山頂から出て、東へ向かって飛び立とうとしているようですの」
「書道使いに伝わる文献によれば、不滅の災いが復活するには、まだ時期が早すぎるのだが……『妖鳥』が動き出した以上、何かが起こっているとみて間違いはないだろう」
「妖鳥達は、5〜10体程度の編隊を組み、小富士から宝永山の間を通って、国道138号線に出るルートで移動を行っておりますわ」
 何が目的かは不明であるが、このまま妖鳥たちが人里に出る事を座視するわけにはいかない。
 急ぎ、富士山に向かって、この妖鳥達が人里へ行軍するのを阻止して欲しい。

「皆様に向かっていただくのは、道紡鳥『イトユフ』という妖鳥が率いている群れですわ。イトユフと、その配下の妖鳥が5体、合計6体おりますの」
 妖鳥の群れと遭遇するのは、曲がりくねった細い山道。
 道紡鳥『イトユフ』ら妖鳥はそこそこ知性があり、現代知識や現代語も多少身につけているという。そのような相手と戦闘になった場合、少々戦いにくい地形かもしれない。
 周囲の情報収集や迎撃地点までの移動、登山客が迷い込まないようにする仕事などは、京都の書道使い達が行ってくれるという。そのため皆は、道紡鳥『イトユフ』率いる妖鳥の群れの対応に集中してもらって大丈夫だ。
「道紡鳥『イトユフ』たちは炎を纏った妖鳥で、もしも戦いになった場合は、炎を撃ち出す攻撃を仕掛けてきますの」
 また、イトユフはその名の通り、戦場中に炎の糸を紡いで動きを拘束してきたりもするという。
「そしてこのイトユフは、とてもお喋りな妖鳥のようですの。戦闘になれば、戦場中に響く炎を纏った言の葉を紡いで攻撃したりもしてきますわ」
「お喋りな、炎使いの妖鳥か」
「ええ。妖鳥達が人里に下り立てば、かなりの被害が予測されますの。そうならない為にも、富士山麓で妖鳥達をこれ以上人里へ近づけないよう対応をお願いいたしますわ」
 詩杏の言葉に頷いた後、宗司郎はふと思案するように呟く。
「それにしても、不滅の災いの復活までにはまだ時間が掛かる筈。この妖鳥達の動きには、どんな意図があるのだろうか……。また、現在の不滅の災いの状況も気に掛かるな」
 富士で決死の陣を敷き、そして銀誓館の皆に死にかけたところを救われた身。
 今回の予兆・妖鳥の行動や不滅の災いのことが、人一倍気掛かりなのも仕方はないだろうが。
「申し訳有りませんの、運命予報ではこれ以上詳しいことは……詳しい状況は、実際に富士に赴いていただかないと分かりませんわ。ただ分かっているのは、このまま妖鳥たちが人里へ下りればかなりの被害が出てしまうということです」
 そんな詩杏の言葉に、大きく頷く宗司郎。
「気になることは確かに多いが。まずは被害が出ぬよう富士に向かわねばな」
 今度は、命を救ってもらった銀誓館学園の一員として。再び富士へと赴く決意をする。
 阻止すべき、お喋りな妖鳥・道紡鳥『イトユフ』たちの行軍。
 この予兆は何が原因か、またどのような災いへの糸を紡ぐことができるか。
「京の書道使いも、銀誓館が妖鳥に集中できるよう尽力してくれる。何かが起こっているのだろうこの予兆、我等も気を引き締め、事にあたらなければな」
「気掛かりなことも多いですが……まずは妖鳥の対応を、皆様に託しますの。お気をつけて、どうそよろしくお願いいたしますわ」

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参加者
香我美・允(ムルさん〜あやとり名人〜・b16223)
津上・晶(緋天蒼雷・b57574)
四宮・菊里(軍星・b65501)
天守・矜星(全てを振り切る灼熱の最高速・b67547)
菅間・ヤロスラーヴァ(静かなる追跡者・b67571)
稲葉・和音(黒獣凶華の断頸刃・b68065)
山吹・慧(想浄奏黒・b71495)
斎東・黎(濃紫の摩天楼佇む追跡者・b78933)
津上・沙由理(黒天白月・b79589)
姉小路・華弥(断簡零墨・b81751)
NPC:墨枝・宗司郎(高校生真書道使い・bn0314)




<リプレイ>

●道紡ぎ、糸結う
 どんよりと雲に覆われた富士の空が何処となく気忙しいように感じるのは。
 空を舞う鳥たちの異変を、知っているからだろうか。
 登山道から外れた、道と呼べるかも分からない山道を急ぐ能力者達の数は、11。
(「果して動ける状態で4人も横に並べるのでしょうか……」)
 香我美・允(ムルさん〜あやとり名人〜・b16223)は曲がりくねった細道を往きながら、どこまで続くか分からない樹林の先を見つめる。
 登山靴に防寒着等、ただ登山するだけならば抜かりのない装備。
 だが、このけもの道が派手に動き回るのに適した場所かといえば、決して頷けない。
 それでも……ここで何とかして食い止めなければならない。
 妖鳥達の、行軍を。
(「とうとう、動き出しましたね」)
(「不滅の災いが動きましたか」)
 並び、共に歩むのは、津上・沙由理(黒天白月・b79589)と津上・晶(緋天蒼雷・b57574)。
 そんな二人が抱く感情は――違和感。
 いや、二人だけではない。
 全員が何かしら、主を富士に残し急に飛び立ったという妖鳥達の行動に引っ掛かりを感じていて。
 黙々と歩みを進めながらも、それぞれが心に思う。
(「メガリスアクティブにファラオ最近活動が活発だが、いや、まさかな」)
 菅間・ヤロスラーヴァ(静かなる追跡者・b67571)は目まぐるしい情勢を思い、一抹の不安を持ちつつも。以前も使用した登山MAPを、物言わず確認する。
 この地図を前回使用したのは、数ヶ月前。
(「……またこんな形で富士に来ようとはな」)
 独自に集めたものや受け取った情報を頼りに進みながら、斎東・黎(濃紫の摩天楼佇む追跡者・b78933)はそうふと思いを巡らせて。
(「あァ、考えてみりゃァ良い機会か。福原で付けられなかったケリを清算するには、なァ」)
 さァて……前哨戦と行きますか、と。
 只ひたすらに前を見据える、稲葉・和音(黒獣凶華の断頸刃・b68065)。
 人里に被害が出ないようにすることは勿論であるが。
(「あの危険な不滅の災いに異変が起こってるんやったら、ほっとかれへんな」)
 天守・矜星(全てを振り切る灼熱の最高速・b67547)も同じく、あの日のことを思い返していた。
 11人のうち数名は、数ヶ月前も、今と同じように。
 仲間と一緒に不滅の災いを追って、この富士へと赴いていたのだ。
 そしてまた巡ってきた、運命の糸。
 だが不滅の災いと因縁深いのは、彼等彼女等だけではない。
(「書道使いに連なる者として、断じて見過ごせないな」)
 姉小路・華弥(断簡零墨・b81751)や墨枝・宗司郎(高校生真書道使い・bn0314)ら、書道使いも同様だ。
 何が起こっているか詳細はいまだ分からず、気掛かりも多いが。
 被害が出るならば……立ち塞がるまで、と。刹那、11人の表情が一斉に変化する。
 灰色の空を舞う、鳥の群れを見つけて。

「イトユフ!」
「貴女がイトユフさんですか?」
 同時に上がったのは、静かだった山道によく響き渡る允と矜星の声。
 それに気付いた群れの先頭をいく1体の妖鳥は、大きく首を傾げた。
『何故其の名を知る? 正に妾は、道紡鳥イトユフ。御主等は誰ぞ?』
(「『糸』を『結ふ』と書いてイトユフでしょうか?」)
 優美に羽ばたきながらそう答える妖鳥を見つめ思う、山吹・慧(想浄奏黒・b71495)。
 その糸が災いを結ぶものであるのならば阻止しなければならない。
 だが……もしも、違う糸を結ぶのであれば、と。
 警戒は怠らずに。でも、まずは彼女等との会話を試みようと。
 すぐには仕掛けず、再び口を開く能力者達。
「お急ぎの所悪いですが……事と次第によっては無用な争いを避け、徒らに時を消費せず済むかもしれません」
「その様に急いでただ主の下に馳せ参じるだけではなく主の様子に何か異変が?」
 四宮・菊里(軍星・b65501)の言葉に、允がそう続けた瞬間。
『イヘン! イヘン!』
『主ノキキ!』
 イトユフの取り巻きの妖鳥達が、そう声を上げる。
「ただ慌てふためくより落ち着いて、何がありました?」
「お前たちが慌てふためかなければならない程、不滅の災いに何かあったということか」
「進む先には人里があるから通せん、だが何かあったんか?」
 妖鳥を宥める允や華弥と共に、そう疑問を投げかけた後。矜星は妖鳥達に名乗る。
「オレは天守・矜星。銀誓館学園の者だ」
『!』
『ギンセイカン!』
 再びざわめく妖鳥たち。
 予想以上の反応に、さらに続ける矜星。
「以前オレ達は、不滅の災いやその使徒と直接相対し、話したことがある」
『使者?』
「エニシユカリだ」
 再び首を傾げたイトユフにそう端的に告げるヤロスラーヴァ。
 それを聞いた、イトユフは。
『そうか、御主等が知彗鳥の言っていた者か』
 騒ぐ他の妖鳥達に指示を出し、ばさりと踵を返した後。
 こう、言ったのだった。
『ならば話は早い。妾等に、ついてきてもらおうぞ』

●災いへの道
 まさにその二つ名の如く道を紡ぐ妖鳥に続きながらも。
「この場はこれで治まりましたが……やはりまだ先があるようですね」
 思いがけぬ展開にそう呟く慧に、菊里も頷く。
(「一体何に繋がっているのか……気を抜けませんね」)
 恐らくイトユフが紡ぐ道の行き先は――富士山頂。
 だがそもそも、今回の行動の原因や目的は何か。
 お喋りだという妖鳥に、能力者達は疑問を投げかける。
「ところで、何が起こったのですか? そして何処へ向かっていたのですか?」
『起こりしは主の危機。妾等が目指したのは東の地』
『ヒガシ! ヒガシ!』
「東へ行く、か……応龍でも招待する気か? 手前等。それとも霊亀も追加かい?」
 慧の問いに答えたイトユフに、そう他の災いの存在を匂わせ、鎌をかけてみる和音。
(「おしゃべりな妖鳥……何処かにある事ない事吹込みにゆくつもりでは」)
 允も探りを入れるように、こう訊ねる。
「狐さん達に何かおっしゃりに行かれていたのでしょうか」
『……?』
 だがよく意図がよく分からなかったらしく、一層大きく首を傾けるイトユフ。
 そんな彼女にさらにたたみ掛ける様に、皆は再度質問を重ねた。
「それで、どこへ向かおうとしていたんだ。方角から……目的地はどこだ? 鎌倉か?」
「源氏の都、鎌倉に御用とか」
「まさか鎌倉に向かうつもりか? お前達を封じた源氏の末裔に用があるとでも?」
「主の危機とは、災いに何か危険でも?」
 そんな黎や允、華弥や菊里の問いに、イトユフと妖鳥達はあっさりと答える。
『正に目指す彼の地は鎌倉、銀誓館』
『カマクラ! ギンセイカン!』
 やはり彼女等の目的地は、鎌倉であった。
 しかも――目指す場所は、銀誓館学園であるというのだ。
「主の危機に富士山を離れて、大丈夫なのでしょうか」
「それに、どうして人里を襲おうと?」
『人を襲えば銀誓館が現れる。それが、エニシユカリの作戦』
 問う晶と沙由理に、さらりとそう言ってのけるイトユフ。
「!」
 人間を襲えば銀誓館が現れる。その思考は、いかにもゴーストらしい。
 現状は温和に済んでいるとはいえ……立ち塞がらなければ、確実に被害が出ていたということだ。
 他の人に質問は任せているが。ヤロスラーヴァは念の為イトユフへとゴーストチェイスを施し、宗司郎と共に静かに彼女等の話に耳を傾けている。
 それから――細い樹林の道をようやく抜けた頃。
 投げる質問も、核心に迫る。
「今、不滅の災いはどうなってるんだ? 今回のことは独断行動か、何者かの干渉があってのことなのか?」
「もし何らかの介入があるなら阻止すべきと思うからなァ」
 そんな黎や矜星に導き出された名は。
『主を危機にたらしめるは、ブリュンヒルデと名乗る者。主や妾等を取り込まんとする輩』
「情熱のブリュンヒルデ……!?」
 皆の知る、思わぬ存在のものであったのだった。
 そして。
『ブリュンヒルデと名乗る者等による襲撃で、妾等の仲間が次々奴等の支配下に降っていった。妾等では、かの敵と戦う事はできない』
 だから、妖鳥は東の地・鎌倉を目指したのだ。
 人間を襲って銀誓館を誘き出し、あわよくば、主の危機をどうにかして貰おうとして。
 ――その時だった。
「!」
 全員が一斉に、足を止める。
 眼前に姿をみせた存在。それは――。
「抗体ゴースト……!?」
 抗体兵器の槍を携える鹿の獣人の群れと。
『オマエは道紡鳥? わざわざ死にに戻ってきたか』
 配下に降った、妖鳥達であったのだ。

●道を開く
 問答無用で襲い掛かってくるのは、獣人と妖鳥の混合軍。
 思わぬ抗体ゴーストの存在、そして想定していたイトユフ戦に比べその敵の数は若干多いものの。
 細くうねっていた先程までの山道に対し、樹林を抜けたこの場所は、幸い広く拓けていて。
 余裕をもって陣形を成した能力者達は、立ち塞がる眼前の敵の殲滅に動く。
 道紡鳥イトユフ達と、一緒に。
「力もつ文字の束縛、味わうがいい!」
 獣人と妖獣をきつく縛りし戦文字は、華弥のしたためる『伊邪那美』。
 展開するリフレクトコアに守られながら慈愛の舞を舞う沙由理と同時に、轟き撃ち出されるは晶の蒼き雷弾。
「……立ち塞がるのならば容赦はしません。その道、開けて頂きます」
 菊里が解放するは、金色の妖気。そして眩き九尾の追撃で槍振り上げる鹿獣人を地に沈めて。
 同時に宗司郎の書く戦文字『豊穣』が、炎撒き散らし皆を蝕んでいた敵妖鳥の魔炎を打ち消せば。
 富士の霊峰にこだまする允の響音の衝撃が、妖鳥1体を空より撃ち落とす。
「寝返ったとはいえ、災いの眷属の実力とはその程度ですか!」
『既にあやつは災いの眷属に非ず』
 そう続けたイトユフが紡ぐは、燃え盛る焔の糸。
 他のイトユフと共に在る妖鳥も能力者に手を貸し、主への道を阻む敵へと炎を放った。
 だが……相手には、抗体ゴーストもいる。
『!』
 ギャアァッと奇声を上げ地に落ちる、味方妖鳥。
 その数は、イトユフ除き2にまで減っていた。 
 最前に出る役割を担う者として、前線維持が第一義。それに、能力者の中で最年長の身としても。
「情けねェ姿は見せられねェだろォが!」
 そう気合の声を張り、繰り出された和音のインパクトと同時に。
「悪いが炎勝負で負けるわけにはいかへんなァ!」
 炎龍の如き矜星のインパクトがさらに重なり、炎を吐く最後の敵妖鳥を打ち倒して。
 味方妖鳥へと襲い掛からんとする獣人へと、ヤロスラーヴァのインパクトが叩き込まれる。
「今回の一件、生と死をわかつものが噛んでいるのか……?」
 ブリュンヒルデと、そして彼女と手を結ぶ異形の存在。
 爆水掌を敵へと見舞いつつ、慧は試しにそう呟いてみるも、戦闘音にかき消される。
「イトユフ達と違って聞く耳持たないのなら、穏便友好に……て訳にはいかないんだよっ!」
「書画とて意志持つ力となるを知れ!」
 牙を剥く黎の放った衝撃波と、それに続き描かれた華弥の書画の具現が、残り1体となった鹿獣人の身を大きく揺らす。
 そして。
「炎の陣を鎮めるは、白月にかかる霞の陣」
「蒼雷……穿」
 浮遊す剣を傍に携え、扇を広げ舞う沙由理の慈愛が満ちる中、再び轟音を響かせた晶の雷撃が。
 蒼に閃いて鹿獣人を激しく撃ち抜き穿ち、敵に引導を渡したのだった。
 そして、生き残った2体の妖鳥と共に、ばさりと大きく羽ばたいて。
『先へ、我が主の元へ』
 道紡ぐ鳥は再び、不滅の災いと能力者達を結ぶ糸を、紡ぎ始める。
 目指す富士山頂まで――あと、もう少し。

●集いし者たち
「暑いですね……」
「この時期の富士山頂は、氷点下のはずなのですが。それにこの光は……?」
 山頂に近づくにつれ感じる異常な暑さ。
 思わず呟かれた晶の言葉に、沙由理も首を傾けて。
 山頂付近に揺らぐ『金色のオーラ』を見上げる。
 だが……この金色の光や異様な暑さを感じるのが、初めてではない者もいる。
「あァ、やっぱりあの時と同じってェわけかい」
 和音は驚くどころか、確信するようにそう言って。
 ヤロスラーヴァも静かに頷く。
 和音にヤロスラーヴァ、それに矜星と黎は、以前不滅の災いを追ってこの富士へと赴いたことがある。
 そしてその時も、まさに今と同じ状況であったのだ。
 それは即ち……不滅の災いが、火口から姿を現しているということ。
 ――その時だった。
「! 誰かいる……?」
 慧は自分達以外の気配を感じ、足を止めた。
 張り詰める緊張感。
 ……だが。
「焔弥、何故此処に?」
 華弥は見知った顔を見つけ、そう声を発した。
 そこにいたのは、藤堂・焔弥(蒼焔の剣・b68516)たち、銀誓館学園の者であった。
 そして彼等の傍にも、イトユフと同じ妖鳥の姿がある。
「皆さんも、妖鳥さんから話を聞いて来たんですね」
 状況を察しそう言った允に、菊里も続く。
「現在の不滅の災いやブリュンヒルデは、どのような状態なのでしょうか……?」
「……見る限りだが……ブリュンヒルデ優勢だな。不滅の災いが、着実に火口より引き摺り出されている」
「そうですね。しかし……激しい戦いですね。遠く離れた此処まで、その気迫が伝わってきます」
 東雲・聖弥(真魔剣士・bn0036)の言葉に頷き、額から流れる汗を拭う晶。
 ブリュンヒルデ対不滅の災い。その戦いは全力対全力で、遠く離れた己達にもその気迫が伝わる。
 さらにその周りでは、妖鳥達らの戦いも繰り広げられていた。
「しかし……すごいわね。それ以上……言葉が出てこないわ。でも……このままにしておく訳にもいかないわね」
「そうですね……しかし……どうします?」
 訪ねる長谷川・カノン(踊れ血の海で・b83718)に、即座に答えるのは、矜星。
「不滅の災いの力が強大なのを知っているからこそ、今回の異変を見過ごすわけにはいかん。せやからオレ達は、不滅の災いを援護するぜ。ブリュンヒルデが不滅の災いを支配下に置く事を許すわけにはいかへんからな」
「……不滅の災いに手を貸すのか?」
 書道使いに連なる者として、封印すべき不滅の災いを援護することに一瞬戸惑いをみせる華弥。
 だが彼女と同じく、思うことは胸中にあるだろうが。
「状況が状況故、今はブリュンヒルデの目論見を打破しなければならない。不滅の災いを援護しよう」
 そうはっきりと、華弥を諭すように告げる宗司郎。
 そんな彼の言葉に、黎も大きく頷く。
「そうだな。ブリュンヒルデ達は、まだ私達の存在に気づいていない。それが、勝利の鍵だ」
 今いるこの場所は、ブリュンヒルデの後背。
 敵がまだ自分達に気付いていないこの状況下で、これからどう動くべきか。
 富士の元に集った20人の能力者達は、考えを巡らせる。


マスター:志稲愛海 紹介ページ
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作成日:2012/03/02
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