三匹の斬鬼


<オープニング>


「ヒャハハハハ!」
 岐阜県の県境にある町に、奴らは現れた。
 狂気じみた笑い声に、人々が振り返る。
 抜き身の刀や槍を手にしたその一団を見て、皆が足を止める。
 その奇抜な出で立ちと振る舞いを見て、即座に恐怖を感じられる程、町の人々は死の危険に敏感ではなかった。
 刀がスーツ姿の男性の首を飛ばし、長刀が女子学生を自転車ごと真っ二つにしても、悲鳴は上がらなかった。
 テレビか映画のスクリーンを見ている様に、呆然と立ち尽くす人々。
「怯えろ! 竦め! わしを楽しませろ!」
 そんな人々の反応が不満だったのか、長刀を持った大男は近くに居た男性の片腕を切り落とす。
「……ぎ、ぎゃあぁぁぁっ!!」
 悲鳴を上げてのたうつ男性を見て、人々は恐怖する事を思い出した。

「良く来てくれたわ」
 一同を出迎える柳瀬・莉緒(高校生運命予報士・bn0025)は、いつも通り早口にそう告げる。
「実はね、メガリス『封神台』も復活し、メガリスアクティブの手に渡ってしまった様なの」
 敦賀市攻略戦に現れた、異形化した神将達。それらが、人々を虐殺する為に市街地に向かっているのだと言う。
「その命令を出しているのが、『封神台』を手にしたメガリスアクティブだと思われるわ。神将の目的は『人間を蹂躙する』事だから、町から避難させても意味は無い……町に入る前に神将を倒すしかないわね」
 幸い、神将達は「邪魔する者が居た場合、そちらを先に倒す」様に命じられているらしく、市街地の外で戦うなら一般人への被害は避けられそうだ。
 無論、もし能力者達が破れれば一般人の虐殺を止める手立ては無い。

「岐阜県西南部の小さな町を目指してるわ。そこに入る前で……戦いに適した場所……」
 莉緒の人差し指が、衛星写真をプリントした地図上の一点で止まる。
「かつて工場だった場所が、今では廃墟になっているわ。ここなら広いし、一般人を巻き込む危険もない……迎撃するには良いと思うわ」
 能力者達が担当する神将は全部で三体。
 メインとなるのは両手に刀を持つ、着物姿の女性。それに付き従うのが十字槍の牢人風男、大長刀を手にした荒法師風の巨漢だ。
「刀の女性は接近戦ももちろんだけど、刀気を飛ばして遠距離にも強力な攻撃をしてくるわ。後の二人は、純粋な近接タイプね」
 他者を回復する術は持たないが、それぞれ自身の体力回復と攻撃力をアップする構えを取る事が可能だと言う。
 また、刀の女は男性を殺めることを好み、二体の男達は女性を殺めることを好む様だ。

「今のところ、封神台のメガリスアクティブが何を目的としているかは解らないわ。大陸妖狐も封神台を狙って動き出す可能性があるし……」
 と、そこまで言いかけて莉緒は少しかぶりを振る。
「この戦いには、多くの人命が懸かってるわ。必ず……勝って戻って頂戴」

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参加者
嘉納・武道(柔道番長・b04863)
三島・月吉(バスター・b05892)
三笠・輪音(夕映比翼・b10867)
神羅・あやね(深山の女天狗・b35586)
乃々木・栗花落(木花咲耶の戦神子・b56122)
碓氷・茜(青空に寄り添う白星・b58271)
澄空・翔(澄み空を翔る蒼黒の風・b59134)
レナ・クロニクル(豊穣のつぼみ・b79197)



<リプレイ>


「それにしても……目的が『人間を蹂躙する』だなんて、趣味が悪いっていう以外の言葉が浮かばないわよね」
 廃工場内の足場を確認しつつ、肩をすくめる三笠・輪音(夕映比翼・b10867)。
 異形化した神将が与えられた指示は、目についた人間を蹂躙する事だと言う。
「封神台のメガリスアクティブ……手に入れた力に酔い心の制御が出来無くなったか、元よりそういう人柄だったのか」
 神将にそんな指示を出したメガリスアクティブの目的は何なのか、答えが出るべくもないが、ついつい思いを巡らせる嘉納・武道(柔道番長・b04863)。
「自分の意思を失って、殺戮を、だなんて可哀想だよ。悲しいよ。分かりあえた人もいたんだもの……」
 もし彼らがメガリスアクティブに操られていなければ、意思の疎通も出来たかも知れない。かつてそうだった神将達のように。
 そう考えて俯きがちになるレナ・クロニクル(豊穣のつぼみ・b79197)。
「バッカみたい! メガリスアクティブに操られるばかりか、異形と化した連中が神将を名乗るなんて片腹痛いわ」
 他方、忍びの一族出身の神羅・あやね(深山の女天狗・b35586)は、やり場の無い怒りに奥歯を噛み締める。
 銀誓館学園の能力者達にとって神将は、時に敵であり、時に友であり、浅からぬ縁で結ばれた関係。
 それだけに今こうして、討伐以外の道無き「ゴースト」と化してしまった神将と戦わねばならない事は、余りにやるせない。
「神将と闘うのはラーラお姉ちゃん以来かな。こっちは話聞きそうにないけど……皆で頑張って倒そうね!」
 その小さい手を握りしめ、ぎゅっと力を籠める乃々木・栗花落(木花咲耶の戦神子・b56122)。
 年齢が長じるにつれて、物事を何でも複雑に考えてしまうのは人の性というものだろうか。栗花落は極めて簡潔に能力者達があるべき思考を示して見せた。
「確かに……考えても仕方ないな。僕たちの後ろに町の人々がいる。なんとしても、ここで奴らを食い止める!」
 眼鏡のずれを中指で直しつつ、澄空・翔(澄み空を翔る蒼黒の風・b59134)も思考の迷路を脱する。
 今能力者達に出来る事――すべき事は極めてシンプルなのだ。
「『人間を蹂躙する』だァ? 蹂躙されるのはお前らだろうがァ!!」
 そうした意味では、三島・月吉(バスター・b05892)にブレはない。
 足下に転がっていた瓦礫を彼方へ放り投げつつ、やがて来る「敵」に対して戦意を高める。
「意志を奪われた神将のために、何より罪の無い人々のために、必ず止めてみせます! モルル皆のサポートを宜しくね」
 碓氷・茜(青空に寄り添う白星・b58271)はモーラットヒーローのモルルと共に誓う。
 目の前で散っていった魂に報いる為、強くあろうとする彼女の心に迷いは無い。
 能力者たちが万全のコンディションで迎撃態勢を整える間、三体の異形もまた、刻一刻と岐阜県に接近しつつある。
 数多の命を懸けた、負けられない戦いの幕が開こうとしていた。


「神将さん、こっちだよ!」
 三体の神将達は一切姿を隠すことも無く、県境へとやってきた。レナはその姿を認めるや、工場内から声を上げる。
「なんだあのチビは」
「町に入る前の試し切りに丁度良さそうではないか」
 大身の槍と長刀を手にした男達は、少し後ろを歩む女を振り返りながらそんなやり取り。
「……」
 女は何も言わず、微かに頷く。
「よし、そうこなくてはな!」
 神将達は、そのまま工場へと足を向ける。

「ほう、ちっこいのが大勢居るではないか」
「手始めにこいつらから蹂躙するか」
 廃工場内で対峙する両者。
「目を覚ませ、ばかー!」
 ――ダッ!
「?!」
 先んじて地面を蹴ったのはレナ。疾風のような速度で十字槍を手にした神将「鬼角」の間合いへ躍り込む。
 鬼角が槍を構えるより早く、ピクシーズダンスの切っ先はその胸元を切り裂く。
「アンタらと遊んでいる暇はないの! 皆、行くわよ!」
 これに続いて、一斉に動き出す能力者達。爆発的に覚醒した「気」が、あやねの髪を逆立たせる。
「……くくく、面白い! ただの据え物斬りより楽しませて貰えそうだ!」
 滴る血も構わず、槍を力任せに回転させる鬼角。
 ――ギャリィッ!!
 レナはナイフでこれを受け止めるが、圧倒的な衝撃に地面へはじき飛ばされる。
「わしがぶった切ってくれるわ!」
「おじちゃんの相手はボクがしてあげるよ」
「ほう? その心意気に免じて痛みを感じない様に斬ってやるわ、ふはは!」
 大長刀を手にした「豪斬」の前に立ちはだかる栗花落。若い女性という事だったが、特に下限は無い様だ。
「歪んだ嗜好の持ち主にはさっさとご退場願いましょうか」
 無数の白燐蟲達を、胡蝶楽篭に宿らせる輪音。
「神将共! 貴様等の行く手、我らが阻ませてもらう!」
「若い男を切り刻むのが好きなんて、よほどいい男に巡り会えなかったんだな」
 まず鬼角を撃破しようと言うプランに則り、武道と月吉は二刀を手にした「黒睡蓮」を抑えるべく回り込む。
「フッ……口数の多い男も嫌いではないぞ」
 刀を無造作に抜き放ち、微かに口の端を歪める黒睡蓮。
 ――ガキィッ!
 青龍の闘気を纏った拳を繰り出す武道。黒睡蓮はそれを交差させた刀の腹で受け止める。
「こっちで死ぬまで楽しませてやる」
「お前達が死ぬまで……な」
 月吉の言葉に、二刀の女は一層笑みを濃くする。

「餓鬼がっ! ちょこまかと!」
 鋭い切っ先が幾度も翻り、レナの眼前を掠める。
 それに臆すること無く、肉薄するレナの手にプラズマが宿る。
 ――バシィィッ!!
「ぐっ……!?」
 零距離からの蒼の魔弾。
 それは決して少なくない衝撃を鬼角の身体に与える。
「今よ! イカせてあげるわ!」
 その瞬間、あやねの手から放たれたのは白燐蟲を凝縮した白光放つ球体。
 ――バッ!!
 鬼角の脇腹に炸裂した瞬間、一斉にその身体へ食らいつく。
「皆を守るために……どうか力を貸して」
 茜は、モルルにレナの手当を急がせつつ雑霊達を凝縮。いまだに体勢を立て直せていない鬼角目掛けてそれを放つ。
「……楽しませてくれるじゃねぇかよ。ちょっと本気を出すとするか」
 能力者達の波状攻撃を受け、その力量の程を垣間見たのだろう。鬼角は槍を回転させて構えを固める。

「ふん、女子供相手に手こずりおって。まぁいい、わしはお嬢ちゃん達と遊ばせて貰おう」
 豪斬は仲間の苦戦を鼻先で笑い飛ばし、目の前の輪音と栗花落に向き直る。
 情報通り、チームワークや連携と言った概念はかなり希薄らしい。
「ふふ、あなた達の目も思った以上に節穴なようね」
 お嬢ちゃん呼ばわりに、ふっと笑いながら構えを取る輪音。 
「節穴な目にはこれがお似合い! さぁ白燐、食らい尽くして!」
 ――バッ!
 豪斬の視界いっぱいに弾けるように広がる白燐蟲。
「小賢しいわ!」
 ――ブオンッ!
 振るわれた長刀は、大多数の白燐蟲達をはじき飛ばす――が
「殺人鬼の血って美味しいのかな?」
「むうっ!?」
 吸血の衝動を開放し黒い疾風と化した栗花落は、白燐弾を囮に豪斬の側方を突いていた。
 遅れて走る鈍い痛みに、顔をしかめる豪斬。
「小娘どもめ、やりおるわ……こうでなくてはな!」

「どうした? 楽しませてくれるはずではなかったか?」
 ――ビュッ。
 黒睡蓮が刀を振るうと、血が点線状に地面を濡らす。
(「さすがに強い……思考を止めるな……勝てぬまでも負けぬ戦いは出来る筈だ」)
 月吉との連携攻撃を難なくいなされ、その上手痛い反撃を浴びた二人。武道は肩口の傷を確かめつつ、額に脂汗がにじむのを感じる。
「……フハハハハハハッ!!!」
 一方、貴種の血を目覚めさせて力を解放する月吉。
 傷は癒やされたが、例え瀕死の重傷であっても彼は笑うのだろう。
 彼もまた、戦いに心を躍らせているのだ。


 ――ブオンッ!!
「んっ!」
 槍の穂先がレナの腕を突く。
 激しい痛みに表情を歪めた彼女だったが、右手に集中させた魔力はそのまま、鬼角の顔面へとたたきつける。
「グオォアァァァッ!!」
「モルル!」
 鬼角が咆吼を上げる間、あやねはすかさず白燐蟲をレナへと飛ばし、茜はモルルに傷口を舐めるよう指示する。
「これ以上手強くなると嫌だし、ちょっと黙って」
 射線を確保した翔は、強烈な上昇気流を発生させて鬼角を追い打ちする。
 この一撃は、彼の力を強めていたエンチャントをも解呪した。
「おの……れぇっ……!」
 片膝をつき、何とか身体を支える鬼角。
 仲間達の必死の陽動もあって、鬼角への集中攻撃は確実に彼を追い詰めていた。

「回復するわ、攻撃を!」「解った!」
 古の土蜘蛛の霊達を召喚し、栗花落の傷を癒やす輪音。
 一進一退の攻防を繰り返しながらも、やや豪斬が押し気味の展開。
「ふん、非力じゃな! わしを倒す事などできんわ!」
「それはどうかしらね」「やってみなければ解らないよ!」
 豪斬の長刀をかいくぐって銀桜「九重」を振るう栗花落。
 耐えていれば、仲間達が助けてくれる。絶対の信頼感が彼女らを支えていた。

「ぐっ……恐怖に囚われるな。恐怖に慣れるな。制御しろ……」
 幾度目かの虎紋覚醒で体力を回復する武道。
 黒睡蓮は武道と月吉の立体攻撃を左右の刀で防ぎ、痛烈な反撃を繰り出す。
「そろそろ終わりにしようか? お前達との戯れも一興だが、より多くの人間を蹂躙せねばならぬ」
 武道へと歩み寄る黒睡蓮。
「噛み砕くッ!」
 ――ガッ!
 月吉は電光石火の動きで、死角より黒睡蓮の腕に飛びかかる。
「……その程度か?」
 ――ズンッ!
 吸血噛み付きを受けながら、表情一つ変えない黒睡蓮。お返しとばかりに、もう片方の腕で握った刀を深々と月吉へ突き立てる。

「いくよ!」「これで終わりだ!」
 レナの手に、一際大きな雷弾が形成される。と同時に、ブーメランを放つ翔。
「ばかな……この……俺がぁぁぁーっ!!!」
 鬼角は苛烈な波状攻撃の前に、ついに倒れた。
「待たせたわね、次はそっちよ!」
「モルル、今度はあっちを!」
 すぐさま新たなターゲットを定めるあやねと茜。
「……鬼角!」
 長刀で輪音と栗花落の攻撃を受け止めていた豪斬だが、仲間が欠けたことに少なからず衝撃を受ける。
「隙アリだよ!」
 その動揺を突いた栗花落は、再び豪斬の首筋に牙を立てる。
「ええい!」
 力任せに栗花落を振り払う豪斬。
「……これまでのようだな」
 傷口を抑えて膝をつく月吉に向かって言いつつ、右手の刀を振り上げる黒睡蓮。
「そうはさせん!」
 地面を蹴り、一直線に黒睡蓮へ向かう武道。
「どちらが先でも、私は一向に構わんぞ」
 表情を変える事無く女は言い、切っ先を武道へ向ける。
「はぁぁっ!」
 繰り出される龍顎拳。しかし女は避ける素振りすら見せず――
「何なら、二人一緒に逝くが良い……死独楽!」
 ――バッ!!
 つむじ風の様に、目にもとまらぬ速度で回転する黒睡蓮。
 鋭い斬撃が容赦なく二人の身体を傷つける。


「馬鹿……なっ……!」
 大きな音を立てて、長刀が床へ転がる。
「もう少し人を見る目を磨く事ね」「ごちそうさま、おじちゃん」
 輪音と栗花落の攻撃に加え、能力者達の集中攻撃に晒された豪斬。驚異的なタフさを誇った彼の体力も、無尽蔵ではあり得なかったのだ。
「役立たずどもめ……町一つを私だけで蹂躙せねばならんのか」
 殆ど表情を変えること無く、仲間の散りざまを見遣る黒睡蓮。
(「一先ず役目は果たせた……が……」)
 仲間が二体の神将を倒すまで、黒睡蓮を抑えた武道と月吉だったが、その身体はまさに満身創痍。体力的にはもはや限界を超えていた。
「今度こそ終わりだ」
 再び振り上げられる刀。
「間に合わない――!」
 あやねもモルルも、二人を癒やすには遠すぎた。
「……まだだぜ」
 ――ガシッ!
 黒睡蓮の足を掴む月吉。
「慌てるな、お前にもすぐに引導を……」
 言いかけ、言葉を途切れさせる黒睡蓮。仮面を被っているにも関わらず、月吉が笑っている事に気づいたからだ。
「何がおかしいのだ」
「まだ俺たちは楽しませて貰ってないぜ……そうだろ、嘉納」
「あぁ……」
 応えながら、ゆっくりと立ち上がる武道。
「なぜ立てる……?!」
 目を見開く黒睡蓮。それは魂による肉体の凌駕に他ならない。
「嘉納!」「月吉さんも!」
 すかさず、その傷を癒やしに懸かるあやね。輪音やモルルも、一斉に回復行動へと移る。
「ゆくぞ!」「食らいなァッ!」
「死に損ないどもが!」
 打ち下ろすように繰り出される武道の拳。
 黒睡蓮は今までそうしていた様に刀を構え、難なくこれを受け止めようとする。
「なっ?!」
 ――シャッ!
 が、その拳は寸前で止まり、代わりに繰り出されたのは回転胴回し蹴り。
 変則的な攻撃に対し、とっさに反対の刀を構えてこれを受ける。
「ガラ空きだぜ」
 ――ガシュッ!!
 必然的にノーガードとなった死角から、月吉の牙が突き立てられる。
「ぐっ……貴様ら……まさか」
 先ほどまでの戦術が、自分を抑える為の物だった事を瞬時に悟る黒睡蓮。
「そこまで、信用出来ると言うのか……仲間を」
 命を賭してまで、味方を信じて時間を稼ぐと言う発想が理解出来ないのだろう。
「神将さん、解放するにはこれしかないから」
 レナは二振りのナイフを構え、地面を蹴る。
「仕掛けるわ。援護なさい」
 これに呼応して、白燐侵食弾を放つあやね。
「モルルも攻撃を!」
 雑霊弾を放ちつつ、モルルにVキャリバーを指示する茜
 もはや攻撃対象は黒睡蓮のみ。集中攻撃あるのみだ。
「まだ……お前達は勝っていないぞ」
 二刀を振り上げる黒睡蓮。
「来るぞ!」
「刀気……発勝!」
 ――シャッ!!
 放たれた真空刃は、能力者達を貫くように切り裂く。
「……女性からのアピールも嫌いじゃないが、痛いのは御免だ」
 反撃のジェットウィンドを放ちつつ、傷口をマントで覆う翔。
 その威力は絶大だが、一対多の状況を覆す物では無い。
「トドメだ!」
 再びコンビネーションアタックを掛ける月吉と武道。
 ――バキィッ!
 月吉の牙が刀を噛み砕き、武道の拳が黒睡蓮の急所を打ち据えた。
「が……はっ……」
 膝から崩れ落ちる黒睡蓮。
「アンタにも戦士の誇りが残っているのなら、勝者である私たちの質問に答えなさい!」
「……楽しませて……貰ったぞ」
 あやねは倒れる神将を支えて情報を聞き出そうと試みるが、それは叶わなかった。

「とりあえず町は守った、僕たちの勝利、という所か」
「うん、後は大元をなんとかしないとね。メガリス・アクティブ……どこにいるんだろう」
 翔の言葉に頷きながらも、小首をかしげる栗花落。
「特に見当たらないみたい」
 レナは工場の屋根に登って周囲を見回すが、怪しい人影などは見つけられない。
「ま、近いうちにそれを知ることが出来るだろう。戻るとしようか」
 神将を撃退し、人々の命を救った能力者達。
 しかし彼らの消耗もまた大きい。
 今は学園に戻り、次なる戦いに備えて休むとしよう。


マスター:小茄 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2012/03/14
得票数:カッコいい14 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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