≪神和(かなぎ)神社≫〜欧州古城で狙われた花嫁を護れ!〜


<オープニング>



 【○月○日の○時、麗しい『花嫁』を戴きに参ります】
 自分に宛てられた予告状に目を通したホテルのオーナーは、これは何の悪戯だと一笑に付した。
 この古城を元に建てたホテルは歴史があり、様々な美術品が多く集まっている。
 特に最上階の大広間に飾られている『花嫁の像』は、永遠の愛を象徴するサファイアが額に輝く花嫁姿を模した水晶の像で、何組もの結婚式を見守ってきたこのホテルの象徴だ。
 故にそのセキュリティは万全で、何者も寄せ付けない各種の防犯装置に常に守られている。しかもこの現代において、自分が不利になるだけの予告状等、出す意味が解らない。
 それらの理由からただの悪戯だろうと考えたオーナーは、部下に笑いながらその予告状を処分するように命じた。

「お邪魔しますよっと」
 深夜、重厚な扉を開いた侵入者が、軽口を叩きながら大広間に足を踏み入れた。
「お前はもう少し慎重に動け」
 長杖を持った男が呆れたように釘を刺すが、言われた本人は緊張感など欠片も無いような表情で振り返る。
「だっていつも予告状出しているのに、どこも普段の警備と何も変わらないんだぜ? 今回もそうみたいだし楽勝だろ」
「確かに警備の人が居たとしても私の森王の槍で気絶してもらえばいいんだし、闇纏いがあればセキュリティも無効化できるしね。でもアンタはもうちょっと考えて動きなさい」
 体に張り付くような黒のスーツと魔法陣が刺繍された手袋をした女性の言葉に、刀を手にした男が無言で頷く。そんないつもの光景を最後尾で見守っていた男が、ふいに腕に填めたパイルバンカーを構えて前に出た。
「どうしたオヤジ?」
「どうやらお前好みの展開になったようだぞ」
「……ばれちゃった?」
「まあ戦わずに捉えられるとは思えせんでしたしね」
 物陰に隠れていた威河・紅耶(月下紅雨・b41692)が隣の少年に小声で話し、霧島・露判(叡智を紡ぐ紅玉の司書・b78249)が軽く肩をすくめた。
「それじゃ相手もお待ちかねみたいだし、出ようか」
 高梁・和臣(歌詠を紡ぐ銀砂の音色・b82249)が笑いながら姿を現すと同時、侵入者達の後ろの扉が閉まり、暗闇に包まれていた大広間が光に照らされる。
「おお、大勢で出迎えご苦労さん! 特に女の子が多いのは大歓迎だ!」
 リーダー格の男が斧を肩に担ぎ、楽しそうに能力者達を見回す。
「あぅ……」
 八坂・茴香(穿ツ終ノ雷咆・b16991)が自分に向けられる視線に身を捩り、それは向こうの男が仲間全員から物理的に突っ込まれるまで続いた。断言する。あの男は絶対女好きだ。
「あなた達は……能力者、ですね?」
「おう。嬢ちゃん達もそうなんだろ?」
 渡会・綾乃(高校生ルナエンプレス・b74204)の確認の問いに、男があっさりと肯定する。
 彼らが送った予告状は悪戯として処理されたが、その話を聞いた従業員の一人が、スプリーナお婆さんの関係者だった。
 そうして今までの事件を調べたところ、能力者の犯行と判明。依頼を受けた『神和(かなぎ)神社』は、はるばるドイツのバーデンバーデンにまでやってきたのだ。
「依頼人は、このホテルで結婚式を挙げた従業員の女性からです。私達の思い出を護ってほしいとの事でした」
 犬川・荘司(義一文字・b81609)が静かに口にし、構えをとった。
「『狙った獲物は必ず奪ってやるぜ〜!」』とか言ってるみたいだけど、そんな大事なものを盗むなんて絶対に許さないからね!」
 話を聞いて一気にやり辛そうになったリーダー格の男に、嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)がビシッと宣言する。
「そういう事ですので、大人しく捕まってもらいましょうか」
 イクス・イシュバーン(神聖なる白煌・b70510)の、問いかけでなく決定事項を伝えるような声に侵入者たちは一斉に身構えた。
「事情は解ったが、そう簡単に捕まる訳にもいかねえ! いくぜ!」
「護るよみんな! さっさと片付けて、ゆっくり温泉スパを楽しむんだからね!」
 水晶の花嫁像が見守る中、率いる者同士の声がぶつかり合う。
 奪う者と護る者。
 それぞれの信念を掲げた戦いが、幕を上げた。

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参加者
八坂・茴香(穿ツ終ノ雷咆・b16991)
威河・紅耶(月下紅雨・b41692)
嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)
イクス・イシュバーン(神聖なる白煌・b70510)
渡会・綾乃(月爛・b74204)
霧島・露判(叡智を紡ぐ紅玉の司書・b78249)
犬川・荘司(義一文字・b81609)
高梁・和臣(歌詠を紡ぐ銀砂の音色・b82249)



<リプレイ>

●盗人と守護する者
(「花嫁の像……かあ。その依頼した人を含めて、たくさんの人が像の前で愛を誓ったんだろうね」)
 高梁・和臣(歌詠を紡ぐ銀砂の音色・b82249)が花嫁の像を振り返り、そこに向けられた想いを想像する。
(「それを悪戯で盗むなんて……おしおきタイムだね、嘉凪先輩?」)
 怒っている先輩に笑みを浮かべると、敵ヤドリギ使いに声をかけた。
「お姉さん。男を手玉に取る前に、俺の呪いの言霊受けてみる?」
 その言葉こそが、呪い。その言葉に反応したヤドリギ使いが魔法陣を描き、
「10年早いわよ、坊や」
 呪力の力を削ぐと、血を流しながらも妖艶に笑いかけた。
「能力有り余ってたとは言っても盗みは犯罪です」
 後衛に位置していた嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)は、言葉を叩きつけると同時に榊を揺らして古の土蜘蛛の魂に呼びかけた。
(「依頼主の思い出の品なんだから、しっかり守らないと……」)
 鈴の音と共に魂が仲間の武器に降りるのを確認し、笑顔を向ける。
「結婚式のとか、特に!」
 怖い笑顔と力説を向けられた敵リーダーが身の危険を感じたように身震いをした。
(「それぞれ思う所はあるようですが……。やる気だな……色々な意味で」)
 イクス・イシュバーン(神聖なる白煌・b70510)が、怒りまくっている団長と、服の下が水着な後輩を見てごくりと喉を鳴らす。
「では、こちらの連携プレイも見せて差し上げましょうか」
 宣言すると、土蜘蛛の魂の降りた二振りの長剣を手に駆け出した。
「頑張って!」
「女性の声援には応えないと、ですよね」
 影を纏った剣がパイルバンカーの外装に食い込み、寡黙な相手へと笑いかけた。
(「沢山の幸せを見届けてきた花嫁を、貴方達には渡せないわ」)
 花を模った貝殻を翳した渡会・綾乃(月爛・b74204)の魔力が集中する。
(「飄々として掴みどころが無い感じだけど……敵は敵よ。悪いけど、退治させてもらうわ」)
「まずい! 散って!」
 危険を察知した敵ヤドリギ使いが警告を発する中、魔法が完成する。
「貴方達に逃げ場はないわ……受けなさい」
 茨が爆発的に一帯を埋め尽くし、逃げ遅れた敵を縛りつけた。
「麗しき女性には礼節を守らねばなりませんね」
 銀の薔薇を手に、霧島・露判(叡智を紡ぐ紅玉の司書・b78249)が霧を生み出し仲間を包み込む。
(「多くの恋人達を見守ってきた大切な【心】を盗賊の手に渡す事は見逃せません」)
 霧は収束すると霧のような幻影の兵を形取り、
「幻影の騎士達よ。我等の剣となりて敵を撃ち滅ぼさん!」
 生み出された騎士は創造主の言葉に応え、一斉に武器を構えた。
「むー、どんな物にでも関った人達にとっては大切な思い出があるんだよー?」
 威河・紅耶(月下紅雨・b41692)が、頬を膨らませて夢の力を解放する。
「それを盗むなんてめっ、なんだからー」
 幻夢の力が具現化し、仲間達をバリアで包み込むとビシッと枕を突きつけた。
(「何だか色々愉快な奴等だね。憎めないというか……でもまぁ、泥棒は泥棒だしね」)
 先程からの非難の声に胸を抑える敵リーダーへ犬川・荘司(義一文字・b81609)が笑みを向けるが、すぐに表情を改めた。
「覚悟、決めなきゃね。お互いに」
 呟くと同時、二振りの日本刀を手に魔剣士へと疾駆する。
「我が名は犬川荘司! いざ尋常に、勝負!!」
「その勝負、受けた」
 影を纏った剣閃が交差し、甲高い金属音を奏でた。
(「リーダーさん……花嫁さんの……由来を聞いて……やり辛そうになって……おられ……ましたね……」)
 両手に先祖伝来の武器を構えた八坂・茴香(穿ツ終ノ雷咆・b16991)が、先程のやり取りを思い返しながら敵リーダーに目を向ける。
(「盗みの手口も……人を傷つけない……みたい……ですから……根っからの……悪人さん達では……なさそう……なのです……」)
 その姿にくすりと笑みを浮かべ、しかしと武器を構えなおすと走り出す。
(「やはり……盗みは……いけません……わたし達が……ここで……止めて……差し上げます……」)
 不死鳥のオーラを纏った打撃を、決意と共に振り下ろした。
「……痛ってえ。なんか色々と謝りたい気分だけど、嬢ちゃん達蹴散らして一度逃げるとすっか」
 リーダーが、炎の蔦を手に仲間に語りかけた。
「そうね。反省は後で。今はこの場を切り抜けるわよ!」
 ヤドリギ使いの茨が後衛の中心で爆発し、
「やれやれ。遅すぎたかも知れんがな」
 茨の締め付けから脱出した魔弾術士の杖の先に魔法陣が浮かび、雷が辺りを染める。
「今宵ははつまらぬもので無ければいいが」
 魔剣士が鍔迫り合いから間合いを離し、影を刃に纏い走り。
「……行くぞ」
 オヤジが闘気を具現化させると目の前の少年を鎖で繋ぎ、怒りの視線を受け止める。
 超常の力がぶつかり合う戦場を、花嫁の像はただ静かに見守っていた。

●お仕置きタイム!
「紅耶ちゃん回復いくね! 回復仕切れなかったらフォローお願い!」
「うん! 綾乃お姉ちゃん!」
 綾乃があらゆる命に対する自愛の舞を踊り、仲間の縛る魔法の茨と怒りをかき消した。
「そっちの人も綺麗だけど、こっちの女の子も可愛さでは負けてないよね?」
 そのついでにと、茴香を怪盗にアピールしてみたり。
「え、えっと……視線が……その……えっち……なのです……」
 茴香が怪盗の視線にもじもじと身をくねらせる。それを見て敵集団が一斉に白い目を向けた。
「「リーダー……」」
「いや否定はしないし正直役得だと俺も思うけど、敵から目を逸らせる訳ないだろ!?」
 そこで認めるのが問題では無いだろうか。
 何にせよ、自分に惹きつけるという目的が成功していると知り、茴香が不死鳥のオーラを武器に纏って踏み込む。
「それでしたら……もっと見て……頂きましょうか……」
「見るだけなら幾らでもするけど、まずその武器下ろしてくれるともっと嬉しい!」
 そんな会話を他所にイクスが、怒りが晴れ鮮明になった思考で合図を送る。
「和臣くん、今です!」
 その言葉に応え、和臣がイクスの影から飛び出した。
「得意技を逆手に取るのが俺の得意技っ!」
 手にした声楽杖に込められた恨みの念が槍と化し、その切っ先が空を切り裂いて根元まで貫いた。
「恨みの言葉で固まっててくれないかな?」
 四肢が石に覆われ、動きを封じられた敵を見て、イクスが口を開いた。
「すみません。暫くお待ちください」
 そう告げ、ヤドリギ使いに霧の兵が影を纏った斬撃を浴びせる。その言葉を聴きながら、露判が優雅に一礼をして紅一点の女性へと声をかけた。
「ではフロイライン、私がエスコートさせて頂きたいと思います」
「あら。私の相手が坊やに務まるの?」
 銀の薔薇を手に微笑む少年に、血を流すヤドリギ使いは楽しそうに笑みを返す。
「できれば降参するか、逃げて欲しいものですが……そういう訳には行かないのでしょうね。では参ります」
 あまり怪我はさせたくないと思いながらもう一度笑みを浮かべ、幻影の兵を走らせる。
「連携の要は貴女のようですね。申し訳ありませんが、貴女を回復させる訳には行きませんのでね……『神霊剣』っ!」
 その剣はヤドリギ使いの衣服を傷つけずにその内側だけを切り裂き、綾乃が黒い髪を靡かせてヤドリギ使いへと告げる。
「植物を悪事の力なんかに使わないでくださいっ。草も木も皆……悲しみます」
(「私だって人の事言える立場じゃないかもしれない、それでも自然に囲まれて、その中で生きてきた私だから……どうしても、言いたい。そんなふうに使われるなんて、植物が可哀想だもの」)
 真摯な黒の瞳に、ヤドリギ使いが溜め息をついて頭を掻く。
「お嬢ちゃんだって傷つける為に使ってるじゃない……っていうのは、解ってて言ってるのよね?」
 返された言葉に頷く姿に、鮮やかな笑顔を浮かべ魔法の力が渦巻く。
「信念を誰かに説きたいなら、強くなりなさい。貴女を見て憧れる様に。そうでありたいと思わせるぐらい、強く。それがいい女の条件よ」
「いきます……!」
 魔法の茨が爆発的に生まれるのを背景に、赤い月が浮かぶ。赤い光がヤドリギ使いを照らし、人の倒れる音が広間に響いた。
「ほう。あの女を倒すか」
「余裕だな! 我が剣は狼の牙、やすやすと折れはせぬぞ!」
 脇腹から溢れる血に、限界を越えた覚悟を決めた荘司が叫ぶ。
「ふむ。覚悟を決めたか。先程まではつまらなかったが……」
「むっ、荘司お兄ちゃんとみんなはつまらないものなんかじゃないもん、そこの刀バカーっ」
 その声に憤慨した紅耶の降ろした土蜘蛛の魂が刀に宿り、荘司は改めて刀を構えた。
「うおおおっ!」
 雄たけびを上げ、身を封じる石を砕いたオヤジが目の前の金髪の少年へと狙い済ました一撃を叩き込んだ
「……お待たせしました。思う存分お相手しますよ」
 内部を駆け巡る衝撃に込み上げる血を飲み込み、イクスが楽しげな笑みを浮かべる。
 パイルバンカーが髪を数本引きちぎり、カウンター気味に影を纏った剣を叩き込む。幾度も回復が飛び慈愛の舞が衝撃を打ち消すが、それでも体勢を崩したイクスへと猛烈な勢いで杭が迫り、
「止まれ!」
 間に飛び込んだ和臣の武器に宿らせた恨みの念が貫くと共に、その四肢が石化により動きを止め。
「楽しかったですよ」
 言葉と共に召還した鉄の処女が敵の偉丈夫を包み込むと同時に刺し貫き。立ったままその意識を刈り取った。
「……そろそろこちらも終わらせようぞ」
「同意」
 二人目の仲間が倒れた魔剣士に、荘司が告げて剣を構える。
 敵は格上。それは今までの戦いで嫌となるほど身に沁みている。しかし仲間と共に立つ自分だからこそ、この相手には負けられない。
 深く息を吸い、覚悟を瞳に宿し間合いを詰める。自分達以外何も見えないほど深く集中し、今まで以上の影の力が互いの刀を包む。
 踏み出し、一瞬の剣閃と共に互いの位置が入れ替わり。
「僕は『つまらないもの』じゃなかったみたいだね?」
「……応。なかなか楽しい一時であった」
 刀を弾かれた剣士が、笑みを浮かべて崩れ落ちた。
「ちっ。どうにもきついな……」
 虚空に魔法陣を浮かべて傷を癒すガンナーが悪態をつく。
「うおおっどうしても目がいっちまうーっ!」
「…………アイツはあんなだしな……」
「私は苦労かける方だけど同情するわ……」
 何か色々と諦めた相手に、綾乃は言葉をかけると青白い月光を浮かべる。
「今、楽にしてあげるから」
「その前にあいつ殴りたいんでな、遠慮させて貰うよ」
 手馴れた様子で魔法陣を描いてその威力を削ぐが、防ぎきれなかった光が左手を傷つける。
「これはお釣りだ、とっときな!」
 雷が凝縮し、放たれた魔弾が綾乃を貫いた。赤茶の髪が広がって倒れようとするのを、魔法のヤドリギで手にした黒髪の少女が支え。
「猛き者にヤドリギの加護と祝福を……さあ、もう一息よ」
 虚空をなぞり、綾乃が仲間の傷と同時に自らも癒す光が二人を包み、和臣がガンナーに幻影の兵を走らせた。
「ちっ、勝負は後だお嬢ちゃん!」
「邪魔は……させません……あなたの相手は……わたし」
 リーダーが駆けつけようとするが、それより早く茴香から伸びた炎の蔦がその動きを封じ、
「和臣さん、それではリズムは任せます」
「任せて! 3、2、1!」
「『神霊剣』!」
 恨みの念がガンナーに突き刺さると同時、霧の兵の刃がその内部を貫き。杖が転がり男が倒れ付した。
「茴香。もういいよー」
 リーダーを惹きつけていた茴香に、綾乃は声をかけて呼び戻した。
「さて、と。もう思い残すことは無いかな?」
 炎の蔦に動きを封じられているリーダーに、綾乃はにっこりと笑いかける。
「できれば女の子全員にあの子みたいな格好して欲しかった!」
「……みゅ? あーいうのがタラシって言うのー?」
 ピシリと空気が凍りつく中、紅耶が問う。
「ええそうです。紅耶さんは、ああいうタラシに捕まらないよう気を付けて下さい」
 淡々とメイデンを召喚するイクスが答え、結婚式の思い出という言葉に過激さ200%増しの綾乃が告げた。
「おしおきタイムです!」
 その言葉に無数のアビリティが一斉にリーダーへと向けられ。
 ホテルの大広間に、愚かな男の断末魔が響いた。

●ホテルのスパで癒されよう
「みんな怪我してないー? うにゅ、無事依頼も果たせたしー、お風呂でのんびりしよー♪」
 紅耶の宣言でスパに向かった一同。先に着替えを済ませた男性陣がまったりとしてしばらく。水着に着替えた女性陣が姿を見せた。
「ワイン農家があるからかな? こんなのあったよー」
 冷たい葡萄ジュースを手にした綾乃は、赤いストライプのビキニタイプの水着姿だ。それに続く女性陣も、花が咲いたように華やかである。
「はう……は、恥ずかしい……です……」
 その中でもっとも過激なのは茴香の水着だ。正直、あまり隠すという機能を放棄したような紐のような水着は、はっきり言って青少年に毒である。
「身も心も癒されますね。色々な意味でも」
 桜吹雪をあしらったトランクス姿の露判が、心の底からしみじみ呟く。
「うん、女性陣は華やかで良いですね……ところで和臣くん。やる気の上にノリ気でもあったか君は」
 思考の時間を堪能していたイクスが、更なる目の保養に至福を味わいながらどうしても気になっていたことを突っ込んだ。
「はわー、和臣ちゃん似合ってるねー……でも、それ自分で買ったのー?」
 健康的なチューブタイプの上にショートパンツの水着を着た紅耶が、マジマジと見る。その視線の先には、何故か女子スクール水着姿の中学生男子。
「仕方ないじゃん慌てて探したらこれしかなかったんだから! ていうかなんでサイズぴったり!? 何気に落ちてた花で髪も飾ってるよ!」
 自分に突っ込む和臣と対照的に、桃の花の意匠を施した、松葉色のトランクス水着姿の荘司がのんびりと息を吐く。
「泊りがけで皆と遊ぶのって初めてだから、新鮮だなぁ」
 天然断食系男子(生真面目で性欲がない人の事らしい)の彼は、この場でもマイペースだった。
「むー、三人ともスタイルよいねー……もちょっと育たないかなー」
 改めて湯船に浸かるお姉さん3人組を見た紅耶が、後半は消えるように呟いた。
「私なんか全然だよぉ……綾乃ちゃんの方が……」
 ドットタイプのグリーンのビキニに、パレオを巻いた綾乃が、ちらりと自分と同じ名前の相手のある一点を見比べてぼそぼそと話す。
「ん? 綾ちゃんもスタイルいいし、紅耶ちゃんは今でも十分可愛いよ?」
 綾乃はその視線に笑って、その頭を撫でる。
「でも……茴香は何かこう、凄いよねー」
「はう……」
 その中で一番豊満な姿態を水着で(かろうじて)隠した茴香が身を捩った。
 異国の地で、『神和(かなぎ)神社』の面々の笑い声と、みんなへのお土産はどうしようかと言う楽しげな声が響く。
 その声は大広間にも届き、護られた花嫁の像は静かに微笑を浮かべていた。


マスター:月形士狼 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2012/04/01
得票数:楽しい11  カッコいい1  ハートフル1 
冒険結果:成功!
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