修学旅行2007〜大宴会! 踊れ騒げ大騒ぎ!


<オープニング>


 銀誓館学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
 今年の修学旅行は、6月20日から23日までの3泊4日。
 この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。

 今年の行き先は、北海道!
 自然豊かな北の大地で、札幌や旭川、富良野や洞爺湖を巡りながら、各地での観光や体験学習などを堪能するスケジュールとなっています。
 さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!

「うーん」
「どうしたんだ鷲崎、珍しくマジメな顔してよ」
 今は学生たちが憩う休み時間。
 鷲崎・北斗(高校生ゾンビハンター・bn0009)は自分の席で修学旅行のしおりを眺めながら考え事をしていた。
「ああ、ちょっとこいつを見てくれ」
「修学旅行のスケジュール?」
 北斗が見せたのはしおりの冒頭、修学旅行全体のスケジュール表だった。
「やっぱり、盛り上がるのはクライマックスだよな」
「あー……まぁ、な」
「やっぱり、宴会といったら盛り上がらなくちゃな」
「んー……そう、ね」
「やっぱり、やるしかないよな」
「――ナニを?」
 そこまで話すと北斗は椅子から立ち上がり、拳を突き上げた。
「最後の夜の夕食は、盛り上げていくぜ!!」
 修学旅行の三日目の夜。
 6月22日の午後6時半から8時までの間に、学生たちはホテルの広い大宴会場で修学旅行最後の夕食をとる事になっている。
 噂によると北海道の海の幸が並び、まさに豪華絢爛なディナーになるらしい。
 だがしかし、集団で食事をするとき、食べる事が全てではない事はもはや言うまでもないだろう。
 何のための「大宴会場」か?
 それはモチロン、
「第一回、ハイパー宴会芸コンテストの開催をココに宣言するぜ!」
 そう。バカ騒ぎをする事と見出したり!
 宴会芸コンテストといえど、何も全員が芸をする必要もない。
 芸をする者を見て笑ったり、友人同士でふざけあったり、もしかしてこの騒ぎに乗じてコクハクなんかも……!?
「とにかく! 騒いで騒いで騒ぎまくって! 最っ高の夜にしようってわけだ!」
「なるほど。宴会は無礼講ってヤツだな」
「そういうコト。ところで、無礼講とブレイカーって似てるよな」
 無礼にも程があるギャグだった。
「で、だ。その場にありそうなモノや、手で持ち運びできそうなモノ、それか自信があるヤツは手ぶらでもいいな。それらを使って宴会芸をやるんだ」
 手品、コント、一発芸などなど。
 芸をする者はそれぞれの創意工夫でありとあらゆる「芸」を見せてもらいたい。
「もちろん、俺もやるからな!」
「トランペットをショーウィンドウ越しに眺める子供、じゃないだろうなぁ?」
「…………」
「…………」
「へっくしょん!」
「クシャミで誤魔化しやがったな!?」
 芸は一人一ネタ。コンビやトリオなどのグループでの参加も可能だ。
 観客が見て、「面白い」、「楽しい」、「笑える」、「見たら女の子にモテるようになりました!」といった芸をしてもらいたい。
 一番の目的はそう。みんなで盛り上がるコト!
「よし、そうと決まったら宣伝に走るぜ!」
「おーう、がんばってこい」
 休み時間が終わるまではまだ時間がある。
 北斗は教室内ではダッシュをし、廊下に出ると早歩きにシフトした。
 廊下を走ると怒られるからである。
「お、ちょっといいかい?」
 少し早歩くと、北斗は一人の生徒に話しかけた。
「実はな、みんなで最後の夕食を楽しむために――」

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参加者
NPC:鷲崎・北斗(高校生ゾンビハンター・bn0009)




<リプレイ>

●あ、あんたも参加しなさいよね!
「みんなー盛り上がってるぅー!? あたしはちょーテンション高いわよっみたいな感じでちきちきハイパー宴会芸コンテストおおおーううっ!!」
 咲弥のノリノリなMCに湧き上がる会場。
 そう、今まさにハイパー宴会芸コンテストの開会が宣言されたのだ!
「なお、この会場には複数の金タライが仕掛けられているから、試してみたい人はご自由にどうぞー」
「「なにィー!!」」
 もう一人の司会、水音の思わぬ発言に上を見上げる猛者ども。
 修学旅行の伝説は、今ここで創られる!

「踊るよ踊るよ〜! 歌って踊れるアイドル剣士とは私の事さぁ☆」
 序盤から飛ばしまくる美音子は、ノリノリのダンスで場のテンションを大いにアップさせた。
「踊りはまぁ〜かせてなのですぅ〜」
 沙希はおっとりとしながらほんわか踊りを踊った。なんだかすごい和む。これがお姉さんパワーか!
「100点! 文句なし!」
 今回のジャッジを務める一人、空之介が興奮して採点を下す。大丈夫か、このジャッジ。
「こう、かな?」
 試しに真剣な表情で踊りの動きを真似てみた彩理。これがなかなか難しいのだ。
「千尋谷キャンパス高校2年9組御子柴律! 校歌歌いまーす!」
「えっ、なんで校歌?」
 律と小道は二人で歌を歌うようだ。
「そんなん決まってんじゃない修学旅行なんだから♪」
「そっか。それじゃあ盛り上げちゃおう☆」
 そこへ白衣を翻しながら由希子が乱入!
「校歌やったらメロディは任せて!」
 由希子は水の入れた試験管を何本か並べて薬さじで軽く叩いていく。すると綺麗な音が響き渡った。
 皆知っているだけあって、三人のステージは大成功!
「皆さん、すごいですね。どうぞお使いください」
 環奈は最大級の拍手を送り、タオルを配った。
「どーも、かおりんです」
「どーも、かおるんです」
「「二人合せて『黒い転校生』で〜す」」
 双子の漫才師、香と薫の登場だ。
「やって来ました北海道。広いですねぇ「北」の大地は」
 姉、香のネタフリ。
「わいずっと「南」しか向いてないんやけど。っていうかわいさっきからまったく客見えてへんのやけど」
「いいじゃん。お客さんだって男の小汚い顔より美少女の顔の方がいいわよ」
 いつもの調子で漫才を繰り広げる姉弟。一部で妙にウケがよかったのはきっと気のせいだ!
 お次もコンビ芸。頼人と水葉の二人羽降りだ。水葉が「顔」で頼人は「腕」になる。
 二人羽降りで挑戦する食べ物、もとい飲み物は「産地直送特濃牛乳1リットル」だ。
 ぐいぐい飲ませる頼人。
「ぅお!? ほっとはてって!」
 ぽむぽむ頼人の体を叩く水葉。
(「確かこれはペースアップの合図ですね。それっ」)
「もごほぉ!」
 水葉が鼻から牛乳を噴出したのは言うまでもない。
「すごいですねぇ〜……なんて言うか、うん、凄い……」
 司は苦笑いにも似た笑いを浮かべて拍手を送った。

 次はメイド美少女!?
 だが佑樹は男の子だ。
「佑樹、ジャグリングをやるわよ」
 女の子らしい口調と仕草で二本の日本刀――これは駄洒落ではない――を器用にお手玉。これには拍手喝采だ。
「ふむ。中々の腕だな。そしてこの料理の隠し味は……アレか!」
 彼方はうっすらと笑みを浮かべ、芸を見つつ料理に対しての考察を頭の中で巡らせた。
 ノリにつられて鷹男もステージへ。手にはシルクハット。それを使ってとても信じられないような芸を披露。
「どうよ? 俺の芸は」
 背中のつけしっぽがイカすぜ。
「春霞遥、一人ミュージカルをやるよ」
 そう宣言した遥は男役と女役を見事に使い分け、拍手の中無事に演技を終えた。
「学生が『宴会芸』で盛り上がるというのも……いや、これは馬鹿にできないな」
 雨月は宴会芸に対して少し悲観的だったが、その考えを改めようかと思った。
「え、えっとっ、よく俺のじじいが歌ってくれた曲を歌ってみます」
 修羅はギターを構え、まるで屋上で歌うような澄み切った綺麗な歌声でその曲を演じた。演奏後はそそくさと退場したけれども。
「俺の芸は音楽! エレキギターで楽しくいくぜ。テーマは友達。レッツゴウ!」
 修羅とは対照的な夜人は、アップテンポなオリジナルナンバーで場を盛り立てた。
「俺の名は石井飛鳥。ただのちょっと妖艶ないい男だ」
 スポットライトを浴びたいい男はさりげなく肉体美を晒した。
「そう。HARAODORIをやる!」
 飛鳥の芸は実にシュールだった……。
 瑞樹はぱちぱちと静かな拍手を送った。
 夢はアキバ系アイドルのフィーアのターン。どうやら歌を披露するらしい。
「歌うのは……当然……アニソンのメドレーを」
 可愛い容姿とアニソンは最強コンボ!
 続く功の芸はものまね。
「プロペラのものまねをする」
 目を閉じればまるでプロペラが目の前に迫るような意外と凄い音マネだった。
「これは……楽しめるな」
 秋はお茶を飲みながら芸を見て、自分なりにゆっくりと過ごしているようだ。
「ラモレーナ・クレナイ、行きマース!」
 借りた太鼓をどどん! と景気よく打ち付けるラモレーナ。
「HA!」
 ねじり鉢巻をしたその姿はまさに「粋」なものだった。
「えと……す、進むの速い……!」
 ボキャブラリーを増やすために宴会芸のネタを片っ端からメモしていた弥琴だったが……その進行の速さについていくのがやっとだ。
 まだ前半が終わったばかり。がんばれ!

●ちょっと私の話に付き合ってよね!
 宴会芸で盛り上がっている会場ではあるが、あちこちでは周りの喧騒も何のその、仲間同士で楽しそうにわいわいやっているのもよく目にする。
 芸は少し休憩して、こちらの様子も見てみよう。
「修学旅行、楽しめたか?」
 智弥が友梨に声をかける。
「勿論。あ、でも智弥は彼女と一緒じゃなくて寂しい?」
 友梨はコップにジュースを注ぎながらからかう。
「まあ、ね……。月宮はあれから先輩とどうよ?」
「な、何が? 別に、変わらないよ?」
 思わず声が裏返ってしまった友梨。どうやら立場が逆転してしまったみたい。
 別の場所では鋭が一人でぼんやり宴会芸を見ていた。
「もしよかったら、三人でみようよ!」
「一緒ニ楽しむデスヨ!」
 そこへ静也とランフォワがやってきた。二つ返事で了解した鋭だったが……数分後。
「ええいッ、止めるなっ……俺だって、俺だって!」
「僕も、僕たちもやらなきゃいけないときがあるんだよ!」
 すっかり感化された鋭と静也がオン・ザ・ステージ寸前に。
「突然行くハ危ないデスヨ!?」
 必死に止めようとするランフォワはずるずると引き摺られ……ついにはステージ上に。
「「……」」
 が、ネタが思い浮かばなかった二人と被害者一名は、結局カクカクしながら下りていった。
 一体何だったのだろう。観客は首を傾げるばかりだったとか。
「いやー楽しいッスねぇー」
 紅乃はクラスメイトとこれまでの学校行事や北海道の思い出を、芸を見ながら語り合っていた。
「もう三日目なんですよね……明日で終わりかー」
 同席していた守元は少し寂しそうにコップを傾けた。
「でも、楽しかったね」
 やさしい顔で結花は微笑み、守元のコップにジュースを注いだ。
「ありがとうございます。どれ、そろそろ『彼ら』の出番ですね」
 それを飲み干すと、守元は立ち上がってステージの方へ向かおうとした。が、その時!
「えいっ!」
「おわ!」
 女子制服を着た彪が守元に「ひざかっくん」を仕掛けたのだ!
「悪魔っちの名にかけて、悪戯させてもらいましたー♪」
 そう言い残すと、彪はすたこら逃げていった。
「やれやれ……」
「あはは、お二人は仲がいいッスねー」

 一方こちらは異様な雰囲気だが……。
「魚介類を食べるとブツブツが肌に出来るんですよね、ぼく」
 ヒデヲは海の幸をぽいぽいとミツヲの方へパス。
「これはどうも。とは言っても甲殻類や赤味魚は食べられませんがね!! ウフフフ!!」
 そういってミツヲを介した海の幸は中身を変えながらさらにパス。
「拙僧は精進料理しか食えぬ。だが、世のため人のため望まぬ道を選ばねばならぬのも、仏道」
 大神は箸を持った。頭を輝かせながら。
「!!んらかしけ !幸の海よいまう !いまう」
 すんごい豪快に食べてますけど。
「飲み物のおかわり取ってきたッスよー、いたいいたい! ヒデヲさん、蟹の爪でつつかないでくださいッスよ!」
 菩薩、カニ攻撃を受けるの巻。
(「うふふ、今は少しはしゃいでも」)
 大人しくしていた光秀は、こっそり総一郎のもみあげをあれこれしようと背後から迫った。
「こんなに食事が豪華だったとは……ん?」
「あ」
 メニューに感動と不安で一杯になっていた総一郎は、光秀の謀略に気がついた。
「ウフフフ!! 河上、蟹をくれてやりますよ。おや、おイタですか? ウフフフ!!」
 光秀の命運やいかに!
 それはさておき、こっちはちょっぴりいい雰囲気?
「今のどう思います?」
「あはは、あれおもろいなぁ〜芸人になれるんとちゃう?」
 芸を見ながら他愛の無い会話で盛り上がる蓮と江菜。
「さっきから仲良くやってるようっすけど、二人は付き合ってるんすか?」
 近くで友人とトランプで遊んでいた旅人だったが持ち前の好奇心の高さ故か、さっきから蓮と江菜の関係が気になっていたのだ。
「いや、そういう関係というわけでもない……ですよ……ね?」
「親友やねん! ねー!」
 曖昧な回答をする蓮の方を向いてにぱっ、と笑って江菜はそう答えた。
「そうなんすか。や、変なこと聞いたっすね」
「ううん、そんなことないよ!」
「ああ……」
 二人の恋路、これからどうなる?

 こちらは……何やらワケアリの様子。
 僑は芸を見ていたが、急に背後から抱き上げられる感覚を覚えた。犯人は蒼衣。蒼衣はそのまま自分の膝の上に僑を座らせ、少女の髪を梳いた。
「流石女性ですねぇ、中々に軽い」
 僑はあくまでも冷静に微笑む。
「さて、僑さん。楽しんでいますか?」
「そうですね。あの、もし宜しければコレを食べてみませんか?」
 と、差し出す料理のひとつ。
「これはすみません。では……。っ! これっ、かはっ!?」
 しかしそれは僑の罠! 大量のワサビが入っていたのだ。辛さに悶える様子を見て、満足そうな笑みを浮かべる僑だった。
 さて、最後はこのお二人。
「ウィルも何かやれば良かったのに――女装とか」
 衣都子は芸を見ながらそんな事を隣にいたウィルソンに言った。
「ちょ……女物なんか着れネー!」
 真っ当な反応をしたかに見えたが……。
「っつー反応はないんだわ。姉ちゃんズのおかげでその手の耐性が、ね……」
「なんだ、つまんないの」
 さも残念そうな態度をとる衣都子。
「……でも、そんな感じね」
 彼の「愛され性格」からすると、いぢられるのも納得した衣都子だった。
「何が?」
「何でもない」

●え……私の芸も、見たいの?
 さあ、宴会芸に視点を戻そう。
「月詠キャンパス、幡谷志郎! 剣舞やります!」
 志郎は丸めた新聞紙を剣に見立て、まるで戦場で獅子奮迅の活躍をする剣士を見せるような剣舞を舞った。
「せぁぁあっ!」
 最後に気合と共に新聞紙を薙ぐと、用意していたジュースの瓶がずんばらりん。
 その後に出てきたのは守元から『彼ら』と呼ばれた二人組、雨姫兎と友史だ。
「今からこのおしぼりを鳥に変えちゃうよ!」
 友史はおしぼりをひらつかせ、客の気を惹く。
(「今や!」)
 おしぼりに一旦布を被せて、掛け声と共に布オープン! するとさっきまであったおしぼりは無く、
「あれ? 鳥さん逃げちまった……あれ、そこのあんた、ポケットに何か入ってない?」
「え? あーっ!」
 なんと、おしぼりの鳥は観客のポケットに! 客席は大興奮。雨姫兎と友史は目配せをして成功を喜んだ。
 実は雨姫兎が予め鳥のおしぼりを近くの観客のポケットに隙を狙って忍ばせたのだ。
 次もコンビ芸みたい。
「どーもー、今日介でーす」
「蹴一でーす」
「「キョウスケ&シュウイチでーす」」
 そのまんまだった。
「一発芸やりまーす」
 二人は上着を脱いで全身赤タイツになった。そして背中合わせになって手足を伸ばして……イヤな予感が。
「カニ」
 ……。
「あはははは! つ、つまんないよー!!」
 エルは涙を零しながら笑った。けれども……。
「あー……あ、あれ。ボクだけ笑ってる〜!?」
 そこへ強烈な漣弥の柄に「洞爺湖」と書いてあるハリセンが今日介と蹴一を襲う!
「アイター!」
 蹴一を盾に立ち回る今日介。ヒドいや。
「最大の罪を犯しましたね。即ち『スベる』ことです」
 さらにもう一発のハリセンも呻りを上げる。影虎のキッツイ一撃だ。
「くくく、今宵のハリセンは血に飢えとるわ……」
 そしてまたひとつ、犠牲者の名をハリセンに刻む影虎。芸とはまさに命がけである。
「ハリセンはいっぱい作ってあるから、みんなで使ってねー☆」
「「量産してるー!!」」
 さくらは関西出身の見せ所とばかりに物凄い数のハリセンを作成していた。

 気を取り直して次、いこうか。
「レベッカ・ホウセン。フリーポーズ!」
 浴衣の下は黒のビキニ。だがそれ以上に目を惹かれる見事なまでに鍛えられた筋肉美。
 次々とワイルドかつセクシーなポーズをキメていく。そして最後に。
「来たれボディビル同好会! 会員募集中だ!」
 まぁ……いい笑顔だからいいや。
 次にこれまた騒がしく鈴や太鼓を鳴らしながら登場した玲樹。
「会場に花火を咲かせます!」
 走って、ジャンプ。と同時に服を脱ぎ去っただと!?
「玲樹花、ヴィ!?」
 そこへコスモのからしがべっとり付いた「からしハリセン」が炸裂する。
「食事中の奴、悪かったなーっ!!」
 コスモは玲樹を引き摺って舞台袖へと消えていった。ありがとうコスモ! キミの活躍で秩序が守られたぞ!
「鎌木璃御、13歳! 場を盛り上げるために……」
 次はまともな――え?
「脱ぐ!」
 勢いをつけて脱衣の構えをみせる璃御。このままでは公序なんたらがあぶない!
「な、ななな……何をやってるの璃御のバカーーっ!!」
 そこへ救世主、璃御の妹、里緒奈の見事な飛び蹴りが璃緒のみぞおちにクリティカル。
「お、おぐふ……」
「し、失礼しましたーっ!」
 ありがとう、ありがとう里緒奈! キミの飛び蹴りをボクらは忘れない!
「せっかくだし、私も♪」
 飛び込んできたのはリディアだ。リディアのせくしーな躍りは見た者を魅了した。
 そんなリディアの踊りを腕を組み、脚を交差させてクールに鑑賞している漢がいた。長太郎だ。
(「欲望に打ち勝て! 僕の理性! クールな男としてこんなところで醜態はさらせん!!」)
 ……クールなのは外側だけだった。このえっちめ!
「伏見美鬼! 髭をそるけんのぉ!!」
 広島弁の乙女はT字の剃刀で……ひげ?
 剃り終わると、とんでもない美人に。とりっく?
 何やらシュールなネタだったが……シュールといえば先ほどから舞台の端にいる少女が気になる。
 健は両膝を付き、両の手の平を頭のやや上に掲げながら呆然と虚空を見つめ、
「ピンクのカバさんが西のお空をとんでいってます」
 そして健は前のめりに倒れた。……しゅーる?
 それを見てもなお、神楽は平然と食事と宴会を楽しんでいる。凄い、かも。
 シュールな演技の後は、日本舞踊で心を落ち着けるとしよう。
「舞うのんはそんなに上手くはないけれど、皆に楽しんでもらえたらええなぁ♪ ネタとして」
 日景は女物の着物を着て、番傘を使いながらそこそこ上手に舞った。女装の効果もあったのか、評判は上々のようだ。
「皆さん面白い! なんだか意外な一面を見れた気がしました♪」
 ジウは素直な気持ちで拍手を送った。
「ほな落語しましょか、演目は『時うどん』で」
 続いても日本の伝統芸だ。来音は勘定の代わりに瓦を用意してきたようで……。
「1枚2枚、3枚4枚、5枚6枚。主人、今何時? 4枚、5枚……」
 小噺はオチを迎え、
「そぉい!」
 来音は重ねた瓦を下段突きで一気にブチ割った。
 一方その頃、茜はどこかに宣戦布告をしていた。

「鷲崎くん、宴会芸やるのっ?」
 杏梨が目を輝かせながら北斗に尋ねた。
「ああ、勿論な。今回もやるぜ! 無礼講だしな!」
「北斗君。これで『無礼講』の意味を調べてみるといいよ♪」
 臨は笑顔でどっしりと重い辞書を北斗に渡した。
「え? えー……と。……つまり、やり過ぎるなってコトか?」
 長い時間をかけた答はそれだった。
「ま、そういうこと。そもそも無礼講っていうのは古来の――」
 ここから臨による辞書を用いての解説その他が始まるが、少々割愛させていただきます。
「ふっ、鷲崎の。今回は本気でいくぜ!」
「おう七瀬の。張り切ってるな」
 臨から開放された鷲崎北斗は、七瀬北斗と対峙していた。どうやら今回は封印した芸をするらしい。
 七瀬のはカセットコンロと鍋を用意し、目隠しをした。
「『一人闇鍋』で勝負だ!」
 スタンバイ状態を確認すると、客席からぞろぞろと人が集まり、さまざまな「食材」を投入していく。
「あいつに借りを返すいい機会だな」
 その中の一人、千慧は無表情で青汁や納豆、その他諸々をブチ込んでいく。
「あとは鷲崎に任せよう」
 千慧は鷲崎のの肩に手を乗せ、席へ戻った。
 やがて出来た闇鍋は、悲惨な色と香りを放っていた。
「イ、イタダキ……マスぅ……」
 七瀬のは一口目からこの芸を後悔する事になったのだが……その後きちんと全て食したらしい。
「あんたの生き様、とくと見せてもらったぜ。次は俺の番だな!」
 鷲崎のは勝利を確信した表情でステージに進んだ。
「俺の芸、ガラスごぎゃー!」
 越しに、と言うつもりだったらしいが、その言葉は最後まで紡がれなかった。
 何故なら、クス玉と金タライが落ちてきたからである。
 ちなみにクス玉は仁斗と真誇の手によるトラップだ。
「ははは、つまんないぞー!」
 響をはじめとした大人数のブーイングが飛ぶ。
「い、いや俺はまだ何も……おわぁ!」
 そんな混乱状態の北斗にぴょん、と飛びつく一体のリアルな造形の人形が。さらにパニック状態に!
「フィランよ。可愛がってね、先輩?」
 人形「フィラン」は鈴菜が操っていたものらしい。
「ああ……。それはともかく――!」
「あ、北斗クン。って、いやぁぁぁっ! こっちにこないでぇぇぇっ!」
 北斗を応援しようと思った樹浬だったが、悪いタイミングで小さな虫が樹浬に向かって飛んできたため、反射的に近くのモノを投げつけてしまったのだ。
「どうしろって、うおう!」
「少し落ち着いて下さい」
 北斗を扇子でぴしゃりと制する紗夜。
「皆様、鷲崎様をお慕いしていらっしゃるのですね」
 キールはおしぼりを渡して執事らしく振舞い、北斗を励ました。
「悪ィな。いや、慕うってのは違うんじゃないか?」
 その後北斗は時計の特性ドリンクを飲んで悶絶したり、フェリスに心のケアをしてもらったりと忙しい時間を過ごした。
「女装してくれませんかぁ?」
 今度はねこみみを持った熱っぽい目の澪音に迫られていたり。女の子の頼みは断りきれない北斗は、
「わ、わかった。後で、後でな!」
「約束ですよぉ……?」
 涙目の澪音からはとても逃げられそうになかったのだ。
 ありとあらゆる場面でいぢられてきた北斗を、この少女が常に観察していた事は誰も知らない事実だろう。そう、高津梨奈だ。特に男子との戯れは瞬きも許されない貴重なシーンとして記憶していた。
「何故か? それは私が『漢女』だからさ。ふふふふ……萌えるね」
 梨奈の目が怪しく光る。あ、アブナーイ!
「俺の歌をきけぇぇっ!!」
 最後に景之のギターが……と思いきや混沌とした流れに揉まれまくってしまった。
 最後の最後、朝陽は一番印象に残ったネタを箸袋に書き込んだ。
「一番おもしろかったのは、カピバラ……と」

 とにかくヒートアップしたハイパー宴会芸コンテスト。だが、修学旅行はまだまだ続くのだ!
 そう、まだまだ!


マスター:黒柴好人 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:93人
作成日:2007/06/22
得票数:楽しい24  笑える10  泣ける1  せつない1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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