<リプレイ>
6月、初夏の青空の下、公園には沢山の屋台が並んでいた。 「すごい人出ですね……」 成章は思わず呟く。縁日は大賑わいだ。自らも歩きながら、何から食べようかと思案する。 「よし、完璧っ♪」 しいなは、くるるんと浴衣の最終チェック。御洒落研究倶楽部の皆と遊びに来たのが余程楽しいようだ。 「どないしよ〜?」 沙奈は早速目移り。こうなったらお小遣いを使いきるまで楽しんでやる! とたこ焼き屋台に突撃だ。隣の七海は実家の縁日との違いを感じつつ、何を食べるかゆっくり考える構え。 「僕は……」 一郎はお目当ての綿飴を見つけると、それを幸せそうに頬張って歩く。 「屋台の事ならまかせときー!」 麦丸が振り返ったのは、怠惰なる世界を愛する同好会の面々。事前に下見した麦丸が、皆の行きたい屋台をガイドする。 「じゃあ……」 虚太刀は店の種類を聞く。なにせ彼女の目標は全制覇。見落としが無いようにチェックする。 「やっぱり最初はりんご飴、かな〜」 三月はまず買い、それを食べながら次を悩む。 「りんご飴……綿飴……う〜ん」 悩みに悩んだのばら(b00879)は、チョコバナナとあんず飴を選ぶ。同様に財布片手に悩んでいた朔は、やがて「たこ焼きは欠かせない!」と走った。 「こうやって食べるのって、本当に美味しいのよね」 朔と共に戻った沙夜は、今日のたこ焼きは更に美味しいと笑う。 「うわぁ……」 皆と歩きながら、万里は瞳をキラキラさせている。どの屋台も見てるだけで、とても楽しい。 「次は……」 紀は饅頭屋台へ向かう。次々と食べ続けていても、まだ全然余裕らしい。 「食べ過ぎてお腹を壊さないようにな?」 そう言う野風も、両手に持ちきれない程食べ物を抱えている。 「沢山買いましたね……」 灰那はりんご飴を片手に苦笑すると、荷物持ちを手伝う。 「あ、飴屋さんです!」 可愛い着物に身を包んだ桂刀は、目をキラキラさせて飴細工の見物だ。 「桂刀、そろそろ行くぞ」 「あ、はい!」 迷子が出ないよう気を配っていた誠は、桂刀がはぐれないように呼ぶと最後尾を歩く。 「おいしー♪」 クレープ片手に鈴夏はご機嫌。隣の凛の麗しさに鼻高々で、それがまた嬉しいようだ。 「海ちゃん、何食べたい……?」 「んとー……」 紫空と海斗は相談すると、まずはたこ焼きを買い、はふはふしながら半分こ。 「へへ、瑠姫も食べる?」 真揮が差し出した綿飴を、瑠姫は勿論とばかりに食べる。反対に瑠姫は「ハイ、あ〜ん♪」りんご飴を分けてあげる。 お祭りといえば、やっぱりこれだと分け合って、2人はまた次の店へ。 「ローシンも食べる……?」 「あら、ありがとう♪」 あーん、と蒼(b25152)が差し出した、たこ焼きを食べる楼心は、彼女がどこかへフラフラ行ってしまわないように、その手をしっかりと繋いだ。
「あ、虎っちも食べる〜?」 チョコバナナを手に萃嘩は真白を振り返る。真白の両手は萃嘩の買った物でいっぱい。それじゃ食べれないか、と差し出したそれを、真白は意識してしまい、少し恥ずかしげに食べる。 「美味しい……」 音々は兄が来れなかった事を残念がりながらも、昔兄から聞いた綿飴やりんご飴を食べて笑う。 「む〜」 お祭りには粋な伝説のおねーさんがいると聞いて探してた奈緒子は、なかなか見つからないので焼きそばで一休み。 「オゴリ権を賭けて勝負よユッキー!」 射的屋では、のばら(b01025)と雪之丞が真剣勝負。結果は紙一重の差でのばらの勝利。表では渋々奢る雪之丞だが、内心はそれほど嫌がってはいないようだ。 「誡矛、アレ行こ!」 桃弥が駆けて行くのは焼き鳥屋台。目玉は、普通の焼き鳥の何倍も大きな巨大焼き鳥。 「美味そうやなぁ」 誡矛は最後の綿飴を口に入れ、2人分注文する。 (「結社長を継いで、もう半年かぁ……」) 恋月は感慨深く思うと、意を決して、樹雨の虹の仲間達を見る。 「みんな、今日は好きなモノを食べなさい。おごるよ!」 「ほう?」 響慈は、すぐさま周囲の屋台に目をつける。焼きそば、お好み焼き、かき氷……勿論お代は全て恋月払い。 「食べ物……いっぱい……嬉しい……」 「マヤちゃんには負けないよ」 たこ焼き、焼きそば、イカ焼き、フランクフルト……と買い込んで、一つ一つ味わうマヤ。そんな彼女に晃は宣戦布告し、面白そうなアジアン料理を買う。 「どっちも頑張るですにゅ〜♪」 リューンや焼とうもろこしを手に、2人の対決を観戦だ。彼を手を繋いだエリザベートは、たこ焼きをリューンと分け合うと、アキを振り返って。 「アキも、食べよ……?」 頷いて、アキは口をソースだらけにして食べる。 初めての屋台……皆で食べると、こんなにも美味しい。 「皆、よく食べるな」 十架は、普段と違う作務衣の感触を少し気恥ずかしく思いつつ、りんご飴を片手に仲間の食べっぷりを見物している。 「本当に……」 くすくす笑いつつ、月は財布を手に青くなってる恋月にトロピカルジュースを差し出す。最初は断った恋月だが、受け取ってくれないとゴミになってしまうと切り返され、ならと受け取る。 「あ、あのっ。良かったら一緒にボートとか……駄目ッスかね」 「ボートか、別に構わんぞ」 色々な屋台を回っていた駆は、意を決して真魔に切り出す。そして、その返事に顔を輝かせると、早速2人で乗り場に向かう。 「はい、透夜さん」 ボートのでは、栞が透夜に「あーんして下さいね」と手作りサンドイッチを差し出していた。 「栞ちゃん、料理上手だね」 透夜はそう笑い返し、2人はのんびりお弁当を楽しむ。 「いいもんだな、こういうの。……そういえば、その浴衣、よく似合うぞ」 「なっ」 ボートに座っていた束砂は、ふと銀狼が口にした言葉に真っ赤になってそっぽを向くが、彼と過ごす時間の心地良さに、少しずつ機嫌を直す。 「ごめん、ちょっと……」 「うん、ゆっくり休んでね」 陽気に誘われたのか大きな欠伸をした螢に、咲夜は頷き返すと、膝枕で眠る螢の髪を撫でながら、その寝顔をのんびり見つめていた。
「むぅ……」 金魚すくいでは、瞳亜が穴の開いたポイを手に難しい顔。羅偉にせがんで再挑戦するが、また金魚に逃げられてしまう。 「瞳亜、そろそろ……」 何度もせがむ瞳亜に苦笑する羅偉。そんな2人に、おじさんは残念賞だと金魚を渡す。 「亀さん釣りですか〜」 一方では、nternet cafe【アンシャル】の面々が亀すくい屋を囲む。どうやるんだろうと首を傾げる水奈の前で、まずは他の面々が挑戦だ。 「亀さん、勝負です……!」 司は真剣に亀の動きを見定める。玲紋はポイを漬けないよう気をつけて、一気にすくいにかかる! 「それっ!」 京斗の動きと共に水が跳ね上げられて……亀が器の中へ。 「すごいですー! お名前は何がいいでしょうか?」 その様子に、わくわく考え始める花影。彼らがすくった亀達は、ひとまず結社にお持ち帰りだ。 「覇道くん、あれは何かしら?」 和泉が止まったのはヨーヨー釣りの前。そんな事も知らないのか、と霊輔は説明すると一緒に挑戦し……結果は残念賞だったけれど、2人は貰ったヨーヨーを楽しそうに跳ねて、また歩く。 「うーんと……」 マリウスは輪投げ屋に来ていた。誰かとはぐれたらしいが、ここへ来る約束をしていたから、そのうち会える事だろう。 「早苗ちゃんは、こういうの得意?」 「ううん。でも……」 梓に答えながら早苗はウサギの置物を狙うが、輪は少し外れてしまう。 「やった!」 一方梓は万華鏡をGET。もう一度、と投げた早苗は、最後の輪で見事に置物を手に入れる。 「唯、輪投げで勝負だ!」 シークヴァルトと唯はチョコバナナを賭けて真剣勝負。 「よっしゃあ、俺の勝ちだな!」 最終的に確実に数を稼いだ唯が勝利すると、2人はチョコバナナを探しつつ縁日見物に行く。 「わぁ……賑やかですね〜」 すれ違ったのは浴衣姿のジウ。沢山の人の笑顔を見ると、ジウまで楽しくなる。 「あ、天虹! アレ欲しい〜!」 「お前、ホント黒猫スキだなー?」 瑞鳳に呼ばれて射的屋で足を止めた天虹は、狙いを定めて……見事に獲得したぬいぐるみを「ほらよ」と渡すと、瑞鳳は早速名前を考え始める。 「お手本を見せてあげるから♪」 構えた斑鳩はぬいぐるみを撃つが、外れて咳払い。「大体こんな感じだから」と銃を椿に渡す。 「アレは的じゃない。只の南瓜だ!」 深呼吸して撃つ椿だが、外してしまい即再挑戦。 「ち、当たらねぇ……」 「って何しやがる!」 そんな中、春一と直人の喧嘩が始まる。なかなか当たらずイラついてた2人は、些細な理由で取っ組み合い。 店を追い出されるが……青空を見上げ、これはこれで悪くないかもと思う直人だった。
「直矢さん、とってーとってー!」 「仕方ねーな〜……」 歌戀が指差す先にはピンクのうさぎ。銃を構える直矢だが、実は射的は初めて。内心冷や汗ながらも何とかぬいぐるみを落とし、大喜びの歌戀に一安心。 「何かコツとかないですか?」 「そうだな……」 首を傾げる沙羅に壱球はアドバイス。その通りに銃を構えた沙羅は3発目で命中させ、「キューさんのお陰です、ありがとうございます〜!」と瞳を輝かせて飛び跳ねる。 「結局これ1つかぁ」 幼馴染の芽衣と射的を楽しんだ咲左衛門は、ガラスの指輪を「良ければ貰ってくれ」と芽衣の指へ。それを、芽衣は赤くなりながら「ありがとう」とそっと撫でる。 「それっ!」 「勝負勝負!」 紫月が狙うのは豆腐をデフォルメしたぬいぐるみ。隣の偃鴉と、どちらが先に取れるか勝負だ。妨害も織り交ぜる偃鴉と戦略を立てて狙う紫月、やがて紫月がぬいぐるみを落とす。 一方では雅紀とヴィヴィが一騎打ち。ヴィヴィがぬいぐるみを狙う一方、雅紀はゲームの箱を狙うがピクリともしない。 「ヴィヴィちゃんの勝ちみたいっすね〜」 本当に落ちるのか疑い出した頃に時間切れ。買い出しから戻った智也が、一緒に食べようと色々差し出す。 「……お前、それ反則」 女物の浴衣で微笑む智也に雅紀が呟くと、ヴィヴィも心の底から本当に似合うと感心した。 「やったー!」 上がる歓声は知杞の物。隣では結姫と要が残念そうにしている。どうやら3人の勝負は、コツコツ数を稼いだ知杞が制したようだ。 「残念だけど仕方ないかぁ」 「欲しい物を何でも言うといいのです」 心底喜ぶ知杞に、結姫と要はそれぞれ1つずつ奢ってあげる。 「よーし、勝負なのだ……って甍、銃ごと投げるなー!」 「へ?」 鈴之介の声に鈍い音が重なる。見れば転がる銃1つ。 「……あれ、投げればいいんじゃなかったんで?」 真剣な甍に首を振り、鈴之介は正しいルールを教える。 「よーし、あのブタさんはもらったぁー!」 フランクフルトをくわえ、ハルが銃を構える。後ろには同じ星宮3−Iのクラスメイト達。 「ミカちゃん勝負や! 俺が負けたらミカちゃんって呼ぶん辞めたろ」 「その勝負乗った。2度と呼ぶんじゃねぇ!」 火花散らすは悟と美華衛瑠。だが、そんな2人に夕姫が笑う。 「何でお前らMY銃持って来てんの?」 持ち込みは禁止と知り、2人はすごすご銃を持ち替える。 「狙うは豪華景品よね!」 さきは大物を狙うが、簡単には倒れない。その様子に皆が燃えた。銃口が集まり、次々と撃つ! 「クライマックスに間に合ったようですね」 銃を熟考していた一馬も、満を持して参戦だ。 「よっしゃー!」 やがて倒れる景品。クラスメイトの団結を思い知ったか! とばかりに6人は笑う。 「あ、師匠あれ」 りんご飴や綿飴を抱えて歩いていた榊は、隣の玄蕃の袖を引いた。指差した先には、汽水と時那の姿がある。出歯亀じゃないぞ、と言い訳しながらこっそり様子を見守る玄蕃に榊も倣う。 「汽水さんもこれ、食べますか?」 「では、一口ずつ交換しましょうか」 そうは知らない2人は、巨大焼き鳥とお好み焼きを一口ずつ交換している。こうしていると、とても美味しく感じると呟く汽水に、時那も頷き返した。
「高城君も、はいっ♪」 色々買い込んでベンチに座ると、千歳は食べ始めながら蒼(b04274)にも差し出した。 「ん……甘いです」 一緒に綿飴を分け合って、2人はのんびり午後の時間を過ごす。 「賑やかですわね」 別のベンチではゆりかが、とうもろこしとクレープ、トロピカルジュースを味わいながら一休み。 「すごい高いですー! ほわ〜」 放課後ぐだぐだ倶楽部の1人、杏は骨太に肩車され、りんご飴を振り回しながら歓声を上げた。飴がー! という悲鳴が聞こえた気もするが、周囲は生温く父娘(?)を見守る。 「わっは、ふわふわだなこれ」 「リサちゃん、これはわたあめ。りぴーとあふたみ」 後ろでは織芽とリサが綿飴を食べる。手がべとべとなのはご愛嬌だ。 「ペンペン、これがりんご飴というものだよ。すごかろ」 「丸ごと林檎の水飴掛け、なんだ……」 秋にりんご飴を見せられた片銀は、日本って斬新だなぁと呟く。 「あ、さえばー」 秋は圭汰にとうもろこしを頼む。ついでにと片銀が綿飴を頼み、リサは焼きそばとたこ焼きを追加。秋曰く「パシられたいって言ってたから」らしいが、本人は面倒そうに歩いていく。 そのうち流れ解散するまで、彼らはぐだぐだに祭りを楽しむ。 「当たりはどれだ。開け、僕の第三の眼……」 お好み焼きを食べていた攸は、くじ引き屋で止まると真剣に選ぶ。隣の箱では、芯朗太が底の底まで手を入れて。 「はい、残念賞〜」 渡されたのは笛の付いた巻き取り。まあ、大紋へのお土産にはなるかと芯朗太は仕舞う。 「次はくじ引き!」 輪投げと射的を経た龍麻もやって来る。大人買いならぬ大人遊び、子供の頃の夢を満喫である。 「作戦なんてありません。気合です!」 風李が箱の中に手を突っ込めば、笑狐庵の仲間達が続く。彼らは屋台で対決を繰り広げ、これが最終戦だった。 だが現実は非常である。風李の手には残念賞。射的で活躍した志狼や焔も同様だ。射的トップだった神猷は、運を使い果たしたのか駄菓子1つの惨状である。 「俺の命運を託すのはお前やっ!」 と焔が当てたのはカードゲーム。くじでは彼が最高成績だ。 「さぁて」 しのが1つ咳払い。いよいよ決着の時だ。しのがこれまでを踏まえて判定した最下位は……風李。 「で、でもいいんです」 皆に奢りながらも、風李はくじを引き続けて入手した、ぬいぐるみを抱え嬉しそう。 「一緒に来れて楽しかったンだぜー!」 「俺もだぜ!」 モーラットに少し似た、ふかふかぬいぐるみを手に、クラシャと円は笑い合う。 「また一緒に遊ぼうな!」 「勿論!」 2人はそう指切りを交わし、暮れ始めた空の下、初夏の縁日を後にした。
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参加者:123人
作成日:2007/06/24
得票数:楽しい25
笑える3
知的1
ハートフル5
せつない2
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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