さあ、祝砲を上げよう!


<オープニング>


「みんなお疲れ様なんだよ〜」
 初瀬部・ひなた(陽だまり仔猫・bn0153)が満面の笑みを浮かべている。
 応じる能力者の顔も似たようなものだ。
 勝利、勝利だ。
 遂に戦いの日々は終わりを迎えたのである。
「そして、みんなにちょっと嬉しいお知らせがあるんだよ。実はね、とある人が頑張ったボクたちに大量の花火を送ってきてくれたんだよ♪」
「……は、花火?」
「そう、花火! というわけでどうぞ」
 と、ひなたが呼べば、山田・大五郎(運命予報士・bn0205)が限界まで花火を積んだ台車を押してきた。積まれているのは、打ち上げやら手持ちやら雑種多用。
 見ただけでも、大体の花火が揃っていることが分かる。
「ちなみにこれはまだ『一部』だからね」
「な、なんだって!」
「まだまだ大量にあるんだよ。もうやりたい放題だね♪」
 何でこんなに一杯?
 わけが分からないが、とりあえず言えることはひとつ。

 ――面白くなりそうだ!

「というわけで、みんな! 思いっきり花火がしたいかっ!」
「「おおっ!!」」
 と、参加者も乗ってきたところで、百地・いろは(呪言士・bn0209)が注意事項を説明する。
「基本的に無礼講だね。花火を人に向けて発射するとか、危ないことやらないようにね。まあ節度を持って、やりすぎないように」
「つまるところ、みんなで楽しもうってことだね♪」
「そういうこと。今日ぐらいはちょっと羽目を外したいしね」
 思い返してみれば、学園祭の後にラストバトルと、かなりハードな日々だった。
 正直、体は疲れている。
 されど、毒食わば皿までだ!
「さあ、みんな行っくよー!」
「「おおっ!!」」

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参加者
NPC:初瀬部・ひなた(陽だまり仔猫・bn0153)




<リプレイ>


「ま、ぱーっと行こうぜぱーっと!」
「皆無事で良かった、だから今日は楽しもー!」
「それじゃ花火でも……って、もう点火してるしっ」
 紀更の声に結社【双戴銃騎】の仲間たちが応える。
 そして、パーン舞い上がる花火。
「花火か、夏の風物詩じゃの。しかしうるさいのは余り好かん」
「まあ、こうやってみなさん無事で遊べてよかったのです♪」
 言葉とは裏腹に満更でもなさそうな橘・悠、微笑みを浮かべる美華。
「……うん?」
 そんな二人の前を大量のねずみ火花が通りすぎた。
 行く先は、
「気付いたら大変な事になったんだけど……ボスケテ」
「わ、わ、アル君、落ち着いて……!」
 囲まれたアルノーの傍には、茜が。
 もう必死にアルノーの手にしがみついている。
「まぁ……どうしましょう」
 心配する、ひのと。
「仕方ねぇ、俺の二丁水鉄砲で消火をしてやるか」
 と、ここで新都参上。
「……逃げてー皆逃げてー!」
「えっえっ?」
 いつの間にかねずみ花火は周囲に拡散。
「敷島九十九式、こっちも消してくれ!」
「こっちもだ!」
「おおっ?!」

「たーぬたぬたぬたぬ音頭〜♪」
「……あの式銀さんの格好、暑くないんでしょうか?」
「もうツッコミはしませんけど……熱中症には気をつけて下さいね?」
 一方、結社【たぬ喫茶】はいつのものノリだ。
 狸の着ぐるみの上にはっぴを着た、冬華は南瓜形打ち上げ花火を設置中。
「最初に会った頃はこんな人じゃなかったような……何が冬華さんをここまで変えたのか……」
 はぁ、と智尋が溜め息を。
「そうなの? 冬華先輩って初めからこんなイメージのような?」
 と妙な談義が行われているところへ、現れたのは飛び入りの魎夜だ。
「ひなた、あの花火だけど全部使いきっても構わないんだな?」
「もっちろん!」
「面白れぇ」
「どんどんやってね♪ ……っと!」
 話している最中に、ひなたの手が取られた。
 相手を見れば、にっこりと微笑む祐理の姿が。

 続いて、元結社【大根畑】のメンバーがなだれこんできた!

「おおっ! みんな久しぶり!」
「お久しぶりです、ひなたちゃん。さあ――」
 祐理が軸になって、ひなたがぐーるぐると大回転!
 二人の持った花火が内と外で鮮やかに輝く。
「祐理ちゃん達すごく高度な事を……っ」
 小夏がごくりと息を飲んでいると、その傍らからカズマがバケツを持って現れた。
「いかにスタイリッシュに遊べるか、か。最後まで大根畑らしいよな」
「結婚式まで挙げた人が主催してやる事でしょうか……」
 更に隣では、レイナがジト目をしている。
 ちなみにそれぞれが持つ花火には、雪乃の作った切り絵がワンポイントとして付いている。
「……ま、こんな日だし良いけどね。馬鹿は今の内にやり尽くしておかないと」
 言ってレイナは新体操のステッキのように、両手に持った手持ち花火を回転させながら交互に高く放って、それを軽々とキャッチ。
「おっと、派手に行くだけが花火ではないんですよ?」
 そこに現れたのは、暗闇でゆらりと足元を照らすスティノークル。
 傍らにはスケルトンっぽい姿も……?

 ホラー!?

「何か分かんねえけど負けてられねえ! これはラストバトルの勝利の分だ!」
 と、ここで魎夜が打ち上げ花火に次々と点火。
「ちょ〜っと危ないから、みんな離れてて〜?」
 ちか子も吹き出すタイプの花火を砂浜に突き立てて、一気に火を放つ。
「花火のモーラットちゃんの出来上がり〜! ひなた先輩もいろは先輩も大五郎先輩も見てみて〜。式銀先輩は……間違えて突っ込んじゃダメだよ〜?」
 一気に目の前がまばゆくなった。
「どえむしねーどえむしねー♪」
 呼ばれたひとり――冬華も踊りながら設置した打ち上げ花火に火を点けている。
「砂でケーキみたいな塊作ってパチパチ弾ける手持ち花火を蝋燭代わりに数本……はい、サンドケーキの完成っ!」
 ここで、小夏の自信の一作が。
「ふわぁ……凄いなぁ……っは、食べられなかったですね」
 思わず、若葉も釣られるほどに。
「なら、レンは……花火を使ってらおーを、一筆書きするのですっ。雪乃ちゃんも一緒にらおーを描こうだよっ♪」
 漣が誘えば、雪乃がこくんとうなずく。
「らおーファイアー」
 高くかざして、遠くのお空に行ったどえむに送る。
 それを後押しするように夜空に打ち上がる花火。
「これは宇宙に出かけた連中を祝福する分!! そしてこれは……」
 魎夜が一気に火を放つ。
「この俺が撃ち尽くしたいだけ撃ち尽くす分だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 どどどどーんと夜空が輝く。
「アレが師匠かと思うと、頭痛が……」
 まあ、苺子が頭を痛めていることは置いておこう。

「さあ、火のオロチ上がり!」
 ところ変わって、茂理は集まった仲間のお腹を満たすべく孤軍奮闘中。
 いや、
「やれやれ、こんなときまで裏方に回らなくても」
 手伝うよと、いろはが加わる。
「お腹を空かせた人がいたんじゃ、デカ盛り喫茶「sole」の名折れだからね。さあ、どんどん行くよ!」

「花火綺麗かもー!」
 ラジェリが花火をぶんぶん、くるくると回す。
 ここ、結社【アプリ】の一同も賑やかだ。
「……す、澄さんっ、もう少し離れた方が……あ」
「……!?」
 雅が指摘するも時既に遅く、澄の足元をネズミ花火が走り回る。
「あわわ、たた、助けてですの〜っ」
「あ、あぶないのです、おみずおみず」
 と、ティセが水をばしゃっと。
「ふぅ、危険が危なかったのです……あ、あれ? にゃははは」
 思わず笑って誤魔化すが、澄は水浸しだ。
 タオルで拭いて、ようやくひと息ついたところに、
「うし、白河は団長らしく、でっかいのやってみようか?」
「……わ、いいですね……! これだけ大きくて多ければ、次の宇宙からも見えるでしょうか……」
 始の用意したそれに、雅が感嘆の声を上げる。
「大きな花火ー!? 楽しそうかもー!」
 ラジェリも興味津々。
「で、その導火線に点火したらどーんって、うおおおっ!?」
 そして、澄が火を点けた途端、始が吹っ飛んだ。
「はわわわ……す、澄は一体どうしたら〜……っ」
 残念、もう手遅れ。
 パーンと大輪の花が開いた。
「たーまにゃー」
「たーまやー!」

 さて、結社【だべり場】では。
「お前な、手に持ってはいけませんって書いてあるだろ……」
「もしかしたら楽しいかもしれへんよ!」
 凪流が、60連発と書かれた花火を手に持ったヒスイを止めていた。
「そんなイイ笑顔で言ってもだめなものはダメだ。ダメ、絶対」
 むぅと、ヒスイは頬を膨らませつつ、そっと萌芽の花火にさっきのを忍ばせる。
 ちょうど、萌芽はひなたに説明しているところで気付くこともなく。
「幼女口調……?」
「……それもこれも全て新お兄ちゃんの仕組んだ罰ゲームのせいなの!!」
 何かブチ切れていた。
 対する新は肩をすくめて何のことやらと。
「こうなったら、あたちを自棄にさせた報いを今受けるの!」
 近くにあった花火に一斉に火を点ければ――60連発が火を噴いた!

「こんな風に楽しめるのも勝ったからですよね。アルたちもいっしょに居られるし、素敵な未来がすぐそこに! って感じ」
「そうだな」
 花火を楽しむ緋薙・悠の隣には、大五郎がいた。
「だからご一緒に。ほらほらー照れてないでー、将来彼女さんが出来たらどうするんですか?」
「いや、それとこれとはな」
「ほらほらー」

 両手に持った花火がくるくる回って、光が尾を引く……。
「ふふー、妖精が舞ってるみたいでしょう?」
 と、リーゼロッテが笑いかければ、
「妖精とは、よく言ったもんだね」
 迅も同じように応える。
 そこへ、碎花が通りかかって、リーゼロッテと小さく目配せを交わした。
 碎花はそのまま、平治の元へ走り寄り、
「碎花」
 呼ばれた次の瞬間には、平治の指の間に挟んだいくつものスパーク花火が炎の雪模様を彩った。
「……わわ!」
「戦場じゃ立派に戦う勇敢な仲間でも、碎花はまだまだ小さな女の子なんだ。だから、今日よりもっと彩り鮮やかになるように足なんて、止めてられないよな!」
 こくんとうなずく碎花。
「……いつか大人になって、もっと勇敢になって、もっと、もっと、……いいお嫁さんになりたい、です」

「レイジさんにゃ」
「おぅ、祢琥魅か」
「お疲れ様。レイジくんも最後の最後で、あんな勇者になるとは……」
「那由他、か。そういや那由他はディアボロスランサーをどうしようとおもっていた?」
「宇宙か……。私は、地に足がついてないと駄目だから、宇宙には行かないわよ?」
「……そうか」
「相当な報酬があったりしてもね。そのあたりは心配、いらない。だって私は魔道を極めたいから。レイジくんだって、そうでしょう?」
「……ああ、そうだな」
 語調を鈍らすレイジの肩を、大五郎がぽんと叩く。
 まあ、その意味を理解したのは男のみで、
「こうしてみんなと遊べるのってやっぱり良いにゃ〜☆」
「だよね♪」
「?」
 そして呑気な祢琥魅とひなた、あとは首を傾げる那由他であった。


 ぱちぱちと火花を散らす線香花火を見つめる結社【双戴銃騎】の面々。
「まぁ余り欲を出さんのが、楽しむコツかの」
 橘・悠の言葉に、美華は真剣にうなずく。
 そんな仲間からは目を離し、紀更と、ひのとは夜空を見上げて旅立った仲間のことを思う。
 無事を、そして幸せを。
「今までも繰り返してきた楽しい時間。でも、今回は本当に特別に感じます。きっと私、今になって――」
 いつの間にか笑顔になって全てを守ることが出来たと、茜は感じることができた。

 夏美と、いろはと、レイラは小さな輪を作って線香花火を楽しんでいた。
「そういえばいろは先輩、これからどうします?」
「そうだね。だいぶ落ち着いてきたし、何かやろうかな」
「夏美は夏休みにいろは先輩と遊びたいです」
「ああ、そういことなら大歓迎だよ」
「なら、夏休みはお友達も誘って海とかプールとかいきましょ?」
「海か……」
「この間の水着持って! 沢山遊んで。沢山思い出作って。沢山、生きましょうね!」
「うん、そうだね。二人ともよろしく」

「良ければ、一緒に暮らさないか?」
 九郎から告げられた言葉に驚き、レオナは回らない頭で懸命に考える。
 聞き間違いではない、九郎とて熟考の上での言葉だろう。
 二人の間で線香花火が小さく火花を散らす。
「私は……家事も上手いとは言い難いし、誰かと共に生活した事が殆ど無いから、勝手がよく分からない。……それでも、良いのか?」
「ああ、難題は多いだろう、だが、これが俺の知らぬ感情が出した、今言うべきと思った言葉だ」

 聖とセフィラは互いの進路を話すと、それぞれの手に線香花火を持った。
「長く保たせる競争は、このイベントの風物詩だな」
「集中力勝負よ。どちらが長く花を保っていられるか、競争ね!」
 真剣に見つめるセフィラ。
 聖はそれを見て――彼女を何よりも大切に感じた。
「――セフィラ」
「これまで色々有難う。頼りないお兄ちゃんみたいでした」
 くすっと笑い、セフィラは言う。
「そっちも、自分の道を歩んでいってね!」

 ――そして、再び夜空に大輪の花が上がり始める。


 さて、時間は少しさかのぼる。
「ひなた様、こちらでよろしいのですか?」
「うん、ありがとう。芽亜ちゃん」
 芽亜とひなたがせっせと並べているのは打ち上げ花火。
「導火線の準備もだいぶ進んできたぞ」
 それを龍麻が一斉に点火できるように細工している。
 で、その光景たるや、
「……すご! ここまでたくさんの花火見たことないよー」
 小春の言うとおり、正に圧巻!
(「あんな戦いとあんな結末の後ですから、何かみんな、元気ないのは判っているんです。だから、そんな空気、吹き飛ばしませんか? ……この音、聞こえなくても。あなたに、届けと」)
 設置をしながら、ヒナタは夜空を見上げる。
 届くだろうか――いや、きっと届くはず。
「さて、盛大に打ち上げ花火を飛ばしましょう」
 準備を終えて、虎信に呼び掛ければ、
「良し、デカい打ち上げ花火を寄越せ! 俺様が手ずから盛大に上げてやろう! 良いガキと自称するモノは真似するなよ!」
 ニヤリと笑って、虎信は大物に手を掛ける。
 ヒューンと上がった花火が轟音と共に夜空を染め上げた。
「なぁーっはっはっは!」
 更に二発目、三発目。
「おっと負けないよ。大量の花火と聞いて、これやりたかったんだよねー」
 小春も一気に火を点けて回れば、間髪を入れずに花火が上がる。
「楽しくなってきたなぁ」
 と、龍麻が手持ち花火を持ってダンスを始めれば、
「おおっ!」
「良い子は真似しちゃ駄目だよ〜♪ と言ってるそばから」
 ひなたと祢琥魅が追随。
「はしゃぐのはいいのですが気をつけてくださいね」
「はーい♪」
 真冬の注意をちゃんと分かっただろうか?
「困ったヤツらだ」
「それよりも楽しみましょう♪ いろはちゃん」
 言って、真冬は空を見上げた。
「それこそディアボロスランサーと共に行った人達が羨ましくなる位にね」
「ああ、楽しもう」

 夜空に咲く無数の花火。
 地上もまた同様に。

(「海岸を見渡せば、色とりどりの花火の数々。まるであの宇宙のようでもありますわね。あるいは生命の輝きとも。瞬いては消える。それこそ生命の一瞬の輝き。私も、あのように輝けているでしょうか?」)
 芽亜は静かに思い馳せる。
 そして、その間も無数に光は生まれていく――。

「……届くかなぁ?」
「届くさ。ディアボロスランサーと、新たな宇宙へ旅立った冒険者たちに」
 リーゼロッテと、迅が火を点けた打ち上げ花火が思いも乗せて夜空へと旅立つ。

 そんな最中、結社【たぬ喫茶】ではある重大な発表が行われていた。
「――近い将来、たぬ喫茶は宇宙へ進出する!!」
「……宇宙、ですか」
「もふもふ愛も宇宙規模になりましたか。でも、どうやって宇宙にでるのですか?」
「詳しくは結社でっ!」
 と、話し終えたところに、間近で轟音と共に花火が打ち上がった。
「驚きました?」
 振り返れば、苺子がくすっと悪戯な笑みを――。

 さて、元結社【大根畑】のメンバーも打ち上げ花火と共に夜空に思いを馳せていた。
「遠く新しい世界にいる皆さんにも届いているでしょうか。さよならは言いません、また会いましょう♪」
「この世界に溶けた言葉は、きっと新しい世界へとも繋がっていると信じて。この世界の皆と、向こうの世界の皆へ――大好きですよ……♪」

 思いを乗せて。
 届けたい言葉が宙に溶ける。

「みんな、ありがとな。お前たちといたこの5年間、最高に楽しかったぜ」
「色々しましたが、みんなと出逢えたのが、一番の思い出ですな」
「皆、これからも大好きだよっ♪」
 そして、漣がカメラを持ってやってくる。
「みんなで写真撮影、しませんですかっ?」

「こっちもでも撮りますよー」
 向こうでは小春も。

「「にゃーん♪」」
 釣られて集まる仲間たち。

 夏の夜はこうして溢れんばかりの光と楽しさに包まれていくのであった。


マスター:てぃーつー 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:51人
作成日:2012/08/05
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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