眠り姫


<オープニング>


 もしも、ずっと眠っていられたら。
 この哀しみを、いつか忘れる事ができるだろうか。

「そう思う愚かなりし者を、救ってやるが妾の役目」
 蒼く塗られた爪をてろりと舐めて、女はゆるりと立ち上がった。
「辛かったろう。苦しかったろう。もう、良いのじゃよ。顔をしかめずとも良いぞ」
 倒れ伏す人。
 人。
 人。人。人。
「絶望する必要などないのじゃよ」
 ここからは見えないが、おそらくは家の中や店の中、どこかの物陰にも人が倒れている事だろう。
 仮初の眠りの淵に。
「けれど、それは今から永遠になるのじゃ……何も想わねば、悩みなどなし」
 一つも、証を残す間もなく。
 女の言葉は、現実となる。

 タン、と幾分不機嫌そうに、グラスが鳴った。
「倒してもらいたいゴーストがいる」
 バナナにパイナップルのジュース、グレナデンシロップに生クリーム、クラッシュアイスをミキシングしたカクテルは薄橙色。
 夕焼けの始まりの色。
 事件は空が赤く染まり始める頃始まり、太陽の欠片が山に落ちると共に終わるという。
「この土地には、眠り姫という伝承があったらしい」
 それは、昔から語られるおとぎ話の眠り姫と同じ題を持ち、けれど全く違う物語。
 眠りの術を持つ女は、悩みを持つ者にそれを解決する薬と言って、一包の薬を差し出す。
 飲めば思い悩む事はない。
 なぜなら誘われるように眠りに落ちたが最期、目が覚める事などないからだ。
「関係があるかどうかはわからないが――今回現れたゴーストは、世界結界が作られる以前に封印された地縛霊で――この『眠り姫』のように、周囲に眠りをもたらす」
 けれどその眠りは、毒を孕む。
 至る先は――死。
「『眠り姫』は、眠らせる人間がいなくなった憂鬱から逃れるべく、己も眠りにつき……もちろん目を覚まさなかったというが……この地縛霊は数段厄介だ。自ら動き回り、死をばらまく事を覚えてしまったからな」
 彼女が封印されていたのは、山中にある祠の中であった。
 そして彼女は、眠りを、死を振りまくべく歩き出すだろう。
 放っておけば、最初の人里への接触は夕方の始まり頃。
 一つの街が壊滅するのが、太陽が完全に山へと沈む頃。
 女の能力はただ一つ。
 広い範囲に、猛毒を含んだ眠り――ダメージを受けても覚めない、実質は気絶をもたらす雲を作り出す事。
 ただし、その効果は絶大。
 そして僅かな時間眠りの中で見る夢は、この上ない幸福で満たされている。
「偽りの幸福だと気付かなければ、目を覚ます事を己が拒むかもしれない。偽りとわかっていても、それを否定できなければ――」
 さらに、女は尋ね、微笑むだろう。
 悩みはないか。あるのなら、眠ってしまえばいいと。
「逆に言えば――地縛霊を、『眠り姫』を否定する強い意志があれば――」

 危険な任務だ、と勇史は言った。
 けれど。
 封印の眠りより覚めて山から人里へと下りてくる彼女を止められなければ、惨劇が一つ、二つ――音もなく訪れるその惨劇は、より陰惨かもしれない。
「どうか……頼んだぜ」
 そう言って、勇史は頭を下げた。

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参加者
佐伯・マコト(高校生科学人間・b04752)
三笠・輪音(夕映比翼・b10867)
霧島・芽衣(銀誓のバンド娘・b28397)
国見・眞由螺(影武者・b32672)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)
雪下・瞬(銀の雷火・b76690)
一条・涼(ひたくだる水清らかに・b81384)



<リプレイ>

 崩れ落ちる膝、伸ばしても届かぬ拳が、佐伯・マコト(高校生科学人間・b04752)の心を闇へと落とす。
 その理由は、この状況への絶望ではない。
 取り返しのつかない過去への、取り戻す事の出来ない未来への絶望だ。
『――辛い事がある目をしておるの』
 女が笑うと同時に、ゆらりと紫の雲が舞った。
 まやかしの夢など己の演奏で吹き飛ばせると思った。けれど。
 脳裏に浮かんだ心から望む情景を、もっと見たいと霧島・芽衣(銀誓のバンド娘・b28397)は瞼を伏せた。
 己にも心を捉われる夢があるのかと、国見・眞由螺(影武者・b32672)はどこか不思議に思ったほどだった。だが、この眠気と共に浮かぶ光景は――。
 眠りが心を侵す。
 それは決して幸福な思いだけではなかった。一瞬の眠りを振り払った久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)の心を苛むのは思い出す過去への痛み。
 逃げたらよかろ、と女は言う。
 夢の中へ。
 己の言葉によって、己の故郷を滅ぼした後悔は、確かに斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)の持つ痛みだ。
 けれど、それは仲間達との出会いをもたらした、耐えられる痛みだ。
 ならば、己に与えられる幸せな夢は、一体何だろう。
 そして斎とは反対に、雪下・瞬(銀の雷火・b76690)は過去を持たない。
 捨てたのではない。記憶が、ないのだ。
 能力者であることだけが、己の生き方で拠り所だった。けれど記憶という柱を持たないそれは、己が得体のしれない何者かではないかという恐怖と表裏一体。
 夢は、優しかった。恐怖を溶かし、確かな拠り所をくれる。
 瞬の意識が、ゆっくりとそこに向かって歩き出す。
 一条・涼(ひたくだる水清らかに・b81384)が必死に舞で示した慈愛は――地縛霊のもたらす永眠の慈愛に及ばぬというのか。
「幸せな、本当に幸せな夢から抗う……難しい話ですね」
 辛い現実から逃れ、ずっとまどろんでいられたら。
 劣等感など、忘れて。
 抗う気力が失せる。夢とはいえ、あの理想の自分になれるなら――。

「皆がどんな幸福な夢を見ているか分からないけれど、でも、信じてるから」
 三笠・輪音(夕映比翼・b10867)がそっと手を祈りの形に組み合わせる。
「たくさんの危機や不安を乗り越えて、今を迎えたわたし達だから、だから絶対甘い夢の誘いも乗り切れる。信じてるから……どうか、自分に打ち勝って下さい」
 そして、己も。
 必ず戻る、と唇が動いたのを最後に、静かに地に伏した。

 緩慢な死を呼ぶ幸せな夢。
 起きようとする者は、一人もいなくなった。
 ――さて。
 ここからが、彼らの戦いだ。

●後悔から邁進へ
 後悔シテイルデショ?
 夢へと堕ちていく瞬間、そう聞こえた。
「助け……られ、なかった……」
 敵は倒せても人は救えなかったあの日から、ずっと。
 君以外ノ人ナラ救エタ筈ダヨ?
 痛い。痛い。痛い。
「……そうだよ! 僕が遅かったせいで、あの人達は……」
 耐え切れず叫んだ瞬間、視界が開ける。
「……あ、あの時の先生だ……」
 そこにはあの日、辿り着いた時には物言わぬ骸であった女性が、生き生きと授業を行う笑顔があった。
 元気よく手を挙げて質問するのは、あの時既に冷たいパーツと化していた少女。苦痛と恐怖で終わったはずの顔は、活発に表情を変える。
 街に出ればすれ違ったのは、颯爽と背を伸ばして歩くスーツ姿の美女であった。寄生する男一人を養ってきた彼女であれば、生きていれば立ち直ることもできたはずだ。
 マコトが望めば、それは彼の中の現実になる。
「本当に良かった……誰かが助けてくれたんだ」
 マコトの唇が、笑みの形を作り出す。
「これでいいんだよね。学園には僕より強くて賢い能力者が大勢いるんだ、もう僕がやらなくても彼らが上手くやってくれる……」
 だとしたら、己は何をしようか。
 自分の人生を、将来の夢を叶えることに集中しても――?
「ねぇマコト、君の将来の夢って?」
 どこからか、聞こえた声。
 聞き覚えのある、声。
「それは、児童福祉の仕事に就いて残留思念の原因になる悲劇を無くすのさ……え?」
 夢の世界では叶わない、夢。
「これ他の学園の能力者にできるのか? クソッ、俺、何こんな所で幸せに浸っているんだ。俺が起きなくちゃ、誰が助けるんだよ!」
 起きろよ、俺――!
 後悔を乗り越えたその瞬間が。
 彼の、本当の夢への第一歩だった。

●仮初から受容へ
 朝起きれば家族との朝食と、迎えに来る友人。
 授業中にはお喋りに興じすぎてチョークが飛び、休み時間には掃除用具で野球ごっこをして先生に怒られる。
 己の現実はこちらなのではないかと、瞬は思ってしまう。
 平穏がある。記憶がある。家庭がある。そして――優しい記憶が、ある。
 けれど。
 現実の、今の自分はを否定しかけた瞬間、彼の心は全力で抗った。
 それに気づけば、理由を理解するのは簡単だった。
「……何で気が付かなかったんだろう。過去がどうでも、今の僕を否定する理由にはならない。そんなことを言ったら、今まで出会った人達を悲しませることになる」
 入学直後で右も左もわからなかった頃に、温かく接してくれた団長や結社の皆。色んな場面で出会った、銀誓館の仲間達。
 その人達と過ごしたかけがえのない時間を、間違いだと言うことは。
「僕には、できない」
 それが、記憶などなくとも、瞬の真実だ。
「それに僕が能力者だと分からなかったら、これらの出会いはなかった。確かに能力者には辛いこともあるけど、それ以上に得られたものもある」
 能力者であることが、今の自分を形作ったとはっきりと言える。
 だから。
「今の――本当の僕は能力者で、それを違うと言えるのはこれが夢だからだ!」
 仮初の幸福より、己で掴み取る絆を。
 それを信じ目を覚ました瞬は、確かな絆である仲間達に呼びかける。
 幸せな夢が己の望みなのか、自分の心に聞いてほしい、と。

●喪失から創造へ
「……眞由璃様……お会いしとうございました」
 土蜘蛛の女王の元に近衛兵として平伏す眞由螺の胸に、久しすぎる忠誠心と歓喜が湧き起こる。
 封印の眠りから目覚めることができず、使命を果たせなかった過去を否定して。
 女王の元で、同胞と共に土蜘蛛を守り、己の役目を確かに全うすることが、幸せと感じる。
 けれど今――それが己の願いではなくなっていたことに、気付いた。
 女王を奪い、同胞を奪った現実に、悲しみに沈んだこともあった。けれど、その中で掴んだ新しい夢がある。
 多くの来訪者、善良なゴーストまでも迎え、人魔共存の道を目指す銀誓館に、眞由螺は己の願いを見たのだ。
 それは銀誓館に協力することで、二度と土蜘蛛の、女王眞由璃のような悲劇を生まないこと。
 顔を上げた眞由螺の手が、剣に触れる。抜き放つ。
「私の未練が生んだ夢よ、我が新たな夢の前に消え去れ!」
 気迫を乗せ、薙ぐ。
「私は、もう迷わぬ! 我が女王に代わり私が、一族の未来を見届けるのだ!」
 夢が歪む。夢が消える。けれどそれは、新たな夢へと進む決意。

●牢獄から荒野へ
 まどろみが生む夢の中。
 愛してくれた父が去り、己を我が子とも扱わず疎む母の元、希望もなくただ一人で魔術の知識を詰め込み修行に明け暮れる実験体――人形は、いなかった。
 そこにいたのは少女だった。
 両親の愛情に包まれ、普通の学校に通い、クラスの友人とウィンドウショッピングやおしゃべりに明け暮れ、放課後は仲間とTRPGを楽しんで。
 血を吐くような苦しみの代わりに、恋愛ドラマのような優しいときめき。
 握り締める刃の代わりに、お花にぬいぐるみに交換日記。
 夢だと、わかっていた。
 対峙する敵の話を聞いた時に、この幸せは夢だと沙希はわかっていた。
 わかっていても飛び込んでしまいそうな幸せに抗う武器の一つは――己を操り、苦しめ、拒絶し、捨てた過去だった。
「一時の夢ならそれは心の安らぎ。でも永遠の幸福の夢は、心を閉じ込める牢獄……それは私の過去と何も変わらないよ!」
 己の生まれてきた意味を知るために、銀誓館に来た。
 それは、偽りの幸せに囚われるためではない。欲しいものは真実だ。
 レッグギロチンの刃が脚を蹴り裂く。幸福に溺れる甘い夢より、牢獄から飛び出すための痛みを、沙希は求めた。
 恵まれた牢獄には存在しない、現実という荒野に飛び出すために。
「私は過去に囚われない。未来を見続け現在を精一杯生き抜く」
 世界結界を拒んだ代償を払う必要は、今だってしっかりと存在している。
 永遠に眠るのは――覚醒した瞳が見つめる、地縛霊の方だ。

●卑屈から決意へ
 誰にでも認められる、己も認めることのできる強い自分であることの優越感は、何にも代えがたい。
 臆病で、意見も言えない精神。
 線が細く、体力もない身体。
 人を傷つけることはできても、役に立つことなんて絶対できない自分。
 愛される資格なんてない自分。
 それを全て否定し、強い己に酔いしれる夢は幸せだった。
(「そんな夢を振り払って、現実に舞い戻るなんて……とても無理です」)
 そう、涼は思ったことだろう。
 そう、涼は推測する。
 思ったであろう涼は、去年までの彼だ。
 冷静にそれを推測する涼は、紛れもなく今の涼だ。
「でも、帰らなければいけないんです」
 溢れたのは涙ではない。
 微笑みだった。
「待っていてくれる人がいるから。こんな僕でも役に立てることがある筈だから」
 自分は認められないと思っていた彼が、認められた時。
 胸を張り、拳を握りしめ、真っ直ぐに立って偽りの幸せに溺れることを抗う力が、生まれた。
 自分の自信がついたとは、彼自身言い切れない。けれど虚勢であっても、立ち上がり振るう力が、意志がある。
「今は泣くものか。乗り越えたい、夢も現実も……!」
 現実に待っているのは無敵の超人ではなく、等身大の己自身と、立ち向かう敵。
 けれど。
「逃げる必要なんてありません。ずっとこんな敵に立ち向かって、買って来たじゃないですか……お願いです、どうか負けないで」
 願いと共に、涼は確かな足取りで舞う。

●失恋から終恋へ
 涼が己を取り戻す助けになったのが愛であったとしたら。
 今、夢の中で斎を惑わすのも、愛であった。
「……この光景はちょっと、予想外だった、かも」
 小さく呟いた斎の言葉に、どうしましたか、とかける声、覗き込む顔は――好きになり、告白し、断られ、ならば良き後輩になろうと決意した彼の姿。
 憧れの女性の、恋人である彼の姿。
 彼が側に居て、美しい言葉を囁いて、愛しげな視線を注ぐ相手が己であることは、夢でしかないのに。
 現実の方が、悪い夢だったんじゃないか?
 けれど、それに溺れたいと思う心を、堰き止めるのも恋心。
(「一途で誠実な先輩だから好きになって、そんな先輩に好かれてる女性だから憧れた」)
 恋心も憧れも、寄り添う二人がきっかけだったのだから。
 その恋心に溺れようとすれば、同時にその苦い矛盾にも気づいてしまう。
 苦味に慣れて、甘い夢に堕ちる誘惑が、己を満たす前に。
「……ごめんなさい」
 断ったのは、彼だったはずなのに。
 仮初とはいえ受け入れられた幸せを、己の言葉で手放すのは苦痛だった。
「これ以上ここにいたら、もう抜け出せなくなりそう、ですから」
 それでも、留まりたいと思う心を無理矢理覚醒させる。
「……自分に甘過ぎて、吐き気がします」
 敵に投げる呪詛の言葉に、封じたい気持ちが混じった気がして。
 口の端を、無理に吊り上げた。

●確約から挑戦へ
 輝く巨大なステージ、客席は満員総立ち、湧き上がる歓声。
 有名なミュージシャンたちの演奏に取り囲まれて音楽を紡ぐことが、芽衣は幸福でたまらなかった。
 音楽と、歓声と、観客と一体感を感じて、ギターと声を響かせる毎日が、幸せだった。

 ――本当に?

 曲というのは、心だと芽衣は思う。
 喜びも悲しみも怒りも憎しみも感じるからこそ良い曲が作れる。
 ならば喜びと楽しみの毎日は、絶対に成功するとわかっている夢は、本当に幸福なのか。
「今のアタシにあるのは約束された成功……」
 ギターを弾く手が、綺麗だ。綺麗すぎる。
 夢に向かって努力していた日々は、決して綺麗なだけではなかった。
 厳しい練習に指も心も体力も擦り切れた、辛い日々だった。
 でも、夢に向かって努力し、少しずつでも手ごたえを感じていたあの日々は。
(「何より、充実していたんじゃなかったか?」)
 夢の、夢でしかないステージが、消える。
「そうだ……アタシは忘れてた。偉大なミュージシャンになるのはアタシの夢だが……夢は自分の力で叶えてこそ意味がある!」
 夢でしかないステージを現実にするために。
 掴み取るのは、己の手と音楽だ。
「そうさ約束された成功なんかアタシの本当の夢じゃねぇのさ!」
 固くなった指先。まだ完璧とは言えない演奏。けれどそこには魂がある。
 真実の歌は、偽りの夢を鋭く撃ち砕く!

●夢から、未来へ――!
 柱の影から現れたら、彼がいた。
 驚く程自然な気持ちだった。
「こういう場所には姿を見せるのね」
 親よりも親らしく育ててくれた。
 死んでもなお愛情をくれた。
 その人がそこにいる今は、確かに夢。
 けれど、変わらない大きな手で頭を撫でてくれる彼に言いたかった。
「今も、思うのよ。あなたが生きていてくれたらって」
 あなたの命でわたしの未来は繋がったようなものだけど、今の私を生きているあなたに見せたかったと思う。
 心も体も、経験と年齢と思い出を重ねた。
 彼にも、報告しなければ。
「未来を一緒に歩みたいと思う、大切な人ができたの」
 かつては、そのまま死ぬことを願った自分が。
 愛しくて大切な人と、大好きな友人達と、今生きている。
 不安がたくさんある世界を、確実に変化を迎える世界を、共に生きようとしている。
 昔であればきっと抜け出せなかったこの再会から、自ら歩み出ようと思える。
 皆と一緒に紡ぐ未来は、きっと不安だけじゃない。
 あの時伝えたあの言葉は、今もここにある。

「わたしは、大丈夫です」
 だから見ててね、と手を振って、懐かしい夢を立ち去る。
 そこに悲しみよりも後悔よりも、嬉しさと安堵と前を向く気持ちがあったことが、嬉しかった。

 さあ、幸せな夢から目を覚まして。
 それより幸せな現在を噛み締めて。
 もっと幸せな未来を掴み取る為に。

 モーラットのチーコから祈りを受けたマコトの拳が。
 己を認め、計算式をまとわせた瞬の手が。
 新しい夢を実現しようとする眞由螺の剣が。
 心地良い束縛より痛みを伴う未来を選んだ沙希の刃が。
 役に立てる事実のために、大切な人のために、立ち上がる涼の魔法が。
 独りで泣いて、最初の想いを終わらせようと決めた斎の言葉が。
 己の力でトップを掴もうと高らかに宣言する芽衣の歌が。
 大好きな人の輪と共に、思い出を抱いて歩き出す輪音の舞が。

 眠り姫にさよならを、新たな未来によろしくを告げる。


マスター:旅望かなた 紹介ページ
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いまいち
参加者:8人
作成日:2012/10/03
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