≪TRPG同好会≫欧州TRPG紀行 〜豪華客船に変態が哭く!〜


<オープニング>


 スプリーナおばあさんの情報により、TRPG同好会一同は、愛用のダイスやルールブックやマスタースクリーンやシナリオやランダム名前決定チャートやデウス・エクス・マキナ表を手に、ヴェネツィアに停泊中の豪華客船へと乗り込んだ!

「ちちち違うよTRPGしに来ただけじゃないよ! ちゃんと犯罪者も確保するよ!」
 久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)さん、とりあえずその手に持っている携帯の画面を見せてもらおうか。その操作はダイスアプリじゃないかと思うんだが。
「どうもヴェネツィアでゴンドラを狙った犯行を繰り返していた4人組が、ついに豪華客船に手を出そうとしていた4人組が、ついに豪華客船に手を出そうと思い至っちゃったらしいからなぁ。あ、サプリはありありでいかせてもらうなぁ」
「どこがどうなって、思い至っちゃったんでしょうね〜。あ、じゃああの新しい衝動でエフェクトもらえるルール使うんですか〜やった〜♪」
 プライベートルームのふかふかの椅子に身を預け、キャラクターシートを前に説明的会話を繰り広げる八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)と清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)。キャラクターで調査技能を取っても犯罪者は見つからないぞ!?
「それにしても、船内を見て回りましたが、怪しい動きはありませんでしたね……」
「まぁ、あからさまに見てわかっても、いきなり戦闘仕掛ける訳にいきませんしね……」
 稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)が美味しそうなカナッペのたっぷり乗った大皿を二つ、結良・水月(彷徨い月・b83266)が人数分のノンアルコールカクテルをバトラーから受け取り、二つのテーブルの上に置く。見回って来たついでに、ルームサービスの注文を済ませて来たそうな。
 さっそくカナッペに手を伸ばし、反対の手で『十面体48開催回数不明出目選抜使用ダイス決定大会』を一人開催しながら、三永・法子(中学生水練忍者・b79255)がしみじみと呟いた。
「いやー、平和ですねぇ」
「平和だなぁ……」
 電子辞書を叩いて二つ名候補を紙に書き出している島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)の口に、二つ目のカナッペが早速収まる。
 だからこの依頼の趣旨を完全に否定するのは……!
「ふっ……この『裏方スペースのドアがあるプライベートルームを抑えることで、一番容易に裏方スペースに潜入できるルートを完全に確保しやって来た犯罪者を迎え撃つ作苦戦』は完璧に運びそうだな!」
 水原・風戯(禍福の風・b64135)がサキュバス・ドールの綾とスモークサーモンのカナッペを引っ張り合いながら、不敵な笑みを浮かべた。
 さ……作戦だったのか!
「しかし……もしかしたら悟られてしまうかもしれませんから、セッションが終わったら見張りなどを行った方がいいかもしれません」
 斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)が真剣な顔でそう仲間達に提案する。
 真剣な顔だけどしっかり『セッションが終わったら』と言っている辺りがいろいろアレだった。

 その時、ドアをノックする音が部屋に大きく響く。
「あ、ルームサービスの追加かな? 今開けます!」
 風戯がカナッペを諦めて立ち上がり、ドアを開く。
 閉める。
 今度は外からドアが開く。
「ファーッハッハッハッハ! 我らにたてつくとは愚かな連中よ!」
 そこにはモスト・マスキュラーで笑顔を輝かせるマッチョが立っていた。
 衣装はウエストエプロンとビキニパンツオンリーだった。
 とりあえず危機を感じて起動した詠唱兵器を掲げる能力者達。
「あらん♪ 可愛らしい子ども達ねぇん♪」
 真紅の薔薇のように唇を染めた厳つい肩のドレス姿が、マッチョの横をすり抜けて現れる。
「でも、オイタをする、イケナイ子達にはオ・シ・オ・キ・よぉ?」
「「「ぎゃああああ!」」」
 投げキッスの破壊力で混乱する能力者達。
 衝動判定とか必要になりそうなレベルだった。
「というかまた来たのかお前!」
「しかも女装シーンの方が多いじゃないですか!」
 総ツッコミだが実はそんな場合ではない。
 TRPG同好会のメンバーは最初から既に、彼らの術中にあったのだ。
 そう、その男は、己の仲間にTRPG同好会の目が向いた絶好の瞬間を狙い――!
「さあ受けてみろ! 神風の術を――!」
 轟、と部屋の中に突風が吹き荒れた。
「「「きゃああああああ!?」」」
 女の子達の黄色い悲鳴も響き渡った。
 足元から上昇する浄化の風に晒されたら、当然スカートが危険でデンジャラスである。
 ……ん? 浄化の風?
「我が風の能力は、女性の秘密を覆い隠す鉄壁の守りを崩し、いつでも少年の心を忘れない男の浪漫を奮わせる……!」
「要するにスカートめくりですよね〜?」
 ふ、とイタリアンアレンジな忍者服に身を包み、男が笑う。
「まったく、お前はやんちゃ坊主だなぁ」
 やはり背後からのイケメンヴォイスに振り向くと、今度は爽やかなイケメンが立っていた。
 どのくらい爽やかかと言うと、笑うたびにキラキラって効果音がして周りの空気と真っ白な歯が光るくらい爽やかである。
「この世の全ての美しき花は全てボクの為に存在する。さぁ、君達も僕の愛の虜になるが良い」
 地縛霊だったら絶対魅了とかあっただろうから能力者でよかったなぁ、と一同はこっそり考えていた。

「というわけで、我ら第三帝国の計画を次々と妨害してくれた報いを今こそ受けるが良い!」
『『『ジーク・ハイル!』』』
 戦闘態勢に入るバカ4人……もとい第三帝国の残党達に、思わず風戯は口を開いた。
「なぁ……俺達が来る前に準備してたなら、さっさと裏方スペースに行っておけば……」
 沈黙。
 男達が顔を見合わせた。
「「「しまったぁぁぁぁぁぁ!?」」」

 ともあれ船の未来とセッションの為に戦え、TRPG同好会!

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参加者
清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)
稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)
八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
水原・風戯(禍福の風・b64135)
斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)
三永・法子(中学生水練忍者・b79255)
結良・水月(彷徨い月・b83266)
NPC:島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)




<リプレイ>

「弟子にしてください」
 三永・法子(中学生水練忍者・b79255)は土下座した。
 完成されたスカートめくりのワザマエに法子は土下座した。
 それはそれは見事な土下座だった。

「私は第三帝国の女……」
「って、何やってるんですか!?」
 稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)が慌ててツッコミを入れた頃には、法子はさくっと独柄覆面でTRPG同好会の面々と相対していた。
「うん、やると、思った」
 冷静に呟いて、静かに結良・水月(彷徨い月・b83266)が最後尾を確保すべく下がる。
「…………?」
 なぜかどれだけ下がっても一人足りない気がするので振り向く。
 水原・風戯(禍福の風・b64135)がさりげなく水月より後ろに付こうとしていた。
『最後列、戦場全体を視界に収められる位置を死守』って鍵括弧つきで強調してるんだもんね。仕方ないね。
 こっちもこっちで凄まじい下心と裏切りの戦いが展開されそうな予感だった。

 それはそうとして。
「もしも、仮に、万が一、裏切って敵さんサイドにつく可能性も、考えてはいましたけど……」
 斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)がそっとこめかみを抑えた。
「何をなさっているのですか……」
 そう問い詰めようとした瞬間、耳の横をさーっと原稿用紙が通って行って斎はひゃぁっと肩を竦める。
「はわわ、さっさと終わらせますよ?」
 清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)がにっこり笑顔でナイフをペン代わりに決めポーズ。
「怪しい人たちさっさとやられちゃってくださいっ」
 怪しい人の中に法子が入っているのは明白だった。
「……それも、そうですね」
 斎が開き直ったらしく、とっとと茨を呼び出す。
「ひぃ!」
「ぼ、僕は変態じゃないよ! 変態だとしても――」
 ほざく一同をきりっきりに縛りあげてから――斎はため息を吐いた。
「……調子に乗って薔薇の花とか、咲かせるんじゃなかったです」
 うん、その、太陽再生ができるレベルのマッチョが薔薇で緊縛とか、需要がわからない。
「こっちは……喜ぶだけだから、あんまり、意味ない、よ?」
「やぁん♪」
 法子だったらそれなりに需要あるかもしれない。風戯と熾烈な最後尾争いを繰り広げながら、水月はしっかり鑑賞しておいた。
 だが、一番嫌な奴はあっさり回避していやがった。
「はははそうはいくか――閃け私の煩悩の風!」
 吹き荒れる浄化の風。一気に上がる黄色い悲鳴。
「乙女の敵ぃぃぃ!」
「お嫁に行けなくなっちゃうだよぉぉ!」
 久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)と島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)が慌ててスカートを押さえる。
 でも実際、前を先に押さえるから後ろがおろそかになるわけで。
「……ベストポジション、ゲット」
 慢心、環境、重傷かどうかの違いにより、タッチの差で最後尾を確保した水月がみんなのパンチラを鑑賞する。なお敗れた風戯は、覚醒サキュバス・ドールの綾に踏まれて沈んでいた。
「お星様になって消えろおお!」
「ついでに灰になってロストしろおお!」
「どげふっ!」
 沙希の斬馬刀とこたんの手裏剣がフルヒット。
 そんな阿鼻叫喚の中で、堂々と腕を組んで立っている誇り高き少女がいた。
「アンスコだから恥ずかしくなんてあらへんよ?」
 愛と信念のパンチラニスト撃墜王・八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)である。
「赤の月と青の月を同時使用する魔術師の常識を裏切る双背(ダブルクロス)のアビリティ……というのをどっかで読んだんよ」
「それは……!」
 ニヤリと笑って凛々花は手のひらから三つの赤い月を呼ぶ。
「ん、いい仕事だった。それじゃあ……さよなら、ね」
 水月の向かい合せた手の間に、青い月が宿る。
「喰らうとエエでこのセクハラ忍者ども!」
 包み溶かす赤の月光の広がりの中に、貫き凝らせる青の月光の直線が閃き――炸裂!
「第三帝国死ぬともマッチョは死なず……!」
「さよなら、僕の青春の甘いクイニーアマン達……」
「あはぁん、またやられ……ちゃ……」
 見事な見せ場ゼロっぷりで倒れていく第三帝国の残党達。
 微妙にどこかで見た人が凌駕していたので、沙希は無言でメイデンに放り込んでおいた。
「ファタ、しっかり伝えてください。ミージュ、存分にお願いします」
「もきゅ!」
 のんびりと茨をほどいていた法子が、ぎょっとした顔を向ける。にっこり笑って幻は、ファンガスのファタに癒しを乗せて投げつつ覚醒モーラットピュアのミージュを送り出した。
「ああああああ1分間分のお説教が一気に流れ込んで! 反省しちゃう法子反省しちゃう! それだけはらめえぇぇぇぇ! しかも足の裏ぺろぺろとかやめてはいてないから恥ずかしくないんだからぁ!」
 うん、靴下のことだよね。
「ふっ、この程度……魅惑のパンチラに比べたら、かすりき……」
「甘い! 甘い……!」
「何っ!?」
 急いで突風が振り向けば、そこには悪い笑みを浮かべた咲夜が立っていた。
「本当のチラリズムを見せてあげる……!」
 凄まじいブラックヒストリー。乱舞する肌色。
「素晴らしい! 君も私と同じパンツァーの心意気を……ん、弟子よどうした?」
 ふと突風が気が付けば、法子がにっこり笑って立っていた。
「かかったなアホが!」
 覆面を取ると同時、美しい動作で爆水掌が決まる。
 急所に。
「ぎゃああああ!」
「「ぎゃああああ!」」
 同時に味方の男性二人からも悲鳴が上がった。
 そりゃねぇ。見てるだけでも痛いからねぇ。
「スカートめくりは魔技、呑まれたのがうぬの不覚よ」
 倒れ伏したゲルマンのエロき突風に足を乗せ、法子はポーズを決めた。
「浜の真砂は尽きるとも、世に変態の種は尽きまじ――」
 そう呟いた風戯が、がくり、と首を落とした。

「ひゃぁぁぁぁもうらめ! もうらめぇそんなにマインドトークされたら法子反省しちゃう! ごめんなさいごめんなさいだからヒーリングファンガスもう一本は許してぇぇぇ!」
 そんな惨劇があったかどうかは、また別の話。
 幻さんの激昂しきった笑顔がめっちゃ怖かったので映像化できませんでしたって話もある。

「キャンペーン用の用意したで、全滅しなけれれば最後までやれるはずやぁ」
 にっこり笑顔で凛々花が、やばい厚さのシナリオを取り出した。
 そうだね、48時間あれば6時間セッションが8話分できるよね!
「あ、私のPCは吸血鬼です。亡くした恋人そっくりの従者を連れています」
 従者、と幻が言った所で、勢いよくミージュが手を挙げた。
「えーとミージュ、やっぱり男の方がいいの? 薔薇設定?」
 ともあれ、六人のPCが揃ったところで。
「うっかり、島から離れてしまったプレ……ともかく、いただきま〜すプレ」
「「「あ〜れ〜!」」」
 第一話でいきなり豪華客船での『太古の神秘』を巡る第三帝国との戦いから、突如現れた首長竜によって海に放り出されるPC達。
「あ! 目が醒めたみたいですね、よかったー」
 能力など何も持たない少女、咲夜演じる船堀流美。
「っ……僕のスカウターに反応しない!? なのにこの子からは……とてつもない力を感じる……!」
 自作のトンデモマシーンを駆使する、沙希演じる自称天才少年の発明家。
「流れ水が、我が身体を侵食する気配が……ってミージュ、脱出前に吾を回収して! 忘れないで!」
「もきゅー?」
 この卓屈指のシリアスキャラにしてキャラ崩壊が既に見えている、幻演じる吸血鬼。あと多分キャラ崩壊の一番の功労者であるミージュ演じる従者。
「……やれやれ、ちょうど来ていた連合国の戦闘機を足場にしなかったから、余と言えど危なかったかもしれぬ」
 そんな様子を木の上から見下ろす、貧乏軍人の三男坊に扮した、斎演じる侍。
 レネゲイドに侵された恐竜跋扈の無人島での、冒険と脱出劇が今、幕を、開ける。

『(薔薇を持って気障な感じで)「我が名はフーギ・ド・ジェントルマン。全ての勝利は、我が愛しのアヤレーゼ姫の為に……」こんな感じの騎士キャラです。よろしくお願いします』
「おい……ちょっと待て……」
 フリップを掲げてどやって感じの顔をする綾に、風戯が口元をぴくつかせる。
「法子はボクシングチャンピオンのスター軍人です! 大日本帝国のシャイニング軍人なこたんちゃんに軽妙な口調で絡みますよ! へーイジャパニーズ!」
「はい、本官は日本人らしい手先の器用さを生かして必要なものがあれば即座に組み上げることができるであります! だが米兵貴様はダメだ納豆食ってから返事せよ!」
「オーウ、腐った豆なんか食べられないよ!」
「大日本帝国の食文化を侮辱したなー!」
「……仲良いね」
 水月が法子とこたんのやりとりに目を細めてから、ぱちりと瞬きしてあっという間にロールプレイモード。
「オイラは中国から来た生粋の拳法少年さ! 道場から盗まれた秘伝の御本尊のお頭を取り戻すためにはるばるやって来たんだ! へへっ、アニキたち、頼りにしてるぜ!」
 元気な口調で言いながら掲げたルーズリーフに、『つまり自分では戦わないぜ!』と書いてあるのが水月の本気を感じさせる。
 沈黙と深呼吸の後、風戯は余裕の笑みを浮かべ直して、今回予告を読み上げる。
「第三帝国大総統府より秘密研究所へ向けての暗号通信、『ヒコウセンハツドウ、テキコクヲショウドトセヨ』。この通信を傍受し、秘密研究所で開発されている新兵器の存在を察知した者達は、それぞれの思惑を抱いて秘密研究所を目指す……!」

「あぁぁ、そこは……らめぇぇぇ」
 渾身の演技で流美ちゃんの小型怪獣にあーんなこーんなされるシーンを演じる咲夜の前に、『みせられないよ!』のフリップが立っていた。
「ワインも文化も、何でも古ければ良いという物ではないのだよ。吾は人間の血は飽いたのでな。ましてや爬虫類など」
 気取った様子で吸血エフェクトを温存する幻の吸血鬼を前に、ミージュが凄い勢いで小型怪獣を狙ってダイスをぶちまける。
「僕の科学力で恐竜の謎を突き止めてやる」
 沙希が科学少年のトンデモマシーンに倒した敵のデータをぶち込めば。
「……余の顔見忘れたか?」
「お、おま……いや、あなたは……!?」
 従者の後ろからゆるりと顔を上げた斎の侍が、敵に絶対の恐怖を植えつける。
 そんな感じでトリケラトプスを見事撃破した彼らの遥か上空では。
「トリケラ如きを倒して良い気になるなプラよ、哺乳類。この空のプテラの目から逃げられると思わんプラ」
 羽ばたく影が、にやりと笑う。

「助けてくれよぉ〜! アニキたちぃ〜!」
 水月の拳法少年が、謎の巨大バッタ達に捕らえられ、叫んだ次の瞬間!
「HAHAHAチャンピオンのミーにケンカ売るのが大間違オーマイガーッ!」
 決め台詞からの吹っ飛びまで数十秒のやりとりだった。
 エフェクトゼロで飛び込んだ法子のメリケン軍人が、ダイスいっぱいカウンターで返された図である。
「アニキぃー!」
「米兵ー!」
 叫ぶ水月とこたん(のキャラ)の隣で、綾が冷静にフリップを掲げた。
『範囲攻撃します』
「あ」
 同エンゲージに収まっていたバッタ達、華麗に粉砕。
「くっ……バッタを大量発生させ、人為的に飛蝗現象を引き起こし敵国を焦土とする我らのヒコウセン計画、この秘密計画を知られたからには、生かして帰さん!」
「はっ! しまったー聞いてしまったー!」
「国に帰れないよどうしようジャパニーズ!」
「くそっ、お師匠様、ごめんよ……」
『アヤレーゼ姫……すまない……』
「お前らどれだけ負けプレイ好きなんだ」
 ノリノリで絶望するキャラクター達に、風戯は珍しく冷静にツッコんだ。

「あなたがこの島の書悪の権化ですね!」
 そう威勢よく一人で敵のアジトに突入した流美さんは、華麗に五秒で捕まった。
「わ、私が捕まったってきっとみんなが……きゃ〜ぁぁぁ……」
 再び立てられる『みせられないよ!』。
「はわ、マスターここで経験値使って能力取りますね」
「……あぁ、溜めてたもんなぁ」
 不利になろうとロールプレイ的に生かせるまで待つのが粋ってもんですしね。
「しかし、この状態では何もできま……」
 そうボスが呟いた瞬間――アジトをぶち壊す装甲車両!
「同じ四足だ。恐竜にできて装甲車両にできぬ筈が無い」
 ダイスで0を出しまくった斎が、胸を張る。
「脆弱な哺乳類が我等に逆らうティラか!」
「ふ、恐竜の脳がヒト族の英知に勝てるかな?」
 不敵に笑った少年の指がスイッチを押す。怪しくもノリの良い太鼓の音が聞こえて――爆発!
「これこそ、太古から英知……なんてね。けほ」
 うん、その、失敗だったらしい。
「くっ、彼を亡くした時から、血は好かぬと言うにっ!」
 叫びと共に、吸血の衝動が解放される。衝動で昔好きな人を殺してしまったという明かされた過去に、ミージュがそっと「もきゅ……」と鳴いた。
「大権現の力を借りて、今、必殺の……」
 さらに続けようとした斎が、こほん、と咳払いする。
「と、これは間違い、です」
「「「ええええ!?」」」
 んもう続けちゃえば良かったのにー。
「まだだ、まだ終わらんティラ! ……今一度この星の王に、俺はなるティラ!」
 首を振り上げるボス――ティラノサウルスを主とした融合合体怪獣に、さっと咲夜が手を挙げた。
「はい、ここで超能力に覚醒します〜」
「「「おおお!」」」
 掲げた(流美の)手から――超電撃。
「超☆能力LV5・超電磁砲!」
 轟音。
 回りまくるダイス。
「ジャッジメントですっ」
 その唇が、自信と共に微笑みを作る。

「ふはははは! 見るが良い! 第三帝国の科学技術を! こいつはバッタの力を得た『強化』人間だ! 脳改造を後回しにしたせいで逃がしてしまった一号の反省を踏まえて、脳改造も完璧!」
 高笑いを浮かべるマッドサイエンティストを演じながら、風戯が大きなコマを置く。
「知能もバッタ並みになってしまったが、戦闘能力に問題はない!」
「バッタ如きにメリケンアーミーが負けるはずアッー!」
「米兵ー!」
 飛び出す法子。叫ぶこたん。
 いつも通りの光景に――いつも通りではない少年がいた。
「へへっ……オイラだって、戦えるんだ!」
 追撃を受けそうになったスター軍人を庇い、拳法少年が笑う。
 にこりと頷いて、綾がICレコーダーのスイッチを押した。
『騎士道大原則ひとーつ! 騎士は決して諦めてはならない!』
「そ、そそそそれは!」
 普通に動揺する風戯の目の前で、二人の軍人が立ち上がる。
「教えてやろうかゲルマーン。メリケンは、負けってのを認めねぇんだ」
「教えてやろうかドイツ軍人。日本人は、ハラキリによって魂を受け継ぐ故死を恐れぬ!」
 そして再び、少年が拳を握り締める!
「仏像をっ返しやがれ――――!」
 彼らの明日は、如何に!

「豪華客船の旅も悪くないよね……」
 達成感と疲労でぐったりソファに沈み込む一同の耳に、聞こえる下船アナウンス。
「「「わああああああ!?」」」
 こうして彼らの豪華客船の旅は、セッション三昧な結果に終わったのだった。


マスター:旅望かなた 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2012/10/14
得票数:楽しい7  笑える2 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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