≪魔法使いの修行場≫実流と生樹の北海道温泉ツアー!


<オープニング>


 ある日の放課後、実流と生樹の仲良し二人組は温泉旅行のガイドブックを教室の机の上に広げて肩を寄せ合い、キラキラと目を輝かせていた。
「こことかどうかな? 楽しそうなの♪」
「うん! やっぱプールついてる方が楽しいよねっ! あっ、ここ学割りあるよ!」
「じゃあ、ここに決定なの!」
 迷いに迷って決めた場所に、実流はペンでまるっと印をつけた。

 二人が選んだのは、北海道の温泉街、定山渓にある大型宿泊施設。
 いろいろな種類の内風呂に、素敵な露天風呂! 流れるプールや迫力満点ウォータースライダーのあるプール! お約束の卓球場ももちろん完備!
 そして夕食はホテルご自慢のバイキング!

「それじゃ、さっそく予約しちゃうの!」
「うん、ありがと! えっへへへ〜、楽しみだね!」
 いそいそと携帯電話で宿を確保する実流に、生樹もにっこり頷いた。

 実流と生樹の、一泊二日、北海道温泉ツアー計画のスタートである。

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参加者
渚砂・実流(いつだって全力全開の魔砲少女・b57743)

NPC:月島・生樹(高校生運命予報士・bn0202)




<リプレイ>


 北海道札幌市の南に位置する温泉街、定山渓。たくさんある温泉宿泊施設の中で、渚砂・実流(いつだって全力全開の魔砲少女・b57743)と、月島・生樹(高校生運命予報士・bn0202)の仲良し二人組はプール付きの大きなホテルにやってきた。
 今日は一泊二日のプチ旅行。さっそく向かうのは、もちろんウォータースライダーのある温水プール!
「あっ、実流ちゃんのその水着可愛いよね!」
「えへ、結構前に買ったやつなのっ♪ 実流はここ数年サイズ変わってないから……」
「あはは、それ言ったらあたしも……」
 着替えの最中の何気ない会話の中で、ふともの悲しい空気が流れた。
「……」
「……」
 しばしお互い見つめ合った後、二人は自分のストンとした体を見下ろしてみる。
「……っ、その話は置いといて!」
「だねっ! さー早く行こ行こっ!」
 気を取り直して、実流と生樹はそそくさと脱衣所を後にする。
 扉を開けると、温かくて湿った空気。わくわくするプールの匂い。
「わあぁぁっ!」
「すごいのー!」
 生樹と実流はそろって思わず歓声を上げた。
 目の前を流れるプールに、上を見上げれば大きな大きなウォータースライダー!
「生樹ちゃんっ! あれ! 滑ろっ!」
「うん! あっ、待って実流ちゃん、あれ借りて一緒に滑ろっ!」
 生樹が指差したのは、貸し出しの浮き輪のボート。一緒に乗れるそれを二人で抱えて、スライダーの階段を上る。
 頂上にいる係りの人にボートを押さえてもらって、スタート地点にスタンバイ。
「それじゃ、行くよ」
「うん……!」
「「せーーのっ!」」
 掛け声と共に、二人を乗せたボートは勢いよく滑り出し、くるくる回転しながらウォータースライダーをものすごい速さで滑り落ちていく!
「うきゃーーっ!!」
「っきゃーーっ! 回る回るぅぅっ!!」
 ボートの上で抱き合いながら声を上げる実流と生樹。
 バシャーン! と大きな水飛沫が上がった!


 プールで思いっきり遊んだ後は、露天風呂付き大浴場へ!
「よーし! お風呂全種類制覇するよっ!」
「おおーーっ!」
 水着は脱ぎ捨て、大浴場に乗り込む実流と生樹。入り口近くの掛け湯をしてから、まずは洗い場で体を洗う。
「考えてみたら、裸の付き合いも初めてだよね」
「そうだねー。今までは山の温泉とかだったから、水着だったもんねー」
 ふかふかのスポンジを泡を立てながら相槌を打つ生樹の横顔を、実流はにんまり笑って振り返る。
「生樹ちゃん、背中流してあげよっか?」
「あ、いいの? じゃーお願いしよっかな」
 もこもこ泡立ったスポンジを実流に手渡して背中を向ける生樹。と、その時、実流の目が、悪戯を思いついた子どものようにキラリと光った。
「うりゃーーっ!」
「ひゃあっ!? ちょっ、実流ちゃっ、そこは自分でできるってば……っも〜、やったなー! お返しっ!」
「きゃーっ!」
 そんなこんなでじゃれ合いながら、たっぷり時間をかけて体を洗ったら、いよいよお風呂巡りのスタート。
「すごーい! 広いよー!」
「ねー、贅沢気分ーっ! 泳げちゃいそーっ!」
「……ね、今誰もいないよね?」
「……ちょっと泳いでみる?」
「……それじゃ、せーので……」
「「せーの……」」
 泳げちゃうくらい広い内風呂。きょろきょろ辺りを見回して、こっそり湯船の中をスイスイ泳いでみたりなんかして。
「なんか、お鍋の具になった気分……」
「生樹ちゃん、お腹空いてるの?」
「う〜ん、それもあるかも……じゃああたしお肉〜。シラタキさんの実流ちゃんは寄らないで下さーい。硬くなっちゃうよ〜、ぶくぶく……」
「あっ、ズルイ! 実流もお肉がいいっ! シラタキは生樹ちゃんがやりなよー! ぶくぶく……」
 ぶくぶくの泡が楽しいバブルバスは、お鍋の具になった気分で大はしゃぎ。
「温泉来たらあたし絶対これ入る!」
「ね〜、気持ちいいよね〜」
「なんか、いつまでも入っていられるよね〜……あー、ホント寝ちゃいそうにな、る……」
「ダメだよ!? ホントに寝ちゃったら!」
「……はっ! ありがと実流ちゃん! 危なかった〜……」
 家のお風呂では真似できない寝湯では、うっかりウトウトし始めた生樹を実流が呼び起こし。
「今度はあれ試してみよっ♪」
「どれどれ……いたたたたっ! 実流ちゃん、これ結構痛いっ!」
「う〜ん、肩こりにちょうどいい感じなのかな〜」
「みっ、実流ちゃん、次! 次行こ!」
「あっ、待って生樹ちゃん。サウナ入るなら、まずタオル冷たく濡らしていかないと……」
 若者にはまだちょっと良さの分からない打たせ湯からは逃げるようにして退散し、美容によさそうなサウナへと向かう。
 隅から隅まで味わいつくした後は、最後に残った露天風呂へ。
「ん〜、すごく気持ちよかった♪」
「だね〜、あっ、今日の夜中と、明日の朝また入っちゃおうよ! 一回だけじゃもったいないもん!」
「うん、賛成〜♪」
 目の前に広がる定山渓の山を眺めながら、のびのびとお湯を堪能する二人。
 これぞまさしく、至福のひととき。


 体もほかほか。お風呂から上がって浴衣に着替えて。
「生樹ちゃん……勝負っ!!」
「のぞむところっ!!」
 卓球台を挟んだ実流と生樹が、互いにラケットをビシリと突き合わせた。
 そう、温泉といえば忘れてはいけない卓球対決である。
「全力全開、いっくよーっ!」
 実流が全力でサーブを打ち込む!
「なんのこれしきーっ!」
 生樹も負けじとこれに食いつく!
 運動能力には自信がある二人。続くラリーの攻防戦に終止符を打ったのは、ふとしたハプニング。
「あっ……!?」
 激しく動いていたせいで、肩からずり落ちてくる浴衣を実流が咄嗟に手で押さえる。
「スキありっ!!」
 そこに生樹の放ったスマッシュが容赦なく!
「ふっふふ〜、初戦はあたしの勝ちっ!」
「む〜、油断したの……!」
「はい、そんな実流ちゃんにあたしから贈り物なのです」
 悔しそうに着崩れた浴衣を直す実流に、生樹は近くの長椅子に置いてあった自分の荷物の中を漁り、取り出した何かを手渡した。
「これ……?」
 渡された包みの中には、キャミソールとスポーツ用のスパッツが入っていた。首を傾げている実流に生樹が、にっと笑いかける。
「温泉の浴衣が着崩れても大丈夫なようにするのは乙女のたしなみだよっ♪」
「……生樹ちゃんって、そういうところ割とガード固いよねぇ」
「最近の子がゆるゆる過ぎなんだってば! さー着替えて着替えて! もう一戦やるよ!」
「ん、わかったよ。じゃあ、着替えてくるね。ありがと、生樹ちゃん!」
 宣戦布告しながら、お手洗いの方へぐいぐい追いやってくる生樹に、実流は、らしいなぁ、と苦笑した。


 お風呂も入って、運動もして、お腹は絶好調にペコペコである!
「生樹ちゃんっ、早く早くっ!」
「待って、そんなに急がなくても大丈夫だよ実流ちゃん……!」
 はやる気持ちを抑えながら、実流と生樹は大ホールへと向かっていた。
 エレベーターに乗って、大ホールと書かれた階のボタンを押す。
 少し待って、扉が開いたその先には……。
「す、すごいの……!」
「実流ちゃん! これ全部食べ放題だって!!」
 広いホールにズラリと並んだホテルご自慢のディナーバイキングが!
 洋食に中華はもちろん、和食にいたっては板前さんが握ってくれる本格的なお寿司まで!
 もちろん忘れちゃいけない、デザートにはアイスにケーキ、色とりどりのフルーツから、自分で作るクレープやわたあめ、チョコレートファウンテンまであって、どれもこれも選び放題!
「あっ、あれ美味しそう! あっ、これも……!」
「こんなにいっぱいあったら目移りしちゃうね! あたしはどれにしよう〜……」
 実流と生樹は大はしゃぎしながらプレートに好きな料理を次々とのせていく。
「よいしょっと……とりあえず第一弾はこんなもんかなっ」
「実流ちゃん、相変わらずよく食べるね!」
 実流が運んできた、大きなプレートに山盛りめいっぱいな料理を見て、生樹は感心したように声を上げる。いや、生樹でなくともそうなるだろうこの状況。本当に、誇張でもなんでもなく、お皿の上が山のようになっているのだ。
「ん? やだな、生樹ちゃん。まだまだこれからだよっ!」
「えぇ!? これでまだおかわりするの!?」
「だってまだ取ってきてないお料理もあるもん。せっかくだし、いっぱい食べなくっちゃっ! 10人前くらいは軽くねっ♪」
「じゅ、10人前……ですか……」
 目の前でものすごい勢いで減っていくお皿の山を見つめながら、生樹はフォークに刺した鶏のから揚げをぱくりと一口頬張った。
 本当に、見る見るうちにお皿の上の山は平らになっていく。実流が空になったお皿をテーブルの隅に重ねて置いてから席を立ち、お皿に山を作ってまた戻ってくる。それを、何度となく繰り返したことか。
「……んっ、これ美味しいっ! 生樹ちゃん、食べてみて? あ〜ん♪」
 しかも、美味しいものに出会った時に人に勧める余裕も忘れてはいない。
「実流ちゃんのその、ほっそい体のどこにその量が入ってるのか、いっつも不思議だよ……あっ、ホントだ。これ美味しいっ!」
「でしょでしょっ!? さーて、次はそろそろデザートいっちゃう?」
「んっ、さんせー! デザートは別腹だもんねっ!」
 実流の提案に、少々お腹がいっぱいだった生樹も目を輝かせた。


「食べたー! もうお腹いっぱい〜!」
「美味しかったねー!」
 食事を終えて部屋に戻ると、いつの間にか布団が敷いてあった。ここぞとばかりに、二人は布団の上に倒れ込む。
「あ〜、いー気持ち……もうこのまま寝ちゃおうかなぁ」
「生樹ちゃん、お風呂もう一回行かないの?」
「うん〜、お風呂も行きたいけど、とりあえず今はちょっと寝たい気分〜」
「よかった。じつは同じく〜」
 ふかふかのお布団に顔を埋めて、二人揃って食後の休憩。
「……ねぇねぇ、生樹ちゃん」
「ん〜?」
「今日は、すっごく楽しかったの♪」
「うん。あたしも!」
 ころんと寝返りを打って向かい合い、実流と生樹はお互いに笑ってみせた。
 今まで、色んな場所へ一緒に遊びに行っていた二人だが、二人きりでこんなにたっぷりの時間を遊び倒すのは初めてだった。
「ね、なんかこういう旅行っていいね」
「うん。また一緒に来たいな」
「うん。また一緒に来ようよ。次は、どこ行く……」
 ひそひそ囁かれていた声は次第に寝息へと変わっていく。
 布団の上で向かい合ったまま、実流と生樹は一時の眠りへと落ちていった。

 楽しかった一泊二日の北海道温泉ツアー。
 今度は二人で、どこへ行ってみよう……?


マスター:海あゆめ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:1人
作成日:2012/11/27
得票数:楽しい3 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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