≪TRPG同好会≫欧州TRPG紀行 〜クライマックス・フェイズ・オブ・ラストシナリオ!〜


<オープニング>


 前略。
 スプリーナおばあさんより、フランクフルトにてTRPG新作ルールブック発売前全盗難事件という超絶凶悪犯罪の情報を入手したTRPG同好会の面々は、ついに極悪犯罪グループ(一番プレイされているのはホラーTRPGの中世ヨーロッパサプリだよ☆)の根城であるフランクフルト近郊(車で一時間半くらい)の古城ホテルに辿り着いたのである!
「いやぁ、まさかこんな所に隠れているとは。犯罪グループの一人が、住所を書いたメモを落としていなければ気づきませんでしたね」
「しかもタクシーじゃないと来れなかったしね。あとで銀誓館にしっかり請求しないと、来月の新しいルールブックが……」
 御鏡・幸四郎(菓子職人修行中・b30026)と久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)が説明口調でこれまでの経緯を振り返る。今まで戦ってきた敵に劣らぬ慎重で用心深い敵であったし、その彼らの裏を突く素晴らしい情報収集であった。
「八人だったらタクシー二台必要だしねぇ」
 浅神・鈴(秘水練武・b54869)がうんうんと頷いて、「この部屋でいいんだよね」と扉に手をかける。
 そして。
「銀誓館学園だよ、凶悪犯罪者さん達、とっととお縄についてもらおうか!」
 勢いよく、開く!
 ――だが、そこには。
「ふっ、こいつの言った通りじゃないか」
「まさかこんな初歩的なブラフと人質作戦に引っかかってくれるとは……」
「でもぉ、私達ってば最終兵器用意しちゃったからぁ♪」
「ふっ、我輩の発明品の力を見るのである!」
 胴体にハードカバールールブック!
 手足は動きやすいように文庫と新書のルールやサプリ!
 床いっぱいにまきびしかと思ったら大量のダイス!
「「「うああああああああ!」」」
 絶望の声を上げるTRPG同好会の一同!
 だってこれ攻撃したら壊れるじゃん。
 破れるじゃん。
 あの胸当てに使ってるルール見ろよ。絶版で古本屋にもないやつだぜ。
 しかも未訳だぜ……!?
「ひ、ひひひひひ卑怯な……! ルールブックを本質に取るなんて外道な行いが許されると思っているんですか!?」
 稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)が半分涙目で叫ぶ。欲しかったけど入手できなかったサプリ、肘の辺りに取り付けられていたんだもの。
「鬼!」
「悪魔憑き!」
「外道!」
「FH!」
「ワーム!」
「わはははは何とでも言うがいい! それこそが我が発明の成功の証よ!」
 わぁひどい。
「……こうなったら心を鬼にして……」
 斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)がぎゅっとカードを握り締める。
 隣の清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)も、深く頷く。
「作戦ルールブック大事に! つまりとっとと逃げましょ〜!」
「「「えええええ!?」」」
「ごめんなさい嘘です〜。ルールブックも盗まれた挙句にこんな使い方されたらデザイナーさんが化けて出ますよ〜」
 みんなの反応があまりに大きかったので、慌ててぶんぶん首を振る咲夜。
「お、そこの138cmのお嬢さん、僕とこのあと、ちょっとボードゲームカフェでランデブーした後ホテルでロールプレイしながら」
 げしょ。
「ぐごあああああああ!」
 口説きに来た赤い髪とちょび髭の小男を、八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)は容赦ゼロで蹴り飛ばした。
「あぁぁぁぁ総帥!」
「珍しく自分より小さい女の子がいたから……」
「……下着、見えなかった……」
 もちろんアンスコ装備ですよ。サービスシーンなんてあげるもんか。
 凛々花が涼しい顔で後ろに下がる。

「むー! むーむー! むむむー!」
 後ろから何か呻き声がする。
「こうなったらみんな、何とかルールブックで覆われていない部分を攻撃するとか!」
「外傷を与えないアビリティを使うとか!」
 輪になって相談する一同の中で、ふと顔を上げた島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)が「あれ?」と呻き声の方向を指さす。
「むむむむむー!!」
 なんと水原・風戯(禍福の風・b64135)が後ろでぐるぐる巻きに縛られて天井から吊るされているじゃないか!
 ちなみに服装はイラストを見てもらえばわかる通りだ! こっそりくノ一衣装のいかつい肩をしたどこかで見たようなニンジャが、時々スカート水着の尻を撫でたりしているぞ!
「そういえばおら一緒なのに、タクシーさ乗ったの八人って言った時なんも違和感なかった!」
「「「そういえば!」」」
「むぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 後ろでめっちゃのたうちながら抗議する風戯。
「ふっ、こいつの命がどうなっても……もしかして構わない?」
 後ろでナイフを風戯に突きつけながら、唖然とした顔を向ける赤い忍び装束の男。
「風戯さん頑張ってください!」
「縄抜け技能取りましたよね!」
「ヒーローポイント使って何とかしてね!」
「綾ちゃん良かったねお仕置きする手間が省けたよ!」
「むむむむむぐぐぐぐぐううううう!」
 お前ら覚えてろ、てな感じの視線で、風戯がじたんばたんする。
「ともあれあのルールブック救出してお店に戻して自分の分買ってくためにも勝たなあかんね!」
「「「おー!」」」
「むぐううううう!」
 ラスト・バトルが、今、幕を、開ける!

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参加者
御鏡・幸四郎(菓子職人修行中・b30026)
清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)
稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)
八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)
浅神・鈴(秘水練武・b54869)
久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)
水原・風戯(禍福の風・b64135)
斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)
NPC:島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)




<リプレイ>

 前略、変態の巣窟より。
「さて、久しぶりなんだけど……ああ、なんてことをしてくれてるんだこいつらは」
 浅神・鈴(秘水練武・b54869)がうっすら笑みを浮かべた。
「……許すまじ」
 ウィーンから駆け付けた御鏡・幸四郎(菓子職人修行中・b30026)が静かに怒りに燃える。
「……後で説教、いえ、『指導』です」
 稲垣・幻(ホワイトティーリーブス・b36617)が呟く。ファンガスのファタが頭上で怒りに震えていた。
「……なるほど。つまり……より絶望を、味わいたい、と」
 斎藤・斎(虹の彼方へ・b66610)が冷徹に告げる。
 と思ったら久留宮・沙希(紅の詠を紡ぐ者・b55661)が博士の顔をグーでぶん殴っていた。
「な、何をする貴様!」
「貴方達は私達の逆鱗に触れたのよ……もはや一片の慈悲もかけてあげないからね!」
「承りました。三途の川の渡し賃は、その古書すべてで結構です」
 TRPGグッズを粗末に扱う者には天罰を。
「……第三帝国はこんなんしかおらんの?」
 八重咲・凛々花(月夜に咲く桜花・b51904)、実はTRPG同好会と第三帝国残党(自称)の因縁の対決、皆勤賞。
「ルールブック質とは卑怯千万や。水原先輩は……」
 ちらと見た先に、忍者に胸板を撫で回される水原・風戯(禍福の風・b64135)。
「裏成功してでも頑張るんやで」
「むぐー!」
 とりあえず敵の間を潜り抜けて鈴が風戯に隣接する。
「災難だったね……それじゃあ後よろしくね」
 ナイフを上手く使って、鈴は上手くロープを切ろうと――あ。
「あ」
「げぶぅ!?」
 JCいらない時ってさ。出るよねって話である。
「ごふっ……綾! ダイスを踏まないように俺を踏み台にしろ!」
 とりあえずロープから解放されると同時にイグニッション。すぐさま風戯の肩を足場に跳んで、変態包囲網から逃れる綾。島牧・こたん(やんちゃ忍びっ子・bn0275)が情熱ビームを飛ばす。
「まさか女がいたの!?」
 ハンカチを噛み締める忍者の頬に、黒影の拳がフルヒット!
「俺のこの手が漆黒に燃える! お前を殴れとざわめき吼える!」
「ごぶっ! げぶっ! 裏切りは許さないわ!」
 爆水掌ビンタで迎撃する忍者。
「やれやれ、こっちは男はお客さん、なんだがな」
 肩をすくめた泥棒が、すかさず手の中に風を作り出し。
 即座に幸四郎が覚醒スカルロードの姉、七ノ香とゴーストイグニッション。
「人妻となった姉のスカートを捲られでもしたら、一秋義兄さんになんとお詫びしたら良いのやら……」
 義弟としても実弟としても、ほら、ねぇ。
「良いではないか良いではないか〜!」
「は〜わ〜! 最終回だしサービス、サービス」
 清本・咲夜(はわわ巫女・b31921)のスカートが読者サービスで上昇気流でひらりーん。
「水色レースのふりふり……だと!?」
 何だと咲夜さん女子力高い!
「はわわ〜、で、めくってくれたあなたにもサービスサービスっ」
 そして迎撃の黒歴史!
「ぎゃああああ!」
 口では笑っているが、咲夜の目がキレている。
「〜〜〜〜〜!」
 その代わりに声にならぬ叫びをあげたのは、斎である。
「おおお!? なんだこれは!」
 博士の体が傷つかぬまま、ぐらりと揺れる。
「アビリティとはいえただの声。防具に影響されず直接ダメージを与えるのも道理です」
 呪言士アビに新たな活用法が。
 さらに、凛々花が口を開いた――かと思えば。
「ゴメンなさい、ドイツ語覚えたてで恥ずかしくてツイ」
 ここで片言のドイツ語!
「あの、背中にも本付いてるんデスか?」
「いやぁ、残念ながら君のディナーのため、その予算は節約してしまったんだ」
「お、おい総帥!」
 上目遣いと胸元寄せ上げに目を輝かせ、あっさりと口を割る総帥。
「背中ががら空きやって!」
 すかさず逆十字を背後に召喚して血とか吸い上げる凛々花。ちなみに本当は既にドイツ語は日常会話レベルだ。
「ギャース!」
 ついでに吸い取られる総帥。
 素早く幻がファタの力を借り、博士に向かって指先を伸ばして。
「ファタ、手加減無用! ミージュ、絶対に攻撃範囲にルールブックを入れないように!」
「もっきゅぴー!」
「ぎゃああ!?」
 博士の頭にパラライズファンガス。飛び出すと同時に火花をぶちかます覚醒モーラットピュアのミージュ。
「相手が貴重な書籍を盾にするのなら……」
 さらに伊邪那美の戦文字を描き、博士の動きを完全に縛り上げた後――!
「それに守られてない所を殴ればいいんだよ!」
「私の怒りの鉄拳! 受けてみなさい!」
 沙希のダークハンドで博士の顔がめっきょり。
「私は初見ですが、女性の敵だとかなんとか……そろそろ運命の糸、切っときましょう」
 妄想原稿を撒きまくる泥棒、凛々花を口説き続ける総帥、叫ぶ博士に言って、幸四郎が次々に超威力雑霊弾を飛ばす。手遅れ忍者は――風戯以外に害はないしなぁ。
「ダイスばら撒きは迷惑だからやめてくれないかな……?」
 顔を狙って霧影爆水掌をぶちかましつつ、鈴が尋ねる。
「ところでキミは男なのかな、女の子なのかな?」
「ほえええ!?」
 あ、明らかに動揺した。
 でも幻&ファタと鈴の拘束で動けない。
「仕方ない……先輩からの秘技、切る時か」
 泥棒が嫌な口ぶりで呟き、両手を広げる。
「――ライニガング・ウィンド!」
 スカートに対象を絞った風が吹き荒れる!!
「きゃあっ!」
 斎が急いでスカートを押さえた。ちゃんと前後両方押さえて下着見えないぞ!
「って、な、何をしてくれるのさ!」
 やっぱりスカートを押さえながら、思いっきり泥棒をぶん殴る鈴。
「こ、こぉのねずみ男次郎吉!」
 さらに続いて思いっきり錫杖で退魔呪言突く斎。後ろから自分で巨大手裏剣を持ってぶん殴り、爆発させるこたん。
「ふふん♪ 対策していないとでも思った?」
 沙希が堂々と仁王立ちで勝ち誇る。凛々花直伝のアンスコ・ガードだ!
「つか浄化の風、まんまやん……」
 ドイツ語で理解した凛々花が、げんなり顔になった。
「だからって貴方を許す気はないよ?」
 万死に値する、と沙希はダークハンドを伸ばし、問答無用で引き裂く。
 滅殺符が後ろから貼りつく。咲夜がオークを見るような目で倒れる泥棒を見下ろした。
 総帥は凛々花にアタックしてはヴァンパイアクロスの無限ループでいつの間にか倒れていたし、綾の精気貪りがトドメとなって涙目で倒れた博士の周りでは無事に守られたレアルールブックの剥ぎ取りが始まっている。
 だってまぁ、忍者は風戯以外に害ないっぽいし。
「しかしいつ惚れたんだべなー」
「風戯さんは最初から参加でしたね。愛を育んだのでは?」
 のんびりそんな会話をしながら幸四郎が目を合わさずに雑霊弾を飛ばしたり。
「――育んでないわぁぁ!」
「あ、風戯さん」
「倒したんやなお疲れ様ー」
 俺の戦いは何だったんだという顔で風戯は口紅塗れになって突っ伏した。
「……水原さん、貴方の健闘は忘れません」
 忘れないなら目を逸らさないであげて幻さん。
「はわ、ルルブやサイコロは武器や防具ではないので読者のみんなは絶対真似しちゃだめですよっ」
 咲夜の言葉と共に――ラスボス戦終了!

 ちなみに。
「今宵、眠れると思わないでくださいね?」
 私はまだヒーリングファンガスを四回残しています、という顔で幻がにっこり笑って何が起きたかは皆さんのご想像のままに。

「今シリーズ初GMやで!」
 凛々花のシナリオに揃ったのは、鈴演じる軍所属の男装の麗人、風戯演じる第三帝国総帥暗殺の使命を負った殺し屋、綾演じる覆面で顔を隠した女性、斎演じる異世界の己の力を偶然手に入れた冒険家の少年。
 ――異世界?
「ではみなさんが助けた少女は、こう言います……『私は、別世界の総帥だ』」
「「「おおおう!?」」」
 皆の目の前に現れたのは、態度の大きい美少女。
 第三帝国の実験により、繋がろうとしている複数の世界。この世界を元に戻すことはできるのか!?
 五人の冒険が、始まる。

「初GM……」
 どきどきどき。
 サブマスター席でミージュが手伝ってくれるけど、それでも幻の動悸が収まることはない。
 しかもメンバーは前回超☆能力に目覚めたすーぱー船堀流美ちゃん(らめぇ系・咲夜)、自称天才少年の発明家(爆発系・沙希)、クールなロシアオオカミ(わんこ系・こたん)、そして熱く滾らせた血で悪を討つドイツ留学中の熱血少年(マジで血が熱い系・幸四郎。システム初プレイ)。さらに不参加だが楽しそうにお茶を淹れながら眺めている七ノ香。
 大丈夫、と皆の励ましを受けて、幻は大きく頷き深呼吸。
 そして、GMは口を開く。
「終戦、総帥は死んだ。だが終戦の混乱の中で、君達は闇に蠢く存在を知る……」
 彼の語りに耳を傾け、わいわいとロールプレイを始める仲間達の姿に、いつしか緊張はしつつも幻は笑顔を取り戻していた。

「まったく可愛い女の子を襲うなんて生かしておけないね」
「私の尻を触るお前が一番襲っているだろう!」
 叫ぶ美少女総帥に、鈴演じる軍人はふっとやらしー笑みを浮かべた。
 なお、イケメン総帥とロボ総帥、マーシャルアーツ総帥との戦闘中である。
「あーれー!」
『あーれー』
 風戯の叫び声と綾のフリップが同時に炸裂。というか綾が足を止めて全員に援護かけたら巻き込まれた。
「大丈夫。僕が守るから」
 そんな美少女総帥に向かって、斎が微笑んでから素早く駒を進める。
「オウガバトルにマルチウェポン、獅子奮迅を組み合わせて……いざ!」
 一気に薙ぎ払われる総帥ズ。残ったロボ総帥の攻撃を何とかしのぎ、幸四郎が血の剣を燃やして止めを刺す。
「くっ……殺すなら殺せ……」
 きりきりと歯を食いしばった総帥ズの目の前で、刃が閃く。
 ――美少女総帥に。
 咄嗟に庇った斎と鈴が、信じられぬという顔をする。
「仕事は完遂する。……全ての総帥を始末すれば良いだけだ」
 風戯の殺し屋が、刃に雷をまとわせる。――彼が、一度も使った事のないはずの。
「成程、別世界の総帥がいるなら別世界の俺もいるという事か」
 その時、響く声――。

「どんな敵が来ても超☆能力で返り討ちだよっ」
 能力判定ごーごー、と振ったダイスは――1個。
「10分の1でファンブルじゃないですか!」
「うん……ファンブル……ファンブル……」
 こんなことになると思ったよ!
「……こほん。では、『ふむ、小娘か。魔術の生贄程度には使えるだろう』と言って、あなたは拘束され誘拐されました」
「らめぇ〜……はわ〜、まぁこんなときもあるよね」
 大抵こんな時じゃないか!
「仕方ない、今度こそ僕の発明品が役に立つとき!」
 モブ総帥の死体を解析すると沙希の宣言に、ミージュがぽむと幻の腕を叩く。あ、と気付いた様子で判定を要求してから。
「ふむ……では、この総帥の遺伝子情報と、これがコピーだとわかります」
「……クローン!?」
 血の従者ではないんですね、と確認する幸四郎に、幻は頷いて。
 事件は、徐々に明らかになっていく。
 ――あ、ちなみに咲夜の後はこたんが匂い嗅いで追いました。

 風戯さんには済まないが、字数が足りないので。
 結局偽物風戯は本物にヒントまで残していい感じに倒されたと言っておこう。
「だから私の為に戦えって言ってるだけで、その……お前達が消えてしまったら私が嫌なだけで!」
「ふふ、困った子だ。でもそうだね、君は可愛いから許しちゃおう」
「大丈夫。明日は、みんなのために戦おう」
「むぅ……」
 鈴が美少女総帥の頭を撫で、斎が頷いたのは決戦前夜の事。
 そう――今彼らは、謎の宇宙生物総帥が周りの総帥を無理矢理融合し続ける総帥超融合体と対峙しているのだ!
『遂に現れましたね。クレオパトラ総帥に海賊総帥、筋肉総帥……』
「え」
「へ」
 突然綾の出したフリップに、唖然とした声を上げるみんな。
『実は私も別世界の総帥です』
「「「なにいいい!?」」」
 叫ぶみんな。もちろんGMも。
「え……一寸待て……何故にそうなる?」
 綾は、じっと真剣な瞳で風戯を見つめ、フリップを掲げる。
『貴方になら何をされても構いません。私も殺しますか?』
「えー……とりあえず、総帥やめるなら殺したようなものだし、監視の為に一緒にいる、って事で……」
『妥協ですね』
「オイ!」
『でも……』
 そっと頬を染めた後、綾は『ありがとう』と書かれたカードを差し出した。
「そ、そやったらえっと……総帥パワーでこれ使うなら、『ロイスを結んだ総帥』に限り引き離してええよ」
「あ、結構いる」
「PC間ロイスは!?」
 まぁ、そんなことも、ある。
「「大丈夫、君は」」
 斎と鈴の声が、重なって。
「僕が」
「私が」
「「守る!」」
 結局ライバル関係のままだった二人が、地を蹴る!
 幾度もの死線を潜った。ダイスが回った。総帥ズはタイタスにしないように割と頑張った。
 そして。
「僕は……我は聖ジョージ。龍殺しの騎士なり!」
 ライトスピードからの……必殺・戦神の祝福!
 同時に威勢よく放たれる弾丸!
 その攻撃によって、総帥超融合体は地に伏した。
 それは――別れの時を告げる合図でもある。
「今回の事は借りにしておく……返しに来るからな!」
 そう言って姿を薄れさせていく美少女総帥に、敬礼。
「さようならだね、小さな総帥」

「きゅぅ、らめぇ〜」
 あーんな目やこーんな目に遭いまくる流美。焦るGM。
 これも最終回の試練か、と達観している咲夜だが、幻の想定よりいつも出目が低いんだもの。
「この装置はクローン作製装置! この装置で総帥クローンを作る事も……つまり黒幕がいる?」
「増やしたければ仔を作れば良いのに人間はわからん」
「総帥であることが、重要なのでしょう」
 その頃あとの三人は、秘密の装置を発見して。
「「「つまりお前がクローンの群れと共にウィルステロの準備をしていたんだな!」」」
「やぁん……」
 踏み込む一同。高笑いするボス。吊るされている流美さんヒロインオイシイね!
「敵は遺産を動かす魔術師と、総帥トループAからFになります」
「「「モブだー!?」」」
 叫ぶみんなに敵多すぎたかな、とどきどきする幻。ミージュがいける! とガッツポーズ。
 沙希が三つ目の力を使い、ウィルスごと焼き払うと装置のスイッチを――押したら爆発!
「なんで……僕の発明品は完璧のはずなのに」
 それでトループ一掃しましたけどね!
「皆同じ味でつまらなかった。お前は、美味しいか?」
 こたんがすかさず接敵し、牙で食い破った所に。
「姉さん、一緒に振りましょう!」
 七ノ香と共にダイスをぶちまけた幸四郎の出目が――走る奔る走る!
 血の刃が、焔をまとって一気に振り下ろされ――!
「さぁ、ここから真打登場!」
 咲夜が攻撃の余波でロープが切れて脱出したところで。
「……というわけで、ボスはゆっくりと倒れて行きます」
「はわ〜……」
 額の汗をぬぐう幻。「ありがとうございました」と言いかけて、ミージュにまだエンディングがあるとツッコまれて。

 ――そして、彼らの壮大な戦いとキャンペーンは、幕を閉じた。


マスター:旅望かなた 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2012/12/07
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