3分間待ってやる!〜カップラーメンが食べたいの〜


<オープニング>


「3分間待ってやる!」
「はぁ?」
 コンビニでカップラーメン数個を買った帰り道、人通りのない路地で声をかけてきた男は、少年へのカップラーメンを作れと言う一方的な命令の後に、続けて言った。
「あんた、何を……ぐわっ」
「私は待たされるのが嫌いだ」
 呆れた様な口調で男へ言い返そうとした友人が、銃の様な物で撃たれて、それっきり動かなくなる。
「あ……」
 少年は狼狽えて、袋の中のカップ麺を見るがその表示は熱湯5分。間に合わない、と言うかそれ以前にこんな場所にはお湯がない。
「時間だ」
 男は足下に絡みつかせた鎖を鳴らしながら銃を少年に向けると、躊躇いもなく引き金を引いた。
 
「いい加減にして欲しいのぅ、また変な物を見たのじゃ」
 運命予報士はげんなりとした表情でボソリと言った。
「カップラーメンに執着した地縛霊が出たのじゃ」
 予報士は理解に苦しむと言った表情で嘆息すると、詳しい説明を始める。
「地縛霊はカップラーメンを所持した相手が通りかかると現れ、その場でカップラーメンを作れと要求するのじゃ」
 断ればその場で射殺。時間内に作れなくても射殺。逃げようとしても、眼鏡からまばゆい光を放って痺れさせ、相手を動けなくしてから時間ギリギリまで待って射殺するらしい。
「ちなみに、3分以内に作って差し出せば見逃してはくれるようじゃが」
 熱湯を調達できる場所は近くになく、都合良く3分で作れるはずがない。
「まったく、迷惑な相手じゃ。今はまだ被害は出て居らぬが、未来視で被害が出ることが確定しているのじゃ」
 お主らにはその被害を未然に防ぐ為に地縛霊を倒して欲しい、と予報士は言う。
「それで、この地縛霊は人通りのないある路地に出没する。24時間対応と迷惑さも2割増しな相手じゃが、討伐の時間を選べる今回は逆に便利じゃな」
 地縛霊をおびき出すには、後は囮がカップ麺を持って路地を通りがかればいい。予報士はコクコクと頷くと、「次に」と前置きして地縛霊の攻撃方法へと説明を移した。
「地縛霊の攻撃方法は銃による射撃の他、片手を挙げて上空から雷を落とす範囲攻撃、眼鏡からまばゆい光を放ち広範囲の相手を痺れさせる範囲攻撃を持っているようじゃ」
 単体だがそれなりに強く、その多彩な攻撃は侮れないじゃろうと予報士は口にする。
「ただ、この地縛霊には大きな弱点があるのじゃ」
 それは、逃げず、攻撃せず、断らず、誰かが1人でもカップラーメンを作る素振りをしていれば、宣言通り3分間は何もしないこと。
「事前に攻撃力や防御力が強化できる能力者にはまさにボーナスタイムじゃな」
 この間に強化アビリティを使えば優位に戦えると言うことだ。
「ただし、地縛霊の目くらまし範囲攻撃は強化された攻撃力や防御力を消し去ってしまう能力も付いてるようじゃ」
 過信は禁物じゃぞ、と予報士は釘を刺した。
「それから、お主らにこれは餞別なのじゃ」
 予報士はそう言うと、後ろに積んであったダンボールの封を開け、中身を能力者達に見せる様にして差し出した。中身は種類もさまざまなカップ麺。間違えて地縛霊を逃さない気遣いからか、熱湯を入れて4分以上かかる物だけがたっぷり入っている。
「この囮用のカップラーメンは、余ればお持ち帰りも可なのじゃ。熱湯を水筒に入れていってその場で食べても良い」
 「ただし、後片づけはちゃんとするのじゃぞ」と予報士。
「うむ、気をつけて行ってくるのじゃ」
 「ちなみに妾のオススメはこれじゃ」と囮用のカップ麺の箱から具の豪華な物を1つ失敬し、予報士は手を振って能力者達を送り出した。

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参加者
要・耕治(格物致知の徒・b00625)
染雪・荏徒(お年頃・b03246)
国津原・梔鬼(淵獄の鬼童子・b07002)
神奈・環奈(は誤字らない・b09675)
レイヤ・ストラフィール(白き幻想・b14350)
高天崎・若菜(大黄龍将・b19366)
右意・次郎(牙道仮面クマリオン・b21231)
アリシア・マリンスフィア(星屑の鉄槌・b22046)
ヴィントミューレ・シュトゥルム(ジーザスシュラウド・b22548)
長谷川・陽子(フェアリーライト・b25375)
御子柴・綾香(清廉の歌姫・b27682)
時雨・燎(鐵猫の請奏・b28626)



<リプレイ>

●何をごまかそうと言うのかね
「3分間は律儀に待ってくださる地縛霊ですか……なんだか『大佐』とお呼びしたくなりますね」
 人通りのない路地の入り口で高天崎・若菜(大黄龍将・b19366)は仲間を振り返りながら呟いた。何故大佐なのかはきっと永遠の謎。
「随分と面白、もとい妙な地縛霊が出たもんだな」
「ふむ、まったく愉快な地縛霊もいたものじゃなぁ」
 仲間の言葉に右意・次郎(牙道仮面クマリオン・b21231)と神奈・環奈(は誤字らない・b09675)は片方は落ち込み、片方は笑うと対照的な表情で同意し、それぞれ「まあ対処の仕方は変わりゃしないが」「まぁ、まだ被害が出てないのは僥倖じゃな」と続ける。
(「目をつけてた一番食べたい奴を予報士に取られるとは! 無念だ……」)
(「言えない……ついカップラーメンじゃなくてカップ焼きそばを持ってきたなんて口が裂けても言えない……」)
 「はっはっは」と何処か乾いた笑いが響く中、二人が何を考えているのか、知るはおそらく当人達のみだろう。焼きそばはそのうちばれそうな気もするが。
「まったく……3分じゃ熱すぎてとても食べれないでしょう? でしょう?」
 一方、3分という単語を耳にした染雪・荏徒(お年頃・b03246)は憤りもあらわに仲間達に同意を求めた。
「カップラーメンは……3分の物なら2分40秒、5分の物なら4分30秒が最も適した時間。表示通りに作るのは必ずしも得策ではない……」
 だが、返ってきたのは要・耕治(格物致知の徒・b00625)のいささか思惑とはずれた意見だった。
「はっ……いつもデロデロのカップラーメンを食べる私への挑戦ですか……!?」
 同意を求めた彼女はこの時点で何かを思い至った用に顔を上げ、「いいでしょう……この戦い……負けらんねー」と戦意を高めたが、これには状況をごまかす意図も若干含まれていたかも知れない。
「正直な話、カップラーメンって何だろう?」
 さっきまでブツブツと呟き自己空間を流離っていた国津原・梔鬼(淵獄の鬼童子・b07002)は知らない単語に呟きを止め顔を上げる。
「カップラーメンね。早くて美味しいって聞いたけど、どんなものかしら。でも、お湯をかける魔法みたいなものよね?」
 そして、「きっと、それは素敵なことなのかもしれないわ」と続けたヴィントミューレ・シュトゥルム(ジーザスシュラウド・b22548)の言葉で理解をしたのか、興味をなくしたのか、再び呟き始める。
「カップラーメンに執着……それほどまで、カップ麺が好きなんでしょうか?」
 一瞬空気の止まった場に、時雨・燎(鐵猫の請奏・b28626)が疑問を投げかけ、会話が再開された。
「カップメンに執着する地縛霊って凄いよね」
 長谷川・陽子(フェアリーライト・b25375)も口を開くと話題に乗って話し始める。話題は件の地縛霊とカップラーメンの関係。
「カップ麺、か。正直あまり食べないけど、地縛霊は何か思い入れがあったのかな?」
「……それとも、死ぬ間際にカップ麺食べようと思っていたとか?」
「じゃあ、普通は怨念とか、そういうので縛られるわけだから……現場の路地で食べたいカップメンを持って帰る途中で強盗にでも襲われたとか?」
 更にレイヤ・ストラフィール(白き幻想・b14350)も加わり、三人はそれぞれ仮説を口にしてみるが、内1人が「ダメだ、全然想像つかないよー」と音を上げる。
「何にせよ」
「どっちにしろ」
 そして、残る二人の言葉も似た様な意味合いの言葉を口にした。
「犠牲が出る前にどうにかしたほうが良さそうだね」
「すごく迷惑ですね。しかも、地味すぎます。さっさと成仏してもらいましょう」
 続けられるのはやはり同じように早急に地縛霊を倒すべきと言う趣旨の言葉。
「ああ、如何に相手が馬鹿馬鹿しくても、地縛霊は倒さねばなるまい。人に害成すなら、私の敵だ」
 アリシア・マリンスフィア(星屑の鉄槌・b22046)はそんな二人の言葉に頷くと、地縛霊が潜んで居るであろう路地へと向き直る。
「そうね。予想通り楽しそうな依頼だし、張り切ってやりましょ?」
 御子柴・綾香(清廉の歌姫・b27682)も同じように二人の言葉に同意しつつ、楽しげにカップラーメンを作り始めた。これは何らかの考えがあってのことらしい。
「では、そろそろ行きましょう」
 燎に促され、仲間にカップラーメンを託すと綾香を含む半数の能力者は地縛霊を挟み撃ちにすべく先行する。作戦は開始された。

●カップラーメンが食べたいの
「カップ麺を作れ! 3分間待ってやる!」
 突入班に遅れること暫し、路地へと侵入した能力者達に反応し現れた地縛霊は銃を構えて宣言した。
「私達カップ麺愛好会に挑戦とはいい度胸ね。いいわ、作ってあげる」
「40秒で支度しな!」
 ここまでは想定通り。ヴィントミューレが地縛霊の言葉に応え、環奈は仲間達に指示を出すと、ストップウォッチを作動させる。ちなみにこの時点で間違って焼きそばを持ってきたことがばれていたりするし、40秒は色々無理な気もしたが。
「お湯の注入を確認、時計合わせ……完了」
 かやくの袋が開けられ、粉末スープのもととともに麺の上に撒かれる。耕治は、自身の持ってきた魔法瓶からお湯が注がれるのを眺めていたが、湯がカップの内側のラインに達したところで一時的に視線を時計へと落とした。地縛霊は動かず、時間は刻々と過ぎてゆく。
「そろそろですね」
 2分が過ぎたところで接触班の面々は顔を見合わせ、更に10秒が経過したところで、1人の能力者の前方に魔法陣が展開される。それをきっかけとしてまるで連鎖する様に能力者達は自己強化アビリティで自他を強化して行く。地縛霊を挟んで反対側の突入班サイドでも同じような事が起こっているだろう。
「3分にはまだ早いけど、実はもうラーメンは出来ているの」
「素晴らしい」
 これにも反応しない地縛霊に能力者の1人が話しかける。話しかけた後の反応は予想外の物ではあった様だが、地縛霊は興味を示した様だった。
「これが、あなたに食べさせるスペシャルカップ麺よっ」
 続けられる言葉を受けて荏徒がヘリオンサインを空に浮かべる。
「……あれ?……だってー」
 空に浮かぶのは「ぼバすけルてス」の文字。色々混じったらしい。
「なんか変なサインになってますけど、まぁ、いいですか……」
 サインを出した当人は空に浮かぶ謎の文字をそう結論づけた。本当に良いのかは別として。

●カップ麺の飛翔
「上上下下左右左右BA……強化コマンド入力完了!」
 一方、陽子達も戦闘準備をしていた。
「アレか、どっかで見た気がするが……」
 次郎は律儀に3分間待っている地縛霊の背を見ながら深呼吸し攻撃力を引き上げる。
「サテ、行クカ」
 ただ、ふと空に浮かんだサインに仲間が気づき、自己強化の後、やはり自己世界に浸っていた梔鬼が無表情に顔を上げる。立ち上がり、歩きだす。
「時間ダッテ言ウナラ……あ」
 そして地縛霊を目にするが、移動後の無理な体勢では牙道砲は放てない。そして、地縛霊はまだ時間でないが故に「時間だ」とは一言も口にしていないが。
「……ス!」
「うわぁ!」
 次の瞬間、繋げると色々な意味で危険な3文字をかけ声に若菜が発動した蟲の知らせでカップ麺を始めとし、やや遠くに設置してあったポリバケツのゴミ箱までが一斉に地縛霊へ襲いかかった。
「麺が〜、麺がぁ〜」
 地縛霊は複数のラーメンをかぶりスープを滴らせつつも、地に落ちた麺を未練がましく見、膝をつくと落ちた麺をかき集め始める。よくよく考えると食べ物を粗末にするのは好ましくない様な気がするが、この調子なら落ちたラーメンは地縛霊が美味しく頂いてくれそうだ。
「申し訳ないんですが、攻撃します。カップラーメンの代わりに受け取って下さい」「大佐にしてはイケてない食生活ね」
 そこへ容赦なく燎の魔弾が襲いかかり、綾香が追加とばかりにのびたラーメンを投げつける。もちろん、ただのラーメンにはダメージはないが、この地縛霊に限って言えば気を引くには充分だ。そこへ陽子がつっこみ所満載のかけ声とともに光の槍を投げつける。
「ま、頑張ろうか」
 レイヤは目のシュールな戦闘をサングラス越しに見つつも、紫炎と長剣を頭上で回し、攻撃力を引き上げる。何だかみみっちくても地縛霊は地縛霊、舐めてかかって良い相手ではないだろう、きっと。
「「女は度胸!!」」
 何故か全く同じ言葉を口にし、アリシアと環奈が並ぶ様に攻撃を繰り出す。海竜の蒼牙と不死鳥のオーラを宿し振り下ろされた無銘がそれぞれ地縛霊に血の花を咲かせ、吹き上がる炎が地縛霊を包み込む。更に耕治の伸ばした炎の蔦が伸びるが流石に地縛霊はこれをかわした。銃を使うだけあって相性が悪かったのかも知れない。一通りボコボコにされた地縛霊は炎に身を焼かれつつも立ち上がると怒りの形相で眼鏡へと手をかける。
「見るがいい。そして後悔しろ」
 眼鏡から放たれた閃光が地縛霊の正面を漂白する。能力者達の読み通り、光は地縛霊の真後ろには届かない、届かないはずなのだが。
「目がぁ! 目がぁーー!!」
「目が……私の目が!」
 攻撃を受けて居ない能力者まで含めて次郎達数名が、「目が」と連呼し、目を押さえて喚いている。実際にマヒしている能力者は流石にそこまで派手なリアクションはとれていないのだが。
「食生活の改善をなさいっ!!」
「そこですっ!!」
 実際、喚いていた数人は何事もなかった様に他の能力者と同じように攻撃を繰り出して来る。
「相手の射程圏外への移動を完了、引き続き攻撃行動続行……」
 仲間達の攻撃が命中しあるいは受け止められるのを見ながら耕治は地縛霊の背後へと回り込む。先ほどの光の影響を受けない位置に回り込むというのは悪くない判断だろう。
「その首、叩き落してくれる!」
 素早いフットワークで地縛霊を翻弄したアリシアは蹴撃によって三日月型の軌跡を地縛霊へと刻んだ。残念ながら首をたたき落とすには至らないが、展開された魔法陣に威力を上乗せされた一撃は決して軽くない。他の攻撃も同様だ。地縛霊は先ほどの光でもっと敵の手数を減らし、上げられた攻撃力を下げるつもりだったのだろうが、運に助けられた事も手伝って、謎の反応をした能力者は複数居たが実際にはほとんどを回避されて終わっている。
「これなら」
 手痛い攻撃を多数受け、追いつめられた地縛霊は片手をあげた。それをきっかけに広範囲へ降り注ぐ雷。
「地味なくせに攻撃は派手ですね」
「大丈夫ですか!? 今、回復しますよー」
 流石に今度は半数以上の能力者が避けきない。だが、受けた傷は荏徒と燎が符と歌で癒される。余裕の色が既に消えている地縛霊にとって状況はどんどん悪くなって行く。
「……ス!」
「お兄さんは自分と同じ境遇の人を増やして何がしたいんだ……!」
「バ……!」
「ぐわぁっ」
 そこに、追い打ちをかける様に能力者達の攻撃が降り注ぐ、何故か先ほどの三文字の言葉を口々に叫びながら。攻撃が命中する音などがまるで意図するかの様に聞こえなくしてるのはきっと偶然。別のものが混じった気もするが。地縛霊も銃撃や再びの落雷で応戦しようとするが叶わず。
「……なんとなく、攻撃の際つけた台詞を言うとクリーンヒットしそうな気がする!」
 陽子は光の槍を放ちながら、再び仲間達の攻撃の輪に加わった。地縛霊は10秒も持たずオーバーキル気味の集中攻撃に沈んだ。命中した攻撃は多数。目に当たった攻撃もあったのかも知れない。
「麺が〜、麺がぁ〜」
 ズタボロの地縛霊に既に眼鏡はなく、燃えさかる身体には起き上がる力も残っていない。ただ、蟲の知らせで飛ばなかったカップ麺の1つに向けて手を伸ばした状態で崩れ落ち、光の粒と化して霧散したのだった。

●持ち帰るのかね?
「ふぅ、終わった終わった。とりあえず、お土産に余ったカップ麺でも持って帰ろうかのぅ」
「あ、僕もカップ麺は貰っておこうかな。一人暮らしには貴重な食料だからね……」
「余ったのがあったら持って帰りますよ、食べ物……食べ物♪」
 戦闘も終わり、環奈が予報士から貰ったカップ麺の残りへと近づくと、耕治や荏徒も残りのカップ麺が入った袋へと近寄ってくる。
「じゃ、ボクは予報士から貰ったカップラーメンを作って、食べてから帰るかな?」
 レイヤも同じようにカップ麺の元へと足を運ぶが、荷物に詰める能力者とは違い、手にしたカップ麺をその場で開けはじめた。
「ふむふむ、先に麺を十分な湯でほぐしてから一度お湯を捨て、スープをお湯で溶かすとより美味しく頂けます、か」
 その場で食べるつもりらしい能力者は他にも居た。次郎は説明に従って湯切りしたお湯を側溝へと流し込む。
「……ス、スープ分の湯が足りねーだとお!? なんという悲劇! なんという孔明の罠! チックショー!!」
 そして、湯を捨てた後に、の残量が足りない事に気がついて悔しがるという綺麗なコンボを見せた。教訓、カップ麺を作る前には湯の残量確認を。
「ゴーストとは、このようにゴミの様に消えていく運命なのですね……」
 若菜は目を細め、切なそうな顔でうどんの様に水分を吸って膨張し、のびてしまった麺を眺めた。周囲には他にも蟲の知らせに反応せず作り置きで放置されたカップ麺が複数。ひょっとしたら責任とって食べさせられる人が居るんじゃないかと、思っていたのかも知れない。
「ここはお墓よ。あなたの妄念とカップメンのね」
 陽子が口にした言葉は地縛霊に向けてのもの。ただ、のびきった複数のラーメンが散らばる光景は確かに墓場っぽいのかもしれない。
「見ろ、カップ麺の残りがゴミの様だ」
 そう口にしたアリシアはどちらかというとのびたラーメンを廃棄物としてみている様だったが。「……というわけで」と前置きし、二重にしたゴミ袋に中身を注ぎ込み、ゴミもきちんと分別して袋に入れる。
「今度は美味しいカップ麺を、味わって食べてね」
 進む分別作業の中、ヴィントミューレはカップ麺を1つ、現場に供える。消え去った妄執の主が安らかに眠れる事を祈って。
「未熟だな……」
 少し離れた場所で梔鬼は物思いに耽っていた。
「結局あのゴーストの考えていることも分からなかった」
 とりあえず、カップ麺への執着心で存在していた地縛霊を理不尽な最期に対する憤りで道連れを求める地縛霊と読み違えては居た訳だが。
「あっつ……はふ…………」
「こ、これは!? ……カップ焼きそばUMA。こんなものまであるとは」
 カップラーメンが出来て、早速食べ始める者、未だお持ち帰り用を選定する者。
「やっぱりどっかで見たが思い出せない……。思い出しちゃいけない気がするんだぜ……」
 スープの量が極端に少ないラーメンを手に次郎が呟いた。きっと気にしてはいけないのだろう。能力者達はこの後片づけを済ませ、お土産を手に帰路につく事となる。混沌とした戦いの記憶とともに。


マスター:聖山葵 紹介ページ
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いまいち
参加者:12人
作成日:2007/09/14
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