Under the mistletoe 2007 〜聖夜の恋人たち〜


     



<オープニング>


 銀誓館学園のクリスマスパーティー。
 毎年、様々な趣向を凝らすパーティーが開催され、学園はクリスマス一色に染まります。
 冬休みを目前としたクリスマスイヴの日は、振替休日という事もあり、本当に様々なパーティーが開かれるようです。

 クリスマスパーティーは無礼講。
 たとえ、今まで一度も口をきいた事が無い人とでも、一緒にパーティーを楽しむ事ができます。
 クリスマスパーティーは、新しい友達を作る為のイベントなのですから。

 気に入ったクリスマスパーティーがあれば、勇気を出して参加してみましょう。
 きっと、楽しい思い出が作れますよ。
 
 そして、いつのころからか、生徒たちの間で語り継がれる1つのジンクスがあった。
 銀誓館学園に生える無数の樹木は、様々なオーナメントやイルミネーションで飾られる。その中にまぎれ、たった1つの枝に密かに飾られた、たった1つの宿り木。
 西洋では、宿り木の下でキスをすると幸運と幸せな結婚がもたらされるとか、その枝をかざせば誰にでもキスをすることが赦されるとかいわれている。
 だが、学園の宿り木は少しニュアンスが異なる。その下で告白をし、キスをかわしあった者たちは、永遠の愛を得ることができる。それが、語り継がれ、信じられているジンクスである。
 今日もまた1組のカップルが、宿り木の下で愛を告げる。

 しかし、ここで一ひねりなくては銀誓館学園のジンクスとはいえない。その一ひねりとは、これである。
 一、宿り木は、常にその場所にあるとは限らない。違う場所に移動することがあるので、要注意。
 一、告白した相手が受け入れ、キスすることを了解してくれなくてはならない。
 一、宿り木の実は、成就した恋人たちの絆を強める愛の証となる。実が無くなった宿り木に、ジンクスの効力はない。つまり早い者勝ち。
 一、このジンクスは、イルミネーションが灯るまでに達成しなければならない。時間制限あり。
 
「これが、噂のジンクスなんだね」
 夏越・ちがや(中学生運命予報士・bn0062)は大きく頷く。
「でも、去年も凄かったらしいから、僕はこっちで恋人たちのお手伝いをしようかな……」
 去年のイベント報告書に目を通し終えたちがやは、笑顔とともに恋人達を元気づけるような言葉を告げる。
 愛しいあの人に、この胸に秘めた思いを打ち明けたい。彼女(彼氏)との愛を、さらに強く深めたい。
 様々な思いのもとに、君たちは今クリスマスの朝を迎える。

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参加者
NPC:夏越・ちがや(中学生運命予報士・bn0062)




<リプレイ>


 今年もこの季節がやってきた。
 去年参加した者も、今年初めて参加する者も、そして妨害側ジンクスのおかげなのか今年はこちらに参加できた者も、胸に抱く思いはひとつだけだ。
 思いを向ける相手と永遠の愛で結ばれたい。
 そんな思いを抱く者たちが、朝早くから銀誓館学園に集う。
「柊とは違うんですよね」
 類(b23691)は瑠流衣(b00917)がプリントアウトしてきたセイヨウヤドリギの写真を見つめて呟く。
 青々とした葉を茂らせるこんもりした姿は、『Kissing Ball』と呼ばれる名の通り。緑色の枝の先にはプロペラのような二枚の葉が生え、その下や間に5ミリほどの小さな白い果実をつけている。
 集まった者たちも、それぞれ独自に探す者たちも、その実を手に入れられることを願いながら学園に散る。
 そんな恋人たちを見送る弥琴(b01665)は、
「夏さん、僕も手伝っていい?」
 とちがや(bn0062)に声をかける。
「弥琴くんも手伝ってくれるの? 嬉しいな。みんなの連絡先も手に入れから、行こう!」
 恋人たちを応援するため、妨害側の潜入者からも携帯に連絡が入ることになっているという。2人は携帯を手に、連れ立って駆け出す。
「さて、恋人成立をいろんな意味で応援しましょうか〜」
 防寒対策もばっちりな頼人(b03904)も、笑顔で彼らの後を追った。


 学園内は、クリスマス一色に彩られている。その中を歩くだけでも、恋人たちの心は浮き立つ。
「うーん、銀誓館にはいろんな恋愛のジンクスがあるんだなぁ……」
 セツナ(b02222)手編みのマフラーをつけるきさら(b00157)は、不思議そうに首を傾げる。
「見つかっても見つからなくてもいいけどね」
 キャンプファイヤーで出会い、恋に落ちたゆえの余裕で、2人はのんびりと足を進める。
 手袋をつけず、互いの体温を感じながら歩く2人は幸せそのもの。
 鳴海(b01447)はそんなカップルたちを眺めつつ、
(「宿り木の実を手に入れると絆が深まる……か。……かなり熾烈な争いになりそうだな」)
 などと思う。
(「あぁ……もう、恥ずかしいですね……っ」)
 鳴海と手を繋ぐ暦(b16382)は、周囲の様子に恥ずかしくなりながらも、分けられる温もりに心を落ち着ける。
「ところで全(b26637)、ジンクスは知っているのか?」
 快斗(b27168)は、ともに宿り木探しをする全に問いかけてみる。
「ジンクス? そのくらい知ってるぞ! 馬鹿にするな!!」
 そう応える彼女は、そのジンクスを達成するために快斗が誘った意味が分かっていないようだ。それに快斗は溜め息を吐く。
「お、おい。宿り木探すなら、手分けしたほうが早くないか?」
「ダメだ。二人で探す」
 焔華(b02776)の提案を却下し、雅(b01224)は彼女の手を握ったまま宿り木探しを始める。
 このように、数々のカップルが宿り木探しに奔走しているようだが、このジンクスには、すでに恋人同士な者たちも参加している。
 そんなカップルの一つである春菜(b26207)は雅紀(b25748)とともに宿り木を探しながらも、彼とキスをすることを考えてしまう。
「……は!? は、春のえっちーーー!!」
 妄想が講じての叫びに、下心を見抜かれたかと雅紀は慌てる。
(「宿り木の伝説……とってもステキなのにゃ」)
 ロマンチックなジンクスに笑みを零す莉那(b18446)は、
「ぜ、ぜってぇ実のあるヤドリギを見つけてやるぜぇ!!」
 と燃える十太(b17365)を頼もしく思う。
 小学4年と高校2年という年の差カップルな2人もすでに恋人同士なのだが、やはりジンクスを達成したいようであった。


 そんなほのぼのしたカップルばかりがこのイベント参加者ではない。妨害者という、恐るべき者たちも参加しているのだ。
「邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に堕ちろぉぉっ!!」
 妨害者を排除するため立ち回る千歳(b03239)の勇姿。
「凛々しい……、ではなくて、彼らは無視して宿り木を探そう?」
 そんな千歳に見惚れる蒼(b04274)は気を取り直し、妨害者の排除は応援組に任せて宿り木を目指す。
「これで妨害に見つかってもまさかカップルだと思われないだろう! 完璧!」
 サンタの格好をした優(b12514)は、高らかに笑う。
「いやいや目立つ! 確かにカップルには見えないだろうけどさ!」
 優に説明されてトナカイの格好をした馨(b06722)は、それに思わず突っ込んでしまう。
 確かに、そんな格好では、宿り木を探すカップルには見えない。
 手を替え品を替え、繰り出される妨害にもめげずカップルたちは宿り木を見つけ出す。
「愛を成就させたいなら、僕を捕まえてごらーん!」
 そんな声とともに、宿り木が移動を始める。移動させるのは玲樹(b00256)だ。
(「せっかくだから、試練を乗り越えてもらうよ。……僕の試練によってカップルが沢山成立したら、試練を与えた僕はもっと幸せになれる気もするしね」)
 何しろ彼は、去年妨害側で参加したという戦歴の持主。周囲の地形把握も完璧。追う恋人たちを撒き、宿り木を抱いて走る。
 そんな彼の前に、ひとつの影が滑り出る。
「もう逃がさないよ!」
 背後からも声がかかる。
 玲樹を止めたのは、頼人(b01073)と來夢(b18608)の2人だった。彼らは、それぞれインラインスケートを装着している。さらに、学園内の樹木の種類と位置、それらを結ぶ最短コースも把握済みという強者カップルでもあった。
 2人は玲樹の祝福を受けながら、愛を確認しあい、キスを交わす。
 妨害は、そんなものだけでもない。
「わー凄いー! 手が込んでるんですねー」
 妨害者たちの労作、最悪なデコレーションの数々を前に、霞彗(b00475)は笑顔を浮かべる。さらに、様々な毒電波や邪念を受けながら彼女は、
「今度ちゃんとしたの渡すけど……受け取って下さい」
 とミラノ(b28438)に手作りクッキーを渡す。
「ありがと……嬉しい……」
 その気持ちが嬉しくて、ミラノは思わず彼女を抱きしめてしまう。
「キス、してもいい……?」
 抱きしめたまま、赤く染まった彼女の耳に言葉を滑り込ませる。
「えと……大好き、だから……!」
 小声での返事に、ミラノは霞彗と口付けを交わす。
 来年もずっと一緒にいられるように。そんな思いが込められた口付けに、妨害者たちは歯軋りする。
 そのように妨害する者たちもいれば、それを阻止する者もいる。
 ヤマト(b03463)は見つけ出した宿り木の場所に絶句する。
 人通りの多い校舎前にぶら下げられた宿り木。しかも木の影では、にやにやとこちらを見つめる男が一人。
 その人影さえなければ、先輩大好きと抱きついていただろう焦行(b10040)も戸惑いを隠せない。その時、2人の救いとなる一つの言葉とともに飛来したパイが、男を撃沈する。
 パイを投げた主、ヤマトの妹の祝福を受けながら、2人は口付けを交わす。
 そんな兄思いな妹を持つ者もいるが、試練を与える友人や応援してくれる友人を持つ者もいる。
「悪いカップルはいねがぁぁぁ!」
 なまはげ仮面+装束+巨大包丁という仮装の少女は、楽しそうに友人カップルを追いつめる。
「七津さん、守って下さいね♪」
 追われる菊乃(b15036)は森羅(b00630)にピコピコハンマーを渡す。
「ここが地獄の一丁目。わしの罠、潜り抜けられるかな?」
 もう一人の友人までもが、彼らの前に立ちはだかる。森羅は2人をピコピコハンマーで迎え撃つ。勿論、退治後2人は、友人たちの祝福の中、愛を確かめあうことができた。
 同じく妨害者たちを前にした双(b19515)とベルナデッド(b19514)は、2人で声を合わせてある者を呼ぶ。
「助けてー! スカルそーらーーい!!」
 2人に呼び出されたスカルそーらいこと大樹(b19768)は、スカルサムライ柄のヒーローお面と白無垢の着物、花束、赤いマフラーと傘で変装し、妨害者の前に立ちはだかる。
「不埒者共め! 恥を知れぃ! 貴様らは馬に代わってこの私が蹴りたぐってくれる!」
 両手と傘を広げ、彼は恋人たちを守る盾となる。
 勿論その犠牲は無駄にされることはない。
 2人は宿り木の下で、平和の内に愛を確かめあうことができた。
「あったー! 野生の勘も侮れないだろ」
 得意になって宿り木の下に駆け込む全の後を快斗は追う。
「全。お前のことが本気で好きなんだって。……ずっと前からな」
 そして快斗は、そっと抱きしめた全に思いを告げる。
(「えーと? これって告白されてるんだよな? いや、僕だってそこまで鈍感では……いや、でも何で快斗が僕に告白? ……をぶ? って! え? そう言うこと!? そう言うことなのか!?」)
 混乱しながらも全は、
「これから、よろしくお願いいたします……」
 と告白を受け入れる。愛の証の宿り木の実を手に入れた快斗は、
「これからも傍にいてくれな」
 と全を抱きしめたまま囁く。
 そんな2人を複数の視線が見守る。その視線の主は、遼(b03318)と燎(b28626)、幸姫(b26551)の3人だった。
「この瞬間を写メに〜♪」
「あ〜、快斗くんがゆーたんを抱きしめて……わ、キスシーンゲ〜ット♪」
 写メールとデジカメでキスシーンを撮影する遼と幸姫を見つめつつ、
「……二人ともぬるいです。ここはやっぱりビデオで上映会行き決定でしょう?」
 燎は笑顔でビデオカメラを回し続ける。
 宝探しをしませんか? シャルローネ(b29706)を誘う時、奏真(b29751)はそんな言葉を口にした。
 奏真にお姫様抱っこをされるシャルローネが導くまま、彼らは宿り木のもとに辿り着く。
 だが、そんな彼らの前に立ちはだかる影が二つ。
「名付けて『愛の魔弾』! 存分に食らいなさいッ!!」
 綺砂(b04456)が温水入り水風船をシャルローネにぶつける。
 当たって割れた水風船がシャルローネが身に纏う衣服を濡らし、体のラインを露にする。さらに朝喜(b03899)が、ゾンビやら蟲を模したぬいぐるみを大量に投げつける。
「きゃっ!」
 透けた衣服でシャルローネが、奏真に抱きつく。
「さぁ、往け! 往くのだ!」
 そんな言葉に煽られた訳ではないだろうが、奏真は、
「……私と付き合って頂けますか?」
 とシャルローネに問いかける。それにシャルローネは、
「はい、喜んで……」
 と応える。そして2人はジンクス通り、宿り木の下でキスをする。
「『宝』を発見しました」
 奏真は笑顔とともに、シャルローネにそんな言葉を告げた。


 学園内を彷徨う者たちの前に、求めるものは姿を現すようだ。
 その下で蒼は千歳に向かう。
「貴方が僕にとって、唯一人の特別な人だから、改めて言います、好きです、僕と付き合って下さい」
「うん、良いよっ」
 目を閉じてキスを待つ千歳は、蒼の唇が額に落とされたことに不満げに唸る。不満げな顔のまま、きょとんとして千歳を見つめる彼の唇に唇を重ねる。長いキスの後、千歳は蒼を見上げつつ、
「高城君の事は蒼君って呼ぶから、あたしの事は名前かちーちゃんって呼んでねっ」
 と告げる。
「はい、改めて宜しく、千と……ちーちゃん」
 蒼は真っ赤になって千歳を呼んだ。
「あ、あれかな! あの木だよまーくん!」
 駆け出す春菜を追う雅紀は、辺りに妨害者がいないことを確認しながら向かい合って宿り木の下に立つ。
「今年の夏はとっても素敵な瞬間だった……それとね? 今も、とっても素敵」
 そう告げた春菜は、積極的に雅紀の唇を奪う。
「大好きだよ、まーくん」
 抱きつく春菜を抱き返しつつ雅紀は、
「ああ、俺も大好きだよ」
 と、この時が永遠に続くことを願いながら応えた。
 そして、新たなカップルが宿り木の下に辿り着く。だが優は、辿り着いた先を考えていなかった。
「どーする俺!?」
 と呟き、用意したカードを馨に引かせる。
「鱚? 何で魚の名前があんの!?」
「よし! 夕飯は鱚だ!」
 と帰りながら、隙を見て馨にキスをする。真っ赤な優の顔を見つめる馨は、
「優、可愛い」
 と言いながら抱きしめる。照れ隠しのチョップを受けながらも、馨は楽しそうに笑う。
「ね……結婚式ごっこ、してみません?」
 宿り木の下で真理(b29620)は、葵(b27583)の顔を見上げる。
「いいですよ」
 2人は宿り木が吊るされた木を聖堂に見立て、その前で神聖な誓いを交わすために向かい合う。視線と指先を絡み合わせ、紡がれる誓い。
「俺、覚羅葵は……俺の全てで相馬真理を選び、護り、傍にあり、愛し続ける事を……ここに誓います」
「私……相馬真理は、これから先も……ずっと。覚羅葵くんを……見守り、支え、共に歩んで……愛し続けて、いくことを。ここに……誓います」
 たどたどしい愛の誓いの後に交わされる、ぎこちないキス。
 彼らの手には誓いのリングならぬ、真珠色の木の実が残される。
 結那(b01482)は楽しそうに宿り木探しをする太郎(b01914)に視線を送る。
 今日のこの日に宿り木探しというと、一つの結果しか導かれない。
 あたりに邪魔者の姿はない。
「最近、お前のことばかり考えていた。こんな気持ちになることがなくて、最初は分からなかった。でも今なら言える──」
 太郎が結那を見つめ紡ごうとした言葉は、彼女に遮られる。
「……永遠の愛が、とかいう噂があるのよね? でも、続きがあるのよね、これ──」
 続いて告げられた内容に太郎は驚く。ジンクスを成就の詳細を知らなかったため狼狽しながらも、彼は胸に抱く思いをまっすぐに伝える。
「後悔しても知らないわよ? ……でも、ありがと」
「後悔なんかしません」
 そうして2人の姿は一つに溶ける。
「わーーっ! 見つかったね! やったね」
 和沙(b23529)は見つけ出した宿り木を指差し、傍らの英二(b03622)を見上げる。
「ジンクスを信じてない訳じゃないけど、例えそれが無くたってずっと一緒に幸せになろうね」
 愛しげな眼差しを向けながらの英二の言葉に、
「うん、そうだね。なくたってボクたちずっと一緒にいようね」
 と応えた和沙は、目を閉じて上を向く。キスのあと抱きしめられ和沙は、耳元で囁かれた英二の言葉に2人でいる幸せを噛み締める。
「……前回は貴方から言って貰ったので、今回は私から言いますわ。……これからも愛し合ってくれますか?」
 蒼姫(b06044)は身長の関係上、凶司(b08812)を見上げて愛の言葉を告げる。
 その言葉に真っ赤になりながらも、
「ああ、勿論だ」
 と凶司は応える。その応えに首筋に飛びつくようにしながら、蒼姫から凶司へキスする。
「……今晩だけで良いですから凶司って呼ばせて下さいね♪」
 照れながら腕に縋り付き、そんなおねだりをする蒼姫に、凶司は了承の意味もかねた口付けを自分から返した。
(「去年もこの宿り木の下に来たのですよね……。あれから色々ありましたけど、また二人でここに来ることが出来て……。とても幸せなのです。クレアさんも幸せですか……?」)
 初雪(b02901)は、傍らのシンクレア(b03363)のを見つめ、そんなことを思う。
 2人は、応援班から連絡があった場所にぶら下がる宿り木の下に潜り込む。
「去年から今まで色々あったケド、一緒に居れて凄く幸せデスヨ? 凄く感謝してる、うん」
「クレアさん、キスしても……いいですか?」
 勇気を出し、シンクレアにそう尋ねた初雪は、返事の変わりに瞼を下ろした彼女の唇にキスをする。去年よりも背伸びした、大人のキスを初雪から受けたシンクレアは、
「でも私は欲張りだから、来年はもっと今以上。これ以上にしようね! お互いもっとパワーアップ!」
 と告げるなり彼を抱きしめ、再びキスを返した。


 宿り木の実は残り少なくなっている。
 その下に類と瑠流衣は素早く潜り込む。そして、手を繋ぎあい、見つめあったまま、告白の言葉が紡がれる。
「瑠流衣、好きだ。これからも一緒にいてくれるか?」
 真剣な眼差しの前で瑠流衣は目を閉じ、小さな顔を仰向ける。
 柔らかに触れて離れる温かな唇。
「これよかったら受け取って欲しいな」
 頬を赤らめ、瑠流衣は用意してきた手作りケーキを類に渡す。それを受け取った類は、再び瑠流衣と口付けを交わす。
「り、莉那ちゃん!! 愛してるぜ!」
 白い実を見上げ、次いで莉那を見つめ、十太は2度目の告白をする。
「嬉しいにゃ……えとえと莉那ちゃんも十太くんのこと……」
 続く言葉が見つけられず、莉那は小さな体で十太に抱きつく。
「それでその……キキキ、キスしても……いいかな?」
 十太は、こくりと頷く莉那に腰をかがめてキスを送る。
「いつかきっと十太くんにお似合いなステキな女性になるにゃ」
 小さく紡がれた莉那の宣言に、十太は幸福感に包まれたまま、再び触れるだけの口付けを送った。
 彼らに次いで年の差カップルな真誇(b25744)とレイナ(b17410)も、宿り木を求めて学園内を彷徨う。
 手を繋ぎ、寄り添いあう彼らの前に、ほどなく宿り木が神秘的な姿を現す。
 レイナは真誇の手を引き、宿り木の下に身を滑り込ませ、大人びた顔で彼を見上げる。
 触れればわかるほどに熱くなった頬を意識しながら、
「……大好き。あなたと出会えたから、私はこんなにも幸せになれた……。……これからもずっと……傍に居させて」
 と、高鳴る胸のままに思いを告げる。
「……ん、大好きだよ……」
 優しく微笑む真誇は、レイナの華奢な頤に手を添え、その仕種と同じ優しさを持った口付けを落とした。
 彼らのように告白する者たちは後を絶たない。
「俺は暦のことが好きだ……これからも俺の傍にいてほしい」
「……はい、私も大好きですわ。これからも、ずっとお傍にいさせてくださいませ……」
 暦は返事をしながら鳴海に抱きつく。柔らかな感触に石化しつつ、鳴海は目を瞑る暦に口付けする。
「大好き……ですぅ……」
 終わった後、暦は再び鳴海に抱きついた。
「……折角だから、探してるやつに教えてやろうか」
 応援のつもりで参加した敬介(b06020)は、宿り木を前に呟く。
「……まぁ、こんなん迷信に過ぎないけどな」
 去年愛を告げあった者と別れたことを思い出し、しんみりする敬介の前に、一緒に恋人たちを応援しようと誘ってきたアスカ(b19560)が真剣な顔で立つ。
「伝説と俺、どっちを信じる?」
「?」
 その言葉の意図が読めずに見上げる敬介に、アスカは胸の内を告げる。
「ずっと好きだったんだ。これからは恋人として傍に居て欲しい。駄目、かな?」
 その言葉に、敬介は思わず涙を零す。それに、慌てるアスカに敬介は笑顔を向け、
「悪い、ちょっと……嬉しくて……」
 と告白を受ける。
 少し塩辛いキスは、彼らの永遠の思い出となるだろう。


 もう、日も暗く陰り始めている。
 連絡が入った場所に向かっても、すでに移動させられた後でなかなか辿り着けない。
「あ……」
 諦めかけた雅の目に、こんもりした茂みと白い実が映る。焔華をその下に招き入れ、今日のイベントの意味を知らない彼女に説明を始める。説明を終えた雅は、
「……だから探したかった、お前と。もし見つからなかったら諦めるつもりだった。だけど……」
 と強く焔華を抱き寄せ、
「好きだ、焔華。お前の事が……お前で無ければダメなんだ」
 と思いを告げる。
「ほ……本当に私で、いいの……?」
 真剣な眼差しにその言葉が真実であることを知った焔華は、目を閉じる。
 抱き合う2人の鼓動と体温が、一つに溶け合う。
 そして、イルミネーションが灯る。
 イルミネーションが灯る中、セツナときさらは見つめあい、愛の言葉を交わしあう。
 弘明(b17491)と綾(b00164)も、恋人たちの応援をしつくした達成感と幸福感を胸に肩を寄せあう。
「今年も無事に終わったね」
 恋人たちに簡単なクイズを出して愛を確かめあわせた龍麻(b04047)も笑顔を浮かべる。
 辺りには、幸せな恋人たちの姿で溢れる。
 ある者は肩を寄せあい、ある者はキスを交わしあう。
 そうして幸せなイヴの夜は、はらはらと散る雪の中で静かに更けて行くのであった。


マスター:縞させら 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:61人
作成日:2007/12/24
得票数:楽しい1  ハートフル3  ロマンティック29 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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