狂鬼動乱〜BreAKDown InnoCEnCe


<オープニング>


「みんな、集まってくれてアリガト。……ねぇ、今日アタシがアナタ達を呼んだ理由……もう、気付いてるわよね……?」
 ゆっくり、まるで覚悟を確認するかのように紡がれる久慈・久司(高校生運命予報士・bn0090)の言葉に、集まった能力者達は皆、肯定を示した。
「そう……」
 それを確認し、久司が依頼の内容を告げる。
「地方都市で起きたあの事件……メガリスの奪取に失敗しちゃったの。詳しいことは報告書に目を通してもらうことになるんだけど、実は既に、メガリスを使った儀式が行われちゃってるみたいなの……!」
 それが原因となり、町の人々はとてつもない恐慌に襲われ、至る所に発生したゴーストに魂の一部を奪われるという結果となっている。
「このまま放置しておいたら、事はどんどん大きくなっちゃうの! だからお願い! みんな止めて!」
 
 現れたゴーストは、地縛霊。
 それは、いつか見たことのある──そう、鬼。
「現場は、住宅街裏手にあるグラウンド。用具置き場付近で発生した鬼は、近くにいた人々に死よりも辛い責め苦を味わわせながら、徐々にそこから離れようとしているわ」
 駆けつければ、おそらくまだグラウンド内で迎え撃つことができるだろう。
「みんなも知ってると思うけど、この鬼の攻撃力は半端じゃないワ。直接殴ってくることしかないけれど、その剛腕こそが、最大最凶の武器なの」
 正面から渾身の一撃をくらえば、体力に自信のある者とて、立っていることができるかどうか怪しいところだ。勿論、体躯に比例して体力も半端なものではない。
「それと、戦いになれば、1メートル半くらいの身長の小鬼が3体、鬼の持つ特殊空間から現れるワ。力は大鬼には遠く及ばないけど、連携をとってくることもあるし、刃物のような切れ味を持つ爪には麻痺毒があるワ」
 ちょろちょろすばしっこい小鬼は、大鬼同様に直接の攻撃しかしてこない。しかし、隙を見せれば忽ち背後に回り込まれてしまうだろう。
「当然だけど、会話は一切成立しないワ……とにかく、真っ正面から倒すしかないの」
 
 ひととおりの話を終えた久司は、椅子に深く掛けると顎の下で指を組んで能力者達を真っ直ぐ見つめた。
 そして、少し低い声で言った。
「生きた人間を利用して、ゴーストを作り出すなんて……。そんな常軌を逸した悪魔の所業、絶対に許すわけにはいかないの……! お願い、止められるのは、アナタ達だけ……アナタ達の手で、人々を苦しみから解放してあげて……!」
 震えるその声は、哀しみ、怒り、不安……色々なものが混ざり合っているかのようだった。

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参加者
月宮・友梨(スペードの巫医・b00504)
天浦・雨禅(リベラリズム・b03384)
綾之瀬・キッカ(エンジェルマヌーヴァ・b05633)
大庭・香奈子(高校生牙道忍者・b06760)
加賀宮・蒼介(黒白の戯作師・b07536)
新庄・直衛(終局爆連荘・b18959)
立見・鑑三郎(竜驤麟振・b21872)
雪白・ハクヤ(マシュマロ雪狼・b22971)
シグナス・ホーネット(紅蓮の獣・b25464)
野口・すぐり(泣き喚こうが殴るのを止めない・b28325)



<リプレイ>

●崩壊の足音
 人が、倒れていた。
「おいっ! 大丈夫か!?」
 呼べども、揺すれども、反応は返ってこない。
 いや……返せないのだろう。
 能力者達の駆けつけた、広いグラウンドの片隅で、或る者は白目を剥き、或る者は地面を掻きむしり。
 皆一様に苦悶の表情を浮かべ、ただ呻き声をあげ続ける。
 それは、メガリスの破壊によってあらわれた、この世の地獄。
「……何の罪もない人たちを巻き込んで……」
 灰色の瞳に涙を浮かべ、綾之瀬・キッカ(エンジェルマヌーヴァ・b05633)が怒りに震える声で呟く。
 対し、加賀宮・蒼介(黒白の戯作師・b07536)は、手にした扇を弄びつつ飄々とした態度をとっていた。
「町をまるごと生贄になぁ。大掛かりやけど、なかなか効率的やで。……せやけど、そういう大風呂敷を破いて散らすのもまた一興」
 そう言って、彼が扇越しに視線を向けたのは、グラウンドの中央付近。
 そこには、地獄に相応しく……とでも言うべきだろうか。
 頭から角のようなものを生やした、巨躯の地縛霊……鬼が、居た。
「う〜ん……なかなか手強そうッスね〜」
「ふむ、これはたしかに厳しい戦いになりそうだな……」
 しかし誰かがやらなくてはならないのだと、強く拳を握り締めて気合を入れる大庭・香奈子(高校生牙道忍者・b06760)。そして顎に手を当て低く唸る、新庄・直衛(終局爆連荘・b18959)。
「つーか、こんな真似しやがって頭おかしいんじゃねーの! ちくしょうっ、ここの鬼だけでもぜってーにぶッ倒してやる!」
 眉間に深い皺を寄せ、雪白・ハクヤ(マシュマロ雪狼・b22971)が怒りを露わに叫ぶ。
「何があっても倒さなくちゃいけない敵っているンですよネ。そう、今オレの目の前に居る、鬼サンとやらのコト!」
 シグナス・ホーネット(紅蓮の獣・b25464)は静かな口調で話しながら、イグニッションカードに手をかけた。そして、高く掲げると同時に叫んだ。
「Come on! Play with me!」
 イグニッション!
 重なる、仲間達の声。
「命がけの鬼ごっこ、はじめようか!」
 詠唱兵器に身を包んだ10人の能力者達は、覚悟を決め、一斉に鬼へと攻め入っていった。

●悪意の咆吼
 日本刀『宗三左文字』を握り締め、立見・鑑三郎(竜驤麟振・b21872)が大鬼の前へ立つ。その隣には、シグナスガ並ぶ。
 彼らの役目は、仲間達が小鬼を始末するまでの間、大鬼の脅威が他に及ばぬように堪えること。剣を旋回させ、獣のオーラを纏い、己の力を高める。
「……これで少しは攻撃を凌げるでしょうか…あとはお任せください、サポートは必ず……!」
 その上から、キッカの幻夢のバリアが被せられ、ふたりは大鬼と対抗するための更なる力を得ることができた。
 直衛は、いざという時に小鬼班へも手を貸せるようにと、ゲン担ぎの『商売繁盛の御守り』を握り締め、大鬼小鬼班のほぼ中央へ立った。
 一方小鬼にも、大鬼や他の小鬼との連携をとられないようにと、1体に最低1人のマークが付く。
「ここまでクソッタレな事をやらかしてくれたなら、最早問答無用よ」
 吐き捨てるように言いながら、野口・すぐり(泣き喚こうが殴るのを止めない・b28325)は一番手前にいた小鬼へ龍顎拳を叩き込んだ。
『ギィィーー!』
 小鬼は仰け反り、甲高い悲鳴をあげたが、すぐに体勢を立て直してその長く鋭い爪ですぐりの左腕を引き裂いた。
「……ッ!」
 幸い掠っただけにとどめたものの、それでも、彼女の腕には生々しい3本の引っ掻き傷ができてしまった。
 別な小鬼と対峙した香奈子は、心を無にし、己の気の力を高めていた。そこに、小鬼の爪が容赦なく襲いかかる。それを、ぎりぎりのところでかわす香奈子。
 まず自分に白燐蟲を纏わせた天浦・雨禅(リベラリズム・b03384)は、次にすぐりへと駆け寄り、腕の傷を癒しつつ、彼女の武器へ力を与えた。
 仲間全員が視界に入り、尚かつ舞の恩恵を与えられる場所へと移動した月宮・友梨(スペードの巫医・b00504)が、銀色の鈴を鳴らしてリズムを取り、それに合わせるようにして蒼介も、仲間のサポートに最適な位置に立つ。
「てめーの相手は俺だ、来やがれ!」
 ハクヤの持つハンマー、ケルベロスが、唸りを上げて小鬼の脳天へと落とされる。
『ギィィッ!』
「……ッこのっ!」
 殴打された小鬼は、反撃とばかりに、ハクヤの腹へ爪を深々突き刺してきた。痛みとともに麻痺毒が回り、膝が崩れ落ちそうになる。それを見た直衛が、リフレクトコアの力で高められた治癒の力を即座に飛ばす。
「サンキュ……!」
 痺れは流石に抜けぬものの、どうにか傷の痛みから解放されたハクヤは、小さく手をあげて礼をした。
『オォォォーーーーーーン!!』
 大鬼の腕が、鑑三郎の頭上へと振り下ろされる。
「ぐ……」
 両腕を交差させて受け止めるも、その耳には骨の軋む厭な音が内側から響いてくる。
「カンザブローサン!」
 シグナスは鑑三郎に合図を送ると、退く彼に代わって、今度は自分が大鬼の目前に立った。退いてきた鑑三郎には、キッカがすぐに治癒を施す。
 すぐりの拳が、小鬼の顔面に叩き込まれる。その拳に突き刺さる、小鬼の爪。
 一方香奈子も、小鬼の爪に深く脇腹を抉られていたが、幸い麻痺からは早々に立ち直ることができ、反撃の獣撃拳をお見舞いした。
「うりゃ、うりゃ、うりゃ〜!」
『ギィーーィ!』
 かなり堪えたのか、小鬼の体が大きく傾ぐ。
「癒者の誇りにかけて……守ってみせる!」
 友梨の舞いが、ハクヤとすぐりの麻痺を退け、傷を癒す。
「この戦いは、ショッピングセンターに向かった人達の手助けでもあるのよ!」
 香奈子の前に立つ小鬼が、あと一撃で倒せるとふんだ雨禅は、すぐりの抑える小鬼も巻き込むようにしてナイトメアを疾走させた。
『ギィィーー……』
 小鬼が一体、轢かれ、消えた。
「さくさくっと永眠させたるさかい、抵抗すんなやぁ?」
 蒼助の飛ばした水刃手裏剣が、すぐりの頬すれすれを飛んで小鬼の額へと突き刺さる。
『ギッ……』
『ギギッ!』
「させるかぁ!」
 ハクヤの前にいた小鬼が、もう一体と同時にすぐりに襲いかかろうとする。しかし彼はそれよりも早く小鬼の前に立ちふさがり、重いハンマーの一撃をくらわせた。
 連携をとってくる小鬼を分断してしまうという作戦は、どうやら、功を奏しているようだ。

 その頃大鬼班は、キッカと直衛がフル回転で前衛のふたりを支えていた。
「立見さん、ホーネットさん! 私と新庄さんがお支えしています、もう少し、頑張ってください……!」
 キッカの言葉に力強く頷き、壁のように立ちはだかる鑑三郎とシグナス。他の仲間に最悪の一撃が及ばないよう、我が身を盾とし、一撃でも食らったらすぐに下がって治癒を受ける。
 鬼の豪腕が振るわれるたび、彼らの視界は赤く染まり、ところどころの骨が軋みをあげた。それでも、いまだ倒れずいられるのは、支えてくれている仲間の力があったから。
 そして……。
(「無理は禁物……オレには大切なヒトがいるンだし、ネ」)
(「彼女の仇を討つまでは、倒れるわけにはいかん……!」)
 心の奥底にもまた、彼らを支える存在が、あった。

 そして小鬼班は、そんな彼らに小鬼が襲いかからぬよう、そして少しでも早く合流できるよう、小鬼の動きを封じながら着々と事を進めていた。
「大鬼の方へは行かせないわよ!」
 小鬼の前に立ち塞がりつつ、雨禅がすぐりに白燐蟲の力を与える。威力を増したすぐりの龍顎拳は、2体目の子鬼を遂にこの世から消し去った。
 残る小鬼は、ハクヤと対峙する1体のみ。
「あたたたたっ!!」
 香奈子が、小鬼の背に武術短棍の追撃を叩き込み、あわせて蒼介の手裏剣が延髄へ突き刺さる。
「ナイス大場、加賀宮! ……こいつでとどめだ!」
『ギィーーーーー!』
 振り下ろされたハクヤのハンマーが、遂に最後の小鬼を黄泉へと戻した。
「子鬼片付いたぜ!」
「さあ、大鬼もとっとと倒して、ヒヒ爺を詫び入れさせるまでぶん殴りに行くわよ!」
 邪魔者を片付け終えて意気上がる能力者達は、その身に受けた傷を癒すと、大鬼を抑える4人へと急ぎ合流した。

 ここからが、いよいよ本当の鬼退治。

●血染めの土
「最ッ高にCoolな仲間が居るンだ、クソッタレGhost風情に負けるかよッ」
 まるで100万の味方を得たかのように、シグナスが笑い、アームブレード『Scarlet Inferno』で大鬼の腹を切り裂く。
『オォーーーーーーーーン!』
 大鬼は怒り、哮り、まるで鍬のような爪でシグナスの前身を引き裂いた。
 乾燥していたグラウンドの土に、新たな赤黒い血溜まりができる。
「大丈夫です、私が直ぐに……!」
 キッカの素早い治癒により、どうにかその場に踏み止まることのできたシグナスだが、ここまで蓄積されてきたダメージは、けっして少なくはなかった。
「こないなデカブツ相手じゃ、気休め程度にしかならんなぁ」
 苦笑いを浮かべながら治癒符を投げる蒼介だが、その気休めが、今はとても頼もしい。
 香奈子とハクヤが左右に回り込み、すぐりは大鬼の退路を塞ぐ。
 やや後方から、雨禅の呼び出したナイトメアが走ってくる。今しかないと見た直衛は、リーチ棒にも似た錫杖を鳴らし、光の槍で大鬼の眉間を貫いた。
『オ、オォーーー!』
 しかし大鬼の剛力は一向に衰えず、突き出された腕は鑑三郎の肋を纏めて数本叩き砕いた。
「カッ、は……」
 喉の奥から血が込み上げ、呼吸が一瞬止まりかける。
「彼方の魂よ、今一度現世へ来たりて我らに力を」
 友梨が祖霊を呼び寄せ、鑑三郎の傷を癒すが、それでもやっと傷口が塞がる程度。キッカと雨禅、ふたりがかりの奏甲で、漸く彼は人心地つくことができた。
 ───が、大鬼の脅威は、まだ続いていた。
「え……っ!?」
「大場さん!」
 振り下ろされた大鬼の拳が、香奈子の頭をグラウンドにめり込ませる。
 ごきゅりと厭な音がして、流れ出る血が土に滲みる。
「おいっ! 大丈夫か!?」
「だ、大丈夫ッス……」
 土と血にまみれながらも、どうにか立ち上がろうとする香奈子。だが、頭部への打撃は、彼女にひどい吐き気と眩暈をもたらした。
「こんな所でこれ以上の被害は出させてやるものか……!」
 倒れた香奈子と大鬼の間に、すぐりが割って入る。
「無理はしないで、あとは僕達に任せて!」
 友梨はその隙に香奈子へと駆け寄ると、彼女に顔の汚れを拭うようにストールを巻きつけ、そのまま抱き上げて前列から避難させた。
「能無し馬鹿力のくせに、やってくれるじゃないの……!」
 雨禅は奥歯をギリッと噛み締めると、大鬼へ向けてナイトメアを疾走させた。

 戦いは、長引いた。
 叩いても叩いても、なお底の見えない大鬼の体力。やや守備的な布陣だったこともあってか、能力者達はなかなか決定打を出せずにいた。しかし、これだけの回復手段をもってしても、すべての傷をいやしきれていないのが現状でもある。
『オォォーーーーー!!』
「────!」
 大鬼の爪が、シグナスを下から上へ切り裂いた。
(「大切なヒトが……オレを……」)
 彼の意識は一瞬途絶えた、が、その強い想いの賜物か、既に限界を超えた身体で、シグナスはどうにか立ち上がった。
「ホーネットさん! こちらへ……!」
 キッカが駆け寄り、彼に白燐奏甲での癒しを施す。直衛も、治癒符を使いそれに続く。
 更に友梨が最後の祖霊の力を使い、どうにか全快近くまでたてなおした。
「ちっきしょう!」
 ハクヤの振り下ろしたハンマーを、片手であっさり払い除ける大鬼。その伸ばされた腕に、今度は蒼助が手裏剣を飛ばすが、それでも掠り傷程度しかつけることができない。
「その骨、砕いてやるわ……!」
 すぐりの拳が、大鬼の胸元に叩き込まれる。
『グ、オォーーー!』
 大鬼は一瞬蹌踉めいた。しかし次の瞬間、高く振り上げられた両腕が、彼女の背を殴りつけていた。
「ぐ、っ……」
 不自然に反る背中。
 致命傷であることは、誰の目にも明らかだった。
「ごめんなさい、引きずるよ!」
 とにかく退かせることが先決と、完全に意識を失っているすぐりの足を友梨がどうにか掴み、大鬼の真正面から引きずり離す。
「ぼくが前線でシバキ合いするような状況になったら、全滅間近かもやでぇ?」
 相変わらず飄々と言ってのける蒼介だが、もしこれ以上の犠牲が出たのなら、本当にそうしなくてはならないだろう。
「そんな笑えない冗談やめてちょうだい!」
「ああ! もうこれ以上なんてさせねえぜ!」
 雨禅がハクヤのハンマーに白燐蟲の力を与え、威力を増したそれは漆黒のオーラを纏い鬼の片腕をへし折った。
『ォ……オォーーーーー!!』
 吼える大鬼の喉元を、シグナスの腕に付けられた紅蓮の牙が切り裂いた。間髪入れず、鑑三郎の日本刀も喉を突く。
『オォーーーン!』
 大鬼は暴れ狂い、丸太のような腕を鑑三郎へと振り翳した。だがその腕が殴りつけたのは、血にまみれた地面。
 その隙を、見逃さず───。
「これで終わりだ!」
「鬼らしく、冥府へと引導を渡してやろう!」
 ハクヤと鑑三郎が、同時に攻撃を叩き込む。
 更に雨禅のナイトメアランページ、蒼介の水刃手裏剣が続き、回復を担っていた直衛もここぞとばかりに光の槍を飛ばす。
『ォオォォーーーーーーーーーーーーーーン!』
 今までにない、けたたましい咆吼。
「Get lost、Damned GHOST!」
 断末魔の叫びをあげる大鬼の額に、深く突き刺さるアームブレード。
『──────ォオー……』

 まるで、波がひくように。
 あたりから、恐怖が消え去った。

●救いの眠り
 大鬼が消え去ったとほぼ同時に、苦しみにのたうち回っていた人々は気を失って倒れた。
 いや、気を「失えた」と言った方が正しいだろうか……。
「天使様、ありがとうございます……」
 それを見て、キッカが感謝の祈りを捧げる。
 ともかく、果てなき苦痛から人々を解放することは叶ったようだ。

「さあ、学園へ帰って報告しないと。帰りを待ってる人達がいるしね」
 未だ意識の戻らない香奈子を肩に担ぎ、鑑三郎にからかうような視線を向ける友梨。
 それを聞いたシグナスも、思い当たることがあるのか、何故か頬を赤く染める。
「さてと、手駒を無くしたご老体が次に打つのは、どないな一手やろかねぇ♪」
「それは、まだ分かりませんね」
 蒼介の言葉に頷きながら、今後のためにと、事件のあらましを手帳に記す直衛。その眼鏡が、キラリと鋭い光を放つ。
「ふふふ、その時は全身の骨を砕いてやるわ……!」
 雨禅の腕に支えられていたすぐりが、薄く笑ってぼそりと呟く。
「ああ、その通りだ!」
「そうね、また叩き潰すのみよ!」
 ハクヤ達も、笑いながらその言葉に頷いた。

 そう、まだすべては終わってはいない。
 けれど、ひとつの戦いは終わりを告げた。

 だから帰ろう。
 今は、皆で揃って学園へ戻れることこそが、何よりの幸せなのだから───。


マスター:大神鷹緒 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2008/03/05
得票数:カッコいい25  知的2 
冒険結果:成功!
重傷者:大庭・香奈子(高校生牙道忍者・b06760)  野口・すぐり(泣き喚こうが殴るのを止めない・b28325) 
死亡者:なし
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