占いの館


<オープニング>


●占い
 かつて占いの館と呼ばれた洋館がある。
 その日にやるべき事は、すべて占い任せ。
 占星術、四柱推命、風水、タロット、水晶、星座、血液、ゲタ等々。
 占いこそが人生を示す道標であり、幸せの扉を開くための鍵。
 だが、その館の主は何故か地縛霊と化していた。

「みんな、集まったな。それじゃ、話を始めるか」
 運命予報士、王子・団十郎(高校生運命予報士・bn0019)。
 今回の依頼は彼の口から語られる。

 かつて占いの館と呼ばれた場所で、主の地縛霊が確認された。
 この地縛霊は開運グッズ(招き猫の半纏、蛇革のズボン、四つ葉のクローバーシャツ)を身に着けており、誰も自分の事を傷つける事が出来ないと思い込んでいる。
 もちろん、開運グッズを身につけただけで、すべての攻撃を防げるはずがない。
 本当は単なる気休めでしかないのだが、地縛霊は開運グッズに凄まじいパワーが秘められていると思っている。
 だからどんなに苦戦したとしても、占いの結果を信じて攻撃を仕掛けてくるようだ。
 例え、その占いがハズレていたとしても、強引に捻じ曲げてしまおうとするからな。
 また、廃墟と化した洋館の中には、リビングデッドと化した家族達が彷徨っている。
 彼女達は占いに固執する余り、自分の意志では何も出来ない。
 そのため、例えお前達に遭遇したとしても、まずは占いを始めてしまう事だろう。
 ただし、確実に当たるわけじゃないから、どんな結果が出たとしても信じないでくれ。

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参加者
天鳴・遊司(凍て蝶の歌屑・b01110)
天皇・藍華(白獣婬戯鬼華・b17830)
斉藤・亮(深淵を抱きし漆黒の翼・b18034)
冴羽・涼子(剣狼・b20895)
木賊・エル(夢に迷いし探索者・b23522)
綾川・鈴(偽りの欠片・b26419)
華月・麗音(黒に咲く白・b33431)
リルジェ・アークレイ(紅のロザリオ・b34826)
アル・アジス(魔を断つ者・b35583)
レイシン・リコク(青い雨と黒い渦・b35874)
浅風・雲英(光を詠いし銀緑の風・b36115)
浦雪・坤(乾を仰ぐ者・b38037)



<リプレイ>

●占いの館
「占いにとり憑かれ、身を滅ぼすとは、愚か者め。運命とは自らの手で切り開くべきものだ。幸運もまた、自ら努力する者の元に訪れる。もちろん、勝利の女神の微笑みもな! 自らが進むべき道を、開運グッズに頼るなど言語道断。そのようなうつけ者に、負ける妾ではないわ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、アル・アジス(魔を断つ者・b35583)が地縛霊の確認された占いの館にむかう。
 その名の通り占いの館には、ありとあらゆる占いグッズが存在し、建物を建てる際にも大いに役立っていた。
 彼女が調べた限りでは、館の主人は黒魔術や呪術などにも興味を持っており、地下室に専用の部屋まで設けていたらしい。
「行動や目標があってこそ占いの意味があるのに、占いが先で行動やら目標が後では本末転倒だろ。それどころか死後もそれに囚われたまま、地縛霊になっても尚占いに頼るなんて、哀れとしか言いようが無い」
 呆れた様子で溜息をつきながら、レイシン・リコク(青い雨と黒い渦・b35874)がイグニッションをする。
 館の主人は占いによって一日の行動を決めており、そのおかげで頂点まで上り詰める事が出来たらしい。
 だが、たまたま占いをやらず外出して事故に遭ってしまったため、この世に未練を残して地縛霊と化してしまったようである。
「確かに、占いに囚われて振り回されちゃうなんて……、本末転倒だよね。信じるのはいい事だけど、やっぱりこれは間違っているよ……」
 当時の新聞に目を通しながら、浅風・雲英(光を詠いし銀緑の風・b36115)が溜息を漏らす。
 館の主人は偏屈で知られていたようだが、彼が関わっていた事業はそれなりにうまくいっていたらしい。
 しかし、彼が亡くなってから様々な問題が暴露され、かつての仲間達に裏切られるようにして一家は落ちぶれていった。
「……占いって言うのは、良い事は少し喜んで、悪い事は忘れちゃえばいいって、お祖母ちゃんが言っていたっけ。此処の人達も、そういう風に考えれば、良かったのになぁ。そういえば朝のニュースでやっている占いは何位だっけ。……まぁいっか」
 朝のニュースで占いコーナーがあった事を思い出し、天鳴・遊司(凍て蝶の歌屑・b01110)が口を開く。
 ほとんどの場合、占いは当たり外れが大きいため、信じる者の方が少ないのだが、館の主人の場合は複数の占いを併用してやった上で共通点を導き出していたため、的中率が90パーセント以上はあったらしい。
 もちろん、本人がそう思い込んでいただけなので、気がつかないうちに自分の意志で占いを的中させるような行動をしていたのかも知れないが……。
「まぁ、余興として嗜む程度ならともあれ、それによって行動を制限される様では、本末転倒と言われても仕方がない。しかもそれを他人に強要等と、下らんな。それだけ的中率が高かったのかも知れないが、だからと言って強制していい事にはならない。普通は自分の行動は自分で考え、自分で決める物だからな」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、冴羽・涼子(剣狼・b20895)がキッパリと言い放つ。
 例え占いの的中率が100パーセントに近かったとしても、彼の言葉に耳を傾けるつもりはない。
 占いによって得た幸せは自分の力で得た物と比べて脆く、何かのキッカケですべてを失ってしまう危険を孕んでいるからだ。
「占いなんて指針で充分、全てにするなんて間違っているよね☆」
 急激なスピードで占いの館が落ちぶれていった事を知り、木賊・エル(夢に迷いし探索者・b23522)がクスリと笑う。
 館の主人が亡くなった事で、困ったのは家族達であった。
 あまりにも占いに依存し過ぎたせいで、自分達が何をやっていいのか分からなくなってしまったのである。
「占いは嫌いじゃないけど、何もかも見えてしまったら、きっとつまらないと思う。未来は自分でつくるものだから……」
 辺りに人気がない事を確認し、リルジェ・アークレイ(紅のロザリオ・b34826)が館の門に手を掛けた。
 門は酷く錆び付いているためか、ギィィィィィと耳障りな音を立てて開く。
「……私はあまり興味ありませんけど、信じる人はやはり気になるものなのでしょうか? 当の地縛霊も占いに遵って攻撃してくるみたいですが、占いだけをアテにして行動する相手なんかに負けてられません!!」
 茂みを掻き分けるようにして突き進み、綾川・鈴(偽りの欠片・b26419)が占いの館に入っていく。
 占いの館は香の匂いに包まれており、柱時計なども占いに関係した物のようだ。
「……胸糞悪い。占いに接する者として恥ずかしい限りだ。その占い道具、全てぶち壊した上であの世に送り返してやる」
 死人嗅ぎを駆使しながら、浦雪・坤(乾を仰ぐ者・b38037)がゴーストの気配を探る。
 しかし、占いの館全体が異様な空気に包まれているため、一瞬でも気を抜く事が出来なかった。
 例えるなら、いくつもの視線。
 まるで誰かに監視されているかのような感覚が、能力者達の身体を包み込んでいく。
「ひょっとして、僕達がここに来る事も占いに出ていたんでしょうか?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、斉藤・亮(深淵を抱きし漆黒の翼・b18034)が振り返る。
 そこに立っていたのは、リビングデッドと化した家族達。
 能力者達をどう血祭りに上げるか、水晶玉を使って占いを始めている。
 だが、占いの結果が全員異なっていたらしく、リビングデッド達の間で口論が始まった。
「占い自体は悪ぃモンじゃねぇと思うけどよ……、こいつ等って! 何つぅか……実行力つぅか、そーいうのはすげぇよな……! とにかくぶっ倒しちまうか。何だか待っていると日が暮れそうだしさ」
 苦笑いを浮かべながら、華月・麗音(黒に咲く白・b33431)が魔弾の射手を発動させる。
 そのため、リビングデッド達もブツブツと愚痴をこぼしながら、能力者達に攻撃を仕掛けていくのであった。

●リビングデッド
「占いの結果は何て出たんだろうね? この様子じゃ、最悪だったようだけど……」
 含みのある笑みを浮かべながら、天皇・藍華(白獣婬戯鬼華・b17830)が悪夢爆弾を撃ち込んだ。
 それはリビングデッド達にとって耐え難い悪夢。
 しかし、不幸の女神が微笑んでいた執事にとって、眠りの世界に旅立つ事は避けられなかった。
「うひゃあ。ま、また、占いを始めちゃったよ……」
 唖然とした表情を浮かべながら、遊司が頭を抱えて溜息を漏らす。
 リビングデッド達は何かあるたび占いを始め、戦闘どころではなくなっていた。
 その間に能力者達の半数が階段を駆け上がり、館の主人が確認された寝室にむかう。
「……占いを利用するならいざしらず、溺れるか。愚かな奴らだ。先人に跪いて詫びるがいい!」
 リビングデッド達の情けなさに腹を立てながら、坤が容赦なくバレットレインを撃ち込んだ。
 その一撃を食らってリビングデッド達が動揺し、自分達の身に降りかかった不幸を振り払うための方法を占っている。
「リビングデッドとは言え、女性を手にかけるとは気が進みませんが……、致し方ないですね」
 少し寂しそうな表情を浮かべながら、亮がリビングデッドと化したメイドにダークハンドを放つ。
 リビングデッドと化したメイドは、信じられない様子で悲鳴を上げ、呪いの言葉を吐き捨てて崩れ落ちていく。
「化けて出てやるって言っていたけど、もう死んでいるよね、あのメイドさん」
 複雑な心境に陥りながら、藍華がツッコミを入れた。
 どうやらリビングデッド達は占いを何度やっても最悪の結果しか出ないため、まったく身動きが取れなくなっているらしい。
「一気に片付ける……!」
 リフレクトコアを展開しながら、リルジェが光の十字架を炸裂させた。
 本当は彼女達に恋愛運を占ってもらおうと思っていたのだが、あまりにもヘッポコ過ぎるので諦めたようだ。
「動揺しているようね、彼女達……」
 パニックに陥ったリビングデッド達を見つめ、藍華が迷う事なく白燐拡散弾を撃ち込んだ。
 そのため、リビングデッド達は占いどころではなくなり、近くにあった火掻き棒を掴み取る。
 だが、マトモに戦った事がなかったため、能力者達に攻撃が当たるわけがない。
 すぐに火掻き棒が弾き飛ばされ、リビングデッド達に武器が無くなった。
「さあ、ご自慢の占いでこの戦況をひっくり返してみせろ!」
 凍りつくほど冷たい視線を送り、坤がリビングデッドにロケットスマッシュを叩き込む。
 その時、母親の脳裏に過ぎったのは、占いの結果。
 『予想外の衝撃があなたを襲うでしょう』
(「……衝撃って、これなのね」)
 華麗に宙を舞う中、母親の涙がキラリと光る。
 ラッキーアイテムは、未亡人の涙。
 ……いまさらであった。
「力を貸してね。……こ、こっそりだよ」
 自分の白燐蟲にヒソヒソと語りかけ、遊司が白燐奏甲を発動させる。
 それに合わせてリビングデッドと化しか娘が唸り声をあげ、能力者達に捨て身の攻撃を仕掛けてきた。
 今日のラッキーアイテムは、ウツボカヅラ。
 どうして、そんな物がラッキーアイテムなのか分からないが、能力者達に勝つためにはどうしても用意しなければならない。
(「……いちかばちか。試してみる価値はあるわね」)
 すぐさまウツボの剥製を掴み取り、父親の形見であるカツラを被せた。
 多少、強引かも知れないが、運命の女神だって分かってくれるはずだ。
「貫け……!」
 リビングデッドの攻撃をわざと食らい、リルジェが光の槍を炸裂させる。
 その一撃を食らってリビングデッドが腐汁を吐き、肉塊と化して辺りに飛び散った。
「……残念でしたね。最後まで占いを信じていたのに……。それにしても、どうしてウツボの剥製なんて、あったんでしょうか? 本当ならこれで僕達を倒す事が出来たはずなんですよね?」
 不思議そうに首を傾げながら、亮がウツボの剥製を拾い上げる。
 しかし、これが何を意味しているのか、彼らには理解する事が出来なかった……。

●地縛霊
「キミがこの屋敷の主だね。強引に占いを実現させる力があるようだけど、遠慮はしないよっ!」
 開運グッズを身につけた館の主人と対峙しながら、エルが深呼吸をして祖霊降臨を発動させる。
 それに合わせて館の主人が占いを始め、能力者達を見つめてニンマリと笑う。
 次の瞬間、能力者達の身体が凍りつき、まったく身動きが取れなくなった。
「……これが地縛霊の力か。だが、この程度の事で私達は止められない」
 気合いを入れて強引に拘束から逃れ、涼子が旋剣の構えを発動させる。
 そのため、地縛霊が両目をパチクリとさせて彼女を見つめ、今度はコインを使った占いをし始めた。
「それじゃ……、いまのうちにって何ですか、コレ!?」
 両足に絡みついた蔦を引き千切り、鈴が警戒した様子で白燐奏甲を発動させる。
 どうやら地縛霊は占いに集中していると思い込ませ、能力者の隙を突いて攻撃を仕掛けていたらしい。
「なんじゃ、これはー! これのどこが占いなのだっ! 汝など、もう一度死んで出直してくるが良いわー!」
 地縛霊を叱りつけながら、アルが魔弾の射手を発動させる。
 先程から地縛霊は占いよりも、攻撃を優先している節があるため、だんだん腹が立ってきたらしい。
 だが、地縛霊もまったく占いをしていないわけではなく、立て続けに悪い結果が出たせいで途中から攻撃に転じていたようだ。
「……的中率が高過ぎる占いも考え物なのですね」
 納得した様子で地縛霊を見つめ、雲英がリフレクトコアを展開する。
 占いの結果は、完全敗北。
 どのような手段を使っても、勝ち目がないと出たらしい。
 もちろん、地縛霊は納得しておらず、別の占いを試している。
 しかし、結果は同じ。
「くだらない占いから解放してやるよ」
 旋剣の構えを発動させながら、レイシンが一気に間合いを詰めていく。
 そのため、地縛霊が占い用の羅針盤を掲げ、自らの行くべき道を示す。
 そして、羅針盤が導き出した答えは……、あの世!
「いい加減、占いの結果を信じろって! 今までそうしてきたんだろ?」
 鬱陶しそうに地縛霊を睨みつけ、麗音が雷の魔弾を炸裂させる。
 その一撃を食らって地縛霊の動きが止まり、悔しそうに唸り声を響かせた。
「それじゃ、占い対決すンぜ? 『館内最後の地縛霊は俺達によって倒されるでしょう』つぅ結果なんだよ、おらぁ!!」
 辺りに散らばった占い道具を踏み潰し、麗音が地縛霊に炎の魔弾を撃ち込んだ。
 次の瞬間、地縛霊の開運グッズが魔炎に包まれ、辺りに凄まじい悲鳴が響き渡る。
 地縛霊と化した館の主人にとって、占い道具は命そのもの。
 おまけに開運グッズまで破壊されてしまったのだから、溜まったものではない。
「……ボクの占い。今日は友人と協力し合うと成功を引き寄せられるでしょうっ!! ……ボクも負けずに引き寄せる!」
 地縛霊が八つ当たり気味に攻撃を仕掛けてきたため、エルがナイトメアランページを炸裂させる。
 それと同時に地縛霊がバランスを崩し、床に激しくキスをした。
「待たせたな、真打は後から登場するものなのだ! 受けよ! これが汝を滅ぼす魔を断つ刃だ! ライトニング・インパクトォォォッ!!!!」
 インフィニティエアを発動させながら、アルが地縛霊に雷の魔弾を叩き込む。
 そのため、地縛霊がビリビリと痺れ、真っ黒焦げになって動かなくなった。
「占いに翻弄され、家族をも巻き込んだ結末がこれか。……終わってみれば憐れな物だ」
 特殊空間が音を立てて崩壊を始めたため、涼子が地縛霊を見つめて吐き捨てる。
 地縛霊にとって占いは頼るべき存在であったが、最後まで信じる事が出来なかった。
 もちろん、その結果が自らの死を意味していたのだから、信じられなくても仕方がないのだが……。
「それにしても随分おかしな服装だよな。いくら開運グッズって言ったって、あんなの着たくないし……。まぁ、とりあえず占いが無くても迷わず逝けよ」
 地縛霊の冥福を祈りながら、レイシンがなむなむと両手を合わす。
 彼にとって最後の占い結果は最悪なものだったが、これに懲りて考えを改めるかも知れない。
「でも、本当に効果があったんでしょうかね、この開運グッズ……」
 開運グッズをマジマジと見つめ、鈴が不思議そうに首を傾げる。
 どれも胡散臭い通信販売で売っていそうな代物で、とても効果があるとは思えない。
 しかも販売価格がケタ外れに高いため、とても買う気にはならなかった。
「占いの導だけじゃなくて……、自分の力で進まなきゃねっ! どうせなら……こうなる前に、ここに来てみたかったかな。まぁ……あくまでも、最後に信じるのは自分だけどね」
 しみじみとした表情を浮かべながら、雲英が占いの館に別れを告げる。
 こうして能力者達は占いの館に巣くったゴーストを退治し、ホッとした様子で帰路につくのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2008/03/18
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冒険結果:成功!
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