年の離れた恋


<オープニング>


 お金が……欲しかったの。
 遊ぶお金が欲しくて、小さなスナックでお金を持っていそうなオジサンに声を掛けた。
 会社の人には何て言われているかも知っているし、同じような事とかしている子も知ってる。
 オジサンは中年太りをしていて、大きな貿易会社の取締役なんだって言ってた。私にブランド物のバッグを買ってくれたり、美味しい料亭に連れて行ってくれた。
「奥さん、何も言わないの?」
 と聞いたら、とっくに離婚して一人なんだって言ってた。
 そりゃあ当たり前よね、と笑うとオジサンも笑った。
 オジサンは多分、普段はへーこら客に頭下げてるだけの気の弱いエロオヤジなんだと思ってた。
「そいつ、俺の女なんだよ、オッサン……何が言いたいかわかるよな?」
「ちょっと須賀、やめなよ!」
 あたしの制止も聞かず、須賀や仲間の男はオッサンを殴り始めた。
 いつも須賀って奴は怒る時、誰でも殴るんだ。仕事だって、まともに勤めた事がない。家に居るなら居るで家事の一つもしてくれればいいのに、結局あたしが割を食うだけなんだ。
 たまらずあたしが止めたら、あたしも殴った。殴られているのは慣れている、そんなのはかまわない。
 ……するとオッサンが意外な行動を取った。
「有香ちゃん、逃げなさい、逃げなさい!」
「オジサン……」
 単なるエロオヤジだと思っていたオジサンは、何とあたしを庇って殴られていた。あたしはオジサンの手を引っ張って、必死に逃げ出した。
 オジサン、案外いい人なんだね。
「神様……あたし、須賀と別れたいよ」
 小さな神社の賽銭箱に10円玉を賽銭箱に投げ入れ、あたしは手を合わせた。
 すると、鬱々と須賀の事で悩んでいたあたしの耳に、どこからともなく声が聞こえたのだ。
『引きずり込んでやろうか……深い地の底に……』
 須賀と別れたい。こんなあたしに優しくしてくれたあのオジサンに、あたしはもうちょっと気持ちを返してあげたい。
 見回したあたしの目に映ったのは、地面を這い回る黒い影……ヒトのようでヒトではなく、黒い大きな固まりのような陰には異常な程長い手が幾つも生えていた。

 ヒトを呪って死んだら、呪った本人もヒトではなくなる。
 扇はうっすらと笑みを浮かべ、ぽつりとそう言った。
「彼女は二十歳のOLでね。同居してる彼氏が居るんだけど、それとは別に中年の男に高価なものを買って貰ったりいいように使ってた訳だ。だけど、当の彼氏がそれに気付いて、彼女やオジサンに暴行してるんだよ。女の子は、彼氏と別れようと思ってるらしい」
 彼らが現れるのは、低い樹木に覆われた小さな神社の境内だ。社は周囲とは一段高くなっており、登り階段を少し上ると境内が見えてくる。
 社は20畳ほどの広さだが、恐らく戦場となるのは外の境内だろう。地縛霊は夜間九時から三時頃に掛けてお賽銭を10円分投げ入れて手を合わせると背後に出没し、攻撃を仕掛けてくる。
「五体……いずれも体は歪な黒い固まりで、黒い手を伸ばして拘束して来るだろう攻撃方法や能力はいずれも同じで、締め付けか単体回復の何れかだね」
 それから……問題なのは、少女の事だ。
「彼女は9時前には社に現れる。君たちが到着するのは9時40分〜50分前くらいかな。彼女を連れ出す位の余裕はあるだろう。戦闘途中で須賀達も来るだろうから、彼らも足止めしておいて欲しい」
 彼女は須賀を恐れている為、あまり手荒な手段に出る気はない。
 だが須賀達はそこそこ喧嘩慣れしているようだし、放っておくと彼女に乱暴をはたらくかも知れないから注意が必要だ。
「……まあ、喧嘩慣れでいうと君たちの方が更に上だろうけどね」
 ふ、と扇は笑って言った。

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参加者
魔護・位威(四次元へっぽこ探求者・b06267)
月臣・葵(目覚めしかんなぎ・b20199)
美杉・那也(腹黒レスなオリジナル・b26266)
烏森・カケス(応急手当係・b27258)
伊藤・洋角(蒼紅双龍蹴脚闘士・b31191)
寒桜・美咲(コミマス中学生・b32031)
端糸・了哉(灯燈しの爪・b32886)
白嶺・踊子(新体操のお仕置き乙女・b34787)



<リプレイ>

 ぽうっと灯りが広がり、薄暗い境内に小さなお社が浮かび上がった。古びた社だが、こうして薄明かりに照らされて見る様は中々渋みがあって美しい。
 静かに立って社を見つめていた美杉・那也(腹黒レスなオリジナル・b26266)は、ゆっくりと振り返って光源を見詰めた。彼の影を賽銭箱に落としているのは、月臣・葵(目覚めしかんなぎ・b20199)が持ったランプのものである。
「灯り……無いんじゃないかと思いましたから」
 ふと微笑を浮かべつつ、葵はランプを階段の上へと置いた。
 彼女の置いた段上から、ほのかな灯りが境内を包み込んでゆく。強い光ではないが、何とか各人を確認するだけの光量は確保出来ているようだ。
 どこかほっとする橙色の光を見つめ、那也はしばし動きを止めた。
 夜の冷たい風の中、仲間が動き回る足音と小声だけがざわざわと耳について……。
 ぴくりと那也と葵が顔を上げると、社の後ろからザクザクと足音を響かせながらメジロが駆けだしてきた。
 ほっと息をつき、葵が踵を返す。
 何はともあれ、灯りがなければ戦うにも支障がある。葵が気を利かせてランプを持参せねば、薄暗い中で戦う事になっていたであろう。
 もう一つ、葵は鞄からランプを取り出して階段の近くへと歩いて向かう。
 階段の近くには端糸・了哉(灯燈しの爪・b32886)が立って、携帯電話を弄っていた。寒桜・美咲(コミマス中学生・b32031)も彼の側に立ち、時折何か二人で話していた。
 了哉の方は携帯を見つつ淡々と答えているが、美咲は何か心配しているような口ぶりだ。
 伊藤・洋角(蒼紅双龍蹴脚闘士・b31191)もその近くの階段に居るが、こちらは烏森・カケス(応急手当係・b27258)と何か話している。カケスと洋角の二人は今回、須賀と有香の二人を引き留める役目を負っていた。
 二つ置いた葵のランプのおかげで、ようやく境内に居る全員の顔が見えてきた。
「……灯りの事は全く念頭に入れていませんでしたね」
 それは失態……と、魔護・位威(四次元へっぽこ探求者・b06267)が呟いた。
 ちらりと那也が顔を上げ、すうっと目を細める。位威は一通り、何やら考えこみながら社の周囲を見て回っていたが、やはり戦闘場所は賽銭箱の前と定めたようだ。
 両脇にある燈籠の位置が気になるが、気を付けてさえいればさほどの障害にはなるまい。
 ……それよりも……。
「さて……一つ言っておかねばならないのですが」
「うん、さっき踊子ちゃんと話してるのを聞いたよ」
 今回の作戦において、位威と那也の二人がそれぞれ地縛霊の眠りを誘う力を発揮するはずであった。
 ……あった、というのは位威がその力を活性化出来ないまま出立してしまったからである。
「僕が何とかするけど、多分全部は眠らせられない。その時は押さえをお願いするしかないかな」
 ちらりと那也は、位威を見上げて言った。
 さて……どうしましょうか?
 ため息一つつくと漆黒の空を仰ぎ、思案する位威……。

 ゆっくりと足音が、街灯へと近づいて来る。
 ぽつぽつと道路脇に設置された街灯は、その影をちらりと映して……また、闇へと消える。
 アスファルトを踏む音は軽く、女性のものであると推測される。その影は近くで一度止まり、それから意を決したように踏み出した。
「……あ、先客」
 ひょいと闇から顔を出したのは、二十才ほどの女性であった。
 仕事帰りなのか、スーツ姿で片手に鞄を抱えている。ほのかに酒の匂いがするから、もしかすると例の男と飲んでいたのかもしれない。
 位威は夜の仕事をしているのかとカケス達に話していたが、身なりからすると普通のOLのようだ。
 神社の石段に腰掛けたカケスを見下ろし、それから視線を神社の方へと上げた。ここからでも、かすかに灯りが灯っているのが確認出来る。
「何か変な奴らが居たから、ここで居なくなるの待ってんだ」
 はは、と笑ってカケスが頭を掻いた。
 彼女はくすりと笑い、視線を戻す。上に行きたそうにしている彼女の体に、ちらりとカケスは視線をやる。街灯の明かりだけではよく確認は出来ないが、うっすらと頬の端に青あざが付いている。
 お互い了承済みで殴り合いの喧嘩をするならいざ知らず、一方的に弱者を殴るのはどうにも見て見ぬふりは出来ない。
 尤も、殴り合いは殴り合いで見ている方が苦労するのだが。
「なんか、怪我してるけど……どうしたの?」
 余計な事かもしれないけど、とカケスは改めた後で有香を横に座るように誘った。
 彼女からすれば、カケスはまだまだ子供に見えるかもしれない。それが警戒心を解いたのか、ちょんと彼女は石段に腰掛けた。

 階下ではカケスが街灯の明かりの下で、有香と話しているのが見える。有香に見つからないようにやや上の方からそれを確認すると、洋角は境内の方へと身を傾けた。
「女の人が到着したようですよ。私は下で須賀達を待ちますから、後はよろしくお願いします。終わったら下に合流して頂けますよね?」
「はい、よろしくお願いします」
 美咲が声を返すと、彼女の側に居た了哉が身を少し捻って洋角を見やった。
「引き留めていられるのも、限界があるだろう。……なるべく、早く片付けるから」
 了哉は手の中の硬貨をぎゅっと握りしめ、洋角に言った。
 配置を確認するように、ぐるりと見まわす。
 扇は境内に出没すると言っていた為、賽銭箱の後ろに出現する事を想定して皆位置を取っていた。賽銭を投げるのは了哉、美咲がその側に立って彼女の前は踊子が護り、直ぐに行動に移せそうな了哉の後方には那也の連れた蜘蛛童・シフクと葵のモーラット・るな。
 端っこにぽつんと立つ小さな影は、メジロ。地縛霊に締め付けられた場合メジロが舞ってくれる事になっているが、五体という地縛霊の数に対応出来るか……。
 了哉は少し目を細めると、手の中の硬貨を賽銭箱へと投げ入れた。

 からん……。

 木箱の底を叩く、硬貨の乾いた音。
 投げた時には既に了哉の体は賽銭箱の前には無く、自身の後方を確認しながら右周りに駆けていた。薄明かりの中、灰色の地面からじわり……と黒い影が浮き上がる。
 一つ、二つとそれらは地面からわき上がり、細い腕を伸ばして蠢きはじめた。
 人であるのか、それとも人ではないのか……それすら確認出来ぬ五つの『意志の固まり』。
「……行っておいで、シフク」
 那也はそっと蜘蛛童を見下ろし、柔らかな声を掛けた。後ろから響く那也のゆったりとした歌声に守られるように、シフクは地縛霊の一体へと組み付いた。
 黒い腕が歪に歪み、縄のようにシフクの体に張り付いて来る。
 五体の地縛霊達は那也の歌声を跳ね返すように、しわりじわりと蠢きこちらに迫っていた。
「眠ったのは二体ですか……」
 位威は手の中に抱えられた魔道書をちらりと見下し、呟いた。
 さて、こうなっては位威は二つの道しか残されていない。すなわち、前に出るか後ろで何もせず見守るか、である。
 むろん、成すべき事は一つな訳だ。
「……地の底に帰るのは、あなた達だけにしてもらうわよ!」
 位威の横をすり抜け、薄い色のリボンを空に舞わせ、白嶺・踊子(新体操のお仕置き乙女・b34787)が黒い影へと飛び掛かって行く。
 真っ先に攻撃に転じた踊子に続き、位威は彼女の横から迫っていた影の前へ立ちはだかった。影の伸ばした無数の腕を魔道書で防ぎ、一息つく。
「足りない分はこの身で何とかしますから、予定通り一体ずつ片付けましょう」
「……それしかありませんわね……でも無理はなさらないでください。るな、お願い」
 葵の声に従い、るなはぴょんと跳ねて位威の側へと寄った。
 ……やれやれ。本来魔道書は殴るとか叩くものではないし、私はモーラットに舐められて喜ぶタイプでもないのですがね。
 苦笑まじりに、位威はるなをちらりと見やった。

 途切れる事なく那也の声が、響き続けている。
 先手を打って蹴りを叩き込んだ踊子、彼女の隙を埋めるように美咲が手裏剣を放つと葵も光で包まれた槍で地縛霊の体へ杭打つ。
「いい加減に……消えてっ!」
 踊子のリボンが地縛霊の腕をはね除け、はじき飛ばした。
 眠り切れなかったモノ、目を覚ましたモノ、黒い影は動いては眠りまた蠢き……。すぐさま了哉は、目を覚ました一体へと剣を食い込ませる。
 腕は了哉の後ろ掴もうと剣の横からぬるりと這い出し、こちらに伸びてくる。無数の腕は彼の体を掴む直前で、葵の放った槍で阻止された。
「……ダメだ、あまり長くなると押さえきれなくなる」
 了哉の気にしているのは、蜘蛛童だった。
 回復を位威や踊子達に回している為、シフクは既に限界に達していた。これでは、いずれ位威一人が地縛霊を押さえなければならなくなる。
 ちらりと了哉は美咲を振り返ると、シフクの方へと身をむけた。
 黒い影に、シフクの体が飲まれて……消えていく。那也はそれでも歌を止めず、眠りを誘い続けていた。
「……動きが、案外素早い……でも、こっちを向かせれば攻撃は一人に集中せずに済む。寒桜、キミは僕の分まで攻撃を担ってくれ」
 了哉の剣から赤い光が放たれ、闇中を一直線にゴーストへと走っていった。光は赤く不気味に点滅し、地縛霊の気を引く。
 こっちに……攻撃に来るんだ。
 了哉の放つオトリ弾に、一体がぴくりと反応を示した。

 上から、何か歌が聞こえない?
 階段にいた有香がそう、カケスに話しかけた時だった。
 街灯に照らされ、複数の人影が足早にこっちへと歩いて来る足音が響いてきた。有香はぱっと顔色を変え、立ち上がる。
 カケスもその顔を見て、すうっと立ち上がった。それとなく有香を庇うように後ろへやるが、イグニッション無しではカケスもやや不安だ。
 すると彼らと同時に、神社の方から誰かが階段を下りてくる音が聞こえてきた。
「……あ」
 カケスは洋角に気づき、声を出す。
 洋角は有香とカケスに構わずそのまま前に出ると、正面に立った三名を静かに見つめた。あまり穏便に話し合う雰囲気ではなさそうだ。
 だが、そんな事は百も承知。
「邪魔するつもりでは無かったのですが、ちょっと……神社の見張り番を頼まれたもんでね。皆さん、この神社に上がろうというなら止めにして、大人しくして頂けないでしょうか」
「はあ? ……なんだこいつ等、お前の助っ人か!」
 須賀が有香に手を伸ばそうとすると、その腕を洋角が掴んで止めた。
 今度は、あまり容赦はしない。
「大人しくして、頂けないですか?」
 威圧感のある声で、洋角は繰り返し……須賀と彼の仲間へと言い放った。

 那也の声が……変わった。
 心地よい歌声が心身を癒すのを感じながら、踊子が駆け抜ける。真横に影が迫っているのを分かっていながら、那也はその場に留まって歌を歌い続けていた。
 滑り込むようにして、踊子は那也の側で蠢く影へと蹴りを叩き込む。その無数の腕は踊子の体を傷つけひき裂いていたが、了哉が惹きつけ那也が眠らせたおかげで何とか後二体にまで減らしていた。
 息をつき、踊子が上体を起こす。
 最後の一体は、美咲から送り出された手裏剣を受け……じわりと闇に同化していった。
 しいんと場に静寂が戻り……階下の声が風に乗って聞こえて……。
 振り返って皆が無事なのを確認するや、美咲は階段を駆け下りていった。彼女の様子を見送り、了哉は気配を消してひたひたと後に続いて下りる。
「元はといえば金を貢がせていたのは女性の方なんでしょうに、貢いでくれていた相手と上手くいくんでしょうかね」
 皮肉混じりの位威に、しばしの間を置いて那也が視線をやる。
 さあて、彼女の行動について那也はとやかく言う事はないが……須賀という男の方がもっと許せないと思う。
 好きだと言った、彼女の気持ちをどう受け止めるかの違いかもしれない。
 那也が言葉を待つように位威を見やると、彼は薄く笑って返した。

 女子中学生三人組が割って入ると、須賀達もやや勢いを取り戻して撒くしたてはじめた。
 葵と美咲、そして踊子の三人……洋角が『神社の見廻りをしていた仲間です』と言うと、須賀は洋角を恐れてか口を閉ざした。
 しかも相手は女子中学生かと思いきや、踊子は何やらただならぬ雰囲気……。
 彼女達の様子を見てとり、まず美咲が口を開いた。
「あの……何かあったんですか?」
「別れ話の縺れ……という所でしょうか?」
 そうですよね、と言いたげに洋角が須賀を見る。
 洋角が威嚇していてもなお、須賀と有香は延々と言い合いをしていたのだから、聞かずとも分かるというもの。
「怪我をしていますけど……これもそうなんですか?」
 美咲が有香の頬に手をやり、聞いた。
 彼女は曖昧にううん、と返事を返して視線を落とす。須賀の事が怖いのか、何も語ろうとしない。すると、踊子が須賀の方にずかずかと歩み寄って声を上げた。
「ちょっと! 別れ話のあげくに殴るとか、最低ねあなた達。……あなたも何か言いたい事があるんじゃないの?」
 きっと有香に視線を向けると、彼女は意を決して小さく声を出した。
 最初はバッグを買わせたり奢らせたり、確かに騙していた。
 でも、優しくされるのは嫌じゃない。身を挺して守ってくれた、自分にも真似出来ない小さな勇気……。
「須賀、もう来ないで……別れ、よう……ね?」
 有香もあのオジサンのように、勇気を振り絞って須賀に伝えた。

 子供に諭されるなんて、なんかみっともない大人だなぁ。
 有香は笑いながらも、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめていた。オジサンにした行為は褒められるべき事ではないから、みっともないという部分に関しては否定はしない。
 葵はふと、優しく有香へと笑みを向ける。
「どういう形であったにせよ、あなたの事を大切に思ってくれる人が居る限り、きっとあなたは幸せになれると思います」
「……うん、ありがと。……今日は出会えて良かったわ」
 有香は手を軽く振ると、ふっきれたような笑顔で去っていった。
 彼女はこっそりと了哉がポケットに忍ばせたメモ……気付くだろうか?
「何入れたの?」
 首をかしげながら、踊子が美咲に聞く。
 美咲と了哉は、戦闘に入る前に携帯電話で相談所を探していたのだ。また須賀がやって来た時、相談に乗ってくれたり避難所として匿ってくれる所を探し、こっそり了哉が有香に持たせた。
 渡した小さなメモは、彼女が本当の優しさに気付いてくれるようにと願う……気持ち。傷が癒える頃、彼女はきっと大切な人と優しい気持ちに気付いてくれる。


マスター:立川司郎 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2008/03/30
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
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