花到る国へ 〜花天月地の章〜


     



<オープニング>


 初夏といってもいいくらいに気持ちよく晴れた銀誓館の中庭を薫る風が吹き過ぎる。緑なす若葉の影さえもきらきらと輝くようなこの季節、戸外のお茶会にはもっともいい時期だった。桜前線も北の国にまで到達し、今やこの国は春の中の春。春の桜を追いかけてゆくことができるのもこの国の懐の深さ。
「じゃ、昼間の桜巡りはそれでいいとして……」
 夜はどうします、と今岡・治子(高校生運命予報士・bn0054)は目の前の友人に問う。古い北の城下町、6千本の桜の植わる場内は公園として整備され四季折々に人々が集う。分けても花の季節は格別で、何種類もの桜がこの時期一斉に花をつける。春の遅い北国では花咲く時の勢いは爆発にも似てすさまじい。昨日の雪が今日の花に化けたとしても信じてしまえるほどに。
「もちろん、夜の桜も楽しめますよ」
 雛森・イスカ(高校生魔剣士・bn0012)はパンフレットのページをめくる。それはまさに花明り。満開の桜は夜の闇をもほのかに照らす。月の光に篝火の明かりも加わるとなればそれはどんな景色を描き出すというのだろう。昼間の豪華な桜も勿論美しいが、青い闇に浮かぶ花も至上のものに違いない。
「御天守も白く浮かび上がって……別天地って言葉を地でいくみたいですよ」
 イスカは香気の立ち上る茶碗を手にした。いつの間にか熱い茶が注ぎ直されていたのをそっと友人に感謝しながら。
「そういえば、これ新茶ですか?」
 今年最初の入荷なんですって、と治子も笑い返す。
「向こうにも持って行けます?」
「もちろん。今度は夜桜のお茶にしましょうか」
 治子が言えばもちろん片岡・友明(中学生青龍拳士・bn0125)にも否やはない。この2人の姉貴分が花の下でのお茶会というシチュエーションに飛び付かない訳がないのだから。新茶の香りを桜と共に愛でるのは北国でなければできないことだ。日頃の戦いを忘れてゆったりとした時に身をゆだねるのもきっといい休息になることだろう。

「まあ、ふーりゅーは好きにしてくれていーんだけどさ、夜桜なら晩飯は?」
 友明はやはりその点が気になるようだ。沢山作ってあげますから心配しなくても大丈夫ですよと治子がいえば、屋台で何か買うこともできますしね、とイスカも笑う。
「夜の桜のトンネルというのも幻想的でしょうね」
 治子が写真に目を落とすと、イスカも頷く。夜はボートには乗れないがその代りお堀の水面には見事なまでにライトアップされた桜が映りこむという。浮かぶ花びらの合間にきらきらと輝く篝火の明かりも、堀を渡る赤い橋も春ならではの美しさ。
「この春最後の桜としては、すごく豪華だと思いません?」
 全くね、と治子はもろ手をあげて降参した。春という季節は過ぎゆこうとしているこの時でさえこんなにも美しい。
 気のあった仲間同士、桜の夜道をそぞろ歩き静かな時を過ごすのもまた一興、はらはらと散る花の下で行く春を惜しむのもまた一興。楽しみは人の数だけある、ということだろうか。

 中庭に吹き込む風には微かに夏の匂いが混ざっている。けれども今は……。
 いざ、帰りなん。春の盛りへ――。そこには花天月地の古城が彼女達を待ち受けている。
「それじゃ、皆さんをお誘いに行きましょうね」
 治子が言えば、他の2人もにこやかな笑顔。仲間達と過ごす時を夢に見ながら3人はそそくさとお茶の道具を片づけにかかった。


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参加者
NPC:雛森・イスカ(高校生魔剣士・bn0012)




<リプレイ>

●桜春宵
 陽が暮れれば篝火がつけられ、白いライトが天守閣を浮かびあがらせる。6千本の桜の木も例外ではなく、夜の闇の中に公園だけが小島の様に浮かんでいた。宗は1人静かに園内を彷徨うと昼とは全く異なる桜達がそこにはいた。舞夢もまた桜の木から木へ蝶々の様に渡り歩く。
 堀端に並んで座れば目の前に枝垂れ桜。逆様に映る影も今は静かにそよぐだけ。月のあかりが一筋和沙の髪に落ちるのを英二は黙って見つめていた。ただ彼女の右手に自分の左手を重ねるだけで。
「少し冷えるかな……」
 そっと彼女の手を引くと、和沙はその膝に座る。限りなく近い視点で同じものを見つめ。離れる事を忘れた2つの影を月光が音もなく包み込む。
 律と刹緋と、歩みを進めて行くうちにいつしか2人の手はつながれていた。
「一緒に居てくれて、ありがとな」
 律が呟くと彼女はわずかに頷いて。それからかがんで目を閉じてと囁く。言われた通りにしてみれば……。柔らかい唇の感触がそっと彼のそれに重なった。
「律……好き」
 もう一度キスできそうな近さで刹緋は再び囁いた。ああ、と律は思い出す。忘れていた笑い方をもう1度教えてくれたのは刹緋だった、と。
 夜に浮かびあがる花はまたとなく美しい。その美しさが餞を不安に陥れるのだという事を彼はよく知っていた。出会った人も結んだ縁もいつかは別れ、切れてしまう。だからこそ『今』はとても大切で。そうしてどのくらい物思いにふけっていたものか、不意に温かい何かが頬にふれた。見れば隣で桜子が缶コーヒーを差し出していて。
「……勘弁してくれな」
 君が笑ってくれるなら耐えられる。そんな彼の心の声が通じたものか桜子は静かに深く微笑んでいる。
「んー、風流……って奴だねぇ」
 水に映る桜は風が吹く度にゆらゆらと揺れる。まつりが呟くと両手に花ですね、と冗談口に司真は花と恋人を見つめた。当の由衣もまた一緒にいられる事に感謝したい気持ちが一杯で。卒業旅行の代わりにと3人はこうして北の国までやってきた。未来に何が待っているのか今はまだ分からないけれども。
「2人共仲良く……特に高坂は由衣を泣かせたりしない様に」
 幸運の女神は笑顔に笑顔を返すものだから、とまつりが言えば、2人は深く頷いて。次の桜も共に愛でようと無言のうちに誓い合う。

「桜以上に、イスカは綺麗だけどね」
 識の挨拶はいつでも不意打ち。チュッと音高い頬へのキスで。雛森・イスカ(高校生魔剣士・bn0012)は相変わらず、慣れないままでおろおろと。かえって治子の方が平然と笑っていられる有様で。通りすがりの孔明もくすくす笑いながらアップルティーをふるまってくれる。春とはいえ夜は寒いですよ、と。確かに夜は少し寒かった。だが、恋人達にとっては何の障害にもならないようだが。
 昼は照り輝いていた桜も夜は自らぼんやり光を放つ気がする。柾世がそんな風に花を見上げていると、
「ちょっと寒いー」
 紫空の呟きが聞こえた。桜に嫉妬したわけじゃないぞといいつつも腕に凭れかかってくる彼女が可愛くて、柾世は両腕でふわりと紫空を包み込む。彼女の髪に銀の花びらが落ちた。まるで蝶が舞い降りる様に。
 散る桜、風に揺れる枝を眺めていると、人はどんな事を思い出すものだろうか。
「願わくば花の下にて……」
 そう詠った先人の気持ちがわかる様な気がしますね……リュクサーリヒトが呟く。こんな桜に見守られているならば……と続けかけて、友環は思わず声を荒げた。縁起でもない、と。
「お前の場合は何処までが本気で何処からが冗談なのか判らんから……」
 心臓に悪い、と友環は彼の腕をぎゅっと掴んだ。これで向こう側になどいけないだろう、と。照れ隠しの様にあらぬ方を見る友環を更に見つめてリュクサーリヒトは心の中で言葉を紡ぐ。……私にとっての『桜』は、貴方ですから、と。――花が降ってくる。微妙な距離の2人の上に。
 降り注ぐ桜の中を空羽はゆっくりと歩いていた。水辺の桜も桜のトンネルも静かに歩めば心はどんどん澄んでいくかの様で。
「ふう……一人でゆっくりと回るお花見もいいかもしれないわね」
 別天地にいる様な花の並木と月が、そんな彼女を見降ろしている。

●月と花とに見守られ
 一番の大樹の元に【精神鍛錬部】の面々は席を設ける。澪がお弁当を用意すれば、臨はいそいそとジュースを並べて。
「乾杯しよう乾杯!!」
 きさらがイスカを引っ張ってくると、さなえは素早くジュースのコップを渡す。この結社に来てくれた歓迎会も兼ねてるからね、と臨が言うとイスカの大きな目が更に大きくなる。
「ありがとうございます」
 という声が既に少し震えていて。カンパーイと派手に杯が上がると、周囲の客達からも暖かい視線が投げられて。星司のつまびくギターの音色を心地よく聞きながらの花見はこの上なく贅沢。けれども話はそれだけではなく。
「さなえさん?」
 青い袴の巫女装束のさなえの隣には、竜笛を持った騰蛇もいて。透き通る様な笛の音に神楽鈴の名が重なるとさなえはもう舞いだしていた。月灯り、花明り。水をうった様に静かな広場にはただ1人さなえだけが舞っていた。
 そんな舞をちらちらと見ながらアリーセは【リーフボックス】の面々のための食卓を整える。野菜中心の軽めの食事に季節の果物を添えて。可愛いタコウィンナーや花形卵などは玲樹がしっかり用意していたし、霜降り肉など豪華なものもある。
「あら……美味しい。家事料理やらない人だと思ってたのに……」
 ヴァージニアもご機嫌で料理をつまんでいる。
「これは、何とも前衛的……」
 アリーセを絶句させたのは真燐の言うところのカップケーキの様なもの。彼女はお茶の腕前ならば一流なのにどうしてこんな事になるんでしょう、と首を傾げれば誰もがみな肩をすくめて見せる。桜の花と新茶の香りと。2つならがらに揃う贅沢。来年もこの光景を繰り返す事ができますように、とヴァージニアは秘かに祈る。

 結社での食事会というならば【タケミカヅチ】の面々も負けてはいない。蒼玄が腕を振るった筍御飯に唐揚げなどなど多彩に詰めた重箱を出せば、ユリアも塩の御握りを追加する。お腹がすいていれば美味しさも倍ですよ、と。楽しみにしていた紫唖などはそれだけでもうお腹がなってしまった程。
「た、楽しみだったんですもん! 花より団子ですもの!」
 彼女が言い訳すれば笑い声が一斉に弾け、一気に食事会へとなだれ込む。
「さぁて、ハラ一杯になるくれぇはあるんだろうな?」
 レオンが箸をとれば、皆の箸も怒涛の様に動き始める。その見事な食べっぷりを見ればどんな料理人もきっと満足するに違いない。
「お花見弁当というのがあるのか?」
 いい風習だな、とアウラもいたくご満悦。今年最後の桜に最高の食事がつくとなれば言う事はない。
「待て、俺の分が無くなる!」
 話をしている最中にスタートを切られてしまった宗吾も慌てて参戦。賑やかな食事風景は見ているだけで幸せだと菜月は思う。
「お弁当の定番だな。蓮耶も背が伸びるよう、食べるといいぞ」
 フィネが隅にいた蓮耶に奨め、翔も御握りをどんどん彼の前に積み上げる。だが当人は華麗にスルー。
「はい、あ〜んなのじゃ」
 亜璃砂が口元に寄せたのも、我が事に非ずといった風情。蒼玄のお弁当をマイペースでつまんだまま。菜月が窘めるまで無駄な泥苦は続けられ……。
「さあ、お茶請けは雰囲気に合わせて桜餅ですよ」
 菜月が出せばフィネもマフィンを取り出して。美味しいお弁当にデザート。夜桜の下で記念写真をとりましょうね、とユリアは言うが皆今しばらくは動けそうもない。

●春の花、夏のお茶
 食事が終わっても楽しい時は終わらない。
「そだ、ボク、お茶淹れてきたんだよっ♪」
 お茶を入れるのなら任せて、とアドルフィーネは水筒を傾ける。桜の入った緑茶だというと玲珠は軽く目を見開いて。お弁当もひろげればそこは2人だけのお茶の会。こうして寄り添っていれば北国の春宵も暖かい。やがてふんわりとした眠気がやってくる。
「まゆら……」
 アキは自らの膝をぽんと叩く。いつも膝枕はまゆらの役目だから今日は自分がというわけだ。膝に乗せられた彼女の髪は艶やかで指の通る感覚が心地いい。恥ずかしいと照れるのも可愛くて。
「……ずっとこういう景色を見て行こう」
 アキはそっと囁いた。

「イスカ、これどう?」
 自家製弁当を広げた深柑が勧めたのは数の子。一口含んだイスカは何とも奇妙な顔をする。ひどく甘いそれはどうやら彼女の罠らしく。
「これが甘党の教えよ!」
 堂々と胸を張る深柑を眺め、治子はくすりと笑みをもらして。
「そろそろ、お茶はいかがです?」
 雅が言えば治子は丁寧に茶を入れた。
「こうやってぼーっと過ごすのって、実はかなり贅沢だよなぁ」
 湯呑片手に円が呟くと前回は桃の花の下でしたしね、と雅も相槌を打った。おまけに彼女の腕は絶品だしと龍麻も頷いて。彼が差し入れた3色団子はほとんど友明1人が食べてしまっているが、今日1日姉貴分達の『ふーりゅー』に付き合ってきた彼にしてみれば当然の報酬なのかもしれなかった。
「……流石ですね」
 尚人の入れた茶の香りは一段と際立っていて、治子は思わず顔をほころばせる。確かにと由那も膝を打った。
「桜と茶 季節の交差に友と立つ……なんてね」
 かぐらもゆっくりと茶器を取り上げる。新茶の緑に桜の薄紅。浮かべた花びらは彼女の動きに合わせてゆらゆらと揺れた。薫り高いお茶を楽しんだ後は再び逍遥の時。散歩は夜の方が面白いとの戒の言葉に従って皆はそれぞれに散っていく。
「あら……」
 治子が目指した小道には暈人が待っていた。見たい桜があるのだと誘われれば彼女としても否やはない。彼が去年も見たという桜は今年も美しかった。
「でも1年前とは変わったんだな、と思うよ」
 似た様な桜を見上げていてもそこに去年の自分はいない。多くの出会いと事件とで人はどれ程変わっていけるのだろう。
「来年の今頃は、どんな気持ちで花を見ているのでしょうね」
 それはきっとこの桜でさえも判らない……。

●花天月地の…… 
 花と月と。風と人と。一堂に会すればこんなにも安らかな夜になる。この夜ここを彷徨う人はきっとそんな感覚を覚えた事だろう。無論静蓮もそんな1人。
「嘘っぽく感じられるくらい、見事な桜ね」
 折角の季節の贈り物だし愉しまないとね……静蓮の声は夜にとけた。
 空は多分満天の星。地上があまりにも明るい今は少し見にくくなっているだけで。そんな星空が見たくて秋野達は公園の端までやってきた。
 ――俺といて楽しいか……
 ――手くらいは握ってくれるかな……
 彼女はそっと歩垂の指に触れてみる。一瞬戸惑ったその手がやがてきゅっと締まった。秋野の手を包みこんだまま。共に見上げる星はかつてない程に綺麗だった。
 目の前には桜の老樹。見あげる桃弥の顔にも静かな笑顔が浮かぶ。花と炎に照らされたそれと桜を誡矛は交互に見やる。対する桃弥も時折彼を盗み見てはその喜色に頬を緩め。幸せな気持ちが湧いてくる事は互いに口にはしたりはしない。それが互いに由来する事も。そんな2人に花は静かに舞い降りる。

「あの橋の所に行くのじゃ♪ さぁ、雛乃もイスカも早く!」
 命の引っ張るままにイスカと雛乃は天守閣を望む赤い橋の上までやってきた。夜の静寂に青白く浮かびあがる城壁に淡い桜は怖い程映えて。
「こんな幻想的な風景……ひな忘れないの……」
 今年最後の桜がここで良かった。小さく呟く雛乃と命の肩をイスカはそっと抱き締める。
 朱塗りの橋を渡れば白いすぐそこは白い天守閣。ライトアップされて青白く浮かび上がる壁には桜の影が映りこむ。北国生まれの遥斗にはこの時期の桜が懐かしく、戦いを忘れて静かに過ごす時間は慊人にとっても心地いい。今度はあいつらもつれて4人で来ようと慊人が言えば、遥斗は頷いて城を見上げる。思わず浮かべた笑みを見せるつもりは毛頭ない。

 来年は卒業後に桜を見る事になるのだろうか……一矢は隣の小さな妹を眺めた。照らし出される桜に見入る弓子を見ていると、時が決して止まらないものだという事がよくわかる。弓子の手がきゅっと裾を握った――今はまだ近くにいてもいいですよね、と。一矢は静かに頷いた。この景色も妹も護るのが自分の役目だから。護る人も護られる人にも平等に桜は降り注ぐ。そんな中を歩いていると、ここが人の世である事すら忘れてしまいそうで千歳はそんな自分の発想にくすりと笑う。妹への土産にと写真を撮りながら、彼女はそぞろ歩きを続けて行く。
 心ごと吸い込まれてしまいそうな桜を見上げ小織は小さく口を開けたまま。その無防備な顔が可愛かったり、散っていく花が淋しかったり。
「……離しちゃだめ」
 いつの間にか良の指は緩んでいたのだろうか。小織の指に力がこもる。1人じゃないと教えてくれる指。2人でいる事が当たり前の様に思っていても、それが幸せな事だと教えてくれる指。
「頼まれても手離さないよ……」
 良も再び力を込めた。
 恋人達を見つめる桜は園内に無数といってい程にある。ミリアム達を見つめる大樹もそんな1本――出会って1年。桜のつぼみが膨らみかけた頃だったとミリアムは思い出していた。不意にジョフロアの手が彼女のそれを包み込む。そして――。
「大切なミリアム。心から……」
 愛していると続いた声は彼女の息がかかる位に近くで。重なった唇が同じ温度に熱くなる。私こそ……こうしていれば満たされる。だがそれが言葉の形を取るまでには今しばらくの時を必要とした。

 季節が戻ったみたいだと呟く安寿紗の隣で、誠之助はごろりと横になる。そうして見上げればぼんやりと花明り、その向こうに僅かばかりの星灯り。
「……見納めやなぁ」
 ずっと咲いていたらいいと思わない事もない。だが命が巡るのだと思えば散っていく事も少しは淋しくなくなる気がする……気がつけば誠之助は寝入っていて。安寿紗はそっと笑んで上着をかけた。来年も一緒に見られたらええな、と呟きながら。来年か……聞くともなく聞こえた科白をシャルローネは1人かみしめている。ぼんやりとしてしまうのは少し早い5月病なのかもしれない。卒業しても剣を取る事を決めたのは自分。それなのに、来年の自分がわからなくなるなんて……。
「どうかしましたか」
 気がつけばそこにはイスカが立っていて。ちょっとな、と笑うシャルローネに彼女も笑顔だけを返す。
「……綺麗な桜だな」
「……護っていきましょうね」
 不意に彼女は気づいた。そう、この世界を守る事ができるのは自分達だけ。この桜もこの町にすむ無力な人達も。守るものがあればきっと人は強くなれるはず……。

 明日になれば能力者達はまた戦いに向かうだろう。今日の続きの明日を守るのは彼らの仕事。桜舞う宵に戦士達の束の間の休日が終わろうとしている――。


マスター:矢野梓 紹介ページ
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参加者:75人
作成日:2008/05/11
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