防衛か特攻か! 秘密じゃない基地大決戦!


   



<オープニング>


 茹だるような暑さも湿気も振り払う心意気を胸に、山奥で半日を過ごしてみないか。
 運命予報士の井伏・恭賀は、顔見知りを伝い呼んだ能力者達へ、そう声をかけてきた。
「人が入らないような山奥だからねー。思い出作りにぱーっと遊ぼうよ」
「山奥……森林浴しにいくってこと?」
「っていうより、秘密基地ごっこしに行く感じだね〜」
 十八歳の男子高校生の口からさらりと出たのは、童心に帰るかのような単語。
 集まった能力者達の反応もまちまちだ。
 そんな彼らへ、高城・万里(田舎育ちの黒猫・bn0104)がダンボール箱に入った物を差し出す。
 箱にはカッターナイフや絵の具、極太カラーペンなどの図画工作の道具が大量に入っている。
 そして、万里の後ろにはロープの他、解体されたダンボール箱が幾つも畳まれていた。
「半日かけて秘密基地をチーム毎に作ってもらうんだ。で、午後から大決戦だよ〜」

 恭賀いわく、詳細はこのような感じらしい。

●準備
 1チームは3〜5人。
 ただ、使役ゴーストがいるチームは、(使役ゴーストも数に含め)8人までで1チーム。
 服装や持ち込む物は、危険物を除き自由。ただし、自力で持ち運び可能な物に限る。
 なお、決戦時に身につけて良い武具は、剣、盾、兜が揃った『ダンボール製勇者セット』のみ。
 もちろん付けなくても構わないし、他に付けたいものがあればそれを用いるのも良い。
 基本的にイグニッションはしない方針だ。
 ただし、使役ゴーストを呼ぶ人のみ、『武器や防具を装備しないままの起動』は許容範囲。

●基地作り
 午前中、チームの仲間と協力して『1つの秘密基地』を作り上げる。
 材料はダンボールやロープ、カラーテープや絵の具、紙など図画工作で用いる物。
 もしくは、葉っぱや落ちた枝、土などの自然物のみ。
 でも山にある木を切るのはダメだぞ。どうしても木材が欲しい人は予め用意していこう。
 どんな基地にするか、何処に作るのか。基地や周囲に罠を仕掛けるか、よく考えてみよう。
 当たり前だけど危険な場所や、山から下りた場所はダメだぞ?

●ルール
 チーム名の入った『白旗』と『黄色いゼッケン』が、基地完成後に各チームへ配布される。
 黄色いゼッケンはチームメイト全員が着るものだ。

 白旗は必ず、基地の目立つ場所に設置するか、チームの誰かが兜にくくって所持。
 この白旗を奪われると、その基地は占領されたことになってしまうぞ!
 なお、ダミーの旗を用意するなどの行為は失格になるので、注意が要る。

 占領されてしまったチームは、占領したチームの友軍――協力者として動くことになる。
 この際、占領されたチームの人には『番号入りの赤いゼッケン』へ着替えてもらう。

 赤ゼッケンにある番号は、チーム毎に決められたものだ。
 占領したチーム番号の赤ゼッケンを、占領された側が着る。
 そのため、自分の着ている番号と異なる赤ゼッケンは敵だと、容易に認識できる。

●決戦開始
 午後、各チームが基地に配置したところで決戦スタート!
 勝敗の決定は簡単で、より多くのチームを占領し、かつ最後まで生き残ったチームの優勝だ。
 木の上などの不安定な場所では、体当たりなどは禁止。
 使役ゴーストに、攻撃もしくはそれに似た行為をさせるのもダメだ。


「本業能力は別に使ってもいいけど、アビリティはダメだよ、危ないから」
 一般人も入らない山奥とはいえ、暴れすぎるのも問題だ。
 もちろん、ルール違反や自然を派手に荒らす行為、マナー違反に繋がる言動も失格となる。
「まあ、とにかく楽しもうよ〜。お友達にも呼びかけてきてねー」
 恭賀は人一倍楽しそうに表情を緩め、能力者達にそう告げた。

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参加者
NPC:井伏・恭賀(高校生運命予報士・bn0110)




<リプレイ>


 大自然の恩恵に溢れた青々とした山間、多くの能力者が集い、決戦を繰り広げていた。
 単独Aチームの真道、開幕直後に真正面から、手作りの剣を振り上げ勇敢に立ち向かう。
 段暴流のシーリウスがそれを水鉄砲で狙い撃ち。黎斗も、せっせと小豆を放り転倒させる。
「あぶぼ!」
 迎撃に遭い真道は埋もれた。正に瞬殺。
「中身をただの水と思うな!」
 砂糖水の匂いと感触に、真道が声にならぬ悲鳴をあげる。
 単独Aの龍麻の眼前には、明らかに色の異なる地面。余裕綽々でそこを迂回した刹那、ずぼっと足が抜けた。穴の周りに穴。典型的だが案外有効のようだ。
 ダンボール製鎧兜に身を包んだ単独Aの今日介は、でーんと基地前で仁王立ちしていた。雄たけびを上げるが目立つ上に動き難いことこの上ない。
「ぐぶっ」
「あ、悪い」
 木の上から襲来した灯夜が、足場と間違えて今日介を踏んだ。
 しかし淡白に謝ったまま迷路を思わせる基地へ進み、白旗を手に取り掲げてしまう。
 直後、別勢力が段暴流の基地へ走ってきた。よくよく見れば、可愛らしい絵が描かれた『迷子センター』で。基地周辺へ置かれたケーキやお菓子に気付き、段暴流の面々は腹を鳴らしながらも反撃に赴く。
「こんにちは。手製のジェラートをどうぞ」
 さくらの笑顔とダンボール剣が客人をもてなした。もてなすと言っても立派な迎撃だ。
 その間も、攻め手の花火がモーラットのけっしょう丸と共に基地へ迫る。刹那。
「あ、これ君達にあげるよー」
 可愛らしい基地に愛らしい三人娘――黎斗は嬉々として白旗を花火へ手渡してしまう。
「「何やってるんだぁぁ!」」
 仲間達の叫び声が虚空に消えた。

 チーム内田のえり子は、双眼鏡で近づく箱庭を捉えていた。
「えり子さんは守る……」
 振ってきた木の葉を箱庭の面々が掻き分ける間、息吹は猫と化し、相手を翻弄するべく駆ける。
 堂々と佇む明が「来い」と挑発し、応じた飛鳥の足は浅い穴に囚われ転倒。
 しかしめげずに立ち上がり、明をハリセンで下から殴打した。
「旗は任せた!」
 飛鳥が防衛を崩し、るえるは果敢にも、投げ縄ボールで息吹を絡めとり前線を突破する。
 旗持ちの要が基地へ突入し、潔く玉座で構えるえり子へハリセンを向ける。
「これまでですね」
 えり子は微笑み、潔く降伏を宣言した。

 山奥ゲリラは、基地の影に隠れ近寄ってきた迷子センターを全力で迎え撃っていた。
「モーラットと女の子? そんなの手加減し……ないったら!」
 翔太、迷子センターのモーラットに見つめられ声を震わせる。
 その先では、三月がエアライドで木の上から急襲。あっさり旗をゲットしていた。
 同じ頃、山奥ゲリラ基地へ迫る秘密基地チームは、しつこく貼られた札を前に足を止めていた。
「……入ったら呪われます?」
 エリザヴェータが赤文字を読み上げ、友輝はまさかと肩を竦める。
 ふと、亮太は漂う匂いに気付き鼻を動かした。
「ペンキ塗りたてって、どう見ても蜂蜜だよ!」
 人以前に虫が集っている。
 唐突に、旗は渡すまいと蒼が飛びかかった。
 輝刃が狼変身で駆け回り、場へ混乱を招く。
「ばうわう!」
 べちょ。狼を避けようとした蒼、虫が暢気に食事中の蜂蜜へ顔面突撃。
「アレはきつい……」
「み、見なかったことに」
 これには秘密基地の面々も、真っ青になり遠ざかる。
 見なかったことにして旗を取りに行けば、旗の根元には「のろいのけん」とあった。
 装備すると外せなくなりそうだ。
 しかし所詮旗。秘密基地は、問答無用でべりっと剥がしてしまった。

「あっちに敵発見よ」
 ダンボール製の簡易な城に居座り、麗しき古城の騎士の十花が伝令を注ぐ。
 単独Bのアンナは、水鉄砲を構え疾走し、意気揚々と迫る鴇の注意を惹いてすぐ転進。
 陽動するアンナを頼もしく見遣り、晴真が一手目を仕掛けた。
「とーかちゃんに手は出させないよ!」
 久弥がダンボール剣で押し返しを試みる。しかし罠の無い城は、踏み入られると陥落も容易い。
「旗貰ったぁ!」
 城の頂上で気高く揺れる白を奪取し、晴真はその旗を防衛に回る凰真と万里へ渡した。守りは任せたと爽やかに告げ、再び戦地を走る彼の鉢巻が眩しい。
 突如、頭上を何かが吹き抜けた。
 みもりんを讃え隊の巴だ。白旗と共にターザンの如く木々を移動。かえって目立つ。
 単独Bと友軍を見つめ、カトリーヌは無表情で踵を返した。疑いも無く走った先には深い穴。
 敵が足を取られている間に、忍び寄っていた慎斗が基地を奇襲する。
 基地にいた万里と凰真を退き、旗を奪取した。
「皆格好いいぞ素敵だぞ!」
 巴は相変わらずロープに遊ばれていて。
 友軍を成したみもりんを讃え隊へ迫るのは、びじらんてだ。
「防衛なんて私達のStyleじゃない」
 言い切った響は、チェンソー剣に酷似したダンボール剣片手に目星をつけた基地へ。
 別方向からは、台車の基地ごと移動する草魂までもが迫る。否、草魂は各チームの状況や数を確認すると、囁き合い方向転換した。
「敵影確認。対応を……」
 携帯で仲間へ連絡しながら、捩木は呆然となる。それもそのはず。
 びじらんてが罠を食い破って襲撃してきたのだ。すごい猛者である。
「あの基地を攻撃せよ!」
 軍師として立つカトリーヌ、優雅にマントを翻し友軍へ指示を下す。
 一方、響達を制止する捩木だったが、女性相手でまともに思考が働かず、鼻血を噴出し気絶。
 不意に、びじらんての基地で待機するノリトから、敵襲を報せるクラッカー音が弾ける。
 しかし少しばかり速く、みもりんを讃え隊の巴が木の上でびじらんてに取り囲まれ御用となった。
「やられる前にやれってことさ」
 鼻を鳴らした雅子は、直後勢の悲鳴に似た絶叫を聞く。
 振り返れば、ホラー風味な絵柄の基地に草魂が乗り込んでいて。
 彼らの手で揺れるのは、白旗以外の何物でもなかった。


 屋上αと屋上βは共同戦線を張っていた。
 奈緒は偽身符が日常を離れた場では使えないと思い出し、無念に思いながらも不適に笑う。
 風雲玲樹城の旗係は玲樹だ。ティアラ風兜を被ったプリンセスレイジュとして、木の上へ逃亡。
「大人しく守られてなさい!」
 葉里は木へ登ろうとする人を阻止しつつ、落ち着かない玲樹を叱る。
 その頃、瞳が高所から風雲玲樹城の旗を確認していた。
 ほぼ同時に、柚木が喧騒と交じり近寄るREGENB0GENに気付く。
「新たな敵ですよ!」
 新たな勢力の存在に、数人が辺りを見回す。
「こ、こないでーっ」
 木の下、涙目で拒む小学生はヴァージニアだ。木へ足をかけた人にしがみついている。
「猫どこだー!」
 旗を持って移動する人を発見し、如路が魂の叫びを響かせた。
 あまりに突然のことで、周囲の面々がびくりと震える。
 その隙に、奈緒が玲樹の後ろへ回りこみ旗をもぎ取って。
 REGENB0GENの春一と直人は、旗を持つ人を挟みこむように狼の姿で巡る。
 そこへ仏恥斬 forte solidoの攻撃手まで加わった。混沌としてきた。
 エアライドを駆使した惣一郎が、木の上から飛び降り屋上βを奇襲。自然に紛れ込む色と具合で設置された基地だが、高所から見るとバレバレだったらしい。
 オーウェンが屋上βを足止めしてしまえば、後は惣一郎がすんなり旗を奪取した。
 屋上αでは、二匹の狼に落ち葉布団へ着地した春が翻弄されていて。
「都会育ちの人には負けんよ!」
 しかし、瞬時に春一が旗を咥え去ってしまった。
 そのまま基地へ戻り、奪取した旗を恭賀へ渡す。意気揚々と踵を返す彼に、恭賀も嬉しげに「行ってこーい」と見送って。
 REGENB0GENがそのまま仏恥斬 forte solidoへ攻め入るものの、旗係の祭波は既に脱出済み。
 直後、REGENB0GENの旗係ジングルが仲間へ救援を求める。
 しかし見事な連携プレーに、旗は間も無く仏恥斬 forte solidoの手に落ちた。

 蹴鞠部と対するはシュネル隊、そして真★G毛魂までもが乱入し賑やかだ。
「任務は一つ、見敵必滅!」
 迷彩柄に身を包んだジョフロア、仲間の護衛や援護を受けつつ囮として声を張り上げた。
 旗を持つ一子は、角がついたカッコイイ基地(自称)で騒ぎながら、蹴鞠を投擲する。
 不意打ちを仕掛けようとした摩那だったが、地面を見誤り穴へ落下。
 穴を作った張本人のキセキに覗き込まれていた。
 お好みの兜を被り、真★G毛魂が相手を驚かせ、或いは基地へ忍び込む。
 ここで童瑠が、ネバーランドと名づけた基地から離れ、ちーむ竜宮の調査へ。
 戦艦を連想させる移動要塞基地は、メンバーに支えられすたこらと侵攻していく。
「かかってこいやぁ!」
 正宗の大袈裟な挑発に旗係の榮司が驚き、周辺に張り巡らせたロープ地帯へ。
 一部始終を目撃した舞夢は、要塞を離れ小柄さを利用しロープ地帯へ単機特攻。
 身軽に逃げ回る榮司だったが、ロープ地帯を抜けた先に移動要塞が待ち受けていて、成す術なく捕縛された。
 真★G毛魂の基地に留まるのはモーラット達だけ。
 訪れたシュネル隊は、顔を出したモラ達に僅かに戸惑う。
「「きゅ〜っ」」
 次の瞬間、モラのもふもふに抱きつかれ視界を塞がれてしまった。
 近くにいた他チームから、羨望の溜め息が漏れる。当人達は苦しそうだが。
 もふもふの刑に遭った人達をよそに、蹴鞠部がシュネル隊の旗を嬉々として掲げる。
 しかし真★G毛魂に包囲された一子が、抵抗も虚しく旗を取られてしまった。
 そこへ出現したのは箱庭だ。入り乱れた戦地を潜り抜け、真★G毛魂のモラへ抱きついた瞬間。
「首都攻略です!」
 ちーむ竜宮が、戦艦型基地を背に姿を現した。
 首都という名の旗を手に入れるべく、箱庭を狙い打つ。
 遊撃班と主砲班に分かれたちーむ竜宮は、箱庭に比べれば友軍の数こそ少ない。
「要先輩、背中任せて!」
 掛け声が重なり、箱庭が一気に攻め込む。
 移動基地を運ぶ使役達が主たちの指示に副い、せっせと方向転換した。動きはぎこちない。
「今です!」
 アイリスの的確な指示により、旗を持つ要へ一斉にちーむ竜宮が飛び掛った。


 護るんです! のメンバーは、WLC団と睨み合いつつスミカサマが愉快な下僕に攻められていた。
 地面の色を気にしていた雛乃が、落とし穴に感付く。おかげで落とし穴は悉く回避された。
 迷彩服やペイントにまみれた護るんです! は、WLC団へも突っ込む特攻部隊を見遣り、安堵の息を零す。
 スミカサマが愉快な下僕は、結びしかけられた草に足を取られ、ドミノのように転倒。
「やったね、雪乃ちゃん、こなっちゃん」
「友じょーパワーなの」
 きゃっきゃと喜ぶWLC団に、反撃の手が伸びる。
 今のうちにと言わんばかりに護るんです! から攻撃手が出動。
 偵察に出ている仲間が戻るよりも早く、シリルーンが宣戦布告。
「お遊びでも戦は戦、お覚悟!」
 WLC団を取り囲んだ護るんです! が兜の旗を奪おうとして、無数の手が絡まる。
 その輪へ、雛乃がぼすんと飛び込むようにタックル。
 どさくさに紛れ、スミカサマが愉快な下僕に両チーム共旗を奪われてしまった。
 そのままスミカサマが愉快な下僕が見遣ったのは、そう遠くない先。
 そこでは刻が水上基地で応戦していた。
 意気込みに滾る刻は、守り主体のくーる美少女と旧校舎に狙いを定めて。
 駆け寄ると同時に、くーる美少女のマグがクラッカーを弾けさせた。
 ましろが倣うように突撃するも、足を引っ掛け、落とし穴に落ち、挙句鳴子を盛大に響かせ網に動きを封じられる。
「悪く思うなよー」
 旧校舎の天虹が、楽しげに笑った。
 しかし、幼い身に降りかかった不幸は、さすがに他チームを心配にさせる。
「……大丈夫か?」
 ましろを見下ろした数人が、濡れた眼差しで助けてと呟くましろに気を取られた、その時。
「決めてこい!」
「イエッサー!」
 宗吾の合図をきっかけに、くーる美少女が地を蹴る。
「指一本、旗一本触れさせねえぜー」
 盾を構え、ウィルが旗持ちのチロを庇った。
 水上でぐらつく刻周辺一帯は、飛沫と冷たさで甲高い悲鳴もあがる。
 そこへ躊躇わず乱入したのは、秘密基地とスミカサマが愉快な下僕だ。
「どさくさに紛れて急襲!」
 秘密基地の中で、真っ先に川を波立たせたのは友輝だ。
「結社秘密基地として、負けるわけにいかねぇんだ!」
 やる気に満ちた2チーム。しかし、彼らの乱入が不運の始まりだった。
「落ちる!」
「きゃ!?」
「ちょ、引っ張ん……!」
 チーム入り乱れた緩やかな川は、水柱を立てて幾人かを道連れに沈める。
 中には旗を持った者もいたわけで。落水した旗を求めせっせと水を掻き分けた。
 複数の旗を纏めて真っ先に拾い上げたのは、スミカサマが愉快な下僕の栖だ。
「やった、日頃の行い良いからたくさんゲッ……」
「「くらえーっ!」」
 念願の旗を手に入れたものの、チーム問わず大量の水をぶつけられてしまった。
 そこから暫し水遊びに発展したのは、言うまでもない。


 美耶子のフランケンが地面をゆっくり転がっていく。文字通り進路妨害だ。
 草魂でも、紫空がお子様ランチ風兜を被って逃げ回り、仲間が彼女を援護した。
 友軍も含まれた乱戦真っ只中、狼と化した仏恥斬 forte solidoの祭波へ魔の手が伸びる。
 柾世がしかと踏ん張り、弥琴が任せてとばかりに彼を踏み台にし、空を舞った。
 予想外にも飛び乗る形で祭波へ掴み掛かり、弥琴が旗を引っこ抜く。
「ミコも柾もすげぇ」
 壱球は只管笑いながら感心する。
 一方、友軍が使った策をも取り込んだーむ竜宮は、ここで最終兵器を取り出した。
「主砲発射よーい!」
 命が片腕を天へ捧げる。
 充填していく様を示す数値を叫ぶ間、フランケンの虎十郎が正宗を抱き上げ、その正宗が命を持ち上げる。命の胸に埋まっているのはグレートモーラットのタマで。
「撃てーっ!」
「きゅー!」
 タマの絶叫が大空に木霊した。放られたのだ。旗のみをめがけ、何の躊躇いも無く。
「スミカシールドォッ!」
「げふっ」
 スミカサマが愉快な下僕のアリーセ、栖を盾代わりにして窮地を凌ぎ、すかさず特攻。
 草魂も残った旗目指し、友軍を陽動に回し突っ込んで。
「きゅ!」
「取った!」
「占領完遂!」
 三チームの猛者が白旗を掲げる一方、旗を守っていた仲間達はぐったり腰を下ろす。
 戦場が静まり返った。
 早々に退散し見守っていた運命予報士の恭賀が、白旗を持ち跳ねたモーラットを見遣る。
「モラに先旗とられたから、スミカサマチームが取った草魂の旗は無効〜」
 がーん。
「で、草魂とちーむ竜宮は旗取ったの同時だったから……」
 両者息を呑む。
 草魂はちーむ竜宮の旗を、ちーむ竜宮はスミカサマ(以下略)の旗を奪った。
 それも同時に――つまりは。
「旗数はちーむ竜宮が多いけど、生き延びたのは草魂チームだけ。よって、優勝は草魂!」
 無数の拍手と歓声が沸き起こる。
 喜びを、そして楽しんだ想い分かち合うべく、皆ハイタッチの音で山を彩った。


マスター:鏑木凛 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:107人
作成日:2008/09/10
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