≪リーフボックス≫おいでませ鳳仙花の湯


<オープニング>


「あつい! 何で?」
「夏だからじゃない」
「そういう事じゃなくてさ」
 夏本番、結社リーフボックスの面々も暑さに相当やられているようである。
「温泉にでも行きたいですねー」
「前もそんな話が出てたよな」
 アリーセ・エルンスト(颶風纏いし猟犬・b33163)が小さく手をあげる。
「温泉なら当てがありますけど」
「どんな所?」
 早速身を乗り出す団員に端的に答える。
「秘湯中の秘湯です」
「いいね、いいね」
 みんなの食いつきのよさに気をよくし、更に説明を続ける。
「夏は鳳仙花が咲き誇る見事な光景」
 ただし、と一言加えてアリーセが言う。
「秘湯なだけに道のりは山道ありで険しいですけど」
「うっ、そこは我慢する」
「ついでに言うとその界隈は切り立った崖等も多くて知る人ぞ知る自殺の名所だったりもします」
「……その情報はいらない」
「それはともかくですね……」
 アリーセは机の上になにやら広げながら言う。
「写真もありますよ」
「見るー」
 一同、わいわい言いながら写真をみる。
「よさそうな所だね」
「これは是非とも行かないと」
「わー、鳳仙花きれいーって、これ」
「ん? どうしたの」
 手にしてる一枚、鳳仙花の咲き乱れる中ぼんやりとした影、これは……。
「残留思念だね」
 一同が頷く。
「どうする? ……聞くまでもないか」
 彼らの温泉への情熱がこれきしの事で消えるはずは無かった。
 いざ行かんゴースト退治へ。
 そして絶対に皆で温泉を楽しもう!



マスターからのコメントを見る

参加者
風見・玲樹(の弱点は虫・b00256)
唯原・いくえ(眠り羊の見る夢・b26277)
琴宮・弓姫(蒼月舞踏・b28771)
アリーセ・エルンスト(颶風纏いし猟犬・b33163)
東雲・紫苑(狂姫アンダンテ・b36283)
宮村・雛乃(愛色ドルチェ・b36890)
シュカブラ・キアロ(太陽に焦がれたジュダス・b41558)
オスカー・クロイツ(紅焔騎士・b41730)



<リプレイ>

●能力者一行様ご到着
「『温泉。日本に来たなら一度は秘湯なる場所に行くべし』、か……ああ、このガイドブックに書いてあるんだ」
 オスカー・クロイツ(紅焔騎士・b41730)が琴宮・弓姫(蒼月舞踏・b28771)に説明する。
「へー、ところでシュカパパは長袖で暑くないの?」
「あまり人前で肌を見せたくないんだ」
 白過ぎる肌が密かにコンプレックスな
 シュカブラ・キアロ(太陽に焦がれたジュダス・b41558)が答える。
(「どうせ温泉では脱がなきゃならないのに」)
 一同は心の中でつっこんだ。
「後……20分もあれば着きそうですね」
 地図を見ながら先頭を行くのはアリーセ・エルンスト(颶風纏いし猟犬・b33163)。
 言い出しっぺとしてコンダクターをかって出ていた。
「はーい、右手に見えますのはただの雑木林ですね、左手がまさに崖です、あんまり覗き込むと魅入られますからご注意ください」
 もっとも役に立ってるかどうかは怪しい。

 長い道中少々疲れはしたものの何事もなく現地に着く。
 皆は戦闘に備え、風見・玲樹(の弱点は虫・b00256)が詠唱銀を取り出す。
「じゃ、かけるよ……皆、いくら僕が中心にいるからって僕まで攻撃しないでよね?」
 一度皆を振り返り、確認する。
「囮役期待してるから」
 近くにいるシュカブラが呟く。
「今、なんか言った?」
「いや、何にも」
 唯原・いくえ(眠り羊の見る夢・b26277)が言う。
「だいじょーぶ、メルトをれーじゅセンパイと一緒に前衛にさせますから」
 詠唱銀が撒かれサラリーマン姿の青年の地縛霊が姿を現した。
「な、何だよお前ら、会社の奴らか」
 ナイフを構えびくびくとした様子をみせる。影が薄そうなのは霊だからというばかりではないようだ。
「気弱そうに見えて、実は強かったり……ってないよね?」
 東雲・紫苑(狂姫アンダンテ・b36283)がわずかに不安の色を見せる。
「何があったか知らないけど、ヒナたちの温泉の邪魔はさせないんだからー……!」
 そんな彼女をよそに宮村・雛乃(愛色ドルチェ・b36890)の容赦ない光の槍。
 味方には……一応当たらないように気をつけているようだ、多分。
「よーし、あたしも……当たって……!」
 紫苑も水刃手裏剣を飛ばす。
 アリーセは前衛の位置だが今回はメンバーの援護をしようと様子見をする。
「……たまには、他の者の戦いを間近で見るのも悪くない」
「どっか行け! 行けよ」
 霊がナイフを水平に振り回し、それだけで飽き足らず、間近の玲樹に振り上げる。 
「援護する」
 アリーセがダークハンドを放つ。慣れないせいか玲樹の脇ぎりぎりを掠め、霊に当たる。
「僕の事狙ってないよね?」
「やっぱり近接で攻撃した方が手っ取り早いな」
「もう、会社なんてたくさんなんだ、帰れよ、お前ら!」
 半泣き状態の地縛霊。
「フルボッコ状態が哀れに見えるほどだな、気丈夫な面子に囲まれて、余計に小さく見える」
「だが温泉を楽しみにしているレディ達のためにも」
「ああ、遠慮はしない」
 シュカブラとオスカーの息の合ったダークハンドによる攻撃。  
 しかもそれぞれ旋剣の構えでパワーアップされ、効果は絶大だ。 
 霊はポケットに手を突っ込む。
「もう辞表は出してきたんだ!」
 そう叫ぶや薬のビンを撒き散らした。
 誰彼も構わない破れかぶれの攻撃、そこいら中で爆発が起きる。
「あたしとした事が……」
 紫苑が避けきれずダメージを受けるが、すかさず霧影分身術で回復する。
「みんなもう少しですよ」
 いくえが叫び、サイコフィールドで皆を包む。
「何だってんだよ!」 
 わめく霊のナイフをかわしながら玲樹が話し掛ける。
「こんな寂しい場所で最期を迎えたんだね。次はもっと楽しい人生を送るんだよ、そうでないと僕らが貴方を倒す意味がないからね!」
「遠距離からの攻撃なのに霧のおかげで手応えが伝わってくるのって不思議だよね」
 そう言って自分の手を見る弓姫にいくえが声を掛ける。
「一緒に!」
 彼女の言葉に弓姫が頷く。
「せぇ、のっ」
 いくえの枕投げに弓姫の瞬断撃が同時に決まった。
 地縛霊が輪郭を薄れさせていく。 
「よしっ。これで温泉だー!」
「わーい!」
「ふう。流石……近頃のレディは違うな」
 合言葉は温泉とばかりに最後まで攻撃の手を緩める事のなかった女性陣の鬼気迫る活躍を思い出しながら、オスカーが呟いた。

●温泉! 温泉!!
「汗かいた後の温泉は気持ちいいはずさ、行こう! ……うっ」
 先頭を切る玲樹が、がくりと膝をつく。
「怪我でもしたんですか」
「何で……」
 脱衣所を指差し叫ぶ。
「何で混浴じゃないのー!」
「はい、皆さっさと行きましょう」
 アリーセが構わずすたすたと前を行く。
 弓姫が笑顔で手を振りつつ言う。
「また後でね。れーじゅさんのことはお願いしますね」
 男性陣に玲樹が悪さをしないようにと頼む事も忘れない。

「温泉! ……って、脱ぐんだっけ?」
 入り口で躊躇するシュカブラにオスカーがどやしつける。
「……何をソワソワと! 覚悟を決めろ、風呂なのだから脱ぐのは当たり前だろう!」
「って、オスカ…!? 何す…イヤアアアアアア!!」
 鮮やかなほどに服を剥ぎ取られる。
「私など冬でもこの格好だ!」
 へそだしファッションを見せつける。
「うぬぬ、オスカが肌出しすぎなんだよ! 俺、何の準備もしてないし」
 オスカーがシュカブラに包みを手渡す。
「そんな事だろうと水着持ってきといてやったぞ、ほら」
 着替えながらもむくれて、言う。
「ありがとう、なんて言わないぞ」
「どこのツンデレだよ」

 わいわい言いながら湯船に向かう、そこは!
「おや? なぜココにレディ達が……?」
「……嘘お、その上混浴!?」
 シュカブラが呆然とする。
 先に水色のビキニで湯船に浸かっていた紫苑が声をあげる。
「うはっ! ドッキリだね、これは! えい、水刃手裏剣!」 
 そう言って二人に何かを飛ばす。
「うわ、あぶね」
「冗談、これだよ」
 紫苑は持参の水鉄砲を見せてケラケラ笑った。
 彼女の脇で温水プールのようにぷかぷかと泳いでいた雛乃も目を丸くする。
「入り口が別なのに中が一緒だなんて……奥が深いね、温泉!」
 喧騒が脱衣所まで届く。
「何だろう、急に賑やかだね、メルト」
 モーラットを抱っこしながら言う。
「温泉毛だらけになっちゃうかな、平気かなぁ? 入る前にちゃんとお湯かけようね。いざとつにゅー……て、なんで男子が居るのー!?」
 アリーセと水色のツーピース姿の弓姫も後に続く。
「……念のため水着着用にして正解でしたね」
「あ、あれー、べ、別々じゃなかったんだ……み、水着でよかった……!」
 ゆるりと三人は湯船に浸かる。
「はふー…気持ちいいー」
「そう言えば、天然の温泉はこれが初めてかも知れません」
「アリスセンパイも? 実はわたしもです。いいお湯ですねー。教えていただいて、ありがとうございます」
 ぺこりと頭を下げる。
「うん、私も皆でこれてよかったです」
 まったりと温泉を楽しむ弓姫とアリーセといくえ。
 辺りを見回せば真っ赤なひらひらとした花びらを持つ鳳仙花たち。
 鳳仙花を見るのも初めてないくえが嬉しそうに言う。
「これが鳳仙花? 凄い赤いー……綺麗だねぇー」
 雛乃がすいーっと泳ぎながら近寄ってくる。
「これをね……鳳仙花さん、一枚もらうね、ほら、こうやって爪にこすりつけて……」
「本当、マニキュアになった」
「えへー、赤くて綺麗でしょー、いくちゃにもしてあげるね、アリスとゆっきーにも」
「へー、あたしもしよっと」
 紫苑もやってくる。
「本当に綺麗だね」
 みんなの赤く染まった爪を見ながらオスカーが言う。
「でも、鳳仙花も見事けれど……ここに咲いている華達にはかなうまい……」

(「うー」)
 少し離れた所で深々と湯に浸かり口からぶくぶくと息を吐くのはシュカブラだ。
 興味がないわけじゃない、健康な男子高校生だ、けど。女子の前には出られないし……。
 思わず呟く。
「こんな時は玲樹がうらやましい」
「誰か僕を呼んだかな!」
 混浴であるらしい事を察した玲樹が入ってきた。
「やっぱりこうじゃないとね!」
 爽やかな笑顔で登場と思ってるのは無論本人だけで、実際は下心満載のにやけ顔だ。
「む、曲者」
 紫苑が水刃手裏剣の構えをとる、半ば真顔で。
「違うって! 全員水着……なんのこの湯煙の中、我が心眼で水着なぞ消してみせる」
「妄想を声に出すな」
「え、僕、口に出してた?」 
「れーじゅさんは一メートル以内立ち入り禁止です」
 そんなー、と嘆きつつもシュカブラの隣りに玲樹は座る。
 口元を緩め玲樹は女性陣を眺めやる。
「いいねー、色っぽい。白い肌がほんのり桃色に染まって」
「俺の事か」
 玲樹にシュカブラが自分の腕を見せる。
「違う! 確かにそうだけど、断じて違う!」
「ホントだシュカパパ、大丈夫? ……ってメルトのが赤い気がする。のぼせたっ?」
 いくえは抱きかかえてあわてて湯船を飛び出した。

「むー、何か物足りない」
 しばらくはおとなしく湯に浸かっていた玲樹だったが。
「一夏の思い出、もう一声だ!」
 ざばっと立ち上がる。
「裸の付き合い、とか言うじゃん? さあ、女の子達よ、僕が背中を流してあげようじゃないか! 恥ずかしがる事は……」
 今にも女子達に向かっていこうとする彼に。
「私の目の黒いうちはレディ達に不埒なマネはさせない……! この剣にかけて!」
「おいたは駄目ですよ、玲樹さん……?」
 スコーンとオスカー持参の手桶が、アリーセが携えていた投げるのに手頃なサイズの岩が頭に直撃する。
「おうっ! ふたりの攻撃で鼻血が! 残念だけどあがるね」
 これしきの攻撃ででるはずもなく実は興奮のあまりの鼻血だった。

●湯上りに
 皆の湯にほてった肌に涼やかな山の風があたる。
「あ、皆上がった? おやつ食べようよ、手作りだよ」
 玲樹が差し出す。
「食べるー」
「ありがとう。頂きます」
 皆が集まる。
「楽しかったねー」
 少々のぼせ気味の赤い顔で雛乃が手を空にかざす。
 他の者も各々手をかざし、赤く染められた自分の爪を眺める。 
「こうして楽しい時間を何時までも過ごせると良いですね……」
 みんなの様子を眺め微笑を見せながらアリーセが言った。


マスター:八雲秋 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2008/09/01
得票数:楽しい19 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。